JP3579413B2 - 高密度光情報再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、短波長光ビームを光記録媒体に照射し光スポットを形成して、短波長光ビームの戻り光を抽出する高密度光情報再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、近赤外光(例えば波長830nm付近)レーザのような長波長のレーザを照射する半導体レーザにより情報を記録・再生する光ディスクが広く普及しているが、このような従来の光ディスクに対する記録の高密度化が様々検討されており、例えば、従来よりある角速度一定(CAV)方式の光ディスクに対して、例えばスパイラル状のトラックを複数のゾーンに分割し内周側ゾーンの記録と外周側ゾーンの記録とで角速度を変化させて(内周側ゾーンの角速度に比べ外周側ゾーンの角速度の方が遅い、外周側の線速度を内周側の線速度に近づけて)記録・再生するMCAV方式の光ディスク記録再生装置が開発されている。
【0003】
このMCAV方式の光ディスクは、CAV方式の光ディスクに比べて、スパイラル状の各トラックにおける最内周ゾーンでの1セクタ当たりの角度θに対して、例えば最外周ゾーンの1セクタ当たりの角度はθ/2となり、外周側ゾーンほどセクタ数が増加しCAV方式の光ディスクに比べ、記録密度を増大させた光ディスクである。
【0004】
また、光ディスク上に絞り込まれる光スポットの径Dは、光源からの光ビームの波長をλ、対物レンズに関する開口数をNAとすると
D=λ/NA …(1)
なる関係があることが知られている。
【0005】
さらに、このMCAV方式の光ディスクの記録をさらに高密度化させるために、短波長レーザを使用することでスポット径を小さくするものが提案されており、例えば波長830nmよりも短い波長780nmの光ビームを照射することで、光スポット径を小さくすることで記録密度を約2倍に高めた2倍密MCAV方式の光ディスク記録再生装置も開発されている。
【0006】
つまり、従来の長波長光源に対して、光源の波長が短いほど光ディスクの記録密度は高くなるので、最近では、半導体レーザや固体レーザの第2高調波や、バンド幅の広いII−IV族の半導体結晶を用いた700nm以下の可視光である赤、黄、緑、青、紫、紫外、等の短波長レーザを光源に適用して、光ディスクの記録密度を数倍以上にまで向上させようとする試みがなされている。
【0007】
例えば、光源の波長が半分になると絞り込まれた光スポットのサイズは半分となり、その面積は1/4となるので、光ディスクの記録密度が4倍になる。この短波長の光源を用いることで、従来のトラックピッチよりの短いピッチで形成されたトラックを有する高密度光ディスクに情報を記録することで高密度記録の実現が検討されている。
【0008】
その一方で、この短波長光ビームにより従来の長波長光ビーム用の光ディスクに記録された情報の再生に互換性を持たせる技術が、例えば特開平5−242520号公報に提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のCAVまたはMCAV方式の光ディスクをさらに高密度化する要望があり、このため例えば従来のMCAV方式の光ディスクに対して短波長の光ビームを照射することが考えられるが、光ディスク記録再生装置ではトラックガイドと呼ばれるガイド溝を検出しトラッキング制御を行いながら記録・再生を行っているので、光スポットの径Dは少なくとも、図9に示すように、ラジアル方向でトラックガイドに照射されていなければならないので、光スポットを小さくしようとしても、おのずと光スポット径Dは決まってきて、トラックガイドのピッチP以下にすることができず、従ってトラック方向、即ちタンジェンシャル方向の線密度は、ピッチP以下にすることができない。つまり、上記特開平5−242520号公報に示されるように、従来方式の光ディスクとの互換性をはかることは可能であるが、例えば1993年12月に規格化されたECMA−201規格(波長830nm、開口数0.53の光学系の最短ピット間隔1.040μm:波長780nm、開口数0.55の光学系の最短ピット間隔0.867μm)では、最短マーク長ピットが光スポットより小さく、短波長の光ビームによる従来方式の光ディスクの高密度化ができないといった問題がある。
【0010】
特に上記特開平5−242520号公報に記載された技術では、ディスク上に達した光量を測定する光量測定器(31)を記録媒体上の近傍に配置する構成となっているが、この光量測定器を配置すること自体が困難であることに加え、光ディスク上の情報トラックに対して光スポットを照射した際にトラックオフセットにより戻り光量が変化するために適正な光量が測定できないという問題点がある。
【0011】
また、光ディスク再生装置においては、特に情報の記録方式がピットのエッジが重要となる長穴記録方式の場合、長穴記録での高密度化を狙って最短マーク長を短くしてゆくと最短マーク長ピットが光スポットより小さくなり、最短マーク長に対応した再生信号を得ることができないといった問題もある。
【0012】
このように、従来方式の光ディスク再生装置において、短波長、長波長光ビームによる情報の高密度化には限界がある。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、記録媒体上への照射光の光量を適正に制御することができると共に、簡単かつ小型な光学系を構成することを可能とした高密度光情報再生装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の高密度光情報再生装置は、短波長光ビームを供給する光源手段と、前記短波長光ビームを光記録媒体に照射し前記光記録媒体上に光スポットを形成する光スポット形成手段と、前記光記録媒体に照射された前記短波長光ビームの戻り光を受光する光再生手段と、前記光源手段からの前記光ビームと前記光記録媒体からの前記戻り光を分離するビームスプリッタと、前記光源手段と前記ビームスプリッタとの間に配設され、対物レンズに入射する開口数を切り換える光学素子と、前記ビームスプリッタで反射する、前記光学素子の出射光の反射光を受光する光検出器と、前記光検出器の出力に基づいて前記光源手段からの前記光ビームの光量を制御する光量制御手段とを備え、前記光検出器を複数に分割された光検出器で構成すると共に、前記光学素子から出射する光ビーム形状により前記光検出器の出力を調整するための切り換え手段を有し、前記切り換え手段によって前記光源手段からの前記光ビームを制御することを特徴とし、前記光検出器は、3個の受光領域を有し、切り換え手段は、スイッチであることをあることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第2の高密度光情報再生装置は、前記第1の高密度光情報再生装置において、前記光学素子は、前記光源手段からの前記光ビームを整形する液晶を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第3の高密度光情報再生装置は、前記第2の高密度光情報再生装置において、前記液晶は、前記光源手段と前記光再生手段とが配置された固定光学系に配置されることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0018】
まず、本発明の実施形態の説明に先立って、当該実施形態に関連する技術について当該実施形態の参考例として説明する。
【0019】
まずは、当該実施形態に関連する第1の参考例について説明する。
【0020】
図1ないし図4は本発明の実施形態に関する第1の参考例に係り、図1は光ディスク装置の要部の構成を示す構成図、図2は図1のシリンドリカルレンズの構成を示す構成図、図3は図1の光学デバイスによる光ディスク上の光スポットを説明する説明図、図4は図1の光強度検出器の構成を示す構成図である。
【0021】
図1に示すように、本参考例の光情報再生装置としての光ディスク装置1は、可視光である短波長(例えば波長680nm)レーザを供給する半導体レーザ2(光源手段)と、半導体レーザ2から供給された短波長レーザ(以下、レーザという)をカートリッジ3a内に配設され図示しないスピンドルモータのターンテーブル上に載置された相変化型の光ディスク3上に記録された情報ピットに照射する光学デバイス4(光スポット形成手段)と、情報ピットから戻り光を受光し再生信号を得る光検出器7(光再生手段)と、光学デバイス4から再生信号に基づき光ディスク3に記録された情報を再生する信号処理回路5と、光学デバイス4により検出された半導体レーザ2が供給したレーザの強度に基づき半導体レーザ2を制御し一定の光量とするAPC(オートパワーコントローラ)回路6とを備えて構成される。
【0022】
尚、レーザは、Nd:YAGやNd:YVO4の第2高調波による波長530nmの短波長レーザでも良い。
【0023】
まず、挿入された光ディスク3が長波長用光ディスクであった場合、カートリッジ3aの識別子により判断され、その後、1対のシリンドリカルレンズ(以下、CLと記す)12が位置決めされ、前記光学デバイス4では、コリメータレンズ11により半導体レーザ2から直線偏光の光ビームを平行にする。コリメータレンズ11により平行となった光ビームは、CL12を透過することで、紙面垂直方向を短軸とした楕円形状に光ビームをビーム整形される。そして、CL12により楕円形状となった光ビームは、誘電体多層膜よりなるP偏光70%透過30%反射、S偏光100%反射のビームスプリッタ(以下、BSと記す)13により偏光分離される。
【0024】
このBS13で一部が反射された反射光は、3分割された受光領域よりなる光強度検出器14に導かれる。この光強度検出器14で得られる出力は、APC回路6に供給されると共に、CL12の挿入状態を識別する制御信号として信号処理回路5に送出される。
【0025】
一方、BS13を透過したP偏光成分の楕円形状の光ビームは、1/4波長板15を透過し対物レンズ16に入射され、光ディスク3上に光スポットとして集光される。集光された光スポットは、光ディスク3で反射され、再び対物レンズ16に入射して平行な光ビームとなり、この光ビームは再び1/4波長板15を透過しBS13で反射され、単レンズ17によって収束され、台形状したハーフプリズム(以下、HPと記す)19で2分割され、受光領域が2分割された光検出器7で受光され、再生信号として信号処理回路5に出力される。
【0026】
このHP19で2分割に分離することで、公知技術であるフォーカスサーボをビームサイズ法で、トラッキングサーボをプッシュプル法により行うようになっている。
【0027】
前記CL12は、駆動回路18により光学デバイス4の光路上に挿脱自在に配置されるようになっている。そして、信号処理回路5は、光ディスク3が挿入された初期動作時に、コントロールトラックのトラックピッチ1.6μmに対して光スポットが小さくトラッキングがかからないため、MCAVディスクかCAVディスクかを識別するときは光ディスク3の最内周のコントロールトラックの情報を再生し、また短波長ディスクか長波長ディスクかを識別するときはカートリッジ3aに設けられた識別子を検出する識別回路10からの出力によって、光ディスク3の種類を識別することで、駆動回路18を制御するようになっている。
【0028】
光ディスク上に絞り込まれる光スポットの径Dは、光源からの光ビームの波長をλ、対物レンズ16に関する開口数をNAとすると、D=λ/NAであるので、光スポットの径Dは、対物レンズ16に関する開口数のNA及び光ビームの波長λの設定される。本光情報再生装置1においては光ビームの波長が一定であるので、長波長用の光ディスクのトラックガイドを検出するためには光スポットのラジアル方向の径Dを拡大する必要があり、そのためには対物レンズ16に入射する光ビームの上記ラジアル方向に対応する径を小さくする必要がある。
【0029】
CL12は、図2に示すように、凸形状レンズ21と、凹形状レンズ22とからなり、円形状のビームの1方向(トラック上でみたラジアル方向)を縮小するようになっており、凸形状レンズ21の焦点距離をf1、凹形状レンズ22の焦点距離をf2とし、凸形状レンズ21の入射光ビーム径をφ1、凹形状レンズ22の出射光ビーム径をφ2、レンズ間距離をLとすると、
φ1/φ2=f1/f2 かつ L=f1−f2 …(2)
であるので、ここで、例えばf1=40mm、f2=28mmとすると、
φ2=0.7×φ1、L=12mm …(3)
となり、円形状のビームの1方向が70%に縮小され楕円形状のビームとして出射される。このときレンズ間距離Lは、整形手段のひとつとしてビームエキスパンダがあるが、これと比較して12mmと短くでき、CL12が小型に構成できる。つまり、短波長の円形状のビームを1方向(トラック上でみたラジアル方向)に縮小させることで、図3(a)に示すように短波長用光ディスクのトラックピッチP1に対して最適な光スポット径D1が、図3(b)に示すように例えば長波長用光ディスクのトラックピッチP2に対して最適なラジアル方向に長軸D2を有する楕円形状の光ビームにビーム整形する。
【0030】
上述したように、このCL12は駆動回路18により光学デバイス4の光路上に挿脱自在に配置されるようになっているが、半導体レーザ2の制御と共にその挿脱状態を検出するために前記光強度検出器14が設けられている。この光強度検出器14で得られる出力は、APC回路6に供給されると共に、制御信号として信号処理回路5に送出される。
【0031】
光強度検出器14は、図4に示すように、3分割された受光領域25a,25b,25cからなる受光素子25と、受光領域25a,25b,25cからの光電変換出力を加算する加算器26と、受光領域25a、25cの合成出力から受光領域25cの出力を減算する第1減算器27と、第1減算器27の出力を所定値と比較する第2減算器28とを備えて構成され、加算器26及び第2減算器28の出力がAPC回路6に出力されることで、APC回路6が半導体レーザ2を制御することで光ビームの光量を一定に制御する。
【0032】
つまり、短波長用光ディスクの場合はCL12は駆動回路18により光路上より除去されるので、短波長の光ビームは円形状のビームとなってBS13に入射し、P偏光成分30%が反射され、光強度検出器14上で円形状の光ビームが照射され、受光素子25で受光される。また、長波長用光ディスクの場合はCL12は駆動回路18により光路上に挿入されるので、短波長の光ビームは楕円形状の光ビームとなってBS13に入射し、P偏光成分30%が反射され、光強度検出器14上で楕円形状の光ビームが照射され、受光素子25で受光される。その結果、加算器26の出力は変化しないが、受光領域25bでの受光量が楕円形状の光ビームの方が増加するため、第2減算器28の出力が変化する。これにより信号処理回路5はCL12の挿脱状態を認識すると共に、APC回路6が加算器26の出力により一定光量となるように半導体レーザ2を制御する。
【0033】
このように本参考例の光ディスク装置1では、信号処理回路5でMCAVディスクかCAVディスクかを識別するときは光ディスク3の最内周のコントロールトラックの情報を再生し、また短波長ディスクか長波長ディスクかを識別するときは識別回路10によってカートリッジ3aに設けられた識別子を検出して識別し、短波長用の光ディスクの場合は駆動回路18によりCL12を除去し、その除去状態を識別する制御信号を光強度検出器14より入力する。また、長波長光ディスクの場合には、駆動回路18によりCL12を光路上に挿入し、その挿入状態を識別する制御信号を光強度検出器14より入力する。
【0034】
従って、本参考例の光ディスク装置1によれば、短波長用光ディスクと長波長用ディスクを識別し、光路上にCL12を挿脱することで、短波長用光ディスクの場合は、図3(a)に示したように短波長光ビームによる径D1の円形状のスポットを用いて記録再生を行い、長波長用光ディスクの場合は、図3(b)に示したようにラジアル方向に長軸D2を有し、タンジェンシャル方向となる短軸が短波長光ビームの光スポット径D1である楕円形状光スポットにより記録再生を行うことができるので、短波長用光ディスクの場合は短波長光ビームにより高密度化が実現でき、長波長用光ディスクの場合もタンジェンシャル方向となる短軸が短波長光ビームの光スポット径D1である楕円形状光スポットを用いることで、トラックガイドを検出すると共に、タンジェンシャル方向、即ち線密度を高密度化することができ、記録密度を向上させることができる。
【0035】
また、この楕円形状の光ビームでは、近赤外の半導体レーザで記録された情報を何等支障なく再生でき、広い互換性を有している。
【0036】
次に本発明の実施形態に関する第2の参考例について説明する。図5は当該第2の参考例に係る光ディスク装置の構成を示す構成図である。この第2の参考例は上述した第1の参考例とほとんど同じであるので、異なる構成のみ説明し同一構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0037】
本第2の参考例の光ディスク装置は、光磁気ディスクに情報を記録再生する光磁気ディスク装置であって、図5に示すように、光磁気ディスク30に記録用光ビームを照射すると共に光磁気ディスク30に電磁石31により磁界を印加することで、情報を熱磁気的に記録すると共に、光ビームを光磁気ディスク30に照射しカー効果による戻り光を検出することで情報の記録再生を行うものである。
【0038】
そして第2参考例の光ディスク装置では、固定光学系32と移動光学系33とからなる分離光学系を構成しており、固定光学系32は、半導体レーザ2からの光ビームをコリメータレンズ11により平行光にして、斜めより整形プリズム34に平行光ビームを入射させる。整形プリズム34により半導体レーザ2からの楕円形状の光ビームを円形な光ビームに整形する。そして、整形プリズム34により整形された円形な光ビームを挿脱可能なCL12及びBS13を介して移動光学系33に出射する。移動光学系33では、固定光学系32からの光ビームをミラー35により光磁気ディスク30の記録面方向に反射し、対物レンズ16により光磁気ディスク30に照射する。
【0039】
CL12は、モータ36の軸に固定されたアーム37の取付部37aにCLホルダ37bを介して接着して取り付けられており、駆動回路18によりモータ36の回転軸を回転させることで挿脱自在に光路上に設置されるようになっている。
【0040】
その他の構成、作用は第1の参考例と同じである。
【0041】
このように構成された第2の参考例では、第1の参考例の効果に加え、移動部が移動光学系だけであるので、装置規模が縮小できる。尚、光磁気ディスクに限らず、第1の参考例と同様に相変化型ディスク等にも適用できることはいうまでもない。
【0042】
次に、本発明の第1の実施形態についてついて説明する。図6及び図7は第11実施形態に係り、図6は光ディスク装置の構成を示す構成図、図7は図6の液晶絞りの構成を示す構成図である。第1実施形態は前記第2の参考例とほとんど同じであるので、異なる構成のみ説明し同一構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0043】
第1実施形態は、図6に示すように、第2の参考例のCL12の代わりに液晶絞り41を用いて、液晶駆動回路42により駆動されるように構成した光ディスク装置である。
【0044】
液晶絞り41は、図7に示すように、3分割され上下部に液晶部41a,41bを形成し、基板はガラス板または半導体レーザ2の偏光方向だけを対物レンズ16の光軸回りに回転させる1/2波長板にカナダバルサムで接合し、中央部は透明に構成されている。液晶部41a,41bは液晶駆動回路42によって、紙面内偏光を反射したりあるいは透過したりするようになっている。そして液晶部41a,41bを駆動させて入射光ビームを反射させると、図3(b)に示したように光磁気ディスク上に略楕円形の光スポットが形成され、液晶部41a,41bを休止させ入射光ビームを透過させると、図3(a)に示したように光磁気ディスク上に円形の光スポットが形成される。形成される光スポットについては、図3で説明したものと同じであるので、説明は省略する。
【0045】
液晶部41a,41bの駆動による光磁気ディスクへ照射する光ビームの光量の低下を防止するために、図4で説明した光強度検出器14により、3分割された受光領域25a,25b,25cでBS13に入射した光ビームのうち反射によりP偏光30%、S偏光100%の光量を検出する。つまり、液晶部41a,41bを休止させ入射光ビームを透過させると、受光領域25a,25b,25cで受光することになり、加算器26の出力は受光領域25a,25b,25cでの光電変換出力の和となるが、液晶部41a,41bを駆動させ入射光ビームを一部反射させると、受光領域25bのみで受光することになり、加算器26の出力は受光領域25bでの光電変換出力となる。そこで、APC回路6により半導体レーザからの光ビームの光量を増大させ、液晶部41a,41bの駆動時の加算器26の出力が液晶部41a,41bの休止時の加算器26の出力と同じになるように制御する。これにより光磁気ディスクへ照射する光ビームの光量を一定にすることができる。
【0046】
その他の構成、作用は第2の参考例と同じである。
【0047】
光磁気ディスク上に円形状のビームから略楕円形状の光ビームへの整形を液晶絞り41により行っているので、第2の参考例の効果に加え、モータ等の機構を必要としないので、簡単かつ小型に固定光学系を構成することができる。
【0048】
次に、第2実施形態についてついて説明する。図8は第1実施形態に係る光ディスク装置の構成を示す構成図である。第2実施形態は第2の参考例とほとんど同じであるので、異なる構成のみ説明し同一構成には同じ符号をつけ説明は省略する。
【0049】
第2実施形態は、図8(a)に示すように、第2の参考例のCL12の代わりに1/2波長板絞り51を用いて、駆動回路52により回転駆動されるように構成した光ディスク装置である。
【0050】
図8(b)に示すように、1/2波長板絞り51は、透明板を3分割し両端の分割域に1/2波長板51a,51bを接着したものであって、この1/2波長板絞り51は、図示しない回転機構及び駆動回路18により光軸中心に回転するようになっている。
【0051】
整形プリズム34を出射する直線偏光(P偏光)の円形状のビームは、1/2波長板絞り51が作用しない位置にあるときはそのまま透過し、P偏光の円形状のビームをBS13に入射する。
【0052】
一方、1/2波長板絞り51を作用しない位置から所定の角度回転させると、1/2波長板絞り51の1/2波長板51a,51bを透過した光ビームはS偏光となり、P偏光の光とS偏光の光がBS13に入射される。
【0053】
BS13は、P偏光70%透過30%反射、S偏光100%反射という特性を有しているので、1/2波長板絞り51が作用しない場合は、光強度検出器54ではその30%が受光され、70%のP偏光成分の光ビームにより光磁気ディスク上に円形スポットを形成し、1/2波長板絞り51が作用しP偏光の光とS偏光の光が入力される場合は、P偏光30%、S偏光100%が光強度検出器54で受光され、光磁気ディスク上には略楕円形状の光スポットを形成される。
【0054】
光強度検出器54は、1/2波長板絞り51が作用するときの分割線に対して、平行に配置された3分割に受光領域が分割されており、1/2波長板絞り51が作用される位置にある場合、の1/2波長板51a,51bを透過したS偏光成分の光ビームはBS13で反射し、受光領域54a,54cで受光される。また、1/2波長板絞り51の透明部を透過した光ビームはBS13で30%反射し、受光領域54bで受光される。この1/2波長板絞り51が作用される場合においては、作用されない場合に比べ、光電変換出力が増大する。これは1/2波長板絞り51が作用される場合の方がS偏光が発生し、そのS偏光がBS13で反射されるからである。
【0055】
APC回路6は、加算器55により受光領域54a,54b,54cからの光電変換出力を加算することで、半導体レーザ2の光量を制御するようになっているので、受光量が増大すると半導体レーザからの光ビームの光量を減少させるように作用するので、信号処理回路5で光磁気ディスクの種類を識別し長波長用光磁気ディスクの場合は、切り換えスイッチ56により受光領域54bの光電変換出力のみをAPC回路6に出力することで、半導体レーザからの光ビームの光量を増加させるようになっている。照射する光スポットの偏光方向をトラックガイドに対して45゜にすることに場合は、半導体レーザ2を45゜回転させるか、半導体レーザ2とBS13間に1/2波長板を配置、固定させるようにする。
【0056】
その他の構成、作用及び効果は第2の参考例と同じである。
【0057】
尚、上記各実施形態においては、一般にトラックピッチの異なる複数の光ディスクに対して、トラックピッチの狭い光ディスクに基づいて半導体レーザの波長と対物レンズの開口数を最適化する(0.53〜0.55)ことで、光スポットを必ずしも略楕円整形することなく、トラックピッチの異なる光ディスクが再生可能となり広い互換性と高密度化が実現できる。
【0058】
つまり、例えば、異なるトラックピッチ(以下、T.Pと記す)を有する光ディスクとして、T.P=1.6μmのCAVディスク(a)、T.P=1.34μmのMCAVディスク(b)があり、通常、CAVディスク(a)では波長は830nmの光ビームにより、MCAVディスク(b)では波長は780nmの光ビームによりそれぞれ記録再生を行っているが、MCAVディスク(b)に対する波長780nmと対物レンズの開口数(0.53〜0.55)によって、略楕円整形することなくCAVディスク(a)の記録再生は可能であり、互換性を持たせることができる。
【0059】
また、例えば、T.P=1.15μmのMCAVディスク(c)(通常光ビーム波長:680nm)、T.P=0.9μmのCAVディスク(d)(通常光ビーム波長:530nm)においては、
MCAVディスク(c)に基づく波長680nmと対物レンズの開口数を設定することで、MCAVディスク(c)だけでなく、
MCAVディスク(b)は略楕円整形することなく、
CAVディスク(a)は略楕円整形することで
それぞれ記録再生が可能であり、広い互換性を持たせることができる。
【0060】
同様に、CAVディスク(d)に基づく波長530nmと対物レンズの開口数(0.53〜0.55)を設定することで、CAVディスク(d)だけでなく MCAVディスク(c)は略楕円整形することなく、
MCAVディスク(b)及びCAVディスク(a)は略楕円整形することで
それぞれ記録再生が可能であり、広い互換性を持たせることができる。
【0061】
上記各実施形態においては、光ディスク上に実際に記録された単穴、長穴記録に対して、リードデータが長くなることはなく、2値化の際のスライスレベルを変化させる複雑な回路も必要なく、単純に構成できる。
【0062】
また、複数の光検出器により複数トラックに記録されたピット列を同時に読み取る従来の方式に対しては従来の光情報再生装置は、高帯域の信号を再生することはできず、即ちランド記録とグループ記録を併用したり、グループ間に複数の情報ピットを記録する記録媒体に対しては適用できないが、上記各実施形態は、上述したように、略楕円ビームの光スポットを記録媒体上に照射し、複数の情報ピットを読み取ることが可能であるので、転送速度が向上させることができる。さらに、各情報を再生するために公知のPRML信号処理と組み合わせることで、符号間干渉が制御され、高密度記録が可能となる。
【0063】
[付記]
1)前記短波長光ビームは、円形状のビームであって、
光ビーム整形手段は、前記短波長光ビームの一部を遮断する遮断手段(図6の液晶絞り41または図8の1/2波長板絞り51)である
請求項1に記載に高密度光情報再生装置。
【0064】
2)前記光スポット形成手段が光記録媒体に照射する前記短波長光ビームの光量を検出し、前記遮断手段による遮断状態を判断する光量検出手段(図1の光強度検出器14)と、
前記光量検出手段により前記短波長光ビームの光量検出結果に基づき、前記光源手段を制御する光源制御手段(図1のAPC回路6)と、
を備えた付記1に記載の高密度光情報再生装置。
【0065】
3)前記光量検出手段は、複数に分割しされた受光領域よりなる受光素子(図4の受光素子25)を備え、複数の前記受光領域からの出力を演算することで、前記遮断手段による遮断状態を判断する
付記2に記載の高密度光情報再生装置。4)トラックピッチの異なる複数の光記録媒体を識別する識別手段(図1の信号処理回路5)と、
光ビームを供給する光源手段(図1の半導体レーザ2)と、
前記短波長光ビームを光記録媒体に照射し前記光記録媒体上に光スポットを形成する光スポット形成手段(図1の光学デバイス4)と、
前記光記録媒体に照射された前記短波長光ビームの戻り光を抽出する光再生手段(図1の光検出器7)と
を備え、
前記光源手段が供給する前記光ビームの波長及び前記光スポット形成手段の開口数は、前記複数の光記録媒体のうち最もトラックピッチの狭い光記録媒体に基づいて設定される
高密度光情報再生装置。
【0066】
5)前記光記録媒体は、CAV方式の光ディスクあるいはMCAV方式の光ディスクのいずれか一方であって、
前記光スポット形成手段は、
前記光記録媒体のトラックピッチを検出はするが、CAV方式の光ディスクあるいはMCAV方式の光ディスクかの識別は行わない
請求項1に記載の高密度光情報再生装置。
【0067】
このように前記光スポット形成手段を構成することで、CAV方式の光ディスク及びMCAV方式の光ディスクに対して記録再生が行え、広い互換性を持たせることが可能となる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、光源手段とビームスプリッタとの間に対物レンズに入射する開口数を切り換える光学素子を配置し、この光学素子の出射光をビームスプリッタで反射し、この反射光を受光するために、複数の分割された光検出器を配置し、前記光学素子から出射する光ビーム形状により前記光検出器の出力を切り換える手段を有し、この切り換え手段によって前記光源手段からの光ビームを制御することで、記録媒体上に照射する照射光の光量を適正に制御することができると共に、簡単かつ小型な光学系を構成することを可能とした高密度光情報再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の参考例に係る光ディスク装置の要部の構成を示す構成図
【図2】図1のシリンドリカルレンズの構成を示す構成図
【図3】図1の光学デバイスによる光ディスク上の光スポットを説明する説明図
【図4】図1の光強度検出器の構成を示す構成図
【図5】本発明の第2の参考例に係る光ディスク装置の要部の構成を示す構成図
【図6】本発明の第1実施形態に係る光ディスク装置の要部の構成を示す構成図
【図7】図6の液晶絞りの構成を示す構成図
【図8】本発明の第2実施形態に係る光ディスク装置の要部の構成を示す構成図
【図9】従来のトラックピッチと光スポット径の関係を説明する説明図
【符号の説明】
1…光ディスク装置
2…半導体レーザ
3…光ディスク
4…光学デバイス
5…信号処理回路
6…APC回路
7…光検出器
11…コリメータレンズ
12…シリンドリカルレンズ
13…偏光ビームスプリッタ
14…光強度検出器
15…1/4波長板
16…対物レンズ
17…単レンズ
18…駆動回路
19…ハーフプリズム
Claims (4)
- 可視光である短波長光ビームを供給する光源手段と、
前記短波長光ビームを光記録媒体に照射し前記光記録媒体上に光スポットを形成する光スポット形成手段と、
前記光記録媒体に照射された前記短波長光ビームの戻り光を受光する光再生手段と、
前記光源手段からの前記光ビームと前記光記録媒体からの前記戻り光を分離するビームスプリッタと、
前記光源手段と前記ビームスプリッタとの間に配設され、対物レンズに入射する開口数を切り換える光学素子と、
前記ビームスプリッタで反射する、前記光学素子の出射光の反射光を受光する光検出器と、
前記光検出器の出力に基づいて前記光源手段からの前記光ビームの光量を制御する光量制御手段と、
を備え、前記光検出器を複数に分割された光検出器で構成すると共に、前記光学素子から出射する光ビーム形状により前記光検出器の出力を調整するための切り換え手段を有し、前記切り換え手段によって前記光源手段からの前記光ビームを制御することを特徴とする高密度光情報再生装置。 - 前記光学素子は、前記光源手段からの前記光ビームを整形する液晶を備えることを特徴とする請求項1に記載の高密度光情報再生装置。
- 前記液晶は、前記光源手段と前記光再生手段とが配置された固定光学系に配置されることを特徴とする請求項2に記載の高密度光情報再生装置。
- 前記光検出器は、3個の受光領域を有し、切り換え手段は、スイッチであることをあることを特徴とする請求項1に記載の高密度光情報再生装置。
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