JP3580140B2 - 機械式過給機付エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気通路に機械式過給機を備えるとともに負圧取出し通路を備え、一方、排気通路に排気ガス浄化用の触媒を備えたエンジンの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、排気通路に排気ガス浄化用の触媒を備えたエンジンにおいて、触媒未暖機時に点火時期をリタードすることにより排気温度を高めて触媒の暖機促進を図るようにする技術は一般に知られており、機械式過給機を備えたエンジンにおいて点火時期のリタードを行なうようにしたものとしては、特開平9−317520号公報に示されるような過給機付エンジンがある。
【0003】
すなわち、この公報に記載の機械式過給機付エンジンは、エンジンの圧縮比を高くしつつ、バルブオーバラップをアイドル時に小、高負荷時に大となるように可変制御することにより、低回転高負荷時のノッキングを防止する一方、エンジンの圧縮比を低くすることでノッキングを回避するようにしたものと比べ、冷間時の燃焼性を高めることができるようにしている。
【0004】
さらにこのエンジンでは、過給機の上流の第1絞り弁に加えて過給機下流に第2絞り弁を設け、かつ、この第2絞り弁と過給機との間から排気系に至る二次空気通路を設けることにより、エンジンの冷間時に過給機の過給作用を利用して二次空気を排気系に送り、触媒の活性化を図るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般にこの種のエンジンでは、触媒未暖機時に、暖機促進のため点火時期をリタードさせながらも燃焼性を確保すべく、触媒暖機後よりもスロットル開度を大きめに設定して吸入空気量を増加させるようにしている。また、とくに上記公報に記載のように、触媒未暖機時に、過給機を駆動しつつ、過給機下流の第2絞り弁を絞って、過給機と第2絞り弁との間の吸気通路から二次エアを取り出すようにする場合も、燃焼室への吸気供給量と二次エア量とを確保するには、過給機上流の第1絞り弁の開度(スロットル開度)を大きめに設定する必要がある。
【0006】
ところで、自動車に搭載されるガソリンエンジンでは、スロットル弁下流からチェックバルブ等を介してブレーキ装置のマスタバックへ吸気負圧に導く負圧取出し通路を設けることにより、スロットル開度が小さいときにスロットル弁下流に生じる吸気負圧を上記マスタバックの負圧源として利用することが一般に行なわれている。
【0007】
このように吸気負圧をブレーキ装置のマスタバックの負圧源とする場合、触媒が未暖機状態にある間でも車両の走行が行なわれて減速時等にブレーキ装置が作動されることがあるので、このような場合の負圧の確保も要求されるが、上記のような従来のこの種のエンジンでは、触媒未暖機時に吸入空気量増加等のためスロットル開度が大きくされるので充分な吸気負圧を得ることが難しくなるといった問題がある。
【0008】
また、触媒暖機性の面でも、従来のように点火時期をリタードさせるとともに吸入空気量を増加させる方法や、上記公報に記載のように二次エヤを排気系に供給する方法等のほかに、吸気温度を上昇させる等によって一層の暖機促進を図ることが望ましく、改善の余地が残されている。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、機械式過給機を利用して触媒未暖機時に吸気温度を高めること等により触媒暖機促進作用を高めることができ、しかも、ブレーキ装置のマスターバックへ供給する負圧を確保することができる機械式過給機付エンジンの制御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、吸気通路に生成される負圧をマスターバックの負圧室に導くように負圧取出し通路を設ける一方、排気通路に排気ガス浄化用の触媒を設け、この触媒が未暖機状態のときに吸入空気量を増大させ、かつ点火タイミングを所定量リタードさせるようになっているエンジンにおいて、吸気通路に、エンジンで駆動されて吸気を過給する機械式過給機と、この機械式過給機をバイパスする過給機バイパス通路と、この過給機バイパス通路を開閉する過給機バイパス弁と、上記機械式過給機より上流に位置する絞り弁とを設け、この絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路に上記負圧取出し通路を接続するとともに、エンジン低負荷時において触媒未暖機時に上記過給機バイパス弁を全閉もしくは小開度に閉じ、かつ機械式過給機上流の吸気通路を絞るように上記絞り弁を閉じ、触媒暖機後に上記過給機バイパス弁を開くように制御する制御手段を設けたものである。
【0011】
この装置によると、触媒未暖機時に、機械式過給機により過給が行なわれることで吸入空気量が増加され、かつ、過給機下流側圧力が高くなる一方、上記絞り弁が絞られることで過給機上流側の圧力が低くなって、過給機下流側圧力と過給機上流側圧力との比である圧力比が大きくなることにより、過給機下流の吸気温度が上昇する。このため燃焼安定性が高められて、点火時期を十分に大きくリタードすることができることにより排気温度が上昇し、さらに吸気温度上昇自体も排気温度の上昇をもたらし、これらの作用で触媒の暖機が促進される。しかも、上記絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路の圧力が低下し、ブレーキ装置のマスターバックに供給するための充分な負圧が生成される。
【0012】
本発明の装置において、アクセルオフ状態での機械式過給機上流の吸気通路の開口面積を、触媒未暖機状態において車両停止状態にある場合に車両走行状態にある場合よりも大きくすることが好ましい。
【0013】
このようにすると、車両走行中でアクセルオフ状態のときに上記絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路に大きな吸気負圧が生成され、走行中のアクセルオフ状態で作動されることが多いブレーキ装置のマスターバックに対する負圧の供給が効果的に行なわれる。一方、車両停車中には、上記吸気通路開口面積がある程度大きくされることで吸入空気量が確保されて触媒の暖機促進に有利となる。
【0014】
また、機械式過給機上流の吸気通路の開口面積をアクセル開度に応じて変化させるようにするとともに、触媒未暖機時において車両走行状態の時に、アクセル開度が所定開度以下の領域でのアクセル開度に対する上記開口面積の特性をアクセル開度増加時とアクセル開度減少時とで異ならせ、アクセル開度減少時よりもアクセル開度増加時の方が上記開口面積が大きくなるようにすることも効果的である。このようにすると、アクセル開度減少時に作動されることが多いブレーキ装置のマスターバックに対する負圧の供給が効果的に行なわれる一方、アクセル開度増加時には暖機性能及び出力性能が高められる。
【0015】
このようにする場合に、機械式過給機より上流で絞り弁をバイパスする通路と、この通路の開口面積を調節する制御弁とを設け、触媒未暖機時における車両走行状態でアクセル開度が所定開度以下の領域でのアクセル開度増加時に、上記制御弁を開くことにより吸気通路の開口面積を大きくすることが好ましい。このようにすると、機械式過給機上流の吸気通路の開口面積の調節が容易に行なわれる。
【0016】
また、本発明の装置おいて、触媒未暖機時に、機械式過給機上流の吸気通路を絞り弁によって絞りつつ、機械式過給機上流の吸気通路の開口面積をエンジン回転数が高くなるにつれて増大させるようにすれば、負圧生成作用及び過給作用がエンジン回転数に応じて適正に調整される。つまり、上記開口面積が一定の状態ではエンジン回転数が高くなるほど負圧が大きくなる傾向があることに関連して、必要な負圧が確保されつつ、負圧生成能力に余裕のあるエンジン高回転側で過給作用が高められる。
【0017】
また、機械式過給機より上流に位置する絞り弁とは別に、機械式過給機の下流に絞り弁を設けてもよく、この場合、触媒未暖機時に、機械式過給機上流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積を機械式過給機下流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積よりも小さくすることにより、上記圧力比を大きくして吸気温度を高める作用、及び負圧生成作用が良好に得られる。
【0018】
とくに、触媒未暖機時に、アクセル開度が大きくなるにつれて機械式過給機上流の絞り弁及び機械式過給機下流の絞り弁をともに開方向に作動させ、かつ、機械式過給機上流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積が機械式過給機下流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積よりも小さい状態を維持しつつ上記各絞り弁を作動させるようにすることにより、アクセル開度に応じて吸入空気量が調整されつつ、吸気温度を高める作用及び負圧生成作用が良好に得られる。
【0019】
本発明の装置において燃焼室に供給する混合気の空燃比の制御としては、触媒未暖機時に略理論空燃比もしくはこれより大きい空燃比とすることが好ましく、とくに、上記空燃比を触媒未暖機時に理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とし、触媒暖機時に理論空燃比とすることが好ましい。このようにすると、暖機促進が図られつつ、触媒未暖機時に燃焼室からの排出ガス中のHC、COが少なくなり、触媒が暖機されるとその浄化作用が有効に発揮される。
【0020】
本発明の装置において触媒未暖機中の制御としては、エンジン始動後に触媒暖機状態に至るまでの間で触媒の温度が上昇するに伴い、機械式過給機上流の吸気通路の開口面積を所定値以下の範囲で次第に増大させるようにしてもよい。このようにすれば、触媒温度の上昇につれて上記開口面積が大きくされることで上記圧力比が減少することにより、機械式過給機の信頼性が高められる。
【0021】
上記機械式過給機を駆動状態と停止状態とに切換えるクラッチと、このクラッチの作動を制御する手段とを備える場合に、触媒未暖機時にはエンジンの低回転低負荷域を含む運転領域で、上記クラッチをオン状態に制御することにより機械式過給機を駆動状態とする。
【0022】
このようにクラッチを備える場合の触媒未暖機中の制御としては、エンジン始動直後の未暖機時に上記クラッチをオン状態、過給機バイパス弁を閉状態、機械式過給機上流の絞り弁を閉状態とし、触媒の温度が上昇するに伴い、上記クラッチのオン状態、及び機械式過給機上流の絞り弁の閉状態を維持しつつ、過給機バイパス弁の開度を大きくするようにしてもよい。このようにすれば、触媒温度が上昇するにつれ、暖機促進の要求が小さくなることから、それに応じて過給機バイパス弁の開度が大きくされることにより、過給機下流側と上流側との圧力比が小さくなって、機械式過給機の駆動抵抗が小さくなり、燃費が改善される。
【0023】
本発明の装置において機械式過給機より下流の吸気通路にインタークーラを備える場合は、このインタークーラをバイパスするインタークーラバイパス通路と、このインタークーラバイパス通路を開閉するインタークーラバイパス弁とを設け、触媒未暖機時に上記インタークーラバイパス通路を開くようにしておけば、触媒未暖機時にインタークーラで過給気が冷却されることが避けられる。
【0024】
また、このようにインタークーラを備える場合に、過給機バイパス通路とインタークーラバイパス通路の各下流側部分を共通の通路で構成するとともに、インタークーラバイパス通路のうちの専用通路部分に機械式過給機下流の絞り弁を設けるとともに、インタークーラバイパス弁はインタークーラバイパス通路を開いたときにインタークーラ側の通路を遮断するように構成しておけば、各バイパス通路の通路構成が簡単になり、かつ、上記インタークーラバイパス通路が閉じられる触媒暖機後は機械式過給機下流の絞り弁が吸気流通抵抗となることがない。
【0025】
また、増速ギヤ内蔵の機械式過給機を備える場合に、エンジンのラフネスを検出する手段を設け、アイドル運転状態での触媒未暖機時に上記ラフネスを設定値以下に保つように点火時期リタード量を制御するようにしてもよい。このようにすると、機械式過給機による過給が行なわれる触媒未暖機時でアイドル運転状態にあるときに、エンジン回転数変動が抑制されることにより、機械式過給機の増速ギヤでのバックラッシュによる騒音が低減される。
【0026】
燃焼室内に直接燃料を噴射するインジェクタを備えたエンジンに本発明の装置を適用する場合には、上記のような構成に加え、触媒暖機時に、燃焼室全体としての空燃比を略理論空燃比としつつ上記インジェクタからの燃料噴射を吸気行程と圧縮行程とに分割して行なうようすると、後に詳述するように、触媒の暖機を促進する作用がより一層高められる。
【0027】
また、本発明が適用される機械式過給機付エンジンでは、燃焼室から触媒までの距離が近いと高負荷高回転時等に触媒の温度が上昇し過ぎることが懸念されるので、燃焼室から触媒まである程度の距離をもたせるように、エンジンの排気マニホールドに排気管を介して触媒を接続しておけはよい。このようにした場合でも、触媒未暖機時に、上記のように過給が行なわれつつ絞り弁で過給機上流の吸気通路が絞られること等で排気温度が高められ、比較的短い時間で触媒の暖機が達成される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は本発明が適用される機械式過給機付エンジンの一例を示している。この図において、エンジン本体1は複数の気筒2(例えば図2に示すように4気筒)を有し、各気筒2には、そのシリンダボアに挿入されたピストン3の上方に燃焼室4が形成されており、この燃焼室4に吸気ポート5及び排気ポート6が開口している。上記吸気ポート5及び排気ポート6は、吸気弁7及び排気弁8によってそれぞれ開閉されるようになっている。
【0030】
上記燃焼室4の中央部には点火プラグ9が配設され、そのプラグ先端が燃焼室4内に臨んでいる。点火プラグ9は点火コイル等からなる点火回路10に接続されている。
【0031】
上記エンジン本体1に対し、吸気通路11及び排気通路12が配設されている。上記吸気通路11は、上流側の共通吸気通路13と、その下流に設けられたサージタンク14と、このサージタンク14から気筒別に分岐した独立吸気通路15とを有し、各独立吸気通路15の下流端側が吸気ポート5に連通している。
【0032】
上記共通吸気通路13には機械式過給機20が設けられている。この機械式過給機20は、例えばリショルム型ポンプからなり、エンジン出力軸によりベルト等の伝動機構を介して駆動されるようになっている。上記伝動機構と機械式過給機20の入力軸との間には、機械式過給機20への駆動力の伝達を断続する電磁クラッチ21が設けられている。なお、上記機械式過給機20は増速ギヤ(図示せず)を内蔵し、入力軸の回転が増速ギヤを介してロータ20aに伝えられるようになっている。
【0033】
上記機械式過給機20の上流には、モータ16により駆動されて開閉作動するスロットル弁17(過給機上流側の絞り弁)が設けられるとともに、このスロットル弁17をバイパスするISC通路18が設けられ、このISC通路18にISCバルブ(制御弁)19が設けられている。上記スロットル弁17またはISCバルブ19により、機械式過給機の上流において吸気通路の開口面積を調節する開口面積調節手段が構成される。
【0034】
機械式過給機20の下流には、過給された吸気を冷却するためのインタークーラ22が配置されている。
【0035】
さらに吸気通路11には、過給機バイパス通路23と、インタークーラバイパス通路26とが設けられている。上記過給機バイパス通路23は、少なくとも機械式過給機20をバイパスし、図示の例では機械式過給機20及びインタークーラ22をバイパスするように、一端がスロットル弁17と機械式過給機20との間の吸気通路に接続されるとともに、他端がインタークーラ22の下流の吸気通路に接続されている。この過給機バイパス通路23の途中に過給機バイパス弁(ABV)24が設けられており、この過給機バイパス弁24はモータ25により駆動されるようになっている。
【0036】
上記インタークーラバイパス通路26は、インタークーラ22をバイパスするように、一端が機械式過給機20とインタークーラ22との間の吸気通路に接続されるとともに、他端がインタークーラ22の下流の吸気通路に接続されている。このインタークーラバイパス通路26の途中には、モータ等のアクチュエータ28により駆動されて開閉作動するインタークーラバイパス弁27が設けられている。
【0037】
また、スロットル弁17と機械式過給機20との間の吸気通路には、負圧取出し通路30が接続されている。この負圧取出し通路30は、チェックバルブ31を介し、ブレーキ装置のマスタバックの負圧室32に接続されている。
【0038】
吸気通路11における機械式過給機20より下流には絞り弁33(以下、下流側絞り弁33と呼ぶ)が設けられている。この下流側絞り弁33は、当実施形態では図1及び図2に示すように、サージタンク14の下流の気筒別の各独立吸気通路15に設けられており、各下流側絞り弁33は連動して作動するようにロッド34により連結され、このロッド34を介してモータ等のアクチュエータ35により作動されるようになっている。
【0039】
そして、図2に示す例では、下流側絞り弁33の下流で独立吸気通路15に続く吸気ポート5が2又に分岐し、その分岐した2つのポート下流端が燃焼室に開口し、これらがそれぞれ吸気弁7によって開閉されるようになっている。
【0040】
各下流側絞り弁33は、閉状態のときに、部分的に通路壁との間に隙間を有する状態となることにより、上記隙間を通る気流によって燃焼室内にスワールもしくはタンブルを生成するようになっている。具体的には、図3に示すように、下流側絞り弁30の一部、例えば上部が切欠され、その切欠部分30aにより閉状態のときに通路壁との間に隙間が形成され、この部分を吸気が流通して燃焼室4内に主にタンブルが生成されるようになっている。
【0041】
なお、下流側絞り弁33の構造及び配置は図示の例に限定されず、例えば、気筒別の独立吸気通路をさらに2つの通路に分割し、その一方の通路に下流側絞り弁を設け、この下流側絞り弁が閉じられたときに他方の通路から燃焼室に流入する吸気によってスワールが生成されるようにしたものでもよい。また、気筒別の通路ではなく、機械式過給機20とサージタンク14との間の共通吸気通路13に下流側絞り弁を設けるようにしてもよい。
【0042】
さらに各独立吸気通路15には、吸気ポート下流側に向けて燃料を噴射するインジェクタ35が設けられている。
【0043】
一方、排気通路12は、各気筒の排気ポート6に連通する排気マニホールド37とこの排気マニホールド37の集合部に接続された共通排気通路38とを有しており、その共通排気通路38の途中に排気ガス浄化用の触媒39が設けられている。この触媒39は、排気ガス中のHC、CO、NOx等を浄化するもので、望ましくは、空燃比が理論空燃比よりもリーンな状態にあるリーン運転時でもNOx浄化性能を有するような触媒が用いられる。
【0044】
この触媒39の位置は、暖機促進のためには燃焼室4に近い排気通路上流寄りとする方が有利であるが、機械式過給機付エンジンでは高負荷高回転時に排気温度が上昇し易いので、触媒の過度の温度上昇を避けて信頼性を確保すべく、燃焼室4からある程度離れたエンジン下方もしくは運転室下方に触媒39が配置され、共通排気通路38の一部をなす排気管38aを介して排気マニホールド37に接続されている。
【0045】
また、エンジンの制御に必要な各種検出手段として、吸気通路11のスロットル弁17の上流に配置されて吸入空気量を検出するエアフローセンサ41、排気通路の排気マニホールド集合部に配置されて排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するO2 センサ42、エンジン冷却水の水温を検出する水温センサ43、エンジン回転数を検出する回転数センサ44、変速機のギヤ段を検出するセンサ45、アクセル開度(アクセルペダル踏み込み量)を検出するアクセルセンサ46等が設けられている。
【0046】
上記各センサ41〜46からの信号は制御ユニット(ECU)50に入力されている。そして、上記制御ユニット50から、燃料噴射量を制御する信号がインジェクタ33に出力されるとともに、点火時期を制御する信号が点火回路10に出力され、また機械式過給機20の駆動、停止を制御する信号が電磁クラッチ21に出力され、さらに、過給機バイパス弁24を駆動するモータ25と、インタークーラバイパス弁28のアクチュエータ28と、絞り弁30のアクチュエータ33とに対してもそれぞれ制御信号が出力されている。なお、スロットル弁17のモータ16及びISCバルブ19にも制御ユニット50から制御信号が出力されている。
【0047】
図4は、図1中に示した制御ユニット50の構成を示す機能ブロック図である。この図において制御ユニット50は、暖機判定手段51、点火時期制御手段52、クラッチ制御手段53、ABV制御手段(過給機バイパス弁制御手段)54、I/C(インタークーラ)バイパス弁制御手段55、スロットル弁制御手段56、ISC制御手段57、空燃比制御手段58、及び下流側絞り弁制御手段59を含んでいる。
【0048】
上記暖機判定手段51は、例えば水温センサ43で検出されるエンジン水温によって触媒38の温度状態を推定し、触媒38が未暖機か暖機かを判定するようになっている。
【0049】
上記点火時期制御手段52は、点火時期を運転状態及び温度条件等に応じて制御するもので、触媒未暖機時には点火時期をMBTより所定量リタードさせ、触媒暖機後は運転状態に応じてMBT等の適正点火時期に制御するようになっている。
【0050】
上記クラッチ制御手段53は、電磁クラッチ21のオン、オフを運転状態及び温度条件等に応じて制御し、また、ABV制御手段54は、過給機バイパス弁24を運転状態及び温度条件等に応じて制御するものである。これらの手段53,54により、触媒暖機後の通常運転中は、図5に示す各領域A〜Cにおいて過給状態が次のように制御される。すなわち、所定負荷以下かつ所定回転数以下の低負荷低回転領域Aでは、電磁クラッチ21がオフとされることにより過給機20の駆動が停止されるとともに過給機バイパス弁24が開弁状態とされ、所定負荷以下で所定回転数より高回転の領域Bでは電磁クラッチ21がオンとされることにより過給機駆動状態とされるが過給機バイパス弁24が開弁状態に保たれることにより実質的に過給は行なわれず、所定負荷より高負荷側の領域Cでは電磁クラッチ21がオンとされるとともに過給機バイパス弁24が閉じられることにより過給が行なわれる。
【0051】
一方、触媒未暖機状態にあるときは、上記低負荷低回転領域Aでも電磁クラッチ21がオンとされ、かつ過給機バイパス弁24が全閉もしくは小開度に閉じられることにより、過給が行なわれる。
【0052】
図4中のI/Cバイパス弁制御手段55は、インタークーラバイパス弁27を温度条件等に応じて制御するものであり、触媒未暖機状態にあるときにインタークーラバイパス弁27を閉じ、触媒暖機後の通常運転中はインタークーラバイパス弁27を開くようになっている。
【0053】
スロットル弁制御手段56は、アクセル開度等に応じてスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するが、とくにエンジン低負荷域において触媒未暖機時には、過給機上流の吸気通路を絞るように上記スロットル弁17を所定開度以下に閉じるようになっている。また、上記ISC制御手段57は、運転状態等に応じてISCバルブ19を制御するようになっている。
【0054】
そして、上記スロットル弁制御手段56によるスロットル弁17の制御とISC制御手段57によるISCバルブ19の制御とにより過給機上流側吸気通路の開口面積がコントロールされる。とくに、アクセルオフ状態(アクセル開度が0の状態)での過給機上流側の吸気通路の開口面積が、触媒未暖機時において車両停止状態にある場合に車両走行状態にある場合よりも大きくされる。さらに、触媒未暖機時において車両走行状態のときに、後述の図8のようにアクセル開度が所定開度以下の領域でのアクセル開度に対する上記開口面積の特性がアクセル開度増加時とアクセル開度減少時とで異なるように設定される。また、後述の図9のようにエンジン回転数によっても触媒未暖機時の上記開口面積が変化するようになっている。
【0055】
空燃比制御手段58は、燃焼室4に供給する混合気の空燃比を運転状態及び温度条件等に応じて設定し、その設定空燃比に応じてインジェクタ36からの燃料噴射量等を制御するものであり、上記空燃比を触媒未暖機時に略理論空燃比もしくはこれより大きい空燃比に制御する。とくに当実施形態では触媒暖機促進を図りつつHC、COを低減するために好ましい制御として、エンジン始動直後の触媒未暖機時に理論空燃比よりも大きくて18以下のリーン空燃比とし、触媒温度の上昇に伴って理論空燃比に変化させるようにしている。
【0056】
下流側絞り弁制御手段59は、下流側絞り弁35を運転状態及び温度条件等に応じて制御するものであり、少なくとも触媒未暖機時に上記低負荷低回転領域Aで上記下流側絞り弁35を小開度にして独立吸気通路15を絞る状態とするようになっている。
【0057】
以上のような当実施形態の装置の作用を、図6を参照しつつ次に説明する。
【0058】
エンジン始動直後における触媒未暖機時には、上記低負荷低回転域Aでも電磁クラッチ21がオンとされることにより機械式過給機20が駆動されるとともに、過給機バイパス弁24が全閉もしくは小開度に閉じられる。また、上記スロットル弁17は、触媒未暖機時におけるアイドリング等の低負荷状態のときに、機械式過給機20の上流で吸気通路を絞るように、全閉もしくは小開度に閉じられる。そして、点火時期はMBTよりリタードされる。
【0059】
このような状態では、機械式過給機20により過給が行なわれることで吸入空気量が増加され、かつ、過給機上流側圧力が低く、過給機下流側圧力が高くなり、過給機下流側圧力と過給機上流側圧力との比である圧力比が大きくなることにより、過給機下流の吸気温度が上昇する。このとき、インタークーラバイパス弁27は開かれ、過給気はインタークーラバイパス通路26を通ってエンジン本体1に送られて、インタークーラ22による過給気の冷却が避けられるので、過給により温度上昇した吸気が燃焼室4に送られる。
【0060】
従って、過給による吸入空気量の増加及び吸気温度上昇により燃焼安定性が高められて、点火時期を十分に大きくリタードすることができ、この点火時期のリタードによって排気温度が上昇する。さらに吸気温度上昇自体も排気温度の上昇をもたらす。これらの作用で触媒が暖機が促進される。
【0061】
しかも、スロットル弁17により機械式過給機20の上流の吸気通路が絞られることにより、機械式過給機20の作動に伴ってスロットル弁17と機械式過給機20との間の吸気通路の圧力が低下し、充分な負圧が得られる。この負圧は負圧取出し通路30によりチェックバルブ31を介してマスターバックの負圧室32に導かれ、ブレーキ装置の作動に応じて消費される。
【0062】
そして、機械式過給機20の上流の吸気通路が絞られても、過給機バイパス弁24が閉じられた状態で機械式過給機20の駆動により過給が行なわれることにより、過給機バイパス弁24が開かれる温間アイドル時等と比べると吸入空気量が増加するとともに、吸気温度が上昇する。とくに、過給機上流側の圧力が低下することから、過給機下流側の圧力が極端に高くならなくても上記圧力比は十分に大きくなり、機械式過給機20のシール部分等の信頼性が確保されつつ容易に圧力比が大きくされ、吸気温度を上昇させる作用が十分に得られる。
【0063】
つまり、機械式過給機20の上流の吸気通路が絞られた状態で機械式過給機20が駆動され、かつ過給機バイパス弁24が閉じられることにより、機械式過給機20が吸入空気量増加及び吸気温度上昇をもたらす過給機能と、負圧生成のためのバキュームポンプとしての機能とを発揮し、暖機促進と負圧生成とが両立されることとなる。
【0064】
また、空燃比は触媒未暖機時に略理論空燃比もしくはそれ以上とされ、とくに好ましくはエンジン始動直後の触媒未暖機時に理論空燃比よりも大きくて18以下のリーン空燃比とされ、触媒温度の上昇に伴って理論空燃比に移行するように制御される。このような空燃比制御により、触媒の暖機が促進されるとともに、触媒未暖機時のエミッションが改善される。
【0065】
この作用を、図7を参照しつつ説明する。図7は、燃焼室内の燃焼温度と、燃焼室から排出された排気ガス(触媒で浄化される前の排気ガス)に含まれるHC、CO及びNOxの量を、それぞれ、始動直後のエンジンの冷間時(破線)と暖機時(実線)とについて示したものである。
【0066】
この図のように、暖機時と比べて冷間時は燃焼温度が低いためNOxは少ないがHC、COは多くなる傾向があり、また空燃比との関係では理論空燃比付近よりリッチ側でリッチになるにつれてHC、COが増大する傾向がある。そして、従来の一般的エンジンでは、始動直後の冷間時に燃料の気化、霧化が悪いことを見込んで空燃比をかなりリッチ(例えば13程度もしくはそれよりリッチ)に設定することにより燃焼安定性の確保を図っているが、このようにすると図7から明らかなようにHC、COが増大し、しかも、余剰燃料の気化潜熱で排気温度の上昇が妨げられ、触媒暖機性能も悪くなる。
【0067】
これに対し、当実施形態のエンジンでは、始動直後の触媒未暖機状態の冷間時に、過給による吸入空気量の増加及び燃焼温度の上昇により燃焼性が高められることから、始動直後の空燃比を従来よりリーンな14.0以上にしても燃焼安定性が確保され、これによりHC、COが低減されるとともに、燃焼温度が高められて暖機促進に有利となる。とくに、理論空燃比よりもリーンで18までの範囲に設定すれば、HC、COが充分に少なくなり、かつ、燃焼温度がピークに近いため暖機が促進される。そして、触媒温度が低い間は理論空燃比よりもリーンとされるが、触媒温度が次第に上昇すると理論空燃比に移行されることにより、触媒による浄化作用でHC、CO及びNOxが低減される。
【0068】
ところで、過給機上流の吸気通路の開口面積は、触媒未暖機時に、アクセル開度やエンジン回転数に応じて変えられ、かつ、車両停止状態にある場合と車両走行状態にある場合とでアクセルオフ状態での上記開口面積が変えられる。このような過給機上流側の吸気通路開口面積の調節はスロットル弁17とISCバルブ19とで行なわれ、とくにアクセルオフ状態やアクセル開度が小さい領域での上記開口面積の調節はISCバルブ19によって行なわれる。このようなスロットル弁17とISCバルブ19の制御による開口面積の調節を、図6と図8及び図9によって具体的に説明する。
【0069】
触媒未暖機時において、アクセルオフで車両停止状態にあるときは、図6中に実線で示すようにスロットル弁17が閉じられるとともにISCバルブ31が全閉より所定開度だけ開いた状態とされる。これにより、後述のようにISCバルブ31が閉じられるアクセルオフでの車両走行状態のときと比べると過給機上流の吸気通路開口面積が大きくなり、過給により暖機促進を図るべくある程度の吸気流通面積が確保される。
【0070】
この状態から車両走行状態に移行してアクセル開度が大きくなると、それに応じたスロットル開度の調節等により上記吸気通路開口面積が調節され(図6中の一点鎖線)、この場合のアクセル開度に対する吸気通路開口面積の特性は図8のようになる。同図において、実線は触媒未暖機状態におけるアクセル開度増加時の特性、破線は触媒未暖機状態におけるアクセル開度減少時の特性(所定アクセル開度AC1以上では実線の特性と一致)であり、このように、所定アクセル開度AC1以下の領域では、アクセル開度増加時の方がアクセル開度減少時よりも吸気通路開口面積が大きくされる。
【0071】
具体的には、触媒未暖機状態におけるアクセル開度増加時に、所定アクセル開度AC1までは、ISCバルブ31が所定開度に開かれた状態が保たれることにより吸気通路開口面積が一定に保たれ、所定アクセル開度AC1を越えるとアクセル開度の増加に応じてスロットル弁17が開かれることにより吸気通路開口面積が要求負荷に見合うように大きくされる。一方、触媒未暖機状態におけるアクセル開度減少時には、アクセル開度の減少に応じてスロットル弁17が閉じられ、さらに所定アクセル開度AC1以下になるとそれに応じてISCバルブ31が閉じられることにより吸気通路開口面積が小さくされる。
【0072】
従って、走行中にアクセルオフとされる全閉減速となったときには、図6中に一点鎖線で示すように、アクセルオフ状態での停車中よりもISCバルブ31の開度が小さくなることにより吸気通路開口面積が小さくされる。このため、機械式過給機20の上流側に大きな吸気負圧が生成され、走行中のアクセルオフ状態で作動されることが多いブレーキ装置のマスターバックに対する負圧の供給が効果的に行なわれる。
【0073】
一方、車両停車中やアクセル開度増加時には、ブレーキ装置が作動されることが殆どなくて負圧生成能力が低下しても差し支えないので、走行中のアクセルオフ時と比べ吸気通路開口面積が大きくされ、これにより吸入空気量が確保されて触媒の暖機促進に有利となるとともに、上記圧力比が大きくなる過ぎることが避けられて信頼性の確保に有利となる。
【0074】
さらに、触媒未暖機時において上記吸気通路開口面積はエンジン回転数によっても変えられ、図9に示すように、エンジン回転数が高くなるにつれて吸気通路開口面積が大きくされる。このようにしているのは、本来的にエンジン回転数が高いほどスロットル弁下流で負圧が生成され易くなることから、負圧生成能力に余裕のある高回転側では、その分だけ吸気通路開口面積を大きくすることにより、吸入空気量を増加して暖機促進作用を高めるようにするためである。
【0075】
また、当実施形態では、触媒未暖機時に上記のようなスロットル弁17及びISCバルブ31の制御に加え、下流側絞り弁33が適度に絞られ、これにより、機械式過給機20と下流側絞り弁33との間の吸気通路内の圧力が高められて上記圧力比がより大きくなることにより、吸気温度がさらに高められる。とくに気筒別の独立吸気通路15に下流側絞り弁33が設けられていると、スワールやタンブルを生成する作用も得られ、燃焼性向上に一層有利となる。
【0076】
この場合、アクセル開度に応じて吸入空気量を調節すべく、アクセル開度が大きくなるにつれてスロットル弁7及び下流側絞り弁33が開方向に作動されるが、下流側絞り弁33により絞られる過給機下流側の吸気通路(独立吸気通路)の開口面積は図8中に一点鎖線で示すようになり、過給機上流側の吸気通路開口面積が過給機下流側の吸気通路開口面積よりも小さくなる関係が維持されつつ、これらの開口面積がアクセル開度に応じて変えられる。
【0077】
これにより、過給機上流側の吸気通路を絞ることによる作用が主に効いて、過給機上流側の圧力が低下した状態で上記圧力比が高められることにより、信頼性を確保しつつ吸気温度を高める作用、及び負圧生成作用が有効に得られる。
【0078】
なお、アイドル運転状態におけるエンジン回転数は触媒未暖機時に触媒暖機時より高くなるように点火時期のリタード量等が制御され、これにより、機械式過給機20の駆動による騒音増大が抑制される。つまり、当実施形態の装置によると触媒未暖機時にはアイドル運転状態でも機械式過給機20が駆動され、アイドル運転時に回転数変動が機械式過給機20に伝わると機械式過給機20の増速ギヤ等のバックラッシュにより騒音を生じる。これに対し、機械式過給機20が駆動される触媒未暖機時にアイドル回転数を高くしておけば回転数変動が抑制されて上記騒音が低減される。
【0079】
また、触媒暖機状態となった後は、図6中に示すように、低回転低負荷領域Aであれば電磁クラッチ21がオフとされるとともに過給機バイパス弁24が開かれることにより過給が停止され、高負荷領域Cに移行すれば同図中の二点鎖線のように電磁クラッチ21がオンとされるとともに過給機バイパス弁24が閉じられる。そして、触媒暖機状態において過給が行なわれるときには、インタークーラバイパス弁27が閉じられることにより、過給気がインタークーラ22で冷却される。
【0080】
本発明の制御装置による制御の具体例及びエンジンの構造等は上記実施形態のものに限定されず、種々変更可能であり、図10〜図14に基づいて変更例を以下に説明する。
【0081】
図10に示す例では、触媒未暖機状態でも触媒温度の変化に応じて過給機上流側の吸気通路開口面積が変更されるようにしている。
【0082】
すなわち、触媒未暖機時に、電磁クラッチ21がオンとされ、かつ過給機バイパス弁24が閉じられることにより、機械式過給機20による過給が行なわれるとともに、点火時期のリタードが行なわれることは前述の図6の例と同様(図10では図示省略)であるが、過給機上流側の吸気通路開口面積はエンジン始動直後で触媒温度が低いときに最も小さくされ、その後、時間経過に伴う触媒温度の上昇につれて次第に増大するように、スロットル弁17もしくはISCバルブ31が制御される。ただし、触媒が暖機するまでの触媒温度の上昇に応じた上記吸気通路開口面積の増大は、スロットル全開時の開口面積と比べて十分に小さい所定値以下の範囲で行なわれる。そして、触媒暖機状態に達すれば、暖機後の運転状態に応じた開口面積に変更される。
【0083】
この例によると、触媒未暖機状態でも触媒温度がある程度上昇すれば過給機上流側の吸気通路開口面積が大きくされることにより、過給機下流側と上流側との圧力比が減少し、機械式過給機20の信頼性が高められる。また、過給機上流側の吸気通路開口面積の増大は上記所定値以下の範囲で行なわれることにより、負圧生成作用は維持される。
【0084】
また、図11に示す例では、触媒未暖機状態において、エンジン始動直後は電磁クラッチ21がオン状態、過給機バイパス弁24が閉状態、スロットル弁17が閉状態とされ、その後、時間経過に伴う触媒温度の上昇につれ、電磁クラッチ21のオン状態及びスロットル弁17の閉状態が維持されつつ、過給機バイパス弁24の開度が次第に大きくされるようになっている。
【0085】
この例によると、触媒未暖機状態でも触媒温度がある程度上昇すると、暖機促進の要求が小さくなることから、それに応じて過給機バイパス弁24の開度が大きくされ、これにより過給機下流側と上流側との圧力比が小さくなって、機械式過給機20の駆動抵抗が小さくなるので、燃費が改善される。なお、アイドル等の低負荷域で暖機状態に達すれば、過給機バイパス弁24が全開されるとともに、電磁クラッチ21がオフとされて機械式過給機20の作動が停止される。あるいは、機械式過給機20の作動、停止の切換頻度を少なくするため、図11中の二点鎖線のように電磁クラッチ21をオン状態に保つようにしてもよい。
【0086】
図12は過給機バイパス通路及びインタークーラバイパス通路等の構造の別の実施形態を示しており、図1と同等の部分は同一符号を付している。
【0087】
この図に示す例でも、吸気通路にスロットル弁17、ISC通路18、負圧取出し通路30、機械式過給機20及びインタークーラ22等が配設されるとともに、過給機バイパス通路61及びインタークーラバイパス通路62が設けられているが、過給機バイパス通路61とインタークーラバイパス通路62の各下流側部分が共通の通路63で構成されている。
【0088】
すなわち、過給機バイパス通路61は上流側が専用通路部分61aとされて、その上流端が過給機上流の吸気通路に接続され、またインタークーラバイパス通路62も上流側が専用通路部分62aとされて、その上流端が機械式過給機20とインタークーラ22との間の吸気通路に接続されており、各専用通路部分61a,62aは下流側で合流し、その合流部より下流側が両バイパス通路61,62に共通の通路63となっている。この共通の通路63の下流端はインタークーラ22の下流に接続されている。上記過給機バイパス通路61の専用通路部分61aには、過給機バイパス弁24が設けられている。
【0089】
また、インタークーラバイパス通路62の専用通路部分62aの上流端が吸気通路に接続される箇所にインタークーラバイパス弁64が設けられるとともに、専用通路部分62aの途中に下流側絞り弁66が設けられている。上記インタークーラバイパス弁64は、アクチュエータ65により作動されインタークーラバイパス通路62を開閉し、かつ、インタークーラバイパス通路62を開いたときはインタークーラ側の吸気通路を遮断し(図示の状態)、インタークーラバイパス通路62を閉じたときはインタークーラ側の吸気通路を完全開放するように構成されている。
【0090】
また、上記下流側絞り弁66は、アクチュエータ67により作動されて開度が変化することにより、専用通路部分62aの開口面積を調節するようになっている。
【0091】
この実施形態によると、過給機バイパス通路61とインタークーラバイパス通路62の各下流側部分が共通の通路63で構成されていることにより、各バイパス通路が個別に形成されるような場合と比べ、通路構造が簡単でコンパクトになる。また、インタークーラバイパス通路62の専用通路部分62aに下流側絞り弁66が設けられていることにより、触媒未暖機時にインタークーラバイパス弁64によってインタークーラバイパス通路62が開かれたときには、上記下流側絞り弁66が、過給機下流側の吸気流通経路となるインタークーラバイパス通路62の専用通路部分62aに位置するため、過給機下流側の吸気通路を絞る作用を果たす。
【0092】
一方、触媒暖機後等にインタークーラバイパス弁64によってインタークーラバイパス通路62が閉じられたときには、下流側絞り弁66が流通抵抗となることがない。すなわち、図1に示す実施形態のように単に過給機下流側の吸気通路に下流側絞り弁が配置されていると、これを絞る必要がないとき、下流側絞り弁が全開されても多少は吸気抵抗となるが、当実施形態によると、インタークーラバイパス弁64によってインタークーラバイパス通路62が閉じられたときに吸気が流通しない専用通路部分62aに下流側絞り弁66が設けられているので、このときに下流側絞り弁66が吸気流通抵抗となることがない。
【0093】
図13は触媒未暖機時におけるアイドル運転時にエンジン回転数変動を抑制して騒音を低減するための手段の他の例を示し、この例では、触媒未暖機時におけるアイドル運転時に騒音低減のためラフネス制御を行うようにしている。
【0094】
すなわち、本発明では、前述のように触媒未暖機時にはアイドル運転時でも機械式過給機20が駆動されて過給が行われるので、このときにエンジン回転数変動を生じると機械式過給機20の増速ギヤ等のバックラッシュにより騒音が生じ易くなり、これに対し、前述のように触媒未暖機時にアイドル回転数を高くすることが考えられるが、図13に示す例ではさらに、アイドル運転時にエンジン回転数センサ44の出力に基づいてその回転数変動(ラフネス)を検出するラフネス検出手段71が設けられている。
【0095】
そして、暖機判定手段51による判定及びラフネス検出手段71による検出に応じて点火時期制御手段52により、触媒未暖機時におけるアイドル運転時に、ラフネスが設定値以上に大きくなると点火時期リタード量を小さくすることでエンジン回転数を高め、ラフネスを抑制するように制御している。なお、クラッチ制御手段、ABV制御手段、I/Cバイパス弁手段、スロットル弁制御手段、ISC制御手段、空燃比制御手段及び下流側絞り弁制御手段等は図4に示す例と同様であるので、図13においては図示を省略する。
【0096】
また、図1及び図2に示すエンジンにおいて、インジェクタ36は各気筒の吸気ポート近傍の独立吸気通路15に設けられているが、図1に二点鎖線で示すように燃焼室4に臨むようにインジェクタ36´を設け、このインジェクタ36´から直接燃焼室内に燃料を噴射するようにした筒内噴射式エンジンに本発明の制御装置を適用することもできる。
【0097】
この場合、上述のような過給機20、スロットル弁17、点火時期等の制御に加え、インジェクタ36´からの燃料噴射の制御として、触媒未暖機時に、燃焼室全体の空燃比は略理論空燃比としつつ、図14に示すように燃料噴射(噴射パルス)を吸気行程と圧縮行程とに分割して行なうようにすることが好ましい。
【0098】
このようにすると、触媒未暖機時に、点火プラグ付近が比較的リッチな混合気、その周囲が比較的リーンな混合気とされた状態で燃焼が行なわれる。このような燃焼により排気温度が高められることは、当発明者が実験的に確認している。その理由として次のようなことが推定される。
【0099】
すなわち、上記のような混合気分布状態で着火が行なわれると、点火プラグ付近のリッチ混合気層から周囲のリーン混合気層へ燃焼が広がり、その過程でリッチ混合気層の余剰燃料がリーン混合気層の酸素を奪いつつ燃焼し、その燃焼が比較的遅い時期まで持続して所謂後燃え状態になる等の現象により、排気温度が上昇するものと推測される。
【0100】
そして、触媒未暖機時には、このような分割噴射による作用と、点火時期をリタードさせるとともに過給を行ないつつスロットル弁17を絞ることによる吸気温度上昇、燃焼性向上等の作用が相乗的に得られることにより、大幅に暖機が促進されることとなる。
【0101】
【発明の効果】
以上のように本発明は、過給機バイパス通路を開閉する過給機バイパス弁と、機械式過給機より上流に位置する絞り弁とを設け、この絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路に負圧取出し通路を接続するとともに、エンジン低負荷時において触媒未暖機時に上記過給機バイパス弁を全閉もしくは小開度に閉じ、かつ上記絞り弁を閉じて機械式過給機上流の吸気通路を絞るようにしているため、触媒未暖機時に、過給により吸入空気量が増加され、かつ、過給機下流側圧力と過給機上流側圧力との比である圧力比が大きくなることにより過給機下流の吸気温度が上昇し、燃焼安定性が高められて点火時期リタード量を大きくすることができる。これらの作用により、触媒の暖機が促進される。しかも、上記絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路の圧力が低下し、ブレーキ装置のマスターバックに供給するための充分な負圧を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される機械式過給機付エンジンの一例を示す全体概略図である。
【図2】エンジン本体及び吸・排気系の一部を示す概略平面図である。
【図3】各独立吸気通路に設けられる絞り弁の拡大図である。
【図4】制御ユニットの機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図5】機械式過給機の制御のための領域設定を示す説明図である。
【図6】図4に示す制御ユニットにより制御される制御対象の動作を示すタイムチャートである。
【図7】空燃比と燃焼温度及び排気ガス中のHC、CO、NOxとの関係を暖機時と冷間時とについて示すグラフである。
【図8】アクセル開度と過給機上流側の吸気通路開口面積との関係を示すグラフである。
【図9】エンジン回転数と過給機上流側の吸気通路開口面積との関係を示すグラフである。
【図10】制御動作の別の例を示すタイムチャートである。
【図11】制御動作のさらに別の例を示すタイムチャートである。
【図12】過給機バイパス通路及びインタークーラバイパス通路等の構造の別の例を示す概略平面図である。
【図13】点火時期制御手段による制御の別の例を示すブロック図である。
【図14】本発明の制御装置を筒内噴射式エンジンに適用した場合における触媒未暖機時の燃料噴射の制御の例を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
11 吸気通路
12 排気通路
17 スロットル弁
18 ISC通路
19 ISCバルブ
20 機械式過給機
21 電磁クラッチ
23 過給機バイパス通路
24 過給機バイパス弁
26 インタークーラバイパス通路
27 インタークーラバイパス弁
33 下流側絞り弁
36 インジェクタ
39 触媒
50 制御ユニット
51 暖機判定手段
52 点火時期制御手段
53 クラッチ制御手段
54 ABV制御手段
55 I/Cバイパス弁制御手段
56 スロットル弁制御手段
57 ISC制御手段
58 空燃比制御手段
59 下流側絞り弁制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気通路に機械式過給機を備えるとともに負圧取出し通路を備え、一方、排気通路に排気ガス浄化用の触媒を備えたエンジンの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、排気通路に排気ガス浄化用の触媒を備えたエンジンにおいて、触媒未暖機時に点火時期をリタードすることにより排気温度を高めて触媒の暖機促進を図るようにする技術は一般に知られており、機械式過給機を備えたエンジンにおいて点火時期のリタードを行なうようにしたものとしては、特開平9−317520号公報に示されるような過給機付エンジンがある。
【0003】
すなわち、この公報に記載の機械式過給機付エンジンは、エンジンの圧縮比を高くしつつ、バルブオーバラップをアイドル時に小、高負荷時に大となるように可変制御することにより、低回転高負荷時のノッキングを防止する一方、エンジンの圧縮比を低くすることでノッキングを回避するようにしたものと比べ、冷間時の燃焼性を高めることができるようにしている。
【0004】
さらにこのエンジンでは、過給機の上流の第1絞り弁に加えて過給機下流に第2絞り弁を設け、かつ、この第2絞り弁と過給機との間から排気系に至る二次空気通路を設けることにより、エンジンの冷間時に過給機の過給作用を利用して二次空気を排気系に送り、触媒の活性化を図るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般にこの種のエンジンでは、触媒未暖機時に、暖機促進のため点火時期をリタードさせながらも燃焼性を確保すべく、触媒暖機後よりもスロットル開度を大きめに設定して吸入空気量を増加させるようにしている。また、とくに上記公報に記載のように、触媒未暖機時に、過給機を駆動しつつ、過給機下流の第2絞り弁を絞って、過給機と第2絞り弁との間の吸気通路から二次エアを取り出すようにする場合も、燃焼室への吸気供給量と二次エア量とを確保するには、過給機上流の第1絞り弁の開度(スロットル開度)を大きめに設定する必要がある。
【0006】
ところで、自動車に搭載されるガソリンエンジンでは、スロットル弁下流からチェックバルブ等を介してブレーキ装置のマスタバックへ吸気負圧に導く負圧取出し通路を設けることにより、スロットル開度が小さいときにスロットル弁下流に生じる吸気負圧を上記マスタバックの負圧源として利用することが一般に行なわれている。
【0007】
このように吸気負圧をブレーキ装置のマスタバックの負圧源とする場合、触媒が未暖機状態にある間でも車両の走行が行なわれて減速時等にブレーキ装置が作動されることがあるので、このような場合の負圧の確保も要求されるが、上記のような従来のこの種のエンジンでは、触媒未暖機時に吸入空気量増加等のためスロットル開度が大きくされるので充分な吸気負圧を得ることが難しくなるといった問題がある。
【0008】
また、触媒暖機性の面でも、従来のように点火時期をリタードさせるとともに吸入空気量を増加させる方法や、上記公報に記載のように二次エヤを排気系に供給する方法等のほかに、吸気温度を上昇させる等によって一層の暖機促進を図ることが望ましく、改善の余地が残されている。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、機械式過給機を利用して触媒未暖機時に吸気温度を高めること等により触媒暖機促進作用を高めることができ、しかも、ブレーキ装置のマスターバックへ供給する負圧を確保することができる機械式過給機付エンジンの制御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、吸気通路に生成される負圧をマスターバックの負圧室に導くように負圧取出し通路を設ける一方、排気通路に排気ガス浄化用の触媒を設け、この触媒が未暖機状態のときに吸入空気量を増大させ、かつ点火タイミングを所定量リタードさせるようになっているエンジンにおいて、吸気通路に、エンジンで駆動されて吸気を過給する機械式過給機と、この機械式過給機をバイパスする過給機バイパス通路と、この過給機バイパス通路を開閉する過給機バイパス弁と、上記機械式過給機より上流に位置する絞り弁とを設け、この絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路に上記負圧取出し通路を接続するとともに、エンジン低負荷時において触媒未暖機時に上記過給機バイパス弁を全閉もしくは小開度に閉じ、かつ機械式過給機上流の吸気通路を絞るように上記絞り弁を閉じ、触媒暖機後に上記過給機バイパス弁を開くように制御する制御手段を設けたものである。
【0011】
この装置によると、触媒未暖機時に、機械式過給機により過給が行なわれることで吸入空気量が増加され、かつ、過給機下流側圧力が高くなる一方、上記絞り弁が絞られることで過給機上流側の圧力が低くなって、過給機下流側圧力と過給機上流側圧力との比である圧力比が大きくなることにより、過給機下流の吸気温度が上昇する。このため燃焼安定性が高められて、点火時期を十分に大きくリタードすることができることにより排気温度が上昇し、さらに吸気温度上昇自体も排気温度の上昇をもたらし、これらの作用で触媒の暖機が促進される。しかも、上記絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路の圧力が低下し、ブレーキ装置のマスターバックに供給するための充分な負圧が生成される。
【0012】
本発明の装置において、アクセルオフ状態での機械式過給機上流の吸気通路の開口面積を、触媒未暖機状態において車両停止状態にある場合に車両走行状態にある場合よりも大きくすることが好ましい。
【0013】
このようにすると、車両走行中でアクセルオフ状態のときに上記絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路に大きな吸気負圧が生成され、走行中のアクセルオフ状態で作動されることが多いブレーキ装置のマスターバックに対する負圧の供給が効果的に行なわれる。一方、車両停車中には、上記吸気通路開口面積がある程度大きくされることで吸入空気量が確保されて触媒の暖機促進に有利となる。
【0014】
また、機械式過給機上流の吸気通路の開口面積をアクセル開度に応じて変化させるようにするとともに、触媒未暖機時において車両走行状態の時に、アクセル開度が所定開度以下の領域でのアクセル開度に対する上記開口面積の特性をアクセル開度増加時とアクセル開度減少時とで異ならせ、アクセル開度減少時よりもアクセル開度増加時の方が上記開口面積が大きくなるようにすることも効果的である。このようにすると、アクセル開度減少時に作動されることが多いブレーキ装置のマスターバックに対する負圧の供給が効果的に行なわれる一方、アクセル開度増加時には暖機性能及び出力性能が高められる。
【0015】
このようにする場合に、機械式過給機より上流で絞り弁をバイパスする通路と、この通路の開口面積を調節する制御弁とを設け、触媒未暖機時における車両走行状態でアクセル開度が所定開度以下の領域でのアクセル開度増加時に、上記制御弁を開くことにより吸気通路の開口面積を大きくすることが好ましい。このようにすると、機械式過給機上流の吸気通路の開口面積の調節が容易に行なわれる。
【0016】
また、本発明の装置おいて、触媒未暖機時に、機械式過給機上流の吸気通路を絞り弁によって絞りつつ、機械式過給機上流の吸気通路の開口面積をエンジン回転数が高くなるにつれて増大させるようにすれば、負圧生成作用及び過給作用がエンジン回転数に応じて適正に調整される。つまり、上記開口面積が一定の状態ではエンジン回転数が高くなるほど負圧が大きくなる傾向があることに関連して、必要な負圧が確保されつつ、負圧生成能力に余裕のあるエンジン高回転側で過給作用が高められる。
【0017】
また、機械式過給機より上流に位置する絞り弁とは別に、機械式過給機の下流に絞り弁を設けてもよく、この場合、触媒未暖機時に、機械式過給機上流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積を機械式過給機下流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積よりも小さくすることにより、上記圧力比を大きくして吸気温度を高める作用、及び負圧生成作用が良好に得られる。
【0018】
とくに、触媒未暖機時に、アクセル開度が大きくなるにつれて機械式過給機上流の絞り弁及び機械式過給機下流の絞り弁をともに開方向に作動させ、かつ、機械式過給機上流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積が機械式過給機下流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積よりも小さい状態を維持しつつ上記各絞り弁を作動させるようにすることにより、アクセル開度に応じて吸入空気量が調整されつつ、吸気温度を高める作用及び負圧生成作用が良好に得られる。
【0019】
本発明の装置において燃焼室に供給する混合気の空燃比の制御としては、触媒未暖機時に略理論空燃比もしくはこれより大きい空燃比とすることが好ましく、とくに、上記空燃比を触媒未暖機時に理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とし、触媒暖機時に理論空燃比とすることが好ましい。このようにすると、暖機促進が図られつつ、触媒未暖機時に燃焼室からの排出ガス中のHC、COが少なくなり、触媒が暖機されるとその浄化作用が有効に発揮される。
【0020】
本発明の装置において触媒未暖機中の制御としては、エンジン始動後に触媒暖機状態に至るまでの間で触媒の温度が上昇するに伴い、機械式過給機上流の吸気通路の開口面積を所定値以下の範囲で次第に増大させるようにしてもよい。このようにすれば、触媒温度の上昇につれて上記開口面積が大きくされることで上記圧力比が減少することにより、機械式過給機の信頼性が高められる。
【0021】
上記機械式過給機を駆動状態と停止状態とに切換えるクラッチと、このクラッチの作動を制御する手段とを備える場合に、触媒未暖機時にはエンジンの低回転低負荷域を含む運転領域で、上記クラッチをオン状態に制御することにより機械式過給機を駆動状態とする。
【0022】
このようにクラッチを備える場合の触媒未暖機中の制御としては、エンジン始動直後の未暖機時に上記クラッチをオン状態、過給機バイパス弁を閉状態、機械式過給機上流の絞り弁を閉状態とし、触媒の温度が上昇するに伴い、上記クラッチのオン状態、及び機械式過給機上流の絞り弁の閉状態を維持しつつ、過給機バイパス弁の開度を大きくするようにしてもよい。このようにすれば、触媒温度が上昇するにつれ、暖機促進の要求が小さくなることから、それに応じて過給機バイパス弁の開度が大きくされることにより、過給機下流側と上流側との圧力比が小さくなって、機械式過給機の駆動抵抗が小さくなり、燃費が改善される。
【0023】
本発明の装置において機械式過給機より下流の吸気通路にインタークーラを備える場合は、このインタークーラをバイパスするインタークーラバイパス通路と、このインタークーラバイパス通路を開閉するインタークーラバイパス弁とを設け、触媒未暖機時に上記インタークーラバイパス通路を開くようにしておけば、触媒未暖機時にインタークーラで過給気が冷却されることが避けられる。
【0024】
また、このようにインタークーラを備える場合に、過給機バイパス通路とインタークーラバイパス通路の各下流側部分を共通の通路で構成するとともに、インタークーラバイパス通路のうちの専用通路部分に機械式過給機下流の絞り弁を設けるとともに、インタークーラバイパス弁はインタークーラバイパス通路を開いたときにインタークーラ側の通路を遮断するように構成しておけば、各バイパス通路の通路構成が簡単になり、かつ、上記インタークーラバイパス通路が閉じられる触媒暖機後は機械式過給機下流の絞り弁が吸気流通抵抗となることがない。
【0025】
また、増速ギヤ内蔵の機械式過給機を備える場合に、エンジンのラフネスを検出する手段を設け、アイドル運転状態での触媒未暖機時に上記ラフネスを設定値以下に保つように点火時期リタード量を制御するようにしてもよい。このようにすると、機械式過給機による過給が行なわれる触媒未暖機時でアイドル運転状態にあるときに、エンジン回転数変動が抑制されることにより、機械式過給機の増速ギヤでのバックラッシュによる騒音が低減される。
【0026】
燃焼室内に直接燃料を噴射するインジェクタを備えたエンジンに本発明の装置を適用する場合には、上記のような構成に加え、触媒暖機時に、燃焼室全体としての空燃比を略理論空燃比としつつ上記インジェクタからの燃料噴射を吸気行程と圧縮行程とに分割して行なうようすると、後に詳述するように、触媒の暖機を促進する作用がより一層高められる。
【0027】
また、本発明が適用される機械式過給機付エンジンでは、燃焼室から触媒までの距離が近いと高負荷高回転時等に触媒の温度が上昇し過ぎることが懸念されるので、燃焼室から触媒まである程度の距離をもたせるように、エンジンの排気マニホールドに排気管を介して触媒を接続しておけはよい。このようにした場合でも、触媒未暖機時に、上記のように過給が行なわれつつ絞り弁で過給機上流の吸気通路が絞られること等で排気温度が高められ、比較的短い時間で触媒の暖機が達成される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は本発明が適用される機械式過給機付エンジンの一例を示している。この図において、エンジン本体1は複数の気筒2(例えば図2に示すように4気筒)を有し、各気筒2には、そのシリンダボアに挿入されたピストン3の上方に燃焼室4が形成されており、この燃焼室4に吸気ポート5及び排気ポート6が開口している。上記吸気ポート5及び排気ポート6は、吸気弁7及び排気弁8によってそれぞれ開閉されるようになっている。
【0030】
上記燃焼室4の中央部には点火プラグ9が配設され、そのプラグ先端が燃焼室4内に臨んでいる。点火プラグ9は点火コイル等からなる点火回路10に接続されている。
【0031】
上記エンジン本体1に対し、吸気通路11及び排気通路12が配設されている。上記吸気通路11は、上流側の共通吸気通路13と、その下流に設けられたサージタンク14と、このサージタンク14から気筒別に分岐した独立吸気通路15とを有し、各独立吸気通路15の下流端側が吸気ポート5に連通している。
【0032】
上記共通吸気通路13には機械式過給機20が設けられている。この機械式過給機20は、例えばリショルム型ポンプからなり、エンジン出力軸によりベルト等の伝動機構を介して駆動されるようになっている。上記伝動機構と機械式過給機20の入力軸との間には、機械式過給機20への駆動力の伝達を断続する電磁クラッチ21が設けられている。なお、上記機械式過給機20は増速ギヤ(図示せず)を内蔵し、入力軸の回転が増速ギヤを介してロータ20aに伝えられるようになっている。
【0033】
上記機械式過給機20の上流には、モータ16により駆動されて開閉作動するスロットル弁17(過給機上流側の絞り弁)が設けられるとともに、このスロットル弁17をバイパスするISC通路18が設けられ、このISC通路18にISCバルブ(制御弁)19が設けられている。上記スロットル弁17またはISCバルブ19により、機械式過給機の上流において吸気通路の開口面積を調節する開口面積調節手段が構成される。
【0034】
機械式過給機20の下流には、過給された吸気を冷却するためのインタークーラ22が配置されている。
【0035】
さらに吸気通路11には、過給機バイパス通路23と、インタークーラバイパス通路26とが設けられている。上記過給機バイパス通路23は、少なくとも機械式過給機20をバイパスし、図示の例では機械式過給機20及びインタークーラ22をバイパスするように、一端がスロットル弁17と機械式過給機20との間の吸気通路に接続されるとともに、他端がインタークーラ22の下流の吸気通路に接続されている。この過給機バイパス通路23の途中に過給機バイパス弁(ABV)24が設けられており、この過給機バイパス弁24はモータ25により駆動されるようになっている。
【0036】
上記インタークーラバイパス通路26は、インタークーラ22をバイパスするように、一端が機械式過給機20とインタークーラ22との間の吸気通路に接続されるとともに、他端がインタークーラ22の下流の吸気通路に接続されている。このインタークーラバイパス通路26の途中には、モータ等のアクチュエータ28により駆動されて開閉作動するインタークーラバイパス弁27が設けられている。
【0037】
また、スロットル弁17と機械式過給機20との間の吸気通路には、負圧取出し通路30が接続されている。この負圧取出し通路30は、チェックバルブ31を介し、ブレーキ装置のマスタバックの負圧室32に接続されている。
【0038】
吸気通路11における機械式過給機20より下流には絞り弁33(以下、下流側絞り弁33と呼ぶ)が設けられている。この下流側絞り弁33は、当実施形態では図1及び図2に示すように、サージタンク14の下流の気筒別の各独立吸気通路15に設けられており、各下流側絞り弁33は連動して作動するようにロッド34により連結され、このロッド34を介してモータ等のアクチュエータ35により作動されるようになっている。
【0039】
そして、図2に示す例では、下流側絞り弁33の下流で独立吸気通路15に続く吸気ポート5が2又に分岐し、その分岐した2つのポート下流端が燃焼室に開口し、これらがそれぞれ吸気弁7によって開閉されるようになっている。
【0040】
各下流側絞り弁33は、閉状態のときに、部分的に通路壁との間に隙間を有する状態となることにより、上記隙間を通る気流によって燃焼室内にスワールもしくはタンブルを生成するようになっている。具体的には、図3に示すように、下流側絞り弁30の一部、例えば上部が切欠され、その切欠部分30aにより閉状態のときに通路壁との間に隙間が形成され、この部分を吸気が流通して燃焼室4内に主にタンブルが生成されるようになっている。
【0041】
なお、下流側絞り弁33の構造及び配置は図示の例に限定されず、例えば、気筒別の独立吸気通路をさらに2つの通路に分割し、その一方の通路に下流側絞り弁を設け、この下流側絞り弁が閉じられたときに他方の通路から燃焼室に流入する吸気によってスワールが生成されるようにしたものでもよい。また、気筒別の通路ではなく、機械式過給機20とサージタンク14との間の共通吸気通路13に下流側絞り弁を設けるようにしてもよい。
【0042】
さらに各独立吸気通路15には、吸気ポート下流側に向けて燃料を噴射するインジェクタ35が設けられている。
【0043】
一方、排気通路12は、各気筒の排気ポート6に連通する排気マニホールド37とこの排気マニホールド37の集合部に接続された共通排気通路38とを有しており、その共通排気通路38の途中に排気ガス浄化用の触媒39が設けられている。この触媒39は、排気ガス中のHC、CO、NOx等を浄化するもので、望ましくは、空燃比が理論空燃比よりもリーンな状態にあるリーン運転時でもNOx浄化性能を有するような触媒が用いられる。
【0044】
この触媒39の位置は、暖機促進のためには燃焼室4に近い排気通路上流寄りとする方が有利であるが、機械式過給機付エンジンでは高負荷高回転時に排気温度が上昇し易いので、触媒の過度の温度上昇を避けて信頼性を確保すべく、燃焼室4からある程度離れたエンジン下方もしくは運転室下方に触媒39が配置され、共通排気通路38の一部をなす排気管38aを介して排気マニホールド37に接続されている。
【0045】
また、エンジンの制御に必要な各種検出手段として、吸気通路11のスロットル弁17の上流に配置されて吸入空気量を検出するエアフローセンサ41、排気通路の排気マニホールド集合部に配置されて排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するO2 センサ42、エンジン冷却水の水温を検出する水温センサ43、エンジン回転数を検出する回転数センサ44、変速機のギヤ段を検出するセンサ45、アクセル開度(アクセルペダル踏み込み量)を検出するアクセルセンサ46等が設けられている。
【0046】
上記各センサ41〜46からの信号は制御ユニット(ECU)50に入力されている。そして、上記制御ユニット50から、燃料噴射量を制御する信号がインジェクタ33に出力されるとともに、点火時期を制御する信号が点火回路10に出力され、また機械式過給機20の駆動、停止を制御する信号が電磁クラッチ21に出力され、さらに、過給機バイパス弁24を駆動するモータ25と、インタークーラバイパス弁28のアクチュエータ28と、絞り弁30のアクチュエータ33とに対してもそれぞれ制御信号が出力されている。なお、スロットル弁17のモータ16及びISCバルブ19にも制御ユニット50から制御信号が出力されている。
【0047】
図4は、図1中に示した制御ユニット50の構成を示す機能ブロック図である。この図において制御ユニット50は、暖機判定手段51、点火時期制御手段52、クラッチ制御手段53、ABV制御手段(過給機バイパス弁制御手段)54、I/C(インタークーラ)バイパス弁制御手段55、スロットル弁制御手段56、ISC制御手段57、空燃比制御手段58、及び下流側絞り弁制御手段59を含んでいる。
【0048】
上記暖機判定手段51は、例えば水温センサ43で検出されるエンジン水温によって触媒38の温度状態を推定し、触媒38が未暖機か暖機かを判定するようになっている。
【0049】
上記点火時期制御手段52は、点火時期を運転状態及び温度条件等に応じて制御するもので、触媒未暖機時には点火時期をMBTより所定量リタードさせ、触媒暖機後は運転状態に応じてMBT等の適正点火時期に制御するようになっている。
【0050】
上記クラッチ制御手段53は、電磁クラッチ21のオン、オフを運転状態及び温度条件等に応じて制御し、また、ABV制御手段54は、過給機バイパス弁24を運転状態及び温度条件等に応じて制御するものである。これらの手段53,54により、触媒暖機後の通常運転中は、図5に示す各領域A〜Cにおいて過給状態が次のように制御される。すなわち、所定負荷以下かつ所定回転数以下の低負荷低回転領域Aでは、電磁クラッチ21がオフとされることにより過給機20の駆動が停止されるとともに過給機バイパス弁24が開弁状態とされ、所定負荷以下で所定回転数より高回転の領域Bでは電磁クラッチ21がオンとされることにより過給機駆動状態とされるが過給機バイパス弁24が開弁状態に保たれることにより実質的に過給は行なわれず、所定負荷より高負荷側の領域Cでは電磁クラッチ21がオンとされるとともに過給機バイパス弁24が閉じられることにより過給が行なわれる。
【0051】
一方、触媒未暖機状態にあるときは、上記低負荷低回転領域Aでも電磁クラッチ21がオンとされ、かつ過給機バイパス弁24が全閉もしくは小開度に閉じられることにより、過給が行なわれる。
【0052】
図4中のI/Cバイパス弁制御手段55は、インタークーラバイパス弁27を温度条件等に応じて制御するものであり、触媒未暖機状態にあるときにインタークーラバイパス弁27を閉じ、触媒暖機後の通常運転中はインタークーラバイパス弁27を開くようになっている。
【0053】
スロットル弁制御手段56は、アクセル開度等に応じてスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するが、とくにエンジン低負荷域において触媒未暖機時には、過給機上流の吸気通路を絞るように上記スロットル弁17を所定開度以下に閉じるようになっている。また、上記ISC制御手段57は、運転状態等に応じてISCバルブ19を制御するようになっている。
【0054】
そして、上記スロットル弁制御手段56によるスロットル弁17の制御とISC制御手段57によるISCバルブ19の制御とにより過給機上流側吸気通路の開口面積がコントロールされる。とくに、アクセルオフ状態(アクセル開度が0の状態)での過給機上流側の吸気通路の開口面積が、触媒未暖機時において車両停止状態にある場合に車両走行状態にある場合よりも大きくされる。さらに、触媒未暖機時において車両走行状態のときに、後述の図8のようにアクセル開度が所定開度以下の領域でのアクセル開度に対する上記開口面積の特性がアクセル開度増加時とアクセル開度減少時とで異なるように設定される。また、後述の図9のようにエンジン回転数によっても触媒未暖機時の上記開口面積が変化するようになっている。
【0055】
空燃比制御手段58は、燃焼室4に供給する混合気の空燃比を運転状態及び温度条件等に応じて設定し、その設定空燃比に応じてインジェクタ36からの燃料噴射量等を制御するものであり、上記空燃比を触媒未暖機時に略理論空燃比もしくはこれより大きい空燃比に制御する。とくに当実施形態では触媒暖機促進を図りつつHC、COを低減するために好ましい制御として、エンジン始動直後の触媒未暖機時に理論空燃比よりも大きくて18以下のリーン空燃比とし、触媒温度の上昇に伴って理論空燃比に変化させるようにしている。
【0056】
下流側絞り弁制御手段59は、下流側絞り弁35を運転状態及び温度条件等に応じて制御するものであり、少なくとも触媒未暖機時に上記低負荷低回転領域Aで上記下流側絞り弁35を小開度にして独立吸気通路15を絞る状態とするようになっている。
【0057】
以上のような当実施形態の装置の作用を、図6を参照しつつ次に説明する。
【0058】
エンジン始動直後における触媒未暖機時には、上記低負荷低回転域Aでも電磁クラッチ21がオンとされることにより機械式過給機20が駆動されるとともに、過給機バイパス弁24が全閉もしくは小開度に閉じられる。また、上記スロットル弁17は、触媒未暖機時におけるアイドリング等の低負荷状態のときに、機械式過給機20の上流で吸気通路を絞るように、全閉もしくは小開度に閉じられる。そして、点火時期はMBTよりリタードされる。
【0059】
このような状態では、機械式過給機20により過給が行なわれることで吸入空気量が増加され、かつ、過給機上流側圧力が低く、過給機下流側圧力が高くなり、過給機下流側圧力と過給機上流側圧力との比である圧力比が大きくなることにより、過給機下流の吸気温度が上昇する。このとき、インタークーラバイパス弁27は開かれ、過給気はインタークーラバイパス通路26を通ってエンジン本体1に送られて、インタークーラ22による過給気の冷却が避けられるので、過給により温度上昇した吸気が燃焼室4に送られる。
【0060】
従って、過給による吸入空気量の増加及び吸気温度上昇により燃焼安定性が高められて、点火時期を十分に大きくリタードすることができ、この点火時期のリタードによって排気温度が上昇する。さらに吸気温度上昇自体も排気温度の上昇をもたらす。これらの作用で触媒が暖機が促進される。
【0061】
しかも、スロットル弁17により機械式過給機20の上流の吸気通路が絞られることにより、機械式過給機20の作動に伴ってスロットル弁17と機械式過給機20との間の吸気通路の圧力が低下し、充分な負圧が得られる。この負圧は負圧取出し通路30によりチェックバルブ31を介してマスターバックの負圧室32に導かれ、ブレーキ装置の作動に応じて消費される。
【0062】
そして、機械式過給機20の上流の吸気通路が絞られても、過給機バイパス弁24が閉じられた状態で機械式過給機20の駆動により過給が行なわれることにより、過給機バイパス弁24が開かれる温間アイドル時等と比べると吸入空気量が増加するとともに、吸気温度が上昇する。とくに、過給機上流側の圧力が低下することから、過給機下流側の圧力が極端に高くならなくても上記圧力比は十分に大きくなり、機械式過給機20のシール部分等の信頼性が確保されつつ容易に圧力比が大きくされ、吸気温度を上昇させる作用が十分に得られる。
【0063】
つまり、機械式過給機20の上流の吸気通路が絞られた状態で機械式過給機20が駆動され、かつ過給機バイパス弁24が閉じられることにより、機械式過給機20が吸入空気量増加及び吸気温度上昇をもたらす過給機能と、負圧生成のためのバキュームポンプとしての機能とを発揮し、暖機促進と負圧生成とが両立されることとなる。
【0064】
また、空燃比は触媒未暖機時に略理論空燃比もしくはそれ以上とされ、とくに好ましくはエンジン始動直後の触媒未暖機時に理論空燃比よりも大きくて18以下のリーン空燃比とされ、触媒温度の上昇に伴って理論空燃比に移行するように制御される。このような空燃比制御により、触媒の暖機が促進されるとともに、触媒未暖機時のエミッションが改善される。
【0065】
この作用を、図7を参照しつつ説明する。図7は、燃焼室内の燃焼温度と、燃焼室から排出された排気ガス(触媒で浄化される前の排気ガス)に含まれるHC、CO及びNOxの量を、それぞれ、始動直後のエンジンの冷間時(破線)と暖機時(実線)とについて示したものである。
【0066】
この図のように、暖機時と比べて冷間時は燃焼温度が低いためNOxは少ないがHC、COは多くなる傾向があり、また空燃比との関係では理論空燃比付近よりリッチ側でリッチになるにつれてHC、COが増大する傾向がある。そして、従来の一般的エンジンでは、始動直後の冷間時に燃料の気化、霧化が悪いことを見込んで空燃比をかなりリッチ(例えば13程度もしくはそれよりリッチ)に設定することにより燃焼安定性の確保を図っているが、このようにすると図7から明らかなようにHC、COが増大し、しかも、余剰燃料の気化潜熱で排気温度の上昇が妨げられ、触媒暖機性能も悪くなる。
【0067】
これに対し、当実施形態のエンジンでは、始動直後の触媒未暖機状態の冷間時に、過給による吸入空気量の増加及び燃焼温度の上昇により燃焼性が高められることから、始動直後の空燃比を従来よりリーンな14.0以上にしても燃焼安定性が確保され、これによりHC、COが低減されるとともに、燃焼温度が高められて暖機促進に有利となる。とくに、理論空燃比よりもリーンで18までの範囲に設定すれば、HC、COが充分に少なくなり、かつ、燃焼温度がピークに近いため暖機が促進される。そして、触媒温度が低い間は理論空燃比よりもリーンとされるが、触媒温度が次第に上昇すると理論空燃比に移行されることにより、触媒による浄化作用でHC、CO及びNOxが低減される。
【0068】
ところで、過給機上流の吸気通路の開口面積は、触媒未暖機時に、アクセル開度やエンジン回転数に応じて変えられ、かつ、車両停止状態にある場合と車両走行状態にある場合とでアクセルオフ状態での上記開口面積が変えられる。このような過給機上流側の吸気通路開口面積の調節はスロットル弁17とISCバルブ19とで行なわれ、とくにアクセルオフ状態やアクセル開度が小さい領域での上記開口面積の調節はISCバルブ19によって行なわれる。このようなスロットル弁17とISCバルブ19の制御による開口面積の調節を、図6と図8及び図9によって具体的に説明する。
【0069】
触媒未暖機時において、アクセルオフで車両停止状態にあるときは、図6中に実線で示すようにスロットル弁17が閉じられるとともにISCバルブ31が全閉より所定開度だけ開いた状態とされる。これにより、後述のようにISCバルブ31が閉じられるアクセルオフでの車両走行状態のときと比べると過給機上流の吸気通路開口面積が大きくなり、過給により暖機促進を図るべくある程度の吸気流通面積が確保される。
【0070】
この状態から車両走行状態に移行してアクセル開度が大きくなると、それに応じたスロットル開度の調節等により上記吸気通路開口面積が調節され(図6中の一点鎖線)、この場合のアクセル開度に対する吸気通路開口面積の特性は図8のようになる。同図において、実線は触媒未暖機状態におけるアクセル開度増加時の特性、破線は触媒未暖機状態におけるアクセル開度減少時の特性(所定アクセル開度AC1以上では実線の特性と一致)であり、このように、所定アクセル開度AC1以下の領域では、アクセル開度増加時の方がアクセル開度減少時よりも吸気通路開口面積が大きくされる。
【0071】
具体的には、触媒未暖機状態におけるアクセル開度増加時に、所定アクセル開度AC1までは、ISCバルブ31が所定開度に開かれた状態が保たれることにより吸気通路開口面積が一定に保たれ、所定アクセル開度AC1を越えるとアクセル開度の増加に応じてスロットル弁17が開かれることにより吸気通路開口面積が要求負荷に見合うように大きくされる。一方、触媒未暖機状態におけるアクセル開度減少時には、アクセル開度の減少に応じてスロットル弁17が閉じられ、さらに所定アクセル開度AC1以下になるとそれに応じてISCバルブ31が閉じられることにより吸気通路開口面積が小さくされる。
【0072】
従って、走行中にアクセルオフとされる全閉減速となったときには、図6中に一点鎖線で示すように、アクセルオフ状態での停車中よりもISCバルブ31の開度が小さくなることにより吸気通路開口面積が小さくされる。このため、機械式過給機20の上流側に大きな吸気負圧が生成され、走行中のアクセルオフ状態で作動されることが多いブレーキ装置のマスターバックに対する負圧の供給が効果的に行なわれる。
【0073】
一方、車両停車中やアクセル開度増加時には、ブレーキ装置が作動されることが殆どなくて負圧生成能力が低下しても差し支えないので、走行中のアクセルオフ時と比べ吸気通路開口面積が大きくされ、これにより吸入空気量が確保されて触媒の暖機促進に有利となるとともに、上記圧力比が大きくなる過ぎることが避けられて信頼性の確保に有利となる。
【0074】
さらに、触媒未暖機時において上記吸気通路開口面積はエンジン回転数によっても変えられ、図9に示すように、エンジン回転数が高くなるにつれて吸気通路開口面積が大きくされる。このようにしているのは、本来的にエンジン回転数が高いほどスロットル弁下流で負圧が生成され易くなることから、負圧生成能力に余裕のある高回転側では、その分だけ吸気通路開口面積を大きくすることにより、吸入空気量を増加して暖機促進作用を高めるようにするためである。
【0075】
また、当実施形態では、触媒未暖機時に上記のようなスロットル弁17及びISCバルブ31の制御に加え、下流側絞り弁33が適度に絞られ、これにより、機械式過給機20と下流側絞り弁33との間の吸気通路内の圧力が高められて上記圧力比がより大きくなることにより、吸気温度がさらに高められる。とくに気筒別の独立吸気通路15に下流側絞り弁33が設けられていると、スワールやタンブルを生成する作用も得られ、燃焼性向上に一層有利となる。
【0076】
この場合、アクセル開度に応じて吸入空気量を調節すべく、アクセル開度が大きくなるにつれてスロットル弁7及び下流側絞り弁33が開方向に作動されるが、下流側絞り弁33により絞られる過給機下流側の吸気通路(独立吸気通路)の開口面積は図8中に一点鎖線で示すようになり、過給機上流側の吸気通路開口面積が過給機下流側の吸気通路開口面積よりも小さくなる関係が維持されつつ、これらの開口面積がアクセル開度に応じて変えられる。
【0077】
これにより、過給機上流側の吸気通路を絞ることによる作用が主に効いて、過給機上流側の圧力が低下した状態で上記圧力比が高められることにより、信頼性を確保しつつ吸気温度を高める作用、及び負圧生成作用が有効に得られる。
【0078】
なお、アイドル運転状態におけるエンジン回転数は触媒未暖機時に触媒暖機時より高くなるように点火時期のリタード量等が制御され、これにより、機械式過給機20の駆動による騒音増大が抑制される。つまり、当実施形態の装置によると触媒未暖機時にはアイドル運転状態でも機械式過給機20が駆動され、アイドル運転時に回転数変動が機械式過給機20に伝わると機械式過給機20の増速ギヤ等のバックラッシュにより騒音を生じる。これに対し、機械式過給機20が駆動される触媒未暖機時にアイドル回転数を高くしておけば回転数変動が抑制されて上記騒音が低減される。
【0079】
また、触媒暖機状態となった後は、図6中に示すように、低回転低負荷領域Aであれば電磁クラッチ21がオフとされるとともに過給機バイパス弁24が開かれることにより過給が停止され、高負荷領域Cに移行すれば同図中の二点鎖線のように電磁クラッチ21がオンとされるとともに過給機バイパス弁24が閉じられる。そして、触媒暖機状態において過給が行なわれるときには、インタークーラバイパス弁27が閉じられることにより、過給気がインタークーラ22で冷却される。
【0080】
本発明の制御装置による制御の具体例及びエンジンの構造等は上記実施形態のものに限定されず、種々変更可能であり、図10〜図14に基づいて変更例を以下に説明する。
【0081】
図10に示す例では、触媒未暖機状態でも触媒温度の変化に応じて過給機上流側の吸気通路開口面積が変更されるようにしている。
【0082】
すなわち、触媒未暖機時に、電磁クラッチ21がオンとされ、かつ過給機バイパス弁24が閉じられることにより、機械式過給機20による過給が行なわれるとともに、点火時期のリタードが行なわれることは前述の図6の例と同様(図10では図示省略)であるが、過給機上流側の吸気通路開口面積はエンジン始動直後で触媒温度が低いときに最も小さくされ、その後、時間経過に伴う触媒温度の上昇につれて次第に増大するように、スロットル弁17もしくはISCバルブ31が制御される。ただし、触媒が暖機するまでの触媒温度の上昇に応じた上記吸気通路開口面積の増大は、スロットル全開時の開口面積と比べて十分に小さい所定値以下の範囲で行なわれる。そして、触媒暖機状態に達すれば、暖機後の運転状態に応じた開口面積に変更される。
【0083】
この例によると、触媒未暖機状態でも触媒温度がある程度上昇すれば過給機上流側の吸気通路開口面積が大きくされることにより、過給機下流側と上流側との圧力比が減少し、機械式過給機20の信頼性が高められる。また、過給機上流側の吸気通路開口面積の増大は上記所定値以下の範囲で行なわれることにより、負圧生成作用は維持される。
【0084】
また、図11に示す例では、触媒未暖機状態において、エンジン始動直後は電磁クラッチ21がオン状態、過給機バイパス弁24が閉状態、スロットル弁17が閉状態とされ、その後、時間経過に伴う触媒温度の上昇につれ、電磁クラッチ21のオン状態及びスロットル弁17の閉状態が維持されつつ、過給機バイパス弁24の開度が次第に大きくされるようになっている。
【0085】
この例によると、触媒未暖機状態でも触媒温度がある程度上昇すると、暖機促進の要求が小さくなることから、それに応じて過給機バイパス弁24の開度が大きくされ、これにより過給機下流側と上流側との圧力比が小さくなって、機械式過給機20の駆動抵抗が小さくなるので、燃費が改善される。なお、アイドル等の低負荷域で暖機状態に達すれば、過給機バイパス弁24が全開されるとともに、電磁クラッチ21がオフとされて機械式過給機20の作動が停止される。あるいは、機械式過給機20の作動、停止の切換頻度を少なくするため、図11中の二点鎖線のように電磁クラッチ21をオン状態に保つようにしてもよい。
【0086】
図12は過給機バイパス通路及びインタークーラバイパス通路等の構造の別の実施形態を示しており、図1と同等の部分は同一符号を付している。
【0087】
この図に示す例でも、吸気通路にスロットル弁17、ISC通路18、負圧取出し通路30、機械式過給機20及びインタークーラ22等が配設されるとともに、過給機バイパス通路61及びインタークーラバイパス通路62が設けられているが、過給機バイパス通路61とインタークーラバイパス通路62の各下流側部分が共通の通路63で構成されている。
【0088】
すなわち、過給機バイパス通路61は上流側が専用通路部分61aとされて、その上流端が過給機上流の吸気通路に接続され、またインタークーラバイパス通路62も上流側が専用通路部分62aとされて、その上流端が機械式過給機20とインタークーラ22との間の吸気通路に接続されており、各専用通路部分61a,62aは下流側で合流し、その合流部より下流側が両バイパス通路61,62に共通の通路63となっている。この共通の通路63の下流端はインタークーラ22の下流に接続されている。上記過給機バイパス通路61の専用通路部分61aには、過給機バイパス弁24が設けられている。
【0089】
また、インタークーラバイパス通路62の専用通路部分62aの上流端が吸気通路に接続される箇所にインタークーラバイパス弁64が設けられるとともに、専用通路部分62aの途中に下流側絞り弁66が設けられている。上記インタークーラバイパス弁64は、アクチュエータ65により作動されインタークーラバイパス通路62を開閉し、かつ、インタークーラバイパス通路62を開いたときはインタークーラ側の吸気通路を遮断し(図示の状態)、インタークーラバイパス通路62を閉じたときはインタークーラ側の吸気通路を完全開放するように構成されている。
【0090】
また、上記下流側絞り弁66は、アクチュエータ67により作動されて開度が変化することにより、専用通路部分62aの開口面積を調節するようになっている。
【0091】
この実施形態によると、過給機バイパス通路61とインタークーラバイパス通路62の各下流側部分が共通の通路63で構成されていることにより、各バイパス通路が個別に形成されるような場合と比べ、通路構造が簡単でコンパクトになる。また、インタークーラバイパス通路62の専用通路部分62aに下流側絞り弁66が設けられていることにより、触媒未暖機時にインタークーラバイパス弁64によってインタークーラバイパス通路62が開かれたときには、上記下流側絞り弁66が、過給機下流側の吸気流通経路となるインタークーラバイパス通路62の専用通路部分62aに位置するため、過給機下流側の吸気通路を絞る作用を果たす。
【0092】
一方、触媒暖機後等にインタークーラバイパス弁64によってインタークーラバイパス通路62が閉じられたときには、下流側絞り弁66が流通抵抗となることがない。すなわち、図1に示す実施形態のように単に過給機下流側の吸気通路に下流側絞り弁が配置されていると、これを絞る必要がないとき、下流側絞り弁が全開されても多少は吸気抵抗となるが、当実施形態によると、インタークーラバイパス弁64によってインタークーラバイパス通路62が閉じられたときに吸気が流通しない専用通路部分62aに下流側絞り弁66が設けられているので、このときに下流側絞り弁66が吸気流通抵抗となることがない。
【0093】
図13は触媒未暖機時におけるアイドル運転時にエンジン回転数変動を抑制して騒音を低減するための手段の他の例を示し、この例では、触媒未暖機時におけるアイドル運転時に騒音低減のためラフネス制御を行うようにしている。
【0094】
すなわち、本発明では、前述のように触媒未暖機時にはアイドル運転時でも機械式過給機20が駆動されて過給が行われるので、このときにエンジン回転数変動を生じると機械式過給機20の増速ギヤ等のバックラッシュにより騒音が生じ易くなり、これに対し、前述のように触媒未暖機時にアイドル回転数を高くすることが考えられるが、図13に示す例ではさらに、アイドル運転時にエンジン回転数センサ44の出力に基づいてその回転数変動(ラフネス)を検出するラフネス検出手段71が設けられている。
【0095】
そして、暖機判定手段51による判定及びラフネス検出手段71による検出に応じて点火時期制御手段52により、触媒未暖機時におけるアイドル運転時に、ラフネスが設定値以上に大きくなると点火時期リタード量を小さくすることでエンジン回転数を高め、ラフネスを抑制するように制御している。なお、クラッチ制御手段、ABV制御手段、I/Cバイパス弁手段、スロットル弁制御手段、ISC制御手段、空燃比制御手段及び下流側絞り弁制御手段等は図4に示す例と同様であるので、図13においては図示を省略する。
【0096】
また、図1及び図2に示すエンジンにおいて、インジェクタ36は各気筒の吸気ポート近傍の独立吸気通路15に設けられているが、図1に二点鎖線で示すように燃焼室4に臨むようにインジェクタ36´を設け、このインジェクタ36´から直接燃焼室内に燃料を噴射するようにした筒内噴射式エンジンに本発明の制御装置を適用することもできる。
【0097】
この場合、上述のような過給機20、スロットル弁17、点火時期等の制御に加え、インジェクタ36´からの燃料噴射の制御として、触媒未暖機時に、燃焼室全体の空燃比は略理論空燃比としつつ、図14に示すように燃料噴射(噴射パルス)を吸気行程と圧縮行程とに分割して行なうようにすることが好ましい。
【0098】
このようにすると、触媒未暖機時に、点火プラグ付近が比較的リッチな混合気、その周囲が比較的リーンな混合気とされた状態で燃焼が行なわれる。このような燃焼により排気温度が高められることは、当発明者が実験的に確認している。その理由として次のようなことが推定される。
【0099】
すなわち、上記のような混合気分布状態で着火が行なわれると、点火プラグ付近のリッチ混合気層から周囲のリーン混合気層へ燃焼が広がり、その過程でリッチ混合気層の余剰燃料がリーン混合気層の酸素を奪いつつ燃焼し、その燃焼が比較的遅い時期まで持続して所謂後燃え状態になる等の現象により、排気温度が上昇するものと推測される。
【0100】
そして、触媒未暖機時には、このような分割噴射による作用と、点火時期をリタードさせるとともに過給を行ないつつスロットル弁17を絞ることによる吸気温度上昇、燃焼性向上等の作用が相乗的に得られることにより、大幅に暖機が促進されることとなる。
【0101】
【発明の効果】
以上のように本発明は、過給機バイパス通路を開閉する過給機バイパス弁と、機械式過給機より上流に位置する絞り弁とを設け、この絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路に負圧取出し通路を接続するとともに、エンジン低負荷時において触媒未暖機時に上記過給機バイパス弁を全閉もしくは小開度に閉じ、かつ上記絞り弁を閉じて機械式過給機上流の吸気通路を絞るようにしているため、触媒未暖機時に、過給により吸入空気量が増加され、かつ、過給機下流側圧力と過給機上流側圧力との比である圧力比が大きくなることにより過給機下流の吸気温度が上昇し、燃焼安定性が高められて点火時期リタード量を大きくすることができる。これらの作用により、触媒の暖機が促進される。しかも、上記絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路の圧力が低下し、ブレーキ装置のマスターバックに供給するための充分な負圧を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される機械式過給機付エンジンの一例を示す全体概略図である。
【図2】エンジン本体及び吸・排気系の一部を示す概略平面図である。
【図3】各独立吸気通路に設けられる絞り弁の拡大図である。
【図4】制御ユニットの機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図5】機械式過給機の制御のための領域設定を示す説明図である。
【図6】図4に示す制御ユニットにより制御される制御対象の動作を示すタイムチャートである。
【図7】空燃比と燃焼温度及び排気ガス中のHC、CO、NOxとの関係を暖機時と冷間時とについて示すグラフである。
【図8】アクセル開度と過給機上流側の吸気通路開口面積との関係を示すグラフである。
【図9】エンジン回転数と過給機上流側の吸気通路開口面積との関係を示すグラフである。
【図10】制御動作の別の例を示すタイムチャートである。
【図11】制御動作のさらに別の例を示すタイムチャートである。
【図12】過給機バイパス通路及びインタークーラバイパス通路等の構造の別の例を示す概略平面図である。
【図13】点火時期制御手段による制御の別の例を示すブロック図である。
【図14】本発明の制御装置を筒内噴射式エンジンに適用した場合における触媒未暖機時の燃料噴射の制御の例を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
11 吸気通路
12 排気通路
17 スロットル弁
18 ISC通路
19 ISCバルブ
20 機械式過給機
21 電磁クラッチ
23 過給機バイパス通路
24 過給機バイパス弁
26 インタークーラバイパス通路
27 インタークーラバイパス弁
33 下流側絞り弁
36 インジェクタ
39 触媒
50 制御ユニット
51 暖機判定手段
52 点火時期制御手段
53 クラッチ制御手段
54 ABV制御手段
55 I/Cバイパス弁制御手段
56 スロットル弁制御手段
57 ISC制御手段
58 空燃比制御手段
59 下流側絞り弁制御手段
Claims (17)
- 吸気通路に生成される負圧をマスターバックの負圧室に導くように負圧取出し通路を設ける一方、排気通路に排気ガス浄化用の触媒を設け、この触媒が未暖機状態のときに吸入空気量を増大させ、かつ点火タイミングを所定量リタードさせるようになっているエンジンにおいて、吸気通路に、エンジンで駆動されて吸気を過給する機械式過給機と、この機械式過給機をバイパスする過給機バイパス通路と、この過給機バイパス通路を開閉する過給機バイパス弁と、上記機械式過給機より上流に位置する絞り弁とを設け、この絞り弁と機械式過給機との間の吸気通路に上記負圧取出し通路を接続するとともに、エンジン低負荷時において触媒未暖機時に上記過給機バイパス弁を全閉もしくは小開度に閉じ、かつ機械式過給機上流の吸気通路を絞るように上記絞り弁を閉じ、触媒暖機後に上記過給機バイパス弁を開くように制御する制御手段を設けたことを特徴とする機械式過給機付エンジンの制御装置。
- アクセルオフ状態での機械式過給機上流の吸気通路の開口面積を、触媒未暖機状態において車両停止状態にある場合に車両走行状態にある場合よりも大きくすることを特徴とする請求項1記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 機械式過給機上流の吸気通路の開口面積をアクセル開度に応じて変化させるようにするとともに、触媒未暖機時において車両走行状態の時に、アクセル開度が所定開度以下の領域でのアクセル開度に対する上記開口面積の特性をアクセル開度増加時とアクセル開度減少時とで異ならせ、アクセル開度減少時よりもアクセル開度増加時の方が上記開口面積が大きくなるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 機械式過給機より上流で絞り弁をバイパスする通路と、この通路の開口面積を調節する制御弁とを設け、触媒未暖機時における車両走行状態でアクセル開度が所定開度以下の領域でのアクセル開度増加時に、上記制御弁を開くことにより吸気通路の開口面積を大きくすることを特徴とする請求項3記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 触媒未暖機時に、機械式過給機上流の吸気通路を絞り弁によって絞りつつ、機械式過給機上流の吸気通路の開口面積をエンジン回転数が高くなるにつれて増大させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 機械式過給機より上流に位置する絞り弁とは別に、機械式過給機の下流に絞り弁を設け、触媒未暖機時に、機械式過給機上流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積を機械式過給機下流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積よりも小さくしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 触媒未暖機時に、アクセル開度が大きくなるにつれて機械式過給機上流の絞り弁及び機械式過給機下流の絞り弁をともに開方向に作動させ、かつ、機械式過給機上流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積が機械式過給機下流の絞り弁で絞られる吸気通路開口面積よりも小さい状態を維持しつつ上記各絞り弁を作動させることを特徴とする請求項6記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 燃焼室に供給する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段を備え、上記空燃比を触媒未暖機時に略理論空燃比もしくはこれより大きい空燃比とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 上記空燃比を触媒未暖機時に理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とし、触媒暖機時に理論空燃比とすることを特徴とする請求項8記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- エンジン始動後に触媒暖機状態に至るまでの間で触媒の温度が上昇するに伴い、機械式過給機上流の吸気通路の開口面積を所定値以下の範囲で次第に増大させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 機械式過給機を駆動状態と停止状態とに切換えるクラッチと、このクラッチの作動を制御する手段とを備え、触媒未暖機時にはエンジンの低回転低負荷域を含む運転領域で上記クラッチをオン状態に制御するようにしたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- エンジン始動直後の未暖機時に上記クラッチをオン状態、過給機バイパス弁を閉状態、機械式過給機上流の絞り弁を閉状態とし、触媒の温度が上昇するに伴い、上記クラッチのオン状態、及び機械式過給機上流の絞り弁の閉状態を維持しつつ、過給機バイパス弁の開度を大きくすることを特徴とする請求項11記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 機械式過給機より下流の吸気通路に、インタークーラと、このインタークーラをバイパスするインタークーラバイパス通路と、このインタークーラバイパス通路を開閉するインタークーラバイパス弁とを設け、触媒未暖機時に上記インタークーラバイパス通路を開くようにしたことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 過給機バイパス通路とインタークーラバイパス通路の各下流側部分を共通の通路で構成するとともに、インタークーラバイパス通路のうちの専用通路部分に機械式過給機下流の絞り弁を設けるとともに、インタークーラバイパス弁はインタークーラバイパス通路を開いたときにインタークーラ側の通路を遮断するように構成したことを特徴とする請求項13記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 増速ギヤ内蔵の機械式過給機を備えるものにおいて、エンジンのラフネスを検出する手段を設け、アイドル運転状態での触媒未暖機時に上記ラフネスを設定値以下に保つように点火時期リタード量を制御することを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- 燃焼室内に直接燃料を噴射するインジェクタを備え、触媒暖機時に、燃焼室全体としての空燃比を略理論空燃比としつつ上記インジェクタからの燃料噴射を吸気行程と圧縮行程とに分割して行なうようにしたことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
- エンジンの排気マニホールドに排気管を介して触媒を接続したことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の機械式過給機付エンジンの制御装置。
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