JP3579521B2 - ばね分離装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ばね、特にコイル状ばねの絡みつきを防止してコイル状ばね同志を分離させるばね分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のばね分離装置として特開平5ー720号公報に開示されたものがある。この開示技術は、内部にばねを収容する円筒状のバスケットと、このバスケット内に配置され表面に複数の跳ね上げピンを有する回転板と、この回転板を回転駆動する駆動手段と、バスケットの外周に沿うて設けられたシュートと、上蓋と、傾斜面を有する分離板とから構成されており、前記駆動手段の作動により回転板を断続的に回転させて、バスケット内の多数のばねに運動を与えて、これらのばねを跳ね上げピンに衝突させてばねの絡みつきをほぐし、分離したばねを跳ね上げピンにより跳ね上げて上蓋に付き当てて反射させて、前記シュートの開口部に飛び込ませて排出するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来のばね分離装置にあっては、絡みついたばねが跳ね上げピンとの衝突により一度分離されても、絡みついたばねが複数組同時にバスケット内に入れられており、しかも、これら複数組のばねが複数本の跳ね上げピンにより同時に跳ね上げられるので、回転板での突き上げ時、シュートからの排出時または落下時に再び絡みついてしまい、完全にばねの絡みつきを分離することができなかった。
【0004】
このため、排出されたばねを作業員が拾って組付け作業を行う場合には、ばねが完全に分離されなくても、作業員が組付け時に分離したりすればよいが、排出されたばねが自動組付機等の供給装置に流れるような場合には、供給不良を起こしたり、供給装置の前に、絡みついているばねと絡みついていないばねの判定装置が配置されている場合にも、ばねの分離が完全に行われないと、供給不足をおこすという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解消するものであり、その目的とするところは、絡みついたばねの分離が容易になるばかりか、一度分離されたばねの他のばねとの絡みを防止できるばね分離装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、請求項1の発明に係わるばね分離装置は、絡みついたばねが衝突して、この絡みついたばねを1個づつに分離する衝突面部を内部に有する筐体と、前記筐体の底部に設けられて、下方に弯曲した底面と該底面の両側に設けられた壁状部材とを有し、振動により絡みついたばねを進行方向に揃えて流すばね通路と、絡みついたばねを前記ばね通路に送るばね送り手段と、前記ばね通路の底面に設けられて、前記ばね通路を流れる絡みついたばねを1組づつ前記筐体の衝突面部に衝突させるばね衝突手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
したがって、請求項1の発明に係わるばね分離装置にあっては、ばね送り手段により、絡みついたばねが前記筐体内のばね通路に送られると、絡みついたばねは、ばね通路を進行方向に揃えられて流れ、ばね通路の底面に設けられた前記ばね衝突手段が、絡みついたばねを1組づつ前記筐体の衝突面部に衝突させてこの絡みついたばねを1個づつに分離する。
【0008】
このように、ばね衝突手段が、絡みついたばねを1組づつ前記筐体内部の衝突面部に衝突させるので、分離されやすく、かつ、絡みついたばねの衝突面部への衝突時及び落下時に、一度分離された後に他のばねとの絡みが防止できる。このために、分離されないばねが減少するので、供給不良や供給不足を防止することができる。
【0009】
また、請求項2の発明に係わるばね分離装置は、請求項1記載のばね分離装置において、前記ばね衝突手段が、前記ばね通路の底面の底部からき出す圧縮空気である。
【0010】
したがって、請求項2の発明に係わるばね分離装置にあっては、圧縮空気がばね通路の底部から垂直方向に吹き出し絡みついたばねを1組づつ筐体内部の衝突面部に衝突させて1個づつに分離すると共に、圧縮空気の圧力が絡みついたばねを分離する。
【0011】
また、請求項3の発明に係わるばね分離装置は、請求項1記載又は請求項2記載のばね分離装置において、前記ばね送り手段が、小刻みな振動及び圧縮空気の少なくとも一方である。
【0012】
したがって、請求項3の発明に係わるばね分離装置にあっては、小刻みな振動及び圧縮空気の少なくとも一方が、絡みついたばねを確実に送る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳述する。
図1は本発明のばね分離装置を組み込んだ部品組立て設備の構成説明図、図2は本発明のばね分離装置の概略的な斜視図、図3は同ばね分離装置の正面図、図4は図3のA−A線に沿う断面図である。
【0014】
図1に示す部品組立て設備は、ばね(コイル状ばね)を整列させるばね整列機1(パーツフィーダ)と、このばね整列機1から流れてくるばねを、絡みついているばねと、絡みついていないばねとを判定し振り分ける絡みつき判定装置2と、この絡みつき判定装置2により絡んでいないと判定されたばねをばね組付機22Aに供給するばね供給装置22Bと、絡みつき判定装置2により絡みついていると判定されたばねを分離し、再びばね整列機1に送る本発明のばね分離装置3とで構成されている。
【0015】
本発明のばね分離装置3は筐体4を備えており、この筐体4は、前、後面部5、6と、左、右面部7、8と、底面部9と、上面部10とを有しており、前面部5には、その左側下部に位置させて開口部11が形成してあり、この開口部11は前面部5に左半分を占めており、また、左面部7の前縁下部には前方に向かって拡大する進入ばねガイド部12が形成してあって、この進入ばねガイド部12が前記開口部11の左側に連なっていて、これらでばね進入口13を構成している。また、前記後面部6にはその下部に排出口14が形成してある。
【0016】
そして、前記底面部9の左半分には下方に弯曲したばね通路15が形成してあり、このばね通路15の前端部は前記ばね進入口13の下縁部を構成しているし、ばね通路15の後端部は前記排出口14の下縁部を構成しており、この排出口14側が低くなされている。また、前記底面部9には前記ばね進入口13の右縁部13aの後方に位置させてプレート状の内側ばねガイド部16が立ち上げてあり、この内側ばねガイド部16より右方には空間17が設けてあり、このばね空間17の床部が落下場所になっている。
【0017】
そして、前記ばね通路15の中央部には圧縮空気吹出し口18が設けてあり、この圧縮空気吹出し口18には圧縮空気供給管19が接続してあって、これらでばね衝突手段を構成している。
【0018】
前記ばね進入口13は進入側通路30に、排出口14は排出側通路31にそれぞれ連なっており、進入側通路30には絡みつき判定装置2より絡みついていると判定されたばね20がばね進入口13に向かって流れる通路であり、排出側通路31は前記排出口14をばね整列機1につないでおり、ばね20´が排出側通路31をばね整列機1へ、小刻みな振動及び後述する排出側圧縮空気供給口からの圧縮空気により流れる。
【0019】
図2中22はソレノイドバルブであり、このソレノイドバルブ22は前記ばね整列機1が作動すると開動作するものである。このソレノイドバルブ22の入口側には元圧が導入されるべく元圧配管23に接続してあり、ソレノイドバルブ22の一方の出口側は進入側圧縮空気供給管24が、他方の出口側は排出側圧縮空気供給管25がそれぞれ接続してあり、進入側圧縮空気供給管24には進入側圧縮空気調整バルブ26が、排出側圧縮空気供給管25には排出側圧縮空気調整バルブ27がそれぞれ設けてある。そして、進入側圧縮空気供給管24の先端に進入側圧縮空気供給口28は前記進入側通路30内に、前記ばね進入口13側に向かって開口しており、排出側圧縮空気供給管25の排出側圧縮空気供給口29は排出側通路31内にばね整列機1側に向かって開口している。
【0020】
そして、前記進入側圧縮空気調整バルブ26は、前記ソレノイドバルブ22からの圧縮空気の流量を調整するものであり、絡みついたばね20の送り速度を調整する。すなわち、進入側圧縮空気調整バルブ26を絞ると送り速度が遅くなり、開くと送り速度が早くなる。また、排出側圧縮空気調整バルブ27は前記ソレノイドバルブ22からの圧縮空気の流量を調整するものである。
【0021】
また、ばね整列機1には振動調整スイッチ(図示せず)が設けてあり、この振動調整スイッチは、前記進入側通路30及びばね通路15を流れる絡みついたばね20の送り速度を調整するものである。振動を大きくすると絡みついたばね20の送り速度は早くなり、振動を小さくすると絡みついたばね20の送り速度は遅くなる。そして、前記ソレノイドバルブ22と進入側圧縮空気調整バルブ26と進入側圧縮空気供給口28と振動調整スイッチとでばね送り手段を構成している。
【0022】
次に、上記のように構成されたばね分離装置の作動を説明する。
前記絡みつき判定装置2により絡みついていると判定されて落下した絡みついたばね20は前記進入側通路30を前記ばね送り手段により運ばれて前記ばね進入口13からばね分離装置3の内部に進入する。この場合、前記内側ばねガイド部16に案内される絡みついたばね20もある。
【0023】
前記ばね送り手段においては、前記ばね整列機1が作動すると前記ソレノイドバルブ22が開き、圧縮空気を進入側圧縮空気調整バルブ26と排出側圧縮空気調整バルブ27とに送る。この進入側圧縮空気調整バルブ26は上記したようにバルブ開度の調整により圧縮空気の流量を調整する。この進入側圧縮空気調整バルブ26で流量調整された圧縮空気は、進入側圧縮空気供給口28から吐出され絡みついたばね20を前記ばね進入口13からばね分離装置3の内部に進入させる。また、前記振動調整スイッチをオン作動することにより、前記進入側通路30及びばね通路15の振動を与えて絡みついたばね20の送り速度が調整される。
【0024】
そして、前記絡みついたばね20は、筐体4の左部7と内側ばねガイド部16とで進行方向(前後方向)に縦に揃えられてばね通路15を流れる。この時、絡みついたばね20の流速は遅い(ゆっくり)方がよい。これは絡みついたばね20が圧縮空気Wの圧力で分離され易くなるためである。そして、絡みついたばね20がばね通路15の中央部に至ると、前記圧縮空気吹出し口18からこの圧縮空気吹出し口18の真上に吹出している圧縮空気Wにより、絡みついたばね20が1組づつ吹き上げられて、筐体4の衝突面部である上面部10の内面(または、前、後面部5、6及び左、右面部7、8のそれぞれの内面)に衝突させられて、絡みつきが分離され、前記空間17の床部17Aに落下し、その後、排出口14より排出されて、前記排出側通路31を流れて再びばね整列機1内に送られる。
【0025】
この場合、前記排出側圧縮空気調整バルブ27は上記したようにバルブ開度の調整により圧縮空気の流量を調整する。この排出側圧縮空気調整バルブ27で流量調整された圧縮空気は、排出側圧縮空気供給口29から吐出されて、排出口14に溜まったばね20´(ばねを送るための振動が早くなると、分離されたばね20´が排出口14に溜まる)を前記ばね整列機1に送る。
【0026】
上記の実施例によれば、前記ばね通路15の底部の前記圧縮空気吹出し口18からこの底部の垂直方向に吹き出す圧縮空気Wで絡みついたばね20を1組づつ吹き上げて、この絡みついたばね20を前記筐体4の衝突面部である上面部10の内面(または、前、後面部5、6及び左、右面部7、8のそれぞれの内面)衝突させることができ、絡みついたばね20の分離を確実に行なうことができる。このために、分離されないばねが減少するので、供給不良や供給不足を防止することができる。
【0027】
また、ばね衝突手段が、前記ばね通路15の底部からこの底部の垂直方向に吹き出す圧縮空気Wであることにより、圧縮空気Wの圧力で、絡みついたばね20を分離させることができ、より効果的に絡みついたばね20の分離を行なうことができる。
【0028】
また、前記ばね送り手段が、小刻みな振動及び圧縮空気の少なくとも一方であることにより、小刻みな振動及び圧縮空気の少なくとも一方が、絡みついたばね20を前記筐体4のばね通路15に確実に送ることができると共に、ばね衝突手段に適した送り速度に容易に調整することができ、絡みついたばね20の分離に寄与することができる。
【0029】
また、前記衝突面部としての前記筐体4の上面部10の内面の高さを適度に設定することにより、少なくとも前記筐体4の上面部10の内面との衝突と衝突面部としての筐体4の底面部との衝突との2回の衝突効果が得られ、絡みついたばね20が分離され易くなる。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明に係わるばね分離装置は、絡みついたばねが衝突して、この絡みついたばねを1づつに分離する衝突面部を内部に有する筐体と、前記筐体の底部に設けられて、下方に弯曲した底面と該底面の両側に設けられた壁状部材とを有し、振動により絡みついたばねを進行方向に揃えて流すばね通路と、絡みついたばねを前記ばね通路に送るばね送り手段と、前記ばね通路の底面に設けられて、前記ばね通路を流れる絡みついたばねを1組づつ前記筐体の衝突面部に衝突させるばね衝突手段とを備えたことにより、前記ばね送り手段により、絡みついたばねが前記筐体のばね通路に送られると、絡みついたばねは、ばね通路を進行方向に揃えられて流れ、ばね通路の底面に設けられた前記ばね衝突手段が、絡みついたばねを1組づつ前記筐体の衝突面部に衝突させてこの絡みついたばねを1個づつに分離することができる。
【0031】
このように、前記ばね衝突手段が、絡みついたばねを1組づつ前記筐体の衝突面部に衝突させるので、分離されやすくかつ絡みついたばねの衝突面部への衝突時及び落下時に、一度分離された後に他のばねとの絡みが防止できる。
【0032】
このために、分離されないばねが減少するので、供給不良や供給不足を防止することができる。
【0033】
また、請求項2の発明に係わるばね分離装置は、請求項1記載のばね分離装置において、前記ばね衝突手段が、前記ばね通路の底面の底部からき出す圧縮空気であるために、上記した請求項1の発明の効果と同様な効果を奏し得るばかりか、り効果的に絡みついたばねの分離を行なうことができる。
【0034】
また、請求項3の発明に係わるばね分離装置は、請求項1は請求項2記載のばね分離装置において、前記ばね送り手段が、小刻みな振動及び圧縮空気の少なくとも一方であることにより、上記した請求項1の発明の効果と同様な効果を奏し得るばかりか、絡みついたばねを前記筐体のばね通路に確実に送ることができると共に、ばね衝突手段に適した送り速度に容易に調整することができ、みついたばねの分離に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のばね分離装置を組み込んだ部品組立て設備の構成説明図である。
【図2】本発明のばね分離装置の概略的な斜視図である。
【図3】同ばね分離装置の正面図である。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
4 筐体
7 左面部 ( 壁状部材 )
15 ばね通路
16 内側ばねガイド部 ( 壁状部材 )
18 圧縮空気吹出し口(ばね衝突手段)
20 絡みついたばね
W 圧縮空気(ばね衝突手段)

Claims (3)

  1. 絡みついたばねが衝突して、この絡みついたばねを1個づつに分離する衝突面部を内部に有する筐体と、
    前記筐体の底部に設けられて、下方に弯曲した底面と該底面の両側に設けられた壁状部材とを有し、振動により絡みついたばねを進行方向に揃えて流すばね通路と、
    絡みついたばねを前記ばね通路に送るばね送り手段と、
    前記ばね通路の底面に設けられて、前記ばね通路を流れる絡みついたばねを1組づつ前記筐体の衝突面部に衝突させるばね衝突手段とを備えたことを特徴とするばね分離装置。
  2. 前記ばね衝突手段が、前記ばね通路の底面の底部か吹き出す圧縮空気である請求項1記載のばね分離装置。
  3. 前記ばね送り手段が、小刻みな振動及び圧縮空気の少なくとも一方である請求項1又は請求項2記載のばね分離装置。
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