JP3581276B2 - 電子銃及びその製造方法並びにフィールドエミッションディスプレイ - Google Patents

電子銃及びその製造方法並びにフィールドエミッションディスプレイ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷陰極より電子を放出させる電子銃及びその製造方法並びにフィールドエミッションディスプレイに関し、特にエミッタエッジとしてカーボンナノチューブを用いた電子銃に関する。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
冷陰極を電子放出源(電子銃)として用いた装置として、FED(Field Emission Display)が知られている。FEDは、電界放出(Field Emission)により真空中に放出された電子を蛍光体に入射させて発光させるディスプレイである。FEDの発光原理はCRT(Cathode Ray Tube)と同じであるが、CRTが点電子源からの電子ビームを二次元の蛍光体に対して走査するのに対して、FEDは電界放出電子源(Field Emitter)を多数個配列した面状電子源を有しているので、低消費電力で極薄パネル化が可能となる。また、FEDは、液晶表示装置のように外部からの光(透過型の場合のバックライト、反射型の場合の外光)が必要でない自発光型ディスプレイで、薄く、視野角が広く明るい画面を提供でき、しかも発光効率が高く光源が不要であるため消費電力も少ない。
【0003】
FEDにおいては、ゲート電極(グリッドとも呼ばれる)によってエミッタから電子を引き出し、この電子を蛍光体が形成されたアノードに入射させている。このゲート電極に印加する電圧を制御することで、エミッタから放出される電子の量が制御され、階調表示が可能となる。
【0004】
FEDでは、ファウラー−ノルトハイム(Fowler−Nordheim)則に従った電子放射がエミッタから生ずる。このファウラー−ノルトハイムの式によれば、エミッタ電極の先端半径を小さくし、エミッタ−ゲート間を近づけ、エミッタを低仕事関数の材料とするなどにより、その動作電圧を低減することができるとされている。
【0005】
FEDとして実用化されたものは、Moを材料とするSpindt型と称される円錐状のエミッタコーンを電界放出電子源として用いている。このエミッタコーンの先鋭部分に電圧を集中させて、電子を引き出し易くしている。
【0006】
Spindt型エミッタは、特開平8−148083、特開平8−202286、特開平8−306327、特開平9−245618、特開平10−50240、特開平10−208649など、多数の公報に開示されている。
【0007】
Spindt型エミッタは、電子を真空中に放出する能力が三次元構造の形状に依存し、特にエミッタコーンの頂角ないしは先端の径に依存する。
【0008】
しかし、現在の微細加工技術では、エミッタコーンの先端部の直径は10nm前後であり、さらに改善の余地があった。また、エミッタコーンの形成には10nm前後の微細加工が困難な上に、露光装置のサイズによって大面積化にも自ずから制限があり、特に数十インチ以上のパネル作成は現状のフォトリソグラフィ技術では困難であった。
【0009】
なお、モリブデン(Mo)などは仕事関数が大きいため、そのカソード表面に低仕事関数のダイヤモンドライクカーボンなどを成膜する技術も提供されている(特開平10−312736、特開平10−50206、特開平10−134701、特開平10−199398)。
【0010】
しかし、原子が放出されるエミッタエッジの表面が低仕事関数の材料で覆われたとしても、エミッタコーンの先端径は依然として10nm前後であり、先鋭化の問題は依然残される。
【0011】
応用物理第67巻第12号(1998)の第1390頁〜第1394頁には、Siエミッタコーンを形成するために、異方性化学エッチング(ODE)または反応性イオンエッチング(RIE)のエッチング処理後に低温熱酸化を行って、Siエミッタコーンの尖鋭化を行った実験も報告されている。
【0012】
しかし、この超微細加工を基板上の多量のSiエミッタコーンに対して均一に実施するには、実用上困難を極める。
【0013】
エミッタエッジの先鋭化と低仕事関数の材質を用いることとを共に解決するものとして、カーボンナノチューブをエミッタとして用いることが提案されている。カーボンナノチューブをエミッタとして利用することは、特開平10−208677、特開平10−199398及び上述の応用物理第67巻第12号(1998)などに開示されている。
【0014】
特開平10−208677及び応用物理第67巻第12号には、カーボンナノチューブを垂直に向けて配置することが記載されている。この配置方法について上記各文献に直接開示はないが、アーク放電を利用して形成したカーボンナノチューブを溶液等で集め、方向を揃えて基板上に張り付ける必要があった。
【0015】
しかし、ナノオーダーのサイズのカーボンナノチューブを取り扱うのが困難な上に、質(長さ、径、カイラリイー、電気抵抗など揃ったカーボンナノチューブを大量に生産し、それを基板に張り付けることは、実用上不可能である。取り扱いを考慮してカーボンナノチューブを長くすると(特開平10−208677には垂直に向いた直径10nm、長さ1μmとある)、電気抵抗が大きくなり、エミッタとして充分な電流を確保するには多量のカーボンナノチューブを必要とする。
【0016】
特開平10−199398には、カーボンナノチューブはカーボン材のアークプラズマによる放電、レーザアベレーション等の手法によりカソード上に堆積できるとしている。
【0017】
しかし、カーボンナノチューブの軸方向をアノードに向けて堆積させる方法については何等開示がない。
【0018】
そこで、本発明の目的は、径が小さく低仕事関数であるカーボンナノチューブをエミッタとして用い、しかも張り付けによらずにカーボンナノチューブの軸方向をアノードに向けて揃えて配置し、そのチューブの軸方向端部をエミッタエッジとして利用することができる電子銃及びその製造方法並びにフィールドエミッションディスプレイを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、基板表面にてカーボンナノチューブを直接成長させ易くすることができる電子銃の製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板の表面層上に形成された尖鋭な先端部を有するエミッタと、前記エミッタからの電子放出を制御するグリッドとを有し、前記エミッタの先端部と対向するアノードに向けて電子を放出する電子銃において、
前記表面層にはコーン形状の複数の突起部が形成され、
前記エミッタは、前記複数の突起部の各々に直接成長させたカーボンナノチューブにて形成され、前記カーボンナノチューブの先端部は前記突起部の先端頂部より突出していることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、突起部上に直接成長されたカーボンナノチューブの先端部が突起部の先端より突出し、そのカーボンナノチューブの先端部をエミッタエッジとして利用して、その先端部から電子を放出させることができる。このカーボンナノチューブは基板の表面層に形成された突起部に沿って形成されるので、その軸方向をアノードの方向に向けて配置できる。このとき、カーボンナノチューブの軸方向がアノード面に対して必ずしも垂直でなくても、放出電子は電界によってアノードに到達させることができる。カーボンナノチューブの直径は1〜10nmと細いため、先端部の尖鋭化が果たされると共に、低仕事関数のカーボンによってエミッタエッジを形成できる。また、突起部上にカーボンナノチューブを直接成長させるので、張り付け等の操作を要せず、カーボンナノチューブの長さを最適に設定できる。
【0022】
本発明に用いられるカーボンナノチューブは単層及び多層のいずれでもよいが、先端部の径を細くできる単層ナノチューブがより好ましい。
【0023】
基板の表面層は、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンまたは不純物がドープされた導電性シリコンのいずれかであることが好ましい。これらの材質であれば、カーボンナノチューブを直接成長させることができる。なお、表面層が上記材質であれば、基板自体はガラス基板等を用いることができる。
【0024】
本発明に係るフィールドエミッションディスプレイは、各画素毎に蛍光体が形成されたアノードと、上述の構成を有する1又は複数の電子銃を各画素と対向して配置することで構成される電子銃アレーとを有する。
【0025】
本発明のフィールドエミッションディスプレイのエミッタは、カーボンナノチューブの先端部をエミッタエッジとして利用することで、エミッタエッジの先鋭化が果たされ、そのための微細加工は不要となる。従って、本発明のティールドエミッションディスプレイは大画面化にも対応可能である。
【0026】
を有することを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
【0027】
本発明のさらに他の態様では、基板の表面層上に形成された尖鋭なエミッタと、前記エミッタからの電子放出を制御するグリッドと、前記エミッタの先端と対向するアノードと、を有する電子銃の製造方法において、
前記表面層にコーン形状の複数の突起部を形成する工程と、
加熱下にて炭素を含むガスを分解して、前記複数の突起部の各々にてカーボンナノチューブを気相成長させて、前記カーボンナノチューブにて前記エミッタを形成する工程と、
を有し、前記気相成長工程では、前記カーボンナノチューブが前記突起部の先端部より突出するまで気相成長させることを特徴とする。
【0028】
このように、本発明に係る製造方法では、突起部の先端部からカーボンナノチューブの先端部が突出するまで気相成長工程を実施することで、所望の突出長さのカーボンナノチューブを突起部上に直接成長させることができる。
【0029】
本発明に係る電子銃の製造方法において
前記表面層に形成された前記複数の突起部を塩化物を含む溶液に浸す工程と、
その後、加熱下にて炭素を含むガスを分解して、前記複数の突起部の各々にカーボンナノチューブを気相成長させて、前記カーボンナノチューブにて前記エミッタを形成する工程と、
を有することができる
【0030】
気相成長工程の前に基板の表面層を塩化物を含む溶液に浸すことで、表面層上にてカーボンナノチューブを確実に成長させることができる。この理由は、塩化物溶液によって表面層上に核が形成され易くなるか、あるいは塩化物が気相成長時の触媒として機能するものと考えられる。
【0031】
気相成長工程のプロセスガスは炭化水素系ガスが好ましく、さらに好ましくはメタン、エタン、プロパンの中から選ばれた1種以上を含むことができる。
を特徴とする電子銃の製造方法。
【0032】
気相成長工程前に用いられる溶液は、塩化第1鉄、塩化第2鉄、酸化モリブデン塩化物、塩化珪素の中から選ばれた1種以上の塩化物を含むことが好ましく、この場合その溶液の溶媒としてアルコール溶液を用いることができる。また、この溶液は界面活性剤を含むことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子銃の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
(本発明の電子銃の原理説明)
図1は本発明に係る電子銃を模式化して示す原理説明図である。図1において、カソードとなる例えば導電性シリコン層10の表面には多数の突起部例えばSiコーン12が形成されている。このSiコーン12の円錐面上にて、エミッタ(マイクロカソードとも呼ばれる)となるカーボンナノチューブ20が直接成長して形成され、その先端部20AはSiコーン12の頂部12Aよりもさらに突出している。カーボンナノチューブ20から放出される電子の飛翔経路と干渉しない位置に、カーボンナノチューブ20からの電子の放出量を制御するためのグリッド(ゲート)30が配置されている。さらに、グリッド30を挟んで導電性シリコン層10と対向する位置には、アノード(蛍光板)40が配置されている。
【0035】
導電性シリコン層10とアノード40とには一定電源Vaからの一定電圧が印加され、導電性シリコン層10とグリッド(ゲート)30とには、可変ゲート電圧源Vgからの可変電圧が印加される。
【0036】
図1は、EFDの1画素を表示するための陰極素子である電子銃を示し、各画素の蛍光体に対応させて図1の構造の電子銃を同一基板または分割基板上に多数マトリクス状に形成してマルチ電子ビーム源とすることで、FEDとしての二次元画像形成装置を構成できる。なお、図1に示すように1画素に対して複数のカーボンナノチューブ20を対向配置しても良いし、一つのカーボンナノチューブ20を配置しても良い。
【0037】
FEDを構成するパネルの駆動原理は下記の通りである。カーボンナノチューブ(エミッタ)20の動作に必要な電圧をVeとしたとき、導電性シリコン層(カソードライン)10に例えば−Ve/2の電圧を印加し、グリッド(ゲートライン)30に例えば+Ve/2の電圧を印加する。導電性シリコン層(カソードライン)10の電位が−Ve/2になった画素ラインのみが選択されたことになり、グリッド(ゲートライン)30に印加されている+Ve/2の輝度信号によって、選択されたフィールドエミッタにのみ電圧Veが作用して、1画素と対応する複数のカーボンナノチューブ20より電子が放出される。それ以外の画素ラインのエミッタにはVe/2の電圧しか印加されないので電子は放出されない。また、グリッド(ゲートライン)30に印加される電圧を制御することで、カーボンナノチューブ(エミッタ)20から放出される電子の量が制御され、アノード40上にて画素毎の階調表示が可能となる。
【0038】
ここで、エミッタとして機能するカーボンナノチューブ20とは、六員環がらせん状にねじれて中空チューブ形状になったもので、一層のねじれ構造である単層カーボンナノチューブと、二重以上の多層のねじれ構造である多層カーボンナノチューブとがある。本発明では、単層及び多層のカーボンナノチューブを採用できるが、径の小さい単層カーボンナノチューブの方が好ましい。
【0039】
このカーボンナノチューブ20の直径は1〜10nmであり、単層カーボンナノチューブの場合には1〜3nmの直径とすることができる。また、カーボンナノチューブ20の長さは100nm程度まで成長可能であるが、エミッタとして使用する場合には短い方が抵抗値を下げられる点で優れている。特に、Siコーン12の頂部12Aより突出した突出部20Aの長さを短くすることが抵抗値の低減に効果的であり、この突出部20Aの長さは50nm以下、好ましくは20nm以下、さらに好ましくは10nm以下とするのが良い。
【0040】
このように、エミッタをカーボンナノチューブ20とし、Siコーン12のような突起部から突出した軸方向先端をエミッタエッジとして利用すれば、エミッタ先端径がナノオーダとなり、尖鋭化によりエミッタ電流を増大でき、あるいは所望のエミッタ電流を得るための駆動電圧を低減できる。
【0041】
(電子銃の構造例1)
図2は、図1の電子銃をより具体的に示した構造例を示している。図2において、基板例えばガラス基板100上にカソード電極層102が形成されている。FEDを構成する場合、このカソード電極層102は、このガラス基板100上にアモルファスシリコンまたは多結晶シリコンなどをライン状に堆積することで形成できる。このカソード電極層102は、単結晶シリコンまたは不純物がドープされた導電性シリコンであってもよい。FEDなどに用いるマルチ電子源を構成しない場合には絶縁基板が不要であり、この場合は基板100自体を単結晶シリコン基板あるいは不純物がドープされたシリコン基板とすることができる。
【0042】
カソード電極層102上には、複数の突起部例えばコーン形状104と、それ以外の領域には絶縁層106とが形成されている。絶縁層106上にはゲート電極層(グリッド)108が形成されている。そして、コーン形状104上に、コーン形状104の頂部104Aより突出するカーボンナノチューブ110が形成され、これによれ電子銃が構成されている。なお、カソード電極102上に抵抗層(例えばアモルファスシリコン)を形成し、この抵抗層自体を加工して、あるいは抵抗層上にコーン形状104を形成してもよい。
【0043】
(構造例1の製造方法)
図3(A)(B)は図2に示すコーン形状104の製造ステップを示している。図3(A)に示すように、予めカソード電極層102上には、絶縁層106、ゲート電極層108及びホール109が、フォトリソグラフィ工程とエッチング工程との実施により形成されている。図3(A)では、アルミニウムを斜め蒸着することで犠牲層120が形成されている。図3(A)のように形成された基板に対して、コーン材料となる例えば多結晶シリコン130をCVD法等により形成することで、図3(B)のように、ホール109内に多結晶シリコンのコーン形状104が形成される。その後、犠牲層120と共にその上の多結晶シリコンが除去される。
【0044】
ここで、本実施の形態では、コーン形状104の先端部をエミッタエッジとして用いるものでないので、コーン形状104の先端部の尖鋭化は必ずしも必要でない。
【0045】
カーボンナノチューブ110は、図3(B)に示すコーン形状104上に形成される。すなわち、カーボンナノチューブ110はゲート電極層108の形成後に実施される。
【0046】
図3(B)の構造を有する基板は、先ず塩化物を含む溶液に浸される。塩化物しては、塩化第1鉄、塩化第2鉄、酸化モリブデン塩化物、塩化珪素の中から選ばれた1種または2種以上の混合物とすることができる。この浸漬工程後に、カーボンナノチューブ110の気相成長工程が開始される。このために、CVD炉内に基板を配置し、炭化水素系ガス例えばメタン、エタン、プロパンの中から選ばれた1種のガスまたは2種以上の混合ガスを、1000sccm程度の流量で供給する。この炭化水素系ガスをCVD炉内にて加熱下例えば900°の温度にて分解して、カーボンナノチューブ110をコーン形状104上にて直接成長させる。
【0047】
ここで、上述の塩化物の溶液に浸した後に気相成長工程を実施すると、カーボンナノチューブ110が確実に成長した。これは、カーボンナノチューブの気相成長の初期段階で形成される核の形成に、塩化物が寄与するものと考えられる。あるいは、塩化物がカーボンナノチューブ110の成長を促進する触媒として寄与するもの考えられる。
【0048】
塩化物を溶液化するための溶媒としては、例えばエタノールなどのアルコール溶液を用いることができる。アルコール溶液を溶媒として用いると、コーン形状104に塩化物が付着した後、アルコール溶液は蒸発するので好ましい。
【0049】
この溶液には、界面活性剤が含まれることが好ましい。コーン形状の界面を活性化することで、カーボンナノチューブ110の成長が促進され、その付着強度が高められるからである。
【0050】
カーボンナノチューブ110は、コーン形状104の円錐面に核がまず形成され、それが成長することで形成される。コーン形状104の円錐面の前面にカーボンナノチューブは形成されるが、最終的には1本のカーボンナノチューブ110が、コーン形状104の頂部104Aより突出して成長する。そして、処理時間等を制御することで、コーン形状104の頂部104Aより突出するカーボンナノチューブ110の突出長さを適切に調整できる。
【0051】
また、カーボンナノチューブ110は金属の上には成長しないので、例えばAl等の金属にてゲート電極108の形成した後に気相成長工程を実施すれば、コーン形状104にのみカーボンナノチューブ110を選択的に成長させることが出来る。
【0052】
(電子銃の構造例2)
図4は、図1の電子銃をより具体的に示した他の構造例を示している。図4において、基板例えばガラス基板200上には、図2と同じ材質から成るカソード電極層202が形成されている。
【0053】
カソード電極層202の表面はエッチングされて、複数の突起部例えばコーン形状204が形成され、そのコーン形状204の頂部204Aより突出するカーボンナノチューブ210が形成されている。また、コーン形状204の周囲には絶縁層206が形成され、この絶縁層206上にはゲート電極層(グリッド)208が形成されている。
【0054】
(構造例2の製造方法)
図5(A)(B)は図4に示すコーン形状204の製造ステップを示している。図2に示す電子銃の製造方法とは異なり、コーン形状204はグリッド208の形成前に形成される。
【0055】
図5(A)に示すように、カソード電極層202上には、フォトリソグラフィ工程の実施によりマスク(例えばSiO)220が設けられる。
【0056】
この後、図5(B)に示すように、カソード電極層202をエッチングしてコーン形状204を形成する。このエッチングとしては、反応性イオンエッチングまたは異方性エッチングを用いることができる。異方性エッチングの場合には、例えばSiの結晶面(111)の方向を予め規定しておくことで、カソード電極層202をコーン形状または台形状にエッチングすることができる。反応性イオンエッチングは、例えばSF+Oなどのガスを用いることで、カソード電極層202を同様にエッチングすることができる。なお、上述した通り、コーン形状204の尖鋭度を高める必要は必ずしもない。
【0057】
この後、マスク220を除去し、構造例1と同様に基板を塩化物溶液に浸した後に、コーン形状204上にカーボンナノチューブ210を直接成長させる。
【0058】
その後、コーン形状210の周縁に絶縁層206を形成し、この絶縁層206上にはゲート電極層(グリッド)208を形成するための電極層を貼り付ける。さらに、この電極層をフォトリソグラフィ工程、エッチング工程によりパターニングしてゲート電極層208に加工する。なお、カーボンナノチューブ210は、ゲート電極層208の形成後にコーン形状204上に直接成長させても良い。
【0059】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、カーボンナノチューブが成長される突起部は、必ずしもコーン形状(円錐)に限らず、台形形状、円柱形状などの突起でよく、要はその突起の先端部よりもカーボンナノチューブの先端部が突出していればよい。こうすれば、カーボンナノチューブの軸方向の先端部を電子放出のためのエミッタエッジとして利用できるからである。また、カーボンナノチューブの軸方向がアノード面に対して必ずしも垂直でなくてもよい。電界によってカーボンナノチューブの先端部から放出される電子はアノード面に到達するからである。さらに、カーボンナノチューブが成長される突起部は、必ずしも基板の表面層を加工して形成されるものに限らず、表面層自体の凹凸を利用するものであってもよい。このとき、表面層に突起部を形成する工程は、基板に表面層を形成することで同時に実施される。
【0060】
また、本発明を図6に示す構造に採用しても良い。図6はシリコン単結晶基板300上に形成したFEDが周辺回路と一体化された構造を示している。MOSトランジスタ310は、ソース312,ドレイン314、引き出しゲート316及び制御ゲート318の二重ゲートを有している。ドレイン314自体が突起部例えばコーン形状320に形成され、そのコーン形状320上にカーボンナノチューブ330が直接成長されている。のドレインを電子放出部であるエミッタとしている。こうすると、MOSトランジスタ310のドレイン314に形成されたカーボンナノチューブ(エミッタ)330の放出電流を、引き出しゲート316への一定電圧印加に加えて、制御ゲート318への印加電圧を制御することで、高精度に制御できる。
【0061】
さらに、本発明に係る電子銃は上述したFEDなどの画像表示装置に適用されるものに限らず、画像記録装置、露光装置、回路リペア装置、電子顕微鏡など、電子または電子ビームを放出して種々の機能を実現するための電子放出源として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子銃の原理説明図である。
【図2】図1の電子銃の具体的構造例1を示す断面図である。
【図3】図3(A)(B)は、図2に示すコーン形状の製造ステップを示す断面図である。
【図4】図1の電子銃の具体的構造例2を示す断面図である。
【図5】図5(A)(B)は、図4に示すコーン形状の製造ステップを示す断面図である。
【図6】FEDが周辺回路と一体化された構造を示す本発明のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
10,102,202 カソード電極層
12,104,204,320 コーン形状
12A 先端部
20,110,210,330 カーボンナノチューブ
20A,110A,210A 先端部
30,108,208 グリッド(ゲート)
40 アノード(蛍光体)
100,200 ガラス基板
106,206 絶縁層
300 単結晶シリコン基板
310 MOSトランジスタ
312 ソース
314 ドレイン
316 引き出しゲート
318 制御ゲート

Claims (13)

  1. 基板の表面層上に形成された尖鋭な先端部を有するエミッタと、前記エミッタからの電子放出を制御するグリッドとを有し、前記エミッタの先端部と対向するアノードに向けて電子を放出する電子銃において、
    前記表面層にはコーン形状の複数の突起部が形成され、
    前記エミッタは、前記複数の突起部の各々に直接成長させたカーボンナノチューブにて形成され、前記カーボンナノチューブの先端部は前記突起部の先端頂部より突出していることを特徴とする電子銃。
  2. 請求項1において、
    前記カーボンナノチューブが単層ナノチューブであることを特徴とする電子銃。
  3. 請求項1において、
    前記カーボンナノチューブが多層ナノチューブであることを特徴とする電子銃。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記表面層は、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンまたは不純物がドープされた導電性シリコンのいずれかであることを特徴とする電子銃。
  5. 各画素毎に蛍光体が形成されたアノードと、
    請求項1乃至4のいずれかに記載にされた1又は複数の電子銃が、前記各画素と対向して配置された電子銃アレーと、
    を有することを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
  6. 基板の表面層上に形成された尖鋭なエミッタと、前記エミッタからの電子放出を制御するグリッドと、前記エミッタの先端と対向するアノードと、を有する電子銃の製造方法において、
    前記表面層にコーン形状の複数の突起部を形成する工程と、
    加熱下にて炭素を含むガスを分解して、前記複数の突起部の各々にてカーボンナノチューブを気相成長させて、前記カーボンナノチューブにて前記エミッタを形成する工程と、
    を有し、前記気相成長工程では、前記カーボンナノチューブが前記突起部の先端部より突出するまで気相成長させることを特徴とする電子銃の製造方法。
  7. 請求項6において、
    前記表面層に形成された前記複数の突起部を塩化物を含む溶液に浸す工程と、
    その後、加熱下にて炭素を含むガスを分解して、前記複数の突起部の各々にカーボンナノチューブを気相成長させて、前記カーボンナノチューブにて前記エミッタを形成する工程と、
    を有することを特徴とする電子銃の製造方法。
  8. 請求項6または7において、
    前記ガスは、炭化水素を含むことを特徴とする電子銃の製造方法。
  9. 請求項8において、
    前記炭化水素を含むガスが、メタン、エタン、プロパンの中から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする電子銃の製造方法。
  10. 請求項6において、
    前記気相成長工程の前に、前記基板の表面層を塩化物を含む溶液に浸す工程を含むことを特徴とする電子銃の製造方法。
  11. 請求項7または10において、
    前記溶液は、塩化第1鉄、塩化第2鉄、酸化モリブデン塩化物、塩化珪素の中から選ばれた1種以上の塩化物を含むことを特徴とする電子銃の製造方法。
  12. 請求項11において、
    前記溶液の溶媒が、アルコール溶液であることを特徴とする電子銃の製造方法。
  13. 請求項6,10,11または12において、
    前記溶液は、界面活性剤を含むことを特徴とする電子銃の製造方法。
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