JP3581308B2 - 工作機械用生爪チャック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば旋盤等の工作機械で加工対象物を切削加工するときに加工対象物を把持するのに好適に用いられる工作機械用生爪チャックに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、旋盤等の工作機械は、加工対象物を把持するためのチャックを備え、該チャックで把持した加工対象物を主軸を中心にして回転駆動しつつ、加工対象物に対してバイト等の刃先を送込むことにより、例えば円筒削り、端面削り、段削り、内面削り等の切削、研削作業を行うものである。
【0003】
そして、この種の従来技術によるチャックには、工作機械の主軸と一体に回転する回転盤と、加工対象物を3方向から把持するため該回転盤の周方向に間隔をもって設けられ該回転盤の径方向に進退される3個の爪受台と、該各爪受台にそれぞれ着脱可能に設けられ前記加工対象物を3方向から挟込むように把持する3個の生爪とからなる工作機械用生爪チャックが知られている。
【0004】
ここで、生爪チャックは、一般に三つ爪チャック、連動チャックとも呼称されるスクロールチャックの一種であり、JISでは「生爪スクロールチャック」として規格されている。
【0005】
そして、普通のチャックは把持爪が硬く変形しないのに対し、生爪は加工対象物の寸法、形状に合わせて適宜に爪先が削り加工されるもので、比較的軟質の鉄材(例えば、S45C)等により細長い直方体状のブロックとして形成されるものである。
【0006】
このため、生爪を用いて加工対象物を把持するときには、生爪の爪先が加工対象物の外面形状にフィット(適合)することにより、その仕上げ面に把持痕等の傷痕等を残こすことなく、加工対象物を把持できるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術による生爪チャックは、鉄等の金属材料により細長い直方体状のブロックとして形成されているに過ぎないため、例えば生爪の爪先を一つの加工対象物の寸法、形状に合わせて削り加工した後には、この加工対象物専用の生爪として使用しなければならず、他の加工対象物には別の生爪を用意せざるを得ないという問題がある。
【0008】
即ち、加工対象物の曲率は、例えば1mmでも変化すると、生爪の爪先が加工対象物の外面形状にフィット(適合)できなくなり、その仕上げ面に把持痕等の傷痕を残し易いので、加工対象物の形状が僅かに変化する場合でも生爪の爪先形状を削り加工する必要がある。
【0009】
このため、旋盤等の工場には、これまでに削り加工した加工対象品毎の生爪が多数本残され、これらの生爪が高く積上げた状態で放置されていることが多く、生爪の収納、管理に余分な手間が掛かり、工場内の限られたスペースを有効に活用できないという問題が生じている。
【0010】
そして、従来技術によるものは、一つの生爪を複数の加工対象物に対し汎用性をもって使用することができないため、加工対象物毎に別の生爪に取替える必要が生じ、生爪の取替え作業に多大の労力と時間を費やすばかりでなく、旋盤加工時の作業性を低下させる原因にもなり、生産性を向上できない等の問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、生爪を正六角形状のブロック体として形成することにより、合計6個の角部をそれぞれ異なる爪先形状に削り加工でき、多数の加工対象物に対し高い汎用性をもって使用することができるようにした工作機械用生爪チャックを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、工作機械の主軸と一体に回転する回転盤と、加工対象物を3方向から把持するため該回転盤の周方向に間隔をもって設けられ該回転盤の径方向に進退される3個の爪受台と、該各爪受台にそれぞれ固定ボルトを用いて着脱可能に設けられ前記加工対象物を3方向から挟込むように把持する3個の生爪とを備え、該各生爪は、中心側に前記固定ボルトが挿通される取付穴を有し、外周縁側が該取付穴を中心として正六角形状をなす角部となったブロック体により構成してなる工作機械用生爪に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記各爪受台には、その長さ方向中間部に形成された凹窪溝からなる位置合わせ溝と、該位置合わせ溝の前,後に位置して前記爪受台の長さ方向に延び前記生爪側に向けて突出する前,後の係合凸部と、該各係合凸部の長さ方向中間位置を貫通して前記回転盤の軸方向に延び前記固定ボルトが選択的に螺合される2つのねじ穴と、前記各係合凸部のうち後側の係合凸部の後端側端面により形成される位置合わせ面とを設け、前記生爪と爪受台との間には、中央部に前記生爪の取付穴を介して前記固定ボルトが挿通される挿通穴を有し、表面側に前記生爪を廻止め状態で保持する保持部を有したアダプタを設け、かつ該アダプタの裏面側には、前記爪受台に対して該アダプタを位置決めするため、前記挿通穴よりも後側に位置して前記爪受台の位置合わせ溝と位置合わせ面とのいずれかに選択的に係合する段差部と、前記アダプタの前端側から前記挿通穴を横切るように該段差部の位置まで直線状に延び前記爪受台の各係合凸部のうちいずれか一方の係合凸部に嵌合する凹溝とを設ける構成としたことにある。
【0014】
このように構成することにより、正六角形のブロック体からなる生爪は、合計6個の角部を互いに異なる爪先形状に削り加工することができ、それぞれの角部を異なる形状の加工対象物に対する把持用の爪先として使用できる。そして、生爪は多数の加工対象物に対し、その外面(曲面)形状にフィットする爪先形状の角部を選択的に用いることにより、加工対象物を確実に安定して把持でき、加工対象物の表面に把持痕等の傷痕が発生するのを良好に防止することができる。
【0015】
また、爪受台と生爪との間には、中央部に固定ボルト用の挿通穴を有し表面側に生を廻止め状態に保持する保持部を有したアダプタを設け、該アダプタの裏面側には、前記爪受台に対してアダプタを位置決めするため前記爪受台の位置合わせ溝または位置合わせ面に選択的に係合する段差部と、前記爪受台の前,後の係合凸部のうち一方の係合凸部に嵌合する凹溝とを設けているので、これらの段差部と凹溝とによりアダプタを爪受台に対して位置決めでき、この状態でアダプタ上に生爪を配置すれば、アダプタの保持部により生爪を廻止め状態に保持できる。
【0016】
して、その後は生爪の取付穴から固定ボルトをアダプタの挿通穴に挿通してボルト先端側を爪受台のねじ穴に螺着することにより、前記生爪をアダプタと共に爪受台に強固に締結でき、この状態で生爪を爪受台と一緒に回転盤の径方向に動かすことができる。
【0017】
また、請求項の発明は、アダプタの保持部を、生爪の各角部間に位置する互いに平行な平面部に左,右両側から係合して前記生爪の廻止めを行う一対のストッパ突起により構成している。これにより、アダプタの表面側に設けた左,右一対のストッパ突起は、生爪の各角部間に位置する互いに平行な平面部に左,右両側から係合し、生爪を廻止め状態に保持することができる。
【0018】
一方、請求項の発明によると、生爪には取付穴と各角部との間に間隔をもって複数の係合穴を設け、アダプタの保持部は、該各係合穴に選択的に係合して前記生爪の廻止めを行うスプリング付勢式のロック機構により構成している。
【0019】
これにより、アダプタに設けたスプリング付勢式のロック機構は、生爪のいずれかの係合穴に選択的に係合して生爪を廻止め状態に保持することができる。そして、例えば前記固定ボルトを緩めたときには、生爪をアダプタ上で前記スプリングに抗して回転することができ、これによって、生爪の廻止め位置を簡単に変えることができ、生爪の各角部を把持用の爪先として選択的に使用できる。
【0020】
さらに、請求項の発明によると、各爪受台に取付けた3個の生爪間には、加工対象物の曲率に沿って各生爪の角部を削り加工するときに前記各生爪間に挟持状態で配置される心出し治具を取外し可能に設け、該心出し治具は、環状のリングと、該リングに3方向から螺合して設けられ頭部側が前記生爪の角部に当接するように該リングの径方向に進退される3個の調節ボルトとにより構成している。
【0021】
これにより、例えば40〜50mm以上の外径を有する円筒体または円柱体等を削り加工するとき等には、3個の生爪間に予め心出し治具を配置し、各調節ボルトの頭部を各生爪の爪先となる角部に当接させた状態で、各生爪間に心出し治具を挟込むように挟持できる。そして、この状態で回転盤を回転させることにより、円筒体(加工対象物)の曲率に沿って各生爪の角部を削り加工でき、角部毎の削り代を均一化できると共に、爪先形状にバラツキが発生するのを抑えることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による工作機械用生爪チャックを、旋盤に適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
ここで、図1ないし図15は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は工作機械としての旋盤、2は該旋盤1の基台で、該基台2の上面側には左,右方向に延びるベッド3が設けられている。
【0024】
4はベッド3の一側に位置して基台2上に設けられた主軸台で、該主軸台4には、主軸モータ(図示せず)により回転駆動される主軸5等が設けられている。そして、この主軸5には後述の生爪チャック21が取付けられ、図1、図2に示すように生爪チャック21は、主軸5の軸線O−Oを中心にして主軸5と一体に回転駆動されるものである。
【0025】
6は旋盤1の往復台を示し、該往復台6は、ベッド3の下側に位置して基台2の側面に設けられたガイドレール7に沿って、該ガイドレール7の長手方向(図1中の左,右方向)に自動または手動で移動されるものである。
【0026】
8は往復台6に設けられた縦送りハンドルで、該縦送りハンドル8は、旋盤1のオペレータによって手動で回転操作され、これにより往復台6はガイドレール7に沿って移動される。
【0027】
9は旋盤1の起動、停止等を手動操作するための起動レバーで、該起動レバー9はオペレータによって傾転操作されることにより、例えば前記主軸モータ等を起動または停止させるものである。
【0028】
10は往復台6上に設けられた横送り台で、該横送り台10はオペレータが横送りハンドル11を手動で回転操作することにより、ベッド3を横切る方向(ガイドレール7の長手方向と直交する方向)に移動されるものである。
【0029】
12は往復台6上に設けられた刃物台で、該刃物台12にはバイト等の切削刃物(図示せず)が着脱可能に取付けられる。そして、刃物台12は刃物台送りハンドル13を手動で回転操作することにより、例えば図1中の左,右方向に移動され、往復台6に対する相対位置が微調整されるものである。
【0030】
これにより、刃物台12に固定されたバイト(切削刃物)は、往復台6と一緒にガイドレール7の長手方向に自動または手動で移動されると共に、刃物台送りハンドル13により往復台6に対する相対位置が微調整される。また、オペレータが横送りハンドル11を回転操作したときには、刃物台12が横送り台10と一緒にベッド3を横切る方向に移動され、バイトの先端は加工対象物に対する切込み深さ等が調整されるものである。
【0031】
14は刃物台12の固定レバーで、該固定レバー14はオペレータによって手動操作され、ロック位置とロック解除位置とに傾転される。そして、固定レバー14は、ロック解除位置へと傾転したときに刃物台12が横送り台10上で垂直軸回りに回転(旋回)するのを許し、逆にロック位置へと傾転したときには刃物台12の回転を阻止(ロック)するものである。
【0032】
15はベッド3の他側に位置して基台2上に設けられた心押台で、該心押台15は、例えば長尺の丸棒を切削加工するとき等に、後述の生爪チャック21との間で丸棒の両端側を支持し、丸棒(加工対象物)を心合わせ状態に保持すると共に、丸棒の心振れ等を抑えるものである。
【0033】
また、心押台15にも固定レバー16等が設けられ、該固定レバー16もオペレータが手動操作することによって、ロック位置とロック解除位置とに傾転される。そして、固定レバー16をロック解除位置へと傾転したときには、ハンドル17の回転操作に従って心押台15がベッド3の長手方向に移動され、固定レバー16をロック位置に傾転したときには心押台15の移動を阻止(ロック)することができる。
【0034】
次に、21は本実施の形態で採用した生爪チャックで、該生爪チャック21は図1、図2に示すように、主軸5の軸線O−Oを中心にして主軸5と一体に反時計回り方向(図2中の矢示A方向)に回転する回転盤22と、該回転盤22の周方向に間隔をもって設けられ回転盤22の径方向に進退される3個の爪受台23,23,…と、後述の生爪24およびアダプタ25等とにより構成されている。
【0035】
ここで、回転盤22には、図2に示す如く軸穴22Aを中心として放射状に3方向に延びる3個のガイド溝22B,22B,…が設けられ、該各ガイド溝22Bは回転盤22の周方向に120度の間隔をもって配置されている。そして、各ガイド溝22Bにはそれぞれ爪受台23が、例えば図13中の矢示B,C方向に摺動変位可能に取付けられている。
【0036】
また、回転盤22には、各爪受台23を回転盤22の径方向(図13中の矢示B,C方向)に進退させるためのスクロール式送りねじ機構(図示せず)が内蔵され、回転盤22の外周側には、この送りねじ機構を径方向外側から駆動するためのチャックハンドル(図示せず)が着脱可能に取付けられる。
【0037】
そして、旋盤1のオペレータがチャックハンドルを一方向に回転操作したときには、各爪受台23が前記送りねじ機構を介して互いに接近する方向(図13中の矢示B方向)に駆動され、前記チャックハンドルを逆方向に回転操作したときには、各爪受台23が前記送りねじ機構を介して互いに離間する方向(図13中の矢示C方向)に駆動されるものである。
【0038】
また、各爪受台23には、図3に示す如く長さ方向中間部に形成された凹窪溝からなる位置合わせ溝23Aと、該位置合わせ溝23Aの前,後に位置して上向きに突出した係合凸部23B,23Cと、該係合凸部23B,23Cの中間位置を貫通するように軸線O−Oと平行に延びるねじ穴23D,23Eとが設けられている。
【0039】
そして、爪受台23は係合凸部23Cの後端側端面が位置合わせ面23Fとなり、該位置合わせ面23Fとねじ穴23Eとの間隔は、位置合わせ溝23Aとねじ穴23Dとの間隔と等しい寸法に形成されている。これにより、後述のアダプタ25は、爪受台23に対し位置合わせ溝23Aと位置合わせ面23Fとのいずれかに一方に選択的に位置決めされるものである。
【0040】
24,24,…は各爪受台23にアダプタ25等を介して着脱可能に設けられる生爪で、該生爪24は、例えば機械構造用炭素鋼(S45C)等の横断面が正六角形状なす金属製六角柱材を、一定長さ(例えば30〜50mm程度の高さ寸法)毎に切断することにより、図2ないし図5に示す如く正六角形状のブロック体として形成されている。
【0041】
そして、生爪24の中心側には後述の固定ボルト26が挿通される取付穴24Aが穿設され、該取付穴24Aは図8に示す如く段付穴として形成されている。この場合、取付穴24Aは下部側が大径の嵌合穴部24A1 として形成され、該嵌合穴部24A1 は、後述するアダプタ25のボス部25Bにほぼ一致する寸法に形成されている。
【0042】
また、生爪24の外周縁側は、図4、図5に示すように取付穴24Aを中心として正六角形状をなす合計6個の角部24B,24B,…となり、該各角部24B間には合計6個の平面部24C,24C,…となっている。そして、各角部24Bは互いに隣り合う平面部24C,24C間で120度の角度をもって形成されている。
【0043】
このため、図14に例示する如く3個の生爪24を、互いに接近させるように矢示B方向に移動したときには、各生爪24の爪先となる角部24Bが、両側の平面部24Cと共にぴったりと重なるように衝合され、このときに各生爪24間で後述の如く最小径(例えば、1mm程度)の加工対象物を挟持することが可能となる。
【0044】
また、生爪24の各角部24Bのうち、例えば図15に示す角部24B1 には後述の切欠き凹部31等が切削加工され、この切欠き凹部31は、図2に示す後述の円柱体30に対応した曲率半径rをもって形成される。そして、生爪24は切欠き凹部31が円柱体30を把持するときの爪先となり、これによって、円柱体30に対する傷痕(把持痕)等の発生が抑えられるものである。
【0045】
即ち、生爪24は図2、図3に示す如く後述の固定ボルト26等を用いてアダプタ25と共に爪受台23上に取付けられ、爪受台23が矢示B方向に駆動されるときに先端側の角部24Bが爪先となって、円柱体30等の加工対象物を3方向から挟込むように把持するものである。
【0046】
このため、図15に例示するように生爪24の角部24B1 ,24B2 ,24B3 ,…には、加工対象物の外径寸法に対応した後述の切欠き凹部31,33,…等がそれぞれ削り加工され、生爪24はこれらの切欠き凹部31,33等を各加工対象物にフィット(適合)する爪先として、加工対象物を3方向から把持するときに用いるものである。
【0047】
25、25,…は生爪24を爪受台23上に固定するためのアダプタで、該アダプタ25は生爪24よりも硬質の金属材を用いて図3、図6、図7および図9に示す如く形成され、その中央部には板厚方向(上下方向)に貫通して延びる固定ボルト26用の挿通穴25Aと、該挿通穴25Aの周囲に位置して上向きに突出する筒状のボス部24Bとが設けられている。
【0048】
また、アダプタ25の表面側にはボス部25Bの径方向に離間して左,右一対のストッパ突起25C,25Cが設けられ、該各ストッパ突起25Cは、生爪24の各平面部24Cのうち互いに平行となる平面部24C,24Cに左,右両側から係合することにより、生爪24を廻止め状態に保持する保持部を構成するものである。
【0049】
このとき、アダプタ25のボス部25Bには、生爪24の嵌合穴部24A1 が摺動可能に嵌合され、この状態で生爪24はアダプタ25の表面側に重ね合せるように固定されるものである。また、アダプタ25の前端側にはほぼ120度の角度をもった角部25Dが設けられ、該角部25Dと挿通穴25Aとの間隔は、生爪24の角部24Bと取付穴24Aとの間の間隔よりも僅かに短い寸法に形成されている。
【0050】
一方、アダプタ25の裏面側には、図7に示す如く挿通穴25Aよりも後側に位置して爪受台23の位置合わせ溝23Aまたは位置合わせ面23Fのいずれかに選択的に係合する段差部25Eと、前端側の角部25Dの位置から挿通穴25Aを横切るように段差部25Eの位置まで直線状に延びる凹溝25Fとが設けられている。
【0051】
そして、該凹溝25Fは、爪受台23の係合凸部23B,23Cのいずれか一方に上側から嵌合(係合)し、アダプタ25を爪受台23に対して廻止め状態で位置決めする位置決め部を段差部25Eと共に構成するものである。
【0052】
この場合、加工対象物である円柱体30の半径rが、例えば50mmを基準として基準寸法以上のときには、アダプタ25の段差部25Eを爪受台23の位置合わせ面23Fに係合させるようにしてアダプタ25が爪受台23に位置決めされる。また、前記半径rが基準寸法より小さいときには、アダプタ25の段差部25Eを爪受台23の位置合わせ溝23Aに係合させることによりアダプタ25の位置決めが行われる。
【0053】
また、凹溝25Fの後端側には段差部25Eの一部を円弧状に切欠くことにより切欠溝25Gが形成されている。さらに、アダプタ25の裏面側には、凹溝25Fの後端側から段差部25Eに沿って左,右方向に延びる浅底溝25H,25Hが形成され、該各浅底溝25Hおよび切欠溝25Gは、爪受台23に対する段差部25Eの当接面に付着した摩耗粉等をこの当接面から逃がすための逃がし溝となっている。
【0054】
なお、アダプタ25の表面側にはボス部25Bの周囲に浅底の環状溝25Jが形成され、該環状溝25Jは、生爪24の嵌合穴部24A1 とボス部25Bとの間から摩耗粉等を逃がすための逃がし溝を構成するものである。
【0055】
26は生爪24をアダプタ25と共に爪受台23に固定する固定ボルトで、該固定ボルト26は、図3に示す如く六角穴付ボルト等からなり、その頭部26Aにはレンチ等の工具が係合する有底の六角穴26Bが形成されている。そして、固定ボルト26は、爪受台23上にアダプタ25および生爪24を組付けた状態で生爪24の取付穴24Aおよびアダプタ25の挿通穴25A内に挿通され、その先端側が爪受台23のねじ穴23Dまたは23Eに螺着される。
【0056】
これにより、固定ボルト26は生爪24、アダプタ25を爪受台23に強固に固定し、図2に示すように円柱体30等の加工対象物を各生爪24の角部24B側で3方向から挟込むように把持したときに、生爪24が爪受台23に対し僅かでも位置ずれするのを防ぐものである。
【0057】
次に、27は図12に示すように各生爪24間に配置される心出し治具で、該心出し治具27は、図10、図11に示すように環状のリング28と、該リング28に螺合して径方向に移動(進退)可能となった3個の調節ボルト29,29,…とにより構成されている。
【0058】
ここで、各調節ボルト29はリング28の周方向に約120度の間隔をもって配設され、リング28に対する螺合位置が3方向で個別に調節される。そして、円柱体30等の加工対象物を削り加工するとき等には、図12に例示するように3個の生爪24間に予め心出し治具27を配置し、各調節ボルト29をそれぞれの頭部29Aが各生爪24の角部24Bに当接する位置まで回転させる。
【0059】
これにより、心出し治具27の各調節ボルト29は、各生爪24の角部24B間に強く挟込むように挟持され、この状態で各生爪24の心振れ等を抑えると共に、各生爪24毎の削り代(例えば、図15に示す切欠き凹部31等の削り代)を均一化する機能等を有するものである。
【0060】
本実施の形態による旋盤1用の生爪チャック21は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0061】
まず、回転盤22に設けた3個の爪受台23に対してそれぞれアダプタ25および生爪24を組付け、この状態で生爪24の取付穴24Aおよびアダプタ25の挿通穴25A内に固定ボルト26を挿通し、その先端側を爪受台23のねじ穴23Dまたは23Eに螺着することにより、固定ボルト26で生爪24、アダプタ25を爪受台23に強固に締着する。
【0062】
そして、旋盤1の加工対象物として図2に示す如く、半径rの円柱体30を旋盤加工(切削加工)する場合を例に挙げると、円柱体30の外面形状にぴったりとフィットするように生爪24の角部24Bを削り加工し、図15に例示するように切欠き凹部31を形成する必要がある。
【0063】
そこで、この場合には、まず前記チャックハンドルを用いて回転盤22の各爪受台23を図12中の矢示B,C方向に移動させ、各生爪24の爪先となる角部24Bが円柱体30の外径寸法(半径r)よりも径方向内側に位置するように生爪24を配置する。そして、この状態で3個の生爪24間に図12に示すように心出し治具27を配置し、各調節ボルト29をリング28に対して適宜に回転させ、その頭部29Aを各生爪24の角部24Bに当接させる。
【0064】
この作業は、旋盤1のオペレータにとっては数秒もかからないで簡単に行うことができる。また、心出し治具27は調節ボルト29の頭部29Aをアダプタ25側に近付けるように各生爪24間に奥深く押し込んで行うのがよい。また、各生爪24の角部24B間で心出し治具27の調節ボルト29の頭部29Aを強く挟み込むように、前記チャックハンドルを適宜に回して各爪受台23を図12中の矢示B方向に進出させる。
【0065】
これにより、各生爪24は心出し治具27からの反力で爪受台23および回転盤22にしっかりと固定され、回転盤22を回転駆動するときに爪受台23と生爪24とが互いに異なるモードで振動することがなくなり、後述の如く生爪24間で円柱体30を把持して旋盤加工を行うときとほぼ同様のモードで、回転盤22、各爪受台23および各生爪24を図2中の矢示A方向に回転駆動できる。
【0066】
そして、各生爪24間に心出し治具27を把持したままの状態で、回転盤22を回転駆動しつつ、図1に示す刃物台12を生爪24の爪先(角部24B)側に近付け、バイトの先端で生爪24の角部24Bを削り加工する。即ち、図12に中に二点鎖線で示す円弧(円柱体30の外形状)に沿って各生爪24の角部24Bはバイトにより削り加工される。
【0067】
これによって、各生爪24の爪先となる角部24Bには図3、図15に示す如き切欠き凹部31が形成される。そして、心出し治具27を用いて各生爪24間の心振れ等を抑制することにより、切欠き凹部31の曲率を加工対象物である円柱体30の曲率(半径r)とほぼ一致させることができ、各生爪24毎の削り代(切欠き凹部31の削り代)を均一化できると共に、その爪先形状にバラツキが発生するのを抑えることができる。
【0068】
次に、切欠き凹部31の削り加工後には、前記チャックハンドを緩み方向に回して各爪受台23を矢示C方向に後退させ、各生爪24の間から心出し治具27を取外し、この状態で図13に示すように各生爪24間に加工対象の円柱体30を配置する。そして、今度は前記チャックハンドルを締付け方向に回して各爪受台23を矢示B方向に進出させ、各生爪24の切欠き凹部31間で円柱体30を挟み込むように把持する。
【0069】
次に、この状態で図2に示すように生爪チャック21全体を矢示A方向に回転駆動しつつ、生爪24から軸方向に突出している円柱体30の外周面(生爪24で把持されていない部分)にバイトを用いて円筒削り等の旋盤加工を行う。
【0070】
そして、例えば円柱体30の外周面を1mm程度切り込むように円筒削りを行った場合には、この切り込み深さ(例えば、1mm)に見合った次なる切欠き凹部、例えば図15中に二点鎖線で示す切欠き凹部31′を、前回と同様の作業を繰返して削り加工し、円柱体30の残りの加工部分(前回の旋盤加工により削り残した部分)を前回と同様の切り込み深さをもって円筒削りする。
【0071】
これにより、円柱体30の外周面全体を均一な円筒面に旋盤加工(円筒削り)することができ、このときには例えば図15中の切欠き凹部31′が円柱体30の外周面と曲率がぴったり一致するので、円柱体30の外周面に生爪24による把持痕等の傷痕が生じるのを確実に防止でき、円筒削りした円柱体30の商品価値を高めることができる。
【0072】
また、図14に示すように小径の円柱体32(例えば、図10に示す心出し治具27から各調節ボルト29を取外した状態のリング28よりも外径が小さい加工対象物)を旋盤加工する場合には、各爪受台23を図14中の矢示B方向に移動させて各生爪24を互いに接近させ、各生爪24を爪先(角部24B)側が円柱体32の外径寸法よりも径方向内側に位置するように配置する。
【0073】
次に、この状態で再び回転盤22を回転駆動しつつ、図1に示す刃物台12を生爪24の爪先(角部24B)側に近付け、バイトの先端で生爪24の角部24Bを削り加工する。即ち、図14に中に二点鎖線で示す円弧(円柱体32の外形状)に沿って各生爪24の角部24Bをバイトにより削り加工する。
【0074】
これによって、各生爪24の爪先となる角部24Bには図15中に実線で例示するように小径円弧状の切欠き凹部33を形成できる。そして、切欠き凹部33の曲率を加工対象物である円柱体32の曲率とほぼ一致させることができ、各生爪24の爪先形状を均一化して形状のバラツキ等を抑えることができる。
【0075】
次に、切欠き凹部33の削り加工後には、前記チャックハンドルを緩み方向に回して各爪受台23を一旦矢示C方向に後退させ、この状態で図14に示すように各生爪24間に加工対象の円柱体32を配置する。そして、今度は前記チャックハンドルを締付け方向に回して各爪受台23を矢示B方向に進出させ、各生爪24の切欠き凹部33間で円柱体32を挟み込むように把持し、前回とほぼ同様に円柱体32を旋盤加工する。
【0076】
この場合でも、円柱体32の外周面全体を均一な円形面に旋盤加工することができ、このときには例えば図15中の切欠き凹部33等が円柱体32の外周面と曲率がぴったり一致するので、円柱体32の外周面に生爪24による把持痕等の傷痕が生じるのを確実に防止でき、旋盤加工した円柱体32の商品価値を高めることができる。
【0077】
また、生爪24を取付穴24Aを中心にして回転させ、アダプタ25に適宜に組付けることにより、生爪24の各角部24Bをそれぞれ複数の加工対象物に対応した把持用の爪先として活かすことができる。そして、生爪24は前述した切欠き凹部31,31′,33等を各加工対象物の外周面にフィットさせ、加工対象物を3方向から安定して把持することができる。
【0078】
この場合、図15に示す如く切欠き凹部31,31′,33等は、生爪24の角部24B1 に段階的に形成してもよく、これ以外の角部24B2 ,24B3 ,24B4 ,24B5 ,24B6 にも選択的に削り加工することができ、全ての角部24B1 〜24B6 を互いに異なる形状の爪先として活用できる。
【0079】
かくして、本実施の形態にあっては、旋盤1の生爪チャック21に用いる生爪24を正六角形状をなすブロック体から形成しているので、生爪24の合計6個の角部24Bを互いに異なる爪先形状に削り加工でき、それぞれの角部24Bを異なる形状の加工対象物に対する把持用の爪先として使用できる。
【0080】
そして、当該生爪24は多数の加工対象物に対し、その外面(曲面)形状にフィットする爪先形状に削り加工した角部24Bを選択的に用いることにより、加工対象物を確実に安定して把持でき、加工対象物の表面に把持痕等の傷痕が発生するのを良好に防止することができる。
【0081】
また、生爪チャック21の回転盤22側に設けたそれぞれの爪受台23と生爪24との間には、図3に示す如くアダプタ25を配置する構成としているので、アダプタ25の裏面側に形成した段差部25Eおよび凹溝25Fを用いてアダプタ25を爪受台23に対し容易に位置決めでき、この状態でアダプタ25上に生爪24を配置すれば、アダプタ25のストッパ突起25Cにより生爪24を廻止め状態に保持できる。
【0082】
そして、その後は生爪24の取付穴24Aから固定ボルト26を挿通してボルト先端側を爪受台23のねじ穴23D,23Eに適宜に螺着することにより、生爪24をアダプタ25と共に爪受台23に強固に締結でき、この状態で生爪24を爪受台23と一緒に回転盤22の径方向に安定させて動かすことができる。
【0083】
この場合、アダプタ25の裏面側に形成した段差部25Eは、爪受台23の位置合わせ溝23A、位置合わせ面23Fのいずれかに選択的に係合し、凹溝25Fは爪受台23の係合凸部23B,23Cのいずれか一方に上側から嵌合する。そして、例えば加工対象物である円柱体30の半径rが基準寸法(例えば、50mm)以上のときには、アダプタ25の段差部25Eを爪受台23の位置合わせ面23Fに係合させるように取付けることにより、アダプタ25を爪受台23に対し正確に位置決めすることができる。
【0084】
このため、爪受台23を図2中の矢示方向大きく後退させたときには、例えば200mmにも及ぶ外径寸法の円柱体30(例えば、半径rが100mm程度)も、各生爪24間で挟み込むように把持でき、大径の加工対象物にも容易に対処することができる。
【0085】
また、前記半径rが基準寸法より小さいときには、アダプタ25の段差部25Eを爪受台23の位置合わせ溝23Aに係合させることにより、アダプタ25を爪受台23に対し安定して位置決めすることができる。
【0086】
そして、この場合には、図14に例示する如く3個の生爪24を互いに接近させるように矢示B方向に移動させたときに、各生爪24の爪先となる角部24Bが、両側の平面部24Cと共にぴったりと重なるように衝合することができ、例えば1mm程度の外径寸法をもった加工対象物を各生爪24間で挟み込むように把持しつつ、その外周面等を正確に旋盤加工することができる。
【0087】
また、アダプタ25の表面側に設けた左,右一対のストッパ突起25C,25Cは、生爪24の各角部24B間に位置する互いに平行な平面部24Cに左,右両側から係合するので、生爪24の6個の角部24Bを選択的に爪先として用いる場合にも、それぞれに対応した平面部24Cと係合して生爪24を廻止め状態に保持することができる。
【0088】
また、比較的外径の大きい円柱体(例えば、半径rが10〜20mm以上の外径を有する円筒体または円柱体30)等を削り加工するときには、3個の生爪24間に予め心出し治具27を配置し、各調節ボルト29の頭部29Aを各生爪24の爪先となる角部24Bに当接させた状態で、各生爪24間に心出し治具27を挟込むように挟持できる。
【0089】
これにより、各生爪24を心出し治具27からの反力で爪受台23および回転盤22にしっかりと固定でき、回転盤22を回転駆動するときに爪受台23と生爪24とが互いに異なるモードで振動するのを防止できると共に、生爪24間で円柱体30等を把持して旋盤加工を行うときにもほぼ同様のモードで、回転盤22、各爪受台23および各生爪24を回転駆動できる。そして、生爪24毎の削り代を均一化でき、爪先形状にバラツキが発生するのを抑えることができる。
【0090】
従って、本実施の形態によれば、生爪24を正六角形状のブロック体として形成することにより、合計6個の角部24Bをそれぞれ異なる爪先形状に削り加工でき、多数の加工対象物に対し3個の生爪24のみで対処できると共に、当該生爪24の汎用性を大幅に高めることができる。
【0091】
この結果、旋盤1の工場等でストックしておくべき生爪24の個数を大幅に削減でき、工場内の限られたスペースを有効に活かすことができる。また、生爪24の取り替え工数を大幅に減らすことができ、旋盤1を用いた加工時の作業性を高め、生産性を向上することができる。
【0092】
次に、図16ないし図22は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0093】
しかし、本実施の形態の特徴は、生爪24の下面側に複数の係合穴41,41,…を設け、アダプタ42には該各係合穴41に選択的に係合して生爪24の廻止めを行うスプリング付勢式のロック機構43を設ける構成としたことにある。
【0094】
ここで、各係合穴41は、図18に示す如く生爪24の取付穴24Aと角部24Bとの間に形成された有底穴からなり、取付穴24Aの周方向にほぼ60度の間隔をもって配設されている。そして、係合穴41の穴径は後述するボール44の外径寸法にほぼ対応しているものである。
【0095】
また、アダプタ42は第1の実施の形態で述べたアダプタ25に対しストッパ突起25Cを除いてほぼ同様に構成され、挿通穴42A、ボス部42B、角部42C、段差部42D、凹溝42E、切欠溝42F、浅底溝42G,42Gおよび環状溝42H等を有している。
【0096】
しかし、アダプタ42には、生爪24に形成した係合穴41と対応する位置に小径のボール収容穴42J(以下、収容穴42Jという)がアダプタ42の板厚方向に穿設されている。そして、収容穴42Jは、図22に示す如く上端側がボール44の外径よりも僅かに小径に形成され、ボール44が収容穴42Jから抜け出るのを防ぐ構成となっている。
【0097】
また、スプリング付勢式のロック機構43は、図22に示す如く収容穴42J内に挿入された鋼球等からなるボール44と、収容穴42Jの下端側に螺合され、収容穴42Jを下側から閉塞した栓具45と、収容穴42J内に位置してボール44と栓具45との間に配設されたスプリング46とから構成されている。
【0098】
この場合、ボール44はスプリング46により図22に示す如く常時上向きに付勢され、スプリング46の付勢力は栓具45の螺合位置に応じて調整される。そして、アダプタ42に設けたロック機構43のボール44は、生爪24の各係合穴41のうちいずれかに選択的に係合し、この状態で生爪24をアダプタ42に対し廻止め状態に保持することができる。
【0099】
かくして、このように構成される本実施の形態にあっても、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、生爪24の各角部24Bをそれぞれ異なる爪先形状に削り加工できると共に、多数の加工対象物に対し3個の生爪24のみで対処でき、当該生爪24の汎用性を大幅に高めることができる。
【0100】
即ち、本実施の形態にあっても、図16に例示したように回転盤22に設けた爪受台23に対しアダプタ42を介して生爪24を組付け、この状態で生爪24の取付穴24A、アダプタ42の挿通穴42A内に固定ボルト26を挿通し、その先端側を爪受台23のねじ穴23Dまたは23Eに螺着する。
【0101】
これにより、固定ボルト26で生爪24を爪受台23にアダプタ42を介して強固に締着でき、アダプタ42に設けたロック機構43のボール44は、生爪24の係合穴41に係合することによって、この状態で生爪24をアダプタ42に対し廻止め状態に保持するすることができる。
【0102】
また、例えば固定ボルト26を緩めたときには、生爪24をアダプタ42上でボス部42Bを中心として回転させれば、ロック機構43のボール44を生爪24の下面によりスプリング46に抗して押圧し、生爪24をアダプタ42上で相対回転することができる。
【0103】
そして、例えば生爪24を60度程度回転させたときには、ロック機構43のボール44を次なる係合穴41に係合でき、この状態で生爪24をアダプタ42に対し再び廻止め状態に保持できる。これにより、アダプタ42に対する生爪24の廻止め位置を簡単に変えることができ、生爪24の各角部24Bを把持用の爪先として選択的に使用できる。
【0104】
なお、前記各実施の形態では、旋盤1用の生爪チャック21に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えばボール盤、マシニングセンタ等の各種の工作機械にも適用でき、加工対象物としては薄物、厚物を問わずに適用できるものである。
【0105】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、回転盤の径方向に進退される各爪受台にそれぞれ固定ボルトを用いて着脱可能に設けられる生爪を正六角形状のブロック体により形成し、前記各爪受台には、位置合わせ溝、前,後の係合凸部、2つのねじ穴および位置合わせ面を設け、前記爪受台と生爪との間には、中央部に前記固定ボルト用の挿通穴を有し表面側に前記生爪を廻止め状態に保持する保持部を有したアダプタを設け、該アダプタの裏面側には、前記爪受台に対してアダプタを位置決めするため前記爪受台の位置合わせ溝または位置合わせ面に選択的に係合する段差部と、前記爪受台の前,後の係合凸部のうち一方の係合凸部に嵌合する凹溝とを設ける構成としたので、正六角形のブロック体からなる生爪の各角部を互いに異なる爪先形状に削り加工でき、それぞれの角部を異なる形状の加工対象物に対する把持用の爪先として使用できる。そして、生爪は多数の加工対象物に対し、その外面(曲面)形状にフィットする爪先形状の角部を選択的に用いることにより、加工対象物を確実に安定して把持でき、加工対象物の表面に把持痕等の傷痕が発生するのを防止できる。
【0106】
従って、正六角形状のブロック体からなる生爪を多数の加工対象物に対し高い汎用性をもって使用でき、工作機械の工場等でストックしておくべき生爪の個数を削減し、工場内の限られたスペースを有効に活かすことができると共に、生爪の取り替え工数を大幅に減らすことができ、作業性を高め、生産性を向上することができる。
【0107】
また、前記爪受台と生爪との間には、中央部に固定ボルト用の挿通穴を有し表面側に生爪を廻止め状態に保持する保持部を有したアダプタを設け、該アダプタの裏面側には、前記爪受台に対してアダプタを位置決めするため前記爪受台の位置合わせ溝または位置合わせ面に選択的に係合する段差部と、前記爪受台の前,後の係合凸部のうち一方の係合凸部に嵌合する凹溝とを設けているので、これらの段差部と凹溝とによりアダプタを爪受台に対して位置決めでき、この状態でアダプタ上に生爪を配置すれば、アダプタの保持部により生爪を廻止め状態に保持できる。そして、その後は生爪の取付穴から固定ボルト等を挿通してボルト先端側を爪受台のねじ穴に螺着することにより、生爪をアダプタと共に爪受台に強固に締結でき、この状態で生爪を爪受台と一緒に回転盤の径方向に動かし生爪チャックとして作動することができる。
【0108】
また、請求項に記載の発明は、アダプタの保持部を、生爪の各角部間に位置する互いに平行な平面部に左,右両側から係合して前記生爪の廻止めを行う一対のストッパ突起により構成しているため、アダプタの表面側に設けた左,右一対のストッパ突起を、生爪の互いに平行な平面部に左,右両側から係合させ、生爪を廻止め状態に保持でき、生爪を爪受台に安定させて固定することができる。
【0109】
一方、請求項に記載の発明によると、生爪には取付穴と各角部との間に間隔をもって複数の係合穴を設け、アダプタの保持部は該各係合穴に選択的に係合して前記生爪の廻止めを行うスプリング付勢式のロック機構により構成しているので、アダプタに設けたスプリング付勢式のロック機構により生爪を廻止め状態に保持でき、爪受台に安定させて固定することができる。そして、例えば固定ボルトを緩めたときには、生爪をアダプタ上で前記スプリングに抗して回転することができ、これによって、生爪の廻止め位置を簡単に変えることができ、生爪の各角部を把持用の爪先として選択的に使用できる。
【0110】
さらに、請求項に記載の発明は、各爪受台に取付けた3個の生爪間には、加工対象物の曲率に沿って各生爪の角部を削り加工するときに前記各生爪間に挟持状態で配置される心出し治具を取外し可能に設ける構成としているため、外径の比較的大きい円筒体または円柱体等を削り加工するとき等には、3個の生爪間に予め心出し治具を配置し、各調節ボルトの頭部を各生爪の爪先となる角部に当接させた状態で、各生爪間に心出し治具を挟込むように挟持できる。そして、この状態で回転盤を回転させることにより、円筒体(加工対象物)の曲率に沿って各生爪の角部を削り加工でき、角部毎の削り代を均一化できると共に、爪先形状にバラツキが発生するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による生爪チャックが適用された旋盤を示す全体図である。
【図2】図1中の生爪チャックを単体で示す斜視図である。
【図3】図2に示す回転盤、爪受台、生爪、アダプタおよび固定ボルト等の分解斜視図である。
【図4】図3に示す生爪の平面図である。
【図5】図4に示す生爪の底面図である。
【図6】図3に示すアダプタの平面図である。
【図7】図6に示すアダプタの底面図である。
【図8】図4の生爪を矢示VIII−VIII方向から拡大して示す断面図である。
【図9】図6のアダプタを矢示IX−IX方向から拡大して示す断面図である。
【図10】心出し治具を示す平面図である。
【図11】図10に示す心出し治具の斜視図である。
【図12】心出し治具を生爪チャックに取付けた状態を示す正面図である。
【図13】加工対象となる大径の円柱体を把持した状態の生爪チャックを示す正面図である。
【図14】加工対象となる小径の円柱体を把持した状態の生爪チャックを示す正面図である。
【図15】爪先を削り加工した状態の生爪を拡大して示す斜視図である。
【図16】第2の実施の形態による生爪チャックの回転盤、爪受台、生爪、アダプタおよび固定ボルト等を示す分解斜視図である。
【図17】図16に示す生爪の平面図である。
【図18】図17に示す生爪の底面図である。
【図19】図16に示すアダプタの平面図である。
【図20】図19に示すアダプタの底面図である。
【図21】図17の生爪を矢示XXI−XXI方向から拡大して示す断面図である。
【図22】図19のアダプタを矢示XXII−XXII方向から拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 旋盤(工作機械)
2 基台
3 ベッド
4 主軸台
5 主軸
12 刃物台
21 生爪チャック
22 回転盤
23 爪受台
24 生爪
24A 取付穴
24B 角部
24C 平面部
25,42 アダプタ
25A,42A 挿通穴
25B,42B ボス部
25C ストッパ突起(保持部)
25E,42D 段差部(位置決め部)
25F,42E 凹溝(位置決め部)
26 固定ボルト
27 心出し治具
28 リング
29 調節ボルト
30,32 円柱体(加工対象物)
31,31′,33 切欠き凹部
41 係合穴
43 ロック機構(保持部)

Claims (4)

  1. 工作機械の主軸(5)と一体に回転する回転盤(22)と、加工対象物を3方向から把持するため該回転盤(22)の周方向に間隔をもって設けられ該回転盤(22)の径方向に進退される3個の爪受台(23)と、該各爪受台(23)にそれぞれ固定ボルト(26)を用いて着脱可能に設けられ前記加工対象物を3方向から挟込むように把持する3個の生爪(24)を備え、
    該各生爪(24)は、中心側に前記固定ボルト(26)が挿通される取付穴(24A)を有し、外周縁側が該取付穴(24A)を中心として正六角形状をなす角部(24B)となったブロック体により構成してなる工作機械用生爪チャックにおいて、
    前記各爪受台(23)には、その長さ方向中間部に形成された凹窪溝からなる位置合わせ溝(23A)と、該位置合わせ溝(23A)の前,後に位置して前記爪受台(23)の長さ方向に延び前記生爪(24)側に向けて突出する前,後の係合凸部(23B),(23C)と、該係合凸部(23B),(23C)の長さ方向中間位置を貫通して前記回転盤(22)の軸方向に延び前記固定ボルト(26)が選択的に螺着される2つのねじ穴(23D),(23E)と、前記係合凸部(23B),(23C)のうち後側の係合凸部(23C)の後端側端面により形成される位置合わせ面(23F)とを設け、
    前記生爪(24)と爪受台(23)との間には、中央部に前記生爪(24)の取付穴(24A)を介して前記固定ボルト(26)が挿通される挿通穴(25A,42A)を有し、表面側に前記生爪(24)を廻止め状態で保持する保持部を有したアダプタ(25,42)を設け、
    かつ該アダプタ(25,42)の裏面側には、前記爪受台(23)に対して該アダプタ(25,42)を位置決めするため、前記挿通穴(25A,42A)よりも後側に位置して前記爪受台(23)の位置合わせ溝(23A)と位置合わせ面(23F)とのいずれかに選択的に係合する段差部(25E,42D)と、前記アダプタ(25,42)の前端側から前記挿通穴(25A,42A)を横切るように該段差部(25E,42D)の位置まで直線状に延び前記爪受台(23)の係合凸部(23B),(23C)のうちいずれか一方の係合凸部に嵌合する凹溝(25F,42E)とを設ける構成としたことを特徴とする工作機械用生爪チャック。
  2. 前記アダプタ(25)の保持部は、前記生爪(24)の各角部(24B)間に位置する互いに平行な平面部(24C)に左,右両側から係合して前記生爪(24)の廻止めを行う一対のストッパ突起(25C),(25C)により構成してなる請求項に記載の工作機械用生爪チャック。
  3. 前記生爪(24)には前記取付穴(24A)と各角部(24B)との間に間隔をもって複数の係合穴(41)を設け、前記アダプタ(42)の保持部は該各係合穴(41)に選択的に係合して前記生爪(24)の廻止めを行うスプリング付勢式のロック機構(43)により構成してなる請求項に記載の工作機械用生爪チャック。
  4. 前記各爪受台(23)に取付けた3個の生爪(24)間には、前記加工対象物の曲率に沿って各生爪(24)の角部(24B)を削り加工するときに前記各生爪(24)間に挟持状態で配置される心出し治具(27)を取外し可能に設け、該心出し治具(27)は、環状のリング(28)と、該リング(28)に3方向から螺合して設けられ頭部側が前記生爪(24)の角部(24B)に当接するように該リング(28)の径方向に進退される3個の調節ボルト(29)とにより構成してなる請求項1,2または3に記載の工作機械用生爪チャック。
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