JP3580730B2 - 鉛フリー半田用フロー半田付け装置及び半田付け方法、並びに接合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛を含有しない、いわゆる鉛フリー半田用のフロー半田付け装置、及び該フロー半田付け装置にて実行される鉛フリー半田用半田付け方法、並びに上記鉛フリー半田用のフロー半田付け装置又は上記鉛フリー半田用半田付け方法を用いて半田付けされた接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護が叫ばれ、プリント基板上に電子部品を固定するときに以前より使用しているSn−Pb(錫−鉛)系の半田に含まれている鉛も環境ひいては人体に悪影響を及ぼすことから、該鉛を含有しない、いわゆる鉛フリー半田が開発されつつある。現在、鉛フリー半田としては、Sn−Cu(錫−銅)系、Sn−Ag(錫−銀)系、Sn−Zn(錫−亜鉛)系、Sn−Bi(錫−ビスマス)系、Sn−In(錫−インジウム)系、In−Ag(インジウム−銀)系、等が開発され、特に、上記Sn−Cu系、Sn−Ag系、Sn−Zn系が有力である。
【0003】
しかしながら、従来の、鉛を含有する上記Sn−Pb系の共晶半田の融点である183℃に比べて、上記Sn−Cu系の、例えばSn−0.7Cuの組成にてなる鉛フリー半田における融点は227℃であり、上記Sn−Ag系の、例えばSn−3.5Agの組成にてなる鉛フリー半田における融点は221℃であり、上記Sn−Zn系の、例えばSn−8Znの組成にてなる鉛フリー半田における融点は199℃である。これらの中では、上記Sn−Zn系の融点が最も低いが、Znは酸化しやすいため、上述のようにプリント基板上への電子部品の固定用として使用するには、上記酸化防止の有効な手段が見出せていない現状にあってはSn−Zn系の鉛フリー半田には問題がある。よって、現在のところ有力な鉛フリー半田としては、上記Sn−Cu系、及びSn−Ag系となるが、いずれの場合も上述のように上記共晶半田の融点に比べて約40℃程、融点が高い。
【0004】
例えば、プリント基板上への電子部品の固定用に、上記Sn−Cu系及びSn−Ag系の鉛フリー半田を使用する場合、一般的な電子部品の耐熱温度が約230℃であることから、従来の上記共晶半田の場合では約50℃の熱的余裕があったのが、上記Sn−Cu系及びSn−Ag系の鉛フリー半田では温度的にほとんど余裕がなくなってしまう。
そこで、できるだけ従来の共晶半田における融点、若しくはそれ以下に鉛フリー半田の融点を下げるため、融点降下作用金属としてBi(ビスマス)やIn(インジウム)等を添加した、例えばSn−3.5Ag−6Biや、Sn−3.5Ag−3Bi−3In等の組成からなる鉛フリー半田が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の共晶半田では、ほぼ瞬時的に溶融状態から凝固状態へ変化する。一方、上記Biを添加することで、その添加量に比例して鉛フリー半田の融点は下がるが、例えばBiを含有する鉛フリー半田では、溶融状態から凝固するまでの温度範囲が従来の共晶半田に比べて広くなり、凝固進行中において部分的に凝固した部分と未だ溶融状態にある部分とが混在する状態が生じる。よって、図5に示すように、電子部品1とプリント基板5の電極2との接合部分3にて、鉛フリー半田4中にて大きく成長した例えばBiの結晶31が偏析する場合が発生する。尚、図5の接合部拡大部分は、接合部分3における鉛フリー半田4の組成を模式的に図示しており、図示する”○”が例えばBiに相当し、”□”は例えばAgに相当する。又、電極2との接合界面部分に図示する”△”は、電極2の材質であるCuと、鉛フリー半田内のSnとの化合物に相当する。
【0006】
一方、Bi自体の硬度は、Sn,Agに比べて高いため、例えば数十重量%にてBiを含有させたときに、Bi結晶の上記偏析によってBiが集合した部分における当該鉛フリー半田の強度は脆くなってしまう。よって、例えば上記電極2の接合界面部分にBi結晶が偏在し凝固してしまったようなときには、該接合界面部分での接合強度は低くなる。したがって、上記電極2と電子部品1との十分な接合強度が得られないという問題が生じる。
【0007】
又、溶融状態にある従来の共晶半田の噴流に、図6に示すように、該共晶半田にて接合される電子部品1とプリント基板5との接合部分3を浸して該接合部分3に上記共晶半田を塗り、その後、塗られた共晶半田を凝固させることで上記電極2と電子部品1とを接合させるフロー半田付け装置が存在する。このようなフロー半田付け装置にて使用される半田について、近年の環境問題の観点から上記共晶半田に代わり上述した鉛フリー半田が用いられることが予想される。
【0008】
しかしながら、上記鉛フリー半田は、現時点では上述のような問題を有する。よって、上記鉛フリー半田を従来のフロー半田付け装置にて使用しても上記電極2と電子部品1との十分な接合強度が得られないという問題が生じる。
一方、Biを含有させないSn−Ag、Sn−Ag−Cu、Sn−Cu系の半田や共晶半田に比べて、Biを添加した半田は、熱疲労試験において特にクラックや変形等の発生防止効果が非常に優れているという利点がある。
又、フロー半田付け装置を使用して半田付けを行う場合、予めプリント基板5に仮固定されたQFP(Quad Flat Gull Wing Leaded Package)タイプ等の電子部品を鉛噴流に直接接触させて半田付けするときもあるが、例えばアルミ電解コンデンサ等のように弱耐熱性の部品もあるので、図6に示すように、プリント基板5の厚み方向に当該プリント基板5を貫通するスルーホール6に挿通された電子部品1のリード1aを半田付けすることが多い。この場合、上記鉛フリー半田を使用したときには、該鉛フリー半田の凝固時に例えばBi結晶の偏析が原因で、いわゆるリフトオフ7が発生しやすい。リフトオフ7は、共晶半田を使用したときにも発生するが共晶半田の場合、通常、溶融半田噴流の非接触面側、つまり図6ではプリント基板5の上側にて発生する。しかしながら、例えばBiを含有する鉛フリー半田では、溶融半田噴流の接触面側、つまり図6ではプリント基板5の下側でも発生してしまう。よって、該リフトオフ7の発生によっても上記電極2と電子部品1との十分な接合強度が得られないという問題が生じる。又、上記熱疲労によるクラックや変形等は、リフトオフ7の発生部分近傍にて発生しやすい。
したがって、Biを含有させることで上述のようにクラック発生防止効果が著しく向上するにも拘わらず、特にフロー半田付けを行う場合、上記リフトオフ7による接合強度の問題から、Bi含有の鉛フリー半田は使用できないというのが現在の大勢的見解である。
【0009】
又、フロー半田付け装置の場合、溶融状態にある鉛フリー半田の毛細管現象により上記スルーホール6と上記リード1aとの隙間を溶融状態の鉛フリー半田が伝って流れるが、上記鉛フリー半田を用いた場合、表面張力が強くなり、いわゆる濡れ性が悪くなってしまう。その結果、上記接合部分にて鉛フリー半田が十分に流れず、この場合にも、上記電極2と電子部品1との十分な接合強度が得られないという問題が生じてしまう。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、鉛フリー半田を用いた場合において、電子部品の十分な接合強度が得られるフロー半田付け装置、及び該フロー半田付け装置にて実行される鉛フリー半田の半田付け方法、並びに上記鉛フリー半田用のフロー半田付け装置又は上記鉛フリー半田用半田付け方法を用いて半田付けされた接合体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1態様である、鉛フリー半田用フロー半田付け装置は、鉛を含有しない錫の合金であり溶融状態にある鉛フリー半田の噴流に、上記鉛フリー半田にて接合される装着物と被装着材との接合部分を浸す溶融半田浸漬装置と、
上記被装着材に対して、上記鉛フリー半田に含まれ上記鉛フリー半田における融点を下げる作用を有する融点降下作用金属の結晶の微細化及び上記融点降下作用金属の偏析防止を行い上記被装着材と上記装着物との接合強度を増す第1微小振動を、当該鉛フリー半田の凝固点に達する直前から作用させて上記鉛フリー半田が完全に凝固した以後に上記第1微小振動の作用を終了させる第1作用部を有する発振装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記発振装置の上記第1作用部による第1微小振動は、上記被装着材と上記装着物との少なくとも一方の接合界面における接合強度を増す振動であるようにしてもよい。
【0012】
又、上記被装着材及び上記装着物における半田付け部分がCuを含有するとき、上記発振装置が発する上記第1微小振動は、さらに、上記被装着材と上記装着物との少なくとも一方の接合界面に存在する、上記鉛フリー半田に含まれるSnと上記Cuとの化合物層の厚みを増し上記接合界面における接合強度を増す振動であるように構成することもできる。
【0013】
又、上記発振装置は、上記溶融半田浸漬装置における上記鉛フリー半田の噴流に対して、上記接合部分における上記鉛フリー半田の表面張力を低下させて濡れ性を向上させる第2微小振動を作用する第2作用部をさらに有するように構成することもできる。
【0014】
又、上記第1微小振動について、上記被装着材の大きさ、上記鉛フリー半田に含有する上記融点降下作用金属の量、及び上記接合部分における接合強度の少なくとも一つに基づいて制御を行う制御装置をさらに備えるように構成することもできる。
【0015】
又、上記制御装置は、さらに、上記接合部分における上記鉛フリー半田の表面張力を低下させて濡れ性を向上させる第2微小振動について、上記鉛フリー半田に含有する上記融点降下作用金属の量、及び上記接合部分における接合強度の少なくとも一つに基づいて制御を行うように構成することもできる。
【0016】
本発明の第2態様である、フロー半田付け装置にて実行される鉛フリー半田の半田付け方法は、鉛を含有しない錫の合金であり溶融状態にある鉛フリー半田の噴流に、上記鉛フリー半田にて接合される装着物と被装着材との接合部分を浸すとき、
上記接合部分における上記鉛フリー半田の表面張力を低下させて濡れ性を向上させる第2微小振動を、上記鉛フリー半田に含まれ上記鉛フリー半田における融点を下げる作用を有する融点降下作用金属の量、及び上記装着物と被装着材との接合強度の少なくとも一つに基づいて制御して、上記噴流に作用させることを特徴とする。
【0017】
又、上記接合部分を上記鉛フリー半田の噴流に浸すとき、及び上記噴流により上記接合部分に上記鉛フリー半田が塗られた後の少なくとも一方にて、さらに、上記鉛フリー半田における上記融点降下作用金属の結晶の微細化及び該融点降下作用金属の偏析防止を行い上記装着物と上記被装着材との接合強度を増す第1微小振動を、上記被装着材の大きさ、上記鉛フリー半田に含有する上記融点降下作用金属の量、及び上記装着物と上記被装着材との接合強度の少なくとも一つに基づいて制御して、上記噴流により上記接合部分に塗られ溶融状態にある上記鉛フリー半田に作用させるようにしてもよい。
【0018】
又、本発明の第3態様である、フロー半田付け装置にて実行される鉛フリー半田の半田付け方法は、鉛を含有しない錫の合金であり溶融状態にある鉛フリー半田の噴流に、上記鉛フリー半田にて接合される装着物と被装着材との接合部分を浸すとき、及び上記噴流により上記接合部分に上記鉛フリー半田が塗られた後の少なくとも一方にて、
上記鉛フリー半田に含まれ上記鉛フリー半田における融点を下げる作用を有する融点降下作用金属の結晶の微細化及び該融点降下作用金属の偏析防止を行い上記装着物と上記被装着材との接合強度を増す第1微小振動を、上記被装着材の大きさ、上記鉛フリー半田に含有する上記融点降下作用金属の量、及び上記装着物と上記被装着材との接合強度の少なくとも一つに基づいて制御して、上記噴流により上記接合部分に塗られ溶融状態にある上記鉛フリー半田に作用させることを特徴とする。
【0019】
本発明の第4態様である接合体は、上記第1態様の鉛フリー半田用フロー半田付け装置を用いて半田付けされたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態である鉛フリー半田用フロー半田付け装置、及び該フロー半田付け装置にて実行される鉛フリー半田の半田付け方法、並びに上記鉛フリー半田用のフロー半田付け装置又は上記鉛フリー半田用半田付け方法を用いて半田付けされた接合体について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同じ構成部分については同じ符号を付している。又、上記「課題を解決するための手段」に記載する、「装着物」の機能を果たす一例として、本実施形態では電子部品を例に採り、「被装着材」の機能を果たす一例として、本実施形態では上記電子部品を実装するプリント基板を例に採り、「微小振動」の機能を果たす一例として、本実施形態では超音波振動を例に採り、「発振装置」の機能を果たす一例として、本実施形態では超音波発振装置を例に採り、「接合体」の機能を果たす一例として、本実施形態では上記プリント基板と上記電子部品とが半田付けされた物を例に採る。尚、上記装着物及び被装着材はこれらに限定されるものではなく、例えば、上記被装着材が液晶パネル用基板であったり、上記被装着材及び装着物の両者ともに電子部品であるような場合も含む概念である。又、上記微小振動は上記超音波振動に限定されず、以下に説明するように上記装着物と上記被装着材との接合部分、特には接合界面部分での接合強度を増す作用をする振動である。
【0021】
又、本実施形態では、鉛を含有しない錫の合金である半田、つまり鉛フリー半田の一例として、上記Sn−Ag系半田に、当該鉛フリー半田の融点を下げる作用を有する金属、つまり融点降下作用金属としてBiを添加したSn−Ag−Biの組成にてなる鉛フリー半田を例に採り、具体的なBi含有量としては、20重量%、40重量%とした。尚、Bi含有量の最大値は、Agを含まずSnと共晶状態となる58重量%(Sn−58Bi)である。
しかしながら、鉛フリー半田の組成は、これに限定するものではなく、上述したSn−Cu系、Sn−Zn系、Sn−Bi系、Sn−In系、In−Ag系等であって、融点降下作用金属である添加剤としてBi,In,Cu等が考えられる。尚、ここで、添加剤とは、約0.5重量%を超えるものをいい、又、例えばBi等の単体である場合に限らず例えばBi等を含有した合金の場合もある。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のフロー半田付け装置111には、従来のフロー半田付け装置の場合と同様に、プリント基板上の実装位置に電子部品1が仮固定された部品実装済みのプリント基板5が搬入される。
上記フロー半田付け装置111は、フラクサー131と、予備加熱装置132と、溶融半田浸漬装置133と、超音波発振装置134と、搬送装置135と、制御装置136と、冷却装置137とを備える。尚、上記フラクサー131、上記予備加熱装置132、及び冷却装置137は、設置を省略することもできる。
【0023】
搬送装置135は、フラクサー131、予備加熱装置132、溶融半田浸漬装置133、及び冷却装置137の各設置箇所を通過する搬送路に沿って延在するコンベヤ1351を有し、該コンベヤ1351を駆動する駆動装置としてのモータ1352にて、上記コンベヤ1351に載置された上記部品実装済みのプリント基板5を、フラクサー131、予備加熱装置132、溶融半田浸漬装置133、冷却装置137の順に搬送する。コンベヤ1351は循環しており、又、モータ1352は制御装置136にて動作制御される。
【0024】
上記フラクサー131は、上記部品実装済みのプリント基板5の上記電極2と電子部品1との接合部分にフラックスを塗布する公知の装置であり、制御装置136にて動作制御される。
【0025】
上記予備加熱装置132は、上記部品実装済プリント基板5における、主に上記接合部分の予備加熱を行う装置であり、制御装置136にて予備加熱温度の制御が行われ、少なくとも上記接合部分をプリヒート時間T1内にプリヒート温度t1まで加熱する。尚、上記プリヒート温度t1は、当該鉛フリー半田の融点(m.p.)よりも若干低い温度である。
尚、上記予備加熱を行う手段としては、本実施形態ではヒータを用いるが、これに限定されるものではなく、例えば、熱風や、IR(赤外線)等の公知の手段を用いることもできる。
【0026】
上記溶融半田浸漬装置133は、溶融状態の鉛フリー半田122を噴出させる噴流生成装置1331を備える。上記鉛フリー半田122は、上述したSn−Ag−Biの組成にてなる鉛フリー半田である。該噴流生成装置1331には、図2に示すように、上記コンベヤ1351による搬送方向に沿って1次噴流ノズル1333と2次噴流ノズル1334とが並設されており、それぞれのノズル1333,1334から溶融した鉛フリー半田122を噴出させるためのポンプ1332が設けられ、さらに、鉛フリー半田122を溶融させるためのヒータ1335が設けられている。上記ポンプ1332は制御装置136にて動作制御され、及び上記ヒータ1335は当該ヒータ用の温度調節器1336にて温度制御される。上記温度調節器1336は制御装置136にて動作制御される。該動作制御による上記温度制御によって、ヒータ1335にて溶融されている鉛フリー半田122の温度は、図4に示すように、鉛フリー半田122の融点よりも高いフロー温度t2に設定されている。
尚、溶融半田浸漬装置133のこのような構成は、従来のフロー半田付け装置に備わる溶融半田浸漬装置における構成と変わるところはない。
【0027】
本実施形態のフロー半田付け装置111において特徴的構成の一つである超音波発振装置134は、第1周波数及び第1振幅値の第1超音波を発生する第1発振器1343と、該発振器1343にて発生した超音波振動をプリント基板5に作用させる第1作用部1344と、第2周波数及び第2振幅値の第2超音波を発生する第2発振器1341と、該発振器1341にて発生した超音波振動を溶融状態の鉛フリー半田122に作用させる第2作用部1342と、を備える。
【0028】
上記第1作用部1344は、コンベヤ1351にて搬送されているプリント基板5に対して、上記接合部分3、特に上記電極2の接合界面及び電子部品1の接合界面の少なくとも一方に、上記鉛フリー半田122における含有成分の結晶、例えば上記融点降下作用金属としての本例の場合にはBi結晶やSnとAgとの合金結晶の微細化及び偏在防止を図る程度の第1周波数及び第1振幅値の振動、例えば数μmの振幅を作用させる。
【0029】
又、本実施形態では、搬送中のプリント基板5に対して第1作用部1344は超音波振動を作用させることから、第1作用部1344をプリント基板5の搬送に同期して移動させるための移動装置1345を備えている。尚、搬送中のプリント基板5、正確には上記溶融状態にある鉛フリー半田122への超音波振動の与え方は、上述の、第1作用部1344をプリント基板5に直接に接触させる方法に限定されるものではない。よって、上記移動装置1345は、常に設けられる構成ではない。
又、本実施形態では、第1作用部1344及び第2作用部1342を設けているが、これらの少なくとも一方を設ける構成を採ることもできる。
【0030】
又、第1作用部1344がプリント基板5へ上記超音波振動を作用させるタイミングは、以下のような形態がある。即ち、図4に示す時刻t1のように、プリント基板5が溶融半田浸漬装置133を通過し、溶融状態にある鉛フリー半田122の冷却が開始された時点から作用させてもよいし、上述した本実施形態の場合のように、つまり時刻t0のように鉛フリー半田122の噴流を当てているときから作用させてもよい。少なくとも時刻t2のように、当該鉛フリー半田122の温度が当該鉛フリー半田122の凝固点に達する直前には作用を開始する必要がある。よって図2では、第1作用部1344は、溶融半田浸漬装置133に設けているように図示しているが、溶融半田浸漬装置133から、後述の冷却装置137の設置箇所まで、又は上記冷却装置137の設置箇所のみに、設けるように構成することができる。
尚、第1作用部1344による超音波振動の作用終了時点は、当該鉛フリー半田122が完全に凝固した以後である。
【0031】
上記第1作用部1344を設けることで、図5及び図6に示す接合部分3に対して超音波振動が作用し、溶融している鉛フリー半田122が上記超音波振動により振動する。よって該振動の作用により、肥大化した例えばBiの結晶は、図3に示すように、微細化され、かつ上記振動の作用により溶融状態の鉛フリー半田122が混ぜ合わされるので、上記電極2の接合界面及び電子部品1の接合界面の少なくとも一方において、上記Biの結晶が偏在することを防止することができる。その結果、当該鉛フリー半田122における上記Bi以外の成分、例えばSnやAg等に比べて硬度の高い上記Biの結晶が、例えば電極2の接合界面に集合した状態で偏析し凝固することはなくなる。又、本実施形態における鉛フリー半田122の成分のように、Agを含有する場合、SnとAgとの合金が生成され析出するが、上記超音波振動はこのようなSn−Ag合金の結晶をも微細化するように働く。したがって、接合部分3の全体がほぼ均一な組成となり、かつ各組成の結晶は微細化されているので、接合部分3の全体の強度を均一化でき、上記電極2の接合界面におけるプリント基板5の電極2と電子部品1との接合強度を、超音波振動を作用させない従来の場合に比べて、高めることができる。
【0032】
さらに、上記第1作用部1344による超音波振動の作用により以下の効果を得ることもできる。即ち、上述したように、Cuを主成分とする電極2及び電子部品1の電極の表面部分には、鉛フリー半田122に含まれるSnと上記Cuとの化合物が形成されているが、上記超音波振動を作用させることで、該振動により上記Sn−Cu化合物を含む層が溶融状態の鉛フリー半田122内へ拡散し、成長する。このSn−Cu化合物を含む層の厚み102が適切な値になるように超音波振動を作用させることで、より上記電極2の接合界面における上記接合強度を高めることができる。尚、上記厚み102は、上記適切値を超えると、逆に、上記接合強度が弱くなる。よって、上記超音波振動を制御する必要がある。
【0033】
さらに又、上述のように超音波振動を与えることで上記接合強度が向上することから、Biを含有する鉛フリー半田を使用することができ、その結果、当該鉛フリー半田は、Biを含有しない半田に比べて著しく良好なクラック発生防止効果を有する。したがって、Biを含有する鉛フリー半田であっても、フロー半田付け装置の場合に特に問題が顕著になる上記リフトオフ7の発生が防止でき、及びBiを含有することで該リフトオフ7の発生部分近傍にて発生しやすいクラックや変形等を防止することができる。
【0034】
上記第2作用部1342は、プリント基板5に向かって噴出している鉛フリー半田122の噴流に、当該鉛フリー半田122の表面張力を低下させ、上記濡れ性を改善する程度の第2周波数及び第2振幅値の超音波振動、例えば数μmの振幅を与える。本実施形態では、1次噴流ノズル1333及び2次噴流ノズル1334のそれぞれに第2作用部1342を設けている。
尚、変形例として、1次噴流ノズル1333及び2次噴流ノズル1334のいずれか一方にのみ第2作用部1342を設けてもよく、この場合、2次噴流ノズル1334に優先的に第2作用部1342を設けるのが好ましい。
【0035】
上記第2作用部1342を設けることで、鉛フリー半田122の噴流が超音波振動することから、鉛フリー半田122の表面張力が低下し、上記濡れ性を改善することができ、特に図6に示すような上記接合部分3にて鉛フリー半田122が十分に流れ上記電極2と電子部品1との十分な接合強度を得ることができる。
【0036】
以上のように、上記第1作用部1344による第1超音波振動の上記接合部分3における第1振幅値及び第1周波数は、上記電極2又は電子部品1の接合界面にて上記鉛フリー半田122に含まれる融点降下作用金属、例えば上述のようにBi、の結晶の微細化、及びSn−Agのような生成された合金結晶の微細化、並びに上記融点降下作用金属の偏析防止を行い、上記接合界面における電極2と電子部品1との接合強度を増す値であり、さらには、上記接合界面に存在する上記Sn−Cu化合物を含む層の厚みを増し上記接合界面における上記接合強度を増す値である。
又、上記第2作用部1342による第2超音波振動の第2振幅値及び第2周波数は、上記接合部分3にて鉛フリー半田122が十分に流れ上記電極2と電子部品1との十分な接合強度が得られるように、鉛フリー半田122の表面張力を低下させ鉛フリー半田122の濡れ性を向上させる値である。
【0037】
即ち、上記第1作用部1344による第1周波数及び第1振幅値の第1超音波振動、及び上記第2作用部1342による第2周波数及び第2振幅値の第2超音波振動の各振幅値及び周波数は、上記鉛フリー半田の組成、とりわけ上記融点降下作用金属の、本実施形態の場合ではBiの含有量と相関関係を有し、ひいては上記接合界面における電極2及び電子部品1の接合強度と相関関係を有する。さらに又、上記第1作用部1344による超音波振動の第1振幅値及び第1周波数は、上記Sn−Cu化合物層の厚み、つまり上記接合界面における上記接合強度とも相関関係を有する。さらには、上記第2作用部1342における第2超音波振動の第2振幅値及び第2周波数は、鉛フリー半田122の濡れ性とも関係を有する。
【0038】
そこで本実施形態では、制御装置136に備わる記憶部1361に、上記融点降下作用金属の含有量及び上記接合強度の少なくとも一方と、上記第1作用部1344による第1超音波振動の第1振幅値及び第1周波数との関係情報を少なくとも格納する。又、より好ましくは、上記融点降下作用金属の含有量及び上記接合強度の少なくとも一方と、上記第2作用部1342による第2超音波振動の第2振幅値及び第2周波数との関係情報をも併せて上記記憶部1361に格納する。さらには上記Sn−Cu化合物層の厚みと、上記接合強度と、上記第1作用部1344による第1超音波振動の第1振幅値及び第1周波数との関係情報を格納するのが好ましい。
さらに、上記第2作用部1342における第2超音波振動の第2振幅値及び第2周波数と、鉛フリー半田122の濡れ性との関係情報を上記記憶部1361に格納するのが好ましい。
さらには、鉛フリー半田のBi含有量は、上述のようにクラック等の発生防止効果とも関係するので、記憶部1361には、Bi含有量を介してクラック等の発生防止と上記超音波振動との関係情報を格納することもできる。
【0039】
よって制御装置136は、上記接合強度における所望値と、例えば上記融点降下作用金属の含有量とに基づいて最適なそれぞれの振幅値及び周波数を求め、この各振幅値及び周波数が上記接合部分3にて得られるように、上記発振器1343、1341の動作制御を行う。
制御装置136が上記動作制御を行うことで、より適切に鉛フリー半田122を超音波振動させることができ、上記接合強度を適切化することができる。
【0040】
次に、上記冷却装置137は、上記溶融半田浸漬装置133に隣接して設けられ、上記フロー温度t2に加熱され溶融状態にある鉛フリー半田122を冷却する部分であり、ファン1371が設けられている。該ファン1371を回転させるモータ1372は、制御装置136に接続されており、制御装置136にて動作制御される。
【0041】
以上説明した構成を備えるフロー半田付け装置111の動作を以下に説明する。尚、動作制御は、制御装置136にて行われる。
電子部品1が載置されたプリント基板5が搬送装置135のコンベヤ1351に載置される。載置されたプリント基板5は、コンベヤ1351の搬送に従い、フラクサー131にてフラックスが塗布され、該塗布後、予備加熱装置132にて、図4に示すようにプリヒート温度t1まで加熱される。さらにコンベヤ1351の搬送によりプリント基板5は、溶融半田浸漬装置133の設置箇所へ搬入され、1次噴流ノズル1333及び2次噴流ノズル1334から噴出している溶融状態の鉛フリー半田122の噴流にさらされ鉛フリー半田122が塗られる。又、このとき、第2作用部1342にて鉛フリー半田122の上記噴流に第2超音波振動を与え、さらに本実施形態では第1作用部1344にてプリント基板5に第1超音波振動を作用させる。
これらの超音波振動により、上述したように、プリント基板5の電極2と電子部品1との接合部分3における鉛フリー半田122の濡れ性が向上し、かつ融点降下作用金属の例えばBiの結晶を微細化し偏析を防止する。これにより上記電極2と電子部品1と接合強度を、超音波振動を与えない場合に比べて向上させることができる。
【0042】
本実施形態では、上記第1作用部1344による超音波振動を作用させながら、コンベヤ1351の搬送に従いプリント基板5は冷却装置137の設置箇所へ搬入され、鉛フリー半田122の冷却が行われ、鉛フリー半田122が完全に凝固する温度に達した以後にて上記第1作用部1344をプリント基板5から外し上記超音波振動のプリント基板5への作用を停止する。又、その後、プリント基板5は、冷却装置137から搬出される。
以下、同様の動作が、搬送される各プリント基板5に対して行われ、順次半田付けが行われていく。
【0043】
このように本実施形態のフロー半田付け装置111によれば、鉛フリー半田122の融点を従来の共晶半田付近まで下げながら、上記噴流の鉛フリー半田122及び上記接合部分3において溶融状態にある鉛フリー半田122に超音波振動を作用させることで、プリント基板5の電極2と電子部品1との接合強度を、超音波振動を作用させない場合に比べて増すことができる。
【0044】
又、このように超音波振動の作用により、従来に比べてBiを多く含有させた鉛フリー半田であっても上記接合強度を増すことができることから、上述した、Biによるクラック発生防止効果を引き出すことが可能となり、特にフロー半田付け装置にて半田付けされる、図6に示すようなスルーホール6にリード1aが挿入されて半田付けされる形態において、上記リフトオフ7部分近傍に発生しやすい上記鉛フリー半田の上記熱疲労によるクラック発生を著しく防止することが可能となる。
【0045】
又、このように超音波振動の作用により、Bi含有量が従来に比べて多い鉛フリー半田であってもその接合強度上の信頼性を得ることができる。よって、従来の鉛フリー半田に比べて融点の低い鉛フリー半田を使用することができ、その結果、例えば、鉛フリー半田を溶融させるために要する電力を従来の鉛フリー半田の場合に比べて低下させることができ、省エネルギー、究極的には環境保護に寄与することになるという効果もある。
【0046】
上述のように本実施形態では、溶融半田浸漬装置133への搬入から冷却装置137からの搬出まで、コンベヤ1351は停止することなくプリント基板5を搬送し、上記第1作用部1344は搬送されているプリント基板5へ第1超音波振動を作用させるように構成したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、上記1次噴流ノズル1333及び2次噴流ノズル1334にて、溶融状態にある鉛フリー半田122の噴流にて鉛フリー半田122が上記接合部分3に塗られた後、プリント基板5の搬送を一旦停止して、上記第1作用部1344にて第1超音波振動を作用させても良い。
又、本実施形態では、第1作用部1344及び第2作用部1342は、共に連続的に超音波振動を作用させているが、間欠的に作用させるように構成してもよい。
【0047】
又、上記制御装置136に備わる記憶部1361には、本実施形態の場合、上述のように、上記融点降下作用金属の含有量及び上記接合強度の少なくとも一方と、上記振幅値及び周波数との関係情報を少なくとも格納し、さらには上記Sn−Cu化合物層の厚みと、上記接合強度と、上記振幅値及び周波数との関係情報を格納するのが好ましい。さらに、以下の関係情報を格納することもできる。つまり、超音波発振装置134の上記第1作用部1344がプリント基板5に接触して鉛フリー半田122に超音波振動を与える場合、該超音波振動は波状にプリント基板5を伝搬していくので、共振する部分としない部分とが生じる。よって上記第1作用部1344が接触する接触位置と、振動させたい接合部分3との間の距離と、上記第1振幅値及び第1周波数との関係情報や、プリント基板5の大きさと上記第1振幅値及び第1周波数との関係情報を上記記憶部1361に格納してもよい。
上記距離や大きさと上記第1振幅値及び第1周波数との関係情報を上記記憶部1361に格納することで、より適切に鉛フリー半田122を超音波振動させることができ、上記接合強度を適切化することができる。
又、上述の実施形態では、鉛フリー半田122の濡れ性は、上記第2作用部1342による第2超音波振動により改善させるように説明したが、上記第1作用部1344の第1超音波振動によっても向上される。よって、上記記憶部1361には、上記第1超音波振動と上記濡れ性との関係情報を格納することもできる。
【0048】
尚、本実施形態では、溶融半田浸漬装置133として2つのノズル1333、1334を有するタイプを例に採ったが、該タイプに限定されるものではなく、公知の溶融半田浸漬装置を採用することができる。
又、本実施形態では、上記第1作用部1344による第1超音波振動、及び上記第2作用部1342による第2超音波振動の各振幅値及び周波数は、異なる場合を例に説明したが、これらの振幅値及び周波数は同一であってもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の第1態様の鉛フリー半田用フロー半田付け装置によれば、溶融している鉛フリー半田に第1微小振動を作用させる発振装置を備えたことから、融点を従来の共晶半田付近まで降下させた鉛フリー半田において、上記第1微小振動により当該鉛フリー半田に含まれる融点降下作用金属の結晶の微細化及び偏析防止が図られ、上記被装着材と装着物との接合強度を、上記第1微小振動を作用させない場合に比べて増すことができる。
【0050】
又、本発明の第2態様における、鉛フリー半田用フロー半田付け装置にて実行される半田付け方法によれば、装着物と被装着材との接合部分を鉛フリー半田の噴流に浸すときに鉛フリー半田の噴流に第2微小振動を作用させたことから、微小振動を作用させない場合に比べて、上記接合部分における鉛フリー半田の濡れ性を向上させることができ、上記接合部分の接合強度を増すことができる。
【0051】
上記第2態様の半田付け方法において、及び第3態様の半田付け方法において、上記接合部分を上記噴流に浸すとき、及び浸した後の少なくとも一方にて、さらに、上記接合部分に塗られ溶融状態にある鉛フリー半田に対して、上記被装着材の大きさ、上記鉛フリー半田に含有する融点降下作用金属の量、及び上記被装着材と上記装着物とにおける上記被装着材と装着物との接合強度の少なくとも一つに基づいて第1微小振動を制御して作用させる。このような動作により、上記接合部分にて上記鉛フリー半田に含まれる融点降下作用金属の結晶の微細化及び上記融点降下作用金属の偏析防止を行い上記被装着材と装着物との接合強度を、上記第1微小振動を作用させない場合に比べて、増すことができる。
【0052】
又、第4態様の接合体では、上記第1態様の鉛フリー半田用フロー半田付け装置を用いて半田付けを行うことから、鉛フリー半田に含まれる融点降下作用金属の含有量が従来に比べて多い鉛フリー半田を使用しても、上記被装着材と上記装着物との接合強度を従来に比べて増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における鉛フリー半田用フロー半田付け装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す鉛フリー半田用フロー半田付け装置に備わる溶融半田浸漬装置を示す断面図である。
【図3】図1に示す鉛フリー半田用フロー半田付け装置にて超音波振動を作用させた場合における、プリント基板の電極と電子部品との接合部分での、鉛フリー半田の含有成分の結晶の状態を説明するための概念図である。
【図4】図1に示す鉛フリー半田用フロー半田付け装置における鉛フリー半田の温度変化を示すグラフである。
【図5】プリント基板の電極と電子部品との接合部分について、超音波振動を作用させない場合における鉛フリー半田の含有成分の結晶の状態を説明するための概念図である。
【図6】従来の共晶半田を用いたフロー半田付け装置にて共晶半田が凝固するときに発生するリフトオフを説明するための、接合部分における断面図である。
【符号の説明】
1…電子部品、2…電極、3…接合部分、5…プリント基板、
111…フロー半田付け装置、122…鉛フリー半田、
133…溶融半田浸漬装置、134…超音波発振装置、
135…搬送装置、136…制御装置、137…冷却装置、
1342…第2作用部、1344…第1作用部。
Claims (14)
- 鉛を含有しない錫の合金であり溶融状態にある鉛フリー半田の噴流に、上記鉛フリー半田にて接合される装着物(1)と被装着材(5)との接合部分を浸す溶融半田浸漬装置(133)と、
上記被装着材(5)に対して、上記鉛フリー半田に含まれ上記鉛フリー半田における融点を下げる作用を有する融点降下作用金属の結晶の微細化及び上記融点降下作用金属の偏析防止を行い上記被装着材と上記装着物との接合強度を増す第1微小振動を、当該鉛フリー半田の凝固点に達する直前から作用させて上記鉛フリー半田が完全に凝固した以後に上記第1微小振動の作用を終了させる第1作用部(1344)を有する発振装置(134)と、
を備えたことを特徴とする鉛フリー半田用フロー半田付け装置。 - 上記発振装置の上記第1作用部による第1微小振動は、上記被装着材と上記装着物との少なくとも一方の接合界面における接合強度を増す振動である、請求項1記載の鉛フリー半田用フロー半田付け装置。
- 上記被装着材及び上記装着物における半田付け部分がCuを含有するとき、上記発振装置が発する上記第1微小振動は、さらに、上記被装着材と上記装着物との少なくとも一方の接合界面に存在する、上記鉛フリー半田に含まれるSnと上記Cuとの化合物層の厚みを増し上記接合界面における接合強度を増す振動である、請求項1又は2記載の鉛フリー半田用フロー半田付け装置。
- 上記鉛フリー半田がSn−Ag系組成を主成分とするとき、上記発振装置が発する上記第1微小振動は、さらに、Sn−Ag合金成分の結晶の微細化及び偏析防止を行う、請求項1から3のいずれかに記載の鉛フリー半田用フロー半田付け装置。
- 上記発振装置は、上記溶融半田浸漬装置における上記鉛フリー半田の噴流に対して、上記接合部分における上記鉛フリー半田の表面張力を低下させて濡れ性を向上させる第2微小振動を作用する第2作用部(1342)をさらに有する、請求項1から4のいずれかに記載の鉛フリー半田用フロー半田付け装置。
- 上記溶融半田浸漬装置に対して上記被装着材を搬送する搬送装置(135)と、
上記第1作用部を上記被装着材の搬送に同期して移動させる移動装置(1345)とをさらに備えた、請求項1から5のいずれかに記載の鉛フリー半田用フロー半田付け装置。 - 上記第1微小振動について、上記被装着材の大きさ、上記鉛フリー半田に含有され上記鉛フリー半田における融点を下げる作用を有する融点降下作用金属の量、及び上記接合部分における接合強度の少なくとも一つに基づいて制御を行う制御装置(136)をさらに備えた、請求項1から6のいずれかに記載の鉛フリー半田用フロー半田付け装置。
- 上記制御装置は、さらに、上記接合部分における上記鉛フリー半田の表面張力を低下させて濡れ性を向上させる第2微小振動について、上記鉛フリー半田に含有する上記融点降下作用金属の量、及び上記接合部分における接合強度の少なくとも一つに基づいて制御を行う、請求項7記載の鉛フリー半田用フロー半田付け装置。
- 請求項1から8のいずれかに記載の鉛フリー半田用フロー半田付け装置を用いて半田付けされたことを特徴とする接合体。
- 鉛を含有しない錫の合金であり溶融状態にある鉛フリー半田の噴流に、上記鉛フリー半田にて接合される装着物(1)と被装着材(5)との接合部分を浸すとき、
上記接合部分における上記鉛フリー半田の表面張力を低下させて濡れ性を向上させる第2微小振動を、上記鉛フリー半田に含まれ上記鉛フリー半田における融点を下げる作用を有する融点降下作用金属の量、及び上記装着物と被装着材との接合強度の少なくとも一つに基づいて制御して、上記噴流に作用させることを特徴とする、フロー半田付け装置にて実行される鉛フリー半田用半田付け方法。 - 鉛を含有しない錫の合金であり溶融状態にある鉛フリー半田の噴流に、上記鉛フリー半田にて接合される装着物(1)と被装着材(5)との接合部分を浸すとき、及び上記噴流により上記接合部分に上記鉛フリー半田が塗られた後の少なくとも一方にて、
上記鉛フリー半田に含まれ上記鉛フリー半田における融点を下げる作用を有する融点降下作用金属の結晶の微細化及び該融点降下作用金属の偏析防止を行い上記装着物と上記被装着材との接合強度を増す第1微小振動を、上記被装着材の大きさ、上記鉛フリー半田に含有する上記融点降下作用金属の量、及び上記装着物と上記被装着材との接合強度の少なくとも一つに基づいて制御して、上記噴流により上記接合部分に塗られ溶融状態にある上記鉛フリー半田に作用させることを特徴とするフロー半田付け装置にて実行される鉛フリー半田用半田付け方法。 - 上記接合部分を上記鉛フリー半田の噴流に浸すとき、及び上記噴流により上記接合部分に上記鉛フリー半田が塗られた後の少なくとも一方にて、さらに、
上記鉛フリー半田における上記融点降下作用金属の結晶の微細化及び該融点降下作用金属の偏析防止を行い上記装着物と上記被装着材との接合強度を増す第1微小振動を、上記被装着材の大きさ、上記鉛フリー半田に含有する上記融点降下作用金属の量、及び上記装着物と上記被装着材との接合強度の少なくとも一つに基づいて制御して、上記噴流により上記接合部分に塗られ溶融状態にある上記鉛フリー半田に作用させる、請求項10記載のフロー半田付け装置にて実行される鉛フリー半田用半田付け方法。 - 上記被装着材及び上記装着物の半田付け部分がCuを含有するとき、上記第1微小振動は、さらに、上記被装着材と上記装着物との少なくとも一方の接合界面に存在する、上記鉛フリー半田に含まれるSnと上記Cuとの化合物層の厚みを増し上記接合界面における接合強度を増す振動である、請求項11又は12記載のフロー半田付け装置にて実行される鉛フリー半田用半田付け方法。
- 請求項10から13のいずれかに記載の鉛フリー半田用半田付け方法を用いて半田付けされたことを特徴とする接合体。
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