JP3581019B2 - ガス流量調節装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス流量を広範囲に調節できるようにしたガス流量調節装置に関し、特にガスこんろのバーナーのガス通路に使用したとき、炎を弱、中、強に調節できると共に、安定した中火を得ることができるガス流量調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のガス流量調節装置としては、図7に示すものが用いられている。図7においてaはハウジング、a1は弁室、a2は弁穴、a3は流路である。弁体bには先端に段部b1を介してニードル部b2が突設され、中心穴b3に設けたオリフィスb4を介して常開通路b5が連通しており、弁室a1と弁体bの間にはシールパッキンcが介設されている。このガス流量調節装置においては、弁穴a2とニードル部b2との間に可変絞り通路dが形成され、図外のレバーで弁体bを下げると、可変絞り通路dにおける絞りが増大し最後に段部b1が弁穴a2を閉じるが、この間、オリフィスb4は開放したままである。
【0003】
このガス流量調節装置をバーナーに用いると、バーナー側においては、ニードル部b2が弁穴a2外にあるときは強火を発生し、ニードル部b2が弁穴a2に進入するに従って中火から弱火になり、段部b1が弁穴a2を閉じるとオリフィスb4のみを通るガスによる最弱火になる。
【0004】
しかし、この種のガス流量調節装置において、前記レバーによる弁体bの往動と復動とのヒステリシスにより、特に中間位置では、レバーの位置に対する可変絞り通路dの開度にばらつきが生じ、同じレバー位置でもガス量に変化が生じる。
【0005】
これを、レバー位置とガス流量との関係を示す図8で説明すると、最大開度から開度を減少する曲線A1と最小開度から開度を増大する曲線B1とでは、同じ中間の位置でも、線イと曲線A1との交点Xと線イと曲線B1との交点Yとの差Hのガス量の差が生じる。
【0006】
したがって、この中間位置で点火をしようとして、大きい炎が生じて驚いたり、或いはガス量が少なくて点火し難かったりすることがある。
【0007】
或いは、大火力から小火力までガス量を絞れるガスコンロに炊飯機能を付けた炊飯機能付きガスこんろにおいては、美味しいご飯を炊くためには炊飯時にレバーで炊飯ガス量にセットする必要がある。このガスこんろに前記のガス流量調節装置を用いると、レバーのセット位置の僅かなずれがあるとガス量が正しく設定されず炊飯性能に影響を及ぼすことがある。
【0008】
以上ヒステリシスによるガス量の変化の例で説明したが、レバーに対する弁体の組み付け位置のバラツキによっても同じ事が生じる。
【0009】
そこで、図9に示すようにニードル部b2の軸線方向の中間に長さLの円筒状の同径部b21を設ければ、同径部b21が弁穴a2の口部にある間は同径部と口部との間隔は等間隔であるので、ニードル部b2の構造上のズレ、ヒステリシスによるズレがあっても、ガス量は変化しないと考えられる。
【0010】
しかし、同径部が口部にある間は同径部と口部との間隔は等間隔であるが、同径部の先端側が弁穴a2の口部に位置する場合と、同径部の根部側が弁穴a2の口部に位置する場合とではガス量が異なる。これは同径部b21と弁穴aの重なる長さが相違することにより流量抵抗が影響を受けるからである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ヒステリシス等による影響がなく、強、中、弱の火力調節ができるガス流量調節装置を得ることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明における前記の課題を解決するための手段のうち、第1の手段は、請求項1に記載したとおり、ハウジングに、弁室と、該弁室よりガス流の流れ方向の上流側に該弁室と同心で該弁室より小径の弁穴と、弁室の側部に連通する流路を設け、弁室内で進退する弁体の先端に、弁穴との間に可変絞り通路を形成するニードル部を突設し、ニードル部先端から弁体内にわたって開けた中心穴から弁体表面に至る常開通路を設け、弁体を弁穴に進退させてガスの流量調節をするガス流量調節装置において、ニードル部における常開通路より先端側に周溝を設けると共に該周溝の溝幅を隔てて対峙する溝縁部分を同径に形成し、中心穴と周溝との間にこれらを連通する中間通路を設けたことを特徴とする。
【0013】
この手段によれば、ガス流量調節装置の最大開度近傍では、最大開度のガスは可変絞り通路と一定面積の中間通路、常開通路を通るものの合計であるから、ほぼ一定のガス量が流れる。また、ニードル部が弁穴に進入した中間位置では、周溝全体が弁穴に隠れるまでは、可変絞り通路を通るガスの量及びその変化は少なく、中間通路と常開通路を通るガス量の合計は一定であるから、弁体の位置に多少の差があっても全体としてガス量が略一定である。したがって、このガス流量調節装置をバーナーに用いると安定した中火点火ができる。
【0014】
また第2の手段は、請求項2に記載したとおり、ハウジングに、弁室と同心の弁穴及び弁室の側部に連通する流路を設け、弁室内で進退する弁体の先端に、弁穴との間に可変絞り通路を形成するニードル部を突設し、ニードル部先端から弁体内にわたって開けた中心穴から弁体表面に至る常開通路を設け、ハウジングと弁体の間に、カムとレバーからなる操作機構を設けたガス流量調節装置において、ニードル部の中間に周溝を設けると共に該周溝の溝幅を隔てて対峙する溝縁部分を同径に形成し、ニードル部の先端面と周溝との間に、ニードル部を通るバイパス状の中間通路を設けたことを特徴とする。
【0015】
この手段においては、中間通路の位置と構造が請求項1のものと異なるが、作用は同じである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1において、1はガス流量調節装置、2はそのハウジングで、弁室3と、該弁室3よりガスの流れの上流側にこれより小径の弁穴4が同心に開けられ、弁室3の側部に流路5が開けられている。弁体6には、弁穴4より大径の大径部7が設けられ、この大径部7に段差部8を介してニードル部9が突設されている。ニードル部9は、図3に示すように、周溝11で分割された先端ニードル部9aと根部側ニードル部9bを有し、前記段差部8に繋がる根部9cの径が弁穴4の内径より僅かに小さくされており、それより先端に向かって両ニードル部9a,9bは共にテーパー状に先細となっている。このテーパー角度はガス種及びガス消費量によって、例えば1〜10度位の範囲で変えられる。
【0017】
そしてニードル部9の周溝11より先端側の先端ニードル部9aと口部4aとの間に形成される先端側可変絞り部12aは、先端ニードル部9aの口部4aへの進入度合により絞り度合が変化される。また、ニードル部9の周溝11より根部側の根部側ニードル部9bと口部4aとの間に形成される根部側可変絞り部12bは、根部側ニードル部9bの口部4aへの進入度合により絞り度合が変化される。
【0018】
ニードル部9には、その先端から大径部7の奥まで中心穴13が開けられ、該中心穴13と周溝11の間に中間通路14が開けられ、更に、中心穴13と大径部7の周面との間に常開通路15が開けられている。周溝11は、図3に示すように軸方向に溝幅wを有し、該周溝11に接する先端ニードル部9aの溝縁11aと根部側ニードル部9bの溝縁11bの半径は、同一の半径rである。このため、弁体6が下降して周溝11が弁穴4内に入り始めてから入り切るまでの間は、先端側可変絞り部12aが前半の最大絞りの状態を維持し、次いで周溝11が弁穴4内に入り切ると、根部側可変絞り部12bが作用し始め、前半の絞り作用より大きい絞りが生じる。
【0019】
図1において16はシール用のOリング、17は被動ピンで、被動ピン17は図1,2に示すレバー18で操作される。レバー18は、クランク形で、基端がハウジング2と一体の金具19にリベット19aで枢着され、縦部分に縦溝18aが開けられている。またハウジング2には傾斜したカム溝20aをもつカム20が固定され、ピン17がカム溝20aと縦溝18aを通って弁体6に固定されている。したがって、レバー18を回動することによってピン17はカム溝20aに沿って動き弁体6は上下動する。そして、図外の点火装置がレバー18の中火位置で作動するように設けられている。
【0020】
そして、図4(A)に示すように弁体6が上方にあって、先端ニードル部9aの先端が口部4aに入り始めで先端側可変絞り通路12a、中間通路14、常開通路15が全て開いているときは、各通路をガスg1,g2,g3が流れて大量のガスがバーナーに供給されて強火を発生する。その後、先端側ニードル部9aが口部4aに入る(図3の線4a1)に従い先端側可変絞り通路12aは徐々に狭くなり、ガスg1は徐々に減じるが、ガスg2とg3は基本的には変化しない。したがって、流路5を流れるガス量は徐々に減じていく。
【0021】
そして、先端側ニードル部9aが口部4aに突入し終わり(図3の線4a2)、次いで図4(B)に示すように、周溝11が口部4aに入り込む(図3の線4a2〜4a4)。この周溝11の溝幅wが口部4aに突入移動しても、換言すれば、ニードル9が周溝11の溝幅w分だけ口部4aに突入移動しても、ガス量の絞りは殆ど変わらず平衡状態となる。
【0022】
これは、周溝11の溝幅wの先端側溝縁11aと根部側溝縁11bにおけるニードル部の太さは同じであり、中心穴13を通り中間通路14を通ったガスは先端側溝縁11aと口部4aとの間隔に影響されず根部側溝縁11bと口部4aとの間隔から抜けるからである。
【0023】
次に、根部側ニードル部9bが口部4aに入り込んでから(図3の口部4a4通過後)は、たとえ中心穴13を通り中間通路14を通ったガスがあっても、根部側ニードル部9bと口部4aとの間隔で形成される可変絞り12bで制限されたガス量となる。
【0024】
そして、図4(C)のように段差部8が口部4aに当接すると、中心穴13から常開通路15を通った最小流量のガスg3のみが流れ、完全な弱火になる。なお、この最小流量を確保するためには、図7の従来例のオリフィスb4のように、中心穴13に常開通路15を流れるガス量相当のオリフィスを設け、常開通路15はオリフィス流量以上のガスが流通できる連通路としてもよい。
【0025】
図5はレバー18の位置に対するガス流量の変化を示すもので、曲線A,Bは、製品の作用のばらつきの限度又は開閉時のヒステリシスを示し、図4(B)のように周溝11が開放している中火の間は、中間通路14と常開通路15を通るガスg2,g3の量の和が一定で、可変絞り通路12を通るガスg1の量のみが僅かに絞られ続けることから、ガス量の和を示すカーブの傾斜が緩やかで直線イの位置におけるガス量の差hは小さい。
【0026】
このため、ガス流量調節装置の組み付けにばらつきがあったりヒステリシスがあっても、直線イを中火点火位置としたとき、各ガス流量調節装置のガス量の差が小さいから、このイの位置を点火位置としたとき、点火時の炎の大きさに殆ど差が生じない。また、直線イの位置が左右に多少ずれても、差hは小さいから炎の大きさに殆ど差が生じない。このことは、イの位置を炊飯ガス量の位置としたときもほぼ同じガス量が得られるから、炊き上りに差が生じない。
【0027】
図6は弁体6の別の形態を示し、ニードル部9の周面の一部に溝型の中間通路14aが、先の実施の形態の中間通路14の代わりに設けられている。この中間通路14aの作用は前記中間通路14の作用と同じである。
【0028】
【発明の効果】
以上のとおり、請求項1及び2のガス流量調節装置は、ハウジングに対する弁体の組み付け位置にばらつきがあっても、弁体の中間位置においては、ニードル部の周溝が弁穴に入り始めたときから入り終わるまでの間は、ガス流量を略一定の中量に安定的に保つことができる効果がある。したがって、このガス流量調節装置をバーナーに用いると、略一定の大きさの中火を発生させることができ、安定した中火点火を行なうことができたり、適切な炊飯ガス量を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態の縱断面図
【図2】操作部の斜視図
【図3】弁体の要部拡大図
【図4】弁体の動作説明図
【図5】流量の変化を示すグラフ
【図6】弁体の別の形態の斜視図
【図7】従来例の縱断面図
【図8】同じく流量の変化を示すグラフ
【図9】参考例の縦断面図
【符号の説明】
2 ハウジング 3 弁室
4 弁穴 4a 口部
6 弁体 7 段差部
8 大径部 9 ニードル部
11 周溝 12 可変絞り通路
13 中心穴 14,14a 中間通路
15 常開通路
Claims (2)
- ハウジングに、弁室と、該弁室よりガス流の流れ方向の上流側に該弁室と同心で該弁室より小径の弁穴と、弁室の側部に連通する流路を設け、弁室内で進退する弁体の先端に、弁穴との間に可変絞り通路を形成するニードル部を突設し、ニードル部先端から弁体内にわたって開けた中心穴から弁体表面に至る常開通路を設け、弁体を弁穴に進退させてガスの流量調節をするガス流量調節装置において、ニードル部における常開通路より先端側に周溝を設けると共に該周溝の溝幅を隔てて対峙する溝縁部分を同径に形成し、中心穴と周溝との間にこれらを連通する中間通路を設けたことを特徴とするガス流量調節装置。
- ハウジングに、弁室と同心の弁穴及び弁室の側部に連通する流路を設け、弁室内で進退する弁体の先端に、弁穴との間に可変絞り通路を形成するニードル部を突設し、ニードル部先端から弁体内にわたって開けた中心穴から弁体表面に至る常開通路を設け、ハウジングと弁体の間に、カムとレバーからなる操作機構を設けたガス流量調節装置において、ニードル部の中間に周溝を設けると共に該周溝の溝幅を隔てて対峙する溝縁部分を同径に形成し、ニードル部の先端面と周溝との間に、ニードル部を通るバイパス状の中間通路を設けたことを特徴とするガス流量調節装置。
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