JP2019099966A - 染色された布の製造方法及び染色システム - Google Patents

染色された布の製造方法及び染色システム Download PDF

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宜康 碓氷
Yoshiyasu Usui
宜康 碓氷
順 中村
Jun Nakamura
順 中村
田林 勲
Isao Tabayashi
勲 田林
一樹 志村
Kazuki Shimura
一樹 志村
直志 渡邊
Naoshi Watanabe
直志 渡邊
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Sumiki Ito
純樹 伊藤
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Abstract

【課題】印刷後の後処理を好適に行うことができる染色された布の製造方法を提供する。【解決手段】分散染料とVAT染料で染色された布の製造方法は、インクジェット印刷で分散染料とVAT染料による印刷を複数種類の繊維を含む布に施す印刷工程S1と、印刷工程により印刷を施した布を加熱処理する熱処理工程S2と、熱処理工程により加熱処理された布を強アルカリ条件下で還元処理する還元処理工程S3と、還元処理工程により還元処理された布を酸化処理する酸化処理工程S4と、酸化処理工程により酸化処理された布をソーピングするソーピング工程S5と、ソーピング工程によりソーピングされた布を乾燥させる乾燥工程S6と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、染色された布の製造方法及び染色システムに関する。
布の機能性を改善するために、複数種の繊維から構成される布が開発されている。また、このような布に各種の画像を印刷するインクジェットプリンタも開発されている。
上記インクジェットプリンタとして、例えば、特許文献1は、反応染料と分散染料の混合物からそれぞれ構成されるCMYKインクセットを備えたインクジェットプリント装置を開示している。
また、上記インクジェットプリンタとして、例えば、特許文献2は、反応染料を吐出するプリントヘッドと、分散染料を吐出するプリントヘッドとを備え、一つの混紡織物に両方のプリントヘッドで立て続けに印刷できるインクジェットプリント物の製造装置を開示している。
特開2007−303046号公報 特開平7−117223号公報
上記各インクジェットプリンタでは、画像の印刷の際の印刷効率は改善されるものの、印刷後に実施される、染料の定着及び発色のための後処理自体は従来通りであり、改善の余地があった。具体的には、分散染料と反応染料とが印刷された布に対して後処理を行う場合、従来は、分散染料用の後処理と反応染料用の後処理とを連続又は並行して行うが、分散染料用の後処理における還元洗浄工程で反応染料の分解が生じ、耐候性が悪化してしまう。つまり、従来は、染料と後処理の各工程との組み合わせによっては、後処理を好適に行うことができない。
本発明は、印刷後の後処理を好適に行うことができる染色された布の製造方法及び染色システムを提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る分散染料とVAT染料で染色された布の製造方法は、
インクジェット印刷で分散染料とVAT染料による印刷を複数種類の繊維を含む布に施す印刷工程と、
前記印刷工程により印刷を施した前記布を加熱処理する熱処理工程と、
前記熱処理工程により加熱処理された前記布を強アルカリ条件下で還元処理する還元処理工程と、
前記還元処理工程により還元処理された前記布を酸化処理する酸化処理工程と、
前記酸化処理工程により酸化処理された前記布をソーピングするソーピング工程と、
前記ソーピング工程によりソーピングされた前記布を乾燥させる乾燥工程と、
を有する、
ことを特徴とする。
以上の構成によれば、印刷後の後処理を好適に行うことができ、例えば染色後の布の耐候性を維持しつつ、分散染料とVAT染料の後処理をまとめて行うことで、染色のための時間とエネルギーとを節約できる。換言すると、染料として分散染料とVAT染料の組み合わせを採用したことで、こうした好適な後処理を行うことができるともいえる。
前記印刷工程では、前記分散染料と前記VAT染料との混合インクを、当該混合インク中の前記VAT染料に対する前記分散染料の重量比が、前記布中の前記VAT染料に対応する一繊維に対する前記分散染料に対応する他繊維の重量比に対応するように、前記布に塗布する、
ことがさらに好ましい。
以上の構成によれば、印刷後の後処理を好適に行うことができ、例えば、染色後の布で分散染料及びVAT染料による高い発色が得られる。
前記印刷工程では、前記分散染料を含む分散染料インクと前記VAT染料を含むVAT染料インクとを、前記布上の同一の印刷領域に、前記印刷領域あたりの前記VAT染料の塗布量に対する前記印刷領域あたりの前記分散染料の塗布量の重量比が、前記布中の前記VAT染料に対応する一繊維に対する前記分散染料に対応する他繊維の重量比に対応するように、塗布する、
ことが更に好ましい。
以上の構成によれば、印刷後の後処理を好適に行うことができ、例えば、染色後の布で分散染料及びVAT染料による高い発色が得られる。
本発明の第2の観点に係る染色システムは、
分散染料とVAT染料による印刷を複数種類の繊維を含む布に施すインクジェットプリンタと、
前記インクジェットプリンタにより印刷を施した前記布を加熱処理する熱処理装置と、
前記熱処理装置により加熱処理された前記布を強アルカリ条件下で還元処理する還元処理装置と、
前記還元処理装置により還元処理された前記布を酸化処理する酸化処理装置と、
前記酸化処理装置により酸化処理された前記布をソーピングするソーピング装置と、
を備える、
ことを特徴とする。
以上の構成によれば、印刷後の後処理を好適に行うことができ、例えば、染色後の布の耐候性を維持しつつ、染色のための時間とエネルギーとを節約できる。
前記インクジェットプリンタは、前記分散染料と前記VAT染料との混合インクを、当該混合インク中の前記VAT染料に対する前記分散染料の重量比が、前記布中の前記VAT染料に対応する一繊維に対する前記分散染料に対応する他繊維の重量比に対応するように、プリントヘッドから前記布に吐出する、
ことがさらに好ましい。
以上の構成によれば、印刷後の後処理を好適に行うことができ、例えば、染色後の布で分散染料及びVAT染料による高い発色が得られる。
前記インクジェットプリンタの印刷対象は、第1の繊維と第2の繊維とを含む第1の布と、第3の繊維と第4の繊維とを含む第2の布とを含み、
前記インクジェットプリンタは、
前記第1の繊維を染色する第1の分散染料と前記第2の繊維を染色する第1のVAT染料とを含有する第1の混合インクを貯蔵する第1の貯蔵部と、
前記第3の繊維を染色する第2の分散染料と前記第4の繊維を染色する第2のVAT染料とを含有する第2の混合インクを貯蔵する第2の貯蔵部と、
前記第1の混合インクを吐出する第1のプリントヘッドと、
前記第2の混合インクを吐出する第2のプリントヘッドと、
前記印刷対象が前記第1の布であれば前記第1のプリントヘッドから前記第1の混合インクを吐出させ、前記印刷対象が前記第2の布であれば前記第2のプリントヘッドから前記第2の混合インクを吐出させる、制御部と、
を有し、
前記第1の混合インク中の前記第1のVAT染料に対する前記第1の分散染料の重量比が、前記第1の布中の前記第2の繊維に対する前記第1の繊維の重量比に対応しており、
前記第2の混合インク中の前記第2のVAT染料に対する前記第2の分散染料の重量比が、前記第2の布中の前記第4の繊維に対する前記第3の繊維の重量比に対応している、
ことがさらに好ましい。
以上の構成によれば、印刷後の後処理を好適に行うことができ、例えば、染色後の布で分散染料及びVAT染料による高い発色が得られる。
前記インクジェットプリンタは、
前記分散染料を含有する分散染料インクを貯蔵する第1の貯蔵部と、
前記VAT染料を含有するVAT染料インクを貯蔵する第2の貯蔵部と、
前記分散染料インクと前記VAT染料インクとを混合して混合インクを形成する混合部と、
前記混合インクを吐出するプリントヘッドと、
前記混合部を制御して、前記混合インク中の前記VAT染料に対する前記分散染料の重量比が、前記一繊維に対する前記他繊維の重量比に対応するように、前記混合部に前記分散染料インクと前記VAT染料インクを混合させる制御部と、
を有する、
ことがさらに好ましい。
以上の構成によれば、印刷後の後処理を好適に行うことができ、例えば、染色後の布で分散染料及びVAT染料による高い発色が得られる。
前記インクジェットプリンタは、
前記分散染料を含有する分散染料インクを貯蔵する第1の貯蔵部と、
前記VAT染料を含有するVAT染料インクを貯蔵する第2の貯蔵部と、
前記分散染料インクを吐出する第1のプリントヘッドと、
前記VAT染料インクを吐出する第2のプリントヘッドと、
前記第1のプリントヘッドと前記第2のプリントヘッドとを制御して、前記第1のプリントヘッド及び前記第2のプリントヘッドに、前記分散染料を含む分散染料インクと前記VAT染料を含むVAT染料インクとを、前記布上の同一の印刷領域に、前記印刷領域あたりの前記VAT染料の塗布量に対する前記印刷領域あたりの前記分散染料の塗布量の重量比が、前記布中の前記VAT染料に対応する第1の繊維に対する前記分散染料に対応する第2の繊維の重量比に対応するように、塗布させる制御部と、
を有する、
ことがさらに好ましい。
以上の構成によれば、印刷後の後処理を好適に行うことができ、例えば、染色後の布で分散染料及びVAT染料による高い発色が得られる。
本発明によれば、印刷後の後処理を好適に行うことができる。
本発明の実施の形態に係る染色方法の流れ図。 本発明の実施の形態に係る染色システムの構成図。
本発明の分散染料とVAT染料で染色された布の製造方法を、ポリエステル及び綿の混紡織物を分散染料とVAT染料とにより染色する染色方法に適用した実施の形態について以下説明する。
本実施の形態に係る染色方法は、図1に示すように、主に、印刷S1、熱処理S2、還元処理S3、酸化処理S4、ソーピングS5、及び、乾燥S6を行う。
(印刷S1)
印刷S1では、分散染料とVAT染料とを用いて、インクジェットプリンタで、混紡織物に画像を印刷する。インクジェットプリンタは、分散染料とVAT染料とを混合した混合インクを吐出することで画像を印刷するように構成されてもよいし(例えば、特許文献1に記載のプリンタと同様の構成)、分散染料を含有するインクとVAT染料を含有するインクとをそれぞれ個々のノズルから吐出することで画像を印刷するように構成されてもよい(例えば、特許文献2に記載のプリンタと同様の構成)。なお、「画像」は、単色無地を含み、混紡織物全部に単色無地で印刷されるものであってもよい。上記分散染料とVAT染料とを混合した混合インク、分散染料を含有するインク、VAT染料を含有するインクそれぞれは、CMYK(Cは、シアン、Mは、マゼンタ、Yは、イエロー、Kは、ブラック)それぞれの色について(つまり、CMYK4色分)、用意され使用される。
印刷S1のあとは、熱処理S2〜乾燥S6(染料を定着又は発色させるための後処理行程。以下、これら処理をまとめて後処理ともいう。)が行われる。この実施の形態では、熱処理S2〜乾燥S6について、分散染料により画像が印刷された布に対する従来の後処理における行程、又は、VAT染料により画像が印刷された布に対する従来の後処理における行程を適宜採用できるので、熱処理S2〜乾燥S6を説明する前に、従来の後処理を説明する。
(従来の後処理)
分散染料により画像が印刷された布(ポリエステル製とする。)に対する後処理(以下、分散染料用後処理ともいう。)では、まず、分散染料により画像が印刷された布に熱固着処理を行う。熱固着処理により、分散染料インク中の大部分の分散染料が布を構成するポリエステル繊維内に移動し、微量の分散染料が繊維表面に留まる。繊維表面に残存する分散染料は色落ちや色移りの原因となるので、次に、これを還元洗浄により分解して除去する。還元洗浄後は、布を水洗し、余分な薬剤を洗い流す。最後に、布を乾燥させる。
VAT染料(キノン型とする。)により画像が印刷された布(綿製とする。)に対する後処理(以下、VAT染料用後処理ともいう。)では、まず、強アルカリ条件下で、還元剤により、布ごとVAT染料を還元処理する。これによりVAT染料は不溶性のキノン型から水溶性のロイコ型へと変換されるので、布を構成する綿繊維に浸透する。布を水洗した後、これに酸化処理を行う。これにより繊維に浸透したVAT染料は再びキノン型へと変換されるので、水洗で色落ちしなくなる。その後、残存するアルカリを中和するために中和処理を行う。さらに、布を水洗した後、ソーピングを行う。最後に、布を乾燥させる。
(熱処理S2)
熱処理S2は、印刷S1で印刷が施された混紡織物(特に、画像が印刷された部分)を加熱する熱固着処理である。当該熱固着処理は、従来の分散染料用後処理における熱固着処理と同様の処理でよい。これにより、分散染料を、混紡織物を構成するポリエステル繊維中に移動させることができる(微量の分散染料が繊維表面に残留する)。
一般に、VAT染料は、上記熱固着処理の温度では分解しないので、熱固着処理(熱処理S2)は任意のものを採用できる。当該熱固着処理として、高温蒸熱法(HTスチーミング法)、高圧蒸熱法(HPスチーミング法)、乾熱法(ベーキング法)などを採用することができる。
例えば、HTスチーミング法は、高温スチーマーにより、160〜190℃、1〜10分の条件で行える。また、HPスチーミング法は、高圧スチーマーにより、120〜140℃、20〜40分の条件で行える。乾熱法は、オーブン乾燥機、ピンテンター乾燥機、プレス乾燥機、プレスローラー乾燥機により、180〜210℃、30秒〜3分の条件で行える。なお、各スチーミング法に比べて、後の還元処理S3でのロイコ型のVAT染料の色流れが抑制されるので、乾熱法が好ましい。
(還元処理S3)
還元処理S3では、還元剤を用いて、(a)ポリエステル繊維表面に残存する過剰な分散染料及び綿繊維表面を汚染している分散染料の除去、並びに、(b)キノン型のVAT染料をロイコ型に変換する。ロイコ型に変換されたVAT染料は、綿繊維に浸透する。
還元処理S3では、例えば、還元剤を含む強アルカリ溶液を用いる。例えば、還元剤としては、ロンガリットC又はハイドロサルファイトを用いることが好ましい。また、強アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液を用いることが好ましい。また、染料のブリードを抑制するために、当該溶液に、塩化ナトリウム(食塩)又は無水硫酸ナトリウム(無水芒硝)を添加してもよい。
分散染料は上述の溶液で十分に分解され除去されるので、この溶液を用いるのであれば、還元処理S3として、VAT染料用後処理で採用される任意の還元処理を採用できる。例えば、還元処理S3は、染浴法、パッドスチーム法などにより行うことができる。
例えば、染浴法では、ハイドロサルファイトを1〜5g/l、水酸化ナトリウムを1〜15g/lの濃度で含む溶液で満たされた染浴槽中に、布を浸し、20〜60℃、1〜30分の条件で、還元処理を行う。
また、パッドスチーム法では、ハイドロサルファイトを30〜40g/l、水酸化ナトリウムを15〜40g/lの濃度で含む溶液で満たされたパッド槽中に、布を潜らせ、余分な溶液をマングルで絞り落とす。その後、90℃〜110℃、30秒〜12分の条件で、飽和蒸気によるスチーミングを行い、還元反応を進める。また、当該溶液に、塩化ナトリウム又は無水硫酸ナトリウムを30〜50g/lの濃度で添加していてもよい。
なお、分散染料の分解を促進するため、還元処理の条件を厳しく(薬剤濃度を濃く、温度を高く、及び/又は、処理時間を長く)してもよいが、還元処理条件はVAT染料の過還元や加水分解が生じない程度に留めることが好ましい。
これまでの工程により、ポリエステル繊維中に浸透した分散染料が布に残存し、他の分散染料(ポリエステル繊維表面及び綿繊維表面に残存する分散染料)が取り除かれる。ポリエステル繊維中の分散染料は、ポリエステル繊維により保護されているため、以降の工程で分散染料がさらに分解されたり、反対に、分散染料が以降の工程に悪影響を与えたりすることはない。換言すると、後の酸化処理S4及びソーピングS5は、VAT染料についての後処理であり、すでにポリエステル繊維に定着した分散染料に影響しない処理である。
(酸化処理S4)
酸化処理S4では、酸化によりロイコ型のVAT染料をキノン型へと変換する。酸化処理S4としては、VAT染料用後処理における任意の酸化処理を採用できる。
例えば、還元処理S3でのアルカリ濃度が薄い場合(例えば、上述の染浴法で還元処理を行う場合)、VAT染料の酸化は空気中の酸素により進行する。
また、還元処理S3でのアルカリ濃度が濃い場合(例えば、上述のパッドスチーム法で還元処理を行う場合)、酸化剤溶液によりVAT染料の酸化を行う。酸化剤としては、過酸化水素水を用いることが好ましい。
また、還元処理S3でのアルカリ濃度が濃い場合、酸化処理S4後に残存する余剰なアルカリを中和するため、酸化処理S4後に中和処理を行ってもよい。また、この代わりに、酸化処理S4と同時に中和処理を行ってもよい。中和剤としては、酢酸を用いることが好ましい。
酸化及び中和処理は、例えば、30w/v%の濃度の過酸化水素水を1〜12ml/l、100w/v%の濃度の酢酸を0.5〜5ml/lの濃度で含む溶液中に、布を浸し、20〜60℃、30秒〜2分の条件で処理することで、行ってもよい。
(ソーピングS5)
ソーピングS5は、VAT染料用後処理における任意のソーピングを採用できる。
例えば、センカノールES−1(センカ株式会社製)を1−2g/lの濃度で含む水溶液又はセンカノールCW(センカ株式会社製)を1−3g/lの濃度で含む水溶液中に、布を浸し、80〜100℃、5〜20分の条件で処理することで、行ってもよい。
(乾燥S6)
乾燥S6は、例えば、分散染料及びVAT染料をはじめとする様々な染料の染色において共通する周知の処理であればよく、こうした周知の処理方法を採用して実行できる。
(その他)
なお、溶液への浸漬を含む工程の後に、適宜、洗浄、脱水、及び/又は乾燥などの処理を行ってもよい。
(本実施形態の染色方法による効果)
以上の一連の工程によれば、VAT染料により画像が印刷された布に対する従来の後処理と同じ工程数で、VAT染料と分散染料とについて後処理を行うことができるので、VAT染料と分散染料とについて別々に後処理を行うときよりも、染色のための時間とエネルギーとを節約できる。また、分散染料と反応染料の組み合わせでは反応染料の分解につながっていた分散染料の還元洗浄を、本方法では、VAT染料の還元処理にも使用でき、VAT染料の分解につながらないので、耐候性も維持される。このように、この実施の形態では、印刷後の後処理を好適に行うことができる。
また、分散染料とVAT染料とが印刷された混紡織物を上述の後処理行程(S2−S6)に掛ける場合、各工程の条件(温度条件、pH条件、処理時間など)は、分散染料とVAT染料との両方に適合するよう選択せねばならないため、個別の染料に適合するよう当該条件を選択するときに比べ、選択可能な範囲が狭い。結果として、こうした狭い範囲の条件内で良好な後処理が可能となるような分散染料及びVAT染料の塗布量の範囲も応分に狭くなる。印刷S1では、インクジェット印刷により、混紡織物への分散染料及びVAT染料の塗布量を、こうした狭い範囲の後処理条件に適合するように正確に制御できるため、製品品質の向上につながる。
(染色システム)
上記染色方法を実行する染色システム1を説明する。染色システム1は、インクジェットプリンタ10と、加熱装置20と、還元処理装置30と、酸化処理装置40と、ソーピング装置50と、乾燥機60とを備える。なお、これらも上記従来の後処理に使用される各種の装置を適宜転用できる。なお、混紡織物は、ローラ等の搬送装置により、各装置間を移動するようにするとよい。
インクジェットプリンタ10は、上記印刷S1を行うものであり、上述のように、分散染料とVAT染料とを混合した混合インクを吐出することで画像を印刷するように構成されてもよいし、分散染料を含有するインクとVAT染料を含有するインクとをそれぞれ個々のノズルから吐出することで画像を印刷するように構成されてもよい。
加熱装置20は、上記熱処理S2を行うものであり、処理対象の混紡織物を高温蒸熱法又は高圧蒸熱法で加熱を行うスチーマー、処理対象の混紡織物を乾熱法で加熱を行うオーブン乾燥機、ピンテンター乾燥機、プレス乾燥機、プレスローラー乾燥機などであればよい。
還元処理装置30は、上記還元処理S3を行うものであり、処理対象の混紡織物が浸される還元剤を含む強アルカリ溶液で満たされた浴槽等を含んで構成される。なお、還元処理S3が、パッドスチーム法による処理であれば、還元処理装置30は、余分な溶液を絞り落とすマングル、飽和蒸気によるスチーミングを行うスチーマー等を備える。
酸化処理装置40は、上記酸化処理S4を行うものであり、処理対象の混紡織物を空気にさらす搬送装置、飽和蒸気によるスチーミングを行うスチーマー、処理対象の混紡織物を浸す過酸化水素水及び酢酸(酸化処理S4で中和処理も行う場合)で満たされた浴槽のうちの適宜の組み合わせにより構成される。なお、中和処理を酸化処理S4後でソーピングS5の前に行う場合には、中和のための装置(酢酸で満たされた浴槽等)をさらに設けてもよい。
ソーピング装置50は、上記ソーピングS5を行うものであり、処理対象の混紡織物を浸すソーピング溶液で満たされた浴槽等により構成される。
乾燥機60は、上記乾燥S6を行うものであり、処理対象の混紡織物を乾燥する公知の乾燥機等であればよい。
(変形例)
(変形例1)
上述の実施形態では、ポリエステルと綿の混紡織物を用いたが、混紡織物の構成繊維は、分散染料で染色できる繊維とVAT染料で染色できる繊維との組み合わせであれば、任意である。分散染料で染色できる繊維としては、ポリエステルの他に、アセテート、ナイロン、アクリル、ビニロンなどが挙げられる。VAT染料で染色できる繊維としては、綿の他に、麻、レーヨン、アセテート、ビニロンなどが挙げられる。
(変形例2)
上述の実施形態では、混紡織物に印刷を施したが、これに限らず、複数種の繊維から構成されていればどんな布でも印刷対象となり得る。例えば、印刷対象の布としては、交織織物、編物、不織布などが挙げられる。
(変形例3)
上述の実施形態では、分散染料とVAT染料のそれぞれについて又は両者の混合インクについてCMYKの4色のインクを用いる場合を説明したが、これに限らず、分散染料とVAT染料のそれぞれについて又は両者の混合インクについて任意の色の任意の組み合わせのインクを用いてもよい。
(変形例4)
上述の実施形態では、分散染料とVAT染料との混合インクを用いて、混紡織物に印刷する場合に、混合インク中の染料の混合比率と混紡織物中の繊維の混紡比率とは任意であるが、混合インク中の分散染料とVAT染料との構成重量比は、混紡織物中の構成繊維の構成重量比に応じて決定されることが好ましい。
例えば、混紡繊維が、分散染料aで良く染まりVAT染料bで良く染まらない繊維Aと、VAT染料bで良く染まり分散染料aで良く染まらない繊維Bから構成される場合、分散染料aによる繊維Aへの着色が飽和するときの繊維Aに対する分散染料aの重量比率をX、VAT染料bによる繊維Bへの着色が飽和するときの繊維Bに対するVAT染料bの重量比率をYとすると、[混合インク中の分散染料aの重量%]/[混合インク中のVAT染料bの重量%]の値を基準としたときの[混紡繊維中の繊維Aの重量%×X]/[混紡繊維中の繊維Bの重量%×Y]の値との差が20%以内であることが好ましく、10%以内であることが特に好ましく、5%以内であることがさらに好ましい。
また、混合インクの構成重量比と混紡織物の構成重量比は、上述の重量比の条件を満たさなくても、例えば、混紡織物を構成する繊維間の重量の大小関係と、当該繊維を着色するための染料間の重量の大小関係とが同じであってもよい。例えば、上述の例によって説明すると、混紡織物中の繊維Aと繊維Bとのとの構成重量比の大小関係と、混合インク中の分散染料aとVAT染料bとの構成重量比の大小関係とが同じであるとよい。また、このように大小関係が一致していれば、混合インク中の分散染料とVAT染料との構成重量比が混紡織物中の構成繊維の構成重量比に応じて厳密に決定されておらずとも、実用に耐える程度に高い発色が得られることは特筆に値する。
以上のように、混紡繊維中の繊維同士の構成重量比と、混合インク中の染料同士の構成重量比が対応している場合、高い発色が得られると考えられる。
(変形例5)
変形例3のように、混合インク中の分散染料とVAT染料との構成重量比が、混紡織物中の構成繊維の構成重量比に応じて決定される場合、インクジェットプリンタ10は、それが対応する分散染料とVAT染料と混合インクで印刷可能な混紡織物毎に、当該混紡織物中の構成繊維の構成重量比に応じた分散染料とVAT染料との構成重量比を有する単色の混合インク又は複数色からなる混合インクのセット(例えば、CMYKの4色のインクセット)を備えることが好ましい。
例えば、このようなインクジェットプリンタ10では、ホストコンピュータなどの外部装置から、印刷する画像の画像データとともに、印刷対象の混紡織物の種類を特定する特定データがインクジェットプリンタ10の制御部に送信されるよう構成されている。そして、当該制御部は、画像データと特定データとを受信すると、以下の処理を実行する。
制御部は、上記特定データ及び画像データを受信すると、記憶部に保存されている対応表(テーブル)を参照する。当該対応表は、例えば、混紡織物の種類(例えば、混紡比率が1:1のポリエステルと綿の混紡織物)と、混紡織物の種類に応じて使用するインクの組(例えば、混合比率が1:1の分散染料とVAT染料の混合インクをそれぞれ含むCMYKのインクカートリッジのセット)を特定するインク特定情報と、が対応付けられている。制御部は、当該対応表を参照し、外部装置から送信された前記特定データが特定する混紡織物の種類に当該対応表において対応付けられているインク特定情報を取得する。制御部は、取得したインク特定情報が特定するインクの組を、今回の印刷に用いるインクの組として特定する。即ち、制御部は、異なる混紡織物毎に異なる混合比率の混合インクを用いることができる。
制御部は、外部装置からの画像データと、上で特定した今回の印刷に用いるインクの組に基づいて、印刷するドットの位置及び色を示す印刷データを生成する。例えば、画像データがRGB形式であり、CMYKの4色のインクが印刷に用いられる場合、制御部は、画像データからCMYK形式の印刷データを生成する。
その後、制御部は、上述のように特定したインクの組を用いる点を除いては、従来通り、インクジェットプリンタ10の各部(例えば、インクカートリッジとそれに対応するプリントヘッド)を印刷データに基づいて制御し、混紡織物に前記画像データにより表される画像を印刷する。
分散染料とVAT染料とが印刷された混紡織物を上述の実施形態の共通後処理行程(S2−S6)に掛ける場合、各工程の条件(温度条件、pH条件、処理時間など)は、分散染料とVAT染料との両方に適合するよう選択せねばならないため、個別の染料に適合するよう当該条件を選択するときに比べ、選択可能な範囲が狭い。結果として、こうした狭い範囲の条件内で良好な後処理が可能となるような分散染料及びVAT染料の塗布量の範囲も応分に狭くなる。変形例5のインクジェットプリンタ10によれば、混紡織物への分散染料及びVAT染料の混合インクの塗布量を、こうした狭い範囲の後処理条件に適合するように正確に制御できるため、製品品質の向上につながる。
(変形例6)
変形例3のように、混合インク中の分散染料とVAT染料との構成重量比が、混紡織物中の構成繊維の構成重量比に応じて決定される場合、インクジェットプリンタ10は、混合インク中の分散染料とVAT染料との構成重量比が、印刷対象の混紡織物中の構成繊維の構成重量比に応じた構成重量比となるように、分散染料インクとVAT染料インクとを混合して混合インクを調整する混合部を各色毎に備えることが好ましい。
例えば、当該混合部は、分散染料インクの貯蔵部、VAT染料インクの貯蔵部、及びプリントヘッドと、それぞれ、チューブを介して接続されており、分散染料インクの流入量を制御する第1制御弁と、VAT染料インクの流入量を制御する第2制御弁とを備えている。
こうした混合部を備えるインクジェットプリンタ10では、ホストコンピュータなどの外部装置から、印刷する画像の画像データとともに、印刷対象の混紡織物の混紡比率を特定する特定データがインクジェットプリンタ10の制御部に送信されるよう構成されている。そして、当該制御部は、画像データと特定データとを受信すると、以下の処理を実行する。
制御部は、上記特定データ及び画像データを受信すると、記憶部に保存されている対応表(テーブル)を参照する。当該対応表は、例えば、混紡織物の混紡比率(例えば、重量比でポリエステル:綿が1:1)と、混紡織物の混紡比率に応じた混合インクの混合比率(例えば、重量比で分散染料:VAT染料が1:1)を特定するインク特定情報と、が対応付けられている。制御部は、当該対応表を参照し、外部装置から送信された前記特定データが特定する混紡織物の混紡比率に当該対応表において対応付けられているインク特定情報を取得する。
制御部は、外部装置からの画像データに基づいて、印刷するドットの位置及び色を示す印刷データを生成する。例えば、画像データがRGB形式であり、CMYKの4色のインクが印刷に用いられる場合、制御部は、画像データからCMYK形式の印刷データを生成する。
その後、制御部は、取得したインク特定情報が特定するインクの混合比率で、分散染料とVAT染料とが混合されるように混合部を制御し、当該混合部から各色の混合インクを対応する色のプリントヘッドに供給する点を除いては、従来通り、インクジェットプリンタ10の各部を印刷データに基づいて制御し、混紡織物に前記画像データにより表される画像を印刷する。
変形例6では、変形例5とは異なり、予め調整した混合インクを貯蔵する貯蔵タンクを複数用意する必要がなく、印刷毎に混合インクを用時調整できる。このため、変形例6のインクジェットプリンタ10は、混紡比率が異なる多種の混紡織物への印刷に適している。
(変形例7)
上述の実施形態では、分散染料を含有するインクとVAT染料を含有するインクをそれぞれ個々のノズルから吐出することで混紡織物に印刷する場合に、当該混紡織物の同一領域に印刷された特定色の染料同士の比率と混紡織物中の繊維の混紡比率とは任意であるが、混紡織物の同一領域に印刷される特定色の分散染料と当該特定色のVAT染料との構成重量比は、混紡織物中の構成繊維の構成重量比に応じて決定されることが好ましい。
例えば、混紡繊維が、分散染料aで良く染まりVAT染料bで良く染まらない繊維Aと、VAT染料bで良く染まり分散染料aで良く染まらない繊維Bから構成される場合、分散染料aによる繊維Aへの着色が飽和するときの繊維Aに対する分散染料aの重量比率をX、VAT染料bによる繊維Bへの着色が飽和するときの繊維Bに対するVAT染料bの重量比率をYとすると、[混紡織物に印刷される分散染料aの重量]/[混紡織物に印刷されるVAT染料bの重量]の値を基準としたときの[混紡繊維中の繊維Aの重量%×X]/[混紡繊維中の繊維Bの重量%×Y]の値との差が20%以内であることが好ましく、10%以内であることが特に好ましく、5%以内であることがさらに好ましい。
また、混紡織物の同一領域に印刷される分散染料とVAT染料との構成重量比と混紡織物の構成重量比は、上述の重量比の条件を満たさなくても、例えば、混紡織物を構成する繊維間の重量の大小関係と、当該繊維を着色するための染料間の重量の大小関係とが同じであってもよい。例えば、上述の例によって説明すると、混紡織物中の繊維Aと繊維Bとのとの構成重量比の大小関係と、混紡織物の同一領域に印刷される分散染料aとVAT染料bとの構成重量比の大小関係とが同じであるとよい。また、このように大小関係が一致していれば、混紡織物の同一領域に印刷される分散染料とVAT染料との構成重量比が混紡織物中の構成繊維の構成重量比に応じて厳密に決定されておらずとも、実用に耐える程度に高い発色が得られることは特筆に値する。
以上のように、混紡繊維中の繊維同士の構成重量比と、混紡織物の同一領域に印刷される特定色の染料同士の構成重量比が対応している場合、高い発色が得られると考えられる。
(変形例8)
変形例7のように、混紡織物の同一領域に印刷される特定色の分散染料と当該特定色のVAT染料との構成重量比は、混紡織物中の構成繊維の構成重量比に応じて決定される場合、インクジェットプリンタ10は、印刷対象の混紡織物の同一領域に印刷される分散染料とVAT染料との構成重量比が、当該混紡織物中の構成繊維の構成重量比に応じた構成重量比となるように、分散染料インクとVAT染料インクとを個々のノズルから吐出することが好ましい。
例えば、インクジェットプリンタ10は、分散染料インクの貯蔵部、当該分散染料インクの貯蔵部に接続されている第1のプリントヘッド、VAT染料インクの貯蔵部、及び当該VAT染料インクの貯蔵部に接続されている第2のプリントヘッドを備えている。なお、第1のプリントヘッドと第2のプリントヘッドは、同一のキャリッジ上に設けられてもよいし、異なるキャリッジ上に別々の設けられてもよい。
こうしたインクジェットプリンタ10では、ホストコンピュータなどの外部装置から、印刷する画像の画像データとともに、印刷対象の混紡織物の混紡比率を特定する特定データがインクジェットプリンタ10の制御部に送信されるよう構成されている。そして、当該制御部は、画像データと特定データとを受信すると、以下の処理を実行する。
制御部は、上記特定データ及び画像データを受信すると、記憶部に保存されている対応表(テーブル)を参照する。当該対応表は、例えば、混紡織物の混紡比率(例えば、重量比でポリエステル:綿が1:1)と、混紡織物の混紡比率に応じた各インクの塗布比率(例えば、重量比で分散染料:VAT染料が1:1)を特定するインク特定情報と、が対応付けられている。制御部は、当該対応表を参照し、外部装置から送信された前記特定データが特定する混紡織物の混紡比率に当該対応表において対応付けられているインク特定情報を取得する。即ち、制御部は、異なる混紡織物毎に異なる塗布比率で分散染料とVAT染料をプリントヘッドから吐出させる。
制御部は、外部装置からの画像データに基づいて、印刷するドットの位置及び色を示す印刷データを生成する。例えば、画像データがRGB形式であり、CMYKの4色のインクが印刷に用いられる場合、制御部は、画像データからCMYK形式の印刷データを生成する。
その後、制御部は、ある色での印刷を予定している領域が、当該色の分散染料及びVAT染料の両方により、取得したインク特定情報が特定するインクの塗布比率に応じた塗布量で印刷されるように第1のプリントヘッドと第2のプリントヘッドとを制御する点を除いては、従来通り、インクジェットプリンタ10の各部を印刷データに基づいて制御し、混紡織物に前記画像データにより表される画像を印刷する。
例えば、特定のドットに特定色の分散染料をある量aで第1のプリントヘッドより吐出した後、当該ドットに当該特定色のVAT染料を当該量aと上述の塗布比率とに応じた量bで第2のプリントヘッドより吐出することで、混紡織物の同一領域に印刷される分散染料とVAT染料との重量比を上述の塗布比率とすることができる。
また、例えば、特定の領域に特定色の分散染料をあるドット密度aで第1のプリントヘッドより吐出した後、当該領域に当該特定色のVAT染料を当該ドット密度aと上述の塗布比率とに応じたドット密度bで第2のプリントヘッドより吐出することで、混紡織物の同一領域に印刷される分散染料とVAT染料との重量比を上述の塗布比率とすることもできる。
分散染料とVAT染料とが印刷された混紡織物を上述の実施形態の共通後処理行程(S2−S6)に掛ける場合、各工程の条件(温度条件、pH条件、処理時間など)は、分散染料とVAT染料との両方に適合するよう選択せねばならないため、個別の染料に適合するよう当該条件を選択するときに比べ、選択可能な範囲が狭い。結果として、こうした狭い範囲の条件内で良好な後処理が可能となるような分散染料及びVAT染料の塗布量の範囲も応分に狭くなる。変形例8のインクジェットプリンタ10によれば、混紡織物への分散染料及びVAT染料の個別の塗布量を、こうした狭い範囲の後処理条件に適合するように正確に制御できるため、製品品質の向上につながる。
また、変形例8では、変形例5とは異なり、予め調整した混合インクを貯蔵する貯蔵タンクを複数用意する必要がなく、染料同士の塗布比率を印刷毎に容易に変更できる。このため、変形例8のインクジェットプリンタ10は、混紡比率が異なる多種の混紡織物への印刷に適している。
(実施例)
以下の組成で、Kインクを調整した。
黒色VAT染料 5重量%
グリセリン 10重量%
プロピレングリコール 20重量%
サーフィノール465(日信化学工業製) 1重量%
水 残余
合計 100重量%
同様に、染料をシアンVAT染料、マゼンタVAT染料、イエローVAT染料に代えて、Cインク、Mインク、Yインクをそれぞれ調整した。
次に、パッドスチーム法により染色を行った。具体的には、まず、10cm×10cmの綿布に、バーコーターで、上述のインクの何れかを塗布し、乾式プレス機を用いて、200℃、120秒の条件で乾式プレスを行った。
次に、以下の組成割合で調整した混合液の入っているパッドに、プレス後の布を、室温(25℃)で、1分間、浸漬した。
水 1000ml
ハイドロサルファイト 30g
水酸化ナトリウム 10〜40g
硫酸ナトリウム 30g
次に、マングルを用いて、2Mpa、1m/分の条件で浸漬後の布を絞った。
次に、スチーマーを用いて、100℃、7分の条件で、絞った布を飽和蒸気に掛けた。
次に、以下の組成割合で調整した浴液を用いた酸化浴に、飽和蒸気に掛けた後の布を、室温(25℃)で、1分間、浸漬した。
水 1000ml
酢酸 5ml
30重量% 10ml
最後に、センカノールES−1(センカ株式会社製)を添加した水を沸騰させ、そこに酸化浴後の布を10分間漬けて湯洗し、その後、乾燥させた。
出来上がった布は何れも良好な発色を示した。この布を、測色器(蛍光分光濃度計FD−7、コニカミノルタ社製)を用いて、光源はD65、視野角は10°の条件で、各色(K、C、M、Y)の発色濃度(OD値)を測定した。パッド内の混合液中の水酸化ナトリウム量による発色濃度への影響を表1にまとめる。
Figure 2019099966
以上の結果から、Kインク、Cインク、Mインクでは、パッド浴において、水酸化ナトリウムを25〜35g/Lの範囲で、特に、30g/Lで用いることが好ましく、Yインクでは、30〜40g/Lの範囲で、特に、35g/Lで用いることが好ましいことが分かる。
1・・・染色システム、10・・・インクジェットプリンタ、20・・・加熱装置、30・・・還元処理装置、40・・・酸化処理装置、50・・・ソーピング装置、60・・・乾燥機

Claims (8)

  1. インクジェット印刷で分散染料とVAT染料による印刷を複数種類の繊維を含む布に施す印刷工程と、
    前記印刷工程により印刷を施した前記布を加熱処理する熱処理工程と、
    前記熱処理工程により加熱処理された前記布を強アルカリ条件下で還元処理する還元処理工程と、
    前記還元処理工程により還元処理された前記布を酸化処理する酸化処理工程と、
    前記酸化処理工程により酸化処理された前記布をソーピングするソーピング工程と、
    前記ソーピング工程によりソーピングされた前記布を乾燥させる乾燥工程と、
    を有する、
    分散染料とVAT染料で染色された布の製造方法。
  2. 前記印刷工程では、前記分散染料と前記VAT染料との混合インクを、当該混合インク中の前記VAT染料に対する前記分散染料の重量比が、前記布中の前記VAT染料に対応する一繊維に対する前記分散染料に対応する他繊維の重量比に対応するように、前記布に塗布する、
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記印刷工程では、前記分散染料を含む分散染料インクと前記VAT染料を含むVAT染料インクとを、前記布上の同一の印刷領域に、前記印刷領域あたりの前記VAT染料の塗布量に対する前記印刷領域あたりの前記分散染料の塗布量の重量比が、前記布中の前記VAT染料に対応する一繊維に対する前記分散染料に対応する他繊維の重量比に対応するように、塗布する、
    請求項1に記載の製造方法。
  4. 分散染料とVAT染料による印刷を複数種類の繊維を含む布に施すインクジェットプリンタと、
    前記インクジェットプリンタにより印刷を施した前記布を加熱処理する熱処理装置と、
    前記熱処理装置により加熱処理された前記布を強アルカリ条件下で還元処理する還元処理装置と、
    前記還元処理装置により還元処理された前記布を酸化処理する酸化処理装置と、
    前記酸化処理装置により酸化処理された前記布をソーピングするソーピング装置と、
    を備える染色システム。
  5. 前記インクジェットプリンタは、前記分散染料と前記VAT染料との混合インクを、当該混合インク中の前記VAT染料に対する前記分散染料の重量比が、前記布中の前記VAT染料に対応する一繊維に対する前記分散染料に対応する他繊維の重量比に対応するように、プリントヘッドから前記布に吐出する、
    請求項4に記載の染色システム。
  6. 前記インクジェットプリンタの印刷対象は、第1の繊維と第2の繊維とを含む第1の布と、第3の繊維と第4の繊維とを含む第2の布とを含み、
    前記インクジェットプリンタは、
    前記第1の繊維を染色する第1の分散染料と前記第2の繊維を染色する第1のVAT染料とを含有する第1の混合インクを貯蔵する第1の貯蔵部と、
    前記第3の繊維を染色する第2の分散染料と前記第4の繊維を染色する第2のVAT染料とを含有する第2の混合インクを貯蔵する第2の貯蔵部と、
    前記第1の混合インクを吐出する第1のプリントヘッドと、
    前記第2の混合インクを吐出する第2のプリントヘッドと、
    前記印刷対象が前記第1の布であれば前記第1のプリントヘッドから前記第1の混合インクを吐出させ、前記印刷対象が前記第2の布であれば前記第2のプリントヘッドから前記第2の混合インクを吐出させる、制御部と、
    を有し、
    前記第1の混合インク中の前記第1のVAT染料に対する前記第1の分散染料の重量比が、前記第1の布中の前記第2の繊維に対する前記第1の繊維の重量比に対応しており、
    前記第2の混合インク中の前記第2のVAT染料に対する前記第2の分散染料の重量比が、前記第2の布中の前記第4の繊維に対する前記第3の繊維の重量比に対応している、
    請求項5に記載の染色システム。
  7. 前記インクジェットプリンタは、
    前記分散染料を含有する分散染料インクを貯蔵する第1の貯蔵部と、
    前記VAT染料を含有するVAT染料インクを貯蔵する第2の貯蔵部と、
    前記分散染料インクと前記VAT染料インクとを混合して混合インクを形成する混合部と、
    前記混合インクを吐出するプリントヘッドと、
    前記混合部を制御して、前記混合インク中の前記VAT染料に対する前記分散染料の重量比が、前記一繊維に対する前記他繊維の重量比に対応するように、前記混合部に前記分散染料インクと前記VAT染料インクを混合させる制御部と、
    を有する、
    請求項5に記載の染色システム。
  8. 前記インクジェットプリンタは、
    前記分散染料を含有する分散染料インクを貯蔵する第1の貯蔵部と、
    前記VAT染料を含有するVAT染料インクを貯蔵する第2の貯蔵部と、
    前記分散染料インクを吐出する第1のプリントヘッドと、
    前記VAT染料インクを吐出する第2のプリントヘッドと、
    前記第1のプリントヘッドと前記第2のプリントヘッドとを制御して、前記第1のプリントヘッド及び前記第2のプリントヘッドに、前記分散染料を含む分散染料インクと前記VAT染料を含むVAT染料インクとを、前記布上の同一の印刷領域に、前記印刷領域あたりの前記VAT染料の塗布量に対する前記印刷領域あたりの前記分散染料の塗布量の重量比が、前記布中の前記VAT染料に対応する第1の繊維に対する前記分散染料に対応する第2の繊維の重量比に対応するように、塗布させる制御部と、
    を有する、
    請求項5に記載の染色システム。
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