JP3579563B2 - ペースト加工用塩化ビニル系樹脂及び該樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はペースト加工用塩化ビニル系樹脂に関し、詳しくは発泡成形に際し、白度が高く、高倍率である発泡体を得るのに適したペースト加工用塩化ビニル系樹脂及び該樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、樹脂組成物、特に、室内装飾材料の製造に用いる発泡性樹脂組成物に関する。
従来、壁、天井等の室内装飾は、織物類の貼りつけ、吹きつけ塗装等により行われて来たが、近年は難燃性、意匠性、施工性、感触、経済性等の点で優秀な塩化ビニル樹脂製シート材料が多用されている。特に、最近は、発泡剤を含む同樹脂組成物を用い、組成物を2〜10倍に発泡せしめた後エンボス加工等を行い、意匠を付加する方法によるものが立体感で優れ、好まれている。
上記塩化ビニル樹脂製装飾材料の製法はふたつに大別される。
第一の方法は、懸濁重合法で得られる平均粒径80〜200μmの塩化ビニル系重合体を基にし、これに可塑剤、顔料、充填剤、発泡剤、安定剤、難燃剤等を配合した組成物を難燃紙上にカレンダー加工により展延し、加熱発泡し、発泡体シートを得る。また、しばしば更にこのシートの冷却前あるいは冷却後、赤外線ヒーター等により再度加熱した後にエンボス加工を行って凹凸模様のある発泡体シートを得る方法である。
第二の方法は、ペースト加工を利用した方法である。この方法は先ず平均粒径10μm以下であるペースト加工用塩化ビニル系重合体を基にし、これに前記と同様の各種配合剤を配合した組成物を得る。この組成物(ペースト)は、第一の方法のそれと異なり、常温で流動性を有するので、離型紙上に全面にあるいは部分的に、この組成物を塗布する。次に、発泡剤の分解温度以下で加熱し、組成物を固化させ、得られたシート状物に印刷・表面処理等を行い、乾燥させる。この後、発泡剤の分解温度以上に加熱し、発泡させる。この後の工程は、第一の方法と同一である。
【0003】
両者を比較すると、前者の方法では2〜3倍の発泡倍率が安定生産の限度であるのに対し、後者の方法では5倍以上、10倍程度までの高発泡倍率の製品の製造を目指すことができ、より深い凹凸模様の形成を企図することが可能である。また、後者の方法の方が設備投資が少なく、かつ、顧客の多様化した要望に応える少量多品種生産に適しているため、多用される傾向にある。しかしながら、この後者の方法によっても、まだ下記に示すような問題がある。
その第一は、最も一般的に用いられる有機発泡剤であるアゾジカルボアミドは、それ自身黄色であるため、また下記理由で通常の加熱条件では、分解が不充分になり、製品は黄色系を帯びたり、色ムラを生じやすいという難点がある。
第二は、かかるアゾジカルボアミドの分解開始温度が210℃であるのに対して塩化ビニル系樹脂組成物の溶融温度が通常160〜200℃で、両温度に相違があるために生ずる問題である。発泡剤の分解温度を下げるためにしばしば発泡促進剤が添加されるが、一方で加工生産性を上げるために加熱温度を上げて加熱時間の短縮がなされるので、発泡剤の分解温度と樹脂組成物の溶融温度とが全体では近づいていても、樹脂組成物各成分の分布の僅かな均一性の欠如が発泡セルの粗密として増幅される現象が起きやすいのである。従って、約5〜10倍の高倍率で均一微細な発泡セルを有する製品を短時間に安定的に生産することは必ずしも容易でない。特に、配合原価の低減の目的で炭酸カルシウム等の充填剤を配合した場合は、気泡の粗大化、気泡安定性の悪化が更に顕著となる。
【0004】
本発明の目的は、白度が高く、かつ、高倍率である発泡体を容易に成形することのできる発泡性樹脂組成物の調製に適したペースト加工用塩化ビニル系樹脂及び該樹脂の製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明のこの目的は、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂に特定量の亜鉛を保持させることにより達せられる。すなわち、本発明は(1)水溶性亜鉛塩を亜鉛の量として塩化ビニル系重合体に対して0.01〜1重量%付着保有してなるペースト加工用塩化ビニル系樹脂、(2)ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液に、亜鉛の量が該塩化ビニル系重合体100重量部あたり0.01〜1重量部となる水溶性亜鉛塩を添加混合し、次いで乾燥することを特徴とするペースト加工用塩化ビニル系樹脂の製造方法、及び(3)ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液に、水溶性亜鉛塩の水溶液を添加混合した後、該水性分散液のpHが5〜10の状態で乾燥することを特徴とする前記(2)記載のペースト加工用塩化ビニル系樹脂の製造方法、を提供するものである。
【0006】
本発明で用いられる塩化ビニル系重合体は、塩化ビニル又は塩化ビニルとこれと共重合可能な不飽和単量体とからなる単量体混合物を乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合又は播種微細懸濁重合を行うことにより得られるものである。
本発明において、塩化ビニルと共重合し得る不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル等の不飽和モノカルボン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和アミド:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;マレイン酸、フマール酸等の不飽和ジカルボン酸;これらのエステル及びこれらの無水物;N−置換マレイミド類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;更に塩化ビニリデン等のビニリデン化合物等を挙げることができる。上記の塩化ビニルの共単量体を使用する場合は、単量体全体の50重量%以下の量であることが好ましい。
【0007】
乳化重合は、水を媒体とし、アニオン性又はノニオン性界面活性剤の乳化剤、水溶性の重合開始剤を用い、単量体を可溶化した乳化剤ミセル層内で重合を進め、粒径0.05〜0.5μm程度のシャープな粒径分布の微小球形重合体ラテックスとして得るものである。
播種乳化重合法は乳化重合により得られた重合体を種子として、水媒体中でこれを単量体の重合により肥大化させる重合法で、重合体粒子を安定化するためのアニオン性の乳化剤を、重合体粒子表面を覆うに必要な量以上とならないように重合反応の進行に調和させて添加しつつ水溶性の重合開始剤で重合するものである。通常平均粒径0.9〜1.3μmの肥大化された主たる粒子群と、0.1〜0.3μmの比較的少量の副生粒子群とが混在する。
微細懸濁重合は、水媒体中で単量体を油溶性重合開始剤の存在下、アニオン性の乳化剤でホモジナイザ等により均質化し、これを比較的緩かな攪拌下で重合するもので、通常一次粒子が0.05〜約2μmのブロードな粒径分布を持つ球形の重合体粒子が得られる。
播種微細懸濁重合は、微細懸濁重合により得られた重合体を種子として種子中に含まれる油溶性重合開始剤にて水媒体中でこれを単量体の重合により肥大化させる重合法で、重合体粒子を安定化するためのアニオン性の乳化剤を、重合体粒子表面を覆うに必要な量以上にならないように重合反応の進行に調和させて添加しつつ重合するものである。通常一次粒子が0.2〜5μmのブロードな粒径分布を持つ球形の重合体粒子が得られる。
【0008】
本発明で用いられるアニオン性の乳化剤としては、特に制限はなく、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウム、半硬化牛脂脂肪酸カリウム等の脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩等のエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテル燐酸エステルナトリウム塩等が挙げられる。使用量は適用される重合法により異なるが、通常単量体100重量部あたり0.2〜2.5重量部の範囲で選択される。アニオン性の乳化剤の他にポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル等のノニオン性界面活性剤を適宜併用してもよい。また、乳化重合、微細懸濁重合等において高級アルコール、ソルビタンステアリルエステル等の親油性の補助乳化剤を添加することも可能である。
本発明において用いられる重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤では、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物;これらの開始剤又はクメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシドに酸性亜硫酸ナトリウム、第1鉄イオンのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム錯塩、亜硫酸アンモニウム、アスコルビン酸、ピロリン酸第1鉄等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤等が例示される。また、油溶性の重合開始剤では、アセチルパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ナフトイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;メチルエチルケトンパーオキシド等のケトンパーオキシド;クメンヒドロパーオキシド、p−シメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ペンチルヒドロパーオキシド、p−メンタンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;t−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジエチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等のスルホニルパーオキシド等の有機過酸化物;これらの有機過酸化物とロンガリット等の還元剤を組み合わせた酸化還元型重合開始剤;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等を例示することができる。
【0009】
本発明方法で用いられる塩化ビニル系樹脂は、平均重合度が600〜1500の範囲にあるものが好ましい。平均重合度が600未満のものは機械的強度が充分でなく、1500を超えると溶融させるのに多量の熱を要し、発泡剤の発泡温度と不適合となり、発泡異常を招来する。本発明の水溶性亜鉛塩を付着保有してなるペースト加工用塩化ビニル系樹脂を得る方法としては、次による方法である。即ち、上記の乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合又は播種微細懸濁重合により得られた塩化ビニル系重合体の水性分散液に水溶性亜鉛塩の水溶液を添加して混合してから乾燥する方法が推奨される。また、ペースト用塩化ビニル系樹脂の粉末を水に分散し、これに水溶性亜鉛塩の水溶液を添加して混合してから乾燥する方法でもよい。該水溶性亜鉛塩としては、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛酢酸亜鉛炭酸亜鉛リン酸亜鉛等が例示される。水溶性亜鉛塩の添加量は、亜鉛の量として塩化ビニル系重合体に対して0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%となる量である。添加亜鉛量が塩化ビニル系重合体に対して0.01重量%より少いと、得られる塩化ビニル系樹脂をペースト発泡成形に用いて、白度が高く高倍率である発泡体が容易に得られる本発明の効果が十分現われない。また、添加亜鉛量が塩化ビニル系重合体に対して1重量%を越える量を添加しても特段有利な効果が現われないばかりか、過度に添加すると発泡セルが荒れる。また、水溶性亜鉛塩と塩化ビニル系樹脂との親和性を良くするために脂肪酸金属塩水溶液も添加することは有用である。ペースト加工用塩化ビニル系樹脂に水溶性亜鉛塩を付着保有させる他の方法としては、ペースト加工用塩化ビニル系樹脂を攪拌により水に分散混合せしめ、これに上記水溶性亜鉛塩の水溶液を添加して混合し、次いで乾燥する方法が例示される。
【0010】
重合反応後の塩化ビニル系重合体の水性分散液は、一般にpH3〜4の酸性を呈するが、水溶性亜鉛塩を添加した後に、塩基性水溶液を添加して該水性分散液のpHを5〜10、好ましくは6〜9の範囲に調整してから乾燥することが好ましい。それは、こうして得られる樹脂を用いて製造する発泡体は、一層高倍率になり、また、発泡セルが微細でかつ破壊されにくく、一層均一になるからである。
塩基性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液が例示される。
水溶性亜鉛塩が添加されたペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液を乾燥する方法としては、噴霧乾燥法が亜鉛塩を均一に分布した状態で乾燥されるので得られる塩化ビニル系樹脂に亜鉛塩が均一に付着保有されて好ましい。噴霧乾燥された樹脂の粉末は、重合で生成した1次粒子が集合した状態にあるので、ペースト調製時にこれがほぐれて可塑剤に分散し易いように粉砕処理することが好ましい。
【0011】
本発明の水溶性亜鉛塩付着保有ペースト加工用塩化ビニル系樹脂を用いて発泡体を製造するには、先ず該樹脂に、可塑剤、発泡剤、熱安定剤、充填剤等を配合して混練し、ペーストを調製する。使用する可塑剤には特に制限はなく、従来塩化ビニル系樹脂組成物の可塑剤として慣用されているもの、例えば、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペートなどのアジピン酸エステル系可塑剤;ジ−n−ヘキシルアゼレート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジイソオクチルアゼレートなどのアゼライン酸エステル系可塑剤;ジ−n−ブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケートなどのセバシン酸エステル系可塑剤;ジ−n−ブチルマレエート、ジ−2−エチルヘキシルマレエートなどのマレイン酸エステル系可塑剤;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−2−エチルヘキシルフマレートなどのフマル酸エステル系可塑剤;トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル系可塑剤;テトラ−2−エチルヘキシルピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテートなどのピロメリット酸エステル系可塑剤;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−2−エチルヘキシルシトレートなどのクエン酸エステル系可塑剤;ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−2−エチルヘキシルイタコネートなどのイタコン酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトールの各種脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸エステル系可塑剤;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール系可塑剤;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレート、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシルなどのエポキシ系可塑剤;アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤などを挙げることができる。本発明においては、これらの中でフタル酸エステル系可塑剤を特に好適に使用することができる。これらの可塑剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの可塑剤は、前記亜鉛塩付着保有ペースト加工用塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、通常30〜80重量部、好ましくは40〜60重量部配合される。
【0012】
発泡剤としては、例えばアゾジカルボアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N′−ジニトロソ−N,N′−ジメチルテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアミンなどが挙げられる。これらの発泡剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は、塩化ビニル系樹脂100重量部当たり、通常0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲で選ばれる。この量が0.5重量部未満では発泡が不十分であるし、15重量部を超えるとその量の割には発泡倍率は向上せず、むしろ経済的に不利となる。
その他上記ペースト調製時に添加することができるものとしてキッカーと称する発泡促進剤や塩化ビニル系樹脂組成物に慣用されている他の添加成分、例えば無機充填剤、粘度調節剤、希釈剤、セル調整剤、着色剤、難燃剤などを配合することができる。
【0013】
無機充填剤としては、例えば沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、極微細炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、あるいはシリカ、タルク、ケイソウ土、クレー、マイカなどのケイ酸塩、水酸化アルミニウム、アルミナなどのいずれも用いることができる。
粘度調節剤や希釈剤としては、例えばキシレン、ソルベントナフサ、ミネラルスピリット、ジイソブチルケトン、酢酸ブチル等の溶剤が挙げられる。
混練により調製されたペーストは、通常難燃性の離型紙上に厚さ通常0.02〜2μmに塗布し、発泡剤の分解温度以下の温度(通常130〜150℃)に加熱してセミキュアし、次いでセミキュアシート上に色材、又は色材及び抑泡剤を混入したインキ組成物をグラビア印刷した後、発泡剤分解温度以上(180〜220℃)に加熱して、好ましくは発泡倍率5〜10倍の高発泡の発泡体シートを得る。
【0014】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各特性は次のようにして求めた。
(1)平均重合度
JIS K6721の粘度法により求めた。
(2)平均粒径
ペースト加工用塩化ビニル樹脂粉末0.2gを水100mlに添加して超音波分散した試料を用い、透過型電子顕微鏡の10000倍の観察写真を撮り、単一粒子1000±100個についての長さ平均径を求め、平均粒径とする。
(3)亜鉛付着保有量
500ml酸素燃焼フラスコで試料樹脂20mgを燃焼し、生成ガスを0.1規定塩酸10mlに吸収させ、この塩酸溶液を原子吸光測定器にかけて樹脂に対する亜鉛の比率を測定する。
(4)白度
発泡体の表面の白色の度あいを、L 表示系で示す。スガ試験機(株)製のカラーコンピューターSM−4で測定した。
(5)発泡倍率
発泡前のセミキュアシートの厚みに対する発泡シートの厚みの比として、次式により求める。
発泡倍率=発泡シートの厚み/セミキュアシートの厚み
(6)発泡セル状態
成形品の切断面を光学顕微鏡にて観察し、下記のランクで評価する。
A:破壊されたセルが見当らないか、殆ど見当らない。
B:破壊されて粗くなったセルが散見される。
C:破壊されて粗くなったセルが多い。
D:破壊されて粗くなったセルが大部分である。
(7)発泡表面性状
成形品の表面を目視及び指触し、下記のランクで評価する。
A:滑らか
B:若干鮫肌
C:鮫肌
D:粒状突起が多い。
【0015】
樹脂製造例1
10リットルのステンレス製の攪拌機及びジャケット付耐圧反応器に、脱イオン水6リットル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30g、ラウリルアルコール30g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート1.8gを仕込んで窒素置換、減圧脱気をくり返した。その後塩化ビニル3kgを仕込み、攪拌してエマルジョンとした。この混合物をホモジナイザーで均質化した後、別の脱気された10リットルの上記同様の耐圧反応器に移し、ジャケットより加温し、46℃に昇温して重合を開始した。かくして重合反応を12時間行い、重合転化率が90%に達した後、未反応単量体を除去した。得られた塩化ビニル重合体水性分散液に塩化亜鉛10重量%水溶液100gを添加して攪拌、混合した後噴霧乾燥機で乾燥し、次いで粉砕して樹脂Aを得た。
【0016】
樹脂製造例2
重合して得られた塩化ビニル重合体水性分散液に塩化亜鉛水溶液を添加した後、攪拌しつつ炭酸ナトリウム10重量%水溶液を添加して水性分散液のpHを7に調整したほかは樹脂製造例1と同様に行なって樹脂Bを得た。
樹脂製造例3
重合して得られた塩化ビニル重合体水性分散液に塩化亜鉛水溶液を添加しなかったほかは樹脂製造例1と同様に行って樹脂Cを得た。
樹脂製造例4
10%塩化亜鉛水溶液100gの代りに10重量%塩化カルシウム水溶液100gを添加したほかは樹脂製造例1と同様に行い、樹脂Dを得た。
【0017】
樹脂製造例5
13リットル容量のステンレス製の攪拌機及びジャケット付耐圧反応器に、脱イオン水5.5リットル、平均粒径0.51μm、最小粒径0.32μm、最大粒径0.55μmの塩化ビニル重合体粒子30重量%を含む水性分散液0.5kg、l−アスコルビン酸900mg、第一鉄イオンのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム錯塩30mg、ピロリン酸ソーダ3gを仕込み、窒素置換、減圧脱気をくり返した。その後塩化ビニル3kgを仕込み、内容物を攪拌しながらジャケットより加温し、50℃に温度を調節し続けた。
一方、クメンヒドロパーオキサイド400mg、ラウリル硫酸ナトリウム1g、水400gを高速攪拌機で混合し、クメンヒドロパーオキサイドエマルジョンを別途調製した。また、ラウリル硫酸ナトリウム15g、水400gのラウリル硫酸ナトリウム水溶液を別途調製した。
まず、プランジャー式定量ポンプを通じ、クメンヒドロパーオキサイドエマルジョンを25cc/時間の速度で上記耐圧反応器内に導入した。この導入開始後すみやかに重合反応が始まった。クメンヒドロパーオキサイドエマルジョン導入開始1時間後にラウリル硫酸ナトリウム水溶液を30cc/時間の速度でプランジャー式定量ポンプで、反応系中に導入した。
かくして重合反応を16時間行い、重合転化率が90%に達した後、未反応単量体を除去した。次に、得られた塩化ビニル重合体水性分散液に9gのラウリル硫酸ナトリウムを添加し、次いで酢酸亜鉛10重量%水溶液200gを添加し、噴霧乾燥機で乾燥後粉砕して樹脂Eを得た。
【0018】
樹脂製造例6
重合して得られた塩化ビニル重合体水性分散液に、酢酸亜鉛10重量%水溶液200gの代わりに塩化亜鉛10重量%水溶液25gとラウリン酸ナトリウム10重量%水溶液80gとを添加したほかは樹脂製造例4と同様に行って樹脂Fを得た。
樹脂製造例7
10%酢酸亜鉛水溶液100gの代りに20重量%酢酸亜鉛水溶液570gを添加したほかは樹脂製造例4と同様に行って樹脂Gを得た。
【0019】
実施例1〜4及び比較例1〜3
ペースト加工用塩化ビニル樹脂A〜Gの各100重量部に対し、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート65重量部、アゾジカルボンアミド4重量部、重質炭酸カルシウム88重量部、亜鉛華1号[本荘ケミカル(株)製、活性酸化亜鉛(発泡促進剤)]1.5重量部、酸化チタン15重量部、BAP−1[旭電化(株)製、アクリル系セル調整剤]1重量部、KF−83F−8[共同薬品(株)製、カルシウム−亜鉛系熱安定剤]0.5重量部及びミネラルスピリット10重量部を配合してプラスチゾルを調製し、難燃紙上にドクターブレードで厚さ0.2mmでコーティングした後、150℃のオーブンに45秒間置いてセミキュアシートを得た。
次いで、このセミキュアシートを、210℃のオーブンで30秒間加熱して発泡シートを得た。この発泡シートの特性を評価した結果を、試料樹脂及びペーストの特性と共に表1に示す。
【0020】
【表1】
Figure 0003579563
【0021】
本発明のペースト加工用塩化ビニル樹脂を用いて得られた発泡シートは、白度が高く、発泡倍率が高く、セルが破壊されていないか、または破壊されたセルが僅かに見られる程度で、表面の滑らかな発泡体である(実施例1〜4)。重合体水性分散液に水溶性亜鉛塩水溶液に加えて炭酸ナトリウム水溶液をも添加してpH調整して得た樹脂Bを用いた実施例2は、更に発泡倍率が高く、セルも破壊セルの見当らない均一な発泡体を与えた。しかし、亜鉛を付着保有させなかったペースト加工用塩化ビニル樹脂、又は亜鉛の代わりにカルシウムを付着保有させたペースト加工用塩化ビニル樹脂を用いて発泡シートを成形しても、白度が悪く(黄味を帯び)、セル及び表面の荒れた発泡倍率の低い発泡体が得られた(比較例1又は2)。また、亜鉛を多量に付着保有したペースト加工用塩化ビニル樹脂もセルの荒れた発泡体を与えた(比較例3)。
【0022】
【発明の効果】
本発明により、発泡成形に供すると白度が高く、高倍率である発泡体を容易に得ることのできるペースト加工用塩化ビニル系樹脂及び該樹脂の製造方法が提供される。

Claims (3)

  1. 水溶性亜鉛塩を亜鉛の量として塩化ビニル系重合体に対して0.01〜1重量%付着保有してなるペースト加工用塩化ビニル系樹脂。
  2. ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液に、亜鉛の量が該塩化ビニル系重合体100重量部あたり0.01〜1重量部となる水溶性亜鉛塩を添加混合し、次いで乾燥することを特徴とするペースト加工用塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  3. ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液に、水溶性亜鉛塩の水溶液を添加混合した後、該水性分散液のpHが5〜10の状態で乾燥することを特徴とする請求項2記載のペースト加工用塩化ビニル系樹脂の製造方法。
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