JP3581258B2 - 鉄道車両用衝撃吸収台枠構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、衝突時の衝撃を緩和する鉄道車両用衝撃吸収台枠構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用台枠は、垂直荷重・車端圧縮荷重・ねじり荷重等の設計荷重に対して、発生応力を仕様強度以下に抑えて、塑性変形することがないように設計されている。しかも、剛性の観点から、それら荷重作用時の変形が規定範囲内の変位量以下となるように設計されている。これらは、強度・剛性を中心においた設計であり、台枠を初めとする車両構体設計時には常識となっている。いわゆる「頑丈であれば許される」ところの、構造物の古典的な設計思想である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、最近の車両仕様、特に低床式連節車両に代表される市内電車等の軽車両の仕様においては衝突事故に遭遇する可能性が比較的高いために、従来のような「壊れない」設計ではなく、衝突等の必要時に「壊れ易い」構造が要求されるようになってきた。これは、従来の「壊れない」構造では、衝突時に構体前頭部の破損する程度が少ない反面、車両は前頭部を破壊することなく急峻な停車ないしは跳ね返りを起こすために、車内の乗客に作用する加速度・減速度が極めて大きくなるので、乗客に与えるダメージが大きくなる欠点があることを鑑みて提唱されてきたものといえる。すなわち、「頑丈なだけ」の構造では、衝突等の際に、前頭部の構造が壊れにくいために、構造物の塑性ひずみエネルギーとして吸収できる衝撃エネルギー量が極めて少なくなるので、衝撃を緩衝することはほとんど困難であることに起因する。
【0004】
本発明は、上記従来構造の衝突時の欠点を反省し、部分的に「壊れ易い」構造を車両台枠に組み込むことにより、衝突時の衝撃力を緩和し、乗客保護を図ることのできる鉄道車両用衝撃吸収台枠構造を提供することを目的とする。
しかも、この構造は、後述の理由により、所定の垂直荷重・車端圧縮荷重・ねじり荷重・車端持ち上げ荷重時等に対しては「壊れない」構造である必要がある。その上、耐衝撃荷重の異なる各種の車両に対し、容易に対応できるものである必要がある。
【0005】
ところで、出願人は先に、上記課題を解決するため、複数本のエネルギー吸収梁を車両前頭部に直並列に設けて、衝撃力が付加された場合にはそのエネルギー吸収梁が壁面座屈することにより衝撃エネルギーを吸収する構成の衝撃吸収台枠構造について特許出願を済ませている(特願平10−108044号)。この構成の場合、エネルギー吸収量はエネルギー吸収梁の長さすなわち変形ストロークによって決まる一方、エネルギー吸収梁の長さをあまり長くすると壁面座屈を起こす前に折れ曲がり座屈を起こしてしまう不都合がある。このため、前記先の出願に係る発明では、比較的短いエネルギー吸収梁を横梁を介して直列に接続することにより変形ストロークを確保していたが、より簡単な構造で、変形ストロークを長くできる衝撃吸収台枠構造が要望された。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の鉄道車両用衝撃吸収台枠構造では、鉄道車両用台枠の前端部に、車両の幅方向に沿う横梁と端梁が車両の長手方向に離間して平行に配置され、前記横梁と端梁間に、車両前頭部からの所定値以上の衝撃力の付加により、壁面座屈して衝撃エネルギーを吸収するエネルギー吸収梁が設けられ、前記エネルギー吸収梁は、壁面座屈するきっかけとなる局部変形が予め付与された断面日型の押出部材からなり、この部材が複数本、前記横梁と端梁間に並列配置されてなり、エネルギー吸収梁の上下左右の各側面に沿って補強パネルが重ね合わされて設けられており、前記補強パネルは、エネルギー吸収梁の長手方向には比較的弱いが、折れ曲がりには強いアルミハニカムパネルからなることを特徴とする。
なお、本発明は、大型車両や高速車両をも含んだ全ての車両に適用可能であるが、衝突事故に遭遇する可能性が比較的高い市内電車として使用され、且つ背が低いため衝突時の危険性の高い低床式車両に適用すれば、一層効果的と言える。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の鉄道車両用衝撃吸収台枠構造は、鉄道車両用台枠の前端部に配置された横梁もしくは端梁間に、車両長手方向に沿う衝撃エネルギー吸収梁を複数本、直並列配置結合して設けたことを特徴とする。そして、特に、アルミハニカムパネル等からなる補強パネルをエネルギー吸収梁の上下左右の周側面に沿って設けることにより、エネルギー吸収梁の長さを長くしても、エネルギー吸収梁の折れ曲がり座屈を防止しつつ、壁面座屈による変形ストロークを長手方向に十分とれることを特徴とする。このため、本発明によれば、エネルギー吸収梁の長手方向の直列結合が不要或いは著しく少なくすることができる。
エネルギー吸収梁は、金属あるいは樹脂材料等の適切な剛性と降伏強さ及び展性を持った材料により構成される。そして、衝突事故時等の過大な衝撃エネルギーが付加された場合、その衝撃エネルギーは主にそのエネルギー吸収梁の壁面座屈による塑性ひずみエネルギーにより吸収されることを特徴とする。
つまり、本発明では、車両前頭部のある範囲を破壊領域として設定し、わざと「壊れ易い」構造とすることにより、そこから後部を「壊れない」構造で且つ「加速度・減速度の低い」領域とした。衝撃エネルギーは「壊れ易い」領域のエネルギー吸収梁が変形するときの塑性ひずみエネルギーにより吸収されるので、そのひずみエネルギーを大きく取れるような構造にすれば、後部の加速度・減速度を低く抑えることができるのである。
【0008】
一般に物体の塑性変形ひずみエネルギーは、作用荷重と変形ストロークの積で与えられる。従って、吸収エネルギーを大きくするためには、作用荷重(一定ではない)か変形ストロークを大きくすればよいことになる。
しかし、作用荷重を大きくすることは作用反作用の法則により、後部台枠へ大きな力を伝達してしまうことになり、後部の保護の観点から不可能である。特に、瞬間的に大きなピークを持つような作用荷重は後部に悪影響を及ぼす。
そこで、効率的に吸収エネルギーを大きくするためには、できるだけ均一でしかも後部台枠の強度臨界値に近い一定の作用荷重に抑えて、大きな塑性変形ストロークを確保できるような構造を導入することが効果的である。
このようなことから、本発明は、ほぼ一定の作用荷重で大きな塑性変形ストロークを得ることができる衝撃エネルギー吸収梁を複数本、直並列に配置したことを特徴とする台枠構造である。
【0009】
ところが、一般に、車両に「衝突時に壊れ易い」構造を導入する際には、衝突とは別の「壊れてはいけない」荷重条件も同時に満足させなければならない場合が大半である。すなわち、衝突時に「壊れ易い」ことと、別の荷重条件下等では「こわれてはいけない」こととの双方を両立させなければならず、このことが「壊れ易い」設計を従来から困難にしている。前記「別の荷重条件」としては、例えば垂直荷重や車端圧縮荷重、ねじり荷重、或いは脱線復旧時の車端持ち上げ荷重条件がある。
本発明は、上記衝突時の「壊れ易さ」と、所定の垂直荷重・車端圧縮荷重・ねじり荷重・車端持ち上げ荷重時等の「頑丈さ」とを両立させた鉄道車両用衝撃吸収台枠構造を提供するものである。
【0010】
衝撃エネルギー吸収梁は、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、樹脂材料等でできたものであり、通常、車両メーカーで製作されるか、又は専門メーカーから供給される。
エネルギー吸収梁は、軸圧縮荷重作用時にオイラー座屈(折れ曲がり座屈)を起こさずに、ほぼ一定の軸圧縮荷重下で部材の壁面座屈を繰り返しつつどんどん圧縮ストロークを発生する特性を持つように設計されている。すなわち、壁面座屈を繰り返し発生するのに必要な軸圧縮荷重値が設計上の希望値に等しくなるように、その断面が決定される。
【0011】
また、エネルギー吸収梁は、元長が長いほど圧縮ストロークが長くなるので、圧縮時の塑性ひずみエネルギーを大きくとるためには元長を長くすればよいと考えられる。しかしながら、エネルギー吸収梁は、ある長さよりも長くなると、壁面座屈を起こす前に折れ曲がり座屈を起こしてしまい、一定の作用荷重も長い変形ストロークもどちらも得られなくなってしまう。
そこで、本発明では、この折れ曲がり座屈を防止するために、アルミハニカムパネル等からなる補強パネルをエネルギー吸収梁の上下左右の周側面に沿って設けてエネルギー吸収梁の補強を図った点に特徴を有する。これにより、エネルギー吸収梁に折れ曲がり座屈を発生させることなく壁面座屈による軸圧縮変形を起こし続けて、十分な圧縮ストロークを得ることができる。
【0012】
ところで、エネルギー吸収梁を配置する範囲は、車両衝突時には長手方向に大きく圧縮変形するので、「壊れ易い」範囲となる。この「壊れ易い」範囲は、室内配置の都合上(客室を壊れ易い範囲にはできない)通常それほど長くはとれないから、短い長さで吸収エネルギーを大きくするために、本発明では車幅方向にエネルギー吸収梁を複数列並列に配置することを特徴とする。
つまり、エネルギー吸収梁を横梁間に並列に複数列配置することにより、必要な衝撃吸収エネルギーに相当するだけのひずみエネルギーを確保している。そして、各列では、必要があれば、エネルギー吸収梁を長手方向に直列配置することも可能である。その場合、中間部に横梁を介して接続すればよい。
なお、車両台枠には、縦通部材として、エネルギー吸収梁以外に、構体側面下端に側梁があるが、一般に側梁はチャンネル断面(開断面)を有しているため、横梁間隔がエネルギー吸収梁と側梁とで等しい場合、側梁はエネルギー吸収梁よりも小さい軸圧縮荷重で折れ曲がり座屈を起こすので、側梁がエネルギー吸収梁の変形を阻止するようなことにはならない。
【0013】
一方、このエネルギー吸収梁は、衝突とは別の「壊れてはいけない」荷重条件も同時に満足させなければならない。この荷重条件(例えば垂直荷重や所定の車端圧縮荷重、ねじり荷重、或いは脱線復旧時の車端持ち上げ荷重条件等)の下では通常、エネルギー吸収梁に衝突時と同じ方向の軸圧縮力以外に曲げモーメントが作用する。
前者(軸圧縮力)の大きさは、当然衝突時の軸圧縮荷重よりは小さい。このため、エネルギー吸収梁の壁面座屈開始軸圧縮力を、「壊れてはいけない」軸圧縮荷重以上で、且つ「壊れなければならない」軸圧縮荷重以下に設定することで両方の条件をクリアできる。
また、後者(曲げモーメント)に対しては、このエネルギー吸収梁の断面設計の際に、必要十分な曲げ剛性を十分確保できる。このため、「壊れてはいけない」荷重条件によって、エネルギー吸収梁に作用する曲げモーメントによる降伏破壊や折れ曲がり座屈は起こらないような断面形状に設計されている。
【0014】
本発明は、以上のように、衝突時の「壊れ易さ」と、所定の垂直荷重・車端圧縮荷重・ねじり荷重・車端持ち上げ荷重時等の「頑丈さ」を両立させた構造を提供するものであり、鉄道車両の前頭部衝突時の乗客の安全性を向上させるものである。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の鉄道車両用衝撃吸収台枠構造について、さらに詳細に説明する。
図1は、本発明の台枠構造の一実施例が適用された鉄道車両用衝撃吸収台枠1を示し、(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図である。
この台枠1は、低床式連節車両の先頭車両用のものであり、その前端部に本発明の台枠構造が適用されている。
台枠1は、矩形状の台枠本体部11の前端部に、衝突時に破壊領域として作用する衝撃吸収部12が設けられてなる。
台枠本体部11は、前後両端部にそれぞれ横梁(第1横梁21、第2横梁22)が、車両の幅方向に沿って配置され、この横梁21,22の各左右両端部同士が、車両の長手方向に沿って配置される2本の側梁31,31、及び枕梁29を介して中梁41,41によって連設されてなる。
【0016】
台枠本体部11の前端部に左右方向に沿って配置される第1横梁21は、正方形状の断面を持つ部材とされている。
台枠本体部11の後端部に左右方向に沿って配置される第2横梁22は、断面コ字形状の部材からなり、その開放部を前方に向けた状態に配置されている。
台枠本体部11の左右両端部に前後方向に沿って配置される側梁31,31は、断面コ字形状の部材からなり、その開放部を左右方向内側に向けた状態で配置される。そして、側梁31は、前端部を第1横梁21の後端面に当接されて固定される一方、後端部を第2横梁22のコ字形状溝内に突入されて固定されて設けられる。
【0017】
第1横梁21と第2横梁22との中央部には、枕梁29が設けられている。枕梁29は、縦断面が略矩形筒状に形成され、その上下各端面は、前後各端面よりも僅かに前後方向外側に突出してフランジ29aを形成されている。そして、枕梁29は、左右両端部を左右の側梁31,31に固定されて設けられている。
第1横梁21と枕梁29との間、及び枕梁29と第2横梁22との間にはそれぞれ、板状の中梁41,41が、左右の側梁31,31間の中央部に設けられている。中梁41は、矩形状の板材42の左右両端部に略Z形状の補助材43,43が連設されてなる。補助材43は、垂直方向に沿って配置される中央面43aの上端部43bが、左右方向外側にL字状に屈曲形成される一方、中央面43aの下端部43cが、左右方向内側にL字状に屈曲形成されてなり、その中央面43aの上下方向中央部が前記板材42の左右両端縁に固着されてなる。そして、中梁41は、前後両端部を第1横梁21、第2横梁22又は枕梁29に接合されて、台枠本体部11の左右方向中央部に固定されて設けられる。
【0018】
このようにして、台枠本体部11には、(第1、第2)横梁21,22、側梁31,31及び中梁41,41及び枕梁29によって矩形状の空間部が4つ形成されることになるが、各空間部には斜め梁51や補強横梁52が設けられる。図示の例では、台枠本体部11の左右前部に形成された各空間部は、該空間部の前端部の左右方向中央部から側梁31又は中梁41に向けて斜め梁51,51が、後方に行くに従って互いに離間するよう斜めに架け渡されて設けられると共に、その各後端部において、側梁31と中梁41とを架け渡すように補助横梁52が設けられている。一方、左右後方に形成された各空間部は、前後方向中央部に、側梁31と中梁41とを架け渡すように補助横梁52が設けられている。なお、斜め梁51や補強横梁52は、断面コ字形状の同一断面形状の部材が使用されている。
【0019】
衝撃吸収部12は、台枠本体部11の前端部に、台形状に形成されている。つまり、図示の例では、第1横梁21の前方に、第1横梁21と平行に、第1横梁21よりもやや短い端梁23が左右方向中央部に配置されており、その端梁23と第1横梁21の左右両端部同士が側梁32,32によって連設されてなる。
端梁23は、垂直方向に沿って配置される中央面23aの上下両端部に、それぞれ前後方向外側に突出してフランジ部23bが形成されると共に、中央面23aの中央部にも、前方に突出してフランジ部23bが形成されてなる断面形状を有する部材からなる。一方、側梁32は、断面コ字形状の部材から形成されている。
このようにして形成された台形状の衝撃吸収部12には、エネルギー吸収梁61が仕様に合わせて、適宜の本数、直並列配置されて設けられる。
【0020】
エネルギー吸収梁61としては、例えば図2に示すようなものが使用される。なお、図2はエネルギー吸収梁61を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)はC−C断面図である。また、図3は、衝撃吸収部12の概略縦断面図であり、(a)は衝撃吸収部12を左右方向に延びる切断線で切断した縦断面図(D−D断面図)、(b)は衝撃吸収部12を前後方向に延びる切断線で切断した縦断面図(E−E断面図)である。
エネルギー吸収梁61は、長手方向に圧縮された場合に、オイラー座屈することなく、壁面が蛇腹状に変形される壁面座屈を行うものが使用される。このような壁面座屈を行わせる場合、圧縮初期の1つ目の座屈変形を与えるのに比較的大きな荷重(最大荷重)を必要とする反面、一旦1つの座屈が行われた場合には、以後は、波形に荷重が変化しつつも、前記最大荷重よりも小さな荷重(材料や断面形状等により異なるが、例えば最大荷重の1/2`1/3 程度の荷重)で壁面座屈を順次行わせて、蛇腹変形させることができる。また、予め変形のきっかけとなる局部変形(トリガー)62を付与しておくと、圧縮初期の最大荷重の減少を図ることができる。
そこで、この実施例のエネルギー吸収梁61は、断面日型のアルミニウム合金の押出部材を用い、その日型部材を予め長手方向に一旦圧縮することにより、予め1ピッチ分の蛇腹変形を行ってトリガー62を付与したものが使用される。なお、エネルギー吸収梁61のトリガー62の位置は、その形成過程により、それぞれ僅かに異なるが、ほぼ一定箇所に形成することが可能であり、図示の例では、日型部材の一端部付近にトリガー62が形成されている。
【0021】
この実施例では、上記エネルギー吸収梁61が並列に4つ並べられて使用される。
つまり、端梁23と第1横梁21との間を架け渡すように、4つのエネルギー吸収梁61が並列に設けられている。
各エネルギー吸収梁61は、衝撃吸収部12の左右方向中央部から左右均等に配置されている。なお、エネルギー吸収梁61は、その前後両端部に設けられた板材63,63がボルトによって端梁23又は第1横梁21に固定されて設けられている。
【0022】
エネルギー吸収梁61の壁面座屈に要する1本当たりの荷重は、材料や断面積、断面形状等により適宜に設定されるが、例えば図示の例では、1本当たり12トンに設定されている。一方、台枠1(12)が衝撃に耐えられる最大荷重は車両等により異なるが、市内電車では通常、約30〜100トン程度に設定される。この実施例では、左右方向に離間してエネルギー吸収梁61を4列、平行に配置することにより、約50トン(12トン/本×4本=48トン)に設定されている。つまり、45トンでは壊れないが、50トンでは壊れる仕様とされている。
このように、本発明によれば、エネルギー吸収梁61の本数と直列・並列の配置を変更することにより、台枠1(12)が耐えられる最大衝撃荷重と、衝突時の衝撃エネルギーを吸収するために必要な塑性変形ひずみエネルギー(荷重×変形ストローク)とを調整することができる。つまり、エネルギー吸収梁61の本数と、直並列の配置とを変更することにより、各種の車両に対応することができる。
【0023】
本発明では、各エネルギー吸収梁61の長さを長くすることにより、長手方向の十分な変形ストロークを確保している。これにより、エネルギー吸収梁61を長手方向に直列接続する本数を削減でき、図示の例では長手方向には直列接続していない。
エネルギー吸収梁61の長さを長くしたことにより、壁面座屈する前に折れ曲がり座屈するおそれがでてくるが、本発明では、エネルギー吸収梁61の周側面に沿って補強パネル90を配置することにより、折れ曲がり座屈の発生を防止している。
この実施例では、補強パネル90は、ハニカム構造を持ったアルミニウム製の板(アルミハニカムパネル)からなる。これら各補強パネル90は、エネルギー吸収梁61の長手(前後)方向には比較的弱いが、折れ曲がりには強い(例えば図3(b)の上板では、一点鎖線で示すような撓みが生じ難い)構成である。このため、補強パネル90をエネルギー吸収梁61の周囲に配置することにより、エネルギー吸収梁61の径方向の変位を防止でき、結果としてエネルギー吸収梁61の折れ曲がり座屈を防止することができる。
【0024】
具体的には、エネルギー吸収梁61の左右の各側面には長手方向(前後方向)に沿って矩形状の補強パネル90が重ね合わされて設けられており、また、略台形状の補強パネル90が衝撃吸収部12の上下両端面を覆うよう設けられることにより、エネルギー吸収梁61の上下の各側面に補強パネル90が重ね合わされて配置されることになる。
なお、エネルギー吸収梁61の左右側面に設けられる左右の補強パネル90,90は、リベット止め又は接着等によって、エネルギー吸収梁61に固定されている。また、衝撃吸収部12の上下に配置されて、エネルギー吸収梁61の上下側面に設けられる上下の補強パネル90,90は、その前後両端部が第1横梁21や端梁23にねじ止めされて固定される。
【0025】
なお、この実施例では、エネルギー吸収梁61として、アルミニウム合金の押出による日型部材を使用した例を示したが、エネルギー吸収梁61の材料や形状等は適宜に変更可能である。例えば、エネルギー吸収梁61の材料は、アルミニウム合金に限らず、鋼、ステンレス鋼、樹脂材料等であってもよい。また、エネルギー吸収梁61の形状は、長さや断面寸法が変更可能なことは勿論、断面形状も日型に限らず、ハット断面等の他の形状であってもよい。さらに、トリガー62形状も、適宜に変更可能であり、押し込みやノッチからなるものであってもよい。
また、エネルギー吸収梁は、左右方向に並列に配置するだけでなく、前後方向に直列に複数本接続して使用することも可能であるが、本発明によればエネルギー吸収梁の変形ストロークを比較的長く取ることができるので、直列接続すべき本数を著しく削減することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、この発明の鉄道車両用衝撃吸収台枠構造によれば、エネルギー吸収梁を車両用台枠の横梁間に複数本配置したことにより、鉄道車両の衝突時対策として要求される大きな衝撃吸収エネルギーを確保することができる。しかも、エネルギー吸収梁の周側面に沿って補強パネルを設けたことにより、折れ曲がり座屈を有効に防止しつつ、エネルギー吸収梁の長さを比較的長くすることができ、簡単な構造で変形ストロークを十分に取ることができる。
また、従来構造に比較して、車両前頭部の衝突時の衝撃エネルギーを著しく軽減することができるから、乗客の安全性を向上することに役立ち、なおかつ車両通常使用時の荷重条件には何ら遜色のない台枠構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄道車両用衝撃吸収台枠構造の一実施例が適用された台枠を示し、(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図である。
【図2】図1の台枠に使用されるエネルギー吸収梁の一例を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)はC−C断面図である。
【図3】図1の台枠の衝撃吸収部の概略縦断面図であり、(a)は衝撃吸収部を左右方向に延びる切断線で切断した縦断面図(D−D断面図)であり、(b)は衝撃吸収部を前後方向に延びる切断線で切断した縦断面図(E−E断面図)である。
【符号の説明】
1 鉄道車両用台枠
11 台枠本体部
12 衝撃吸収部
21 第1横梁
23 端梁(第3横梁)
29 枕梁
31 側梁
32 側梁
41 中梁
61 エネルギー吸収梁
62 局部変形(トリガー)
90 補強パネル(アルミニウムハニカムパネル)
Claims (1)
- 鉄道車両用台枠の前端部に、車両の幅方向に沿う横梁と端梁が車両の長手方向に離間して平行に配置され、
前記横梁と端梁間に、車両前頭部からの所定値以上の衝撃力の付加により、壁面座屈して衝撃エネルギーを吸収するエネルギー吸収梁が設けられ、
前記エネルギー吸収梁は、壁面座屈するきっかけとなる局部変形が予め付与された断面日型の押出部材からなり、
この部材が複数本、前記横梁と端梁間に並列配置されてなり、
エネルギー吸収梁の上下左右の各側面に沿って補強パネルが重ね合わされて設けられており、
前記補強パネルは、エネルギー吸収梁の長手方向には比較的弱いが、折れ曲がりには強いアルミハニカムパネルからなる
ことを特徴とする鉄道車両用衝撃吸収台枠構造。
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