JP3581193B2 - マルチキャリア変調方式受信機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、デジタル信号によって多数の搬送波を変調されて送信された多重信号を受信し復調するマルチキャリア変調方式受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
音声放送や映像放送などにおいて、マルチキャリア変調方式を用いたデジタル放送が近年注目されている。マルチキャリア変調方式は、周波数分割多重変調方式と称される場合もある。
【0003】
マルチキャリア変調方式を用いたデジタル放送は、送信すべきデータを多数の搬送波に分割して割当て、割当てられたデータによって各搬送波をそれぞれ変調して多重して送信する放送である。したがって、各搬送波に割当てられ、その搬送波を変調するデータであるシンボル信号は、分割する前の元のデータのシンボル信号よりも低速になり、隣接するシンボル信号間の間隔が長くなる。これによって、マルチキャリア変調方式で変調された放送波は、反射波による遅延時間の影響を受けにくくなる。また、多数の搬送波のうち隣接する搬送波間の間隔はたとえば1KHzに設定される。すなわち、搬送波1波当たりの帯域幅は従来の放送と比較して狭い。この帯域内では、受信電力の時間的変動などフェージングがほぼ平坦であると見做すことができる。
【0004】
このような理由によって、マルチキャリア変調方式のマルチパス干渉の影響を受けにくい。本変調方式では、搬送波の数を増すほど、マルチパスによる干渉妨害を抑えることができる。さらに、このデジタル放送では、マルチキャリア変調方式に周波数インタリーブおよび時間的インタリーブを組合わせて、さらにマルチキャリア変調方式を用いた伝送システムの性能を向上させることが考えられている。
【0005】
マルチキャリア変調方式を用いたデジタル放送のうち、オーディオ放送に関しては、国際電気通信連合の下部組織である無線通信セクタにおいて世界統一勧告が作成され、国際標準が作成されつつある。ヨーロッパでは、EUREKA−147プロジェクトなどの移動体向けデジタルオーディオ放送が実用化されつつある。日本においても、76〜90MHzのFM放送帯を用いたデジタル放送の実用化が考えられている。
【0006】
実用化が考えられているデジタル放送の一つにBST(Band Split
Transmition)方式のデジタル放送がある。BST方式のデジタル放送では、ブロックと称される狭帯域幅の周波数帯域を複数用いて、マルチキャリア変調方式のデジタル放送を実施する。ブロックは、その周波数帯域をマルチキャリア変調方式で必要とされる帯域幅よりも任意の狭帯域幅に設定することができる。したがって、たとえばFM放送帯など、既存の放送の占有周波数帯域が存在する周波数帯域において、当該デジタル放送を容易に実施することができる。
【0007】
また、複数の分散されたブロックから搬送波を選ぶので、単一の広帯域幅の周波数帯域を用いて信号を伝送するマルチキャリア変調方式と同様に、マルチパス妨害の影響を受けにくい。したがって、移動体に搭載した受信機において、放送を良好に受信することができる。
【0008】
各ブロックは、たとえば既存の放送波の占有周波数帯域の間に設定することができる。ゆえに、周波数帯域の周波数利用効率を向上させることができる。また、ブロックを配置する位置が任意に決定できるので、周波数事業の変化に対応することが容易である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようにBST方式のデジタル放送においては、既存の放送波の存在しない領域に収まる帯域幅のブロックを複数設定し、複数のブロックをまとめて用いて、1つのデジタル放送を実施する。
【0010】
マルチキャリア変調方式のデジタル放送を受信する受信機においては、たとえば高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;以後、「FFT」と略称する)などの数学的手段を用いて信号の復調を行う。FFTを用いて復調される信号は、所定の間隔を保ち単一の周波数帯域に含まれることが好ましい。ゆえに、このデジタル放送を受信する受信機は、受信した信号を各ブロック毎に個別に復調する必要が生じる。したがって当該受信機には、用いられるブロックの数だけ受信手段や復調手段が必要となる。これによって、受信機が大型化し複雑化する。
【0011】
さらに、受信機内に受信手段を複数設けると、受信手段の局部発振器から出力される高周波によって、別の系統の受信手段や復調手段にノイズが加わる。
【0012】
本発明の目的は、BST方式のデジタル放送を受信し復調することができ、かつ受信手段や復調手段の数を減少させることができるマルチキャリア変調方式受信機を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定のデータ長を有するL(Lは整数)個のデータから成るデータ列に基づいてL本の搬送波が変調されて多重された多重信号を受信するマルチキャリア変調方式受信機において、
L本の搬送波はm(<L;mは整数)個の離散した占有周波数帯域から選ばれ、
m個の占有周波数帯域を含む所定の周波数帯域の電波を受信する受信手段と、
受信した電波からn(n≧L;nは整数)個のデータを復調する復調手段と、
前記m個の占有周波数帯域の位置を示すデータがストアされるメモリと、
メモリにストアされた位置を示すデータに基づいて、n個のデータからm個の占有周波数帯域の電波から復調されたL個のデータを選択し、L個のデータから成るデータ列を再生するデータ再生手段とを含むことを特徴とするマルチキャリア変調方式受信機である。
また本発明は、前記復調手段は、前記所定の周波数帯域よりも狭帯域幅の入力周波数帯域に含まれる電波のみを復調し、
受信した電波のうち、m個の占有周波数帯域に含まれる電波であって入力周波数帯域以外の帯域に含まれる電波を、入力周波数帯域内であって他の占有周波数帯域以外の帯域に含まれるように周波数変換する周波数変換手段をさらに含むことを特徴とする。
また本発明は、前記復調手段は、前記所定の周波数帯域のうち、前記m個の占有周波数帯域に含まれる電波を復調するための演算のみを行うことを特徴とする。
また本発明は、前記データ列には、1または複数の放送信号を所定のデータ長さで分割したデータが含まれ、
前記復調手段は、1または複数の放送信号のうちいずれか1つの放送信号を分割したデータによって変調された搬送波を復調するための演算のみを行うことを特徴とする。
また本発明は、複数の放送信号のうちのいずれか1つの放送信号を選択する放送信号選択手段をさらに含み、
前記復調手段は、放送信号選択手段が操作されたときには、全ての放送信号を復調することを特徴とする。
【0014】
【作用】
本発明に従えば、マルチキャリア変調方式受信機は、所定のデータ長を有するL個のデータから成るデータ列に基づいてL本の搬送波が変調されて多重された多重信号を受信する。前記搬送波は、m個の離散した占有周波数帯域から選ばれる。
【0015】
m個の占有周波数帯域は、マルチキャリア変調方式で用いられる単一の周波数帯域をm個に分割して設定される。各帯域の帯域幅は、前記単一の周波数帯域よりも狭い。かつ、m個の占有周波数帯域の帯域幅の和の値は、前記単一の周波数帯域と同程度である。したがってこの多重信号は、単一のマルチキャリア変調方式で変調された多重信号と同様に、マルチパスによる干渉妨害を受けにくい。したがって前記多重信号を用いると、たとえばマルチパスによる干渉妨害を受け易い移動通信などににおいても、信号を良好に受信することができる。また、各占有周波数帯域は、たとえばFM放送帯の既存の放送波の占有周波数帯域が設定されていない空白の領域に設定することができる。
【0016】
前記受信機の受信手段は、所定の周波数帯域の電波を全て受信する。所定の周波数帯域は、m個の占有周波数帯域を含む単一の周波数帯域である。受信手段において受信された電波は、復調手段に与えられる。復調手段では、まず所定の周波数帯域全域にわたってn本の電波をサンプリングする。このサンプリングは、m個の占有周波数帯域内に含まれる多重信号の変調されたL本の搬送波をもれなくサンプリングするように行われる。続いて、サンプリングされたn本の電波を一括して復調し、n個のデータを得る。
【0017】
復調されたn個のデータには、m個の占有周波数帯域からサンプリングされた搬送波を変調した前記L個のデータと、m個の占有周波数帯域以外の帯域からサンプリングされた電波から復調された(n−L)個のノイズであるデータが含まれる。本発明では、分割されたm個の占有周波数帯域を含む所定の単一の周波数帯域を復調するべき電波を含む帯域と見なし、本来電波が存在しない帯域においても電波があると仮定して、復調を行う。
【0018】
このように、離散したm個の占有周波数帯域を含む単一の周波数帯域を設定して、この帯域内に所定の間隔をおいて存在する電波をすべて復調するようにすると、FFTなどの方法で多数の電波を一括して復調することができる。したがって、離散したm個の占有周波数帯域によって伝送される多重信号を、FFTなどを用いて復調を行う1系統の復調手段を用いて復調することができる。
【0019】
復調されたn個のデータはデータ再生手段に与えられる。伝送されたデータ列を再生するためには、復調されたn個のデータのうち、m個の占有周波数帯域から復調されたL個のデータだけが必要とされる。前記受信機は、m個の離散した周波数帯域の位置を示すデータを、メモリにストアしている。データ再生手段は、前記メモリにストアされたm個の占有周波数帯域の位置を示すデータに基づいて、n個のデータからL個のデータを選択する。この選択されたL個のデータから、伝送されたデータ列を再生する。このように本発明のマルチキャリア変調方式受信機では、m個のブロックに分割して伝送される多重信号を、m個のブロックを含む単一の周波数帯域全域の電波ごと一括して復調した後に、必要なデータを選択して再生する。
【0020】
これによって、1系統の受信手段および復調手段を用いて、m個の占有周波数帯域に分割された多重信号を受信し復調することができる。従って、受信手段を複数用いることによって、受信手段が互いに干渉しノイズを生じることを防止することができる。また、受信機の部品点数を減少させることができる。
【0021】
また本発明に従えば、前記復調手段は入力周波数帯域に含まれる電波だけを一括して復調する。入力周波数帯域は復調手段によって一括して処理することができる電波の数および間隔によって設定される。
【0022】
前記受信機では、入力周波数帯域の帯域幅以上の広帯域に分散されたm個の占有周波数帯域を用いて伝送される多重信号を受信することが考えられる。この場合に前記受信機は各電波に周波数変換を施す。すなわち、受信した電波のうち、m個の占有周波数帯域に含まれる電波であって入力周波数帯域以外の帯域に含まれる電波を、周波数変換手段によって、入力周波数帯域内であって他の占有周波数帯域以外の帯域に含まれるように周波数変換する。
【0023】
マルチパスによる干渉妨害の影響を減少させるためには、m個の占有周波数帯域をできるだけ広帯域幅の周波数帯域に分散させて設定することが好ましい。このとき、多重信号の伝送に用いられるm個の占有周波数帯域全体の周波数帯域幅は変更されておらず、ブロック間の間隔などが広げられる。また、占有周波数帯域の帯域幅を狭くして、帯域の数を増加させることもある。復調手段は、広帯域幅の入力周波数帯域全体にわたって電波を復調するけれども、m個の帯域が復調手段で一度に処理することができる入力周波数帯域を越えて分散されている場合は、単一の復調手段では一度に電波を復調することが困難になる。この場合には、受信機は受信手段や復調手段を複数系統備える必要がある。
【0024】
このような場合に、m個の占有周波数帯域内の電波を周波数変換して、入力周波数帯域内に収まるように移動させる。これによって、占有周波数帯域が入力周波数帯域の帯域幅を越えて分散されていても、1系統の受信手段や復調手段を用いて多重信号の復調を行うことができる。
【0025】
また、分散された占有周波数帯域間の帯域に含まれる電波を復調したデータは、送信されたデータ列の再生には用いられない。m個の占有周波数帯域の和よりもさらに広帯域に占有周波数帯域が分散されている場合、占有周波数帯域間の帯域が広く、復調手段における処理量が増加することが考えられる。このような場合に周波数変換を行って、占有周波数帯域を分散された状態よりも狭い帯域に集めると、占有周波数帯域間の帯域の帯域幅を分散された状態よりも狭くすることができる。したがって、帯域間の帯域からサンプリングされる電波の数を減少させることができる。ゆえに、復調手段の処理量を減少させることができる。
【0026】
さらにまた本発明に従えば、前記復調手段は、前記所定の周波数帯域のうち、前記m個の占有周波数帯域に含まれる電波を復調するための演算のみを行う。たとえばFFTなどの数学的手段を用いて多数の電波を一括して復調する場合には、前記所定の周波数帯域からサンプリングされた多数の値を互いに関連させながら、復調の為の演算を行う。このときに、演算の一部には、ある1つの復調結果を得るためにだけ必要な演算が含まれる。
【0027】
前述したように、復調されたn個のデータには、データ列の再生に必要とされない(n−L)個のデータが含まれる。復調手段では、復調のための演算のうち、L個のデータの復調に関連する演算だけを行い、(n−L)個のデータの復調にだけ必要な演算を省略する。これによって、復調手段の処理量を減少させることができる。また、前記演算は、復調手段内の演算回路とメモリとが逐次データをやり取りしつつ実施される。演算の一部を省略すると、演算回路がメモリにアクセスする回数を減少させることができる。したがって、処理時間を短縮することができる。
【0028】
また本発明に従えば、前記データ列には、1または複数の放送信号を所定のデータ長で分割したデータが含まれる。放送信号は、たとえばオーディオ放送の放送番組の音響データであるような、1まとまりで利用される情報である。このような多重信号を1つ受信すると、その多重信号に含まれる複数の放送信号が同時に再生される。
【0029】
前記受信機の使用者は、1または複数の放送信号のうちから、いずれか1つの放送信号を選択して利用する。すなわち、1つの放送信号が選択されているときには、他の放送信号は利用されない。さらにまた、多重信号には、放送信号の伝送に用いられないヌルキャリアなどが含まれる。選択された放送信号以外の放送信号を分割したデータやヌルキャリアから復調されたデータは、選択された放送信号を再生する際には利用されない。本発明の受信機の復調手段では、1または複数の放送信号のうち、選択された1つの放送信号を分割したデータによって変調された搬送波を復調するための演算のみを行い、その他の放送信号やヌルキャリアを復調するための演算を省略する。これによって、復調手段の処理量を減少させ、処理時間を短縮することができる。
【0030】
さらにまた本発明に従えば、前記受信機には、多重信号によって伝送される複数の放送信号のうち、いずれか1つの放送信号を選択する放送信号選択手段が備えられる。受信機1の利用者は、放送信号選択手段を用いて複数の放送信号から利用する放送信号を復調する。また、放送信号選択手段は、たとえばマイクロコンピュータなどによって自動的に操作される構成であっても良い。
【0031】
使用者が利用する放送番組を選択する場合や、受信機に選択することができる放送番組を設定するプリセットを行う場合には、放送信号受信手段を操作する。このような場合には、利用することができる全ての放送信号を把握するために、一度全ての放送信号を再生したいという要望がある。このために、放送信号選択手段が操作されたときには、復調手段は受信した多重信号に含まれる複数の放送信号を復調するための演算を全て行う。これによって、順次出力する放送信号を切換えるときは、切換えるべき放送信号が既に再生されているので、切換を速やかに行うことができる。
【0032】
【実施例】
図1は、本発明の第1実施例であるマルチキャリア変調方式受信機1の電気的構成を示すブロック図である。
【0033】
マルチキャリア変調方式は、所定のデータ長を有するL個のデータからなるデータ列に基づいて、L本の搬送波をそれぞれ変調し、変調された搬送波を多重して変調波を作成する変調方法である。本実施例では、マルチキャリア変調方式として直交周波数分割変調方式(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;以後、「OFDM方式」と略称する)を用いる。OFDM方式は、周波数利用効率が最大になるマルチキャリア変調方式である。OFDM方式で用いられる搬送波は所定の時間Tsで互いに直交する。時間Tsで直交するとは、L本の搬送波のうちの任意の2本の搬送波を掛合わせて所定の時間Tsにわたって積分すると値が0になることを示す。
【0034】
すべての搬送波が直交するように並べられているならば、各搬送波の変調方式は、アナログ変調方式であってもデジタル変調方式のどちらを使うこともできる。本実施例では、直交位相変調(Quadrature Phase Shift Keying ;以後「QPSK」と略称する)変調方式を用いる。また、実用化されるデジタルオーディオ放送においては、直交振幅変調(Quadrature Amplitude Modulation ;以後「QAM」と略称する)を用いることが考えられている。
【0035】
QPSK変調方式は、同一周波数で位相差が90度である2つの搬送波、すなわち互いに直交する2つの搬送波を用い、各搬送波をそれぞれ変調すべきデータであるベースバンド信号によって搬送波の位相を180度切換えて変調し、変調された各搬送波を多重して送信すべき変調波を生成する変調方式である。QAM変調方式は、互いに直交した2つの搬送波を用い、各搬送波をベースバンド信号によって振幅を変化される振幅変調と位相を変化させる位相変調とを同時に行い、変調された搬送波を多重して送信すべき変調波を生成する変調方式である。
【0036】
受信機1が受信する多重信号の信号構成を以下に説明する。送信機から送信される多重信号の占有周波数帯域は、m個に分割されている。mはL以下の整数である。分割された占有周波数帯域であるブロックの帯域幅は、OFDM変調方式で用いられる単一の周波数帯域よりも狭い帯域幅である。m個のブロックは、各ブロックの帯域幅を加算すると、OFDM変調方式で用いられる単一の周波数帯域と同程度の帯域幅を有するように選ばれる。また、各ブロックは既存の放送の占有周波数帯域と重ならないように設定される。
【0037】
搬送波はL本、たとえば1536本用いられる。各搬送波の中心周波数と隣接する搬送波の中心周波数との間隔は1KHzに設定される。1本の搬送波を変調する多数の変調データからなるベースバンド信号は、76シンボルを1フレームとして構成される。1シンボルには、データを送信する為に用いられる有効シンボルとガードインターバルとが含まれる。
【0038】
ガードインターバルとは、マルチパス妨害などにおいて、反射波が遅延して送信波と干渉し、シンボル間の直交性が乱されることを防止するために設けられる。受信機では、送信された多重信号への復調するときに、送信シンボルのうち有効シンボルに含まれるデータだけを復調する。このように、信号内にガードインターバルを設けることによって、たとえばマルチキャリア変調方式送信機1から直接送信された直接波以外に、直接波とは別の経路であり直接波が伝送された経路よりも長い経路をたどって搬送波のアンテナに入力された場合において、搬送波の遅延時間がガードインターバルの長さ以下であるならば、マルチパス妨害の影響を排除することができる。したがって、マルチパス妨害の影響を軽減することができる。
【0039】
搬送波を変調するL個の変調データは、たとえば放送番組の放送信号を所定のデータ長で分割したデータから作成される。放送番組はオーディオ放送であっても良く、文字放送などであっても良い。また放送信号は、アナログ信号であっても良く、デジタル信号であってもよい。さらに、複数の放送番組のデータである放送信号を同時に送信するようにしてもよい。複数の放送信号を一括して送信する場合には、予め送信するべき複数の放送信号を、たとえば時分割多重方式などの方法を用いて多重しておいてもよい。
【0040】
また、L個の変調データは、放送信号を分割したデータを送信する順番を任意に入換えるインタリーブを施して、時間軸上および周波数軸上において、変調データによって変調された送信信号が、元の放送信号に対し規則的に並ばないように割当てるようにしてもよい。
【0041】
さらにまた、L個の変調データには、識別データが含まれていても良い。識別データは、たとえば1フレーム毎にその先頭のシンボルに重畳されるように配置する。識別データには、m個のブロックの位置、インタリーブの実施の有無および方式、放送信号の多重方式、ならびに符号化の形式などを示すデータが含まれる。受信機1は、この識別データに基づいて、多重信号を復調する。
【0042】
多重信号は、m個のブロックから選ばれたL本の搬送波が、前述したL個の変調データによってそれぞれ変調されて生成された送信信号を多重して構成される。また、多重信号にはヌルキャリアが含まれる。ヌルキャリアとは、放送信号を分割したデータなどを含まず、電波が発信されない仮想的な変調波である。したがって、多重信号を受信機1で復調し放送信号を再生する際において、ヌルキャリアを除外して復調しても送信されたデータの再生に影響を与えない。ヌルキャリアとして設定される搬送波は、フィルタの通過帯域の端部に一致する周波数帯域に含まれる搬送波や、搬送波の直流成分に影響されやすい周波数が0Hz近傍である搬送波などである。
【0043】
図1を参照して、マルチキャリア変調方式受信機1の構成を説明する。
【0044】
アンテナ4で受信された電波は、増幅回路5で増幅され帯域通過フィルタで濾波された後に、乗算器7,8にそれぞれ与えられる。
【0045】
アンテナ4で受信される電波のスペクトルを図2に示す。受信される電波のうち多重信号を送信するための占有周波数帯域は、m個、たとえば4個のブロックW1〜W4に分割されている。多重信号は、ブロックW1〜W4に分割されて送信され、それぞれ矩形のスペクトルF1〜F4を示す。ブロックW1,W2間およびブロックW3,W4間には、別の放送の占有周波数帯域W5,W6が設定され、その放送波のスペクトルF5,F6が存在する。
【0046】
帯域通過フィルタの通過帯域を、図2の2点鎖線6で示す。当該フィルタの通過帯域は、ブロックW1の最低周波数f1からブロックW4の最高周波数f2までの周波数帯域の電波を全て濾波することができる帯域幅に設定される。帯域通過フィルタの通過帯域の帯域幅は(f2−f1)であり、その中心周波数foは、((f2−f1)/2)で規定される。この帯域幅はブロックW1〜W4の帯域幅を加算した幅よりも広帯域幅である。当該帯域通過フィルタで濾波された電波には、多重信号の他に別の放送の放送波が含まれる。
【0047】
帯域通過フィルタから出力される電波に含まれる多重信号は、L本の搬送波をそれぞれ変調した送信信号を多重した信号である。各搬送波の変調にQPSK変調方式やQAM変調方式が用いられる場合には、各送信信号は同一周波数で位相が90度異なる2本の搬送波をそれぞれ変調して多重された信号である。すなわち、前記デジタル放送の多重信号は、同一位相のL個の変調された搬送波を多重して第1多重信号を構成し、さらに位相の異なる2種類の第1多重信号を多重した構成を有する。乗算器7,8では、高周波である多重信号を低周波の基本信号に変換すると同時に、位相の異なる2種類の第1多重信号を分離する直交変換を行う。
【0048】
乗算器7では、帯域通過フィルタからの出力と局部発振器9から出力される高周波の信号とが混合されて、第1基本信号を含む低周波の電波が出力される。乗算器8では、帯域通過フィルタからの出力と、局部発振器9からの出力を位相変換器10において90度位相が遅らされたまたは進められた出力とが混合され、第1基本信号とは位相が90度異なる第2基本信号を含む低周波の電波が出力される。基本信号は、各搬送波の中心周波数が最も周波数の低い基本搬送波の周波数の整数倍であるL本の搬送波が、対応するL個の変調データでそれぞれ変調された信号である。
【0049】
第1および第2基本信号を含む低周波の電波は、たとえば帯域通過フィルタによって濾波された後に、復調手段13に与えられる。アンテナ4、増幅回路5、乗算器7,8、局部発振器9、および位相変換器10は、多重信号を受信して2種類の基本信号を復調手段13に与える受信手段を構成する。
【0050】
復調手段13では、与えられた第1および第2基本信号を含む低周波の電波をそれぞれFFTを用いて演算して、n個の変調データを復調する。FFTを用いて多数のデータを一括して復調する場合において、基本信号に含まれる各送信信号の中心周波数は、最も低い中心周波数の整数倍である必要がある。BST方式のデジタル放送においては、基本信号がm個のブロックに分割されて存在する。本実施例では、各ブロック間にも復調すべき信号が存在すると仮定して、ブロックW1の最低周波数f1からブロックW4の最高周波数f2までの周波数帯域全域にわたってFFTを用いた復調を行う。
【0051】
復調手段13では、乗算器7,8から与えられた低周波の信号をサンプリングする。サンプリング間隔は、たとえば1kHzに設定され、多重信号に含まれるL個の送信信号を含むn個の復調すべき信号を得る。n個の復調すべき信号をFFTを用いて一括して復調し、n個の復調データを得る。n個の復調データは、データ再生手段であるデータ変換手段15に与えられる。データ変換手段15では、n個の復調データから、送信された放送信号を再生する。
【0052】
図3(1)は、復調手段13から出力されるn個の復調データの復調データ列を示す図である。ブロックW1〜W4に含まれる電波からL個の復調データが復調される。L個の復調データは、各ブロックW1〜W4に対応して、復調データ群s1〜s4に分割されて存在する。復調データ群s1,s2間、復調データ群s2,s3間、および復調データ群s3,s4間には、それぞれブロックW1〜W4以外の帯域に含まれる信号から復調された復調データを含む復調データ群s5〜s7が介在されている。
【0053】
復調データ群s5〜s7に分割されて含まれる(n−L)個の復調データは、たとえば別の放送の電波をサンプリングして復調して得たノイズデータであり、多重信号を用いて伝送された放送信号とは無関係なデータである。データ変換手段15では、ブロックW1〜W4以外の帯域から復調された復調データだけを選択して、他の復調データを除去する。図3(2)は、ノイズデータを除去して得られたL個の復調データから成る復調データ列を示す図である。この復調データ列には、復調データ群s1〜s4だけが含まれる。
【0054】
データ変換手段15では、選択されたL個の復調データに直並列変換を施す。さらに、変換されている放送信号にインタリーブが施されている場合には、インタリーブを解除して、データの並び方を元の状態に戻す。これによって、搬送波を予め定める変調方式で変調することができる信号に変換されている放送信号を再生する。たとえば搬送波をQPSK変調方式で変調する場合、1つの搬送波を変調することができる信号とは、[1」と「−1」の2値で構成されるデジタル信号である。当該デジタル信号は、「1」と「0」との2値で構成されるデジタル信号のうち、たとえば「1」は「1」に対応し、「−1」は「0」に対応する。再生された変換されている放送信号は、復号手段17に与えられる。さらに、変換されている放送信号は、制御手段19にも与えられる。
【0055】
復号手段17では、データ変換手段15で再生された変換されている放送信号を、「1」および「0」の2値からなるデジタル信号に変換して、放送信号を再生する。さらに放送信号がオーディオ放送などアナログ信号である場合は、デジタル信号をデジタル/アナログ変換回路を用いてアナログ信号に変換する。再生された放送信号は、データ処理手段23に与えられる。また、複数の放送信号が同時に伝送されているときには、使用者が選択した1つの放送信号だけをデータ処理手段23に与える。
【0056】
制御手段19は、変換されている放送信号から、識別データを再生する。制御手段19は、再生された識別データに基づいて、識別データ以後に送信された信号についてデータ変換手段15や復号手段17での処理を制御する。たとえば、データ変換手段15は、識別データからインタリーブの有無や方式に関するデータを得て、このデータに基づいてインタリーブを解除する。また、m個のブロックの位置を示すデータに基づいて、n個の復調データから各ブロックに含まれる復調データを選択し、無関係な復調データを除去する。復号手段17では、符号化の形式を示すデータに基づいて、放送信号を復号する。
【0057】
制御手段19には、識別データをストアするメモリ20が備えられる。また、m個のブロックの位置や、多重信号の変調方式など、識別データによって得られるデータは、使用者が直接受信機1に入力するようにしても良い。また、べつの手段によってメモリ20にストアするようにしても良い。
【0058】
また制御手段19には、放送信号選択手段21からの出力が与えられる。放送信号選択手段21にはたとえば入力キーなどの操作手段が備えられる。使用者は操作手段を操作して、伝送された複数の放送信号の中から、利用したい放送信号を選択する。放送信号選択手段21は、使用者が選択した放送信号を示す出力を制御手段に与える。制御手段19は、放送信号選択手段21の出力に従って、復号手段17で放送信号を選択する動作を制御する。
【0059】
データ処理手段23では、放送信号を受信機の使用者に提示できる態様に変換して出力する。たとえば放送信号が音声放送のデータであれば、音響化してスピーカ25から音響として出力する。また送信データが文字放送データであれば、文字出力手段26において、文字を目視表示させる。
【0060】
このように本実施例のマルチキャリア変調方式受信機1では、m個のブロックに分割して伝送される放送信号を、m個のブロックを含む単一の周波数帯域全域の電波ごと一括して復調した後に、必要なデータを選択して再生する。これによって、1系統の受信手段および復調手段を用いて、m個のブロックに分割された多重信号を受信し復調することができる。従って、受信手段を複数用いる場合において、受信手段が互いに干渉しノイズを生じることを防止することができる。さらに、受信機の部品点数を減少させることができる。
【0061】
BST方式のデジタル放送では、m個のブロックができるだけ広帯域に分散されて設定していることが好ましい。このために、たとえば図4に示すように、第1のデジタル放送のブロックW11〜W13と、第2のデジタル放送のブロックW14,W15とが混在し、第1のデジタル放送の多重信号のスペクトルF11〜F13と、第2のデジタル放送の多重信号のスペクトルF14,F15とが混在することが考えられる。
【0062】
本実施例のマルチキャリア変調方式受信機1においては、復調手段13で復調されるn個の復調データのうち、m個のブロックに含まれる電波から復調されたL個の復調データだけが、放送信号の再生に必要とされる。すなわち、復調手段では、ブロックW11の最低周波数f11からブロックW13の最高周波数f12までの周波数帯域に含まれる電波を全て復調するけれども、ブロックW11の最高周波数f13からブロックW12の最低周波数f14までの周波数帯域の電波から復調される復調データは、放送信号の再生に用いられない。
【0063】
本実施例の復調手段13では、ブロックW11〜W13の多重信号を復調するための演算だけを実行し、周波数f13,f14で規定される、ブロックW14を含む周波数帯域の電波を復調するための演算を省略する。m個のブロック間に介在される別の放送がアナログ信号であったり、m個のブロック間に別の放送が存在しない場合においても、同様に演算を省略する。
【0064】
また、デジタル放送では、m個のブロックを用いて伝送される単一の多重信号を用いて、複数の放送信号を同時に伝送することができる。受信機1の使用者は、当該デジタル放送の多重信号から複数の放送信号を同時に得ることができる。放送信号がオーディオ放送の信号などである場合、使用者は複数の放送信号のうちのいずれか1つを選択して聴取する。したがって、1つの放送信号が選択されているときには、他の放送信号は利用されない。さらにまた、多重信号には、放送信号の伝送に用いられないヌルキャリアなどが含まれる。本実施例の復調手段13では、多重信号に含まれる、選択された1つの放送信号が分割されたデータによって変調された送信信号を復調するための演算だけを実行し、他の送信信号を復調するための演算を省略する。
【0065】
復調手段13がFFTを用いて電波の復調を行う手段であるときに、前述したように信号を復調するための演算を省略するには、FFTのバタフライ演算の一部の点における演算を停止させる。図5はFFTのバタフライ演算を説明するための流れ図である。
【0066】
図5は、搬送波の本数が4本であるときのFFTの流れ図である。白丸は演算が行われる演算点を示し、矢印は各演算点で演算された値が与えられる先をしめす。演算点x1〜x4には、サンプリングして得られた電波のレベルなどの値が与えられる。演算点y1〜y4からは、FFTによって復調された復調データが出力される。演算点z1〜z4は、演算点x1〜x4から出力される値に基づいて演算が行われる点である。
【0067】
たとえば、演算点y1から出力される値は、演算点z1,z2から与えられる値に基づいて演算される。演算点z1から出力される値は、演算点x1,x3から与えられる値に基づいて演算される。演算点z2から出力される値は、演算点x2,x4から与えられる値に基づいて演算される。すなわち、演算点y1から出力される値は、演算点x1〜x4全ての値に基づいて演算される。同様に演算点y2〜y4から出力される値も、演算点x1〜x4の値に基づいて演算される。
【0068】
このような演算のうち、演算点z1,z2で演算された値は、演算点y1,y2だけに与えられる。同様に、演算点z3,z4で演算された値は、演算点y3,y4にだけ与えられる。したがって、演算点y3,y4から出力される演算結果が選択した放送信号のデータ以外の復調データであり、復調データが放送信号の再生において無関係である場合には、2点鎖線30で示す部分の各演算点の演算を停止しても、他の演算点の演算において影響を生じない。したがって、2点鎖線30内の演算点での演算を停止させてもよい。このように、FFTのバタフライ演算の一部を省略することによって、復調手段13における処理時間を短縮することができる。
【0069】
多重信号の復調は、たとえば高速フーリエ変換などの数学的手段を用い、DSP(Digital Signal Prosessor)などの回路において演算させて行う。DSPは、高速フーリエ変換以外にも様々な処理において用いることができる。したがって、復調に必要な時間を短縮することによって、余った時間にDSPに別の処理を実行させることができる。これによって、DSPを効率よく利用することができる。
【0070】
さらにまた、本実施例の受信機1を用いて複数の放送信号を復調している場合に、聴取する放送番組を選択することや、受信機に選択することができる放送番組を設定するプリセットを行うことがある。このときには、全ての放送番組を聴取したいという要望がある。このために、放送信号選択手段21が操作されたときには、放送信号を復調するための演算を全て行うようにしてもよい。このときにも、m個のブロック以外の帯域に含まれるデータを復調する演算は省略するようにしてもよい。
【0071】
図6は、本発明の第2実施例であるマルチキャリア変調方式受信機31の電気的構成を示すブロック図である。受信機31は、図1のマルチキャリア変調方式受信機1と類似の構成を有し、同一の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0072】
多重信号は、m個のブロックに分散されて送信される。m個のブロックは、前述したように広帯域幅の周波数帯域に分散して設定されている。復調手段13では、m個のブロックを含む広帯域幅にわたって電波を復調するけれども、m個のブロックが復調手段13で一度に処理することができる周波数帯域を越えて分散されている場合は、受信手段や復調手段を2系統準備する必要がある。
【0073】
マルチパスによる干渉妨害の影響を減少させるためには、m個のブロックをできるだけ広帯域幅の周波数帯域に分散させることが好ましい。このとき、多重信号の伝送に用いられるm個のブロック自体の周波数帯域幅は変更されておらず、ブロック間の間隔が広げられている。
【0074】
本実施例では広い帯域に分散されて送信される多重信号を、復調手段13の入力周波数帯域に収まるように周波数変換する。入力周波数帯域とは、復調手段13において一度に処理することができる周波数帯域を示す。
【0075】
図6の受信機31において、アンテナ4で受信された電波は増幅回路5で増幅され、帯域通過フィルタで濾波された後に、乗算器32,33に与えられる。乗算器32,33では、帯域通過フィルタの出力と局部発振器35,36から出力される周波数の異なる高周波の信号とがそれぞれ混合されて周波数変換される。乗算器32,33からの出力は、加算器38で加算されて増幅回路39で増幅された後、乗算器7,8に与えられて直交変換される。
【0076】
たとえば、図7に示すように、ブロックW21〜W24を用いて伝送される多重信号のスペクトルF21〜F24が、入力周波数帯域W25よりも広帯域幅に分散されているときには、帯域W25の外に配置されるブロックW23,W24に含まれる信号を周波数変換して、帯域W25内に含まれるように周波数変換する。このとき、周波数変換後のブロックW23a,W24aのスペクトルF23a,F24aの位置は、帯域W25内であって、他のスペクトルF21,F22と重ならない位置に設定される。
【0077】
このような周波数変換を行うには、まず、局部発振器から周波数変換前のブロックW23,W24の基準の周波数f21と周波数変換後のブロックW23a,W24aの基準の周波数f22との差の値の周波数(f21−f22)を出力し、乗算器において、帯域通過フィルタからの出力と混合して周波数変換する。周波数変換された電波と、周波数変換されていない電波とを加算器で加算し、帯域W25に含まれる電波だけを帯域通過フィルタで濾波すると、入力周波数帯域W25内にスペクトルF21,F22,F23a,F24aが含まれた信号が出力される。
【0078】
これによって、入力周波数帯域よりも広帯域幅の周波数帯域に分散される多重信号を、1系統の受信手段および復調手段を用いて復調することができる。また、図6の受信機31では、電波を周波数変換して加算した後に直交変換を行っているけれども、周波数変換と同時に直交変換を行っても良い。周波数変換と直交変換とを同時に行うことによって、直交変換に用いられる局部発振器を削除することができるので、さらに部品点数を減少させることができる。
【0079】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、マルチキャリア変調方式受信機は、マルチキャリア変調方式によって生成された多重信号を受信する。多重信号を伝送する周波数帯域は、m個に分割され、分割される前の周波数帯域よりも広帯域に分散されている。分散されたm個の周波数帯域の位置を示すデータは、受信機のメモリにストアされている。
【0080】
前記受信機は、分割されたm個の占有周波数帯域を含む所定の周波数帯域を復調するべき電波を含む帯域と見なして、帯域内の電波を全て受信し復調した後に、必要なデータを選択して伝送されたデータ列を再生する。これによって、離散したm個の占有周波数帯域に分割されて伝送される多重信号を、FFTなどを用いた1系統の受信手段およに復調手段を用いて復調することができる。ゆえに、分割された多重信号を受信するための複数の受信手段が、互いに干渉しノイズを生じることを防止することができる。また、受信機の部品点数を減少させることができるので、受信機を小型化することができる。したがって、受信機の製造コストを低減させることができる。
【0081】
また本発明によれば、前記受信機は、受信した多重信号を、分散された帯域を所定の帯域幅に収まるように周波数変換する。これによって、復調手段が一度に処理することができる帯域幅以上の広帯域に分散されて伝送される多重信号を、当該復調手段だけを用いて復調することができる。同時に、送信された多重信号以外の電波を含む帯域を狭くして、復調手段において復調すべき電波の数を減少させることができる。また、復調手段と周波数変換手段とを比較すると、周波数変換手段のほうが構成が容易であり、製造コストも安価である。したがって、復調手段を複数用いる場合と比較して、受信機の構成を簡略化し、製造コストを低下させることができる。
【0082】
さらにまた本発明によれば、前記復調手段は、前記所定の周波数帯域のうち、前記m個の占有周波数帯域に含まれる電波を復調するための演算のみを行う。
【0083】
また本発明によれば、前記復調手段は、複数の放送信号やヌルキャリアが含まれる多重信号のうち、選択されたいずれか1つの放送信号を再生するためのデータを復調するための演算だけを行う。このように、受信機1の使用者が選択し利用しようとする多重信号や放送信号だけを復調するための演算だけを行うので、復調手段の処理量や処理時間を減少させることができる。したがって、たとえば復調手段の演算回路を別の演算に用いることもできるので、回路を効率よく使用することができる。
【0084】
さらにまた本発明によれば、前記復調手段は、放送信号選択手段が操作されたときには、多重信号に含まれる複数の放送信号のデータを全て復調する。これによって、たとえば利用する放送信号を短時間で切換えるときなどにおいて、切換を速やかに行うことができる。したがって、放送信号の切換の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるマルチキャリア変調方式受信機1の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】アンテナ4で受信される電波のスペクトルを示すグラフである。
【図3】復調手段13から出力されるn個の復調データの復調データ列を示す図、およびノイズデータを除去して得られたL個の復調データから成る復調データ列を示す図である。
【図4】第1のデジタル放送のブロックW11〜W13、および第2のデジタル放送のブロックW14,W15の配置を説明するためのグラフである。
【図5】FFTのバタフライ演算の流れ図である。
【図6】本発明の第2実施例であるマルチキャリア変調方式受信機31の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】周波数変換前のデジタル放送のブロックW21〜W24と、周波数変換後のブロックW21,W22,W23a,W24aと、入力周波数帯域W25との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1,31 マルチキャリア変調受信機
4 アンテナ
5 増幅回路
7,8;32,33 乗算器
9;35,36 局部発振器
10 位相変換器
13 復調手段
15 データ変換手段
19 制御手段
20 メモリ
21 放送信号選択手段
38 加算器

Claims (5)

  1. 所定のデータ長を有するL(Lは整数)個のデータから成るデータ列に基づいてL本の搬送波が変調されて多重された多重信号を受信するマルチキャリア変調方式受信機において、
    L本の搬送波はm(<L;mは整数)個の離散した占有周波数帯域から選ばれ、
    m個の占有周波数帯域を含む所定の周波数帯域の電波を受信する受信手段と、
    受信した電波からn(n≧L;nは整数)個のデータを復調する復調手段と、
    前記m個の占有周波数帯域の位置を示すデータがストアされるメモリと、
    メモリにストアされた位置を示すデータに基づいて、n個のデータからm個の占有周波数帯域の電波から復調されたL個のデータを選択し、L個のデータから成るデータ列を再生するデータ再生手段とを含むことを特徴とするマルチキャリア変調方式受信機。
  2. 前記復調手段は、前記所定の周波数帯域よりも狭帯域幅の入力周波数帯域に含まれる電波のみを復調し、
    受信した電波のうち、m個の占有周波数帯域に含まれる電波であって入力周波数帯域以外の帯域に含まれる電波を、入力周波数帯域内であって他の占有周波数帯域以外の帯域に含まれるように周波数変換する周波数変換手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のマルチキャリア変調方式受信機。
  3. 前記復調手段は、前記所定の周波数帯域のうち、前記m個の占有周波数帯域に含まれる電波を復調するための演算のみを行うことを特徴とする請求項1記載のマルチキャリア変調方式受信機。
  4. 前記データ列には、1または複数の放送信号を所定のデータ長で分割したデータが含まれ、
    前記復調手段は、1または複数の放送信号のうちいずれか1つの放送信号を分割したデータによって変調された搬送波を復調するための演算のみを行うことを特徴とする請求項1記載のマルチキャリア変調方式受信機。
  5. 複数の放送信号のうちのいずれか1つの放送信号を選択する放送信号選択手段をさらに含み、
    前記復調手段は、放送信号選択手段が操作されたときには、全ての放送信号を復調することを特徴とする請求項4記載のマルチキャリア変調方式受信機。
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