JP3579524B2 - 測距装置および測距方法 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、カメラなどに利用される測距装置および測距方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から積分回路を使った投受光タイプのさまざまな測距装置が提案されている。たとえば本出願人による先の出願となる特開平6−167329号公報では、被写体にパルス光を投光し、被写体からの光信号を遠距離および近距離の2つの受光回路で一定電圧に達するまでの間積分しそのときの投光回数をカウントし、そうして得られた2つのカウント値から被写体までの距離を算出する測距装置において、単位時間当たりのオフセット電圧を測定し、この結果によって測距出力の補正を行うことによりドリフト電流の影響を取り除くカメラ用測距装置を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところがドリフト電圧は正の場合も負の場合も考えられる。ドリフト電圧が正の場合は見かけ上の投光回数が減るため測距時間は短くて済むが、負の場合には投光回数が多くなり撮影までのタイムラグが大きくなるばかりでなく、被写体が遠い際に投光回数の限界に達して、無限遠にあるものと判定されてしまう。このため、被写体を測距し得る距離が見かけ上短くなってしまうという不具合を有していた。
【0004】
本発明においては、測距時間を短縮するとともに、被写体を測距し得る距離が短くなるのを防ぐことを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、本願の請求項1に係る発明は、被写体へ光を照射する投光手段と、前記投光手段の照射光が前記被写体で反射する光を受光し2つの電流出力に変換する受光手段と、前記受光手段の一方の出力電流を電圧に変換する第1の電流電圧変換回路と、前記受光手段の他方の出力電流を電圧に変換する第2の電流電圧変換回路と、前記2つの電流電圧変換回路のいずれかを選択的に出力する選択回路と、前記選択回路が前記第1の電流電圧変換回路を選択しているときに前記投光手段の投光回数をカウントする第1のカウント手段と、前記選択回路が前記第2の電流電圧変換回路を選択しているときに前記投光手段の投光回数をカウントする第2のカウント手段と、前記第1および第2の電流電圧変換回路の出力信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路に入力される出力信号に所定量のバイアス電流を加算するバイアス回路と、前記増幅回路のドリフト電圧と上記バイアス電流に応じたバイアス電圧との加算電圧を記憶する記憶手段と、前記増幅回路の出力を積分する積分回路と、前記積分回路の出力と前記記憶手段の出力とから前記被写体までの距離を演算する演算手段とを備え、前記演算手段は、前記記憶手段の出力に基づき、前記第1および第2のカウント手段のそれぞれのカウント回数に相応する出力を補正して上記距離を算出するものである。
【0006】
本願の請求項2に係る発明は、前記バイアス回路が加算するバイアス電流を変更するバイアス電流変更手段を有している。
【0007】
本願の請求項3に係る発明は、前記ドリフト電圧が正電圧の場合に前記バイアス回路のバイアス電流の加算を禁止する禁止手段を有している。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0009】
制御回路(以下CPUという)10はカメラの各部分の動作を統括して制御する。CPU10に内蔵されている読み出し可能なリード・オンリ・メモリ(以下ROMという)10aはカメラの動作に関するプログラムおよびデータの半永久的な保存に使用する。同様に、CPU10に内蔵されている読み書き可能なランダム・アクセス・メモリ(以下RAMという)10bは演算および一時的な記憶に使用する。モータ11はCPU10の制御に従って鏡筒12を合焦位置に駆動する。レリーズスイッチ13は撮影者が撮影を行うために押下するスイッチである。
【0010】
投光回路20は投光素子(以下IREDという)21を駆動するための回路であり、トランジスタ22、抵抗23、抵抗24からなる。IRED21はCPU10から出力される発光信号EMによってパルス駆動される。
【0011】
遠側電流電圧変換回路30、近側電流電圧変換回路40は一次元半導体受光素子3(以下PSDという)と一体となって受光回路を構成する。ここで説明の便宜上、これはPSD3の2つの出力端子のうち、投光素子に近い方を遠側、投光素子から遠い方を近側と呼ぶものとする。PSD3に光信号が入射すると、PSD3はその強度と入射位置に応じた電流を遠側電流電圧変換回路30と近側電流電圧変換回路40とに出力する。遠側電流電圧変換回路30はアンプ31と帰還抵抗32とで構成され、入力電流に比例した電圧を出力する回路であり、近側電流電圧変換回路40も同様にアンプ41と帰還抵抗42とで構成され、入力電流に比例した電圧を出力する回路である。遠側電流電圧変換回路30および近側電流電圧変換回路40から出力された電圧は、共にスイッチ4に導かれる。スイッチ4は遠側電流電圧変換回路30と近側電流電圧変換回路40のいずれかの出力を後段の回路に伝える役割を持ち、その状態はCPU10によって制御される。遠距離側の測距を行うときは遠側電流電圧変換回路30、近距離側の測距を行うときは近側電流電圧変換回路40側にオンする。
【0012】
増幅回路50と増幅回路60は同様な構成なので、増幅回路50を例にとって説明する。増幅回路50の前にはカップリングコンデンサ5が接続され、入力信号の直流分はここでカットされる。増幅回路50はアンプ51と3個の帰還抵抗53、54、55と入力抵抗52とで構成され、入力信号をある一定のゲインで増幅する回路である。回路中にスイッチ56とスイッチ57を持っており、これらのスイッチはCPU10によってオンまたはオフを制御できる。スイッチ56は帰還抵抗55を、スイッチ57は帰還抵抗54および帰還抵抗55をそれぞれオンまたはオフするので、これらのスイッチの状態から入力抵抗と帰還抵抗の組み合わせによりアンプ51のゲインが段階的に変化する。したがって信号電流から電圧への変換も、この変化したゲインに応じて行われる。増幅回路60も同様な構成であり、CPU10はスイッチ66とスイッチ67を操作して適切なゲインを設定し、それにしたがって増幅回路50の出力した信号の増幅が行われる。増幅回路60の出力信号はスイッチ7を経て後段の積分回路80に出力される。
【0013】
増幅回路60のアンプ61にはバイアス回路70が接続されている。バイアス回路70は抵抗71と電源間に両端を接続された可変抵抗72とから構成されている。バイアス回路70の出力にはスイッチ73が接続され、CPU10はスイッチ73をオンすることによりバイアス電流を増幅回路60に供給する。ここでCPU10は、スイッチ73を発光信号EMに同期してオンまたはオフする。すなわち、IRED21の発光中においてのみバイアス電流が増幅回路60に供給され、それ以外の場合にはバイアス電流は供給されない。バイアス回路70が供給するバイアス電流は、常に積分コンデンサ83の端子間電圧を正にするに十分な量になるようにあらかじめ調整されている。
【0014】
積分回路80はアンプ81、入力抵抗82、積分コンデンサ83、それに積分コンデンサ83の電荷を放電するためのスイッチ84、さらにアンプ81の出力に電圧ホロワ85が接続されている。積分動作に先だって積分コンデンサ83に残っている電荷を放電するためスイッチ84がオンする。電荷を十分に放電するとスイッチ84はオフする。積分動作がスイッチ7のオンによって開始されると、積分コンデンサ83には入力信号の時間積分値が電荷として貯えられる。積分動作が終了するとスイッチ7はオフし、積分コンデンサ83の端子間電圧が電圧ホロワ85に出力され、電圧ホロワ85の出力電圧はA/D変換器14に取り込まれる。A/D変換器14はこれをデジタル電圧に変換してCPU10に出力する。
【0015】
次に本発明の実施例の回路の動作について説明する。撮影者がレリーズスイッチ13を押すとCPU10はROM10aに内蔵されているプログラムに従って測光動作および測距動作を行い、続いて露出作動を行う。そのうちの測距動作に入ると、CPU10はまず図1内のすべての回路の電源をオンする。次にRAM10bの内容をクリアし、増幅回路50と増幅回路60のゲインを決定する。このときゲインを最小にセットしても被写体の輝度が大きくアンプが飽和してしまう場合は、測距を行わずに被写体が至近距離にあるものと判定し、RAM10b中の至近フラグFcをセットする。この理由は、輝度が大きい場合には撮影レンズの絞り口径が小さくなるように制御されるため、被写界深度が非常に深くなり、被写体位置に関係なくピントがあうようになるためである。そして、測距に入る前に回路の単位投光時間当たりのバイアス電圧とドリフト電圧との合算電圧Vbを決定する。
【0016】
その後CPU10は投光回路20をパルス駆動し、カウント値K1で投光回数をカウントしながらその時の受光素子の出力電流を遠側電流電圧変換回路30で電流電圧変換し、増幅回路50および増幅回路60で増幅し、積分回路80で積分する。積分電圧が電圧V2(たとえば1.0V)に達するとCPU10は投光を終了し、その時のカウント値K1をRAM10bに保存する。このとき積分電圧が電圧V2に達しないうちに投光回数が値K1m(たとえば700回)に達した場合は無限遠と判定し、RAM10b中の無限遠フラグFiをセットする。それから再びCPU10は投光回路20をパルス駆動し、カウント値K2で投光回数をカウントしながらその時の受光素子の出力電流を近側電流電圧変換回路40で電流電圧変換し、増幅回路で増幅し、積分回路で積分する。積分電圧が電圧V2に達するとCPU10は投光を終了し、その時のカウント値K2をRAM10bに保存する。このとき積分電圧が電圧V2に達しないうちに投光回数が値K2m(たとえば300回)に達した場合は無限遠と判定し、RAM10b中の無限遠フラグFiをセットする。以上で投光動作が終了すると、無限遠フラグFiがセットされていれば無限遠、至近フラグFcがセットされていれば至近、いずれでもなければRAM10bに保存されているカウント値K1にバイアス電圧Vbに応じた補正を行なった値N1、同様にRAM10bに保存されているカウント値K2にバイアス電圧Vbに応じた補正を行なった値N2の両方から式(1)のような値Xを算出する。
【0017】
X=N1/(N1+N2) (1)
式(1)により値Xが定まると、ROM10aに保存されている、図7に示すような表を参照し、被写体までの距離Dを求め、その結果にしたがってCPU10はモータ11を制御し、鏡筒12を合焦位置まで駆動する。最後に測距回路の電源をオフして、このルーチンを抜ける。
【0018】
以上のうち、まず増幅回路50と増幅回路60のゲイン決定動作を図2、図3を使って以下に詳細に説明する。最初にCPU10によってスイッチ4を遠側電流電圧変換回路30側にオンする。次にスイッチ84をオンし、積分コンデンサ83にたまっている電荷を放電させる(図2のa)。十分に電荷を放電した後、スイッチ84をオフし、そしてカウント値Neを0にクリアする(図2のb)。それからCPU10は発光信号EMを発生して投光を開始する(図2のc)。発光信号EMの発生に応じて、IRED21が駆動されると共に、スイッチ73もオンする。
【0019】
各増幅回路の立ち上り時間の確保および投光開始に伴う電源変動の影響を軽減するため、投光開始後時間T1を経過してからスイッチ7をオンし(図2のd)、積分回路を時間T2の間だけ動作させてからスイッチ7をオフする(図2のe)。それが終わると投光・積分を停止して、時間T3の間だけ待機し(図2のf)、カウントアップ信号CUを発生してカウント値Neに1を加える。
【0020】
図3のように、図2のc〜eの動作を予め決められた回数Ng(たとえば10回)だけ繰り返した後、CPU10はA/D変換器14を制御し、積分コンデンサ83の端子間電圧をデジタル値に変換して読み込む。続いてCPU10は積分電圧Vintと電圧V1(たとえば0.1V)とを比較し、積分電圧Vintの方が大きい場合にはスイッチ56をオンする。以下同様に、積分動作と比較演算とをくり返し、積分電圧Vintが電圧V1よりも大きい場合は、スイッチ66、スイッチ57、スイッチ67の順でオンする。これで増幅回路全体としてのゲインが定まったことになる。もし以上の手順にしたがってすべてのスイッチをオンしてもなお積分電圧Vintが電圧V1よりも大きい場合には被写体は至近距離にあるものと判断して至近フラグFcをセットして終了する。
【0021】
次に、単位投光時間当たりのバイアス電圧とドリフト電圧の合算電圧Vbの求め方を図5を使って以下に詳細に説明する。最初にスイッチ84をオンし、積分コンデンサ83にたまっている電荷を放電させる。十分に電荷を放電した後、スイッチ84をオフし、スイッチ4を遠側電流電圧変換回路30側にオンし、時間T4だけ待機する。続いて投光回路20を駆動しないでスイッチ7とスイッチ73とをオンし、積分動作を開始して時間T5だけ待機する。この間積分コンデンサ83には回路のドリフト電圧およびバイアス回路70からのバイアス電流によって電荷が貯えられる。スイッチ7とスイッチ73とをオンしてから時間T5を経過すると、スイッチ7とスイッチ73とをオフして積分動作を終了し、式(2)にしたがって単位投光時間当たりのバイアス電圧とドリフト電圧との合算電圧Vbを求める。通常オペアンプのドリフト電圧の絶対値は数ミリから10ミリボルトであり、バイアス回路70からはこれをキャンセルするのに十分な電流が供給されるため、バイアス電圧とドリフト電圧との合算電圧Vbは必ず正となる。
【0022】
Vb=Vint/T5 (2)
【0023】
次に、遠側電流電圧変換回路30による測距と値N1の求め方を図2と図6を使って以下に詳細に説明する。最初にスイッチ84をオンし、積分コンデンサ83にたまっている電荷を放電させる。十分に電荷を放電した後、スイッチ84はオフする。そしてカウント値K1を0にクリアする。
【0024】
続いて測距動作に移る。測距の方法は図2に示した通りである。CPU10は発光信号EMに同期してスイッチ73をオンし増幅回路60にバイアス電流を供給する。投光を繰り返しながらカウント値K1を加算していき、積分電圧Vintが予め定められた電圧V2に達した時点で終了するが、もしも被写体までの距離が遠くて予め定められた値K1mだけ投光しても電圧V2に達しない場合は無限遠と判断し、RAM10b中の無限遠フラグFiをセットして終了する。それ以外の場合はカウント値K1からバイアス電圧とドリフト電圧との合算電圧Vbの影響を除去するため、次のような演算を行う。
【0025】
バイアス電圧とドリフト電圧との合算電圧Vbの除去の演算方法を図6に従って説明する。測距終了の時点で積分コンデンサの端子間電圧は電圧V2に達しているが、その中にはオフセット電圧(バイアス電圧+ドリフト電圧)Voffが含まれているため、単位時間あたりのバイアス電圧とドリフト電圧との合算電圧Vbが0の場合に対して少ない投光回数で測距を終了しているはずである。もし単位時間あたりのバイアス電圧とドリフト電圧との合算電圧Vbが0ならば、図6に示す値N1だけ投光しなければならないことになる。値N1はカウント値K1と電圧V2とオフセット電圧Voffとを使って式(3)のように表される。
【0026】
N1=K1・V2/(V2−Voff) (3)
【0027】
ここでオフセット電圧Voffは単位投光時間当たりのバイアス電圧とドリフト電圧との合算電圧Vbを使って式(4)のように表される。
Voff=K1・Vb (4)
【0028】
式(3)と式(4)からオフセット電圧Voffを消去すれば、値N1が式(5)のように計算できる。
【0029】
N1=K1・V2/(V2−K1・Vb) (5)
【0030】
この値N1をRAM10bに格納する。
【0031】
次に、近側電流電圧変換回路40による測距と値N2の求め方を図2と図6に基づいて説明する。最初にスイッチ84をオンし、積分コンデンサ83にたまっている電荷を放電させる。十分に電荷を放電した後、スイッチ84はオフする。そしてカウント値K2を0にクリアする。続いて測距動作に移る。測距の方法は図2に示した通りである。CPU10は発光信号EMに同期してスイッチ73をオンし増幅回路60にバイアス電流を供給する。投光を繰り返しながらカウント値K2を加算していき、積分電圧Vintが予め定められた電圧V2に達した時点で終了するが、もしも被写体までの距離が遠くて予め定められた値K2mだけ投光しても電圧V2に達しない場合は無限遠と判断し、RAM10b中の無限遠フラグをセットして終了する。それ以外の場合はカウント値K2を使って、値N1のときと同様に式(6)のような値N2を算出しRAM10bに格納する。
N2=K2・V2/(V2−K2・Vb) (6)
最後に値N1、N2を式(1)に代入し、被写体までの距離Dを得ることは前述したとおりである。
【0032】
以上が本実施例における回路の動作である。図4に下イン決定から測距終了までの一連の動作を示した。この例ではスイッチ56から67までの全てのスイッチがオンし、ゲインは最小となっている。その状態で測距を行い、無限遠と判断されることなくカウント値K1、K2を求めている。以上の動作をフローチャートで表わすと図8〜図12のようになる。まず、メインルーチンを図8に基づいて説明する。
【0033】
この測距ルーチンに入ると、CPU10は測距回路の電源をオンし(#001)、続いて変数やフラグを初期化する(#002)。次に増幅回路50と増幅回路60のゲインを決定し(#003)、至近フラグFcの状態を確認し(#004)、セットされていれば値Xに1を代入して(#005)、#013にジャンプする。#004で至近フラグFcがセットされていないと、それから単位時間当たりのバイアス電圧Vbを決定する(#006)。そして遠側電流電圧変換回路30での測距を行い、値N1を算出してRAM10bに保存し(#007)、無限遠フラグFiの状態を確認し(#008)、セットされていれば値Xに0.5を代入して(#009)、#013にジャンプする。#008で無限遠フラグFiがセットされていないと、同様に近側電流電圧変換回路40での測距を行い、値N2を算出してRAM10bに保存し(#010)。無限遠フラグFiの状態を確認し(#011)、セットされていれば値Xに0.5を代入して(#012)、#013にジャンプし、セットされていなければサブルーチン#007と#010の操作でRAM10bに保存されている値N1と値N2を読み出し値Xを算出する(#012)。つまり、無限遠フラグFiがセットされていれば無限遠、至近フラグFcがセットされていれば至近、それ以外では図7に示すように値Xをオフセット値とする予め決められたROM10aのアドレスを参照することで、被写体までの距離Dを求め(#013)、鏡筒を駆動する(#014)。最後に測距回路の電源をオフし(#015)、このルーチンを抜ける。
【0034】
次に、各サブルーチン内での動作を説明する。まず、ゲイン決定のサブルーチンを図9に基づいて説明する。ゲイン決定のサブルーチンに入ると、CPU10はスイッチ4を遠側電流電圧変換回路30側にオン、他のスイッチをすべてオフし(#101)、スイッチ84をオンし、積分コンデンサ83にたまっている電荷を放電させてから、スイッチ84をオフし(#102)、カウント値Nsを0にクリアし(#103)、カウンタリセット信号CRを発生してカウント値Neを0にクリアする(#104)。
【0035】
続いてCPU10は発光信号EMを発生して投光回路20を動作して投光を始め(#105)、時間T1だけ待機する(#106)と、スイッチ84をオンし積分動作をしながら(#107)、時間T2だけ待機する。この間積分コンデンサ83には電荷が貯えられる(#108)。それから投光回路20の動作を止めて投光動作を終了し、スイッチ7をオフし積分動作を終えて(#109)、時間T3だけ待機した後に(#110)、カウントアップ信号CUを発生してカウント値Neに1を加える(#111)。以上#105〜#110の動作はカウント値Neが予め決められた回数Ng(本例では、Ng=10回)に達するまで繰り返される。カウント値Neが回数Ngに達したら(#112)、CPU10はスイッチ7をオフして、積分電圧VintをA/D変換器14に出力する。A/D変換器14はその電圧をA/D変換し、CPU10に出力する。さらに積分電圧Vintを電圧V1と比較し(#113)、積分電圧Vintが電圧V1以下であればメインルーチンに戻る。
【0036】
積分電圧Vintが電圧V1より大きかった場合、カウント値Nsが0ならば(#114)、スイッチ56を(#115)、カウント値Nsが1ならば(#116)、スイッチ66を(#117)、カウント値Nsが2ならば(#118)、スイッチ57を(#119)、カウント値Nsが3ならば(#120)、スイッチ67を(#121)、それぞれオンし、カウント値Nsに1を加えて(#122)、#104に戻る。もしカウント値Nsが0から3のいずれでもなければ至近フラグFcをセットし(#123)、このサブルーチンを抜け、メインルーチンに戻る。
【0037】
次に、単位投光時間当たりのドリフト電圧決定のサブルーチンを図10に基づいて説明する。単位投光時間当たりのドリフト電圧決定のサブルーチンがコールされると、CPU10はスイッチ84をオンし、積分コンデンサ83にたまっている電荷を放電させる。十分に電荷を放電した後、スイッチ84をオフする(#201)。次にスイッチ4を遠側電流電圧変換回路30側にオンする(#202)。それから時間T4だけ待機すると(#203)、スイッチ7とスイッチ73をオンし、投光回路20は駆動しないで積分動作を開始し(#204)、時間T5だけ待機する(#205)。この間積分コンデンサ83には電荷が貯えられる。時間T5だけ経過するとスイッチ7とスイッチ73をオフし、積分動作を終了する(#206)。そして、A/D変換器14から出力された積分電圧VintをCPU10が読み取る。CPU10は積分電圧Vintを時間T5で割り、単位時間当たりのバイアス電圧Vbを求め、RAM10bに保存し(#207)、このサブルーチンを抜ける。
【0038】
次に、遠側電流電圧変換回路30による測距のサブルーチンを図11に基づいて説明する。遠側電流電圧変換回路30による測距のサブルーチンがコールされると、CPU10はスイッチ84をオンし、積分コンデンサ83にたまっている電荷を放電させる。十分に電荷を放電した後、スイッチ84をオフする(#301)。次にCPU10はスイッチ4を遠側電流電圧変換回路30側にオンし、スイッチ7をオンする(#302)。カウンタリセット信号CRを発生してそれからカウント値K1を0にクリアする(#303)。
【0039】
続いて測距動作に移る。最初にカウント値K1が値K1m以上かどうかを判定し(#304)、値K1m以上ならばRAM10b中の無限遠フラグFiをセットし(#305)、このサブルーチンを抜ける。カウント値K1が値K1m未満ならばCPU10は投光回路20を駆動し、投光を開始する(#306)。投光開始に伴う各アンプの立ち上り時間の確保と電源変動の影響とを軽減するため、時間T1だけ待機した後(#307)、スイッチ7とスイッチ73をオンして積分動作を開始し(#308)、時間T2だけ待機する(#309)。この間積分コンデンサ83には電荷が貯えられる。時間T2だけ経過すると投光回路20の動作を止めて投光動作を終了し、スイッチ7とスイッチ73をオフして、積分動作を終了する(#310)。それから時間T3だけ待機し(#311)、カウントアップ信号CUを発生してカウント値K1に1を加算し(#312)、積分電圧VintをA/D変換器14に出力する。A/D変換器14はその電圧をA/D変換してCPU10に出力する。CPU10は積分電圧Vintを電圧V2と比較し(#313)、積分電圧Vintが電圧V2よりも小さい場合には#304にジャンプして投光動作を繰り返す。積分電圧Vintが電圧V2よりも大きい場合にはカウント値K1から値N1を算出してRAM10bに記憶し(#314)、このサブルーチンを抜ける。
【0040】
次に、近側電流電圧変換回路40による測距のサブルーチンを図12に基づいて説明する。近側電流電圧変換回路40による測距のサブルーチンがコールされると、CPU10はスイッチ84をオンし、積分コンデンサ83にたまっている電荷を放電させる。十分に電荷を放電した後、スイッチ84をオフする(#401)。次にスイッチ4を近側電流電圧変換回路40側にオンする(#402)。それからカウンタリセット信号CRを発生してカウント値K2を0にクリアする(#403)。
【0041】
続いて測距動作に移る。最初にカウント値K2が値K2m以上かどうかを判定し(#404)、値K2m以上ならばRAM10b中の無限遠フラグFiをセットし(#405)、このサブルーチンを抜ける。値K2が値K2mより小さいと、CPU10は投光回路20を駆動し、投光を開始する(#406)。投光開始に伴う各アンプの立ち上り時間の確保と電源変動の影響とを軽減するため、時間T1だけ待機した後(#407)、スイッチ7とスイッチ73をオンして積分動作を開始し(#408)、時間T2だけ待機する(#409)。この間積分コンデンサ83には電荷が貯えられる。時間T2だけ経過すると投光回路20の動作を止めて投光動作を終了し、スイッチ7とスイッチ73をオフして、積分動作を終了する(#410)。それから時間T3だけ待機し(#411)、カウントアップ信号CUを発生してカウント値K2に1を加算し(#412)、積分電圧VintをA/D変換器14に出力する。A/D変換器14はその電圧をA/D変換してCPU10に出力する。CPU10は積分電圧Vintを電圧V2と比較し(#413)、積分電圧Vintが電圧V2よりも小さい場合には#404にジャンプして投光動作を繰り返す。積分電圧Vintが電圧V2よりも大きい場合にはカウント値K2から値N2を算出してRAM10bに記憶し(#414)、このサブルーチンを抜ける。以上の動作により、被写体までの距離が測定される。
【0042】
なお本実施例では電流電圧変換回路と後段の増幅回路のゲインを決定した後に単位投光時間あたりのドリフト電圧を求めているが、単位投光時間あたりのドリフト電圧を求めた後に電流電圧変換回路と後段の増幅回路のゲインを決定してもよい。
【0043】
なお本実施例では実際のドリフト電圧量に関わらずバイアス電流を加算しているが、バイアス電流を加算しない状態でのドリフト電圧量を測定し、ドリフト電圧が正の場合はバイアス電流を加算しない、そしてドリフト電圧が負の場合にそのドリフト電圧に対応したバイアス電流量を加算するという制御を行なってもよい。
【0044】
この場合の動作を示すフローチャートを図13に示す。回路構成は図1と同様であるため省略する。
【0045】
図13に示すVbの決定のサブルーチンは、先の実施例の図8のメインフローチャートの#006に置換されるべきフローチャートである。#004で至近フラグFcがセットされていない場合に、図13のルーチンが実行される。
【0046】
図13のVbの決定のサブルーチンがコールされると、CPU10はスイッチ84をオンし、積分コンデンサ83にたまっている電荷を放電させる。十分に電荷を放電した後、スイッチ84をオフする(#501)。次にCPU10はスイッチ4を遠側電流電圧変換回路30側にオンする(#502)。それから時間T4だけ待機すると(#503)、スイッチ7とスイッチ73とをオンし、投光回路20は駆動しないで積分動作を開始し(#504)、時間T5だけ待機する(#505)。この間積分コンデンサ83には電荷が蓄えられる。時間T5だけ経過するとスイッチ7とスイッチ73とオフし、積分動作を終了する(#506)。
【0047】
そして、A/D変換器14から出力された積分電圧VintをCPU10が読みとる。CPU10は積分電圧Vintが0以上か0未満かを判断し(#507)、0以上の場合はバイアス禁止フラグFbをセットしてこのサブルーチンを抜け、メインルーチンに戻る。Vintが0未満の場合は、バイアス禁止フラグFbをリセットし(#509)、オフセット電圧Voffを正にするようなVbの値を決定し、可変抵抗72をその値に応じて調節する。
【0048】
この後、先の実施例と同様にN1とN2とを求めるのであるが、バイアス禁止フラグFbがセットされている場合はスイッチ73の開閉は行わない。すなわち、#308と#310、#408と#410においてスイッチ73は開閉せず、スイッチ7のみが開閉する。同様に#314においてN1、#414においてN2を算出しているが、バイアス電流が加算されていないため、N1にはK1、N2にはK2がそれぞれ直接代入される。
【0049】
以上の動作により、先の実施例と同様にN1とN2とが求められる。
【0050】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明では、増幅手段のドリフト電圧にバイアス電流により発生するバイアス電圧を加算した合算電圧とその増幅手段で増幅された受光手段の出力とに応じて被写体までの距離を演算するので、測距時間を短縮するとともに、被写体を測距し得る距離が短くなるのを防いでいる。
【0051】
そして、バイアス電流を変更可能にすれば、必要以上にバイアスされるのを防止できるので、所望の上記合算電圧を得ることができ、精度の高い測距結果を得られる。
【0052】
さらに、ドリフト電圧が正電圧の場合にバイアス電流の加算を禁止するようにすれば、さらに精度の高い測距結果が得られるとともに、不要なバイアス電流を解消できるので省電力化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例の構成を示す図。
【図2】図2は本発明の実施例の積分動作を説明する図。
【図3】図3は本発明の実施例の増幅回路50と増幅回路60のゲイン決定法を説明する図。
【図4】図4は本発明の実施例の測距時の一連の動作をを説明する図。
【図5】図5は本発明の実施例のバイアス電圧Vbの測定動作を説明する図。
【図6】図6は本発明の実施例の値N1、N2の算出方法を説明する図。
【図7】図7は本発明の実施例の値Xから距離Dを求めるROM10a上のテーブル。
【図8】図8は本発明の実施例の動作を示すフローチャート。
【図9】図9は図8のフローチャートの増幅回路50および増幅回路60のゲイン決定の部分のサブルーチンを示すフローチャート。
【図10】図10は図8のフローチャートのバイアス電圧Vbの決定の部分のサブルーチンを示すフローチャート。
【図11】図11は図8のフローチャートの遠側電流電圧変換回路30による測距の部分のサブルーチンを示すフローチャート。
【図12】図12は図8のフローチャートの近側電流電圧変換回路40による測距の部分のサブルーチンを示すフローチャート。
【図13】図13は本発明の他の実施例のバイアス電圧Vbの決定の部分のサブルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
20 投光回路
PSD3、30、40 受光回路
30 投光回路
40 投光回路
4 スイッチ
K1、K2 カウント手段
50、60 増幅回路
70 バイアス回路
80 積分回路
10 CPU
Claims (3)
- 被写体へ光を照射する投光手段と、
前記投光手段の照射光が前記被写体で反射する光を受光し2つの電流出力に変換する受光手段と、
前記受光手段の一方の出力電流を電圧に変換する第1の電流電圧変換回路と、 前記受光手段の他方の出力電流を電圧に変換する第2の電流電圧変換回路と、 前記2つの電流電圧変換回路のいずれかを選択的に出力する選択回路と、
前記選択回路が前記第1の電流電圧変換回路を選択しているときに前記投光手段の投光回数をカウントする第1のカウント手段と、
前記選択回路が前記第2の電流電圧変換回路を選択しているときに前記投光手段の投光回数をカウントする第2のカウント手段と、
前記第1および第2の電流電圧変換回路の出力信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路に入力される出力信号に所定量のバイアス電流を加算するバイアス回路と、
前記増幅回路のドリフト電圧と前記バイアス電流に応じたバイアス電圧との加算電圧を記憶する記憶手段と、
前記増幅回路の出力を積分する積分回路と、
前記積分回路の出力と前記記憶手段の出力とから前記被写体までの距離を演算する演算手段とを備え、
前記演算手段は、前記記憶手段の出力に基づき、前記第1および第2のカウント手段のそれぞれのカウント回数に相応する出力を補正して上記距離を算出するものであることを特徴とする測距装置。 - 前記バイアス回路が加算するバイアス電流を変更するバイアス電流変更手段を有することを特徴とする請求項1に記載の測距装置。
- 前記ドリフト電圧が正電圧の場合に前記バイアス回路のバイアス電流の加算を禁止する禁止手段を有することを特徴とする請求項1に記載の測距装置。
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