JP3578874B2 - 電源装置及び空気調和装置の電源装置 - Google Patents

電源装置及び空気調和装置の電源装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改善された高い電源力率をもって交流電圧を直流電圧に整流する電源装置及び空気調和装置の電源装置に関し、更に詳しくは、電源力率の改善処理によって発生する騒音を低減し得るようにした電源装置及び空気調和装置の電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電源装置からより多くの有効電力を取り出すには、電源力率を改善することが有効であり、このために簡易的に電源力率を改善する方法が提案されている。また、電源力率を改善することにより、近年問題となりつつある電源の高調波電流を低減できる場合が多く、国内外の高調波電流規制にも対応することができる。
【0003】
電源装置の力率を改善する従来の方法として、例えば特開平2−299470号に開示されたものがある。この開示においては、交流入力電圧が零点を通過した後の適当な短期間にのみスイッチング素子をオンして、交流電源をリアクタを介して短絡することにより、電源電流の導通期間を拡大し、電源力率を改善している。
【0004】
また、従来の他の電源力率改善方法としては、例えば特開平7−7946号に開示されたものがある。この開示においても同様に交流電圧の零点通過時点から所定の遅延時間後にスイッチング素子を所定時間オンすることにより、電源力率を改善している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の力率改善方法はいずれも交流電圧の零点通過時点から適当な遅延時間後に所定時間、交流電源をリアクタを介して短絡し、これにより電流波形の導通角を拡大して、電源力率を改善するものであるが、この場合にリアクタを短絡することにより、リアクタから「ジー」というような不快な騒音が発生するという問題がある。
【0006】
このような騒音を防止するには、リアクタの剛性を向上して騒音を抑えたり、またはリアクタの周囲を覆って防音するなどの対策が必要となるが、このような対策の結果、コストアップを招くという問題がある。更に、このような騒音低減対策を行った場合に、該対策に使用される材料の信頼性や経年変化なども解決しなければならない問題として発生する。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、リアクタの短絡による不快な騒音の発生を簡単な構成により経済的に低減し得る電源装置及び空気調和装置の電源装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有する電源装置であって、前記交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第1の短絡手段と、該第1の短絡手段が前記交流電源を当該所定の短期間短絡した後であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間後、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを要旨とする。
請求項1記載の本発明にあっては、交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡した後、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡することにより、力率を改善しながらもリアクタの短絡より発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。特に、第2の短絡手段による短い短絡期間および非短絡期間をリアクタの固有振動数から決定することにより、リアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
また、請求項2記載の本発明は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有する電源装置であって、前記交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第1の短絡手段と、該第1の短絡手段が前記交流電源を短絡する前であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間前、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを要旨とする。
請求項2記載の本発明にあっては、交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡する前、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡することにより、力率を改善しながらもリアクタの短絡により発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。特に、第2の短絡手段による短い短絡期間および非短絡期間をリアクタの固有振動数から決定することにより、リアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
請求項3記載の本発明は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有し、前記整流手段で整流された直流電圧を空気調和装置に供給する手段を備えた空気調和装置の電源装置であって、前記リアクタを介して交流電源を所定の短期間短絡する第1の短絡手段と、前記第1の短絡手段が交流電源を当該所定の短期間短絡した後であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間後、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間に前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを要旨とする。
請求項3記載の本発明にあっては、所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡した後、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡することにより、力率を改善しながらもリアクタの短絡より発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。特に、第2の短絡手段による短い短絡期間および非短絡期間をリアクタの固有振動数から決定することにより、リアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
請求項4記載の本発明は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有し、前記整流手段で整流された直流電圧を空気調和装置に供給する手段を備えた空気調和装置の電源装置であって、前記交流電圧の零点近傍において前記リアクタを介して交流電源を所定の短期間短絡する第1の短絡手段と、前記第1の短絡手段が交流電源を当該所定の短期間短絡した後であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間後、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間に前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを要旨とする。
請求項4記載の本発明にあっては、交流電圧の零点近傍において所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡した後、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡することにより、力率を改善しながらもリアクタの短絡より発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。特に、第2の短絡手段による短い短絡期間および非短絡期間をリアクタの固有振動数から決定することにより、リアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
請求項5記載の本発明は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有し、前記整流手段で整流された直流電圧を空気調和装置に供給する手段を有する空気調和装置の電源装置であって、前記交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第1の短絡手段と、該第1の短絡手段が前記交流電源を当該所定の短期間短絡した後であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間後、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを要旨とする。
【0009】
請求項記載の本発明にあっては、交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡した後、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡することにより、力率を改善しながらもリアクタの短絡より発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。特に、第2の短絡手段による短い短絡期間および非短絡期間をリアクタの固有振動数から決定することにより、リアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
【0010】
請求項6記載の本発明は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有し、前記整流手段で整流された直流電圧を空気調和装置に供給する手段を有する空気調和装置の電源装置であって、前記交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第1の短絡手段と、該第1の短絡手段が前記交流電源を短絡する前であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間前、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを要旨とする。
【0011】
請求項記載の本発明にあっては、交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡する前、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡することにより、力率を改善しながらもリアクタの短絡により発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。特に、第2の短絡手段による短い短絡期間および非短絡期間をリアクタの固有振動数から決定することにより、リアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
【0016】
請求項7記載の本発明は、請求項乃至のいずれかに記載の発明において、前記第2の短絡手段による短絡動作が前記第1の短絡手段による複数回の短絡動作の各々毎に1回または複数回行われることを要旨とする。
【0017】
請求項記載の本発明にあっては、第2の短絡手段による短絡動作を第1の短絡手段による複数回の短絡動作の各々毎に1回または複数回行うことにより、力率を改善しながらもリアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
【0018】
請求項8記載の本発明は、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有し、前記整流手段で整流された直流電圧を空気調和装置に供給する手段を有する空気調和装置の電源装置であって、前記交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第1の短絡手段と、該第1の短絡手段が前記交流電源を短絡する前、前記所定の短期間よりも短い期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段と、前記第1の短絡手段が前記交流電源を短絡した後、前記所定の短期間よりも短い期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第3の短絡手段とを有し、また前記第1、第2および第3の短絡手段は前記リアクタを介して前記交流電源を短絡するスイッチング手段と、前記第1、第2および第3の短絡手段によるそれぞれの短絡期間に相当するパルス幅を有する駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、該駆動信号生成手段からの駆動信号を供給され、該駆動信号に応じて前記スイッチング手段を駆動する駆動手段とを有し、さらに前記第2または第3の短絡手段により前記交流電源を短絡する前記短い期間、および前記第1の短絡手段による短絡動作と前記第2または第3の短絡手段による短絡動作との間の非短絡期間が前記スイッチング手段および前記駆動手段の遅延時間を考慮して前記リアクタの固有振動数から決定されることを要旨とする。
【0019】
請求項8記載の本発明にあっては、交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、リアクタを介して交流電源を短絡する前後において、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡することにより、力率を改善しながらもリアクタの短絡により発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。また第1、第2および第3の短絡手段によるそれぞれの短絡期間に相当するパルス幅を有する駆動信号を駆動信号生成手段で生成し、該駆動信号によって駆動手段を介してスイッチング手段を駆動することにより、該スイッチング手段によりリアクタを介して交流電源が短絡され、比較的簡単な回路構成によりリアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。さらに、スイッチング手段および駆動手段の遅延時間を考慮して、第2または第3の短絡手段による短い短絡期間および非短絡期間をリアクタの固有振動数から決定することにより、リアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係わる電源装置の回路構成を示す図であり、図2は、図1の電源装置の各部の信号の波形を示す図である。図1に示す電源装置は、交流電源1の一方の出力端に一端が接続されたリアクタ2を有し、該リアクタ2の他端は4個のダイオードからなり、電流の方向を揃えている第1のダイオードブリッジ3および全波整流器を構成している第2のダイオードブリッジ5のそれぞれの一方の入力端に接続されている。第1および第2のダイオードブリッジ3および5のそれぞれの他方の入力端は交流電源1の他方の出力端に接続されている。
【0030】
第1のダイオードブリッジ3の両出力端は例えばバイポーラトランジスタ、IGBT,MOSFETなどからなるスイッチング素子である短絡素子4のコレクタとエミッタ間に接続され、該短絡素子4がオンした場合に、第1のダイオードブリッジ3およびリアクタ2を介して交流電源1を短絡し、これにより電源装置の電源力率を改善し得るようになっている。短絡素子4のゲートは短絡素子駆動手段12に接続され、該短絡素子駆動手段12によって短絡素子4が駆動されることにより短絡素子4はオンするようになっている。
【0031】
交流電源1の両出力端には例えばフォトカプラ、カレントトランスなどからなるゼロクロス検出手段10が接続され、これにより該ゼロクロス検出手段10は交流電源1の交流電圧、すなわち図2の符号21で示すような正弦波形を有する交流電圧が零点、すなわちゼロクロス点を通過する時点を検出し、この検出信号を駆動信号生成手段11に供給するようになっている。
【0032】
駆動信号生成手段11は、例えばマイクロコンピュータ、専用回路などから構成され、図2の符号24aおよび26aでそれぞれ示す力率改善パルスと該力率改善パルスよりも非常に小さな幅の騒音低減パルスを生成し、これらの力率改善パルス24aおよび騒音低減パルス26aを短絡素子駆動手段12に供給する。短絡素子駆動手段12はこれらの力率改善パルス24aおよび騒音低減パルス26aに応答して短絡素子4をオン状態に駆動し、これにより第1のダイオードブリッジ3およびリアクタ2を介して交流電源1を短絡する。この結果、力率改善パルス24aにより短絡素子4がオンした場合には、第1のダイオードブリッジ3およびリアクタ2を介して交流電源1を短絡することにより、電源力率を改善することができるとともに、騒音低減パルス26aにより短絡素子4がオンした場合には、電源力率の改善のためにリアクタ2が短絡されることにより発生する騒音を低減することができる。
【0033】
また、第2のダイオードブリッジ5の出力端は平滑用電解コンデンサ6,7,8を介して負荷9に接続され、これにより交流電源1からの交流電圧は第2のダイオードブリッジ5および平滑用電解コンデンサ6,7,8により倍電圧整流され、直流電圧として負荷9に供給されるようになっている。
【0034】
以上のように構成される電源装置において、図2の符号21で示すような交流電圧が交流電源1から供給されると、該交流電圧はリアクタ2を介して第2のダイオードブリッジ5および平滑用電解コンデンサ6,7,8からなる倍電圧整流回路に供給されて直流電圧として負荷9に供給されるとともに、該交流電圧が零点を通過すると、この零点通過がゼロクロス検出手段10で検出され、この検出信号により駆動信号生成手段11が駆動される。
【0035】
駆動信号生成手段11は、ゼロクロス検出手段10の零点検出出力信号により駆動されると、交流電源の零点通過後に図2に示す力率改善パルス24aおよび騒音低減パルス26aを発生する。力率改善パルス24aおよび騒音低減パルス26aは短絡素子駆動手段12を介して短絡素子4をオン状態に駆動し、これにより第1のダイオードブリッジ3およびリアクタ2を介して交流電源1を短絡する。この結果、力率改善パルス24aに応答して短絡素子4がリアクタ2を介して交流電源1を短絡した場合には、電源電流の導通期間を拡大し、電源装置の電源力率を改善し、また騒音低減パルス26aに応答して短絡素子4が動作した場合には、力率改善パルス24aによってリアクタ2が短絡された後に、リアクタ2の短絡が解放されて短絡電流がオフとなる時の騒音を低減することができる。
【0036】
具体的には、図2において、符号22で示す力率改善前の電源電流波形に対して力率改善パルス24aにより力率改善を施した後の電源電流波形は符号23で示すように電源電流の導通期間が拡大され、これにより電源力率が改善されていることがわかる。そして、力率改善パルス24aに続いてパルス幅の非常に小さい騒音低減パルス26aを出力して短絡素子4を短絡することにより、力率改善パルス24aによりリアクタ2が短絡された場合の短絡電流オフ時のリアクタによる騒音を電源電流の波形および電源力率にほとんど変化なく、低減することができる。
【0037】
図3は、本発明の第2の実施形態に係わる電源装置の各部の信号波形を示す図である。この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態において力率改善パルス24aおよび騒音低減パルス26aの順序を逆にした点が異なるのみであり、その他の構成および作用は第1の実施形態と同じである。
【0038】
なお、第2の実施形態の回路構成は、図1に示したものと基本的には同じであるが、駆動信号生成手段11から発生する力率改善パルス24aおよび騒音低減パルス26aの発生順序が逆となり、図3に示すように短い期間の騒音低減パルス26aが先に発生し、それから力率改善パルス24aが発生するようになっている点が異なるのみである。また、図3の信号波形図において、21および22はそれぞれ図2と同様に交流電源1の交流電圧の波形および力率改善前の電流波形であり、25は力率改善および騒音改善を行った場合の電流波形である。
【0039】
第2の実施形態のように、騒音低減パルス26aを力率改善パルス24aの前に発生して、力率改善パルス24aによりリアクタ2を介して交流電源1を短絡する前に騒音低減パルス26aでリアクタ2を瞬時短絡することにより、リアクタ2の短絡電流オン時の騒音を低減することができる。その後、力率改善パルス24aによりリアクタ2を介して交流電源1を短絡することにより、電源電流の導通期間を図3の符号25で示すように拡大して、電源力率を改善することができる。
【0040】
なお、図1ないし図3で示した第1および第2の実施形態では、騒音低減パルス26aを力率改善パルス24aの前または後に発生し、これによりリアクタ2を介して交流電源1を短絡することにより、リアクタ2の短絡電流オフまたはオン時の騒音を低減しているが、力率改善パルス24aの前および後の両方において騒音低減パルス26aを発生することにより、リアクタ2の短絡電流のオフおよびオン時の両方の騒音を更に適確に低減することができることは勿論のことである。
【0041】
図4は、本発明の第3の実施形態に係わる電源装置の回路構成を示す図である。同図に示す電源装置は、全波整流器を構成している第2のダイオードブリッジ5の一方の出力端にリアクタ2の一端を接続し、該リアクタ2の他端と第2のダイオードブリッジ5の他方の出力端との間にスイッチングトランジスタからなる短絡素子4のコレクタおよびエミッタを接続し、該短絡素子4がオンした場合、リアクタ2および第2のダイオードブリッジ5を介して交流電源1を短絡するように構成している。更に、リアクタ2の他端は逆流防止用のダイオード13を介して平滑用電解コンデンサ8および負荷9に接続されている。ダイオード13は短絡素子4がオンしてリアクタ2および第2のダイオードブリッジ5を介して交流電源1を短絡した場合に、平滑用電解コンデンサ8が短絡素子4で短絡されないように作用している。
【0042】
また、交流電源1の両出力端に接続されているゼロクロス検出手段10、駆動信号生成手段11、および短絡素子駆動手段12の構成および作用は、図1に示したものと同じであり、駆動信号生成手段11は図2に示すように力率改善パルス24aおよび該力率改善パルス24aに続いて騒音低減パルス26aを発生し、これらのパルスにより短絡素子駆動手段12を介して短絡素子4をオン状態に駆動することにより、第1の実施形態と同様に力率改善パルス24aで電源力率を改善し、更に騒音低減パルス26aでリアクタ2の短絡電流オフ時の騒音を低減することができる。また、このような力率改善パルス24aと騒音低減パルス26aの順序の代わりに、駆動信号生成手段11は図3に示すように騒音低減パルス26aを先に発生した後、続いて力率改善パルス24aを発生し、これらのパルスにより短絡素子駆動手段12を介して短絡素子4をオン状態に駆動することにより、第2の実施形態と同様に騒音低減パルス26aでリアクタ2の短絡電流オン時の騒音を低減し、更に力率改善パルス24aで電源力率を改善することができる。
【0043】
図5は、本発明の第4の実施形態に係わる電源装置の各部の信号波形を示す図である。この第4の実施形態は、上述した第1の実施形態において力率改善パルス24aに続いて複数(本実施形態では、2個)の騒音低減パルス26a,26bを発生するように構成した点が異なるのみであり、その他の構成および作用は第1の実施形態と同じである。すなわち、図5において、21および22はそれぞれ交流電源1の交流電圧の波形および力率改善前の電流波形、27は力率改善および騒音改善を行った場合の電流波形、24aは力率改善パルス、26a,26bは騒音低減パルスである。
【0044】
また、この第4の実施形態の電源装置の回路構成は図1または図4に示すものと基本的に同じであり、駆動信号生成手段11において力率改善パルス24aに続いて複数の騒音低減パルス26a,26bを発生するように構成している点が異なるのみである。
【0045】
第4の実施形態のように、力率改善パルス24aに続いて、複数の騒音低減パルス26a,26bを発生することにより、力率改善パルス24aで力率を改善した後に、リアクタ2の短絡電流オフ時に発生する騒音を更に適確に低減することが可能である。なお、複数の騒音低減パルス26a,26bを力率改善パルス24aの後に発生する代わりに、図3に示したように、複数の騒音低減パルス26a,26bを力率改善パルス24aの前に発生することも可能であり、この場合にはリアクタ2の短絡電流オン時の騒音を低減することができる。
【0046】
なお、第4の実施形態のように、複数の騒音低減パルス26a,26bを発生しても、これらの騒音低減パルスは力率改善パルス24aに比べてパルス幅が極めて短く、電源装置の電流波形にほとんど変化はなく、力率に対する影響もない。
【0047】
図6は、本発明の第5の実施形態に係わる電源装置の各部の信号波形を示す図である。この第5の実施形態は、上述した第1の実施形態において複数の連続した力率改善パルス24a,24bを発生するとともに、該力率改善パルスの各々に続いて騒音低減パルス26a,26bを1つずつ発生するようにしたものである。なお、図6では、複数の力率改善パルス24a,24bおよび騒音低減パルス26a,26bはそれぞれ2個の場合について図示されている。
【0048】
このように複数の連続した力率改善パルス24a,24bを発生するとともに、該複数の力率改善パルス24a,24bの各々に続いて1つの騒音低減パルス26a,26bを発生することにより、電源装置の力率を改善するとともに、リアクタ2の電流オフ時の騒音を適確に低減することが可能である。なお、図6に示す第5の実施形態では、複数の力率改善パルスの各々の後に1つずつの騒音低減パルスを発生しているが、この代わりに複数の力率改善パルスの各々の前に1つずつ騒音低減パルスを発生することにより、電源装置の力率を改善し得るとともに、リアクタ2の電流オン時の騒音を低減することができる。
【0049】
なお、図6に示す第5の実施形態では、各力率改善パルス毎に1つの騒音低減パルスを発生しているが、この代わりに各力率改善パルス毎に複数の騒音低減パルス26bを発生してもよく、またこの場合、騒音低減パルスは力率改善パルスの前または後のいずれに発生してもよく、更に力率改善パルスの前および後の両方に発生してもよい。力率改善パルスの前および後の両方に騒音低減パルスを発生した場合に、リアクタ2の短絡電流オンおよびオフ時の両方の騒音を適確に低減することができる。
【0050】
次に、図7を参照して、力率改善パルス24aおよび騒音低減パルス26aを発生する駆動信号生成手段11について説明する。リアクタ2の振動による騒音を低減するためにリアクタ2を短絡素子4で短絡する騒音低減パルス26aは、電源装置の力率を改善するためにリアクタ2を短絡素子4で短絡する力率改善パルス24aに比べてパルス幅が極めて短く、ほとんど電流波形に変化を与えることがなく、力率にも影響を与えない時間幅のパルスである。
【0051】
駆動信号生成手段11は、例えばマイクロコンピュータに内蔵されているタイマ機能を用いて構成することもできるし、または専用の波形生成回路で構成することも可能であるが、図7では一例としてカウンタ、コンパレータ、4つのレジスタA,B,C,Dを用いた場合の動作を説明している。そして、4つのレジスタの各々に各パルス間の期間および各パルス幅を記憶しておく。具体的には、ゼロクロス検出手段10からのゼロクロス発生時点から力率改善パルス24aが発生するまでの期間をD1としてレジスタAに記憶し、D1に力率改善パルス24aのパルス幅を加えた値をD2としてレジスタBに記憶し、更にD2に力率改善パルス24aと騒音低減パルス26aとの間の休止期間を加えた値をD3としてレジスタCに記憶し、またD3に騒音低減パルス26aのパルス幅を加えた値をD4としてレジスタDに記憶しておく。
【0052】
そして、ゼロクロス検出手段10からのゼロクロス発生時点でゼロクロス割り込みをかけて、カウンタを起動し、該カウンタの値を各レジスタの値とコンパレータで比較し、カウンタの値がレジスタAに記憶された値D1に達した場合に、力率改善パルス24aを発生し、カウンタの値がレジスタBに記憶された値D2に達した場合に、力率改善パルス24aを停止し、更にカウンタの値がレジスタCに記憶した値に達した場合に、騒音低減パルス26aを発生し、カウンタの値がレジスタDに記憶された値D4に達した場合に、騒音低減パルス26aを停止するように構成し、各レジスタの値を適宜設定することにより、所望のパルス幅および休止期間を有する力率改善パルス24aおよび騒音低減パルス26aを適確かつ簡単に発生することができる。
【0053】
なお、図7では、力率改善パルス24aを発生した後に、騒音低減パルス26aを発生しているが、各レジスタの値を変更することにより、力率改善パルス24aを発生する前に騒音低減パルス26aを発生することも簡単に行うことができる。更に、複数の力率改善パルスおよび複数の騒音低減パルスを発生したり、各力率改善パルス毎に1つまたは複数の騒音低減パルスを発生するようにすることもレジスタを追加することにより可能であるし、または1つのレジスタの値を順次書き換えるように構成することにより、レジスタの数を増やすことなく可能である。
【0054】
次に、図8ないし図11を参照して、力率改善パルスと騒音低減パルスとの間の休止時間および騒音低減パルスのパルス幅、すなわちリアクタ2の短絡時間について詳細に説明する。
【0055】
リアクタ2の騒音の発生原因は、電流が急激にオン、オフする時にリアクタが加振させられ、リアクタが固有振動数で振動するためである。電流の立ち上がりと立ち下がりでは、反対方向の力が生じる。そして、リアクタの振動はT=1ms程度継続している。
【0056】
まず、騒音低減パルスが1個の場合について図8および図9の騒音低減パルス数=1の場合を参照して説明する。力率改善パルスの終了時点を図8に示すようにt=0として、騒音低減パルスの発生までの休止時間をx、騒音低減パルスの短絡時間をy、リアクタの固有振動数をf、角周波数ω=2πfとすると、電流がオン、オフする時にリアクタに発生する振動は次式のようになる。
【0057】
【数1】
t=0で発生する振動は、 sin(ωt)
t=xで発生する振動は、 sin(ω(t−x)−π)
t=x+yで発生する振動は、 sin(ω(t−x−y))
リアクタの振動の実効値は、t=0〜Tまでの間で以下のようになる。
【0058】
【数2】
Figure 0003578874
ここで、
【数3】
F(t)= sin(ωt)+ sin(ω(t−x)−π)+ sin(ω(t−x−y))
である。
【0059】
リアクタの振動の実効値の最小値は、上式のVeff から求められるが、簡単なものではF(t)=0を満たせばよい。この式から振動が最小となる値を計算すると、図9の騒音低減パルス数=1の場合に示すように、力率改善パルスと騒音低減パルスとの間の休止時間xおよび騒音低減パルスの短絡時間yは、それぞれ
x=y=π/(3ω)
となる。
【0060】
以上の説明では、休止時間と短絡時間が等しいとして説明してきたが、リアクタの振動は周期関数であるので、休止時間と短絡時間はそれぞれの位相が2aπ/ω(a=0,1,2,3,・・・)および2bπ/ω(b=0,1,2,3,・・・)ずれたとしても同様な効果を実現でき、休止時間xおよび短絡時間yはそれぞれ次式に示すように
x=±π/(3ω)+2aπ/ω
y=±π/(3ω)+2bπ/ω
とすればよい。この場合、x>0,y>0であり、a,bの値は同一である必要はない。但し、休止時間xの式の第1項の符号を+とした場合は、短絡時間yの式の第1項の符号は+であり、逆に休止時間xの式の第1項の符号を−とした場合は、短絡時間yの式の第1項の符号も−となる。
【0061】
以上は、騒音低減パルスが1個の場合について説明したが、次に騒音低減パルスがn個(n=1,2,3,・・・)の場合について説明する。なお、一般式を上述したリアクタの振動の実効値F(t)になぞらえて表現するために、騒音低減パルスの発生時刻の表示を図10のように行う。すなわち、第i番目の騒音低減パルスの立ち上がりおよび立ち下がり時刻を、力率改善パルスの終了時刻を基準時刻(t=0)として、それぞれα,βとすると、0〜Tまでの間でリアクタの振動の実効値は次式のようになる。
【0062】
【数4】
Figure 0003578874
ここで、
【数5】
Figure 0003578874
である。
【0063】
リアクタの振動の実効値の最小値は、G(t)=0となればよく、このG(t)=0を満たすα,βの関係は多数存在し、一例としては、図9に示すように休止時間xおよび短絡時間yは互いに等しく、騒音低減パルスの数n=2の場合には次式のようになる。
【0064】
=y=π/(5ω)
同様に、等しい騒音低減パルスがn(n=1,2,3,・・・)個ある場合には、次式のようになる。
【0065】
=y=π/((2n+1)ω)
また、周期関数の性質から、位相が2aπ/ω(a=0,1,2,3,・・・)ずれた場合には、次式のようになる。
【0066】
【数6】
=y=π/((2n+1)ω)+2aπ/ω
その他の例として、n=2の場合には、図11に示すような騒音低減パルスも容易に想像できるが、これらも上述したG(t)=0を満たす関係の中の1つとして含まれる。なお、その他にはG(t)=0を満たす条件は存在するが、その説明は省略する。
【0067】
上述したように、リアクタの固有振動数から騒音低減パルスの休止時間xと短絡時間yを決定することにより、リアクタの騒音を最も効果的に低減することができる。この決定方法は電源周波数や負荷の状態によって最適条件が変わるものではない。使用するリアクタが決定すれば、固有振動数が決定し、最適な騒音低減パルスを決定することができる。
【0068】
次に、図12を参照して、上述したように決定した休止時間および短絡時間を短絡素子駆動手段12の遅延、短絡素子4のオン遅延時間およびオフ遅延時間に対して補正する方法について説明する。なお、図12では、短絡素子駆動手段12および短絡素子4において、オン時間よりもオフ時間が速いと仮定して補正を行っている場合が示されている。
【0069】
短絡素子4の電流のオン/オフタイミングを騒音が最小値になるように決定するために、駆動信号生成手段11の出力信号は短絡素子駆動手段12および短絡素子4の遅延時間分だけ休止時間を短く設定し、騒音低減パルスの短絡時間を長く設定している。これにより、短絡素子4を上述したように計算したオン/オフタイミングで動作させることができる。なお、図12では、短絡素子4の電流波形を簡単化のため矩形波として示している。また、同図では、力率改善パルスを出力した後に騒音低減パルスを出力しているが、力率改善パルスを出力する前に騒音低減パルスを出力する場合においても、同様な補正を行うことにより、リアクタの騒音を低減することができる。更に、騒音低減パルスが複数個ある場合においても、同様な補正を行うことによりリアクタの騒音を防止することができる。
【0070】
次に、図13を参照して、本発明の電源装置を空気調和装置に適用した場合について説明する。図13において、交流電源1、リアクタ2、第1のダイオードブリッジ3、短絡素子4、第2のダイオードブリッジ5、平滑用電解コンデンサ6,7,8、ゼロクロス検出手段10、短絡素子駆動手段12は、図1に示す電源装置におけるものと同じ構成である。15はマイクロコンピュータ、16はインバータ回路、17はコンプレッサ用モータである。
【0071】
マイクロコンピュータ15は、インバータ回路16を制御してコンプレッサ用モータ17を運転し、空気調和装置の全体の制御を行うとともに、ゼロクロス検出手段10からのゼロクロス検出出力信号を受けて、前記駆動信号生成手段11と同等の動作を行い、上述した力率改善パルスおよび騒音低減パルスを生成し、これらのパルスを短絡素子駆動手段12に供給し、該短絡素子駆動手段12を介して短絡素子4を駆動し、これによりリアクタ2および第1のダイオードブリッジ3を介して交流電源1を短絡して、電源装置の力率を改善するとともに、リアクタの騒音を低減している。
【0072】
図14は、上述したように力率改善機能および騒音低減機能を有する本発明の電源装置を内蔵した空気調和装置と、従来の力率改善機能のみ有し、騒音低減機能を持っていない電源装置を内蔵した空気調和装置の騒音特性を示すグラフである。同図において、曲線(イ)は従来の電源装置を内蔵した空気調和装置における騒音を示し、7KHzないし8KHzの騒音が大きいことを示しているのに対して、曲線(ロ)で示す本発明の電源装置を内蔵した空気調和装置は7KHzないし8KHzの騒音が低減していることがわかる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の本発明によれば、交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡した後、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡しているので、力率を改善しながらもリアクタの短絡により発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に低減することができる。特に、構成としては第1の短絡手段に単に第2の短絡手段を追加するだけでよく、この追加も具体的には力率改善パルスに加えて騒音低減パルスを発生するだけであって簡単な回路的変更または追加のみで行うことができ、防振材、防音材などを必要としないため、価格の増大はほとんどなく、また信頼性が高く、更に経時変化も発生することがない。特に第2の短絡手段による短い短絡期間および非短絡期間をリアクタの固有振動数から決定するので、リアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができるとともに、リアクタが決まれば、電源周波数や負荷の状態によって最適状態は変化しない。
また、請求項2記載の本発明によれば、交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡する前、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡しているので、力率を改善しながらもリアクタの短絡により発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。特に第2の短絡手段による短い短絡期間および非短絡期間をリアクタの固有振動数から決定するので、リアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができるとともに、リアクタが決まれば、電源周波数や負荷の状態によって最適状態は変化しない。
請求項記載の本発明によれば、所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡した後、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡するようにしたので、力率を改善しながらもリアクタの短絡より発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。特に、構成としては第1の短絡手段に単に第2の短絡手段を追加するだけでよく、この追加も具体的には力率改善パルスに加えて騒音低減パルスを発生するだけであって簡単な回路的変更または追加のみで行うことができ、防振材、防音材などを必要としないため、価格の増大はほとんどなく、また信頼性が高く、更に経時変化も発生することがない。
また、請求項記載の本発明によれば、交流電圧の零点近傍において所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡した後、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡するようにしたので、力率を改善しながらもリアクタの短絡より発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。
請求項記載の本発明によれば、交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡した後、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡しているので、力率を改善しながらもリアクタの短絡により発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に低減することができる。
【0074】
また、請求項記載の本発明によれば、交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、力率改善のためにリアクタを介して交流電源を短絡する前、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡しているので、力率を改善しながらもリアクタの短絡により発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。
【0077】
また、請求項記載の本発明によれば、第2の短絡手段による短絡動作を第1の短絡手段による複数回の短絡動作の各々毎に1回または複数回行うので、力率を改善しながらもリアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
【0078】
更に、請求項8記載の本発明によれば、交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、リアクタを介して交流電源を短絡する前後において、短い期間、リアクタを介して交流電源を短絡するので、力率を改善しながらもリアクタの短絡により発生する騒音を簡単な構成により経済的かつ適確に防止することができる。
また、第1、第2および第3の短絡手段によるそれぞれの短絡期間に相当するパルス幅を有する駆動信号を駆動信号生成手段で生成し、該駆動信号によって駆動手段を介してスイッチング手段を駆動するので、スイッチング手段によりリアクタを介して交流電源が短絡され、比較的簡単な回路構成によりリアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
更に、スイッチング手段および駆動手段の遅延時間を考慮して、第2または第3の短絡手段による短い短絡期間および非短絡期間をリアクタの固有振動数から決定するので、リアクタの短絡により発生する騒音を適確に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる電源装置の回路構成を示す図である。
【図2】図1の電源装置の各部の信号の波形を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係わる電源装置の各部の信号波形を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係わる電源装置の回路構成を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係わる電源装置の各部の信号波形を示す図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係わる電源装置の各部の信号波形を示す図である。
【図7】力率改善パルスおよび騒音低減パルスを発生する駆動信号生成手段の構成を説明する図である。
【図8】力率改善パルスと騒音低減パルスとの間の休止時間および騒音低減パルスの短絡時間を示す図である。
【図9】騒音低減パルスが1個、2個、およびn個の場合における力率改善パルスと騒音低減パルスとの間の休止時間および騒音低減パルスの短絡時間を示す図である。
【図10】第i番目の騒音低減パルスの立ち上がりおよび立ち下がり時刻の定義を示す図である。
【図11】騒音低減パルスが2個の場合の力率改善パルス、休止時間、短絡時間の関係を示す図である。
【図12】休止時間および短絡時間を短絡素子駆動手段の遅延、短絡素子のオン遅延時間およびオフ遅延時間に対して補正する方法を示す図である。
【図13】本発明の電源装置を空気調和装置に適用した場合の構成を示す図である。
【図14】本発明の電源装置を内蔵した空気調和装置と騒音低減機能のない従来の電源装置を内蔵した空気調和装置の騒音特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 交流電源
2 リアクタ
3 第1のダイオードブリッジ
4 短絡素子
5 第2のダイオードブリッジ
6,7,8 平滑用電解コンデンサ
9 負荷
10 ゼロクロス検出手段
11 駆動信号生成手段
12 短絡素子駆動手段
15 マイクロコンピュータ
16 インバータ回路
17 コンプレッサ用モータ

Claims (8)

  1. 交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有する電源装置であって、
    前記交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第1の短絡手段と、
    該第1の短絡手段が前記交流電源を当該所定の短期間短絡した後であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間後、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを特徴とする電源装置。
  2. 交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有する電源装置であって、
    前記交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第1の短絡手段と、
    該第1の短絡手段が前記交流電源を短絡する前であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間前、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを特徴とする電源装置。
  3. 交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有し、前記整流手段で整流された直流電圧を空気調和装置に供給する手段を備えた空気調和装置の電源装置であって、
    前記リアクタを介して交流電源を所定の短期間短絡する第1の短絡手段と、前記第1の短絡手段が交流電源を当該所定の短期間短絡した後であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間後、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間に前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを特徴とする空気調和装置の電源装置。
  4. 交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有し、前記整流手段で整流された直流電圧を空気調和装置に供給する手段を備えた空気調和装置の電源装置であって、
    前記交流電圧の零点近傍において前記リアクタを介して交流電源を所定の短期間短絡する第1の短絡手段と、前記第1の短絡手段が交流電源を当該所定の短期間短絡した後であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間後、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間に前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを特徴とする空気調和装置の電源装置。
  5. 交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有し、前記整流手段で整流された直流電圧を空気調和装置に供給する手段を有する空気調和装置の電源装置であって、
    前記交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第1の短絡手段と、
    該第1の短絡手段が前記交流電源を当該所定の短期間短絡した後であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間後、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを特徴とする空気調和装置の電源装置。
  6. 交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有し、前記整流手段で整流された直流電圧を空気調和装置に供給する手段を有する空気調和装置の電源装置であって、
    前記交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第1の短絡手段と、
    該第1の短絡手段が前記交流電源を短絡する前であって前記リアクタの固有振動数から決定された非短絡期間前、当該所定の短期間より短く、かつ前記リアクタの固有振動数から決定された期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段とを有することを特徴とする空気調和装置の電源装置。
  7. 前記第2の短絡手段による短絡動作は、前記第1の短絡手段による複数回の短絡動作の各々毎に1回または複数回行われることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の空気調和装置の電源装置。
  8. 交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換する整流手段および該整流手段に直列に接続されたリアクタを有し、前記整流手段で整流された直流電圧を空気調和装置に供給する手段を有する空気調和装置の電源装置であって、
    前記交流電圧が零点を通過した後の所定の短期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第1の短絡手段と、
    該第1の短絡手段が前記交流電源を短絡する前、前記所定の短期間よりも短い期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第2の短絡手段と、
    前記第1の短絡手段が前記交流電源を短絡した後、前記所定の短期間よりも短い期間、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡する第3の短絡手段とを有し、また前記第1、第2および第3の短絡手段は、前記リアクタを介して前記交流電源を短絡するスイッチング手段と、前記第1、第2および第3の短絡手段によるそれぞれの短絡期間に相当するパルス幅を有する駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、該駆動信号生成手段からの駆動信号を供給され、該駆動信号に応じて前記スイッチング手段を駆動する駆動手段とを有し、さらに前記第2または第3の短絡手段により前記交流電源を短絡する前記短い期間、および前記第1の短絡手段による短絡動作と前記第2または第3の短絡手段による短絡動作との間の非短絡期間は、前記スイッチング手段および前記駆動手段の遅延時間を考慮して前記リアクタの固有振動数から決定されることを特徴とする空気調和装置の電源装置。
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