以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る制御装置により制御される過給機付エンジン1(以下、単にエンジン1という)の構成を示す。エンジン1は、燃焼室17が吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程を繰り返すことにより運転する4ストロークエンジンである。エンジン1は、四輪の車両(ここでは、自動車)に搭載される。エンジン1(詳細には、後述のエンジン本体10)の運転によって、車両は走行する。エンジン1の燃料は、本実施形態では、ガソリンを主成分とする液体燃料である。すなわち、エンジン1はガソリンエンジンである。
(エンジンの構成)
エンジン1は、シリンダブロック12とその上に載置されるシリンダヘッド13とを有しかつ上記車両のエンジンルーム内に配設されたエンジン本体10を備えている。エンジン本体10のシリンダブロック12の内部には、複数の気筒11(図1では、一つの気筒11のみを示す)が形成されている。複数の気筒11は、図1の紙面に垂直な方向に一列に並んでいる。すなわち、エンジン1は、直列多気筒エンジンである。
各気筒11内には、ピストン3が摺動自在に内挿されている。ピストン3は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト15に連結されている。ピストン3は、気筒11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画する。尚、「燃焼室」は、ピストン3が圧縮上死点に至ったときの空間の意味に限定されない。「燃焼室」の語は広義で用いる場合がある。つまり、「燃焼室」は、ピストン3の位置に関わらず、ピストン3、気筒11及びシリンダヘッド13によって形成される空間を意味する場合がある。
シリンダブロック12における各気筒11の周囲には、ウォータジャケット12aが設けられている。ウォータジャケット12aには、エンジン本体10を冷却するエンジン冷却液が流通している。詳細な図示は省略するが、エンジン冷却液は、ウォータジャケット12aを通った後、シリンダヘッド13内に設けられたウォータジャケットを通って、エンジン本体10の外部に流出する。
シリンダヘッド13には、気筒11毎に、吸気ポート18が形成されている。吸気ポート18は、燃焼室17に連通している。吸気ポート18には、吸気弁21が配設されている。吸気弁21は、燃焼室17と吸気ポート18との間を開閉する。吸気弁21は、動弁機構によって、所定のタイミングで開閉する。動弁機構は、バルブタイミング及び/又はバルブリフトを可変にする可変動弁機構とすればよい。本実施形態では、可変動弁機構は、吸気電動S−VT(Sequential-Valve Timing)23(図4参照)を有している。吸気電動S−VT23は、吸気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更するよう構成されている。それによって、吸気弁21の開時期及び閉時期は、連続的に変化する。尚、吸気動弁機構は、電動S−VTに代えて、油圧式のS−VTを有していてもよい。
シリンダヘッド13には、気筒11毎に、排気ポート19が形成されている。排気ポート19は、燃焼室17に連通している。排気ポート19には、排気弁22が配設されている。排気弁22は、燃焼室17と排気ポート19との間を開閉する。排気弁22は動弁機構によって、所定のタイミングで開閉する。この動弁機構は、バルブタイミング及び/又はバルブリフトを可変にする可変動弁機構とすればよい。本実施形態では、可変動弁機構は、排気電動S−VT24(図4参照)を有している。排気電動S−VT24は、排気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更するよう構成されている。それによって、排気弁22の開時期及び閉時期は、連続的に変化する。尚、排気動弁機構は、電動S−VTに代えて、油圧式のS−VTを有していてもよい。
シリンダヘッド13には、気筒11毎に、気筒11内に燃料を直接噴射するインジェクタ6が取り付けられている。インジェクタ6は、その噴口が燃焼室17の天井面の中央部分(厳密には、中央よりも僅かに排気側の部分)から、その燃焼室17内に臨むように配設されている。インジェクタ6は、エンジン本体10の運転状態に応じた量の燃料を、エンジン本体10の運転状態に応じて設定された噴射タイミングで燃焼室17内に直接噴射する。
シリンダヘッド13には、気筒11毎に、点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25は、燃焼室17の中の混合気に強制的に点火をする。点火プラグ25は、本実施形態では、吸気側に配設されている。点火プラグ25の電極は、燃焼室17の中に臨んでかつ、燃焼室17の天井面の付近に位置している。尚、点火プラグ25は、排気側に配置されていてもよい。また、点火プラグ25を気筒11の中心軸上に配置する一方、インジェクタ6を、気筒11の中心軸よりも吸気側又は排気側に配設してよい。
本実施形態において、エンジン本体10の幾何学的圧縮比は、13以上30以下に設定されている。後述するように、エンジン本体10の暖機後の全運転領域において、エンジン本体10の燃焼モードが、燃焼室17内において火花点火による混合気の火炎伝播燃焼の途上で未燃混合気を一気に自着火させる圧縮着火燃焼モードとされる。すなわち、エンジン本体10は、燃料と吸気との混合気を点火プラグ25により火花点火させてSI(Spark Ignition)燃焼を行わせ、そのSI燃焼の発熱により燃焼室17内の温度が高くなることによって未燃混合気を自着火させてCI(Compression Ignition)燃焼させるSPCCI(Spark Controlled Compression Ignition)燃焼を行う。SPCCI燃焼では、SI燃焼による発熱と圧力上昇とを利用して、CI燃焼の開始タイミングをコントロールする。尚、エンジン本体10の幾何学的圧縮比は、レギュラー仕様(燃料のオクタン価が91程度)においては、14〜17とし、ハイオク仕様(燃料のオクタン価が96程度)においては、15〜18としてもよい。
エンジン本体10の一側の側面には吸気通路40が接続されている。吸気通路40は、各気筒11の吸気ポート18に連通している。吸気通路40は、燃焼室17に導入する吸気が流れる通路である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る吸気通路40は、外気温と同じ温度の新気を取り入れる第1空気取入部141と、外気温よりも高い温度の新気を取り入れる第2空気取入部142とを有する。各空気取入部141,142の構成については後述する。
吸気通路40における両空気取入部141,142の直下流側の部分には、新気を濾過するエアクリーナー41が配設されている。吸気通路40の下流端近傍には、サージタンク42が配設されている。サージタンク42よりも下流側の吸気通路40は、気筒11毎に分岐する独立通路を構成している。各独立通路の下流端が、各気筒11の吸気ポート18にそれぞれ接続されている。
吸気通路40におけるエアクリーナー41とサージタンク42との間には、スロットル弁43が配設されている。スロットル弁43は、弁の開度を調整することによって、燃焼室17の中への新気の導入量を調整するよう構成されている。
吸気通路40には、スロットル弁43の下流側に、機械式過給機44(以下、単に過給機44という)のコンプレッサが配設された過給側通路40aが設けられている。過給機44は、燃焼室17に導入する吸気を過給するよう構成されている。本実施形態において、過給機44は、エンジン本体10(エンジン本体10の出力軸であるクランクシャフト15)によって駆動される過給機である。過給機44は、例えばリショルム式としてもよい。過給機44の構成は特に限定されない。過給機44は、ルーツ式、ベーン式、又は遠心式であってもよい。
過給機44とエンジン本体10(クランクシャフト15)との間には、電磁クラッチ45が介設されている。電磁クラッチ45は、過給機44とエンジン本体10との間で、エンジン本体10から過給機44へ駆動力を伝達したり、該駆動力の伝達を遮断したりする。後述するように、ECU100が電磁クラッチ45の遮断及び接続を切り換えることによって、過給機44は駆動状態と非駆動状態とに切り換えられる。つまり、電磁クラッチ45は、過給機44の駆動状態と非駆動状態とを切り換えるクラッチである。
過給側通路40aにおける過給機44の直下流側には、インタークーラー46が配設されている。インタークーラー46は、過給機44において圧縮された吸気を冷却するよう構成されている。本実施形態において、インタークーラー46はインタークーラー冷却液により冷却される。詳しくは後述するが、インタークーラー冷却液は、上記エンジン冷却液とは別の冷却液である。
吸気通路40には、バイパス通路47が接続されている。バイパス通路47は、過給機44及びインタークーラー46をバイパスするよう、吸気通路40(過給側通路40a)における過給機44の上流側の部分とインタークーラー46の下流側の部分とを接続する。バイパス通路47には、該バイパス通路47を開閉するエアバイパス弁48が配設されている。本実施形態において、エアバイパス弁48はオン/オフ式の弁である。
過給機44が非駆動状態にあるとき(つまり、電磁クラッチ45が遮断されたとき)には、エアバイパス弁48を開状態(オン状態)にする。これにより、吸気通路40を流れるガスは、過給機44をバイパスして、エンジン本体10の燃焼室17に導入される。エンジン1は、非過給状態、つまり自然吸気の状態で運転される。
エアバイパス弁48が開状態であるときにおいて、過給機44が駆動状態にされたとき(つまり、電磁クラッチ45が接続されたとき)には、吸気は、スロットル弁43を通過した後、過給側通路40aに流入する。過給機44を通過した吸気の一部は、バイパス通路47を通って過給機44の上流に逆流する(リサーキュレーションされる)。このとき、エンジン本体10の燃焼室17には、過給機44が非駆動状態であるときと同様に、エンジン諸元に応じた量の吸気(過給機44を通過した吸気の残り)が導入される。これにより、過給機44が駆動状態であっても、非過給状態で燃焼室17に吸気を導入することができる。尚、過給時とは、サージタンク42内の圧力が大気圧を超える時をいい、非過給時とは、サージタンク42内の圧力が大気圧以下になる時をいう、と定義してもよい。
一方、エアバイパス弁48が閉状態(オフ状態)であるときにおいて、過給機44が駆動状態にされたときには、過給状態で燃焼室17に吸気が導入される。このときの吸気量は、非過給状態で燃焼室17に導入された吸気の量よりも多い。
このようにエアバイパス弁48によって、駆動状態にある過給機44が、燃焼室17に導入する吸気を過給することと、駆動状態にある過給機44が、燃焼室17に導入する吸気を過給しないこととを切り換えることができるようになる。
尚、エアバイパス弁48は、オン/オフ式の弁に限らず、その開度を連続的に変化させることが可能な弁で構成されていてもよい。
エンジン本体10の他側の側面には、排気通路50が接続されている。排気通路50は、各気筒11の排気ポート19に連通している。排気通路50は、燃焼室17から排出された排気が流れる通路である。排気通路50の上流側の部分は、詳細な図示は省略するが、気筒11毎に分岐する独立通路と該各独立通路が集合する集合部とを有する排気マニホールドによって構成されている。各独立通路の上流端が、各気筒11の排気ポート19にそれぞれ接続されている。
排気通路50には、複数の触媒コンバーター(上流側及び下流側の触媒コンバーター)を有する排気ガス浄化システムが配設されている。上流側の触媒コンバーターは、図示は省略するが、エンジンルーム内に配設されている。上流側の触媒コンバーターは、三元触媒511と、GPF(Gasoline Particulate Filter)512とを有している。下流側の触媒コンバーターは、エンジンルーム外に配設されている。下流側の触媒コンバーターは、三元触媒513を有している。尚、排気ガス浄化システムは、図例の構成に限定されるものではない。例えば、GPFは省略してもよい。また、三元触媒511,513及びGPF512の並び順は、適宜変更してもよい。
吸気通路40と排気通路50との間には、外部EGRシステムを構成するEGR通路52が接続されている。EGR通路52は、排気の一部を吸気通路40に還流させるための通路である。EGR通路52の上流端は、排気通路50における上流側の触媒コンバーターと下流側の触媒コンバーターとの間に接続されている。EGR通路52の下流端は、吸気通路40における過給機44の上流側に接続されている。EGR通路52を流れる排気(以下、EGRガスという)は、吸気通路40に導入される時には、バイパス通路47のエアバイパス弁48を通らずに、吸気通路40における過給側通路40aに流入するようになされている。
EGR通路52には、液冷式のEGRクーラー53が配設されている。EGRクーラー53は、EGR通路52を通るEGRガスを冷却する。EGR通路52には、EGR弁54が配設されている。EGR弁54は、開度を連続的に変化させることが可能な弁で構成されていて、EGR通路52を流れるEGRガスの流量を調整するよう構成されている。EGR弁54の開度を調整することによって、冷却したEGRガスの還流量を調整することができる。尚、EGR弁54は、オン/オフ式の弁で構成されていてもよい。
(エンジンの冷却システム)
次に、エンジン1の冷却システムについて説明する。図2に示すように、エンジン1の冷却システムは、エンジン本体10にエンジン冷却液を流通させてエンジン本体10を冷却する第1冷却経路60と、インタークーラー46にインタークーラー冷却液を流通させて、過給機44を通過した後の吸気を冷却する第2冷却経路70とを有する。
第1冷却経路60には、第1ポンプ61と、第1冷却経路60を流れるエンジン冷却液を冷却する第1ラジエータ62と、第1冷却経路60を循環するエンジン冷却液の温度及び流量を調整する流量コントロール弁63とが設けられている。
第1ポンプ61は、エンジン本体10のクランクシャフト15に連動して駆動される機械式のポンプである。第1ポンプ61の吐出口は、エンジン本体10のシリンダブロック12のウォータジャケット12aに接続されている。
第1ラジエータ62は、シリンダブロック12のウォータジャケット12a及びシリンダヘッド13のウォータジャケットを通ってシリンダヘッド13から排出されたエンジン冷却液を冷却する。第1ラジエータ62は、エンジン1が搭載された車両の前進走行時の走行風により、エンジン冷却液を冷却する。
流量コントロール弁63は、第1ラジエータ62から排出されて第1ポンプ61に流入するエンジン冷却液が通る経路の途中に配置されている。つまり、流量コントロール弁63は、第1冷却経路60におけるエンジン本体10への入口側に配置されている。本実施形態において、流量コントロール弁63は、電気式のサーモスタット弁で構成されている。具体的には、流量コントロール弁63は、サーモスタット弁に電熱線を内蔵させた弁である。流量コントロール弁63は、基本的には、エンジン冷却液の温度が、予め設定された設定液温以上であるときに、その温度に応じて開くように構成されているが、電熱線に電流を流すことで、エンジン冷却液の温度が設定液温未満のときでも開くことができるようになっている。
図3には、流量コントロール弁63のエンジン冷却液の温度に対する特性の一例を示す。図3において、横軸に示すエンジン冷却液の温度は、流量コントロール弁63の位置での温度であり、第1ラジエータ62に流入するエンジン冷却液の温度とは異なる。しかし、エンジン本体10から第1ラジエータ62に供給されるエンジン冷却液の温度は、流量コントロール弁63の位置での温度によってほぼ決まる。
図3に示すように、流量コントロール弁63は、非通電時には、エンジン冷却液の温度が95℃〜96℃であるときに開き始める一方、通電時には、エンジン冷却液の温度が95℃未満であっても開くことができる。図3に示すように、流量コントロール弁63が開き始める温度は、電熱線に流す電流が大きいほど低くなる。また、エンジン冷却液の温度が一定であるときの流量コントロール弁63の開度は、流量コントロール弁63の開度が全開よりも小さい範囲において、電熱線に流す電流を大きくするほど、大きくすることができる。流量コントロール弁63の開度に応じて、第1冷却経路60を循環するエンジン冷却液の流量(すなわち、エンジン本体10から第1ラジエータ62に供給されるエンジン冷却液の流量)が変化することになる。尚、本実施形態において、上記設定液温は95℃〜96℃に設定されている。
流量コントロール弁63への通電量は、エンジン本体10の運転状態や外気温等に基づいて、エンジン冷却液の温度が適切な温度となるように調整される。
尚、流量コントロール弁63は、サーモスタット弁ではなく、例えば、ソレノイド弁等の電磁式の弁であってもよい。電磁式の弁の場合、エンジン冷却液の温度を調整することはできないので、エンジン冷却液の温度の調整は、後述のグリルシャッタ81及びラジエータファン82により行う。
図示は省略しているが、第1冷却経路60はEGRクーラー53も通っている。つまり、EGR通路52を通るEGRガスは、エンジン冷却液と熱交換をして冷却される。
第2冷却経路70には、第2ポンプ71と、第2冷却経路70を流れるインタークーラー冷却液を冷却する第2ラジエータ72とが設けられている。
第2ポンプ71は、電力が供給されることによって駆動される電動式のポンプである。第2ポンプ71は、供給される電力が大きい程、インタークーラー冷却液の吐出量が多くなるように構成されている。
第2ラジエータ72は、インタークーラー46から排出されたインタークーラー冷却液を冷却する。本実施形態では、第2ラジエータ72は、第1ラジエータ62の下側に隣接して配置されている。第2ラジエータ72は、エンジン1が搭載された車両の前進走行時の走行風により、インタークーラー冷却液を冷却する。第2ラジエータ72で冷却されたインタークーラー冷却液は、第2ポンプ71に流入する。
エンジン1の冷却システムは、第1及び第2ラジエータ62,72に走行風を通風させる機構として、グリルシャッタ81と、ラジエータファン82とを有する。
グリルシャッタ81は、第1及び第2ラジエータ62,72の車両前側に設けられている。グリルシャッタ81は、車幅方向に延びる軸周りにそれぞれ回動する複数のフラッパ81aで構成されている。グリルシャッタ81は、各フラッパ81aが上下方向に対して垂直になったときに全開となり、各フラッパ81aが上下方向に対して略平行になったときに全閉となる。エンジンルーム内に取り入れる空気の流量、すなわち、第1及び第2ラジエータ62,72を通過する空気(走行風)の風量は、各フラッパ81aの上下方向に対する角度により調整される。各フラッパ81aの上下方向に対する角度(すなわち、グリルシャッタ81の開度)は、電動で調整可能に構成されている。尚、ここでいう「上下方向」とは、上記車両に対する上下方向であって、路面の面直方向に相当する。
ラジエータファン82は、第1及び第2ラジエータ62,72の車両後側に設けられている。ラジエータファン82は、回転することにより走行風を引き込んで、走行風が第1及び第2ラジエータ62,72を通風するのをアシストする。ラジエータファン82は、回転数が高いほど走行風を引き込む量が多くなるように構成されている。ラジエータファン82は、電動で回転数を調整可能に構成されている。
グリルシャッタ81から取り入れられた走行風は、第1及び第2ラジエータ62,72を流れる各冷却液と熱交換して、各冷却液を冷却する。第1及び第2ラジエータ62,72を通った走行風は、ラジエータファン82の車両後側に流れる。
グリルシャッタ81及びラジエータファン82は、流量コントロール弁63と共に液温調整手段を構成するとともに、第1ラジエータ62を通過する空気の風量を調整する風量調整手段を構成する。
(吸気通路の新気取入構造)
上述のように、本実施形態において、吸気通路40は、第1及び第2空気取入部141,142の2つの空気取入部を有する。図2に概略的に示すように、第1空気取入部141は、グリルシャッタ81よりも車両前側に設けられている。第1空気取入部141は、外気そのもの(加温等されていない空気)を吸気通路40に取り入れる。一方、第2空気取入部142は、ラジエータファン82の車両後側に設けられている。第2空気取入部142は、第1及び第2ラジエータ62,72を通って、ラジエータファン82の車両後側に流れた空気(走行風)を吸気通路40に取り入れる。つまり、第2空気取入部142からは、第1及び第2ラジエータ62,72を流れる冷却液との熱交換により温められた空気が取り入れられる。このため、第2空気取入部142は、外気温よりも温度の高い空気を吸気通路40に取り入れる。
第1及び第2空気取入部141,142には、吸気切換弁143が設けられている。吸気切換弁143の弁体は、第1及び第2空気取入部141,142のそれぞれに配置されており、各弁体は連動して動作するようになっている。具体的には、第1空気取入部141の弁体の開度が大きくなる程、第2空気取入部142の弁体の開度が小さくなるようになっている。これにより、第1及び第2空気取入部141,142から取り入れられる空気の総量は変化しない一方で、第1空気取入部141から取り入れられる空気量と第2空気取入部142から取り入れられる空気量との割合は変化する。したがって、各弁体の開度を調整することで、吸気通路40に取り入れる空気(新気)の温度を調整することができる。尚、図示は省略するが、本実施形態に係る吸気切換弁143は、各弁体を1つの軸で連結することで、各弁体の開度を連動して変化させるようにしている。
(エンジンの制御系)
エンジン1は、エンジン本体10の運転を制御するECU(Engine ControlUnit)100を備えている。ECU100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラーであって、図4に示すように、プログラムを実行する中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)101と、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)により構成されてプログラム及びデータを格納するメモリ102と、電気信号の入出力をする入出力バス103と、を備えている。
ECU100には、図1及び図4に示すように、エアフローセンサSW1、吸気温度センサSW2、排気温度センサSW3、リニアO2センサSW4、ラムダO2センサ、液温センサSW6、クランク角センサSW7、及び、アクセル開度センサSW8が接続されている。これらのセンサSW1〜SW8は、検知信号をECU100にそれぞれ出力する。
エアフローセンサSW1は、吸気通路40におけるエアクリーナー41の下流側に配置されていて、吸気通路40を流れる新気の流量を検知する。吸気温度センサSW2は、サージタンク42に取り付けられていて、燃焼室17に供給される吸気の温度を検知する。排気温度センサSW3は、排気通路50における排気マニホールドの下流側近傍に配置されていて、燃焼室17から排出した排気ガスの温度を検知する。リニアO2センサSW4は、排気通路50における上流側の触媒コンバーターよりも上流側に配置されていて、排気ガス中の酸素濃度を検知する。ラムダO2センサSW5は、上流側の触媒コンバーターにおける三元触媒511の下流側に配置されていて、排気ガス中の酸素濃度を検知する。液温センサSW6は、エンジン本体10のシリンダヘッド13におけるエンジン冷却液の出口近傍に取り付けられていて、エンジン冷却液の温度を検知する。クランク角センサSW7は、エンジン本体10に取り付けられていて、クランクシャフト15の回転角を検知する。アクセル開度センサSW8は、アクセルペダル機構に取り付けられていて、アクセルペダルの操作量に対応したアクセル開度を検知する。
ECU100は、センサSW1〜SW8の検知信号に基づいて、エンジン本体10の運転状態を判断するとともに、各デバイスの制御量を計算する。ECU100は、計算した制御量に係る制御信号を、インジェクタ6、点火プラグ25、吸気電動S−VT23、排気電動S−VT24、スロットル弁43、過給機44の電磁クラッチ45、エアバイパス弁48、EGR弁54、流量コントロール弁63、第2ポンプ71、グリルシャッタ81、ラジエータファン82、及び吸気切換弁143に出力する。ECU100は、電磁クラッチ45の作動を含めてエンジン本体10の運転を制御する制御手段を構成することになる。
例えば、ECU100は、クランク角センサSW7の検知信号に基づいてエンジン本体10のエンジン回転数を算出する。ECU100は、アクセル開度センサSW8の検知信号に基づいてエンジン本体10のエンジン負荷を算出する。
また、ECU100は、エンジン本体10の運転状態(主に、エンジン本体10の負荷及びエンジン本体10の回転数)と予め設定したマップとに基づいて目標EGR率(つまり、燃焼室17の中の全ガスに対するEGRガスの比率)を設定する。そして、ECU100は、目標EGR率とアクセル開度センサSW12の検知信号に基づく吸入空気量とに基づき目標EGRガス量を決定するとともに、EGR弁54の開度を調整することにより、燃焼室17の中に導入する外部EGRガス量が目標EGRガス量となるようにフィードバック制御を行う。
さらに、ECU100は、所定の制御条件が成立しているときに空燃比フィードバック制御を実行する。具体的に、ECU100は、リニアO2センサSW4、及び、ラムダO2センサSW5によって検知された排気中の酸素濃度に基づいて、燃焼室17内の混合気の空燃比A/F(又は、燃焼室17内におけるガスの燃料に対する重量比G/F)が所望の値となるように、インジェクタ6の燃料噴射量を調整する。
(エンジンの運転制御)
図5は、エンジン本体10の温間時(つまりエンジン本体10の暖機後)における、エンジン本体10の運転領域マップを例示している。エンジン本体10の運転領域マップは、エンジン本体10の負荷(以下、エンジン負荷という)及びエンジン本体10の回転数(以下、エンジン回転数という)によって定められており、エンジン負荷の高低及びエンジン回転数の高低に対し、三つの運転領域に分けられている。具体的に、三つの運転領域は、アイドル運転を含みかつエンジン回転数が所定回転数Ne未満でかつエンジン負荷が所定負荷Tq未満の低負荷低回転運転領域A(以下、領域Aともいう)、エンジン回転数が所定回転数Ne以上でかつエンジン負荷が所定負荷Tq未満の低負荷高回転運転領域B(以下、領域Bともいう)、エンジン負荷が所定負荷Tq以上の高負荷運転領域C(以下、領域Cともいう)である。ここで、所定回転数Neは、例えば3500rpm程度としてもよい。尚、エンジン本体10の暖機前であっても、図5と同様のマップを用いて、暖機後と同様の制御を行ってもよい。
本実施形態では、エンジン本体10の燃焼安定性の向上及び燃費の向上を主目的として、ECU100は、エンジン本体10の運転状態が領域A〜Cのいずれの領域にあるときであっても、エンジン本体10の燃焼モードを、燃焼室17内において火花点火による混合気の火炎伝播燃焼の途上で未燃混合気を一気に自着火させる圧縮着火燃焼モードとする。すなわち、ECU100は、領域A〜Cのそれぞれにおいて、燃焼室17内でSPCCI燃焼を行わせるように、点火プラグ25による火花点火の時期等を制御する。このSPCCI燃焼を安定して行うために、ECU100は、エンジン1の冷却システムを利用して、エンジン本体10に導入する吸気の温度を制御する。以下、各領域A〜Cにおけるエンジン本体10の運転について、図6〜図9を参照しながら詳細に説明をする。
(低負荷低回転運転領域A)
エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるときには、エンジン本体10の燃焼室17内では、混合気の空燃比A/Fが理論空燃比よりも大きいリーンな状態でSPCCI燃焼が行われる。具体的には、ECU100は、燃焼室17内の空燃比A/Fが25以上となるようにインジェクタ6に燃料を噴射させて、所望のタイミングで点火プラグ25を作動させる。空燃比A/Fが25以上であれば、エミッションに問題は生じない。リーン状態でSPCCI燃焼(特に、CI燃焼)を安定して行うためには、圧縮端温度を高くする必要がある。そこで、ECU100は、第1吸気温度Ta1以上の吸気がエンジン本体10に導入されるように、各デバイスを作動制御する。尚、第1吸気温度Ta1は、例えば80℃程度である。
具体的には、エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるときには、図6に示すように、ECU100は、第1空気取入部141が全閉となりかつ第2空気取入部142が全開となるように、吸気切換弁143に作動信号を出力する。また、ECU100は、過給機44が非駆動状態となりかつバイパス通路47が開状態となるように、電磁クラッチ45及びエアバイパス弁48に制御信号を出力して、電磁クラッチ45を遮断状態にさせるとともに、エアバイパス弁48を全開状態にさせる。また、ECU100は、第1ラジエータ62に高温のエンジン冷却液が流入するように、流量コントロール弁63への通電をオフにする。また、ECU100は、第2空気取入口142から第1吸気温度Ta1以上の吸気が取り入れられるように、グリルシャッタ81の開度の調整及びラジエータファン82の回転数の調整を行う。また、ECU100は、EGR弁54を全閉にさせる。このように本実施形態では、エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるときには、EGR弁54の全閉により、EGRガスが燃焼室17内に導入されない。尚、エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるときに、EGRガスを燃焼室17内に導入することも可能である。この場合、燃焼室17内におけるガスの燃料に対する重量比G/Fが25以上となるように、インジェクタ6から燃料が噴射されることになる。
流量コントロール弁63への通電をオフにすると、エンジン冷却液が設定液温以上になるまでは、流量コントロール弁63は開かない。このため、エンジン冷却液が設定液温未満の状態では、エンジン冷却液は循環せずに、エンジン本体10の熱によって温められる。エンジン冷却液が設定液温以上になると、流量コントロール弁63が開き始めて、エンジン冷却液が第1冷却経路60を循環し始める。これにより、第1ラジエータ62に、設定液温以上の高温のエンジン冷却液が流入するようになる。第1ラジエータ62に流入するエンジン冷却液は、エンジン本体10から第1ラジエータ62に供給されるエンジン冷却液であって、流量コントロール弁63を通った後にエンジン本体10により温められた後のエンジン冷却液である。このため、エンジン本体10から第1ラジエータ62に供給されるエンジン冷却液の温度(液温センサSW6で検知される温度に相当)は、設定液温よりも高い。尚、エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるときには、流量コントロール弁63の開度は、流量コントロール弁63の位置におけるエンジン冷却液の温度が、図3のグラフの「領域A」の温度範囲で変動する。
ECU100は、液温センサSW6の検知結果が第1液温Tw1となるようにグリルシャッタ81及びラジエータファン82を作動制御する。ECU100は、液温センサSW6の検知結果が第1液温Tw1未満であるときには、グリルシャッタ81の開度を全閉にさせるとともに、ラジエータファン82の回転数を0にする(つまり、ラジエータファン82を非駆動状態にする)。これにより、エンジン冷却液が第1液温Tw1未満のときには、エンジン冷却液は走行風により冷却されず、その液温が上昇する。ECU100は、液温センサSW6の検知結果が第1液温Tw1以上になったときには、グリルシャッタ81を開くとともに、ラジエータファン82の回転数を上昇させる。第1ラジエータ62に高温のエンジン冷却液が流入する状態で、グリルシャッタ81を開くとともにラジエータファン82を駆動させると、第1ラジエータ62を流れる高温のエンジン冷却液と熱交換した高温の走行風が、ラジエータファン82の車両後側に流れる。これにより、高温の走行風、すなわち第1吸気温度Ta1以上の吸気(新気)が第2空気取入部142から吸気通路40に取り入れられる。尚、第1液温Tw1は、設定液温よりも高い温度であって、例えば105℃程度である。
第2空気取部142から取り入れられた高温の吸気は、図6に示すように、バイパス通路47を通って、サージタンク42に流入する。その後、上記高温の吸気は、エンジン本体10の燃焼室17に導入される。
ECU100は、液温センサSW6の検知結果が第1液温Tw1未満になったとき、又は、吸気温度センサSW2の検知結果が第1吸気温度Ta1未満になったときには、グリルシャッタ81の開度を下げる制御、及び、ラジエータファン82の回転数を下げる制御の少なくとも一方を実行する。これにより、第1吸気温度Ta1以上の吸気がエンジン本体10に安定して導入されるようにしている。また、ECU100は、エンジン冷却液の温度が第1液温Tw1以上の状態で出来る限り維持するために、グリルシャッタ81の開度を低開度側の範囲で調整する。具体的には、グリルシャッタ81の開度を、上下方向に対するフラッパ81aの鋭角側の角度が30°未満の範囲で調整する。
以上のように各デバイスを作動制御することにより、エンジン本体10が領域Aで運転されているとき(エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるとき)には、比較的高温(第1吸気温度Ta1以上)の吸気がエンジン本体10に導入される。これにより、エンジン本体10が領域Aで運転されているときに、SPCCI燃焼を安定して行うことができる。
また、ECU100は、エンジン本体10が領域Aで運転されているときには、インタークーラー46にインタークーラー冷却液が供給されるように第2ポンプ71に制御信号を出力する。すなわち、第1吸気温度Ta1の吸気がバイパス通路47を通っているときに、過給側通路40aは、バイパス通路47からの伝熱により温められる。このため、エンジン本体10の運転状態が、領域Aから過給機44を駆動させる領域(例えば、領域C)になった瞬間には、上記伝熱により温められた高温の空気がエンジン本体10に導入されるようになる。これを抑制するために、過給機44が非駆動状態(つまり、電磁クラッチ45が遮断状態)であっても、インタークーラー46にインタークーラー冷却液を供給して、過給側通路40a内の空気が過剰に温められないようにしている。このとき、ECU100は、単位時間当たりにインタークーラー46に供給されるインタークーラー冷却液の流量が第1流量となるように、第2ポンプ71に制御信号を出力する。
(低負荷高回転運転領域B)
エンジン本体10の運転状態が領域Bにあるときには、エンジン本体10の燃焼室17内では、混合気の空燃比A/F(又はG/F)が理論空燃比乃至それに近い値となる状態でSPCCI燃焼が行われる。具体的には、ECU100は、空燃比A/F(又はG/F)が14.5〜15.0となるようにインジェクタ6に燃料を噴射させて、所望のタイミングで点火プラグ25を作動させる。空燃比A/F(又はG/F)が14.5〜15.0であれば、燃焼室17で生じるRawNOxを、三元触媒511,513により良好に浄化することができる。領域Bでは、エンジン回転数が高いため、SPCCI燃焼(特に、CI燃焼)を安定して行うためには、圧縮端温度を高くして、圧縮着火を発生しやすくしておく必要がある。そこで、ECU100は、エンジン本体10の運転状態が領域Bにあるときには、第1吸気温度Ta1以上の吸気がエンジン本体10に導入されるように、各デバイスを作動制御する。
具体的には、エンジン本体10の運転状態が領域Bにあるときには、図7に示すように、ECU100は、第1空気取入部141が全閉となりかつ第2空気取入部142が全開となるように、吸気切換弁143に作動信号を出力する。また、ECU100は、過給機44が駆動状態となりかつバイパス通路47が開状態となるように、電磁クラッチ45及びエアバイパス弁48に制御信号を出力して、電磁クラッチ45を接続状態にさせるとともに、エアバイパス弁48を全開にさせる。また、ECU100は、流量コントロール弁63への通電をオンにする。さらに、ECU100は、第2空気取入口142から第1吸気温度Ta1以上の吸気が取り入れられるように、グリルシャッタ81の開度の調整及びラジエータファン82の回転数の調整を行う。また、ECU100は、EGR弁54を開状態にさせて、EGRガスを吸気通路40(延いては燃焼室17)に導入させる。尚、エンジン本体10の運転状態が領域Bにあるときに、EGRガスを燃焼室17内に導入しないようにすることも可能である。
流量コントロール弁63への通電をオンにすると、エンジン冷却液が設定液温未満の状態であっても、流量コントロール弁63が開く。このため、エンジン冷却液が設定液温未満の状態であっても、エンジン冷却液は第1冷却経路60を循環する。これにより、第1ラジエータ62に第1液温Tw1未満のエンジン冷却液が流入するようになる。尚、エンジン本体10の運転状態が領域Bにあるときには、流量コントロール弁63の開度は、流量コントロール弁63の位置におけるエンジン冷却液の温度が、図3のグラフの「領域B」の範囲(「領域A」よりも低い温度範囲)で変動する。
ECU100は、エンジン本体10の運転状態が領域Bにあるときには、液温センサSW6の検知結果が第1液温Tw1未満であっても、グリルシャッタ81を開くとともに、ラジエータファン82を駆動させる。より具体的には、ECU100は、液温センサSW6の検知結果が第1液温Tw1未満でかつ第2液温Tw2を超えるように、グリルシャッタ81の開度及びラジエータファン82の回転数を調整する。具体的には、ECU100は、グリルシャッタ81の開度を、上下方向に対するフラッパ81aの鋭角側の角度が30°以上60°未満となる範囲で調整する。また、ECU100は、ラジエータファン82の回転数を、エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるときよりも高くする。第1ラジエータ62を流れるエンジン冷却液と熱交換した走行風は、ラジエータファン82の車両後側に流れた後、第2空気取入部142から吸気通路40に取り入れられる。このとき、第2空気取入部142から吸気通路40に取り入れられる吸気(新気)の温度は、外気温よりも高いが、エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるときよりは低い。尚、第2液温Tw2は、第1液温Tw1よりも低い温度であって、例えば、90℃程度である。
上記のように、バイパス通路47が開状態で、過給機44を駆動状態としたときには、図7に示すように、過給機44を通過した吸気の一部は、バイパス通路47を通って過給機44の上流側に逆流する。このため、第2空気取入部142から吸気通路40に取り入れられた吸気は、過給側通路40aを通って過給機44により一時的に圧縮され、その圧縮された吸気の一部は、バイパス通路47を通って、吸気通路40における過給機44の上流側に逆流する一方、エンジン諸元に応じた量の残りの吸気が燃焼室17に導入される。バイパス通路47を通って過給機44の上流側に逆流した吸気は、再度、過給側通路40a(過給機44)を通る。これにより、吸気通路40内の吸気は、過給側通路40a及びバイパス通路47を介して吸気通路40内で循環される(リサーキュレーションされる)。この結果、過給機44が駆動状態であっても、非過給状態で燃焼室17に吸気を導入することができる。
リサーキュレーション中の吸気は、過給機44により圧縮されるため、温度が上昇する。また、エンジン本体10の運転状態が領域Bにあるときには、EGR弁54が開状態であるため、リサーキュレーションされる吸気には、EGRガスが取り込まれる。EGRガスは、第2空気取入部142から吸気通路40に取り入れられた吸気よりも高温である。このため、EGRガスが取り込まれた吸気の温度は上昇する。
そこで、ECU100は、リサーキュレーション中の吸気(新気+EGRガス)が過剰に高温にならないようにするために、インタークーラー46にインタークーラー冷却液が供給されるように第2ポンプ71に制御信号を出力する。これにより、リサーキュレーション中の吸気はインタークーラー46によって冷却される。このとき、ECU100は、単位時間当たりにインタークーラー46に供給されるインタークーラー冷却液の流量が第2流量となるように、第2ポンプ71に制御信号を出力する。第2流量は、第1流量よりも多い流量であって、リサーキュレーションされている吸気の温度が第1吸気温度Ta1未満にならないような流量である。
以上のように、エンジン本体10が領域Bで運転されているときには、吸気のリサーキュレーションやEGRガスの導入により吸気が温められる。このため、エンジン冷却液が設定液温未満の状態で、流量コントロール弁63を開いたとしても、第1吸気温度Ta1以上の吸気をエンジン本体10の燃焼室17に導入することができる。これにより、エンジン本体10が領域Bで運転されているときに、SPCCI燃焼を安定して行うことができる。
(高負荷運転領域C)
エンジン本体10の運転状態が領域Cにあるときに、エンジン本体の燃焼室17内では、混合気の空燃比A/F(又はG/F)が理論空燃比乃至それに近い値となる状態でSPCCI燃焼が行われる。具体的には、ECU100は、空燃比A/F(又はG/F)が14.5〜15.0となるようにインジェクタ6に燃料を噴射させて、所望のタイミングで点火プラグ25を作動させる。エンジン負荷が高負荷の状態では、燃料の噴射量が多いため、適切な燃焼トルクを得るためには、出来る限り多くの吸気(新気)が必要となる。また、エンジン負荷が高負荷の状態では、燃料の噴射量が多いため、エンジン本体10の温度が高すぎると、圧縮の途中で混合気が自着火して、意図しないタイミングでの燃料の早期着火が発生してしまう。このため、エンジン本体10の運転状態が領域Cにあるときには、SPCCI燃焼を安定して行うために、温度が低くて密度の高い吸気(特に新気)をエンジン本体10に導入する必要があるとともに、エンジン本体10を適切に冷却する必要がある。そこで、ECU100は、第2吸気温度Ta2以下の吸気がエンジン本体10に導入されかつエンジン本体10が適切に冷却されるように、各デバイスを作動制御する。尚、第2吸気温度Ta2は、第1吸気温度Ta1よりも低い温度であり、例えば60℃程度である。
具体的には、ECU100は、エンジン本体10の運転状態が領域Cにあるときには、図8に示すように、第1空気取入部141が全開となりかつ第2空気取入部142が全閉となるように、吸気切換弁143に作動信号を出力する。また、ECU100は、過給機44が駆動状態となりかつバイパス通路47が閉状態となるように、電磁クラッチ45及びエアバイパス弁48に制御信号を出力して、電磁クラッチ45を接続状態にさせるとともに、エアバイパス弁48を全閉状態にさせる。また、ECU100は、流量コントロール弁63への通電をオンにする。さらに、ECU100は、エンジン冷却液及びインタークーラー冷却液が冷却されるように、グリルシャッタ81の開度の調整及びラジエータファン82の回転数の調整を行う。また、ECU100は、EGR弁54を開状態にさせて、EGRガスを吸気通路40(延いては燃焼室17)に導入させる。尚、エンジン本体10の運転状態が領域Cにあるときに、EGRガスを燃焼室17内に導入しないようにすることも可能である。
上記のように、流量コントロール弁63への通電をオンにすることで、エンジン冷却液が設定液温未満の状態であっても、流量コントロール弁63が開く。このため、エンジン冷却液が設定液温未満の状態であっても、エンジン冷却液は第1冷却経路60を循環する。これにより、第1ラジエータ62に設定液温未満のエンジン冷却液が流入するようになる。尚、エンジン本体10の運転状態が領域Cにあるときには、流量コントロール弁63の開度は、流量コントロール弁63の位置におけるエンジン冷却液の温度が、図3のグラフの「領域C」の温度範囲(「領域B」よりも低い温度範囲)で変動する。
ECU100は、エンジン本体10の運転状態が領域Cにあるときには、グリルシャッタ81を開くとともに、ラジエータファン82を駆動させる。このとき、ECU100は、液温センサSW6の検知結果が第2液温Tw2になるように、グリルシャッタ81の開度及びラジエータファン82の回転数を調整する。具体的には、ECU100は、グリルシャッタ81の開度を、高開度側の範囲、すなわち、上下方向に対するフラッパ81aの鋭角側の角度(直角を含む)が60°以上90°以下となる範囲で調整する。また、ECU100は、ラジエータファン82の回転数を、エンジン本体10の運転状態が領域Bにあるときよりも高くする。これらにより、エンジン本体10の運転状態が領域Cにあるときには、エンジン本体10の運転状態が低負荷運転領域(領域A及び領域B)にあるときに比べて、第1及び第2ラジエータ62,72を通風する空気(走行風)の風量が増大する。これにより、第1ラジエータ62を流れるエンジン冷却液を積極的に冷却して、エンジン本体10を適切に冷却することができる。
一方、吸気系では、吸気(新気)は、第1空気取入部141から吸気通路40に取り入れられる。エンジン本体10の運転状態が領域Cにあるときには、EGR弁54が開状態であるため、第1空気取入部141から吸気通路40に取り入れられた吸気には、EGRガスが取り込まれる。また、エアバイパス弁48が全閉状態であるため、吸気(新気+EGRガス)は、過給側通路40aに向かって流れる。電磁クラッチ45が接続状態であり、過給機44は駆動状態であるため、過給側通路40aに向かって流れた吸気は、過給機44により過給される。これにより、吸気の温度は上昇する。
そこで、ECU100は、過給機44により過給された吸気の温度を第2吸気温度Ta2以下にすべく、インタークーラー46にインタークーラー冷却液が供給されるように第2ポンプ71に制御信号を出力する。このとき、ECU100は、単位時間当たりにインタークーラー46に供給されるインタークーラー冷却液の流量が第3流量となるように、第2ポンプ71に制御信号を出力する。第3流量は、第2流量よりも多い流量である。このように、インタークーラー46に供給するインタークーラー冷却液の流量を増加させることによって、吸気の温度を第2吸気温度Ta2以下にすることができる。また、上述したように、エンジン本体10の運転状態が領域Cにあるときには、エンジン本体10の運転状態が領域A及び領域Bにあるときに比べて、第2ラジエータ72を通風する走行風の風量が増大される。このため、インタークーラー冷却液の温度は、エンジン本体10の運転状態が領域A及び領域Bにあるときと比較して低くなっている。これにより、吸気の温度を、より効率的に第2吸気温度Ta2以下にすることができる。
過給機44により過給されかつインタークーラー46により第2吸気温度Ta2以下に冷却された吸気は、サージタンク42を介してエンジン本体10の燃焼室17に供給される。
以上のように各デバイスを作動制御することにより、エンジン本体10が領域Cで運転されているときには、比較的低温(第2吸気温度Ta2以下)の吸気がエンジン本体10に導入されるとともに、エンジン本体10が適切に冷却される。これにより、エンジン本体10が領域Cで運転されているときに、SPCCI燃焼を安定して行うことができる。
(エンジン本体の運転状態の変化に伴う各デバイスの作動)
図9は、エンジン本体10の運転状態の変化に伴う各デバイスの作動状態の変化を示すタイムチャートである。先ず時間t0において、エンジン本体10の運転状態が領域Aにあったとする。このとき、上述したように、ECU100は、第1ラジエータ62へのエンジン冷却液の温度が第1液温Tw1になりかつ吸気温度が第1吸気温度Ta1になるように各デバイスを作動制御する。また、ECU100は、燃焼室17内の空燃比A/Fが25以上のリーン空燃比となるようにインジェクタ6に燃料を噴射させて、所望のタイミングで点火プラグ25を作動させる。さらに、ECU100は、電磁クラッチ45を遮断状態にさせるとともに、エアバイパス弁48を全開状態にさせる。
尚、図9では、電磁クラッチ45、エアバイパス弁48及びEGR弁54の作動については省略している。これらの作動を説明すると、電磁クラッチ45は、時間t1までは遮断状態を維持し、時間t1で遮断状態から接続状態になり、その後は接続状態を維持する。エアバイパス弁48は、時間t2までは全開状態を維持し、時間t2で全閉状態になり、その後は全閉状態を維持する。EGR弁54は、時間t1までは全閉状態を維持し、時間t2で開状態となり、その後は、開状態を維持する。EGR弁54の開度は、エンジン本体10の運転状態に応じて変化する。
次に、エンジン回転数が上昇して、時間t1において、エンジン本体10の運転状態が領域Aから領域Bに移ったとする。このとき、ECU100は、吸気切換弁143により第2空気取入部142を全開にしたままとする(領域Aと同様に、第2空気取入部142から新気が取り入れられるようにする)。また、ECU100は、電磁クラッチ45を接続状態にして、過給機44を駆動状態にするとともに、エアバイパス弁48を全開状態のままにして、吸気の一部を吸気通路40内でリサーキュレーションさせる。さらに、ECU100は、エンジン本体10から第1ラジエータ62に供給されるエンジン冷却液の温度が第1液温Tw1未満でかつ第2液温Tw2を超えるとともに吸気温度が第1吸気温度Ta1となるように各デバイスを作動制御する。具体的には、ECU100は、流量コントロール弁63への通電を開始しかつグリルシャッタ81の開度を大きくしかつラジエータファン82の回転数を上げて、第1ラジエータ62へのエンジン冷却液の温度を第1液温Tw1未満でかつ第2液温Tw2を超える温度にする。さらに、ECU100は、EGR弁54を開状態にする。また、ECU100は、第2ポンプ71の流量を増大させる(第1流量から第2流量にする)。こうして吸気温度を第1吸気温度Ta1にする。さらにまた、ECU100は、空燃比A/F(又はG/F)が理論空燃比乃至それに近い値(14.5〜15.0)となるようにインジェクタ6に燃料を噴射させて、所望のタイミングで点火プラグ25を作動させる。
このように、エンジン回転数の上昇に伴ってエンジン本体10の運転状態が領域Aから領域Bに移行したときには、燃焼室17内の空燃比A/F(又はG/F)が、25以上の値から、14.5〜15.0の値にされることになる。
仮に、領域Bにおいても、領域Aと同様に、空燃比A/F(又はG/F)が、25以上のリーン空燃比とされた場合、エンジン回転数の上昇に伴ってエンジン本体10の運転状態が領域Aから領域Bに移行したときに、電磁クラッチ45がONにされると、過給機44により圧縮されて燃焼室17に吸入される吸気の温度が一時的に高くなる。これは、過給機44の下流側に設けられたインタークーラー46では、上記移行に対応して直ぐには吸気を冷却することが困難であるからである。ここで、本実施形態では、エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるときに、上記の如く、第2ポンプ71によりインタークーラー46に第1流量でもってインタークーラー冷却液を供給しており、全く供給していない場合に比べては、上記移行時にインタークーラー46によって吸気を早期に冷却することは可能である。しかし、このような場合でも、燃焼室17に吸入される吸気の温度が一時的に高くなってしまう。
このように一時的に温度が高くなった吸気が燃焼室17に吸入された場合、その吸入された吸気の密度が低下するため、十分に冷却された吸気が吸入されたものとして空燃比が例えば25になるように燃料を噴射すると、実際の空燃比は25よりも小さくなる(例えば23程度になる)。この結果、空燃比が小さくなった分だけ、RawNOx発生量が増大することになる。このようなリーン空燃比では、三元触媒511,513によるRawNOxの浄化率が低くなるために、上記のように空燃比A/F(又はG/F)が小さくなることによりRawNOx発生量が増大すると、エミッション性能が一時的に低下することになる。
これに対して、本実施形態では、エンジン回転数の上昇に伴ってエンジン本体10の運転状態が領域Aから領域Bに移行したときに、吸気の温度が一時的に高くなったとしても、空燃比A/F(又はG/F)が14.5〜15.0とされることで、RawNOxを三元触媒511,513により良好に浄化することができるようになる。よって、エンジン回転数の上昇に伴ってエンジン本体10の運転状態が領域Aから領域Bに移行したときにおけるエミッション性能の一時的な低下を抑制することができる。
次に、エンジン負荷が上昇して、時間t2において、エンジン本体10の運転状態が領域Bから領域Cに移ったとする。このとき、ECU100は、電磁クラッチ45を接続状態にしたまま(過給機44を駆動状態にしたまま)、エアバイパス弁48を全閉状態にして、過給された吸気がエンジン本体10に供給されるようにする。また、ECU100は、エンジン本体10から第1ラジエータ62に供給されるエンジン冷却液の温度が第2液温Tw2になるとともに吸気温度が第2吸気温度Ta2になるように、各デバイスを作動制御する。具体的には、ECU100は、流量コントロール弁63への通電をオンにしたままとする。また、ECU100は、グリルシャッタ81の開度を更に大きくしかつラジエータファン82の回転数を更に上げる。これらにより、エンジン冷却液の温度を第2液温Tw2にする。また、ECU100は、吸気切換弁143を作動させて、第1空気取入部141から新気が取り入れられるようにする。さらに、ECU100は、第2ポンプ71の流量を更に増大させる(第2流量から第3流量にする)。これらにより、吸気温度を第2吸気温度Ta2にする。さらに、ECU100は、空燃比A/F(又はG/F)が理論空燃比乃至それに近い値(14.5〜15.0)となるようにインジェクタ6に燃料を噴射させて、所望のタイミングで点火プラグ25を作動させる。
したがって、本実施形態では、領域Bでの燃焼室17内の空燃比A/F(又はG/F)が14.5〜15.0とされているので、エンジン回転数の上昇に伴ってエンジン本体10の運転状態が領域Aから領域Bに移行したときに、エミッション性能の一時的な低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、エンジン負荷の上昇に伴ってエンジン本体10の運転状態が領域Aから領域Cに移行したときにおいても、エミッション性能の一時的な低下を抑制することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、ECU100は、領域Bの全体で、燃焼室17内の空燃比A/F(又はG/F)を、14.5〜15.0にするように構成されているが、例えば図10に示すように、ECU100は、領域B内における上記所定回転数Neから所定量αだけ高い回転数(Ne+α)までの領域である特定回転数領域B1にあるときには、燃焼室17内の空燃比A/F(又はG/F)を、14.5〜15.0にする一方、領域B内における特定回転数領域B1を除く領域B2にあるときには、燃焼室17内の空燃比A/F(又はG/F)を、25以上のリーン空燃比にするように構成されていてもよい。この場合でも、上記実施形態と同様に、エンジン回転数の上昇に伴ってエンジン本体10の運転状態が領域Aから領域B1に移行したときには、燃焼室17内の空燃比A/F(又はG/F)が、25以上の値から、14.5〜15.0の値にされることになり、エミッション性能の一時的な低下を抑制することができる。そして、エンジン回転数がそのまま上昇し続けてエンジン本体10の運転状態が領域B1から領域B2に移行すると、燃焼室17内の空燃比A/F(又はG/F)が、再び25以上とされる。この場合、所定量αの値を適切な値に設定しておくことで、領域B1から領域B2に移行する段階では、インタークーラー46により吸気が適切に冷却されていることになる。また、領域B2での燃焼室17内の空燃比A/F(又はG/F)が25以上とされることで、燃費を向上させることができる。さらに、エンジン負荷の上昇に伴ってエンジン本体10の運転状態が領域A又はB2から領域Cに移行したときにおいても、エミッション性能の一時的な低下を抑制することができる。尚、領域B(領域B1及び領域B2)での、空燃比A/F(又はG/F)以外の制御については、上記実施形態における領域Bでの制御と同様であればよい。
また、上記実施形態では、エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるときにも、インタークーラー46にインタークーラー冷却液を供給していたが、エンジン本体10の運転状態が領域Aにあるときには、必ずしも、インタークーラー46にインタークーラー冷却液を供給する必要はない。このようにしても、領域B(又は領域B1)での燃焼室17内の空燃比A/F(又はG/F)が14.5〜15.0とされることで、エンジン回転数の上昇に伴ってエンジン本体10の運転状態が領域Aから領域Bに移行したときにおけるエミッション性能の一時的な低下を抑制することができる。
さらに、上記実施形態では、エンジン本体10の暖機後の全運転領域において、燃焼室17内でSPCCI燃焼が行われるようにしたが、これに限らず。例えば、エンジン本体10の運転状態が領域Cにあるときのみに、SPCCI燃焼が行われるようにし、過給が行われない領域A及び領域Bでは、SI燃焼が行われるようにしてもよい。或いは、エンジン本体10の全運転領域で、SI燃焼が行われるようにしてもよい。また、エンジン本体10の暖機後だけでなく、暖機前であっても、SPCCI燃焼が行われるようにしてもよく、暖機前はSI燃焼が行われるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、吸気通路40の空気取入部は、第1吸気取入部141と第2空気取入部142との2つであったが、これに限らず、吸気通路40の空気取入部は第1吸気取入部141だけでもよい。しかし、エンジン負荷が低負荷であるときに、第1吸気温度Ta程度の吸気をエンジン本体10に供給するという観点からは、第1吸気取入部141及び第2空気取入部142を設けることが好ましい。
さらにまた、上記実施形態では、ECU100は、エンジン本体10の運転状態が領域Bにあるときには、吸気切換弁143を、第1空気取入部141が全閉状態となりかつ第2空気取入部142が全開状態となるように作動制御していた。これに限らず、ECU100は、エンジン本体10の運転状態が領域Bにあるときには、第1空気取入部141と第2空気取入部142との両方が開くように、吸気切換弁143を作動制御してもよい。この場合には、ECU100は、第1空気取入部141から取り入れられる新気の量と第2空気取入部142から取り入れられる新気の量との比率が適切な比率になるように、第1空気取入部141の開度と第2空気取入部142の開度とを調整する。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。