JP3580579B2 - 車両用ピラーの内装部品組付構造 - Google Patents

車両用ピラーの内装部品組付構造 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両用ピラーの内装部品組付構造に関する。更詳しく言えば、車両の衝突(特に、側面衝突)の際、乗員(特に、頭部)と内装部品とが衝突することにより、乗員が受ける衝撃を和らげることができる車両用ピラーの内装部品組付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、センターピラー、フロントピラー、リヤピラー等の車両(自動車等)用のピラー(本体)は、図16に示す様に、車両外側寄りに配置されるピラーアウター21hと、車両内側寄りに配置されるピラーインナー22hとを備えている。そして、このピラーインナー22hの車両内側の面225hを、図17に示す様なピラートリム(ピラーガーニッシュ)3hで被覆することにより、車内の高意匠化(以下、「装飾機能」という。)、感触の向上、外部の音の遮断等を図ることが従来より行われてきた。そして、近年、このピラートリム3hでは、これらの機能の他に、車両の衝突(特に、側面衝突)時に乗員を保護する機能(以下、「緩衝機能」という。)が重要視されている。
【0003】
この種のピラートリム3hには、▲1▼樹脂(ABS、ポリプロピレン等)製の基材のみにより構成されるものの他に、▲2▼図18に示す様に、樹脂製の基材(芯材)31hの表面側に、パッド材(ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等)32hと、表皮(塩化ビニルシート、ABSシート等)33hと、を積層し、多層構造として、上記緩衝機能、装飾機能等の向上を図ったものも多く用いられいる。
また、この種のピラートリム3hでは、図17に示す様に、その背面側に、スペーサーを兼ねたクリップ311h〜314hの後端側を取着し、これらの先端側を、上記ピラーインナー22hの係止孔221h〜224hに係着して、図19に示す様に、ピラートリム3hをピラーインナー22hより、適宜、離間して、浮かせた状態とし、上記緩衝機能の向上を図ることも行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車両内部に配置される各種内装部品の中には、図20に示すシートベルトアンカー部5jの様に、ピラートリム3jの意匠面338jより車両内部側に突出した状態で配置されるものが多い。また、図21に示すシートベルトアンカー部5kの様に、意匠面338k側で開口する嵌合溝、摺動溝350k等に、下端側を嵌め込む等して取着され、車両内部側に突出した状態となるものも多い。この様な内装部品5j、5k等は、車両の側面衝突等の際に、上記ピラートリム3j、3k等よりも、先に乗員(特に、頭部)に衝突し、しかも、衝突後、車両内部側で突っ張った状態となるため、乗員に大きな衝撃(特に、頭部への局部的な衝撃)を与えるおそれがある。この場合には、ピラートリム(トリム付きピラー)3h〜3k自体が、如何に、緩衝機能に優れていても、乗員の安全を確保することは困難である。
【0005】
また、近年では、車両の衝突の際に、乗員の頭部を、この種の内装部品5j、5k等による衝撃から、保護することが大きな課題となっており、これに関する安全基準〔例えば、FMVSS(米国自動車安全規格)〕も種々、検討されている。
この様な事情より、上記安全基準にも適合し、車両の衝突の際に、乗員を有効に保護できる車両用ピラーの内装部品の組付構造の出現が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記観点に鑑みてなされたものであり、車両の衝突の際、乗員と内装部品とが衝突することにより、乗員が受ける衝撃を和らげることができる車両用ピラーの内装部品組付構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本第1発明の車両用ピラーの内装部品組付構造(以下、「組付構造」という。)は、車両外側寄りに配置されるピラーアウター及び車両内側寄りに配置されるピラーインナーからなるピラー本体と、該ピラーインナーの車両内側に現れる面を略覆いつつ、該ピラー本体に取着されるピラートリムとを備えたトリム付ピラーに、所定の内装部品を組付けた車両用ピラーの内装部品組付構造であって、
上記ピラーインナーは、上記内装部品の通過可能な貫通孔を有すると共に、上記ピラートリムは、車両内側で露出する意匠面で開口し、上記貫通孔と連通する挿入孔を有し、上記内装部品の後方側に、上記貫通孔を通過できない組付補助部材を取着すると共に、上記ピラーインナーの裏面側の該貫通孔の周囲より所定の係止部を突出させ、上記内装部品の前方側を、上記貫通孔及び上記挿入孔に沿って車両内側に向かせると共に、乗員と該内装部品とが衝突して該内装部品生じさせる車両外側に向かう外力を受けて離脱可能な状態で、上記組付補助部材を上記係止部により係止しながら、該内装部品の上記トリム付ピラーへの組付けを行うことを特徴とする。
【0008】
上記「貫通孔」の大きさ、形状、配置箇所等は、上記内装部品の大きさ、形状組付箇所等に応じて種々選択できる。また、内装部品を車両の上下方向等に向かって移動可能な状態で組付ける場合には、その移動方向に沿った長孔状のものとすることもできる。
また、上記「挿入孔」の大きさ、形状、配置箇所等も、上記貫通孔と連通でき、且つ、上記内装部品の挿入可能な範囲で種々選択できる。尚、この挿入孔がピラートリムの長手方向、横手方向、若しくは対角線方向に連続し、ピラートリムを2以上に分割するものであってもよい。
更に、1のピラーインナーに設けられる貫通孔の数、これに応じてピラートリムに設けられる挿入孔の数は、そこに配置される内装部品の数に応じて、種々選択することができる。
【0009】
上記「係止部」の構造、形状等は、上記「外力」を受けて、上記「取付補助部材(以下、『補助部材』という。)」を離脱させるものであれば特に問わない。例えば、本第2発明を示すなフック形状のものを例示することができる。
また、この係止部は、▲1▼係止構造(方法)の特殊性により、この「離脱」を可能とするものでも、▲2▼材質の特殊性によりこの「離脱」を可能とするものでも、▲3▼係止構造(方法)及び材質の特殊性によりこの「離脱」を可能とするものでもよい。この▲1▼の例としては、図1及び4に示す様に、取付部材52を支える係止面621aを小さくした係止部62aを挙げることがきる。また、▲2▼の例としては、図12に示す様に、係止部材6qを衝撃強度の弱い材質(例えば、セラミックス、ポリプロピレン、ABS等)で構成し、上記外力により、その一部を破壊して係止状態を解除するものを挙げることができる。更に、▲3▼の例としては、図11に示す様に、係止部材6pを、熱可塑性エラストマー、ゴム分の多い樹脂及びゴム等の弾性材料により構成し、且つ、所定の箇所に切り欠き64pを設けて、係止部62pを切り欠き64pを支点に屈曲させて係止状態を解除するものを挙げることができる。
【0010】
また、この補助部材は、上記内装部品を支えながら、トリム付きピラーへの組付けを行うものである。この部材は、図4に示す様に、上記貫通孔228を全く通過できないものでも、図15(a)に示す様に、後方寄りの箇所521wのみが通過できないものであってよい。尚、この補助部材及び上記内装部品が一体になり、両者の境界が明確でない場合でもよい。また、上記係止部の代わりに、この補助部材を、上記「衝撃強度の弱い材質」等で構成しても、本発明の目的を達成できる。
【0011】
また、本第3発明に示す様に、上記内装部品が、車両内側に現れる面の裏面側に所定の衝撃緩衝構造を備えていてもよい。この場合には、乗員が内装部品に衝突する際の衝撃が更に緩和されるため、本第1発明の目的をより確実に達成できる。
更に、本第6発明に示す様に、上記ピラートリムの意匠面の裏面側に、この衝撃緩衝構造と同様な衝撃吸収構造を配置すれば、本第1発明の目的をより一層確実に達成することができる。
【0012】
この「衝撃緩衝構造」等の材質、形態等は、車両の衝突の際に、車幅方向からの衝撃力等によって生ずる衝突エネルギーを、効果的に吸収できるものである限り特に問わない。例えば、本第4及び8発明に示す様に、(ア)樹脂発泡体、ウレタン発泡体、ポリプロピレン発泡体、その他のオレフィン系発泡体、スチレン系発泡体、発泡ビース等)、(イ)中空体、(ウ)リブ構造体、若しくは(エ)リブ構造部等で構成されるもの等を例示することができる。このうち、上記(ア)は、上記衝撃エネルギーを、主として樹脂発泡体の圧縮変形により吸収するものである。また、(イ)は、このエネルギーを主として中空体の圧縮変形により吸収するものであり、(ウ)及び(エ)は、リブ構造体(若しくはリブ構造部)の座屈変形により吸収するものである。
【0013】
また、上記(ウ)のリブ構造体〔上記(エ)のリブ構造部〕として、図7に示す様に、車幅方向に向かう各リブ片部513a〜513d等を適宜、交叉状態にして構成される格子状のものを例示できる。尚、この構造体は、一体型のものであっても、個々に作製した各リブ片(部)を組み合わせて構成されるものでもよい。また、複数のリブ片(部)をピラートリムの長手方向、横手方向、対角線方向等に略平行に配置し、各リブ片(部)が互いに交叉しない場合でもよい。尚、各リブ片(部)の配置間隔、厚み、縦横比は、各リブ片(部)の曲げ剛性、端縁側の支持状態等を考慮に入れつつ、本発明の目的を有効に達成できる範囲で、選択するのが好ましい。
【0014】
尚、上記「衝撃緩衝構造」及び「衝撃吸収構造」を構成する樹脂発泡体、リブ構造体(部)等の厚み(車幅方向に沿った厚み)は、全体を通じて一定である必要はない。例えば、後者の「衝撃吸収構造」においては、その厚みをピラーインナーの外形に併せて変化させることができる。但し、少なくとも上記挿入孔の周辺部では、十分に衝撃を吸収できる程度の厚み〔上記(イ)の場合に、20mm以上〕を備えることが好ましい。その反面、あまり厚みを大きくする〔上記(イ)の場合に、50mm以上〕と、ピラートリムが車内側に大きく突き出して、車内空間を狭くすることになる。
【0015】
また、各「構造」は、外殻部材(表皮材等)と別体の部材(以下、それぞれ、「衝撃緩衝部材」、「衝撃吸収部材」という。)で構成されても、同外殻部と一体の部分(以下、それぞれ、「衝撃緩衝部」、「衝撃吸収部」という。)で構成されてもよい。例えば、後者の「衝撃吸収構造」においては、「ピラートリム」の周面部(外殻部)の一部(例えば、意匠面側)、若しくは全体をなす所定の表皮材(例えば、ポリプロピレン、ABS製のシート状物等)の裏面側に、これと別体の衝撃吸収部材を配置することができる。また、表皮部及び衝撃吸収部を一体で成形することもできる。尚、上記(ウ)の「リブ構造体」は、この衝撃吸収部材の一態様であり、上記(エ)の「リブ構造部」は、この衝撃吸収部の一態様である。
【0016】
更に、各「構造」の下方側(車両外側)に更に、所定の基材(ABS、ポリプロピレン製等)等の他部材を配置してもよい。また、上記(イ)に示す様に、樹脂発泡体が衝撃吸収部材等となる場合には、表皮材を用いずに、この吸収部材の表面(車両内側面)に、所定の塗料膜(例えば、モールドコート法により構成される塗料膜)を形成して、これを意匠面等とすることもできる。
また、本第5発明に示す様に、内装部品を中空体にしたり、本第8発明に示す様に、ピラートリムを中空体とすることもできる。これらの場合には、内装部品等自体に十分な衝撃吸収能力を持たせることを意図している。そして、この場合も上記(イ)と同様な圧縮変形で、衝突エネルギーを吸収する。
【0017】
また、上記各発明において、上記内装部品が、上記トリム付ピラーへの組付時に、上記意匠面から突出した状態となっていても、本第7発明に示す様に、突出しない状態となっていてもよい。
この第7発明は、車両衝突の際、内装部品よりも先に、クッション性能に優れたピラートリムを乗員に衝突させることとし、本第1発明の目的を、より一層、確実に達成しようとするものである。
【0018】
尚、本第7発明に示す場合は、上記挿入孔の形状、大きさ(特に、深さ)等を、所望の内装部品を的確に収納できる範囲で選択することになる。尚、この場合には、上記内装部品の最も車両内側の箇所が、上記意匠面より、少なくとも10mm、車両外側に位置していることが特に好ましい。内装部品が、この様な状態で組付けられていれば、上記ピラートリムの衝撃吸収部材等が、車幅方向に向かう大きな入力(衝撃力)等を受け、少々、大きな変形をしても、同部品が意匠面から飛び出すことを、確実に防止できるからである。
【0019】
【作用】
本第1発明の組付構造では、ピラーインナーが貫通孔を備えると共に、ピラートリムが、この孔と連通する挿入孔を備えている。また、内装部品の後方寄りの箇所に、補助部材が取着されいる。更に、ピラーインナーの裏面側の貫通孔の周囲より係止部を突出させている。
そして、内装部品のトリム付きピラーへの組付けは、内装部品の前方側を貫通孔及び上記挿入孔に沿って車両外側に向けると共に、補助部材を係止部により係止して行われる。その際、この補助部材は、乗員と内装部品と、が衝突して該内装部品に加わる車両外側に向かう外力を受けて離脱可能な状態となっている。
【0020】
従って、車両の衝突の際、乗員の頭部等と内装部品とが衝突すれば、同部品はトリム付きピラーより離脱する。このため、乗員に対し、内装部品より大きな荷重が加わるのを回避できる。
これに加え、内装部品は貫通孔を通過できるが、補助部材は同孔を通過できない。従って、この離脱した内装部品は、ピラー本体の内部(ピラーインナー及びピラーアウターで囲まれた部分)に取り込まれることになる。この結果、内装部品が、その後、乗員に接触することは無く、乗員の保護の万全が図られる。
【0021】
本第3発明では、内装部品の車両内側に現れる面の裏面側に、所定の衝撃緩衝構造を備えている。また、本第5発明では、内装部品を中空体で構成している。これらの場合には、内装部品がクッションとして作用するため、乗員が内装部品と衝突する際に、乗員に加わる衝撃は更に小さなものとなる。特に、内装部品が、ピラートリムの意匠面よりも突出した状態で、配置される場合に有意義である。
【0022】
本第6発明では、ピラートリムが、意匠面の裏面側に所定のエネルギー吸収作用を発揮する衝撃吸収部材若しくは衝撃吸収部を備えるか、ピラートリム自体が中空体となりエネルギー吸収作用を発揮する。
従って、内装部品の離脱後に、乗員がピラートリムに衝突しても、衝撃吸収部材等のクッション性能により乗員に大きな衝撃を与えない。
【0023】
また、本第7発明に示す様に、内装部品を上記意匠面より突出しない状態で配置することもできる。
この場合には、内装部品がピラートリムの内部に収納(埋没)された状態となる。従って、車両衝突時に、内装部品よりも先に、ピラートリムの意匠面が乗員に衝突する。その際、上記衝撃吸収部材等のクッション性能のため、乗員は大きな衝撃を受けない。そして、乗員がピラートリムに続き、内装部品に衝突しても、上記衝撃吸収部材等により、衝突エネルギーがある程度、吸収されているため、乗員の受ける衝撃は小さい。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。
(1)実施例1
本実施例の組付構造は、図1に示す様なトリム付きピラーAに、シートベルトアンカー部5を、図8等に示す様な3つの係止部材6a〜6cを用いて組付けたものである。また、このトリム付きピラーAは、ピラー本体2に、ピラートリム3を取着したものである。
【0025】
上記ピラー本体(鋼板製)2は、図2にも示す様に、自動車のセンターピラーとして用いられるものであり、自動車の外側寄りに配置されるピラーアウター21と、自動車の内側寄りに配置されるピラーインナー22と、からなり、これらの各長手方向に向かう端縁側同志を衝合させて中空の柱状体としたものである。また、このピラーインナー22は、平面形状が略矩形状(縦幅;65mm、横幅;60mm)の貫通孔228を備えている。更に、この貫通孔228の周囲には、3つの係止部材通過孔229a〜229cが設けられている。また、四隅側には、ピラートリム係着孔221〜224を備えている。
【0026】
上記ピラートリム3は、ブロー成形法により作製され樹脂製(ポリプロピレン製、若しくはABS製)のもので、内部が中空になっている。尚、このピラートリム3は、図3に示す様に、全体を通じて、製品の高さはやや高くなっており(従来品に比べて、約2〜3倍の高さ)、横手側に沿った中央よりの製品高さは、約30mmとなっている。
【0027】
また、このピラートリム3の略中央寄りには、上記貫通孔228と連通し、且つ、平面形状が略矩形状(縦幅;65mm、横幅;60mm)の挿入孔(以下、「挿入孔」という。)36が設けられている。
更に、この挿入孔36の周囲のうちの上記係止部材通過孔229a〜229cに対応する箇所には、係止部材固定孔329a〜329cが設けられている。
【0028】
また、ピラートリム3の背面側には、所定のクリップ(図示しないが、図17の311h〜314hと同様のもの)の後端側が取着されており、更に、両側方側の端部には、略ワニ口形状の挟着具371、372が配置されている。尚、本実施では、この挟着具371、372の挟着面には、ズレ防止等を目的とした突起381、382が設けられている。但し、この様な突起部381等は必ずしも設ける必要はなく、また、本ピラートリム3には、必ずしも、上記クリップ及び挟着具371、372の双方を配置する必要はなく、いずれか一方のみを配置してもよい。
【0029】
上記各係止部材(ポリプロピレン製)6a〜6cは、図4及び8に示す様に、いずれも算用数字の「1」の字状の縦断面形状を備えている。そして、やや幅広の根本部61a、61b等と、先端側の係止部62a〜62cと、これらの中間に位置する胴部63a〜63cとからなる。これらの係止部62a〜62cは、いずれも係止面621a〜621cの小さなフック形状のものである。
本実施例では、この様な係止部材6a等の根本部61a等が、上記ピラートリム3の係止部材固定孔329a〜329cにそれぞれ嵌着固定されている。そして、この様にピラートリム3に取着された各係止部材6a〜6cは、各係止部62a〜62cを車両外側に向けた状態となっている。
【0030】
尚、上記係止部材6a、6b等の根本部61a、61b等を、図5に示す様に、ピラーインナー22に設けられた係止部材固定孔229d、229e等に嵌着固定するものであってもよい。また、係止部材6a〜6cを上記ピラートリム3若しくはピラーインナー22と一体で作製することもできる。
【0031】
そして、上記ピラートリム3の上記ピラー本体2への取着は、上記クリップの先端側を、上記ピラーインナー22の係着孔221〜224に係着する(図示しないが、図14と略同様に行う。)と共に、上記挟着具371等で、上記ピラートリム本体2の両側を鋏み込んで行われる。
このとき、上記各係止部材6a等の係止部62a等は、上記係止部材通過孔229a〜229cをそれぞれ通過して、ピラー本体1の内部に突出した状態になる。
【0032】
一方、上記シートベルトアンカー部5は、図4に示す様に、アンカー部本体(内装部品)51と、その後方側に取着された係止用アンカープレート(補助部材)52とを備えている。
上記アンカー部本体51は、図6(a)に示す様に、外郭部材511と、取り付けボルト512と、衝撃緩衝部材513と、からなる。
【0033】
このうち外郭部材511は、底面側を構成する樹脂製(ポリプロピレン製)の基材部511aと、その余の部分を構成する樹脂製(ポリプロピレン製、若しくはABS製)の表皮部511bとにより構成されている。そして、この基材部511aの最大幅が、50mmとなっているため、このアンカー部本体51は、上記貫通孔228を通過することが可能である。
また、上記取り付けボルト512は、その頭部側512aを上記外郭部511の内部に収めた状態で、螺子部側512bを同外郭部511の後方に突出させている。
【0034】
更に、上記衝撃緩衝部材513は、図7に示す様に、上記外郭部511の内部(頭部側512aの存在しない箇所)において車幅方向に向かい配置されたポリプロピレン製のリブ片部(平均厚み;1mm)513a〜513d等を適宜、交叉させ(交叉箇所で一体となっている。)格子状に並べたリブ構造体である。但し、この様な構造体の代わりに、図6(b)に示す様な樹脂発泡体(ポリウレタン発泡体等)57を取付けることもできる。また、同図(c)に示す様に、取り付けボルト512をインサーしながらブロー成形により作製した中空体とすることもできる。
【0035】
上記係止用アンカープレート(ABS製)52は、図4に示す様に、略板状の外形を有しており、その中央寄りには、取着孔521が設けられいる。また、このプレート52には、所定のリング状の連結部材(例えば、図21の符号Rで示されるもの等)を介して、若しくは直接に、所定のシートベルトの肩ウェビング(図示しない。)が連結される。
また、このプレート52の外形(縦幅;70mm、横幅;65mm)は、上記貫通孔228の外形よりも大きい。従って、このプレート52は、この貫通孔228を通過することができない。
【0036】
そして、このシートベルトアンカー部5の上記トリム付きピラーAへの組付けは、以下の様にして行った。
即ち、図8に示す様に、先ず、係止用アンカープレート52を、上記ピラーインナーの裏面側の3つの係止部材6a〜6cの係止部62a〜62cに囲まれた箇所に挿入配置する。
【0037】
次いで、アンカー部本体51を、トリム付きピラーの意匠面338の側より、挿入孔36、貫通孔228の順に侵入させる。このとき、上記取り付けボルト512の螺子部512bを、上記取着孔521内に挿入する。そして、この螺子部512bの先端側を、シートベルトアンカー部5よりも、更に車両内側へ突出させると共に、この部分に固定用雌螺子58を螺着して組付けを完了する。
【0038】
尚、図5に示す場合には、この様に、▲1▼予め、上記ピラー本体2に、上記ピラートリムを取着したトリム付きピラーAへ、このアンカー部5の組付けてもよいし、▲2▼上記ピラー本体2に、このアンカー部5を組付けた後に、同ピラー本体2に、ピラートリム3を取着してもよい。
そして、この組付構造では、アンカー部本体51の上面側と、上記ピラートリム3の意匠面338との間隔が約15mmになっている。但し、この間隔は、本実施例に示すものに限らない。
【0039】
以上の様に構成される組付構造では、上記係止部材6a等が弾性材料で構成されていると共に、その係止面621a等が小さくなっている。従って、図9及び10に示す様に、アンカー部本体51の上面側に車両外側に向かう外力Fが加わった場合に、係止用アンカープレート52が係止部62より離脱する。この結果、車両の側突時に、乗員の頭部等とアンカー部本体51とが衝突した瞬間に、このアンカー部本体51は、ピラー本体2内部へと転落することとなるため、乗員に加わる衝撃は小さなものになる。更に、本組付構造では、アンカー部本体51が衝撃緩衝能力を備えているため、乗員に加わる衝撃は、より小さなものとなる。
【0040】
これらに加え、シートベルトアンカー部5がトリム付きピラーAの内部に収納された状態になっている。従って、側突等の際に、上記アンカープレート52よりも先に、ピラートリムAの意匠面338が乗員と衝突する。その際、このピラートリムAがクッションとして作用するため、衝突エネルギーはある程度、緩和され、乗員に大きな衝撃を与えない。そして、この衝突エネルギーの緩和された状態で、乗員がアンカー部本体51に衝突するため、乗員が同本体51から受ける衝撃は小さなものになる。
また、上記アンカー部本体51の脱落の後も、ピラートリムAがクッションとして作用するための、乗員の保護の万全が図られる。
この様に、本実施例の組付構造によれば、「係止用アンカープレート52の離脱による乗員の保護」の他に、アンカー部本体51が衝撃緩衝能力及びピラートリムAを衝撃吸収作用により、乗員の保護の万全が図られている。
【0041】
(2)実施例2
本実施例の組付構造は、図11に示す様な係止部材6pを備える他は、実施例1の組付構造と同様である。
この係止部材6pは、同図(a)に示す様に、▲1▼係止部62pの係止面621pが大きくなっていること、及び▲2▼係止部62pに切り欠き64pを設けたこと以外は、上記実施例1の係止部材6a等と同様である。
【0042】
本実施例では、係止面621pが大きくなっているため、通常の使用時(側突時等の有事を除く、通常の使用時)に誤って、係止用アンカープレート52pが離脱することはない。
一方、アンカー部本体51pに車両外側に向かう外力Fが加わった場合に、係止部62pは、同図(b)に示す様に、上記切り欠き64pを支点にして屈曲しながら、伸びた状態になる。このため、係止用アンカープレート52pは、係止部材6pから容易に離脱する。従って、実施例1と同様に、乗員の保護を図ることができる。
【0043】
更に、本実施例では、図12に示す様な変形例を挙げることもできる。この組付構造は、係止部材6qをセラミックスで構成したこと以外は、実施例2の組付構造と同様である。
この組付構造では、上記実施例2と同様に、通常の使用時には、係止用アンカープレート52qをしっかりと固定した状態にしている。その一方で、アンカー部本体51qに外力Fが加われば、係止部62qの切り欠き64qよりも先端側が分離する。この結果、係止用アンカープレート52qを容易に離脱させることができる。
【0044】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、係止部材6a、6p等の構造、材質、配置数等は、上記各実施例に示すものに限らず、本発明の目的を達成できる範囲で種々選択することができる。
また、上記各実施例のシートベルトアンカー部5等は、いずれも、トリム付きピラーに固定した状態で組付けられたものであるが、車両の上下方向等に移動可能な状態で組付けられるものでもよい。
更に、本実施例では、係止用アンカープレート52qをピラーインナー22の裏面側から、アンカー部本体51をピラートリム3の意匠面338側から装着したが、両者をピラーインナー22の裏面側から装着したり、ピラートリム3の意匠面338側から装着することもできる。
【0045】
また、上記ピラートリム3は、本実施例に示す様な中空体である必要はなく、図13に示す各衝撃吸収構造を備えるものでもよい。このうち、同図(a)は、ピラートリムの外形を規定する外殻部材31rの内部に、樹脂発泡体(硬質ウレタン、発泡ビース等)32rを充填配置したものである。また、同(b)は、ピラートリムの意匠面側を規定する外殻部材31sの裏面側に、中空の衝撃吸収部材32sを配置したものである。更に、同図(c)は、同様な外殻部31tの裏面側に、これと一体のリブ構造部32t(図7と同様なもの)を配置したものである。また、同図(d)同様な外殻部材31uの裏面側に、これと別体のリブ構造体32u(図7と同様なもの)を配置したものである。
【0046】
また、図14に示す様に、ピラートリム3vの挿入孔36vの横断面積を、意匠面338vに向かうに従って、小さくしてもよい。この場合に、乗員の頭部等が同孔36vの開口部361v付近に衝突すれば、ピラートリム3vの開口部361v寄りの部分391v、392vが、同孔36vの内部に、入り込んだ状態になり易い。このため、乗員は、アンカー部本体51vと、これらの部分391v、392vを挟んで間接的に衝突することになる。従って、より一層確実に、乗員の保護を図ることができる。
【0047】
更に、図15(a)に示す様に、アンカー部本体51wの上面がピラートリム3wの意匠面338wと同一平面上に並んでも、同図(b)に示す様に、同本体51xの上面がピラートリム3xの意匠面338xよりも突出していても、本第1発明の目的を達成できる。
また、同図(a)に示す様に、係止用アンカープレート52wの後方側521wのみが貫通孔228wを通過できない場合でもよい。
更に、同図に示す様に、ピラートリム3xが、その裏面側に、特別な衝撃吸収構造(図13に示す様なもの)を備えない場合であってもよい。
【0048】
また、上記各実施例では、センターピラー(トリム付きピラー)に、シートベルトアンカー部を組付ける場合について述べたが、同ピラーに、他の内装部品(例えば、ルームライト等)を組付ける場合にも適用できる。また、センターピラー以外の他のピラー(フロントピラー、リヤピラー等)に、所定の内装部品を組付ける場合にも適用できる。更に、上記衝撃吸収部材及び衝撃緩衝部材の材質・構造等も上記各実施例に示すものに限らない。
また、本組付構造は、パッケージトレイ、ラゲージ、デッキ等、車両の他の構成部材に、各種内装部品を組付ける場合にも、応用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上の様に、本組付構造によれば、車両の衝突(特に、側面衝突)の際、乗員(特に、頭部)に、内装部品が衝突する時の衝撃を和らげることができる。従って、乗員の保護を効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の組付構造の縦断面図である。
【図2】実施例1のピラー本体の斜視図である。
【図3】実施例1のピラートリムの斜視図である。
【図4】実施例1のシートベルトアンカー部の組付状態を説明するための一部縦断面図である。
【図5】実施例1の変形例に係わるシートベルトアンカー部の組付状態を説明するための一部縦断面図である。
【図6】実施例1及びその変形例に係わるアンカー部本体の縦断面図である。
【図7】実施例1のリブ構造体の一部斜視図である。
【図8】実施例1のシートベルトアンカー部5の組付方法を説明するための一部斜視図である。
【図9】実施例1の組付構造に外力が加わった状態を示す一部縦断面図である。
【図10】実施例1の組付構造よりシートベルトアンカー部が離脱した状態を示す縦断面図である。
【図11】実施例2の組付構造の一部縦断面図である。
【図12】実施例2の変形例に係わる組付構造の一部縦断面図である。
【図13】実施例1及び2の変形例に係わる組付構造の一部縦断面図である。
【図14】実施例1及び2の変形例に係わる組付構造の縦断面図である。
【図15】実施例1及び2の変形例に係わる組付構造の一部縦断面図である。
【図16】実施例及び従来例の組付構造を構成するピラー本体の斜視図である。
【図17】従来例の組付構造を構成するピラートリムの斜視図である。
【図18】従来例の組付構造を構成するピラトリムの一部縦断面図である。
【図19】従来例の組付構造の縦断面図である。
【図20】従来例の組付構造の縦断面図である。
【図21】従来例の組付構造の縦断面図である。
【符号の説明】
A;トリム付きピラー、2;ピラー本体、21;ピラーアウター、22;ピラーインナー、228;貫通孔、3;ピラートリム、36;挿入孔、5;シートベルトアンカー部、51;アンカー部本体、513;衝撃緩衝部材、52;係止用アンカープレート(取付部材)、6a〜6c;係止部材、62a〜62c;係止部。

Claims (8)

  1. 車両外側寄りに配置されるピラーアウター及び車両内側寄りに配置されるピラーインナーからなるピラー本体と、該ピラーインナーの車両内側に現れる面を略覆いつつ、該ピラー本体に取着されるピラートリムとを備えたトリム付ピラーに、所定の内装部品を組付けた車両用ピラーの内装部品組付構造であって、
    上記ピラーインナーは、上記内装部品の通過可能な貫通孔を有すると共に、上記ピラートリムは、車両内側で露出する意匠面で開口し、上記貫通孔と連通する挿入孔を有し、
    上記内装部品の後方側に、上記貫通孔を通過できない組付補助部材を取着すると共に、上記ピラーインナーの裏面側の該貫通孔の周囲より所定の係止部を突出させ、
    上記内装部品の前方側を、上記貫通孔及び上記挿入孔に沿って車両内側に向かせると共に、乗員と該内装部品とが衝突して該内装部品に加わる車両外側に向かう外力を受けて離脱可能な状態で上記組付補助部材を上記係止部により係止しながら、該内装部品の上記トリム付ピラーへの組付けを行うことを特徴とする車両用ピラーの内装部品組付構造。
  2. 上記係止部が、フック形状を備える請求項1記載の車両用ピラーの内装部品組付構造。
  3. 上記内装部品が、車両内側に現れる面の裏面側に所定の衝撃緩衝構造を備える請求項1又は2記載の車両用ピラーの内装部品組付構造。
  4. 上記衝撃緩衝構造が、樹脂発泡体、車幅方向に沿って配置されるリブ構造体、又は上記車両内側に現れる面の裏面より車幅方向に沿って突出するリブ構造部により構成される請求項1乃至3記載のいずれかの車両用ピラーの内装部品組付構造。
  5. 上記内装部品が中空体である請求項1又は2記載の車両用ピラーの内装部品組付構造。
  6. 上記ピラートリムは、上記意匠面の裏面側に衝撃吸収構造を備えるか、若しくは中空体である請求項1乃至5記載のいずれかの車両用ピラーの内装部品組付構造。
  7. 上記内装部品の上記トリム付ピラーへの組付時に、該内装部品が、上記意匠面から突出しない請求項6記載の車両用ピラーの内装部品組付構造。
  8. 上記衝撃吸収構造が、樹脂発泡体、中空体、車幅方向に沿って配置されるリブ構造体、若しくは上記ピラートリムの外殻部の裏面の所定の箇所より車幅方向に沿って突出するリブ構造部により構成される請求項6又は7記載の車両用ピラーの内装部品組付構造。
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