JPH11158500A - 革の処理方法、加色方法及び得られた革製品 - Google Patents
革の処理方法、加色方法及び得られた革製品Info
- Publication number
- JPH11158500A JPH11158500A JP32502597A JP32502597A JPH11158500A JP H11158500 A JPH11158500 A JP H11158500A JP 32502597 A JP32502597 A JP 32502597A JP 32502597 A JP32502597 A JP 32502597A JP H11158500 A JPH11158500 A JP H11158500A
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- Treatment And Processing Of Natural Fur Or Leather (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 インクジェットプリンタにて加色可能な革を
得ることを課題とする。 【解決手段】 インクジェットプリンタにより加色しう
る革の処理方法において、加色前の革に芳香族スルホン
酸系合成鞣し剤を含有する鞣し剤による再鞣処理と、硫
酸化油、スルホン化油及び亜硫酸化油を含有する加脂剤
による加脂処理に付すことを特徴とする革の処理方法に
より上記課題を解決する。
得ることを課題とする。 【解決手段】 インクジェットプリンタにより加色しう
る革の処理方法において、加色前の革に芳香族スルホン
酸系合成鞣し剤を含有する鞣し剤による再鞣処理と、硫
酸化油、スルホン化油及び亜硫酸化油を含有する加脂剤
による加脂処理に付すことを特徴とする革の処理方法に
より上記課題を解決する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、革の処理方法、加
色方法及び得られた革製品に関する。更に詳しくは、本
発明は、アニオン性水性染料を用いたインクジェットプ
リンタにより加色しうる革を得るための革の処理方法、
加色方法及び得られた革製品に関する。
色方法及び得られた革製品に関する。更に詳しくは、本
発明は、アニオン性水性染料を用いたインクジェットプ
リンタにより加色しうる革を得るための革の処理方法、
加色方法及び得られた革製品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】原皮を
手袋、カバン等の製品用の革に処理するための工程は、
一般に、原皮の水漬け、裏打ち、石灰漬け、脱毛、垢だ
し、再石灰漬け、脱灰・酵解等の準備工程と、漬酸、鞣
し、水絞り、シェービング、再鞣等の鞣し工程と、中
和、加色、加脂、水絞り・セッティング、乾燥、味入
れ、ステーキング、張り革・乾燥、塗装仕上げ・つや出
し、坪入れ等の仕上げ工程とからなる。
手袋、カバン等の製品用の革に処理するための工程は、
一般に、原皮の水漬け、裏打ち、石灰漬け、脱毛、垢だ
し、再石灰漬け、脱灰・酵解等の準備工程と、漬酸、鞣
し、水絞り、シェービング、再鞣等の鞣し工程と、中
和、加色、加脂、水絞り・セッティング、乾燥、味入
れ、ステーキング、張り革・乾燥、塗装仕上げ・つや出
し、坪入れ等の仕上げ工程とからなる。
【0003】この内、加色は、その善し悪しが商品の価
値そのものに直接的に影響するため、重要な工程の1つ
とされている(なお、本明細書において、用語「加色」
とは、単色又は複数色の染色、塗装、着色等を含み、加
色後に色の素となる染料が、革に浸透、付着、積層等の
いずれか一つ又は複数の状態で存在することを意味す
る。)。また、原皮は、その種類により性質が異なり、
また、同じ種類でも個体により性質が異なる。そのた
め、同じ加色を行う場合でも、使用する原皮に応じて、
使用する染料の配合を変えたり、加色時間を増減する等
の調整が必要であった。更に、この調整は、長年の経験
による熟練やノウハウが必要とされ、所望の色で加色さ
れた革を直ちに入手することは困難であった。
値そのものに直接的に影響するため、重要な工程の1つ
とされている(なお、本明細書において、用語「加色」
とは、単色又は複数色の染色、塗装、着色等を含み、加
色後に色の素となる染料が、革に浸透、付着、積層等の
いずれか一つ又は複数の状態で存在することを意味す
る。)。また、原皮は、その種類により性質が異なり、
また、同じ種類でも個体により性質が異なる。そのた
め、同じ加色を行う場合でも、使用する原皮に応じて、
使用する染料の配合を変えたり、加色時間を増減する等
の調整が必要であった。更に、この調整は、長年の経験
による熟練やノウハウが必要とされ、所望の色で加色さ
れた革を直ちに入手することは困難であった。
【0004】更に、従来の加色はその殆どが単色で行わ
れており、複数色の革を望む場合には、主にスクリーン
捺染法により加色されていた。またその他の方法とし
て、異なる色の革を貼り合わせたり、縫い合わせりする
等の方法により複数色の革を実現していた。上記方法の
内、スクリーン捺染法は、N個の色で革を加色する場
合、デザイン画作成、色分解トレース、版作成、見本欄
作成、桝見本作成、捺染糊作成、N回スクリーン捺染、
仕上げ工程というように非常に多くの工程を含んでい
る。また、桝見本作成の際、製品のイメージとデザイン
とが合わない場合、再度デザイン画の作成からやり直す
必要がある。更に、1色につき1枚の版が必要であり、
そのため版作成、捺染糊作成、版合わせ等の各工程で多
数の熟練技術者を必要とする。従って、デザインの作成
から仕上がりまでに、2か月以上の長時間を要してい
た。
れており、複数色の革を望む場合には、主にスクリーン
捺染法により加色されていた。またその他の方法とし
て、異なる色の革を貼り合わせたり、縫い合わせりする
等の方法により複数色の革を実現していた。上記方法の
内、スクリーン捺染法は、N個の色で革を加色する場
合、デザイン画作成、色分解トレース、版作成、見本欄
作成、桝見本作成、捺染糊作成、N回スクリーン捺染、
仕上げ工程というように非常に多くの工程を含んでい
る。また、桝見本作成の際、製品のイメージとデザイン
とが合わない場合、再度デザイン画の作成からやり直す
必要がある。更に、1色につき1枚の版が必要であり、
そのため版作成、捺染糊作成、版合わせ等の各工程で多
数の熟練技術者を必要とする。従って、デザインの作成
から仕上がりまでに、2か月以上の長時間を要してい
た。
【0005】一方、その他の方法の場合、貼り合わせや
縫い合わせ等の工程が増加するため、コストが増加する
というデメリットを生じていた。上記のように、従来の
方法では、複雑で、数多くの工程が含まれているため、
短期間の小ロット生産には不向きであり、多様化する消
費者の好みに合わせることは困難であった。
縫い合わせ等の工程が増加するため、コストが増加する
というデメリットを生じていた。上記のように、従来の
方法では、複雑で、数多くの工程が含まれているため、
短期間の小ロット生産には不向きであり、多様化する消
費者の好みに合わせることは困難であった。
【0006】このような現状下で、革に複数色の加色
や、部分的な加色等の所望の加色を容易にかつ均一に行
うことができれば、革に対して本来革がもつ高級感をそ
のままに、更に付加価値を与えることができるので、得
られる工業的メリットは計り知れない。ところで、イン
クジェットプリンタを用いて、複数色の画像を印刷する
ことが提案されている。そのようなインクジェットプリ
ンタを用いて革に印刷することが考えられるが、従来の
処理をした革では、所望する色で画像を印刷(加色)す
ることはできなかった。
や、部分的な加色等の所望の加色を容易にかつ均一に行
うことができれば、革に対して本来革がもつ高級感をそ
のままに、更に付加価値を与えることができるので、得
られる工業的メリットは計り知れない。ところで、イン
クジェットプリンタを用いて、複数色の画像を印刷する
ことが提案されている。そのようなインクジェットプリ
ンタを用いて革に印刷することが考えられるが、従来の
処理をした革では、所望する色で画像を印刷(加色)す
ることはできなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような観点から、本
発明者等は、鋭意検討の結果、下記方法により容易にか
つ均一に所望の色でかつ複数色を加色することのできる
革の処理方法を見いだし本発明に到った。かくして本発
明によれば、インクジェットプリンタにより加色しうる
革の処理方法において、加色前の革に芳香族スルホン酸
系合成鞣し剤を含有する鞣し剤による再鞣処理と、硫酸
化油、スルホン化油及び亜硫酸化油を含有する加脂剤に
よる加脂処理に付すことを特徴とする革の処理方法が提
供される。
発明者等は、鋭意検討の結果、下記方法により容易にか
つ均一に所望の色でかつ複数色を加色することのできる
革の処理方法を見いだし本発明に到った。かくして本発
明によれば、インクジェットプリンタにより加色しうる
革の処理方法において、加色前の革に芳香族スルホン酸
系合成鞣し剤を含有する鞣し剤による再鞣処理と、硫酸
化油、スルホン化油及び亜硫酸化油を含有する加脂剤に
よる加脂処理に付すことを特徴とする革の処理方法が提
供される。
【0008】また、本発明によれば、上記処理方法によ
り得られた革をインクジェットプリンタを用いて加色す
ることを特徴とする革の加色方法が提供される。更に、
本発明によれば、上記加色方法を経ることにより得ら
れ、任意に保護層又は装飾層が設けられてなる革製品が
提供される。
り得られた革をインクジェットプリンタを用いて加色す
ることを特徴とする革の加色方法が提供される。更に、
本発明によれば、上記加色方法を経ることにより得ら
れ、任意に保護層又は装飾層が設けられてなる革製品が
提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明による革の処理方法は、原
皮を前述のような準備工程に付し、鞣し工程工程中に行
われる再鞣処理と加脂処理において、特定の合成鞣し剤
と特定の加脂剤をそれぞれ使用することを特徴としてい
る。まず、本発明の革の処理方法に使用することができ
る原皮とは、革及び毛皮の製造原料となる動物皮をい
い、主に家畜の体から剥皮し、革や毛皮製造工程に入る
までの皮であり、一般的にはキュアリングを施した塩蔵
皮、乾皮をいい、生皮も含めて脱毛されていない皮を総
称している。原皮としては、牛(例えば、カーフ、キッ
プ、ステア等)、馬、山羊(例えば、キッド、ゴート
等)、豚、羊(例えば、シープ、ラム等)、鹿等の動物
皮をいずれも使用することができる。
皮を前述のような準備工程に付し、鞣し工程工程中に行
われる再鞣処理と加脂処理において、特定の合成鞣し剤
と特定の加脂剤をそれぞれ使用することを特徴としてい
る。まず、本発明の革の処理方法に使用することができ
る原皮とは、革及び毛皮の製造原料となる動物皮をい
い、主に家畜の体から剥皮し、革や毛皮製造工程に入る
までの皮であり、一般的にはキュアリングを施した塩蔵
皮、乾皮をいい、生皮も含めて脱毛されていない皮を総
称している。原皮としては、牛(例えば、カーフ、キッ
プ、ステア等)、馬、山羊(例えば、キッド、ゴート
等)、豚、羊(例えば、シープ、ラム等)、鹿等の動物
皮をいずれも使用することができる。
【0010】以下、本発明の革の処理方法を図1を参照
しつつ説明する。 (準備工程)図1に示されているように、原皮は、少な
くとも準備工程に付され、その後鞣し工程に付される。
準備工程とは、例えば、原皮の水漬け、裏打ち、石灰漬
け、脱毛、垢だし、再石灰漬け、脱灰・酵解等が挙げら
れる。これら処理は、常に全て必要とするものではな
く、目的に応じて任意に組み合わせて行うことができ
る。 (鞣し工程)鞣し工程は、通常漬酸、鞣し、水絞り、シ
ェービング、再鞣、中和、加脂等の処理からなる。この
ように、本発明の処理方法における再鞣処理を行う時点
は、少なくとも鞣し処理を行った後を意味する。なお、
準備工程に付された皮は、鞣し処理に付されて革とな
る。なお、白色の革を所望する場合は、鞣し処理の前後
に、皮を漂白処理しておくことが好ましい。
しつつ説明する。 (準備工程)図1に示されているように、原皮は、少な
くとも準備工程に付され、その後鞣し工程に付される。
準備工程とは、例えば、原皮の水漬け、裏打ち、石灰漬
け、脱毛、垢だし、再石灰漬け、脱灰・酵解等が挙げら
れる。これら処理は、常に全て必要とするものではな
く、目的に応じて任意に組み合わせて行うことができ
る。 (鞣し工程)鞣し工程は、通常漬酸、鞣し、水絞り、シ
ェービング、再鞣、中和、加脂等の処理からなる。この
ように、本発明の処理方法における再鞣処理を行う時点
は、少なくとも鞣し処理を行った後を意味する。なお、
準備工程に付された皮は、鞣し処理に付されて革とな
る。なお、白色の革を所望する場合は、鞣し処理の前後
に、皮を漂白処理しておくことが好ましい。
【0011】鞣し処理に使用される薬品は、酸性側で溶
解するものが多いので、通常鞣し処理に先立って、原皮
を酸性溶液中に浸漬、攪拌することにより、原皮が薬品
の吸収に適するように処理される。鞣し処理としては、
特に限定されず、公知の鞣し剤をいずれも使用すること
ができる。これら鞣し処理は、単独でも組み合わせて行
ってもよく、原皮の主に種類に応じて適宜使用される。
鞣し処理により、鞣し剤が皮に浸透し、皮を構成するコ
ラーゲン繊維と結合することにより耐熱性等の物性が向
上することとなる。特に好ましい、鞣し処理としては、
例えば、クロム,アルミ,ジルコニウム鞣し剤、ミョウ
バン鞣し剤(カリウムミョウバン、クロムミョウバン
等)等の無機鞣し剤とアルデヒド系鞣し剤(ホルマリ
ン、グルタルアルデヒド、ポリアルデヒド等)をそれぞ
れ単独で又は複数種混合したものを使用した処理が挙げ
られる。更に、これら鞣し剤の補助として、タンニン鞣
し剤、芳香族系鞣し剤、樹脂鞣し剤等を加えてもよい。
解するものが多いので、通常鞣し処理に先立って、原皮
を酸性溶液中に浸漬、攪拌することにより、原皮が薬品
の吸収に適するように処理される。鞣し処理としては、
特に限定されず、公知の鞣し剤をいずれも使用すること
ができる。これら鞣し処理は、単独でも組み合わせて行
ってもよく、原皮の主に種類に応じて適宜使用される。
鞣し処理により、鞣し剤が皮に浸透し、皮を構成するコ
ラーゲン繊維と結合することにより耐熱性等の物性が向
上することとなる。特に好ましい、鞣し処理としては、
例えば、クロム,アルミ,ジルコニウム鞣し剤、ミョウ
バン鞣し剤(カリウムミョウバン、クロムミョウバン
等)等の無機鞣し剤とアルデヒド系鞣し剤(ホルマリ
ン、グルタルアルデヒド、ポリアルデヒド等)をそれぞ
れ単独で又は複数種混合したものを使用した処理が挙げ
られる。更に、これら鞣し剤の補助として、タンニン鞣
し剤、芳香族系鞣し剤、樹脂鞣し剤等を加えてもよい。
【0012】鞣し処理は、上記鞣し剤を、水性媒体に溶
解及び/又は分散した後、処理を所望する皮を浸漬、攪
拌処理することで行われる。鞣し処理に付した後、革中
の余分な水分を除去する水絞り処理、革の厚さを一定に
するシェービング処理を行う。次に、図1に示すよう
に、アルカリ中和剤、例えば酢酸ナトリウム、炭酸ナト
リウムを用いて中和処理され、革は芳香族スルホン酸系
合成鞣し剤を使用した再鞣処理(A)に付される。
解及び/又は分散した後、処理を所望する皮を浸漬、攪
拌処理することで行われる。鞣し処理に付した後、革中
の余分な水分を除去する水絞り処理、革の厚さを一定に
するシェービング処理を行う。次に、図1に示すよう
に、アルカリ中和剤、例えば酢酸ナトリウム、炭酸ナト
リウムを用いて中和処理され、革は芳香族スルホン酸系
合成鞣し剤を使用した再鞣処理(A)に付される。
【0013】再鞣処理(A)は、芳香族スルホン酸系合
成鞣し剤を少なくとも含む鞣し剤を使用して行われる。
芳香族スルホン酸系合成鞣し剤としては、ナフタレン系
スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物からなる鞣し剤
(以下、NSA鞣し剤と称する)、フェノール系スルホ
ン酸のホルムアルデヒド縮合物からなる鞣し剤(以下、
PSA鞣し剤と称する)等が挙げられる。
成鞣し剤を少なくとも含む鞣し剤を使用して行われる。
芳香族スルホン酸系合成鞣し剤としては、ナフタレン系
スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物からなる鞣し剤
(以下、NSA鞣し剤と称する)、フェノール系スルホ
ン酸のホルムアルデヒド縮合物からなる鞣し剤(以下、
PSA鞣し剤と称する)等が挙げられる。
【0014】NSA鞣し剤としては、α−ナフタレンス
ルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸等のナフタレン系
スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。一
方、PSA鞣し剤としては、フェノール、クレゾール、
ピロガロール等のフェノール類に、スルホン酸基を導入
したフェノール系スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物
が挙げられる。具体的には、シネクタンPN、シネクタ
ンWF(いずれも、ゼネカ社製)、タニガンLH(バイ
エル社製)、フォレスタンDW(フォレスト社製)等の
PSAを含む鞣し剤や、シクネタンACNN(ゼネカ社
製)のようなNSAを含む等が挙げられる。また、タニ
ガン3LN(バイエル社製)、バシンタンDLX(BA
SF社製)、フォレスタンLC(フォレスト社製)等の
PSA及びNSAを含む鞣し剤が挙げられる。
ルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸等のナフタレン系
スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。一
方、PSA鞣し剤としては、フェノール、クレゾール、
ピロガロール等のフェノール類に、スルホン酸基を導入
したフェノール系スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物
が挙げられる。具体的には、シネクタンPN、シネクタ
ンWF(いずれも、ゼネカ社製)、タニガンLH(バイ
エル社製)、フォレスタンDW(フォレスト社製)等の
PSAを含む鞣し剤や、シクネタンACNN(ゼネカ社
製)のようなNSAを含む等が挙げられる。また、タニ
ガン3LN(バイエル社製)、バシンタンDLX(BA
SF社製)、フォレスタンLC(フォレスト社製)等の
PSA及びNSAを含む鞣し剤が挙げられる。
【0015】NSA鞣し剤、PSA鞣し剤は、それぞれ
単独で使用できる。しかし、NSA鞣し剤とPSA鞣し
剤を併用することが好ましい。更に、本発明の方法で
は、NSA鞣し剤とPSA鞣し剤とを併用し、かつそれ
ら鞣し剤の重量平均分子量を異ならせることが好まし
い。重量平均分子量を異ならせた鞣し剤を使用すること
により、革を構成する繊維束を個々の繊維へ分離させる
ことができ、そのため微細な繊維間隔が増加するので、
革にふくらみ感を付与することができる。NSA鞣し剤
とPSA鞣し剤は、それぞれ200〜2000の範囲の
重量平均分子量及び400〜4000の範囲の重量平均
分子量のものを使用することが好ましい。
単独で使用できる。しかし、NSA鞣し剤とPSA鞣し
剤を併用することが好ましい。更に、本発明の方法で
は、NSA鞣し剤とPSA鞣し剤とを併用し、かつそれ
ら鞣し剤の重量平均分子量を異ならせることが好まし
い。重量平均分子量を異ならせた鞣し剤を使用すること
により、革を構成する繊維束を個々の繊維へ分離させる
ことができ、そのため微細な繊維間隔が増加するので、
革にふくらみ感を付与することができる。NSA鞣し剤
とPSA鞣し剤は、それぞれ200〜2000の範囲の
重量平均分子量及び400〜4000の範囲の重量平均
分子量のものを使用することが好ましい。
【0016】再鞣処理(A)は、上記鞣し剤を、水性媒
体に溶解及び/又は分散した後、処理を所望する革を浸
漬、攪拌することにより行われる。再鞣処理(A)は、
使用する鞣し剤の種類、革の種類等により相違するが、
30〜40℃で、30〜90分間、攪拌下で行うことが
好ましい。芳香族スルホン酸系合成鞣し剤は、革の重量
を基準として、2〜20重量%の割合で使用するのが好
ましい。ここで、芳香族スルホン酸系合成鞣し剤の使用
量が2重量%より少ない場合は、染料の固着受容層が十
分形成されないと共に革の強度が不足するので好ましく
ない。20重量%より多い場合は、革中のアニオン性が
強くなり、インクジェットプリンタによるアニオン性水
性染料の加色が困難になるので好ましくない。更に、革
が硬くなり感触が悪くなるので好ましくない。芳香族ス
ルホン酸系合成鞣し剤の特に好ましい使用量は、5〜1
0重量%である。
体に溶解及び/又は分散した後、処理を所望する革を浸
漬、攪拌することにより行われる。再鞣処理(A)は、
使用する鞣し剤の種類、革の種類等により相違するが、
30〜40℃で、30〜90分間、攪拌下で行うことが
好ましい。芳香族スルホン酸系合成鞣し剤は、革の重量
を基準として、2〜20重量%の割合で使用するのが好
ましい。ここで、芳香族スルホン酸系合成鞣し剤の使用
量が2重量%より少ない場合は、染料の固着受容層が十
分形成されないと共に革の強度が不足するので好ましく
ない。20重量%より多い場合は、革中のアニオン性が
強くなり、インクジェットプリンタによるアニオン性水
性染料の加色が困難になるので好ましくない。更に、革
が硬くなり感触が悪くなるので好ましくない。芳香族ス
ルホン酸系合成鞣し剤の特に好ましい使用量は、5〜1
0重量%である。
【0017】なお、再鞣処理(A)は、タンニン鞣し
剤、アミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物鞣し
剤、ポリマー樹脂鞣し剤等の他の鞣し剤を同時に添加し
てもよい。但し、これら鞣し剤は、前に述べた芳香族ス
ルホン酸系鞣し剤に悪影響を及ぼさないものを使用する
ことが好ましい。また、亜硫酸化油を再鞣処理(A)に
使用する鞣し剤に加えてもよい。亜硫酸化油を添加する
ことにより、この亜硫酸化油が革の中心部へ浸透し、革
の柔軟性と芳香族スルホン酸系鞣し剤の速やかな分散と
浸透を改善することができる。なお、亜硫酸化油として
は、ターコンFA−200(泰光油脂化学工業社製)、
コリレンF−255(ゼネカ社製)、ペルグラソールS
F(Zschimmer & Schwarzchemische Fabriken 社製)等
が挙げられる。
剤、アミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物鞣し
剤、ポリマー樹脂鞣し剤等の他の鞣し剤を同時に添加し
てもよい。但し、これら鞣し剤は、前に述べた芳香族ス
ルホン酸系鞣し剤に悪影響を及ぼさないものを使用する
ことが好ましい。また、亜硫酸化油を再鞣処理(A)に
使用する鞣し剤に加えてもよい。亜硫酸化油を添加する
ことにより、この亜硫酸化油が革の中心部へ浸透し、革
の柔軟性と芳香族スルホン酸系鞣し剤の速やかな分散と
浸透を改善することができる。なお、亜硫酸化油として
は、ターコンFA−200(泰光油脂化学工業社製)、
コリレンF−255(ゼネカ社製)、ペルグラソールS
F(Zschimmer & Schwarzchemische Fabriken 社製)等
が挙げられる。
【0018】上記再鞣処理(A)後、蟻酸、蓚酸等の有
機酸で処理すれば、鞣し剤を革に定着させることができ
るので好ましい。ここで、図1に示すように、上記鞣し
処理後の中和処理前に、公知の鞣し剤を使用して再鞣処
理(B)を行ってもよい。再鞣処理(B)に使用できる
鞣し剤としては、例えば、クロム,アルミニウム,ジル
コニム鞣し剤、ミョウバン鞣し剤(カリウムミョウバ
ン、クロムミョウバン等)等の無機鞣し剤とアルデヒド
系鞣し剤(ホルマリン、グルタルアルデヒド、ポリアル
デヒド等)をそれぞれ単独又は2種類以上の混合で使用
するのが好ましい。更に、これら鞣し剤の補助として、
タンニン鞣し剤、芳香族系鞣し剤、樹脂鞣し剤等を加え
てもよい。再鞣処理(B)に使用できる鞣し剤の具体例
としては、クロム塩混合型鞣し剤のパーボールPCNR
(ヨークシャケミカル社製)、バスタモールCN(BA
SF社製)等が挙げられる。
機酸で処理すれば、鞣し剤を革に定着させることができ
るので好ましい。ここで、図1に示すように、上記鞣し
処理後の中和処理前に、公知の鞣し剤を使用して再鞣処
理(B)を行ってもよい。再鞣処理(B)に使用できる
鞣し剤としては、例えば、クロム,アルミニウム,ジル
コニム鞣し剤、ミョウバン鞣し剤(カリウムミョウバ
ン、クロムミョウバン等)等の無機鞣し剤とアルデヒド
系鞣し剤(ホルマリン、グルタルアルデヒド、ポリアル
デヒド等)をそれぞれ単独又は2種類以上の混合で使用
するのが好ましい。更に、これら鞣し剤の補助として、
タンニン鞣し剤、芳香族系鞣し剤、樹脂鞣し剤等を加え
てもよい。再鞣処理(B)に使用できる鞣し剤の具体例
としては、クロム塩混合型鞣し剤のパーボールPCNR
(ヨークシャケミカル社製)、バスタモールCN(BA
SF社製)等が挙げられる。
【0019】再鞣処理(B)は、上記鞣し剤を、水性媒
体に溶解した後、処理を所望する革を浸漬、攪拌するこ
とにより行われる。再鞣処理(B)は、使用する鞣し剤
の種類、革の種類等により相違するが、20〜40℃
で、30〜60分間、攪拌下で行うことが好ましい。再
鞣処理(B)後には、例えば酢酸ナトリウムを用いて中
和処理を行うことが好ましい。
体に溶解した後、処理を所望する革を浸漬、攪拌するこ
とにより行われる。再鞣処理(B)は、使用する鞣し剤
の種類、革の種類等により相違するが、20〜40℃
で、30〜60分間、攪拌下で行うことが好ましい。再
鞣処理(B)後には、例えば酢酸ナトリウムを用いて中
和処理を行うことが好ましい。
【0020】なお、手袋用の革を製造する場合、再鞣処
理(B)及び芳香族スルホン酸系合成鞣し剤を含む再鞣
処理(A)をこの順で両方行うことが好ましい。また、
再鞣処理(B)後、中和処理前に、アミノシリコン系樹
脂等の柔軟剤による処理を行ってもよい。このような柔
軟剤は、酸性溶液に溶解し、pH5より中性側では樹脂
化する性質を有している。従って、中和処理を施すこと
により、柔軟剤が革の表面層で樹脂化する。この樹脂化
した柔軟剤は、革に良好な柔軟性と耐クリーニング性を
付与することとなる。柔軟剤としては、ニッカシリコン
AM202(日華化学工業社製)等が挙げられる。な
お、ニッカシリコンAM202は、下記式で表されるア
ミノシリコン系樹脂及び非イオン界面活性剤を含む水溶
液である。
理(B)及び芳香族スルホン酸系合成鞣し剤を含む再鞣
処理(A)をこの順で両方行うことが好ましい。また、
再鞣処理(B)後、中和処理前に、アミノシリコン系樹
脂等の柔軟剤による処理を行ってもよい。このような柔
軟剤は、酸性溶液に溶解し、pH5より中性側では樹脂
化する性質を有している。従って、中和処理を施すこと
により、柔軟剤が革の表面層で樹脂化する。この樹脂化
した柔軟剤は、革に良好な柔軟性と耐クリーニング性を
付与することとなる。柔軟剤としては、ニッカシリコン
AM202(日華化学工業社製)等が挙げられる。な
お、ニッカシリコンAM202は、下記式で表されるア
ミノシリコン系樹脂及び非イオン界面活性剤を含む水溶
液である。
【0021】
【化1】
【0022】(式中、R1 はメチル基又は水酸基であ
り、Aは−RNHRNH2 (R=アルキル基)であり、
x及びyは任意数)。再鞣処理(A)後、革は通常中和
及び加脂処理に付される。まず、中和処理は、例えば酢
酸ナトリウムを用いことにより行うことができる。
り、Aは−RNHRNH2 (R=アルキル基)であり、
x及びyは任意数)。再鞣処理(A)後、革は通常中和
及び加脂処理に付される。まず、中和処理は、例えば酢
酸ナトリウムを用いことにより行うことができる。
【0023】次に、従来では、再鞣処理(A)後、必要
に応じて行われる中和処理後に加色が行われていたが、
本発明のインクジェットプリンタによる加色では、以下
で説明するように、通常仕上げ工程後に加色を行うのが
好ましい。また、本発明の方法では、加脂処理に使用さ
れる加脂剤が、硫酸化油、スルホン化油及び亜硫酸化油
を少なくとも含むことを特徴の1つとしている。
に応じて行われる中和処理後に加色が行われていたが、
本発明のインクジェットプリンタによる加色では、以下
で説明するように、通常仕上げ工程後に加色を行うのが
好ましい。また、本発明の方法では、加脂処理に使用さ
れる加脂剤が、硫酸化油、スルホン化油及び亜硫酸化油
を少なくとも含むことを特徴の1つとしている。
【0024】本発明に使用できる硫酸化油としては、例
えば、コリレンF326(ゼネカ社製)、トラポンNF
Y(トランプラー社製)等が挙げられる。なお、コリレ
ンF326は、不飽和の合成油に硫酸や発煙硫酸を加
え、二重結合を開環し、硫酸エステルを付加することに
より得られる。また、スルホン化油としては、例えば、
SKオイルHF(サンプラス社製)、ペラストールES
(Zschimmer & Schwarzchemische Fabriken 社製)等が
挙げられる。なお、SKオイルHFは、耐黄変性のある
合成スルホン化油であり、未反応の生油50重量%、そ
の硫酸エステル25重量%と加水分解生成物25重量%
の混合物である。
えば、コリレンF326(ゼネカ社製)、トラポンNF
Y(トランプラー社製)等が挙げられる。なお、コリレ
ンF326は、不飽和の合成油に硫酸や発煙硫酸を加
え、二重結合を開環し、硫酸エステルを付加することに
より得られる。また、スルホン化油としては、例えば、
SKオイルHF(サンプラス社製)、ペラストールES
(Zschimmer & Schwarzchemische Fabriken 社製)等が
挙げられる。なお、SKオイルHFは、耐黄変性のある
合成スルホン化油であり、未反応の生油50重量%、そ
の硫酸エステル25重量%と加水分解生成物25重量%
の混合物である。
【0025】更に、亜硫酸化油としては、例えば、ター
コンFA−200(泰光油脂化学工業社製)、ペルグラ
ソールSF(Zschimmer & Schwarzchemische Fabriken
社製)等が挙げられる。なお、ターコンFA200は、
脂肪酸モノグリセライド、天然油のスルホン化油、これ
らの酸化生成物等の混合物である。上記硫酸化油、スル
ホン化油及び亜硫酸化油の使用量は、再鞣処理(A)後
の革の重量を基準として、硫酸化油が5〜20重量%、
スルホン化油が3〜10重量%、亜硫酸化油が2〜5重
量%であることが好ましい。
コンFA−200(泰光油脂化学工業社製)、ペルグラ
ソールSF(Zschimmer & Schwarzchemische Fabriken
社製)等が挙げられる。なお、ターコンFA200は、
脂肪酸モノグリセライド、天然油のスルホン化油、これ
らの酸化生成物等の混合物である。上記硫酸化油、スル
ホン化油及び亜硫酸化油の使用量は、再鞣処理(A)後
の革の重量を基準として、硫酸化油が5〜20重量%、
スルホン化油が3〜10重量%、亜硫酸化油が2〜5重
量%であることが好ましい。
【0026】硫酸化油の使用量が5重量%より少ない場
合は、革の表面の感触が低下するので好ましくない。2
0重量%より多い場合は、染料による加色能力が著しく
低下するので好ましくない。スルホン化油の使用量が3
重量%より少ない場合は、革の表面の感触が低下するの
で好ましくない。10重量%より多い場合は、革のふく
らみが減少し、きしむような感触になるので好ましくな
い。亜硫酸化油の使用量が2重量%より少ない場合は、
革の柔軟性が低下するので好ましくない。5重量%より
多い場合は、染料による加色能力が著しく低下するので
好ましくない。
合は、革の表面の感触が低下するので好ましくない。2
0重量%より多い場合は、染料による加色能力が著しく
低下するので好ましくない。スルホン化油の使用量が3
重量%より少ない場合は、革の表面の感触が低下するの
で好ましくない。10重量%より多い場合は、革のふく
らみが減少し、きしむような感触になるので好ましくな
い。亜硫酸化油の使用量が2重量%より少ない場合は、
革の柔軟性が低下するので好ましくない。5重量%より
多い場合は、染料による加色能力が著しく低下するので
好ましくない。
【0027】上記加脂剤に、中性油(例えば、動物油、
植物油、鉱物油、合成油等)を添加することがより好ま
しい。中性油としては、例えば、RNオイル(泰光油脂
化学工業社製)、牛脚脂等が挙げられる。中性油の使用
量は、上記加脂剤の合計量に対して、10〜20重量%
であることが特に好ましい。これら加脂剤には、他の添
加物を少量加えてもよい。他の添加剤としては、通常加
脂処理に使用されるものをいずれも使用することができ
る。例えば、脂肪酸石鹸、リン酸化油、両性加脂剤(例
えば、レシチン等)、ノニオン性加脂剤等が挙げられ
る。なお、白革を所望する場合、加脂剤に螢光染料を
0.1〜0.02重量%程度加えれば、白さを際立たせ
ることができる。更に、加脂剤と同時に又は加脂処理の
途中で、二酸化チタンを主成分としたペースト又はパウ
ダーを1〜4重量%加えれば、一層白い白革を得ること
ができる。
植物油、鉱物油、合成油等)を添加することがより好ま
しい。中性油としては、例えば、RNオイル(泰光油脂
化学工業社製)、牛脚脂等が挙げられる。中性油の使用
量は、上記加脂剤の合計量に対して、10〜20重量%
であることが特に好ましい。これら加脂剤には、他の添
加物を少量加えてもよい。他の添加剤としては、通常加
脂処理に使用されるものをいずれも使用することができ
る。例えば、脂肪酸石鹸、リン酸化油、両性加脂剤(例
えば、レシチン等)、ノニオン性加脂剤等が挙げられ
る。なお、白革を所望する場合、加脂剤に螢光染料を
0.1〜0.02重量%程度加えれば、白さを際立たせ
ることができる。更に、加脂剤と同時に又は加脂処理の
途中で、二酸化チタンを主成分としたペースト又はパウ
ダーを1〜4重量%加えれば、一層白い白革を得ること
ができる。
【0028】加脂処理は、公知の方法で行うことができ
る。例えば、ドラム温融加脂、溶剤加脂、乳化加脂等の
加脂方法が挙げられる。これら加脂方法の内、加脂剤を
水性媒体中で乳化分散させて加脂する乳化加脂法が好ま
しい。乳化加脂法による加脂処理は、使用する加脂剤の
種類、革の種類等により相違するが、40〜60℃で、
30〜60分間、攪拌下で行うことが好ましい。
る。例えば、ドラム温融加脂、溶剤加脂、乳化加脂等の
加脂方法が挙げられる。これら加脂方法の内、加脂剤を
水性媒体中で乳化分散させて加脂する乳化加脂法が好ま
しい。乳化加脂法による加脂処理は、使用する加脂剤の
種類、革の種類等により相違するが、40〜60℃で、
30〜60分間、攪拌下で行うことが好ましい。
【0029】上記加脂処理は、革に加脂剤を浸透させる
ことにより、乾燥時に革を構成する繊維同士が膠着して
硬化することを防ぎ、かつ乾燥後の繊維間の滑りを向上
させ、革に柔軟性を付与する効果がある。更に、上記加
脂処理により、革の銀面の平滑性を向上させることがで
きるため、後の加色の際に、アニオン系水性染料の沈着
力を高めることができる効果もある。
ことにより、乾燥時に革を構成する繊維同士が膠着して
硬化することを防ぎ、かつ乾燥後の繊維間の滑りを向上
させ、革に柔軟性を付与する効果がある。更に、上記加
脂処理により、革の銀面の平滑性を向上させることがで
きるため、後の加色の際に、アニオン系水性染料の沈着
力を高めることができる効果もある。
【0030】加脂処理は、複数回繰り返してもよい。加
脂処理を繰り返す場合、最後にカチオン性加脂剤(例え
ば、カタリックスPNS:クラリアント社製)を使用し
た加脂を行うことが好ましい。この加脂により、更に、
革の銀面の平滑性とアニオン系水性染料の沈着力を向上
させることができる。上記加脂処理後、蟻酸、蓚酸等の
有機酸で処理すれば、加脂剤を革に定着させることがで
きるので好ましい。 (仕上げ工程)鞣し工程を経た革は、仕上げ工程に付さ
れる。仕上げ工程は、通常水絞り・セッティング、乾
燥、味入れ、ステーキング、張り革・乾燥等の処理から
なる。これら処理は、常に全て必要とするものではな
く、目的に応じて任意に組み合わせて行うことができ
る。
脂処理を繰り返す場合、最後にカチオン性加脂剤(例え
ば、カタリックスPNS:クラリアント社製)を使用し
た加脂を行うことが好ましい。この加脂により、更に、
革の銀面の平滑性とアニオン系水性染料の沈着力を向上
させることができる。上記加脂処理後、蟻酸、蓚酸等の
有機酸で処理すれば、加脂剤を革に定着させることがで
きるので好ましい。 (仕上げ工程)鞣し工程を経た革は、仕上げ工程に付さ
れる。仕上げ工程は、通常水絞り・セッティング、乾
燥、味入れ、ステーキング、張り革・乾燥等の処理から
なる。これら処理は、常に全て必要とするものではな
く、目的に応じて任意に組み合わせて行うことができ
る。
【0031】本発明では革の加色方法も提供される。上
記処理方法により得られた革は、アニオン系水性染料を
用いて加色される。ここで、アニオン系水性染料は、水
性媒体、染料等の成分により構成される。水性媒体と
は、水及び水とアルコール等の水溶性溶媒との混合物を
意味する。また、染料としては、革の加色に使用するこ
とができるものをいずれも使用することができるが、例
えば、酸性染料、反応染料等が挙げられる。
記処理方法により得られた革は、アニオン系水性染料を
用いて加色される。ここで、アニオン系水性染料は、水
性媒体、染料等の成分により構成される。水性媒体と
は、水及び水とアルコール等の水溶性溶媒との混合物を
意味する。また、染料としては、革の加色に使用するこ
とができるものをいずれも使用することができるが、例
えば、酸性染料、反応染料等が挙げられる。
【0032】酸性染料としては、C.I.Acid Black 1,C.
I.Acid Black 26,C.I.Acid Black 52,C.I.Acid Green
9,C.I.Acid Green 25,C.I.Acid Brown 2,C.I.Acid Brow
n 13,C.I.Acid Violet 43,C.I.Acid Violet 49,C.I.Aci
d Orange 7,C.I.Acid Orange 56,C.I.Acid Orange 67,
C.I.Acid Blue 40,C.I.Acid Blue 45,C.I.Acid Blue 7
4,C.I.Acid Blue 92,C.I.Acid Blue 113,C.I.Acid Blue
127,C.I.Acid Blue 185,C.I.Acid Red 18,C.I.Acid Re
d 27,C.I.Acid Red 52,C.I.Acid Red 82,C.I.AcidRed 8
7,C.I.Acid Red 114,C.I.Acid Red 186,C.I.Acid Red 2
66,C.I.Acid Yellow 1,C.I.Acid Yellow 7,C.I.Acid Ye
llow 23,C.I.Acid Yellow 110等が挙げられる。
I.Acid Black 26,C.I.Acid Black 52,C.I.Acid Green
9,C.I.Acid Green 25,C.I.Acid Brown 2,C.I.Acid Brow
n 13,C.I.Acid Violet 43,C.I.Acid Violet 49,C.I.Aci
d Orange 7,C.I.Acid Orange 56,C.I.Acid Orange 67,
C.I.Acid Blue 40,C.I.Acid Blue 45,C.I.Acid Blue 7
4,C.I.Acid Blue 92,C.I.Acid Blue 113,C.I.Acid Blue
127,C.I.Acid Blue 185,C.I.Acid Red 18,C.I.Acid Re
d 27,C.I.Acid Red 52,C.I.Acid Red 82,C.I.AcidRed 8
7,C.I.Acid Red 114,C.I.Acid Red 186,C.I.Acid Red 2
66,C.I.Acid Yellow 1,C.I.Acid Yellow 7,C.I.Acid Ye
llow 23,C.I.Acid Yellow 110等が挙げられる。
【0033】反応染料としては、C.I.Acid Black 5,C.
I.Acid Brown 1,C.I.Acid Violet 2,C.I.Acid Orange
1,C.I.Acid Orange 2,C.I.Acid Blue 4,C.I.Acid Blue
19,C.I.Acid Red 6,C.I.Acid Red 17,C.I.Acid Yellow
3,C.I.Acid Yellow 17等が挙げられる。上記染料は組み
合わせて使用してもよい。また、加色前に、水性媒体中
に染料を溶解及び/又は分散させて所望の色を呈するよ
うに調整される。なお、加色の効果を阻害しない範囲内
で、顔料等の着色料を添加してもよい。
I.Acid Brown 1,C.I.Acid Violet 2,C.I.Acid Orange
1,C.I.Acid Orange 2,C.I.Acid Blue 4,C.I.Acid Blue
19,C.I.Acid Red 6,C.I.Acid Red 17,C.I.Acid Yellow
3,C.I.Acid Yellow 17等が挙げられる。上記染料は組み
合わせて使用してもよい。また、加色前に、水性媒体中
に染料を溶解及び/又は分散させて所望の色を呈するよ
うに調整される。なお、加色の効果を阻害しない範囲内
で、顔料等の着色料を添加してもよい。
【0034】加色方法は特に限定されず、公知の方法を
いずれも使用することができるが、特にインクジェット
プリンタを使用した加色方法が好ましい。インクジェッ
トプリンタを使用した加色方法は、小ロット多品種生産
に適しているからである。また、インクジェット塗装で
加色することにより、従来の加色方法では困難であった
微細かつ多色の模様を再現性よく形成することができ
る。インクジェットプリンタに使用されるインクジェッ
ト方式としては、例えば、電荷制御型、ピエゾ素子によ
る噴射方式、発熱素子による噴射方式等をいずれも使用
することができる。この内、記録ヘッドの高密度化を行
いやすいという観点から、発熱素子による噴射方式が好
ましい。
いずれも使用することができるが、特にインクジェット
プリンタを使用した加色方法が好ましい。インクジェッ
トプリンタを使用した加色方法は、小ロット多品種生産
に適しているからである。また、インクジェット塗装で
加色することにより、従来の加色方法では困難であった
微細かつ多色の模様を再現性よく形成することができ
る。インクジェットプリンタに使用されるインクジェッ
ト方式としては、例えば、電荷制御型、ピエゾ素子によ
る噴射方式、発熱素子による噴射方式等をいずれも使用
することができる。この内、記録ヘッドの高密度化を行
いやすいという観点から、発熱素子による噴射方式が好
ましい。
【0035】加色処理において、加色と同時に又は加色
後に、水性媒体を蒸発させると共にアニオン系水性染料
を定着させるために、革を加熱することが好ましい。加
熱温度は、60℃以下が好ましく、特に50℃以下が好
ましい。60℃より高い温度で加熱すると、革の収縮、
変質、質感等が低下する恐れがあるため好ましくない。
後に、水性媒体を蒸発させると共にアニオン系水性染料
を定着させるために、革を加熱することが好ましい。加
熱温度は、60℃以下が好ましく、特に50℃以下が好
ましい。60℃より高い温度で加熱すると、革の収縮、
変質、質感等が低下する恐れがあるため好ましくない。
【0036】なお、加色処理に先立って、染料の定着率
を向上させるために、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドン、セルロース等の水溶性樹脂からなる染料
受容層を革上に形成しておいてもよい。更に、加色処理
後に、染料の移動、耐光性や耐腐食性の向上等のため
に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、カゼイン樹脂、アミ
ド樹脂、セルロース系樹脂(ニトロセルロース(N
C)、酢酸酪酸セルロース(CAB)等)等からなる保
護層を形成してもよい。
を向上させるために、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドン、セルロース等の水溶性樹脂からなる染料
受容層を革上に形成しておいてもよい。更に、加色処理
後に、染料の移動、耐光性や耐腐食性の向上等のため
に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、カゼイン樹脂、アミ
ド樹脂、セルロース系樹脂(ニトロセルロース(N
C)、酢酸酪酸セルロース(CAB)等)等からなる保
護層を形成してもよい。
【0037】上記加色処理後、公知のつや出し、坪入
れ、保護膜層形成、装飾層形成等の工程を経ることによ
り革製品を得ることができる。本発明において、革製品
とは、甲革、底革、袋物用革(例えば、カバン用)、衣
料用、手袋用革、小物用革、工業用革等の各種一次製品
革、更に、これら一次製品革を成形、装飾等した最終製
品等が含まれる。
れ、保護膜層形成、装飾層形成等の工程を経ることによ
り革製品を得ることができる。本発明において、革製品
とは、甲革、底革、袋物用革(例えば、カバン用)、衣
料用、手袋用革、小物用革、工業用革等の各種一次製品
革、更に、これら一次製品革を成形、装飾等した最終製
品等が含まれる。
【0038】
【実施例】本発明を下記実施例で更に詳細に説明する。
但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 手袋用の原料革として、厚さ0.5mmのグルタルアル
デヒド・アルミ鞣し剤で白鞣ししたジャージー革(半裁
1枚=1.0kg)を使用した。この原料革に、下記の
如く、再鞣処理と加脂処理をそれぞれ2回施した。な
お、以下に記載する重量%は、革の重量を基準とした重
量%である。 (第1の再鞣処理(B))まず、試験用鞣しドラム中
に、100重量%の水を入れ、この水を35℃に保ちつ
つ、クロム塩混合型鞣し剤(ヨークシャケミカル社製パ
ーポールPCNR)1重量%を溶解した。得られた溶液
に上記原料革を20分間攪拌下で浸漬した。次に、アミ
ノシリコン樹脂(日華化学工業社製ニッカシリコンAM
202)2重量%を溶液に添加して、更に40分間攪拌
下で浸漬した。この後、溶液に酢酸ナトリウム1.5重
量%と炭酸水素ナトリウム0.7重量%を添加して、溶
液を中和した。更に、溶液のPHが5.3となるよう
に、炭酸水素ナトリウムを0.7重量%添加して、40
分間攪拌下で浸漬した。
但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 手袋用の原料革として、厚さ0.5mmのグルタルアル
デヒド・アルミ鞣し剤で白鞣ししたジャージー革(半裁
1枚=1.0kg)を使用した。この原料革に、下記の
如く、再鞣処理と加脂処理をそれぞれ2回施した。な
お、以下に記載する重量%は、革の重量を基準とした重
量%である。 (第1の再鞣処理(B))まず、試験用鞣しドラム中
に、100重量%の水を入れ、この水を35℃に保ちつ
つ、クロム塩混合型鞣し剤(ヨークシャケミカル社製パ
ーポールPCNR)1重量%を溶解した。得られた溶液
に上記原料革を20分間攪拌下で浸漬した。次に、アミ
ノシリコン樹脂(日華化学工業社製ニッカシリコンAM
202)2重量%を溶液に添加して、更に40分間攪拌
下で浸漬した。この後、溶液に酢酸ナトリウム1.5重
量%と炭酸水素ナトリウム0.7重量%を添加して、溶
液を中和した。更に、溶液のPHが5.3となるよう
に、炭酸水素ナトリウムを0.7重量%添加して、40
分間攪拌下で浸漬した。
【0039】得られた革を流水によりドラム中で水洗し
た。 (第2の再鞣処理(A))まず、40℃に保たれた10
0重量%の水に、芳香族スルホン酸系合成鞣し剤である
ゼネカ社製シクネタンWFを3重量%、ゼネカ社製シク
ネタンPNを3重量%、亜硫酸化油(泰光油脂化学工業
社製ターコンFA−200)を5重量%溶解した。得ら
れた溶液に、革を60分間攪拌下で浸漬した。次に、溶
液に蟻酸を0.5重量%添加して、革を15分間攪拌下
で浸漬した。
た。 (第2の再鞣処理(A))まず、40℃に保たれた10
0重量%の水に、芳香族スルホン酸系合成鞣し剤である
ゼネカ社製シクネタンWFを3重量%、ゼネカ社製シク
ネタンPNを3重量%、亜硫酸化油(泰光油脂化学工業
社製ターコンFA−200)を5重量%溶解した。得ら
れた溶液に、革を60分間攪拌下で浸漬した。次に、溶
液に蟻酸を0.5重量%添加して、革を15分間攪拌下
で浸漬した。
【0040】得られた革を流水によりドラム中で水洗し
た。 (第1の加脂処理)まず、50℃に保たれた150重量
%の水に、白革用硫酸化油(ゼネカ社製コリレンF32
6)10重量%、白革用スルホン化油(サンプラス社製
SKオイルHF)5重量%、亜硫酸化油(泰光油脂化学
工業社製ターコンFA−200)3重量%、中性油(泰
光油脂化学工業社製RNオイル)1重量%溶解した。得
られた溶液に、革を90分間攪拌下で浸漬した。次に、
溶液に蟻酸を1重量%添加して、革を15分間攪拌下で
浸漬した。更に、溶液に蓚酸を0.5重量%添加して、
革を15分間攪拌下で浸漬した。
た。 (第1の加脂処理)まず、50℃に保たれた150重量
%の水に、白革用硫酸化油(ゼネカ社製コリレンF32
6)10重量%、白革用スルホン化油(サンプラス社製
SKオイルHF)5重量%、亜硫酸化油(泰光油脂化学
工業社製ターコンFA−200)3重量%、中性油(泰
光油脂化学工業社製RNオイル)1重量%溶解した。得
られた溶液に、革を90分間攪拌下で浸漬した。次に、
溶液に蟻酸を1重量%添加して、革を15分間攪拌下で
浸漬した。更に、溶液に蓚酸を0.5重量%添加して、
革を15分間攪拌下で浸漬した。
【0041】得られた革を取り出し、水洗、馬かけ、ガ
ラ干し、ミーリングを施した。 (第2の加脂処理)まず、50℃に保たれた200重量
%の水に、アンモニア水を1重量%添加した溶液に革を
40分間攪拌下で浸漬した(水戻し)。次に、蟻酸0.
5重量%を含む50℃の水100重量%を前記溶液に添
加し、革を20分間攪拌下で浸漬した。
ラ干し、ミーリングを施した。 (第2の加脂処理)まず、50℃に保たれた200重量
%の水に、アンモニア水を1重量%添加した溶液に革を
40分間攪拌下で浸漬した(水戻し)。次に、蟻酸0.
5重量%を含む50℃の水100重量%を前記溶液に添
加し、革を20分間攪拌下で浸漬した。
【0042】更に、溶液に白革用硫酸化油(ゼネカ社製
コリレンF326)7重量%、白革用スルホン化油(サ
ンプラス社製SKオイルHF)5重量%、中性油(泰光
油脂化学工業社製RNオイル)1重量%溶解し、革を6
0分間攪拌下で浸漬した。次に、溶液に蟻酸を1重量%
添加して、革を15分間攪拌下で浸漬した。更に、溶液
に蓚酸を0.5重量%添加して、革を15分間攪拌下で
浸漬した。
コリレンF326)7重量%、白革用スルホン化油(サ
ンプラス社製SKオイルHF)5重量%、中性油(泰光
油脂化学工業社製RNオイル)1重量%溶解し、革を6
0分間攪拌下で浸漬した。次に、溶液に蟻酸を1重量%
添加して、革を15分間攪拌下で浸漬した。更に、溶液
に蓚酸を0.5重量%添加して、革を15分間攪拌下で
浸漬した。
【0043】この後、溶液にカチオン加脂剤(クラリア
ント社製カタリックスPNS)を2重量%加え、革を1
0分間攪拌下で浸漬した。得られた革を取り出し、充分
水洗し、馬かけ、セッター、バキューム(低温)、ミー
リング、ネット張り、ステーキングを施した。得られた
革に、赤色のアニオン系水性染料を用いて、インクジェ
ットプリンタ(キャノン社製BJC−820J)の改造
機により加色した。加色後、加色摩擦堅牢度を測定し、
その結果を表1に示した。。なお、加色摩擦堅牢度は、
以下の条件で測定した。 (加色摩擦堅牢度)加色摩擦堅牢度は、JIS K 6
547-1976 に記載された方法に準拠して、乾燥試験、
湿潤試験、人工汗酸性液試験及び人工汗アルカリ性液試
験の4種を行うことにより評価した。
ント社製カタリックスPNS)を2重量%加え、革を1
0分間攪拌下で浸漬した。得られた革を取り出し、充分
水洗し、馬かけ、セッター、バキューム(低温)、ミー
リング、ネット張り、ステーキングを施した。得られた
革に、赤色のアニオン系水性染料を用いて、インクジェ
ットプリンタ(キャノン社製BJC−820J)の改造
機により加色した。加色後、加色摩擦堅牢度を測定し、
その結果を表1に示した。。なお、加色摩擦堅牢度は、
以下の条件で測定した。 (加色摩擦堅牢度)加色摩擦堅牢度は、JIS K 6
547-1976 に記載された方法に準拠して、乾燥試験、
湿潤試験、人工汗酸性液試験及び人工汗アルカリ性液試
験の4種を行うことにより評価した。
【0044】基本的な試験方法は、次のようである。ま
ず、JIS K 6547-1976 に記載された摩擦試験
機に綿布を載せ、その上に上記革を固定する。この革上
に、綿布で包まれた摩擦子を置き、1分間あたり約60
回の速度で10cm間隔を10往復させた後、革及び綿
布をはずし、大気中で乾燥させる。次に、同じ革の未摩
擦部分を用いて上記試験を繰り返す。
ず、JIS K 6547-1976 に記載された摩擦試験
機に綿布を載せ、その上に上記革を固定する。この革上
に、綿布で包まれた摩擦子を置き、1分間あたり約60
回の速度で10cm間隔を10往復させた後、革及び綿
布をはずし、大気中で乾燥させる。次に、同じ革の未摩
擦部分を用いて上記試験を繰り返す。
【0045】乾燥試験では、約20℃の温度、約65%
の湿度に24時間以上放置した綿布を使用する。湿潤試
験、人工汗酸性液試験及び人工汗アルカリ性液試験で
は、蒸留水、人工汗酸性液及び人工汗アルカリ性液に1
0分間以上浸し、水が滴らなくなった程度の綿布を使用
する。ここで、人工汗酸性液とは、L−ヒスチジン一塩
酸塩(1水塩)0.5g、塩化ナトリウム5g及びリン
酸一ナトリウム2.2gを蒸留水に溶解し、これにN/
10水酸化ナトリウム溶液約15mlと蒸留水によりp
H5.5に調整した溶液をいう。一方、人工汗アルカリ
性液とは、L−ヒスチジン一塩酸塩(1水塩)0.5
g、塩化ナトリウム5g及びリン酸二ナトリウム(12
水塩)5gを蒸留水に溶解し、これにN/10水酸化ナ
トリウム溶液約25mlと蒸留水によりpH8.0に調
整した溶液をいう。
の湿度に24時間以上放置した綿布を使用する。湿潤試
験、人工汗酸性液試験及び人工汗アルカリ性液試験で
は、蒸留水、人工汗酸性液及び人工汗アルカリ性液に1
0分間以上浸し、水が滴らなくなった程度の綿布を使用
する。ここで、人工汗酸性液とは、L−ヒスチジン一塩
酸塩(1水塩)0.5g、塩化ナトリウム5g及びリン
酸一ナトリウム2.2gを蒸留水に溶解し、これにN/
10水酸化ナトリウム溶液約15mlと蒸留水によりp
H5.5に調整した溶液をいう。一方、人工汗アルカリ
性液とは、L−ヒスチジン一塩酸塩(1水塩)0.5
g、塩化ナトリウム5g及びリン酸二ナトリウム(12
水塩)5gを蒸留水に溶解し、これにN/10水酸化ナ
トリウム溶液約25mlと蒸留水によりpH8.0に調
整した溶液をいう。
【0046】
【表1】
【0047】上記表1から明らかなように、本実施例で
得られた革は、アニオン系水性染料を使用して加色して
も、色落ちがなく、実際の使用に充分適合するものであ
った。なお、表1において、5級が最も良好な結果を示
し、数字が小さくなるほど悪い結果を示している。 実施例2 実施例1で加色摩擦堅牢度の測定のために使用したもの
と同じ革を使用して、JIS L 0860に準拠し
て、加色堅牢度(ドライクリーニング試験及びウェット
クリーニング試験)を測定した。この結果、本実施例で
得られた革は、優れた加色堅牢度を示した。
得られた革は、アニオン系水性染料を使用して加色して
も、色落ちがなく、実際の使用に充分適合するものであ
った。なお、表1において、5級が最も良好な結果を示
し、数字が小さくなるほど悪い結果を示している。 実施例2 実施例1で加色摩擦堅牢度の測定のために使用したもの
と同じ革を使用して、JIS L 0860に準拠し
て、加色堅牢度(ドライクリーニング試験及びウェット
クリーニング試験)を測定した。この結果、本実施例で
得られた革は、優れた加色堅牢度を示した。
【0048】実施例3 実施例1で処理して得られた革を、黒色、青色、赤色、
黄色の4色のアニオン性水性染料を実施例1と同じイン
クジェットプリンタを用いて、各色を適宜混合噴射する
ことにより花柄に加色した。得られた革は、黄色、黄緑
色、オレンジ色、赤色、青色、紫色、水色、ピンク色、
こげ茶色、黒色等の様々な色で加色されていた。この
後、公知の方法により、ゴルフ用手袋を製造した。得ら
れたゴルフ用手袋は、従来製造することが困難であった
複数色の柄が、鮮やかに加色されていた。更に、実際に
使用しても、色落ちはほとんどなかった。
黄色の4色のアニオン性水性染料を実施例1と同じイン
クジェットプリンタを用いて、各色を適宜混合噴射する
ことにより花柄に加色した。得られた革は、黄色、黄緑
色、オレンジ色、赤色、青色、紫色、水色、ピンク色、
こげ茶色、黒色等の様々な色で加色されていた。この
後、公知の方法により、ゴルフ用手袋を製造した。得ら
れたゴルフ用手袋は、従来製造することが困難であった
複数色の柄が、鮮やかに加色されていた。更に、実際に
使用しても、色落ちはほとんどなかった。
【0049】
【発明の効果】本発明の革の処理方法によれば、従来加
色摩擦堅牢度が劣るため使用されていなかったアニオン
系水性染料を使用して加色しても、色落ちがなく、実際
の使用に充分適合する革を得ることができる。また、ア
ニオン系水性染料は、インクジェットプリンタのインク
として使用することができるので、従来困難であった、
多色の加色を簡便かつ再現性よく行うことができる。
色摩擦堅牢度が劣るため使用されていなかったアニオン
系水性染料を使用して加色しても、色落ちがなく、実際
の使用に充分適合する革を得ることができる。また、ア
ニオン系水性染料は、インクジェットプリンタのインク
として使用することができるので、従来困難であった、
多色の加色を簡便かつ再現性よく行うことができる。
【図1】本発明の革の処理方法の概略工程図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 インクジェットプリンタにより加色しう
る革の処理方法において、加色前の革に芳香族スルホン
酸系合成鞣し剤を含有する鞣し剤による再鞣処理と、硫
酸化油、スルホン化油及び亜硫酸化油を含有する加脂剤
による加脂処理に付すことを特徴とする革の処理方法。 - 【請求項2】 芳香族スルホン酸系合成鞣し剤が、ナフ
タレン系スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、フェノ
ール系スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物又はそれら
の混合物を含む請求項1の処理方法。 - 【請求項3】 芳香族スルホン酸系合成鞣し剤が、革に
対して、2〜20重量%の割合で含まれている請求項1
又は2の処理方法。 - 【請求項4】 革に対して、硫酸化油が5〜20重量
%、スルホン化油が3〜10重量%、亜硫酸化油が2〜
5重量%の割合で用いられている請求項1〜3いずれか
1つの処理方法。 - 【請求項5】 革が、手袋用、衣料用又は小物用である
請求項1〜4いずれか1つの処理方法。 - 【請求項6】 請求項1〜5いずれか1つの処理方法に
より得られた革をインクジェットプリンタを用いて加色
することを特徴とする革の加色方法。 - 【請求項7】 請求項6の加色方法を経ることにより得
られ、任意に保護層又は装飾層が設けられてなる革製
品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32502597A JPH11158500A (ja) | 1997-11-26 | 1997-11-26 | 革の処理方法、加色方法及び得られた革製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32502597A JPH11158500A (ja) | 1997-11-26 | 1997-11-26 | 革の処理方法、加色方法及び得られた革製品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11158500A true JPH11158500A (ja) | 1999-06-15 |
Family
ID=18172312
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32502597A Pending JPH11158500A (ja) | 1997-11-26 | 1997-11-26 | 革の処理方法、加色方法及び得られた革製品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11158500A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005248388A (ja) * | 2004-03-05 | 2005-09-15 | Kyoshin Kk | インクジェットにより染色した皮革の製造方法および該方法により染色した皮革 |
WO2009001943A1 (ja) | 2007-06-28 | 2008-12-31 | Midori Hokuyo Co., Ltd. | 革 |
JP2009114244A (ja) * | 2007-11-02 | 2009-05-28 | Yoshihiro Tokunaga | エンボス加工用革素材の製造方法 |
JP2010144061A (ja) * | 2008-12-19 | 2010-07-01 | Midori Hokuyo Kk | 革 |
JP5421907B2 (ja) * | 2008-05-16 | 2014-02-19 | ミドリホクヨー株式会社 | トップコート |
CN112626284A (zh) * | 2020-12-15 | 2021-04-09 | 阳信亘嘉皮革制品有限公司 | 一种皮革软化加工设备 |
WO2021145188A1 (ja) * | 2020-01-14 | 2021-07-22 | ミドリオートレザー株式会社 | 革の製造方法 |
-
1997
- 1997-11-26 JP JP32502597A patent/JPH11158500A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005248388A (ja) * | 2004-03-05 | 2005-09-15 | Kyoshin Kk | インクジェットにより染色した皮革の製造方法および該方法により染色した皮革 |
JP4689178B2 (ja) * | 2004-03-05 | 2011-05-25 | 協伸株式会社 | インクジェットにより染色した皮革の製造方法および該方法により染色した皮革 |
WO2009001943A1 (ja) | 2007-06-28 | 2008-12-31 | Midori Hokuyo Co., Ltd. | 革 |
JP2009007480A (ja) * | 2007-06-28 | 2009-01-15 | Midori Hokuyo Kk | 革 |
US8481169B2 (en) | 2007-06-28 | 2013-07-09 | Midori Hokuyo Co., Ltd. | Leather |
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WO2021145188A1 (ja) * | 2020-01-14 | 2021-07-22 | ミドリオートレザー株式会社 | 革の製造方法 |
JPWO2021145188A1 (ja) * | 2020-01-14 | 2021-07-22 | ||
CN112626284A (zh) * | 2020-12-15 | 2021-04-09 | 阳信亘嘉皮革制品有限公司 | 一种皮革软化加工设备 |
CN112626284B (zh) * | 2020-12-15 | 2022-03-25 | 阳信亘嘉皮革制品有限公司 | 一种皮革软化加工设备 |
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