JP2007284512A - 塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 布地への無浸透性に優れ、布地への接着性が良好な塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法、塩化ビニル系ペースト樹脂粉末、これを用いたペーストゾル及びこれを被覆した布手袋を提供する。
【解決手段】 塩化ビニル系単量体を水性媒体中で重合して得られた塩化ビニル系ペースト樹脂を粉砕した後に、熱処理して得られた、比表面積が7〜100m2/gであることを特徴とする塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法。この製造方法で得られた比表面積が7〜100m2/gの塩化ビニル系ペースト樹脂粉末用いると、布地への無浸透性に優れ、布地への接着性が良好なペーストゾル及びこれを被服した布手袋が得られる。
【選択図】 なし
【解決手段】 塩化ビニル系単量体を水性媒体中で重合して得られた塩化ビニル系ペースト樹脂を粉砕した後に、熱処理して得られた、比表面積が7〜100m2/gであることを特徴とする塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法。この製造方法で得られた比表面積が7〜100m2/gの塩化ビニル系ペースト樹脂粉末用いると、布地への無浸透性に優れ、布地への接着性が良好なペーストゾル及びこれを被服した布手袋が得られる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法、塩化ビニル系ペースト樹脂粉末、これを用いたペーストゾル及びこれを被覆した布手袋に関する。さらに詳しくは、布地への無浸透性に優れ、布地への接着性が良好な塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法、塩化ビニル系ペースト樹脂粉末、これを用いたペーストゾル及びこれを被覆した布手袋に関する。
塩化ビニル系ペースト樹脂のペースト加工は、塩化ビニル系ペースト樹脂に、可塑剤、必要に応じて安定剤及びその他の成分を撹拌混合してペーストゾル化し、その流動性を利用して賦形し、その後加熱ゲル化して成形加工する方法である。ペースト加工により、壁紙、床材クッションフロア、床材カーペットタイル、手袋、レザー、帆布、鋼板、シーラント、自動車内装材、自動車アンダーボディコート、マーキングフィルム、テーブルクロス等種々の製品が得られる。ペーストゾルを被覆した布手袋では、柔軟性、風合が求められる場合があり、使用するペーストゾルは可塑剤量の多いものとなり、布地にペーストゾルが浸透しやすいという問題があった。
布地にペーストゾルが浸透しない布手袋を得る方法として、「メリヤス布の表面に、PVCペーストまたはゴムラテックスに対し、撥水性、撥油性を有する弗素樹脂、シリコン樹脂の、薄い塗着層を有するメリヤス布を形成し、該メリヤス布により成型した手袋を、成型用の手袋型に被着し、浸漬、スプレー等により、その表面にPVCペースト、またはゴムラテックスを塗着し、常法により加熱処理、または、加熱加硫することを特徴とする、塩化ビニールまたはゴムを表面に被着せる布手袋の製造法」(特許文献1)が提案されている。
この方法は、メリヤス布の表面に弗素樹脂、シリコン樹脂の塗着層を形成する必要があり、簡便な工程で無浸透性に優れるペーストゾルを与える塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の開発が望まれていた。
特開昭58−180604号
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、布地への無浸透性に優れ、布地への接着性が良好な塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法、塩化ビニル系ペースト樹脂粉末、これを用いたペーストゾル及びこれを被覆した布手袋を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、前述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)塩化ビニル系単量体を水性媒体中で重合して得られた塩化ビニル系ペースト樹脂を粉砕した後に、熱処理して得られた、比表面積が7〜100m2/gであることを特徴とする塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法。(請求項1)、
(2)塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の比表面積が10〜30m2/gであることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法。(請求項2)、
(3)熱処理温度が60〜100℃であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法(請求項3)、
(4)請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末(請求項4)、
(5)請求項4に記載の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末を含有するペーストゾル(請求項5)、
(6)請求項5に記載のペーストゾルを被覆した布手袋(請求項6)、
に関する。
(1)塩化ビニル系単量体を水性媒体中で重合して得られた塩化ビニル系ペースト樹脂を粉砕した後に、熱処理して得られた、比表面積が7〜100m2/gであることを特徴とする塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法。(請求項1)、
(2)塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の比表面積が10〜30m2/gであることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法。(請求項2)、
(3)熱処理温度が60〜100℃であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法(請求項3)、
(4)請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末(請求項4)、
(5)請求項4に記載の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末を含有するペーストゾル(請求項5)、
(6)請求項5に記載のペーストゾルを被覆した布手袋(請求項6)、
に関する。
本発明の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末を用いると、布地への無浸透性に優れ、布地への接着性が良好なペーストゾル及びこれを被服した布手袋が得られる。
本発明のペースト加工に適した塩化ビニル系ペースト樹脂粉末は、塩化ビニル単量体単独、または塩化ビニル単量体とこれと共重合可能な単量体の混合物(これらをあわせて塩化ビニル系単量体という)を水性媒体中で、乳化剤、必要に応じて高級アルコール、高級脂肪酸等の分散助剤を用い、更に水溶性開始剤を用いて乳化重合やシ−ド乳化重合し、水性均質分散液(ラテックス)を得る。あるいは塩化ビニル系単量体を水性媒体中で、乳化剤、必要に応じて高級アルコール、高級脂肪酸等の分散助剤、更に油溶性重合開始剤を添加して均質化して後微細懸濁重合し、水性均質分散液(ラテックス)を得る。塩化ビニル系ペースト樹脂の重合において、用いた塩化ビニル系単量体は、一般に80〜95重量%が塩化ビニル系ペースト樹脂となり、残りの未反応の単量体はラテックスから除去される。続いて、塩化ビニル系ペースト樹脂のラテックスを噴霧乾燥する。この際、例えば、複数の重合によって得られた2種以上のラテックスを混合して、噴霧乾燥してもよい。
噴霧乾燥の過程で、ラテックス中の1次粒子は凝集し、2次粒子を形成する。噴霧乾燥して得られた塩化ビニル系ペースト樹脂は、粉砕装置を用いて、細かく砕き、塩化ビニル系ペースト樹脂粉末とする。粉砕された塩化ビニル系ペースト樹脂粉末は、引き続き、加熱装置を用いて、静置又は混合下で熱処理する。粉砕した後に、熱処理する場合は、未粉砕のままで熱処理する場合、又は熱処理後に粉砕する場合に比べて、布地への接着性が良好となる。
本発明の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末は、塩化ビニル系ペースト樹脂を粉砕した後に、熱処理すること、及び塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の比表面積を特定の範囲とすることで、布地への無浸透性に優れ、布地への接着性が良好なペーストゾル及びこれを被覆した布手袋を得ることができることを見出した。
粉砕装置としては、サンプルミル、バンタムミル、コロプレックスミル、インパクトミル、パルバクロン、パルマンミル、マイクロバット、バーチカミル、ミクロンドライヤー、フラッシュインパクター、スーパーミクロンミル、アトマイザー、ミクロシクロマット、ターボミル、ハンマーミル、遠心リングローラーミル、ボールミル、チューブミルが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱処理温度は、60〜100℃の範囲が、無浸透性の効果が得られ、また樹脂の耐熱性の上で好ましい。
加熱装置としては、噴霧加熱乾燥機、気流加熱乾燥機、流動層加熱乾燥機、フラッシュ加熱乾燥機、熱風循環式加熱乾燥機、赤外線加熱乾燥機、マイクロ波加熱乾燥機、高周波加熱乾燥機が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
こうして得られた本発明の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末は、比表面積を7〜100m2/gの範囲とすることが重要である。比表面積が7m2/g以上、特に10m2/gであれば布地への無浸透性に優れる。比表面積が100m2/g以下、特に30m2/g以下であれば、製造上好ましい。
本発明においては、塩化ビニルと共重合可能な単量体の例としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のアルキル基を有するビニルエーテル類、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びその酸無水物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ブチルベンジル等の不飽和カルボン酸エステル類、スチレン、αーメチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、更にはジアリルフタレート等の架橋性モノマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。該塩化ビニルと共重合可能な単量体は、塩化ビニル単量体に対して、50重量%以下の範囲で使用するのが好ましい。
本発明においては、アニオン性乳化剤として、例えばアルキル硫酸、カルボン酸、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、スルホコハク酸、αーオレフィンスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)あるいはアンモニウム塩等が用いられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、ノニオン性乳化剤として、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、シリコン系乳化剤等、またポリエチレングリコール及びその誘導体、ポリプロピレングリーコル及びその誘導体等を使用しても良い。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記乳化剤と共に、重合及び重合ラテックスの安定化のために、分散助剤を使用してもよい。分散助剤の具体例としては、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、微細懸濁重合に用いる油溶性開始剤としては、例えばジラウロイルパーオキサイド、ジ−3、5、5、トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物系開始剤および2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2、2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、乳化重合およびシード乳化重合に用いる水溶性開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素等などが挙げられ、必要に応じて亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート(ロンガリット)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム等の還元剤が併用される。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、ペーストゾルの流動性改良等のため、塩化ビニル系ブレンド樹脂を併用することもできる。塩化ビニル系ブレンド樹脂は、粒子径が一般に10〜100μmの範囲で、塩化ビニル系ペースト樹脂に対して、一般に50重量%以下の範囲で使用される。該塩化ビニル系ブレンド樹脂は、例えば、塩化ビニル単量体単独、または塩化ビニル単量体とこれと共重合可能な単量体の混合物を高分子系懸濁安定剤等を含む水性媒体中で、油溶性重合開始剤を加えて懸濁重合を行い、重合後のスラリーを遠心脱水機等で脱水し、更に気流乾燥、流動乾燥する等により得られる。塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、前記塩化ビニル系ペースト樹脂と同様のものが、塩化ビニル単量体に対して、50重量%以下の範囲で使用される。
こうして得られた塩化ビニル系ペースト樹脂粉末は、可塑剤、必要に応じて安定剤、充填剤、補強剤、希釈剤、減粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、表面処理剤、チキソトロープ剤、接着性付与剤、防カビ剤等を加えて混練してペーストゾル化し、その流動性を利用して賦形し、その後加熱ゲル化して成形加工する用途に用いられる。
本発明に用いる可塑剤について特に制限は無いが、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジノルマルオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、トリクレジルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル系可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート等のアゼライン酸エステル系可塑剤、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、2、2、4ートリメチルー1、3−ペンタンジオールイソブチレートベンゾエート等の安息香酸エステル系可塑剤、アセチルトリブチルシトレート等のクエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、グリコール酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン系可塑剤、塩素化脂肪酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、テキサノールイソブチレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末は、壁紙、床材クッションフロア、床材カーペットタイル、天井材、レザー、帆布、鋼板、シーラント、自動車内装材、自動車アンダーボディコート、マーキングフィルム、テーブルクロス、人形、手袋、防水用被覆材、絶縁用被覆材、医療用品、キャップシール、食品模型、その他あらゆる用途で好適な製品を提供することができる。特に、本発明の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末は、ペーストゾルを被覆した布手袋用途で好適である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例で用いた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積及びラテックスのピーク径、ペーストゾルの作成及び評価方法は、以下に示す方法で行った。
(1)塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積
BET1点法に基づき、フローソーブII2300(マイクロメリティックス製)を用いて測定した。測定は、PATH:SHORT、SURFACE AREA表示切替スイッチ:×1の条件で行った。
(2)塩化ビニルペースト樹脂ラテックスのピーク径
0.5μm以下のピーク径は、NICOMPMODEL370(PACIFICSCIENTIFICHIAC/ROYCO製)、それ以上のピーク径はコールターマルチサイザーII(コールターエレクトロニクス製)を用いて測定した。
(3)ペーストゾルの作成
塩化ビニルペースト樹脂粉末100重量部に対して、DOP(ジ−2−エチルヘキシルフタレート、株式会社ジェイ・プラス製)120重量部、アデカスタブAC−116(カルシウム−亜鉛系安定剤、旭電化工業株式会社製)3重量部を配合し、石川式擂潰機を用い、室温下で20分間混練脱泡を行い、ペーストゾルを作成した。
(4)布地への塗布実験
ペーストゾルを布地に塗布し、ギアオーブン(GEER AGING OVEN NO.102−SHF−77、Yasuda製)を用い、AGING:Highにて、180℃で10分加熱ゲル化を行い、ペーストゾル被覆布を作成した。
(5)無浸透性判定
布地裏面へのペーストゾルの浸出状態を観察し、下記基準で判定した。
◎:無浸出
○:ペーストゾルは浸出していないが、わずかに可塑剤のしみ出しがある。
×:少量のペーストゾルが浸出している。
××:多量のペーストゾルが浸出している。
(6)接着性判定
無浸透性判定が○又は◎の樹脂について、布地への接着性を手めくりにより、下記基準で判定した。なお、無浸透性判定が×又は××の樹脂については判定しなかった。
◎:手では布地から剥がせない。
○:強い力を掛けると布地から剥がせる。
×:強い力を掛けなくても布地から剥がせる。
(製造例1)
ステンレス製撹拌装置付耐圧容器にイオン交換水150重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート(ロンガリット)0.03重量部、硫酸第1鉄0.0003重量部、塩酸0.003重量部を仕込んで脱気した後、塩化ビニルモノマー100重量部を送入した。攪拌しながら、50℃まで昇温し、過酸化水素水を過酸化水素の純分として0.01重量部相当量及びラウリル硫酸ナトリウム0.5重量部を連続追加し、重合圧力が降下した時点で未反応のモノマーを除去して重合を終了させた。得られたラテックスのピーク径は、0.25μmであった。結果を表1に示す。
(製造例2)
ステンレス製撹拌装置付耐圧容器にイオン交換水150重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.15重量部、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート(ロンガリット)0.03重量部、硫酸第1鉄0.0003重量部、塩酸0.003重量部を仕込んで脱気した後、塩化ビニルモノマー100重量部を送入した。攪拌しながら、50℃まで昇温し、過酸化水素水を過酸化水素の純分として0.01重量部相当量及びラウリル硫酸ナトリウム1.0重量部を連続追加し、重合圧力が降下した時点で未反応のモノマーを除去して重合を終了させた。得られたラテックスのピーク径は、0.15μmであった。結果を表1に示す。
(1)塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積
BET1点法に基づき、フローソーブII2300(マイクロメリティックス製)を用いて測定した。測定は、PATH:SHORT、SURFACE AREA表示切替スイッチ:×1の条件で行った。
(2)塩化ビニルペースト樹脂ラテックスのピーク径
0.5μm以下のピーク径は、NICOMPMODEL370(PACIFICSCIENTIFICHIAC/ROYCO製)、それ以上のピーク径はコールターマルチサイザーII(コールターエレクトロニクス製)を用いて測定した。
(3)ペーストゾルの作成
塩化ビニルペースト樹脂粉末100重量部に対して、DOP(ジ−2−エチルヘキシルフタレート、株式会社ジェイ・プラス製)120重量部、アデカスタブAC−116(カルシウム−亜鉛系安定剤、旭電化工業株式会社製)3重量部を配合し、石川式擂潰機を用い、室温下で20分間混練脱泡を行い、ペーストゾルを作成した。
(4)布地への塗布実験
ペーストゾルを布地に塗布し、ギアオーブン(GEER AGING OVEN NO.102−SHF−77、Yasuda製)を用い、AGING:Highにて、180℃で10分加熱ゲル化を行い、ペーストゾル被覆布を作成した。
(5)無浸透性判定
布地裏面へのペーストゾルの浸出状態を観察し、下記基準で判定した。
◎:無浸出
○:ペーストゾルは浸出していないが、わずかに可塑剤のしみ出しがある。
×:少量のペーストゾルが浸出している。
××:多量のペーストゾルが浸出している。
(6)接着性判定
無浸透性判定が○又は◎の樹脂について、布地への接着性を手めくりにより、下記基準で判定した。なお、無浸透性判定が×又は××の樹脂については判定しなかった。
◎:手では布地から剥がせない。
○:強い力を掛けると布地から剥がせる。
×:強い力を掛けなくても布地から剥がせる。
(製造例1)
ステンレス製撹拌装置付耐圧容器にイオン交換水150重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート(ロンガリット)0.03重量部、硫酸第1鉄0.0003重量部、塩酸0.003重量部を仕込んで脱気した後、塩化ビニルモノマー100重量部を送入した。攪拌しながら、50℃まで昇温し、過酸化水素水を過酸化水素の純分として0.01重量部相当量及びラウリル硫酸ナトリウム0.5重量部を連続追加し、重合圧力が降下した時点で未反応のモノマーを除去して重合を終了させた。得られたラテックスのピーク径は、0.25μmであった。結果を表1に示す。
(製造例2)
ステンレス製撹拌装置付耐圧容器にイオン交換水150重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.15重量部、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート(ロンガリット)0.03重量部、硫酸第1鉄0.0003重量部、塩酸0.003重量部を仕込んで脱気した後、塩化ビニルモノマー100重量部を送入した。攪拌しながら、50℃まで昇温し、過酸化水素水を過酸化水素の純分として0.01重量部相当量及びラウリル硫酸ナトリウム1.0重量部を連続追加し、重合圧力が降下した時点で未反応のモノマーを除去して重合を終了させた。得られたラテックスのピーク径は、0.15μmであった。結果を表1に示す。
ステンレス製撹拌装置付耐圧容器にイオン交換水150重量部、製造例1で得られたピーク径0.25μmのシードラテックスを固形分として2重量部含む量、ラウリル硫酸ナトリウム0.02重量部、亜硫酸ナトリウム0.03重量部、硫酸銅0.0003重量部を仕込んで脱気した後、塩化ビニルモノマー100重量部を送入した。攪拌しながら、50℃まで昇温し、過硫酸アンモニウム0.01重量部及びラウリル硫酸ナトリウム0.5重量部を連続追加し、重合圧力が降下した時点で未反応のモノマーを除去して重合を終了させた。得られたラテックスのピーク径は、0.3/0.7μmであった。結果を表2に示す。
ステンレス製撹拌装置付耐圧容器に、イオン交換水を100重量部、ラウリル硫酸ナトリウムを0.8重量部、セチルアルコールを0.8重量部、及びジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを0.05重量部仕込んで脱気した後、塩化ビニルモノマー100重量部を送入し、均質化した後、50℃に昇温して重合を行い、重合圧力が降下した時点で未反応のモノマーを除去して重合を終了させた。得られたラテックスのピーク径は、1.2μmであった。結果を表3に示す。
製造例1のラテックスを、スプレー乾燥機(三菱化工機株式会社製)を用い、入口135℃、出口52℃の条件で噴霧乾燥した塩化ビニルペースト樹脂粉末を作成した。得られた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積は、15.0m2/gで、無浸透性及び接着性は、表4に示す結果であった。
(比較例2)
製造例1のラテックスを、スプレー乾燥機(三菱化工機株式会社製)を用い、入口135℃、出口52℃の条件で噴霧乾燥し、更にバンタムミル(AP−B型、ホソカワミクロン製)で粉砕した塩化ビニルペースト樹脂粉末を作成した。得られた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積は、15.7m2/gで、無浸透性及び接着性は、表4に示す結果であった。
(比較例3)
製造例1のラテックスを、スプレー乾燥機(三菱化工機株式会社製)を用い、入口135℃、出口52℃の条件で噴霧乾燥し、更にギアオーブン(GEER AGING OVEN NO.102−SHF−77、Yasuda製)を用い、AGING:Highにて、80℃で1時間熱処理した塩化ビニルペースト樹脂粉末を作成した。得られた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積は、13.3m2/gで、無浸透性及び接着性は、表4に示す結果であった。
(実施例1)
製造例1のラテックスを、スプレー乾燥機(三菱化工機株式会社製)を用い、入口135℃、出口52℃の条件で噴霧乾燥し、更にバンタムミル(AP−B型、ホソカワミクロン製)で粉砕した後、ギアオーブン(GEER AGING OVEN NO.102−SHF−77、Yasuda製)を用い、AGING:Highにて、80℃で1時間熱処理した塩化ビニルペースト樹脂粉末を作成した。得られた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積は、比表面積が14.5m2/gで、無浸透性及び接着性は、表4に示す結果であった。
(比較例4)
製造例1のラテックスを、スプレー乾燥機(三菱化工機株式会社製)を用い、入口135℃、出口52℃の条件で噴霧乾燥し、更にギアオーブン(GEER AGINGOVEN NO.102−SHF−77、Yasuda製)を用い、AGING:Highにて、80℃で1時間熱処理した後、バンタムミル(AP−B型、ホソカワミクロン製)で粉砕した塩化ビニルペースト樹脂粉末を作成した。得られた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積は、比表面積が13.7m2/gで、無浸透性及び接着性は、表4に示す結果であった。
布地への接着性が実施例1よりも劣った。
(実施例2)
製造例2のラテックスを、スプレー乾燥機(三菱化工機株式会社製)を用い、入口135℃、出口52℃の条件で噴霧乾燥し、更にバンタムミル(AP−B型、ホソカワミクロン製)で粉砕した後、ギアオーブン(GEER AGING OVEN NO.102−SHF−77、Yasuda製)を用い、AGING:Highにて、80℃で1時間熱処理した塩化ビニルペースト樹脂粉末を作成した。得られた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積は、22.6m2/gで、無浸透性及び接着性は、表5に示す結果であった。
(実施例3)
製造例1で得られたラテックスと製造例4で得られたラテックスを固形分の重量比で60:40になるように混合したラテックスを、スプレー乾燥機(三菱化工機株式会社製)を用い、入口135℃、出口52℃の条件で噴霧乾燥し、更にバンタムミル(AP−B型、ホソカワミクロン製)で粉砕した後、ギアオーブン(GEER AGING OVEN NO.102−SHF−77、Yasuda製)を用い、AGING:Highにて、80℃で1時間熱処理した塩化ビニルペースト樹脂粉末を作成した。得られた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積は、10.5m2/gで、無浸透性及び接着性は、表5に示す結果であった。
(実施例4)
製造例3で得られたラテックスを、スプレー乾燥機(三菱化工機株式会社製)を用い、入口135℃、出口52℃の条件で噴霧乾燥し、更にバンタムミル(AP−B型、ホソカワミクロン製)で粉砕した後、ギアオーブン(GEER AGING OVEN NO.102−SHF−77、Yasuda製)を用い、AGING:Highにて、80℃で1時間熱処理した塩化ビニルペースト樹脂粉末を作成した。得られた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積は、7.3m2/gで、無浸透性及び接着性は、表5に示す結果であった。
(比較例5)
製造例1で得られたラテックスと製造例4で得られたラテックスを固形分の重量比で15:85になるように混合したラテックスを、スプレー乾燥機(三菱化工機株式会社製)を用い、入口135℃、出口52℃の条件で噴霧乾燥し、更にバンタムミル(AP−B型、ホソカワミクロン製)で粉砕した後、ギアオーブン(GEER AGING OVEN NO.102−SHF−77、Yasuda製)を用い、AGING:Highにて、80℃で1時間熱処理した塩化ビニルペースト樹脂粉末を作成した。得られた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積は、5.2m2/gで、無浸透性及び接着性は、表5に示す結果であった。
(比較例6)
製造例4で得られたラテックスを、スプレー乾燥機(三菱化工機株式会社製)を用い、入口135℃、出口52℃の条件で噴霧乾燥し、更にバンタムミル(AP−B型、ホソカワミクロン製)で粉砕した後、ギアオーブン(GEER AGING OVEN NO.102−SHF−77、Yasuda製)を用い、AGING:Highにて、80℃で1時間熱処理した塩化ビニルペースト樹脂粉末を作成した。得られた塩化ビニルペースト樹脂粉末の比表面積は、3.5m2/gで、無浸透性及び接着性は、表5に示す結果であった。
Claims (5)
- 塩化ビニル系単量体を水性媒体中で重合して得られた塩化ビニル系ペースト樹脂を粉砕した後に、熱処理して得られた、比表面積が7〜100m2/gであることを特徴とする塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法。
- 塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の比表面積が10〜30m2/gであることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法。
- 熱処理温度が60〜100℃であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の塩化ビニル系ペースト樹脂粉末の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法による塩化ビニル系ペースト樹脂粉末を含有するペーストゾル。
- 請求項4に記載のペーストゾルを被覆した布手袋。
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