JP5003692B2 - ペースト用塩化ビニル樹脂の製造方法 - Google Patents

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本発明は、発泡性に優れるペースト用塩化ビニル樹脂及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、ペースト用塩化ビニル樹脂を発泡加工する際、配合時の可塑剤の種類、量、充填剤量に関わらず、発泡体の表面平滑性に優れ、緻密なセル構造を有し、凹凸模様を施す際の発泡体の再加熱において発泡体の厚み減少が少なく、ボリューム感のある発泡成形体を提供するペースト用塩化ビニル樹脂、その製造方法及びそれよりなるペースト用塩化ビニル樹脂組成物に関するものである。
ペースト用塩化ビニル樹脂は、可塑剤、安定剤、発泡剤等の配合剤と混練することにより、ペースト用塩ビゾルとして加工に供され種々の加工法により様々な成形品が得られる。その中で、壁紙、床材のような建築資材はペースト用塩化ビニル樹脂の主な用途の一つである。通常、壁紙、床材は、ペースト塩ビ用ゾルを難燃紙などの裏打ち材料にコーティング後、加熱し、発泡体とした後、さらにエンボスロールにより凹凸模様をつけることで製造される。その際、発泡体は、エンボスロールの模様を再現良く転写可能でエンボスロール通過後の発泡体の極端な厚み減少を起こさないような、表面が平滑で緻密なセル構造を有するものが望まれている。
最近、壁紙、床材のような内装用建築資材においては、屋内環境問題への配慮から、高沸点の可塑剤を使用したり、充填剤を増量するなど配合の変更が活発に行われている。このような、配合の変化により、同一加工条件において発泡体表面の平滑性が損なわれたり、セルが肥大化するなどの問題が起こった。
これら、問題を解決する方法として、配合時にセル調整剤といわれるアクリル系ポリマーを添加する方法、ペースト用塩化ビニル樹脂の粒子径の分布を制御することによって発泡性を向上する方法等、が提案されている。
しかし、セル調整剤といわれるアクリル系ポリマーを添加する方法においては、配合費用のコストアップ、再加熱時の発泡体の厚み減少を抑制することが困難である等の問題を有している。また、ペースト用塩化ビニル樹脂の粒子径の分布を制御することによって発泡性を向上する方法においては、粒子径の分布を制御するだけでは良好な発泡体を得るためには限界を有するともに、粒子径分布の制御によってペースト用塩ビゾルの粘度上昇を伴うためにコーティングしづらくなるなど問題があった。
そこで、本発明はペースト用塩化ビニル樹脂を発泡加工する際、配合時の可塑剤の種類、量、充填剤量に関わらず、発泡体の表面平滑性に優れ、緻密なセル構造を有し、凹凸模様を施す際の発泡体の再加熱において発泡体の厚み減少が少なく、ボリューム感のある発泡成形体を提供するペースト用塩化ビニル樹脂、その製造方法及びそれよりなるペースト用塩化ビニル樹脂組成物を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討した結果、特定のペースト用塩化ビニル樹脂を使用することにより、発泡体の表面平滑性に優れ、セル構造が緻密でかつ再加熱による厚み減少率が少ない発泡体が得られるとの知見に至り本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、ペースト用塩化ビニル樹脂100重量部に対し、可塑剤としてジ−2−エチルヘキシルフタレート60重量部、充填剤として炭酸カルシウム75重量部、バリウム−亜鉛系安定剤3重量部、発泡剤としてアゾジカーボンアミド4重量部、顔料として酸化チタン15重量部をディスパーミキサーにより混練してペースト塩ビゾルとし、該ペースト塩ビゾルを難燃紙上に0.25mmの厚みでコーティングしセミゲル状のシートを作製し、該シートを室温まで冷却した後、230℃で40秒加熱することにより得られた発泡体の表面が平滑で緻密なセル構造を成形するペースト用塩化ビニル樹脂であって、該発泡体を室温まで冷却した後、更に、該発泡体を230℃で10秒再加熱した際、下記式(1)で示される発泡体の厚み減少率が10%以下となることを特徴とするペースト用塩化ビニル樹脂、及びその製造方法に関するものである。
厚み減少率(%)=(230℃で10秒の再加熱前の発泡体厚み(mm)−230℃で10秒再加熱後の発泡体厚み(mm))/230℃で10秒再加熱前の発泡体厚み(mm)×100 (1)
以下に、本発明をより詳細に説明する。
本発明のペースト用塩化ビニル樹脂は、ペースト用塩化ビニル樹脂100重量部に対し、可塑剤としてジ−2−エチルヘキシルフタレート60重量部、充填剤として炭酸カルシウム75重量部、バリウム−亜鉛系安定剤3重量部、発泡剤としてアゾジカーボンアミド4重量部、顔料として酸化チタン15重量部をディスパーミキサーにより混練してペースト塩ビゾルとし、該ペースト塩ビゾルを難燃紙上に0.25mmの厚みでコーティングしセミゲル状のシートを作製し、該シートを室温まで冷却した後、230℃で40秒加熱することにより得られる発泡体の表面が平滑で緻密なセル構造を形成するペースト用塩化ビニル樹脂であって、該発泡体を室温まで冷却した後、更に、該発泡体を230℃で10秒再加熱した際、上記式(1)で示される発泡体の厚み減少率が10%以下となるものである。そして、上記式(1)で示される発泡体の厚み減少率が10%を超える場合、そのようなペースト用塩化ビニル樹脂より得られる発泡体は、ボリューム感を損なうものである。また、230℃で40秒加熱することにより得られる発泡体の表面が平滑でない場合、又は、緻密なセル構造を形成しない場合、そのようなペースト用塩化ビニル樹脂より得られた発泡体は、意匠性が劣るものとなり好ましくない。
本発明のペースト用塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単量体、又は、塩化ビニル単量体と塩化ビニル単量体との共重合可能なビニル単量体との混合物(以下、塩化ビニル系単量体という。)よりなる塩化ビニル単独重合体または塩化ビニル系ランダム共重合体、塩化ビニル系ブロック共重合体、塩化ビニル系グラフト共重合体等の塩化ビニル系共重合体よりなるものである。
ここで、塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体の具体例としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸またはその無水物類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル類等の不飽和カルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。また、本発明のペースト用塩化ビニル樹脂を共重合体とする場合、上記単量体を1種類以上で用いることが可能である。
本発明でいう発泡体表面が平滑とは、発泡体表面に凹凸が少ないものであり、セル構造が緻密とは、セル径が小さく均一ということである。
本発明のペースト用塩化ビニル樹脂は、いかなる製造方法により製造してもよく、その中でも特に品質に優れたペースト用塩化ビニル樹脂を製造することが可能となることからシードミクロ懸濁重合法により製造することが好ましい。ここで、シードミクロ懸濁重合法とは、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル系単量体を脱イオン水、乳化剤、必要に応じて高級アルコール等の乳化補助剤、油溶性重合開始剤をホモジナイザー等で混合分散した後、緩やかな攪拌下で重合を行うミクロ懸濁重合法によって得られた平均粒子径0.3〜0.7μmの塩化ビニル系重合体粒子であるシード粒子を得る第一段階、該シード粒子と塩化ビニル単量体又は塩化ビニル系単量体を脱イオン水、乳化剤、必要に応じて高級アルコール等の乳化補助剤を緩やかな攪拌下で重合を行いシードを肥大化させる第二段階からなる重合方法である。該シードミクロ懸濁重合方法によって得られるペースト用塩化ビニル樹脂の平均粒子径は1〜2μmであることが好ましい。
ここで、該シード粒子を得る第一段階での重合温度は、シード粒子内部に油溶性重合開始剤を効率的に残存できるように40〜55℃、特に45〜50℃であることが好ましく、第二段階の重合温度は、高い重合生産性を得るために60〜70℃、特に62〜68℃であることが好ましい。また、第二段階の重合時に、あらかじめ乳化重合において調整した粒子を該シード粒子とともに添加して重合を行っても差し支えない。更には、重合時に水溶性重合開始剤を併用しても良い。
また、本発明のペースト用塩化ビニル樹脂を製造する際には、本発明のペースト用塩化ビニル樹脂が生産効率よく製造できることから下記一般式(2)で示される3−メルカプトプロピオン酸エステルを用いることが好ましい。
Figure 0005003692
ここで、Rは炭素数4〜18のアルキル基であり、その中でも重合速度の変化が少なく、連鎖移動効率が高いため炭素数8〜12のアルキル基が好ましい。そして、3−メルカプトプロピオン酸エステルの具体例としては、例えば3−メルカプトプロピオン酸n―オクチル、3−メルカプトプロピオン酸2―エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸ラウリル、3−メルカプトプロピオン酸ステアリルなどが挙げられる。
このような3−メルカプトプロピオン酸エステルの添加量としては、特に生産効率よく発泡体としたときの色相に優れるペースト用塩化ビニル樹脂が製造できることから塩化ビニル単量体または塩化ビニル系単量体100重量部に対し、0.005〜0.2重量部が好ましく、特に0.025〜0.1重量部が好ましい。また、3−メルカプトプロピオン酸エステルの添加時期としては、シードミクロ懸濁重合法を採用した際には第二段階の重合の際に添加することが好ましく、その添加方法はいずれでもよいが、塩化ビニル単量体または塩化ビニル系単量体を仕込む前に、脱イオン水、乳化剤、必要に応じて使用される高級アルコール等の乳化補助剤と同時に、全量を一括で仕込むことが好ましい。なお、3−メルカプトプロピオン酸エステルは、少なくとも1種類用いればよいが、2種類以上を混合して使用しても差し支えない。
ここでいう乳化剤とは、ペースト用塩化ビニル樹脂を製造する際に用いられる乳化剤でよく、例えばラウリル硫酸エステルナトリウム、ミリスチル硫酸エステルの如きアルキル硫酸エステル塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウムの如きアルキルアリールスルホン酸塩類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムの如きスルホコハク酸塩類;ラウリン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウムの如き脂肪酸塩類;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類などのアニオン系乳化剤;ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートの如きソルビタンエステル類;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類などのノニオン系乳化剤などを1種類または2種類以上用いることができる。
また、必要に応じて使用される乳化補助剤としては、例えばセチルアルコールおよびラウリルアルコール等の高級アルコール;ラウリン酸、パルミチン酸およびステアリン酸等の高級脂肪酸又はそのエステル;芳香族炭化水素、高級脂肪酸炭化水素、塩素化パラフィンのようなハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
本発明のペースト用塩化ビニル樹脂は、表面平滑性に優れ、緻密なセル構造を有し、凹凸模様を施す際の発泡体の再加熱において発泡体の厚み減少が少なく、ボリューム感のある発泡成形体が得られることから、該ペースト塩化ビニル樹脂100重量部に対し、可塑剤30〜200重量部、充填剤300重量部以下、安定剤1〜10重量部、発泡剤2〜20重量部からなるペースト用塩化ビニル樹脂組成物とすることが好ましい。
この際の可塑剤としては、例えばジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;トリオクチルトリメリテート、ジオクチルアジペート、エポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸エステル、塩素化脂肪酸エステル、リン酸トリス−β−クロルエチル、塩素化パラフィン等の可塑剤が挙げられ、これらの可塑剤は2種以上を混合して用いることもできる。
また、安定剤としては、例えばエポキシ系安定剤、バリウム系安定剤、カルシウム系安定剤、スズ系安定剤、亜鉛系安定剤等が挙げられ、これらは1種類以上を併用することもできる。また、市販のカルシウム−亜鉛系(Ca−Zn系)、バリウム−亜鉛系(Ba−Zn系)等の複合安定剤を使用することもできる。そして、これら安定剤も添加量としては、ペースト用塩化ビニル樹脂100重量部に対して、1〜10重量部であることが好ましい。
発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アミド化合物、ホウ水素化ナトリウム等の無機系発泡剤;イソシアネート化合物、アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、バリウムアゾジカルボキシレートらのアゾ化合物;p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジドらのヒドラジン誘導体;セミカルバジド化合物;アジ化合物;ジニトロソペンタメチレンテトラミンらのニトロソ化合物;トリアゾール化合物等の有機系発泡剤が挙げられ、これらの各種発泡剤を2種以上組み合わせて使用することもできる。また、必要に応じて上記発泡体と亜鉛華(酸化亜鉛)等の分解促進剤を併用することも可能である。
さらに、充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。
本発明の製造方法で得られたペースト用塩化ビニル樹脂は、発泡加工する際、配合時の可塑剤の種類、量、充填剤量に関わらず、発泡体の表面平滑性に優れ、緻密なセル構造を有し、凹凸模様を施す際の発泡体の再加熱において発泡体の厚み減少が少なく、ボリューム感のある発泡成形体を提供することができることから、その工業的価値は非常に高いものである。
実施例1で得られた配合1における発泡体断面の光学顕微鏡写真である。 比較例1で得られた配合1における発泡体断面の光学顕微鏡写真である。 実施例1で得られた配合2における発泡体断面の光学顕微鏡写真である。 比較例4で得られた配合2における発泡体断面の光学顕微鏡写真である。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例により得られたペースト用塩化ビニル樹脂は以下の方法により評価を行った。
〜ペースト用塩化ビニル樹脂の重合度〜
JIS K 6721に準拠して測定した。
〜発泡体表面平滑性〜
ペースト用塩化ビニル樹脂を下記に示す、(配合1)または(配合2)の配合において、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業製)を用い3000rpmで2分間混練し、ペースト塩ビゾルを調整した。得られたペースト塩ビゾルを難燃紙上に、0.25mmの厚みでコーティングし、190℃に加熱されたオーブン中で8秒加熱することにより、半ゲル状のシートを作製し、該シートを室温まで冷却した後、230℃に加熱したオーブン中で40秒加熱することにより発泡し、得られた発泡体の表面を観察することにより平滑性を評価した。
発泡表面平滑性の評価基準を以下に示す。
○:表面が平滑 ×:表面が粗い
(配合1)
ペースト用塩化ビニル樹脂 100重量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート 60重量部
炭酸カルシウム 75重量部
Ba−Zn系安定剤 3重量部
顔料(TiO) 15重量部
発泡剤(アゾジカーボンアミド) 4重量部
(配合2)
ペースト用塩化ビニル樹脂 100重量部
ジ−2−エチルヘキシルフタレート 60重量部
炭酸カルシウム 150重量部
Ba−Zn系安定剤 3重量部
顔料(TiO) 15重量部
発泡剤(アゾジカーボンアミド) 6重量部
希釈剤 15重量部
〜発泡セル構造〜
発泡体表面平滑性の評価と同様の方法で発泡体を作製し、得られた発泡体の発泡セル構造を光学顕微鏡により観察することにより評価した。
発泡セル構造の評価基準を以下に示す。
○:セルが緻密 ×:セルが粗い
〜合成例1(油溶性重合開始剤含有シード粒子1の製造例)〜
1mオートクレーブ中に脱イオン水360Kg、塩化ビニル単量体300Kg、過酸化ラウロイル5.7Kg及び15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液30Kgを仕込み、該重合液をホモジナイザーにより3時間循環し、均質化処理後、温度を45℃に上げて重合反応を開始した。
そして、重合反応系の圧力が低下した後、未反応塩化ビニル単量体を回収し、固形分含有率35%、粒子が0.55μmの平均粒子径を有し、かつポリマーを幹として2重量%の過酸化ラウロイルを含有する水性分散液(以下、シード粒子1という。)を得た。
〜合成例2(乳化重合による粒子2の製造例)〜
1mオートクレーブ中に脱イオン水400Kg、塩化ビニル単量体350Kg、16重量%ラウリン酸カリウム水溶液2Kg及び16重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液5Kgを仕込み、温度を54℃に上げて重合反応を開始した。
そして、重合反応系の圧力が低下した後、未反応塩化ビニル単量体を回収し、固形分含有率40重量%、粒子が0.15μmの平均粒子を有する水性分散液(以下、粒子2という。)を得た。
実施例1
1mオートクレーブ中に脱イオン水350Kg、塩化ビニル単量体400Kg、20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2Kg、合成例1により得られたシード粒子1を44Kg、合成例2により得られた粒子2を40Kg、3−メルカプトプロピオン酸オクチルを塩化ビニル単量体100重量部に対し、0.05重量部仕込み、この重合反応系の温度を66℃に上げて重合反応を開始した。そして、重合反応開始から重合反応終了までの間、塩化ビニル単量体100重量部に対して20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7重量部を連続的に添加した。
重合反応系の重合圧が66℃における塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から0.6MPa降下した時に重合反応を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収し塩化ビニル重合体ラテックスを得た。
得られたラテックスは、スプレードライヤーにて、熱風温度190℃、出口温度63℃の条件で噴霧乾燥した後、粉砕して、ペースト用塩化ビニル樹脂とした。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂100重量部に対し、ジ−2−エチルヘキシルフタレート60重量部、炭酸カルシウム75重量部、Ba−Zn系安定剤3重量部、アゾジカーボンアミド4重量部、酸化チタン15重量部をディスパーミキサーにより混練してペースト塩ビゾルとし、該ペースト塩ビゾルを難燃紙上に0.25mmの厚みでコーティングしセミゲル状のシートを作製し、該シートを室温まで冷却した後、230℃で40秒加熱することにより表面が平滑で緻密なセル構造を有する発泡体を形成し室温まで冷却した後、更に、該発泡体を230℃で10秒再加熱した際、下記式で示される発泡体の厚み減少率は6%であった。
厚み減少率(%)=(230℃で10秒の再加熱前の発泡体厚み(mm)−230℃で10秒再加熱後の発泡体厚み(mm))/230℃で10秒再加熱前の発泡体厚み(mm)×100得られたペースト用塩化ビニル樹脂を評価した結果を表1に示す。
図1に配合1により得られた発泡体断面の光学顕微鏡写真を示す。また、図3に配合2により得られた発泡体断面の光学顕微鏡写真を示す。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂は、表面平滑性とセル構造が良好で、再加熱後の厚み減少率も低い値を示す発泡体を提供するものであった。
実施例2
3−メルカプトプロピオン酸オクチルを塩化ビニル単量体100重量部に対し、0.05重量部の代わりに、3−メルカプトプロピオン酸オクチルを塩化ビニル単量体100重量部に対し、0.1重量部仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法でペースト用塩化ビニル樹脂を得た。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂の厚み減少率を実施例1と同様の方法により評価した結果、7%であった。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂の評価結果を表1に示す。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂は、表面平滑性とセル構造が良好で、再加熱後の厚み減少率も低い値を示す発泡体を提供するものであった。
実施例3
3−メルカプトプロピオン酸オクチルを塩化ビニル単量体100重量部に対し、0.05重量部の代わりに、3−メルカプトプロピオン酸ドデシルを塩化ビニル単量体100重量部に対し、0.18重量部仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法によりペースト用塩化ビニル樹脂を得た。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂の厚み減少率を実施例1と同様の方法により評価した結果、6%であった。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂の評価結果を表1に示す。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂は、表面平滑性とセル構造が良好で、再加熱後の厚み減少率も低い値を示す発泡体を提供するものであった。
比較例1
3−メルカプトプロピオン酸オクチルを添加しない以外は、実施例1と同様の方法でペースト用塩化ビニル樹脂を得た。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂を用いた発泡体の表面平滑性及びセル構造を評価したところ、表面平滑性及びセル構造はわるいものであった。ちなみにその状態で得られたペースト用塩化ビニル樹脂の厚み減少率を実施例1と同様の方法により評価した結果、9%であった。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂の評価結果を表1に示す。
図2に配合1により得られた発泡体断面の光学顕微鏡写真を示す。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂は、表面平滑性とセル構造が悪い発泡体を提供するものであった。
比較例2
3−メルカプトプロピオン酸オクチルを塩化ビニル単量体100重量部に対し、0.05重量部の代わりに、塩化ビニル単量体100重量部に対し、メルカプトエタノール0.05重量部を仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法で重合を行った。重合途中で重合反応が失速したため、目的とするペースト用塩化ビニル樹脂を得ることができなかった。
比較例3
3−メルカプトプロピオン酸オクチルを塩化ビニル単量体100重量部に対し、0.05重量部の代わりに、塩化ビニル単量体100重量部に対し、3−メルカプトプロピオン酸オクチル0.3重量部を仕込んだ以外は、実施例1と同様の方法で重合を行った。重合途中で重合反応が失速したため、目的とするペースト用塩化ビニル樹脂を得ることができなかった。
比較例4
1mオートクレーブ中に脱イオン水500Kg、塩化ビニル単量体300Kg、過酸化ラウロイル0.24Kg、3−メルカプトプロピオン酸オクチルを塩化ビニル単量体100重量部に対し0.05重量部及び15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液20Kgを仕込み、該重合液をホモジナイザーにて1.5時間循環し、均質化処理後、温度を66℃に上げて重合反応を開始した。重合圧が66℃における塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から0.6MPa降下した時に重合反応を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収し、固形分含有率30%、粒子が1.01μmの平均粒子径を有する塩化ビニル重合ラテックスを得た。得られたラテックスは、スプレードライヤーにて、熱風温度190℃、出口温度63℃で噴霧乾燥した後、粉砕して、ペースト用塩化ビニル樹脂を得た。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂の厚み減少率を実施例1と同様の方法により評価した結果、48%であった。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂の評価結果を表1に示す。また、図4に配合2により得られた発泡体断面の光学顕微鏡写真を示す。
得られたペースト用塩化ビニル樹脂より得られた発泡体は、配合1においては発泡表面平滑性及び発泡セルは良好であったが、厚み減少率は劣るものであった。そして、配合2においては、表面平滑性とセル構造ともに悪いものであった。
Figure 0005003692

Claims (1)

  1. 塩化ビニル単量体、又は、塩化ビニル単量体と塩化ビニル単量体との共重合可能なビニル単量体との混合物を水性媒体中でシードミクロ懸濁重合を行うに際し、該塩化ビニル単量体、又は、塩化ビニル単量体と塩化ビニル単量体との共重合可能なビニル単量体との混合物100重量部に対し、下記一般式(2)で示される3−メルカプトプロピオン酸エステルを0.005〜0.2重量部添加し重合反応を行うことを特徴とするペースト用塩化ビニル樹脂の製造方法。
    Figure 0005003692
    (ここで、Rは炭素数が4〜18のアルキル基を表す。)
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