JP3580001B2 - プロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明が属する技術】
本発明はプロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、気相重合に好適な、比較的粒径が大きく球形で、しかも重合時での耐破砕性に優れた新規な固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、および必要に応じて電子供与体からなるオレフィン重合用触媒を用いたプロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレンを主体とした重合体部分とプロピレン−オレフィン共重合体部分からなる、いわゆるプロピレン−オレフィンブロック共重合体は、剛性と耐衝撃性を併有するプロピレン系共重合体として、自動車分野、家電製品分野、また大型雑貨分野を中心に各種成形品の用に供されている。近年、更にその耐衝撃性を改良するためプロピレン−オレフィンブロック共重合体にエチレン−プロピレンラバー(EPR)を添加することや、プロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造に際してプロピレン−オレフィン共重合体部分の量を増加させる(特開昭55−80418号公報)ことが実施されている。また、従来のプロピレン−オレフィンブロック共重合体の更なる品質向上を目的に、プロピレン−オレフィンブロック共重合体における、プロピレンを主体とした重合体部分とプロピレン−オレフィン共重合体部分の固有粘度差を比較的少なくすることで、フィッシュアイ(FE)の低減、耐面衝撃性の改良、衝撃難白化性の改良等が試みられている(特開昭49−61278号公報、特開昭63−112612号公報、特開平5−331327号公報)。
【0003】
一方プロピレン−オレフィン重合体を製造するプロセスとしては、近年、従来の重合溶媒を使用するスラリー重合プロセス、重合溶媒としてプロピレン自身を使用するバルク重合プロセスに比較して、安全性が高く、省資源、省エネルギープロセスである気相重合プロセスが採用されてきている。
このような特徴のある気相重合プロセスにおいても、上記したプロピレン−オレフィン共重合体部分の量を増加させる場合や、プロピレンを主体とした重合体部分とプロピレン−オレフィン共重合体部分の固有粘度差を比較的少なくした場合には、得られるプロピレン−オレフィンブロック共重合体が粘着性を帯びて流動性が悪化することから、従来プロセス程ではないにしても、その製造が難しく、特に長期の連続生産をすることは不可能であった。
【0004】
上記した問題を解決する方法として、オレフィンの気相重合に好適な、粒径が大きく球形で、しかも重合時での耐破砕性に優れた固体触媒成分であって、且つ低粘着性で流動性の良好なプロピレン−オレフィンブロック共重合体を得ることが可能な固体触媒成分の開発が試みられている。
例えば従来技術の一つとして、担体成分の溶融物を適当な油中に乳化して球状溶融粒子を形成させ、次いでこれを冷却した炭化水素媒体中に添加して急速に固化させて得られた担体を用いる方法(特開昭55−135102号公報、特開昭55−135103号公報、特開昭56−67311号公報)がある。
【0005】
別な方法として、特開昭49−65999号公報、特開昭52−38590号公報、特開昭58−45206号公報、特開昭57−198709号公報、特開昭59−131606号公報、特開昭63−289005号公報では、マグネシウム化合物の水あるいはアルコール溶液を加熱窒素気流中にスプレーし、生成した液滴から水あるいはアルコールを加熱窒素により蒸発させて、得られた担体を用いる方法を開示している。また、特表昭63−503550号公報には塩化マグネシウム、アルコールおよび電子供与体の混合物を溶融状態で、不活性液状流体で冷却したチャンバー中にスプレーし、溶剤の蒸発なしに得られた担体を用いる方法が示されている。
【0006】
また、特開平4−296305号公報には、スプレー法によって得られたMgCl・3EtOH担体を使用し、四塩化チタンを比較的低温下で反応させた後、ジイソブチルフタレートを添加し、引き続いてノナン溶媒中で高温度条件下で反応をさせてオレフィン重合用固体触媒成分を得る方法が開示されている。
【0007】
一方、本出願人は先に特開平3−119003号公報(以後、先の発明ということがある。)においてマグネシウム化合物とアルコール混合物を溶融状態でスプレーし、アルコールの実質的な蒸発なしに球形の固体成分を得た後、該固体成分からアルコールを部分的に除去して球状担体を得、しかる後該担体とハロゲン含有チタン化合物および電子供与体を接触させて最終のオレフィン重合用固体触媒成分を得る方法を開示している。
該方法によれば球状で大粒径のオレフィン重合用固体触媒成分が得られるが、オレフィンの気相重合に用いた場合、重合時での耐破砕性や得られる重合体の流動性の点で更に改良が望まれるものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来技術の方法で得られるオレフィン重合用固体触媒成分を、有機アルミニウム化合物、および必要に応じて電子供与体と組み合わせてプロピレン−オレフィンブロック共重合体製造用触媒として用いた場合、形状や粒径及び重合時での耐破砕性に問題があることから、低粘着性で流動性の良好なプロピレン−オレフィンブロック共重合体を、特にプロピレン−オレフィン共重合体部分の量が相対的に多いプロピレン−オレフィンブロック共重合体や、プロピレンを主体とした重合体部分とプロピレン−オレフィン共重合体部分の固有粘度差を比較的少なくしたプロピレン−オレフィンブロック共重合体を高重合活性で、連続的に長期間安定して得ることが不可能であるとの課題を有していた。
【0009】
本発明者らは、上記従来技術の有する課題を解決するプロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造方法について鋭意研究した。
その結果、先の発明を改良し、特定の組成式で示されるマグネシウム化合物とアルコールの溶融混合物を冷却したスプレー塔内にスプレーし、アルコールの実質的な蒸発なしに固体成分を得た後、特定の条件下において該固体成分からアルコールを特定量除去して得られる特定のX線回折スペクトルを有する担体に、特定の沸点を有する溶媒の存在下で特定の温度条件にてハロゲン含有チタン化合物および電子供与体を接触させた後、更にハロゲン化チタン化合物を接触して得られる最終固体をオレフィン重合用固体触媒成分として用い、このものに有機アルミニウム化合物、および必要に応じて電子供与体を組み合わせた触媒を用いてプロピレン−オレフィンブロック共重合体を製造する場合には上記従来技術の有する課題を解決することを見いだし、この知見に基づいて本発明に至った。
【0010】
上記の説明から明らかなように本発明の目的は、気相重合に好適な、形状が良好で、大粒径であり、しかも重合時での耐破砕性に優れた新規な固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、および必要に応じて電子供与体を組み合わせた触媒を用いてプロピレン−オレフィンブロック共重合体を連続的に長期間安定して製造する方法を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の(1)ないし(7)の各構成を有する。
(1)a)下記組成式Iで表されるマグネシウム化合物とアルコールの混合物(A)を溶融状態でスプレー塔内にスプレーし、この際スプレー塔内をアルコールの実質的な蒸発なしに下記組成式Iで表される固体成分(B)が得られる温度に冷却することにより固体成分(B)を得た後、該固体成分(B)からアルコールを部分的に除去して、下記組成式IIで表され、且つX線回折において固体成分(B)と比較して、回折角2θ=7〜8度に新規なピークの発生がないこと、または発生しても該新規ピークの強度が、該固体成分(C)のX線回折スペクトルの回折角2θ=8.5〜9度に存在する最大ピークの強度の2.0倍以下であるる固体成分(C)を得、しかる後固体成分(C)に沸点が90〜180℃である脂肪族炭化水素溶媒(S)を用いて、110〜135℃の温度下でハロゲン含有チタン化合物および電子供与体(E1)を接触させて固体成分(D)を得、更に固体成分(D)にハロゲン含有チタン化合物を接触させて得られる固体触媒成分(F)ならびに
MgCl・mROH 組成式I
(但し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、m=3.0〜6.0である。)で示され、
MgCl・nROH 組成式II
(但し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、n=0.4〜2.8である。)で示され、
b)有機アルミニウム化合物(AL)、および必要に応じて
c)電子供与体(E2)
からなるオレフィン重合用触媒を用いて、
第1段目としてプロピレン以外のオレフィンとプロピレンの反応重量比が10/90以下であるプロピレンを主体とした重合体部分を全重合量の20〜95重量%重合し、次いで第2段目としてプロピレン以外のオレフィンとプロピレンの反応重量比が10/90〜90/10の範囲にあるプロピレン−オレフィン共重合体部分を全重合量の80〜5重量%共重合することを特徴とするプロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
(2)沸点が90〜180℃である脂肪族炭化水素溶媒(S)がイソパラフィン混合物である前記第1項に記載の製造方法。
(3)固体触媒成分(F)の平均粒径が50〜300μmである前記第1項、又は第2項に記載の製造方法。
(4)プロピレンを主体とした重合体部分の重合量が全重合量の30〜80重量、プロピレン−オレフィン共重合体部分の重合量が全重合量の70〜20重量%である前記第1項ないし第3項いずれかに記載の製造方法。
(5)プロピレンを主体とした重合体部分の固有粘度[η]PPとプロピレン−オレフィン共重合体部分の固有粘度[η]EP比([η]PP/[η]EP)が0.5〜2である前記第1項ないし第4項いずれかに記載の製造方法。
(6)プロピレンを主体とした重合体部分の重合がバルク重合若しくは気相重合により、かつプロピレン−オレフィン共重合体部分の重合が気相重合により実施される前記第1項ないし第5項いずれかに記載の製造方法。
(7)プロピレンを主体とした重合体部分の重合及びプロピレン−オレフィン共重合体部分の重合がいずれも連続的に実施される前記第1項ないし第6項いずれかに記載の製造方法。
【0013】
本発明の構成と効果について以下詳述する。
本発明において固体触媒成分(F)の製造に使用されるマグネシウム化合物は、無水塩化マグネシウムであり、市販品に含まれる程度の微量の水分を含むものであってもよい。また使用するアルコールは、一般式がROH(Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表せるアルコールである。
具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール等を挙げることが出来る。これらの中では、エタノールが最も好ましい。またこれらのアルコールを2種類以上混合して使用することも可能である。
【0014】
本発明に係る固体触媒成分(F)の製造においては、まず塩化マグネシウムとアルコールの混合物(A)を溶融状態にする。塩化マグネシウムとアルコールの混合量比は、組成式MgCl・mROH(但し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)においてmが3.0〜6.0となるように混合する。より好ましいmの範囲は3.0〜5.8であり、特に好ましいmの範囲は3.0〜5.5である。mが3.0未満であると得られるオレフィン重合用固体触媒成分の形状が悪化することやオレフィン重合活性が低下するといった問題を生じる。また、mが6.0を超えると得られるオレフィン重合用固体触媒成分の耐破砕性が悪化する。
【0015】
上記組成の塩化マグネシウムとアルコールの混合物(A)はこれを加熱することにより溶融状態となる。加熱温度は、混合物が溶融状態になる温度以上なら特に制限はないが、好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜180℃、特に好ましくは110〜160℃である。加熱温度が低すぎると得られるオレフィン重合用固体触媒成分の形状悪化やオレフィン重合活性の低下といった問題を生じる。また加熱温度が高すぎると得られるオレフィン重合用固体触媒成分の耐破砕性が悪化する。
【0016】
かくして得られた溶融状態のマグネシウム化合物とアルコールの混合物はポンプまたは加熱した加圧不活性ガスを用いて、スプレー塔に付帯するスプレーノズルに送入され、該ノズルから冷却されたスプレー塔内にスプレーされる。
不活性ガスとしては窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが用いられるが最も好ましくは窒素が使用される。またスプレーノズルは、溶融状態のマグネシウム化合物とアルコールの混合物をスプレー塔内に分散させる機能を有するが、不活性ガスをスプレー塔内に送入するタイプである二流体ノズルが好ましく用いられる。該スプレーにおいては、ノズルのサイズ、不活性ガスの流量、あるいは溶融状態のマグネシウム化合物とアルコールの混合物のスプレー流量を選定することによって、生成する固体成分(B)の大きさ、あるいは粒度分布を調節することが可能である。
【0017】
本発明に用いる固体触媒成分(F)の製造に係る該スプレーは、冷却されたスプレー塔内に行われるが、その冷却は通常、冷却された不活性ガス、あるいは冷却された不活性液状流体、例えば液体窒素等のスプレー塔内への導入により行われる。また該スプレー時には、冷却した不活性炭化水素溶媒(S1)例えばヘキサンを別ノズルからスプレーし冷却を促進することもできる。該冷却は、アルコールの実質的な蒸発なしに固体成分(B)が得られる温度、つまり塩化マグネシウムとアルコールの混合物(A)と固体成分(B)の組成式が変化しない程度の温度まで行う必要がある。従って、通常はスプレー塔内が−70〜10℃、好ましくは−50〜0℃、特に好ましくは−40〜−5℃である。冷却温度が高すぎる場合はアルコールの蒸発が起こってしまい、得られる固体成分(B)の粒子形状が不良で、しかも不均質なものとなってしまうので本発明の目的を達成することができない。また冷却温度が低すぎるのは実用的でない。
【0018】
前記方法によるスプレー後、得られた固体成分(B)は、スプレー塔底部、あるいはスプレー塔低部に導入された不活性炭化水素溶剤(S1)中に集められる。スプレーに際し必要に応じて使用される不活性炭化水素溶媒(S1)としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、1,2−ジクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素が使用され、好ましくは脂肪族炭化水素、なかでもヘキサンが特に好ましく用いられる。該固体成分(B)の組成は、塩化マグネシウムとアルコールの混合物(A)およびスプレー前の溶融状態の該混合物(A)と同じ組成を有しており、その平均粒径は50〜300μm程度で、形状は球形のものが得られる。
【0019】
本発明に係る上記固体成分(B)の製造に用いる製造装置の1態様を、本発明を説明するために図1に示した。
図1において、配管1、2からマグネシウム化合物とアルコールが加熱ジャケット5を備えた溶融槽4に導入され、マグネシウム化合物とアルコールの混合物(A)は加熱ジャケット5により加熱され溶融状態となる。該溶融状態の混合物(A)は配管3から導入される加圧された窒素によって、保温配管6を経由し、二流体ノズル8から冷却ジャケット10により冷却されたスプレー塔9内に配管7から導入される加熱された窒素と共にスプレーされる。またスプレー塔低部には予め不活性炭化水素溶剤(S1)11が導入され、冷却されている。スプレー塔9内にて溶融混合物(A)が冷却固化して生成した固体成分(B)は、スプレー塔低部の不活性炭化水素溶剤(S1)11中に集められる。
かくして得られた固体成分(B)は不活性炭化水素溶剤(S1)と共に配管12から取り出され、必要に応じて不活性炭化水素溶剤(S1)を分離した後、次工程に送られる。一方ガス成分および該ガスに同伴された固体成分(B)は配管13を経てサイクロン14に導入される。同伴された固体成分(B)は配管15から排出され、ガス成分は配管16から排出される。
【0020】
本発明においては、上記の工程に引き続いて、得られた固体成分(B)からアルコールを部分的に除去して固体成分(C)を得る。
アルコールを部分的に除去する方法としては、公知の種々の方法が使用可能である。たとえば▲1▼固体成分(B)を加熱する方法、▲2▼固体成分(B)を減圧下におく方法、また▲3▼固体成分(B)に大気温度下であるいは加熱した不活性ガスを通気する方法が挙げられる。さらに、これらのアルコールの部分除去方法を組み合わせて用いることも可能である。これらの方法のうち本発明の目的を容易に達成可能な方法としては、▲1▼と▲2▼を組み合わせた方法が好ましく挙げられる。
【0021】
上記の工程によって固体成分(B)からアルコールが部分的に除去されるが、該アルコール部分除去工程後の固体成分(C)の組成が、式MgCl・nROH(但し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)において、nが0.4〜2.8となる範囲に入るように該アルコール部分除去工程の条件を選定する必要がある。より好ましいnの範囲は0.8〜2.5であり、特に好ましいnの範囲は1.0〜2.2である。nが0.4未満であると得られるオレフィン重合用固体触媒成分のオレフィン重合活性が低下する。また、nが2.8を超えると固体成分(C)は次のハロゲン化チタンとの接触工程において破壊され、得られるオレフィン重合用固体触媒成分が不定形の微粉粒子を含むようになる他、耐破砕性が悪化する。
【0022】
本発明の方法に係る固体成分(C)は上記した条件以外に、下記の条件を満足することが必要である。
即ち、固体成分(C)のX線回折スペクトルにおいて、固体成分(B)のX線回折スペクトルと比較して、回折角2θ=7〜8度に新規なピークの発生がないこと、または発生しても該新規ピークの強度が、該固体成分(C)のX線回折スペクトルの回折角2θ=8.5〜9度に存在する最大ピークの強度の2.0倍以下の強度、より好ましくは1.5倍以下の強度、特に好ましくは1.0倍以下であることがその条件である。
該条件を満足することにより、得られるオレフィン重合用固体触媒成分の耐破砕性が更に向上する。
【0023】
上記X線回折スペクトル条件を満足させる既述のアルコール部分除去工程の条件としては、既述した条件以外に、急激なアルコールの除去を避け、比較的低温下での加熱と減圧条件下で行うのが好ましく、該アルコール除去工程の時間も比較的長時間かけることに留意する必要がある。具体的な条件としては、固体成分(B)ないし(C)が流動するような、たとえば振動装置付きの容器を使用し、減圧下において、加熱温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃、最も好ましくは20〜60℃の条件下で、2〜1000時間、好ましくは3〜500時間かけてアルコールの部分除去工程を実施する。
【0024】
本発明の方法においては、上記の方法で得られた固体成分(C)に沸点が90〜180℃である脂肪族炭化水素溶媒(S)の存在下においてハロゲン含有チタン化合物および電子供与体を110〜135℃の温度条件にて接触させて固体成分(D)を得る。
【0025】
固体成分(C)に接触させるハロゲン含有チタン化合物としては、一般式がTi(OR4−u(式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を、Xはハロゲンを表す。またuは0<u≦4の任意の数である。)で表せるハロゲン含有チタン化合物が用いられる。具体的には、四塩化チタン、四臭化チタン、三塩化メトキシチタン、三塩化エトキシチタン、三塩化プロポキシチタン、三塩化ブトキシチタン、三塩化フェノキシチタン、三臭化エトキシチタン、三臭化ブトキシチタン、二塩化ジエトキシチタン、二塩化ジブトキシチタン、二臭化ジエトキシチタン、二臭化ジブトキシチタン、塩化トリエトキシチタン等が挙げられる。これらのハロゲン含有チタン化合物は1種以上が用いられる。また、最も好ましいのは四塩化チタンである。
【0026】
固体成分(C)に接触させる電子供与体(E1)としては、酸素、窒素、硫黄、燐のいずれか1以上の原子を有する有機化合物が用いられる。なかでも、エーテル、アルコール、エステル、アルデヒド、脂肪酸、ケトン、ニトリル、アミン、アミド、イソシアネート、ホスフィン、ホスファイト、酸無水物、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物等の電子供与体が用いられる。これらの電子供与体のうちエステルが好んで用いられる。具体的には、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸イソブチル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル等の脂肪族モノカルボン酸エステル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル等の芳香族モノカルボン酸エステル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、ブチルマレイン酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の脂肪族多価カルボン酸エステル、フタル酸モノメチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジエチル、ナフタリンジカルボン酸ジブチル等の芳香族多価カルボン酸エステルが挙げられる。これらの電子供与体は1種以上が用いられる。また、最も好ましいのは芳香族多価カルボン酸エステルである。
【0027】
固体成分(C)に上記のハロゲン含有チタン化合物および電子供与体(E1)を接触させる際には、沸点が90〜180℃である脂肪族炭化水素溶媒(S)を用いる。ここで沸点が90〜180℃である溶媒とは、該溶媒の蒸気圧が標準大気圧(1.01325×10Pa)と等しくなる温度が90〜180℃となる溶媒との意味である。
このような脂肪族炭化水素溶媒は具体的には、沸点が90〜180℃の脂肪族炭化水素であれば飽和、不飽和あるいはハロゲン化物でも使用可能であるが、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のn−パラフィン、2,2,3,3−テトラメチルブタン、2−エチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルヘキサン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、等のイソパラフィン、あるいはこれらの混合物等が好ましく用いられ、特に好ましいのはイソパラフィンの混合物である。 該イソパラフィンの混合物は例えばアイソパーC(沸点範囲:97〜104℃)アイソパーE(沸点範囲:116〜142℃)、アイソパーG(沸点範囲:160〜174℃)の商品名でエクソン化学株式会社より市販されており、容易に入手することが可能である。
【0028】
固体成分(C)、ハロゲン含有チタン化合物、電子供与体(E1)および溶媒(S)のそれぞれの使用量を以下に示す。固体成分(C)中のMgCl1モルに対してハロゲン含有チタン化合物を1〜100モル、好ましくは3〜50モル使用する。電子供与体(E1)は固体成分(C)中のMgCl1モルに対して0.01〜1.0モル、好ましくは0.01〜0.8モル使用する。また、溶媒(S)は固体成分(C)1kgに対して5〜100dm、好ましくは5〜70dm使用する。
【0029】
固体成分(C)へのハロゲン含有チタン化合物および電子供与体(E1)の接触の順序は特に限定されないが、溶媒(S)中に固体成分(C)を懸濁させた後、まずハロゲン含有チタン化合物を接触させた後、電子供与体(E1)を接触させる方法が好ましい。
【0030】
固体成分(C)にハロゲン含有チタン化合物および電子供与体(E1)を接触させる際の条件として、接触温度は、110〜135℃、好ましくは115〜135℃、最も好ましくは120〜135℃である。該接触温度が高すぎても低すぎても得られるオレフィン重合用触媒成分のオレフィン重合活性が低下する。接触時間は5分間〜20時間、好ましくは10分間〜15時間、最も好ましくは10分間〜10時間である。
【0031】
上記の工程において、固体成分(C)にハロゲン含有チタン化合物および電子供与体(E1)を接触して得られた固体成分(D)は、濾別またはデカンテーション等の方法により分離され、引き続いてハロゲン含有チタン化合物と接触される。
【0032】
固体成分(D)に接触させるハロゲン含有チタン化合物としては、既述の固体成分(C)と接触させるのに使用したものと同様な一般式がTi(OR4−u(式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を、Xはハロゲンを表す。またuは0<u≦4の任意の数である。)で表せるハロゲン含有チタン化合物が用いられ、四塩化チタンが最も好ましく用いられる。
【0033】
固体成分(D)に上記のハロゲン含有チタン化合物を接触させる際には、本発明の目的をより効果的に達成するために溶媒(S2)を使用することがより好ましい態様である。
溶媒(S2)としては、既述のスプレー工程時において必要に応じて使用される不活性炭化水素溶媒(S1)として挙げたものや、固体成分(D)を得る際に使用される脂肪族炭化水素溶媒(S)として挙げたものと同様な炭化水素溶媒が使用可能であるが、好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が用いられ、特に好ましくはトルエンが用いられる。該溶媒、特に芳香族炭化水素の使用は、得られるオレフィン重合用触媒のオレフィン重合活性がより向上する効果を導く。
【0034】
固体成分(D)、ハロゲン含有チタン化合物、および溶媒(S2)のそれぞれの使用量を以下に示す。固体成分(D)中のMgCl1モルに対してハロゲン含有チタン化合物を1〜100モル、好ましくは3〜50モル使用する。また、溶媒(S)は固体成分(D)1kgに対して0〜100dm、好ましくは5〜70dm使用する。
【0035】
固体成分(D)にハロゲン含有チタン化合物を接触させる際の条件として、接触温度は、110〜135℃、好ましくは115〜135℃、最も好ましくは120〜135℃であり、接触時間は5分間〜20時間、好ましくは10分間〜15時間、最も好ましくは10分間〜10時間である。
【0036】
固体成分(D)へのハロゲン含有チタン化合物の接触終了後は、濾別またはデカンテーション等の方法により得られた固体を分離し、不活性炭化水素溶媒(S3)で分離固体を洗浄し、未反応物あるいは副生物等を除去し、最終のオレフィン重合用固体触媒成分である固体触媒成分(F)が得られる。
洗浄に使用する不活性炭化水素溶媒(S3)としては既述の不活性炭化水素溶媒(S1)として挙げられたものと同様な不活性炭化水素溶媒が使用可能である。
【0037】
かくして、得られた固体触媒成分(F)の平均粒径は固体成分(C)の平均粒径に依存しており、後続工程において多少の粒径の縮小はおこるが、通常、固体成分(C)の平均粒径の90〜100%の平均粒径を示す。ここで本発明の目的を達成するのに好ましい固体触媒成分(F)の平均粒径としては30〜300μm、より好ましくは50〜200μm、特に好ましくは60〜150μmである。
【0038】
上記した本発明の方法によって得られた固体触媒成分(F)は公知のオレフィン重合用固体触媒成分と同様に、有機金属化合物触媒成分、好ましくは有機アルミニウム化合物(AL)、および必要に応じて電子供与体(E2)と組み合わせてオレフィン重合用触媒として、本発明のプロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造に用いるか、更に好ましくは該触媒にオレフィンを少量反応させて予備活性化した触媒としてオレフィンの重合に用いる。
【0039】
本発明に係るオレフィン重合用触媒に用いられる有機金属化合物触媒成分である有機アルミニウム化合物(AL)としては、一般式がAlR 3−(p+q)(式中、R、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アリ−ル基等の炭化水素基またはアルコキシ基を、Xはハロゲンを表わし、またp、qは0<p+q≦3の任意の数を表わす。)で表わされる有機アルミニウム化合物が好ましく使用される。
【0040】
その具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−プロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、トリイソヘキシルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジn−プロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムアイオダイド等のジアルキルアルミニウムモノハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキクロライド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロライド等のモノアルキルアルミニウムジハライドなどがあげられ、他にジエトキシモノエチルアルミニウム等のアルコキシアルキルアルミニウムを用いることもできる。
これらのうちで好ましいのは、トリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムモノハライドであり、最も好ましいのはトリアルキルアルミニウムである。また、これらの有機アルミニウム化合物は1種だけでなく2種類以上を混合して用いることもできる。
【0041】
また、本発明のオレフィン重合用触媒として必要に応じて使用される電子供与体(E2)としては、通常のオレフィン重合の際に得られるオレフィン重合体の立体規則性をコントロールする目的で必要に応じて使用される公知の電子供与体が用いられ、具体的には既述の電子供与体(E1)として挙げられたものと同様な電子供与体が用いられ、特に好ましいのはSi−O−C結合を有する化合物である。具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの電子供与体は1種だけでなく2種以上を混合して用いることもできる。
【0042】
本発明に係るオレフィン重合用触媒を構成する、各触媒成分の使用量は通常公知の各触媒成分を組み合わせてオレフィン重合用触媒として、オレフィン重合に使用する場合と同様である。具体的には本発明の方法で得られた固体触媒成分中のTi原子1モルに対し、有機アルミニウム化合物(AL)中のAl原子が1〜2000モル、好ましくは5〜1000モルとなるように有機アルミニウム化合物(AL1)を、また有機アルミニウム化合物(AL)中のAl原子1モルに対し、電子供与体(E2)を0〜10モル、好ましくは0.01〜5モル使用する。
【0043】
また、予備活性化に用いられるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等の直鎖モノオレフィン類、4−メチルペンテン−1、2−メチルペンテン−1等の枝鎖モノオレフィン類等である。
これらのオレフィンは、重合対象であるオレフィンと同じであっても異なっていても良く、また2種以上のオレフィンを混合して用いることもできる。
【0044】
既述した本発明の方法によるオレフィン重合用固体触媒成分(F)、また有機アルミニウム化合物(AL)、および必要に応じて電子供与体(E2)を組み合わせた本発明に係るオレフィン重合用触媒、若しくは該触媒にオレフィンを少量反応させて予備活性化した触媒を用いるプロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造プロセスは限定されず、溶媒中で行う懸濁重合やバルク重合のような液相重合にも好適であるが、プロピレンを主体とした重合体部分の重合がバルク重合若しくは気相重合により、かつプロピレン−オレフィン共重合体部分の重合が気相重合により実施される場合には本発明の方法によるオレフィン重合用触媒の長所が特に発揮される。また、該プロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造に際しては予備活性化した触媒を用いるのが好ましい使用形態である。
【0045】
予備活性化は、既述の各触媒成分を組み合わせた触媒の存在下において、固体触媒成分(F)1gに対し、オレフィンを0.05g〜5,000g、好ましくは0.05g〜3,000gを用いて、0℃〜100℃で1分〜20時間オレフィンを反応させ、固体触媒成分(F)1g当り0.01g〜2,000g、好ましくは0.05g〜500gのオレフィン重合体を生成させることが望ましい。
【0046】
かくして得られた触媒、若しくは予備活性化された触媒は本発明のプロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造に用いられる。
第1段目のプロピレンを主体とした重合体部分の重合はスラリ−重合、バルク重合や気相重合のいずれでもよいが、高い重合活性が得られる点でバルク重合や気相重合が好ましく、また第2段目のプロピレン−オレフィン共重合体部分の重合は気相重合が好ましい。スラリ−重合やバルク重合ではプロピレン−オレフィン共重合体部分が溶媒中に溶出し、相対的にプロピレン−オレフィン共重合体部分の含有量が高いプロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造が困難となる他、連続した安定運転の継続が難しい。
【0047】
第1段目のプロピレンを主体とした重合体部分の重合条件は重合形式で異なるが、気相重合法の場合、一定量のパウダ−を混合攪拌しながら上記の方法で得られたオレフィン重合用触媒、若しくは予備活性化された触媒を重合温度20〜120℃、好ましくは40〜100℃の条件下,重合圧力大気圧〜9.9MPa、好ましくは0.59MPa〜5.0MPaの条件下で、プロピレン若しくはプロピレンとプロピレン以外のオレフィンを供給して、プロピレン以外のオレフィンとプロピレンの反応重量比が通常10/90以下であるプロピレンを主体とした重合体部分が全重合量の20〜95重量%となるように重合する。
【0048】
なお、最終的に得られるプロピレン−オレフィンブロック共重合体の高い剛性を維持したい場合には、プロピレンを主体とした重合体部分のプロピレン以外のオレフィンとプロピレンの反応重量比を好ましくは5/95以下、特に好ましくは3/97以下となるように重合し、また最終的に得られるプロピレン−オレフィンブロック共重合体の耐衝撃性の向上を望む場合には、プロピレンを主体とした重合体部分が好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは20〜70重量%となるように重合する。
該PP成分の分子量の調節は重合時に水素のような分子量調節剤が使用され、PP成分の固有粘度が所望の値([η]PP)となるように実施される。
【0049】
第1段目の重合に引き続いて、第2段目において重合温度通常20〜120℃、好ましくは40〜100℃の条件下,重合圧力大気圧〜9.9MPa、好ましくは0.59MPa〜5.0MPaの条件下でプロピレンとプロピレン以外のオレフィンの混合単量体を共重合することによりプロピレン−オレフィン共重合体部分が生成される。本発明の方法においてはプロピレン−オレフィン共重合体部分中のプロピレン以外のオレフィン含量は混合単量体中のプロピレン以外のオレフィンとプロピレンのモル比をコントロ−ルすることにより、プロピレン−オレフィン共重合体部分中のプロピレン以外のオレフィンとプロピレンの反応重量比が10/90〜90/10となるように、また全重合量に対するプロピレン−オレフィン共重合体部分の共重合量が5〜80重量%となるように調節する。
【0050】
なお、最終的に得られるプロピレン−オレフィンブロック共重合体の耐衝撃性の向上を望む場合には、プロピレン−オレフィン共重合体部分中のプロピレン以外のオレフィンとプロピレンの反応重量比が好ましくは20/80〜75/25、特に好ましくは25/75〜65/35となるように調節し、また、プロピレン−オレフィン共重合体部分の全重合量に対する重量割合が20〜80重量%、特に好ましくは30〜80重量%となるように調節する。
ここで、プロピレンを主体とした重合体部分及びプロピレン−オレフィン共重合体部分の重合割合は、第1段目、第2段目それぞれの重合時間の調節や、第2段目の共重合時に一酸化炭素や硫化水素等の触媒の重合活性調節剤を使用する公知の方法により調節される。
【0051】
更に、プロピレン−オレフィン共重合体部分の分子量の調節は重合時に水素のような分子量調節剤が使用され、該EP成分の固有粘度が所望の値([η]EP)となるように実施されることは第1段目と同様である。
なお、最終的に得られるプロピレン−オレフィンブロック共重合体のフィッシュアイ(FE)の低減や、衝撃難白化性の向上、折り曲げ難白化性の向上、成形収縮率の低減等を望む場合には、プロピレンを主体とした重合体部分の固有粘度[η]PPとプロピレン−オレフィン共重合体部分の固有粘度[η]EP比([η]PP/[η]EP)が0.5〜2、好ましくは0.6〜1.8、特に好ましくは0.6〜1.6T6なるように調節する。
【0052】
上記プロピレン−オレフィン共重合体部分の固有粘度[η]EPは直接測定できない。そこで下記式(1)に基づいてプロピレン−オレフィン共重合体部分の固有粘度[η]EPを求めた。なお[η]は全ブロック共重合体の固有粘度[η]を、[η]PPはプロピレンを主体とした重合体部分の固有粘度[η]PPを、またWPPは全重合量に対するプロピレンを主体とした重合体部分の重合割合(重量%)を表す。
[η]EP=(100×[η]−WPP×[η]PP)/(100−WPP
【0053】
本発明の方法においてプロピレンとの共重合に供せられるオレフィンは、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の直鎖モノオレフィン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、2−メチルペンテン−1などの枝鎖モノオレフィンのみならず、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジオレフィン、アリルトリメチルシラン、およびスチレンなどが挙げられる。中でも直鎖モノオレフィンとジオレフィンが好ましく用いられ、特に好ましくはエチレン、ブテン−1が用いられる。
またプロピレンと共重合させるこれらのオレフィンは1種のみならず、相互に他のオレフィンと組み合わせて用いることも可能である。
【0054】
本発明の方法において上記の第1及び第2段目の重合は、それぞれ一槽以上の重合器を使用することが可能である。また回分式、反連続式あるいは連続式のいずれでもよいが、工業的には第1、及び第2段目いずれもが連続的に実施されることが生産性の面から好ましい。
【0055】
本ブロック共重合の終了後には、気相重合の場合重合系から未反応単量体及び水素を分離して粒子状ブロック重合体を得ることができる。
かくして本発明の方法で得られたプロピレン−オレフィンブロック共重合体は、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤等の各種添加剤、更には種々の合成樹脂を配合した後、通常は溶融混練機を用いて190〜350℃にて20秒〜30分間程度加熱溶融混練され、必要に応じてストランド状に押し出された後に、更に細断されて粒状体すなわちペレットの形態で成形用材料として供される。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を上げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例、比較例において用いられている用語の定義および測定方法は以下の通りである。
▲1▼X線回折スペクトル:X線源がCu−Kα線である日本電子(株)製X線回折装置JDX8200Tを用い、管電圧50KV、管電流150mAにて測定した。
▲2▼固体成分の粒度分布:マルバーン・インスツルメント社製レーザー光回折法による粒度分布測定装置(マスターサイザーMS20)を用い、固体成分をミネラルオイル中に分散させて該固体成分の粒度分布を測定した。
▲3▼平均粒径:上記(2)に従って粒度分布を測定し各粒度毎の固体成分の体積を積算し、該積算体積が全体の50%の時の粒径を示す。(単位:μm)
▲4▼スパン:上記(3)と同様に積算体積が全体の90%時の粒径をD0.9、同様に積算体積が全体の10%時の粒径をD0.1、上記(3)の平均粒系をD0.5と表した場合に次式 スパン=(D0.9−D0.1)/D0.5 で定義する。粒度分布の程度を示す指標であり、スパンが大きいと粒度分布は広く、スパンが小さいと粒度分布が狭いことを示す。
▲5▼重合活性:オレフィン重合用固体触媒成分1kg当りの重合オレフィン量(kg)を示し、オレフィン重合活性の尺度である。(単位:kg・ポリマー/kg・固体触媒成分)
▲6▼BD:かさ密度を示す。(単位:kg/m
▲7▼固有粘度:135℃の温度条件下、溶媒としてテトラリン(テトラクロロナフタレン)を用い,三井東圧社製自動粘度測定装置AVS2型を使用して求めた。(単位:dl/g)
【0057】
▲8▼折り曲げ難白化性:ブロック共重合体粒子100重量部にフェノ−ル系熱安定剤0.1重量部及びステアリン酸カルシウム0.1重量部を加え高速攪拌式混合機(註,ヘンシェルミキサ−、商品名)で室温(23℃)下に10分混合し、該混合物をスクリュ−口径40mmの押出造粒機を用いて造粒した。ついで、該造粒物を射出成形機で溶融樹脂温度230℃,金型温度50℃でJIS形のテストピ−スを作製し、該テストピ−スにつき、湿度50%、温度23℃の室内で72時間状態調整した。
▲9▼成形収縮率:成形機の金型の全長から上記(7)と同条件で調整した引っ張り試験片(JIS K7113引っ張り試験片)の全長の長さを減じた長さと金型の長さの比を100倍した下記式より求めた。(単位:%)
成形収縮率(%)=100×(金型の全長−試験片の全長)/金型の全長
【0058】
実施例1
(1)固体成分(c)の製造
まず、図1に示す装置を用い、固体成分(b)を製造した。
窒素置換した内容積60dmのステンレス製溶融槽4に、配管1から無水MgClを8kg、配管2から乾燥エタノール15.5kgをそれぞれ導入した。
この混合物(A)を攪拌しながら、ジャケット5に加熱水蒸気を通すことにより130℃に加熱された、組成がMgCl・4.0EtOHである溶融状態の混合物(A)を得た。更に2時間攪拌後、配管3から130℃に加熱した窒素を溶融槽4に導入し、該溶融槽4の気相部の圧力を0.5MPaに高めた。引き続いて均一な溶融混合物(A)を15kg/hの速度で配管6を経由し、二流体ノズル8により、冷却されたスプレー塔9内へ、配管7から導入された130℃の加熱窒素と共にスプレーした。
該スプレー塔9には−15℃に冷却されたn−ヘキサン250dmが予め導入してあり、スプレー中はこの温度を維持するため、およびスプレー塔9内を冷却するために−30℃の冷媒をスプレー塔9に付帯したジャケット10に流した。ノズル8の形式は小型精密二流体ノズル(BNー90、静東共立商会製)で、また配管7から導入された加熱窒素の流量は40dm/minであった。溶融混合物(A)が冷却固化して生成した固体成分(b)はスプレー塔9内の底部に導入された冷却n−ヘキサン11中に集められた。固体成分(b)とn−ヘキサンを配管12から系外に取り出した後、n−ヘキサンを分離し、18.8kgの固体成分(b)を得た。得られた固体成分(b)の分析結果から、この固体成分(b)の組成は溶融混合物(A)と同じMgCl・4.0EtOHであった。また形状は球形であり、平均粒径は130μm、スパンは1.5であった。
【0059】
得られた固体成分(b)18.8kg中のエタノールを部分的に除去するために内容積450dmの減圧乾燥器に移し、267Paの減圧下において、35℃で20時間、更に45℃で4時間、引き続いて50℃で24時間乾燥して固体成分(c)を11.5kg得た。分析結果からこの固体成分(c)の組成はMgCl・1.7EtOHであった。該固体成分(c)について、篩を用いて65μm未満の小粒子及び180μmより大きい粒子を除去し、平均粒径120μm、スパン0.9の固体成分(c)8.6kgを得た。
【0060】
スプレーして得られた固体成分(b)(MgCl・4.0EtOH)のX線回折スペクトルを図2に示した。また部分的にエタノールを除去した固体成分(c)(MgCl・1.7EtOH)のX線回折スペクトルを図3に示した。回折角2θ=7〜8度に新規なピークは現れていなかった。
【0061】
(2)オレフィン重合用固体触媒成分の製造
コンデンサーおよび濾過装置を付帯した内容積110dmのステンレス製反応器に固体成分(c)8.6kg、イソパラフィン混合物であるアイソパーE(エクソン化学株式会社製)37dm、ハロゲン含有チタン化合物として四塩化チタン74kgを入れた。反応器内の混合物を攪拌しながら加熱し100℃に達した時点で電子供与体(E1)としてフタル酸ジイソブチル1.8kgを加えた。更に反応器内を127℃にし、1.5時間同温度にて接触処理した。処理時間経過後、濾過により液相部を除去した。次にトルエン37dm、四塩化チタン74kgを加えて120℃で1時間加熱した後、濾過により液相部を除いた。
しかる後、トルエン70dmを加え、115℃で0.5時間加熱した後、液相部を除去し、n−ヘキサンを1回あたり50dm使用し、3回洗浄して、最終のオレフィン重合用固体触媒成分である固体触媒成分(f)6.0kgを得た。得られた固体触媒成分(f)は球形であり、平均粒径は115μmで、スパンは1.0であった。また固体触媒成分(f)のチタン含有量は2.0重量%、マグネシウム含有量は19.1重量%であった。
【0062】
(3)プロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造
傾斜羽根付き攪拌機を備えた内容積20dmのステンレス製反応器を窒素で置換した後、該反応器にn−ヘプタンを18dm、トリエチルアルミニウム150mmol、ジイソプロピルジメトキシシラン22mmol、および上記(2)で得た固体触媒成分(E)180gを室温で加えた後、40℃まで加熱後、プロピレン分圧0.03MPaで3時間反応させ、予備活性化触媒を得た。(固体触媒成分(f)1g当りプロピレン3.0g反応)
【0063】
撹拌羽根を有する第1段目の横型重合器(L/D=6、内容積100dm)に、重合開始時のみ500μm以下の重合体粒子を除去したポリプロピレン粉末(平均粒径1500μm)を25kg導入し、更に上記の予備活性化触媒を固体触媒成分(f)として0.5g/h、またトリエチルアルミニウムおよびジイソプロピルジメトキシシランの15重量%n−ヘキサン溶液を固体触媒成分(f)中のTi原子1モルに対し、それぞれモル比が90および15となるように配管1より連続的に供給した。
また、重合器内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が0.0046となるように循環配管2より水素を、重合器内の全圧力が2.5MPaを保つように配管3からプロピレンをそれぞれ重合器内に供給した。他の反応条件は温度70℃、撹拌速度40rpmで行った。また重合反応熱は配管3から供給される原料プロピレンの気化熱により除去した。重合器から排出される未反応ガスは配管4を通して反応器系外で冷却、凝縮させて本重合工程に還流された。
本重合器で得られたプロピレンを主体とした重合体部分(以下PP成分と略称することがある。)は、重合体の保有レベルが反応容積の50容積%となる様に配管6を通して第1段目の重合器から抜き出された。この時、配管5からPP成分の一部を間欠的に抜き出して、重合体の粒度、重合体の固有粘度および重合体中のMg分の誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP法)を行い触媒単位重量当りの重合体収量を求めるのに供した。
【0064】
上記の第1段目の重合器に直列に連結された、撹拌羽根を有する第2段目の横型重合器(L/D=6、内容積100dm)を用いて、配管6から連続的に供給される触媒を含んだPP成分の存在下にエチレンとプロピレンの共重合を行った。反応条件は撹拌速度40rpm、温度65℃、圧力2.1MPa、重合器内気相部のガス組成はエチレン/プロピレンモル比=0.30、水素/エチレンモル比=0.01であった。プロピレン−オレフィン共重合体部分(以下EP成分と略称することがある。)の重合量を調節するために重合活性抑制剤として一酸化炭素、またEP成分の分子量を調節するため水素ガスを配管8よりそれぞれ供給した。
反応熱は配管7から供給される原料液状プロピレンの気化熱で除去した。
重合器から排出される未反応ガスは配管10を通して反応器系外で冷却、凝縮させて本共重合工程に循環配管9より還流させた。該共重合工程で生成されたプロピレン系ブロック共重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の50容積%となるように配管11で重合器から11kg/hにて抜き出された。抜き出されたプロピレン−エチレンブロック共重合体は未反応の単量体及び水素を分離し、続いて水蒸気を5容積%含む窒素ガスにより100℃にて30分間接触処理後、本発明の方法によるプロピレン−エチレンブロック共重合体粒子として得た。
【0065】
上記のプロピレン−エチレンブロック共重合は連続して170時間実施されたがこの間製造上のトラブルは発生せず、また重合終了後に重合系内を点検したが重合体による配管詰まり、攪拌機や重合器壁への重合体付着、あるいは重合器内への塊状重合体の蓄積といったことは見られず、更に長期間の運転が可能であることが判明した。
【0066】
比較例1
(1)固体成分(c)の製造
実施例1の(1)と同様にして固体成分(b)18.8kgを得た。
得られた固体成分(b)18.8kg中のエタノールを部分的に除去する際の条件を267Paの減圧下において、60℃で2時間、70℃で3時間、80℃で3.5時間行った以外は実施例1の(1)と同様に行い、固体成分11.5kgを得た。該固体成分について、篩を用いて65μm未満の小粒子及び180μmより大きい粒子を除去し、平均粒径115μm、スパン1.2の固体成分6.9kgを得た。引き続いて上記の固体成分(b)を得る操作および減圧乾燥と篩分けを別途同様に繰り返し、固体成分を併せて13.8kg得た。
【0067】
部分的にエタノールを除去した上記固体成分の組成はMgCl・1.7EtOHであった。また該固体成分のX線回折スペクトルを図4に示した。回折角2θ=7.6度に新規ピークが現れており、該新規ピークの強度は回折角2θ=8.8度のピークの強度の3.0倍であった。
【0068】
(2)オレフィン重合用固体触媒成分の製造
実施例1の(2)において、固体成分(c)に代えて上記の方法で得た篩分け後の固体成分を8.6kg使用すること以外は同様にして、最終の固体触媒成分を6.0kg得た。得られた最終の固体触媒成分の平均粒径は80μmでスパンは1.5であった。
【0069】
(3)プロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造
実施例1の(3)において固体触媒成分(f)に代えて上記(2)で得た最終の固体触媒成分を用いること以外は同様にして予備活性化触媒を得た。
得られた予備活性化触媒を用いて実施例1の(3)と同様にプロピレン−エチレンブロック共重合を行ったところ、共重合体粒子の流動性が悪化し粘着性を帯びてきたため、重合開始後74時間経過した時点で第2段目の重合器から共重合体が抜き出せなくなり、ブロック共重合体の製造を中止した。
製造中止後に重合系内を点検したところ重合体による配管4及び8の詰まり、攪拌機や重合器壁への重合体付着が見られ、また重合器内への塊状重合体の蓄積が観察された。
【0070】
比較例2
(1)オレフィン重合用固体触媒成分の製造
攪拌機付きステンレス製反応器中において、デカン37.5リットル、無水塩化マグネシウム7.14kg、および2−エチル−1−ヘキサノール35.1リットルを混合し、攪拌しながら140℃に4時間加熱反応を行って均一な溶液とした。この均一溶液中に無水フタル酸1.67kgを添加し、さらに130℃にて1時間攪拌混合を行い、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解した。
得られた均一溶液を室温(23℃)に冷却した後、この均一溶液を−20℃に保持した四塩化チタン200リットル中に3時間かけて全量滴下した。滴下後、4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル5.03リットルを添加し、2時間110℃にて攪拌保持して反応を行った。
【0071】
2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、固体部を275リットルの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、反応を持続した。
反応終了後、再び熱濾過により固体部を採取し、n−ヘキサンにて、洗浄液中に遊離のチタンが検出されなくなるまで充分洗浄した。続いて、濾過により溶媒を分離し、固体部を減圧乾燥してチタン2.4重量%、マグネシウム17.1重量%を含有するオレフィン重合用固体触媒成分を得た。
該固体触媒成分の平均粒径は22μm、スパンは1.0であった。
【0072】
(2)プロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造
実施例1の(3)において固体触媒成分(f)に代えて上記(1)で得た最終の固体触媒成分を用いること以外は同様にして予備活性化触媒を得た。
得られた予備活性化触媒を用いて実施例1の(3)と同様にプロピレン−エチレンブロック共重合を行ったところ、共重合体粒子の流動性が悪化し粘着性を帯びてきたため、重合開始後8時間経過した時点で第2段目の重合器から共重合体が抜き出せなくなり、ブロック共重合体の製造を中止した。
製造中止後に重合系内を点検したところ重合体による配管4及び8の詰まり、攪拌機や重合器壁への重合体付着が見られ、また重合器内への塊状重合体の蓄積が観察された。
【0073】
実施例2、3及び参考例1
実施例1の(3)において、第1段目及び第2段目の重合条件を表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様に実施し、プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造した。
【0074】
以上の実施例1〜3、比較例1、2及び参考例1についての製造条件、重合結果、及び品質評価結果について表1に示した。
【0075】
【表1】
Figure 0003580001
【0076】
【発明の効果】
本発明の主要な効果は、上記の各実施例で明らかなように、本発明の方法で得られた固体触媒成分をオレフィン重合用触媒成分として、プロピレン−オレフィンブロック共重合に適用すると、従来その連続的安定製造が困難であったプロピレン−オレフィン共重合体部分の量が相対的に多いプロピレン−オレフィンブロック共重合体や、プロピレンを主体とした重合体部分とプロピレン−オレフィン共重合体部分の固有粘度差を比較的少なくしたプロピレン−オレフィンブロック共重合体を高重合活性で、連続的に長期間安定して得ることが可能なことである。
【0077】
一方、本発明の方法以外の方法で得られた固体触媒成分をオレフィン重合用触媒成分として、プロピレンオレフィン重合に適用すると、微粉重合体の発生や粘着性重合体が生成する結果、運転上の問題が生じるため、特にプロピレン−オレフィン共重合体部分の量が相対的に多いプロピレン−オレフィンブロック共重合体や、プロピレンを主体とした重合体部分とプロピレン−オレフィン共重合体部分の固有粘度差を比較的少なくしたプロピレン−オレフィンブロック共重合体においては、連続的製造そのものが困難となってしまう(比較例1〜3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明するための固体成分(B)の製造装置の工程図である。
【符号の説明】
1:原料供給管
2:原料供給管
3:加圧窒素供給管
4:溶融槽
5:加熱ジャケット
6:溶融混合物(A)輸送管
7:加熱窒素供給管
8:二流体ノズル
9:スプレー塔
10:冷却ジャケット
11:不活性炭化水素溶剤(S1)
12:固体成分(B)収得配管
13:ガス排出管
14:サイクロン
15:ガス同伴固体成分(B)排出管
16:ガス排出管
【図2】実施例1で得られた固体成分(b)のX線回折スペクトルを示す。
【図3】実施例1で得られた固体成分(c)のX線回折スペクトルを示す。
【図4】比較例1で得られた固体成分(MgCl・1.7EtOH)のX線回折スペクトルを示す。
【図5】本発明の方法を説明するためのプロピレン−オレフィンブロック共重合体連続製造装置の工程図である。
【符号の説明】
17:触媒供給管
18:循環配管
19:原料供給管
20:未反応ガス排出管
21:第1段目重合器
22:PP成分抜き出し移送管
23:原料供給管
24:水素、活性抑制剤供給管
25:循環配管
26:未反応ガス排出管
27:共重合体抜き出し管
28:第2段目重合器
【図6】本発明の方法を説明するためのオレフィン重合用触媒のフローチャートである。

Claims (7)

  1. a)下記組成式Iで表されるマグネシウム化合物とアルコールの混合物(A)を溶融状態でスプレー塔内にスプレーし、この際スプレー塔内をアルコールの実質的な蒸発なしに下記組成式Iで表される固体成分(B)が得られる温度に冷却することにより固体成分(B)を得た後、該固体成分(B)からアルコールを部分的に除去して、下記組成式IIで表され、且つX線回折において固体成分(B)と比較して、回折角2θ=7〜8度に新規なピークの発生がないこと、または発生しても該新規ピークの強度が、該固体成分(C)のX線回折スペクトルの回折角2θ=8.5〜9度に存在する最大ピークの強度の2.0倍以下である固体成分(C)を得、しかる後固体成分(C)に沸点が90〜180℃である脂肪族炭化水素溶媒(S)を用いて、110〜135℃の温度下でハロゲン含有チタン化合物および電子供与体(E1)を接触させて固体成分(D)を得、更に固体成分(D)にハロゲン含有チタン化合物を接触させて得られる固体触媒成分(F)ならびに
    MgCl2・mROH 組成式I
    (但し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、m=3.0〜6.0である。)で示され、
    MgCl2・nROH 組成式II
    (但し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、n=0.4〜2.8である。)で示され、
    b)有機アルミニウム化合物(AL)、および必要に応じて
    c)電子供与体(E2)
    からなるオレフィン重合用触媒を用いて、
    第1段目としてプロピレン以外のオレフィンとプロピレンの反応重量比が10/90以下であるプロピレンを主体とした重合体部分を全重合量の20〜95重量%重合し、次いで第2段目としてプロピレン以外のオレフィンとプロピレンの反応重量比が10/90〜90/10の範囲にあるプロピレン−オレフィン共重合体部分を全重合量の80〜5重量%共重合することを特徴とするプロピレン−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
  2. 沸点が90〜180℃である脂肪族炭化水素溶媒(S)がイソパラフィン混合物である請求項1に記載の製造方法。
  3. 固体触媒成分(F)の平均粒径が50〜300μmである請求項1、又は2に記載の製造方法。
  4. プロピレンを主体とした重合体部分の重合量が全重合量の30〜80重量、プロピレン−オレフィン共重合体部分の重合量が全重合量の70〜20重量%である請求項1ないし3いずれかに記載の製造方法。
  5. プロピレンを主体とした重合体部分の固有粘度[η]PPとプロピレン−オレフィン共重合体部分の固有粘度[η]EP比([η]PP/[η]EP)が0.5〜2である請求項1ないし4いずれかに記載の製造方法。
  6. プロピレンを主体とした重合体部分の重合がバルク重合若しくは気相重合により、かつプロピレン−オレフィン共重合体部分の重合が気相重合により実施される請求項1ないし5いずれかに記載の製造方法。
  7. プロピレンを主体とした重合体部分の重合及びプロピレン−オレフィン共重合体部分の重合がいずれも連続的に実施される請求項1ないし6いずれかに記載の製造方法。
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