JP3578717B2 - 巻線機 - Google Patents

巻線機 Download PDF

Info

Publication number
JP3578717B2
JP3578717B2 JP2001014994A JP2001014994A JP3578717B2 JP 3578717 B2 JP3578717 B2 JP 3578717B2 JP 2001014994 A JP2001014994 A JP 2001014994A JP 2001014994 A JP2001014994 A JP 2001014994A JP 3578717 B2 JP3578717 B2 JP 3578717B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spindle
arm
shaft member
link mechanism
extension shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001014994A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002218719A (ja
Inventor
真人 亀井
Original Assignee
亀井マシンプロジェクト株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 亀井マシンプロジェクト株式会社 filed Critical 亀井マシンプロジェクト株式会社
Priority to JP2001014994A priority Critical patent/JP3578717B2/ja
Publication of JP2002218719A publication Critical patent/JP2002218719A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3578717B2 publication Critical patent/JP3578717B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻線機に関するものであり、特に電動機等の電機機器の磁極部に巻線導体を巻きつける巻線機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来の巻線機の一部破断正面図である。本図に示すように、巻線機は、軸線101aが上下方向に延びるように配置されたスピンドル101と、スピンドル101を所定の回転角度内で回動運動させ且つ上下方向に上下運動させる図示しないスピンドル駆動機構と、ノズルホルダ102と、ノズルホルダ102に取り付けられて巻線導体109を導出するノズル103と、水平移動カム装置104とを有している。ノズルホルダ102は、上側に延びる第1のアーム102aと、下側に延びて端部にカムフォロー102cを有する第2のアーム102bとを備えており、スピンドル101に固定されたノズルホルダ取付構造部105に回転自在に取り付けられている。また、ノズルホルダ102の第1のアーム102aは、バネ部材106によってノズルホルダ取付構造部105に向かう方向に付勢されている。水平移動カム装置104は、カム面構成体107と、カム面構成体107をスピンドル101の軸線101aに近付ける方向と離す方向とに変位させるカム移動機構108とから構成されている。カム面構成体107は、図10の断面図に示すように、第2のアーム102bのカムフォロー102cの所定の回転角度θ内での回動運動を許容するように、カムフォロー102cに所定の圧力で当接される円弧状の曲面107aを有している。この巻線機では、カム移動機構108によるカム面構成体107の移動によりノズルホルダ102の第2のアーム102bを所定の角度範囲内で揺動している。そして、スピンドル101の回動運動及び上下運動とノズルホルダ102の揺動とにより、ノズル103を電機機器の磁極部110の周りにボックス運動と磁極部110に沿った往復運動とを行わせて磁極部110に巻線導体109を巻きつけている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の巻線機では、ノズルホルダ102の揺動により形成されるノズルホルダ102のスピンドル101の軸線101aに対する傾斜角度によっては、第2のアーム102bのカムフォロー102cの回転軌跡の半径と、カム面構成体107の曲面107aとの曲率半径が不一致になる。そのため、ノズルホルダ102がスピンドル101の回動運動により回動する際にカムフォロー102cを介してノズルホルダ102に無理な力が加わり、ノズルホルダ102が振動する。また、この巻線機では、カムフォロー102cをカム面構成体107の曲面107aに当接させるため、第2のアーム102bの長さを長くしなければならない。そのため、ノズルホルダ102が回動時に遠心力を受け易く、これによってもノズルホルダ102が振動する。その結果、円滑で正確な巻線作業が行えなくなるという問題があった。また、このようにノズルホルダ102に無理な力が加わると、巻線機を構成する各部にも無理な力が加わり、各部間の接合部が摩耗するおそれがある。また、この巻線機では、第2のアーム102bのカムフォロー102cが複雑な3次元運動をするため、カムフォロー102cに対する負荷が大きくなり、カムフォロー102cの寿命が短くなるという問題があった。
【0004】
また、このような巻線機では、カムフォロー102cの回転軌跡の中心点と、カム面構成体107の曲面107aの中心点とを一致させなければならず、製造が面倒であった。
【0005】
また、この巻線機では、1つのスピンドル101に対して1つのノズルホルダ102しか取り付けることができないため巻線作業の効率が悪かった。
【0006】
本発明の目的は、ノズルホルダに無理な力が加わるのを防ぐことができる巻線機を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、ノズルホルダのカムフォローに対する負荷を小さくしてカムフォローの寿命を延ばせる巻線機を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、カムフォローの回転軌跡の中心点と、カム体の曲面の中心点とを一致させなければならないという従来の問題を解決して、容易に製造できる巻線機を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、1つのスピンドルに対して複数のノズルホルダを取り付けることができる巻線機を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、スピンドルの撓みを防止できる巻線機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明が改良の対象とする巻線機は、軸線が上下方向に延びるように配置されたスピンドルと、スピンドルを軸線を中心にして所定の回転角度内で回動運動させ且つスピンドルを上下方向に上下運動させるスピンドル駆動機構と、スピンドルの動きによって上下運動と回転運動をするノズルホルダ取付構造部と、上側に延びる第1のアーム及び下側に延びる第2のアームを備え、第1のアームと第2のアームの連結部が、スピンドルの軸線と交差しないようにが水平方向に延びる第1の水平軸を中心にして回動するようにノズルホルダ取付構造部に回り対偶を介して取付けられたノズルホルダと、第1のアームの先端部に取付けられて横方向に延びて巻線導体を導出するノズルと、ノズルホルダの第2のアームを第1の水平軸を中心にして所定の角度範囲内で揺動させる揺動力付与機構とを具備している。そして、スピンドルの回動運動及び上下運動とノズルホルダの揺動とにより、ノズルを電機機器の磁極部の周りにボックス運動と磁極部に沿った往復運動とを行わせて磁極部に巻線導体を巻きつける。
【0012】
本発明では、揺動力付与機構は、スピンドルの先端に固定されてスピンドルと同心的に配置された延長軸部材と、延長軸部材に延長軸部材の回動は許容するが延長軸部材に沿って上下方向に移動しないように延長軸部材に取付けられたリンク機構支持体と、リンク機構支持体に動作可能に支持されたリンク機構と、延長軸部材の先端に固定されたノズルホルダ取付構造部とリンク機構支持体との間に配置され且つ延長軸部材に対して軸線方向にスライド可能に取付けられたスライド部材と、スライド部材とノズルホルダの第2のアームとの間に配置された運動変換機構と、リンク変位機構とからなる。スライド部材は、スピンドルと一緒に動く延長軸部材の回動運動を許容する係合構造を介してリンク機構の作用部と係合し、リンク機構の作用部の位置が上方に変位するとその変位量に応じた長さだけ延長軸部材に沿って上方に移動し、作用部が下方に変位するとその変位量に応じた長さだけ延長軸部材に沿って下方に移動する構成を有している。運動変換機構は、スライド部材の延長軸部材に対する上下方向の移動量に応じて第2のアームを第1の水平軸を中心にして回動させる構成を有している。リンク変位機構は、スピンドルが上下運動をする際にはリンク機構の作用部の延長軸部材に対する位置を変化せることなくリンク機構支持体と一緒にリンク機構が上下方向に動くことを許容し、しかもスピンドルの動きと無関係にリンク機構の作用部を上下方向に変位させる構成を有している。また、本発明の巻線機は、リンク機構支持体の上下方向への動きは許容するが延長軸部材を中心にした回動運動を阻止するようにリンク機構支持体をガイドするリンク機構支持体ガイド機構を更に備えている。
【0013】
本発明の巻線機は、次のようにしてノズルホルダが揺動する。まず、リンク変位機構により、リンク機構の作用部の位置が上方に変位するとその変位量に応じた長さだけスライド部材が延長軸部材に沿って上方に移動する。そして、運動変換機構により、スライド部材の上方向の移動量に応じてノズルホルダの第2のアームが第1の水平軸を中心にして回動する。また、リンク機構の作用部の位置が下方に変位するとその変位量に応じた長さだけスライド部材が延長軸部材に沿って下方に移動する。そして、運動変換機構により、スライド部材の下方向の移動量に応じてノズルホルダの第2のアームが第1の水平軸を中心にして回動する。本発明では、リンク機構を支持するリンク機構支持体は、上下方向への動きは許容するが延長軸部材を中心にした回動運動を阻止するようにリンク機構支持体にガイドされている。また、リンク機構の作用部は、延長軸部材の回動運動を許容する係合構造を介してスライド部材と係合している。そのため、本発明の巻線機では、ノズルホルダの第2のアームを水平移動カム装置等の装置により直接揺動させずに、リンク機構及びスライド部材を介して揺動させる。しかも、リンク機構は、スライド部材と一緒に回動することなく水平移動カム装置等の装置により作動される。そのため、従来の巻線機のように、スライド部材と一緒に回動するノズルホルダの第2のアームを水平移動カム装置の曲面と当接させる構成を採用する必要がないため、このような当接によるノズルホルダの振動を防ぐことができる。その結果、円滑で正確な巻線作業が行える。また、このようにノズルホルダに無理な力が加わらないので、巻線機を構成する各部にも無理な力が加わらず、各部間の接合部の摩耗を小さくすることができる。
【0014】
また、リンク機構支持体の上下方向への動きは許容するが延長軸部材を中心にした回動運動を阻止するようにリンク機構支持体をガイドするリンク機構支持体ガイド機構を更に備えているので、リンク機構支持体ガイド機構並びに該リンク機構支持体ガイド機構に接続されるリンク機構支持体,リンク機構及びスライド部材によりスピンドル及び延長軸部材がしっかりと支持されており、スピンドル及び延長軸部材が撓むのを防ぐことができる。
【0015】
リンク機構としては、第1の揺動アーム部及び第2の揺動アーム部の連結部がスピンドルの軸線と交差しないように軸線が水平方向に延びる第2の水平軸を中心にして回動するようにリンク機構支持体に回り対偶を介して取付けられた揺動リンクを備えた構成を採用できる。この場合、スライド部材としては、スピンドルと一緒に動く延長軸部材の回動運動及び上下運動を許容する係合構造を介して揺動リンクの第1の揺動アーム部と係合し、第1の揺動アーム部が第2の水平軸を中心にして上方に回動するとその回動量に応じた長さだけ延長軸部材に沿って上方に移動し、第1の揺動アーム部が第2の水平軸を中心にして下方に回動するとその回動量に応じた長さだけ延長軸部材に沿って下方に移動する構成を採用できる。また、リンク変位機構としては、スピンドルが上下運動をする際には揺動リンクが第2の水平軸を中心にして回動することなくリンク機構支持体と一緒に揺動リンクが上下方向に動くことを許容し、しかもスピンドルの動きと無関係に第2の揺動アーム部を第2の水平軸を中心にして回動させる構成を採用できる。このようなリンク機構を採用すれば、第2の揺動アーム部の端部を水平移動カム装置等の装置により水平方向に往復動させるだけで、第1の揺動アーム部と係合するスライド部材を延長軸部材に沿って上下運動してノズルホルダを揺動することができる。そのため、単純な構成によりノズルホルダを揺動させることができる。
【0016】
運動変換機構は、スライド部材に設けられたカム面を備えた第1のカムと、第2のアームに設けられて第1のカムのカム面上を従動する第1の従動ローラと、第1の従動ローラを常時第1のカムのカム面に押し付ける押し付け力を発生する第1のバネ部材とを具備する構成を採用できる。この場合、第1のカムのカム面はノズルホルダ取付構造部に近づくに従って延長軸部材に近づくように傾斜した傾斜面を備えており、リンク変位機構は、第1のカムとノズルホルダ取付構造部との間に第1のカムを備えたスライド部材をリンク機構支持体側に向かって常時付勢する第2のバネ部材と、揺動リンクの第2の揺動アーム部に固定された第2の従動ローラと、スピンドルの軸線と平行に延び且つスピンドルが上下方向に動く範囲において常時第2の従動ローラが従動するカム面を備えた第2のカムと、スライド部材を上方に変位させるときには、第2のカムをスピンドルの軸線に近付ける方向に変位させ、スライド部材を下方に変位させるときには、第2のカムをスピンドルの軸線から離す方向に変位させるカム移動機構とから構成することができる。
【0017】
このような構成によれば、ノズルホルダは次のように揺動する。まず、リンク変位機構により、第2のカムをスピンドルの軸線に近付ける方向に変位させると、第2の従動ローラが第2のカムのカム面上を下方向に従動する。なお、揺動リンクは、スピンドルと一緒に上下方向に動くため、スピンドルが上方向に動く時は、スピンドルの速度によっては、第2の従動ローラは第2のカムのカム面上を上方向に動く場合もある。そして、第2のカムのカム面に当接している揺動リンクが揺動して、第1の揺動アーム部が第2の水平軸を中心にして上方に回動するとその回動量に応じた長さだけ延長軸部材に沿ってスライド部材が上方に変位する。次に、運動変換機構により、スライド部材の変位により第1の従動ローラが第1のカムのカム面上を回転して移動して、スライド部材の延長軸部材に対する上方向の移動量に応じて第2のアームが第1の水平軸を中心にして回動する。また、第2のカムをスピンドルの軸線から離す方向に変位させると、第2のバネ部材の付勢によりスライド部材が延長軸部材に対して下方に変位すると共に揺動リンクが第2の水平軸を中心に揺動して第2の従動ローラが第2のカムのカム面上を上方向に従動する。なお、スピンドル9が下方向に動く時は、スピンドル9の速度によっては、第2の従動ローラ54はカム面57a上を下方向に動く場合もある。これにより、第1のバネ部材の付勢により第1の従動ローラが第1のカムのカム面上を回転して移動してスライド部材の延長軸部材に対する上方向の移動量に応じて第2のアームが第1の水平軸を中心にして回動する。このように、この巻線機では、ノズルホルダの第2のアームを水平移動カム装置により直接揺動させずに、揺動リンク及びスライド部材を介して揺動させる構造を簡単且つ効率よく構成することができる。しかも、揺動リンクは、スライド部材と一緒に回動することなく水平移動カム装置により作動され、第2の従動ローラは第2のカムのカム面上を上下方向に従動する。そのため、従来のように、カムフォローに対する負荷が大きくなり、カムフォローの寿命が短くなるという問題が生じることはない。また、このような巻線機では、従来のように、カムフォローの回転軌跡の中心点と、カム体の曲面の中心点とを一致させるような作業はなく、製造が容易になる。
【0018】
また、この巻線機では、1つの第1のカムに複数のノズルホルダの従動ローラを従動させる構造を採用できるため、1つのスピンドルに対して複数のノズルホルダを取り付けることができる。
【0019】
第1のカムは中心に延長軸部材が貫通する貫通孔を有し、ノズルホルダ取付構造部に近づくに従って径寸法が小さくなる切頭円錐体から構成することができる。このようにすれば、第1のカムを単純な構造で形成することができ、複数のノズルホルダを簡単に取り付けることができる。
【0020】
第1の揺動アーム部とスライド部材とを係合させる係合構造は、延長軸部材の軸線を中心にして前記スライド部材に形成され径方向外側に向かって開口する環状の溝と、第1の揺動アーム部に取付けられて環状の溝の内部に移動自在に嵌合され、環状の溝を囲む壁面と接触してスライド部材と係合する係合部材とから構成することができる。また、第1の揺動アーム部は、軸線方向と直交する方向からスライド部材を間に挟むように二又に分かれた一対の腕部分を有し、係合部材は一対の腕部分にそれぞれ回動自在に固定されて環状の溝を囲む前記壁面上を回転する一対の回転ローラから構成することができる。このように構成すれば、第1の揺動アーム部の一対の回転ローラがスライド部材の環状の溝を囲む壁面を回転することにより、延長軸部材の回動運動を許容するスライド部材と揺動リンクの第1の揺動アーム部との係合構造が構成される。
【0021】
リンク機構支持体ガイド機構は、スピンドルを間に挟む位置に配置されスピンドルの軸線と平行に延びる一対のガイドレールと、リンク機構支持体にぞれぞれ取付けられて、対応するガイドレールを間に挟み且つ軸線方向と直交する方向に位置して軸線方向に延びるガイドレールの一対の側面上を回転する一対の側面回転ローラから構成された一対のガイドレール挟持機構とから構成することができる。このように構成すれば、リンク機構支持体にぞれぞれ取付けられた一対の側面回転ローラがガイドレールの一対の側面上を回転することにより、リンク機構支持体の上下方向への動きは許容するが延長軸部材を中心にした回動運動を阻止する構造が図られる。
【0022】
リンク機構支持体には、ガイドレールの一対の回転ローラが接触する一対の側面をつないで軸線方向に延びる端面上を回転する端面回転ローラを一対のガイドレールに対して少なくとも1つずつ取付けるのが好ましい。このように端面回転ローラを設けて、この端面回転ローラをガイドレールの端面上に回転させれば、リンク機構支持体の一対の側面回転ローラをガイドレールの一対の側面上に安定且つ滑らかに回転させることができる。
【0023】
このようなガイドレール挟持機構及び端面回転ローラは、リンク機構支持体に水平方向に延びるように設けられた取付プレートを間にして取付プレートの上面と下面とにそれぞれ取付ければよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1,図2(A)及び図2(B)は、本発明の実施の形態の巻線機の一部破断正面図,平面図及び側面図である。なお、理解を容易にするため、図1は、図2に示すガイド体3の一対の構成体39の一方を省略した状態で描いており、図2(A)及び(B)は、図1に示す水平移動カム装置5及び巻線機本体1の上部を省略した状態で描いている。各図に示すように、本実施の形態の巻線機は、巻線機本体1とガイド体3と水平移動カム装置5とから構成されている。巻線機本体1は、図1及び図3の断面図に示すように、ベース7を下部に有し、スピンドル9と延長軸部材11とを中心部に有している。スピンドル9は、円筒形を有しており、軸線9aが上下方向に延びるようにベース7内から上方に突出して配置されている。スピンドル9を貫通して延びる中空部9b内には、ベース7内に配置された図示しない巻線供給体から後述するノズル77に延びる巻線13が配置されている。このスピンドル9は、ベース7内に配置された図示しないスピンドル駆動機構により軸線9aを中心にして所定の回転角度内で回動運動し、更に上下方向に上下運動する。この例では、スピンドル9は、上昇,上方から見て右方向への回動,下降,上方から見て左方向への回動の運動がスピンドル駆動機構により順次行われる。スピンドル駆動機構としては、カム機構及びギア機構を組み合わせて回転運動を所定角度の回動運動及び上下運動に変換する公知の機構を用いることができる。
【0025】
延長軸部材11は、筒状の大径部15と、大径部15から上方に延びる細長い筒状の小径部17とを有しており、大径部15がスピンドル9の先端に嵌合されて延長軸部材11はスピンドル9と同心的に固定されている。小径部17を貫通して延びる中空部17a内には、スピンドル9から延びる巻線13が配置されている。延長軸部材11の大径部15には、リンク機構支持体19が取り付けられており、小径部17には、スライド部材21及びノズルホルダ取付構造部23が取り付けられている。リンク機構支持体19は、図4の分解斜視図に詳細に示すように、本体部25と、本体部25に一体に結合された取付プレート27と、取付プレート27に一体に結合された一対の腕部29,29とを有している。本体部25は円筒形を有しており、図3に示すように、軸受31,33により延長軸部材11の大径部15に回動自在に支持されている。これにより、リンク機構支持体19は、延長軸部材11の回動は許容するが延長軸部材11に沿って上下方向に移動しないように延長軸部材11に取付けられることになる。
【0026】
取付プレート27は、本体部25の上方に配置されたプレート本体27aと、プレート本体27aから水平移動カム装置5側に突出する一対の突出部27b,27bとを有している。プレート本体27aは、ほぼ矩形の輪郭を有しており、中央に本体部25の中空部と連通する貫通孔27cを有している。プレート本体27aの下面のガイド体3の構成体39と対向する両側には、一対の側面回転ローラ35,35がそれぞれ取り付けられている。この側面回転ローラ35は、プレート本体27aの下面に固定されるローラ支持部35aと、プレート本体27aから構成体39側に突出するローラ部35bとを有している。ローラ部35bは、プレート本体27aから構成体39側に延びる方向を軸線方向として回転するようにローラ支持部35aに回転自在に支持されている。また、プレート本体27aの上面のガイド体3の構成体39と対向する両側には、端面回転ローラ37がそれぞれ取り付けられている。端面回転ローラ37は、プレート本体27aの上面に固定される一対のローラ支持部37a,37aと、ローラ部37bとを有している。ローラ部37bは、プレート本体27aから水平移動カム装置5側に延びる方向(端面回転ローラ37の軸線と直交する方向)を軸線方向として回転するように一対のローラ支持部37a,37aに挟持された状態で支持されている。一対の腕部29,29は、細長い板状を有しており、プレート本体27aの一対の突出部27b,27bから上方に突出するように、一対の突出部27b,27bの端部にそれぞれ結合されている。そして、一対の腕部29,29には、それぞれ上方に貫通孔29a,29aが形成されている。このリンク機構支持体19は、一対の側面回転ローラ35,35及び端面回転ローラ37を介してガイド体3にガイドされている。
【0027】
リンク機構支持体19をガイドするガイド体3は、図2に示すように、スピンドル9を間に挟む位置に配置された一対の構成体39,39により構成されている。構成体39は、本体部41と、本体部41に結合されたガイドレール43とを有している。一対のガイドレール43,43は、スピンドル9を間に挟む位置に配置されスピンドル9の軸線と平行に上下方向に延びて配置されている。各ガイドレール43は、スピンドル9の軸線方向と直交する方向に位置して該軸線方向に延びる一対の側面43a,43aと、一対の側面43a,43aをつないでスピンドル9の軸線方向に延びる端面43bとを有している。一対の側面43a,43a上には、リンク機構支持体19の一対の側面回転ローラ35,35のローラ部35b,35bがガイドレール43を挟んだ状態で回転して移動する。また、端面43b上には、リンク機構支持体19の端面回転ローラ37のローラ部37bが回転して移動する。本例では、一対の側面回転ローラ35,35により一対のガイドレール挟持機構が構成され、この一対のガイドレール挟持機構と、一対のガイドレール43,43とからリンク機構支持体ガイド機構から構成されている。これにより、リンク機構支持体19は、リンク機構支持体19の上下方向への動きは許容されるが延長軸部材11を中心にした回動運動が阻止されるように(延長軸部材11とは一緒に回動しないように)、リンク機構支持体ガイド機構(35,43)によりガイドされる。
【0028】
図4に戻って、リンク機構支持体19の一対の腕部29,29の貫通孔29a,29aには、揺動リンク45が取付けられている。この揺動リンク45は、第1の揺動アーム部47と第2の揺動アーム部49と両揺動アーム部47,49を連結する連結部51とを一体に有している。第1の揺動アーム部47は、軸線9aの方向と直交する方向からスライド部材21を間に挟むように二又に分かれた一対の腕部分47a,47aと、この一対の腕部分47a,47aを連結する腕連結部47bとを有するコの字形を有している。一対の腕部分47a,47aのスライド部材21を間に挟む端部には、貫通孔47c,47cがそれぞれ形成されている。この一対の貫通孔47c,47cには係合部材を構成する一対の回転ローラ53,53がそれぞれ取り付けられている。回転ローラ53は、ローラ部53aとローラ部53aに固定されて貫通孔47c内を貫通する螺子部53bと螺子部53bに螺合されれるナット部53cとを有している。一対の回転ローラ53,53は、ローラ部53aが相互に向い合うように配置されている。そして、一対の回転ローラ53,53の各ローラ部53aは、後述するスライド部材21と係合している。
【0029】
第2の揺動アーム部49は、第1の揺動アーム部47の腕連結部47bの中央部から水平移動カム装置5側に向かって下側に突出する細長い形状を有している。これにより、第2の揺動アーム部49の長手方向は、第1の揺動アーム部47の一対の腕部分47a,47aの長手方向と所定の角度(95°〜110°)で交差することになる。第2の揺動アーム部49の水平移動カム装置5側の端部には、水平移動カム装置5側及び上下方向側に開口する溝49aが形成されている。これにより第2の揺動アーム部49の水平移動カム装置5側の端部には溝49aを間に介して一対の突出片49b,49bが形成されることになる。一対の突出片49b,49bには、厚み方向に貫通する貫通孔49cがそれぞれ形成されており、この貫通孔49cには、第2の従動ローラ54が取り付けられている。第2の従動ローラ54は、軸部54aと軸部54aに中心が固定されたローラ部54bとを有しており、軸部54aの両端が一対の貫通孔49c,49c内にそれぞれ嵌合されて、第2の従動ローラ54は揺動リンク45に回転自在に取り付けられている。第2の従動ローラ54のローラ部54bは、後述する水平移動カム装置5のカム面構成体57と当接している(図1)。
【0030】
第1の揺動アーム部47と第2の揺動アーム部49とを連結する連結部51には、スピンドル9の軸線9aと交差しないように軸線が水平方向に延びる第2の水平軸A2(図3)を中心にして延びる貫通孔51aが形成されている。この連結部51は、一対の腕部29,29の貫通孔29a,29aと連結部51の貫通孔51aとが整合するように、一対の腕部29,29の間に配置されている。そして、一対の貫通孔29a,29a及び貫通孔51a内を貫通するピン55により、揺動リンク45は、リンク機構支持体19に回り対偶を介して取付けられている。
【0031】
揺動リンク45の第2の従動ローラ54が当接する水平移動カム装置5は、図1に示すように、第2のカムを構成するカム面構成体57とカム面構成体57をスピンドル9の軸線9aに近付ける方向及びカム面構成体57をスピンドル9の軸線9aから離す方向に変位させる往復運動を起こすカム移動機構59とを有している。カム面構成体57は、図1の断面図に示すように、スピンドル9と対向する側に第2の従動ローラ54が従動して回転する平面状のカム面57aを有している。カム移動機構59は、回転動力部59aと回転動力部59aの回転運動を往復運動に変換して、カム面構成体57を往復運動させる運動変換部59bとを有している。
【0032】
図4に戻って、揺動リンク45の一対の回転ローラ53,53の各ローラ部53aが係合するスライド部材21は、環状溝構成体61と第1のカムを構成するカム体63とを有している。環状溝構成体61は、筒本体61aと筒本体61aに結合する上部板部61b及び下部板部61cとを一体に有している。筒本体61aは、円筒形を有しており、内周面には、長手方向に延びて上下に開口するキー溝61dが形成されている。上部板部61b及び下部板部61cは、いずれも環状の円板形を有しており、筒本体61aに上部板部61b及び下部板部61cに挟まれる部分61aと上部板部61bから上方に突出する上部61aとが形成されるように、上下方向に間隔を隔てて配置されている。これにより、上部板部61bの下面61b,下部板部61cの上面61c及び筒本体61aの部分61aに囲まれた部分に環状の溝61eが形成されることになる。また、上部板部61bには、上方に開口する螺子孔61fが形成されている。カム体63は、切頭円錐体の筒状形状を有している。カム体63の外周部には、ノズルホルダ取付構造部23に近づくに従って延長軸部材11に近づくように傾斜するカム面63aと、カム面63aの下方に位置する帯状の低部外周面63bとが形成されている。カム面63aの低部外周面63bとの境界寄りには、外側に開口する凹部63cが形成されており、この凹部63cの底部には、上下方向に貫通する螺子貫通孔63dが形成されている。カム体63の内周部には、図3に示すように、環状溝構成体61側と延長軸部材11側とに開口する環状の凹部63eが形成されている。環状溝構成体61とカム体63とは、カム体63の凹部63eに環状溝構成体61の筒本体61aの上部61aが嵌合され、カム体63の螺子貫通孔63dを貫通して環状溝構成体61の螺子孔61fに螺合される螺子65によって相互に結合されている。このようにして環状溝構成体61とカム体63とが結合して構成されたスライド部材21は、延長軸部材11の長手方向に延びる溝に嵌合されたキー66が環状溝構成体61のキー溝61dに嵌合されるようにして、延長軸部材11に嵌合されている。これにより、スライド部材21は、延長軸部材11に対して回動することなく(即ち、延長軸部材11と一緒に回動するように)、軸線方向にスライド可能に取付けられることになる。また、スライド部材21のカム体63とノズルホルダ取付構造部23との間には、第2のバネ部材67が配置されており、この第2のバネ部材67により、スライド部材21は、リンク機構支持体19側に向かって常時付勢されている。そして、環状溝構成体61の環状の溝61eには、上部板部61bの下面(環状の溝61eを囲む壁面)61bに揺動リンク45の一対の回転ローラ53,53の各ローラ部53aが接触して回転するように、一対の回転ローラ53,53が移動自在に嵌合されている。これにより、揺動リンク45は、延長軸部材11及びスライド部材21と一緒に回動することなく、スライド部材21と係合することになる。
【0033】
本例では、第2のバネ部材67と、第2の従動ローラ54と、カム面構成体57と、カム移動機構59とからリンク変位機構が構成されている。このリンク変位機構(67,54,57,59)により、スピンドル9が上下運動をする際には、第2の従動ローラ54が水平移動カム装置5のカム面構成体57のカム面57a上を上下方向に従動して揺動リンク45もリンク機構支持体19と一緒に上下運動をする。そのため、揺動リンク45は、スピンドル9が上下運動をする際には、第2の水平軸A2を中心にして回動することなくリンク機構支持体19と一緒に上下方向に動くことが許容され、しかもスピンドル9の動きと無関係に第2の揺動アーム部49は第2の水平軸A2を中心に回動する。このようなリンク変位機構(67,54,57,59)により、カム面構成体57をスピンドル9の軸線9aに近付ける方向に変位させると、揺動リンク45が第2の水平軸A2を中心に揺動して、揺動リンク45の第1の揺動アーム部47の一対の回転ローラ53,53がスライド部材21の上部板部61bの下面61bを押し上げる。そして、第1の揺動アーム部47の回動量に応じた長さだけスライド部材21が延長軸部材11に対して上方に変位する。また、カム面構成体57をスピンドル9の軸線9aから離す方向に変位させると、第2のバネ部材67の付勢によりスライド部材21が延長軸部材11に対して下方に変位すると共に揺動リンク45が第2の水平軸A2を中心に揺動する。
【0034】
スライド部材21の上方に配置されたノズルホルダ取付構造部23は、図3及び図6の平面図に示すように、円柱形の輪郭を有する筒体により構成されており、延長軸部材11の小径部17において更に小径に形成された小径部17の先端部17bに嵌合されて固定されている。先端部17bには、ガイド体3側に突出して上下方向に延びる凸部17cが形成されており、ノズルホルダ取付構造部23の内周面には、凸部17cに嵌合される凹部23aが形成されている。そして、凸部17c及び凹部23aの嵌合によりノズルホルダ取付構造部23の延長軸部材11に対する回り止めが図られている。これにより、ノズルホルダ取付構造部23は、延長軸部材11を介してスピンドル9の動きによって上下運動と回転運動を行う。ノズルホルダ取付構造部23の下方部には、スライド部材21側に開口する切頭円錐形の下方凹部23bが形成されている。下方凹部23bの底部には、第2のバネ部材67の一端が当接している。下方凹部23b内には、第2のバネ部材67の上部分が配置されており、スライド部材21が上方に移動する際には、第2のバネ部材67及びスライド部材21のカム体63の一部が内部に位置されることになる。また、ノズルホルダ取付構造部23の上方部から側方部にかけては、ノズルホルダ受容凹部23cが形成されている。ノズルホルダ受容凹部23cは、上方に開口する上方開口部23dと、上方開口部23dから放射状に所定の角度(約60°)でノズルホルダ取付構造部23の側方に延びてノズルホルダ取付構造部23の上下方向及び側方に開口する3つのノズルホルダ取付開口部23e…と、各ノズルホルダ取付開口部23eと連通して各ノズルホルダ取付開口部23eに対して2つずつ形成され且つ上方に開口する軸溝23f…とを有している。上方開口部23dは、延長軸部材11の小径部17の中空部17aに連通しており、内部には、延長軸部材11の中空部17aから延びる巻線13が配置されている。ノズルホルダ取付開口部23e…には、ノズルホルダ69をそれぞれ取り付けることができる。なお、ノズルホルダ取付開口部23e…に取り付けるノズルホルダ69の本数は、必要に応じて設定すればよく、図1及び図3に示す例では、1本のノズルホルダ69だけを取り付けた例を示している。
【0035】
図1に示すように、ノズルホルダ69は、上側に延びる第1のアーム71と下側に延びる第2のアーム73と、両アームを連結する連結部75とを有している。連結部75の中心には、スピンドル9の軸線9aと交差しないように軸線が水平方向に延びる第1の水平軸A1を中心にして延びる軸部75aが固定されている。この軸部75aを軸溝23f…に上方から挿入して嵌合させることにより、ノズルホルダ69は、ノズルホルダ取付構造部23に回り対偶を介して取り付けられる。第1のアーム71は、細長い形状を有しており、連結部75のスピンドル9の軸線9a寄りの一方の端部に結合されている。第1のアーム71の先端部には、横方向に延びて巻線導体13を導出するノズル77が取り付けられている。第2のアーム73も、細長い形状を有しており、連結部75の他方の端部に結合されている。第2のアーム73の先端部には、スピンドル9の軸線9aと直交する方向に軸線を有するように、第1の従動ローラ79が回転自在に取り付けられている。第2のアーム73及びノズルホルダ取付構造部23の周囲には、環状の第1のバネ部材81が配置されている。そして、第1の従動ローラ79は、この第1のバネ部材81により、常時カム体63のカム面63aに押し付けられた状態でカム面63a上を回転して従動するように配置されている。本例では、カム体63のカム面63aと第1の従動ローラ79と第1のバネ部材81とから運動変換機構が構成されている。この運動変換機構(63a,79,81)により、スライド部材21が延長軸部材11に対して上下方向に移動すると第1の従動ローラ79が回転する。そして、スライド部材21の延長軸部材11に対する上下方向の移動量に応じて第2のアーム73が第1の水平軸A1を中心にして回動する。本例では、この運動変換機構(63a,79,81)に加えて、延長軸部材11,リンク機構支持体19,揺動リンク45,スライド部材21,リンク変位機構(67,53,59)によりノズルホルダ69の第2のアーム73を所定の角度範囲内で揺動させる揺動力付与機構が構成されている。この揺動力付与機構では、カム移動機構59によりカム面構成体57をスピンドル9の軸線9aに近付ける方向に変位させると、第2の従動ローラ54が水平移動カム装置5のカム面構成体57のカム面57a上を下方向に従動する。なお、揺動リンク45は、スピンドル9と一緒に上下方向に動くため、スピンドル9が上方向に動く時は、スピンドル9の速度によっては、第2の従動ローラ54はカム面57a上を上方向に動く場合もある。そして、図7に示すように、カム面構成体57に当接している揺動リンク45が揺動して、スライド部材21が延長軸部材11に対して上方に変位する。これにより、第1の従動ローラ79がカム面63a上を回転して移動してノズルホルダ69が垂直方向に対して傾斜するように揺動する。また、カム移動機構59によりカム面構成体57をスピンドル9の軸線9aから離す方向に変位させると、第2のバネ部材67の付勢によりスライド部材21が延長軸部材11に対して下方に変位すると共に揺動リンク45が揺動して第2の従動ローラ54が水平移動カム装置5のカム面構成体57のカム面57a上を上方向に従動する。なお、スピンドル9が下方向に動く時は、スピンドル9の速度によっては、第2の従動ローラ54はカム面57a上を下方向に動く場合もある。これにより、第1のバネ部材81の付勢により第1の従動ローラ79がカム面63a上を回転して移動してノズルホルダ69が垂直方向になるように揺動する。
【0036】
本例の巻線機では、このような揺動と、スピンドル9の回動運動及び上下運動ととにより、図1に示すように、ノズル77を電機機器の磁極部83の周りにボックス運動と磁極部83に沿った往復運動とを行わせて磁極部83に巻線導体を巻きつける。より具体的には、図8に示すように、スピンドル9の回動運動及び上下運動とにより、ノズル77は、上昇,上方から見て軸線9aを中心とする右方向への回動,下降,上方から見て軸線9aを中心とする左方向への回動を行うボックス運動を行い、前述した揺動力付与機構により、磁極部83に沿った往復運動を行って巻線導体を巻きつける。このように本例の巻線機では、ノズルホルダ69の第2のアーム73を水平移動カム装置により直接揺動させずに、スライド部材21及び揺動リンク45を介して揺動させる。しかも、揺動リンク45は、スライド部材21と一緒に回動することなく水平移動カム装置により作動される。そのため、従来の巻線機のように、スライド部材と一緒に回動するノズルホルダの第2のアームを水平移動カム装置の曲面と当接させる構成を採用する必要がないため、このような当接によるノズルホルダの振動を防ぐことができ、円滑で正確な巻線作業が行える。また、ガイド体3並びにガイド体3に接続されるリンク機構支持体19,揺動リンク45及びスライド部材21によりスピンドル9及び延長軸部材11が撓むのを防ぐことができる。
【0037】
更に本例の巻線機では、1つのカム体63に複数(本例では3本)のノズルホルダ71の従動ローラ79を従動させる構造を採用できるため、1つのスピンドル9に対して複数のノズルホルダ71を取り付けることができる。
【0038】
なお、本例では、スライド部材21のカム体63を切頭円錐体に形成したが、カム体はノズルホルダ取付構造部に近づくに従って延長軸部材に近づくように傾斜した傾斜面を備えておればよく、その形状は任意である。
【0039】
【発明の効果】
本発明の巻線機によれば、ノズルホルダの第2のアームを水平移動カム装置等の装置により直接揺動させずに、リンク機構及びスライド部材を介して揺動させ、リンク機構は、スライド部材と一緒に回動することなく水平移動カム装置等の装置により作動される。そのため、従来の巻線機のように、スライド部材と一緒に回動するノズルホルダの第2のアームを水平移動カム装置の曲面と当接させる構成を採用する必要がないため、このような当接によるノズルホルダの振動を防ぐことができる。その結果、円滑で正確な巻線作業が行える。また、このようにノズルホルダに無理な力が加わらないので、巻線機を構成する各部にも無理な力が加わらず、各部間の接合部の摩耗を小さくすることができる。
【0040】
また、本発明の巻線機では、1つの第1のカムに複数のノズルホルダの従動ローラを従動させる構造を採用できるため、1つのスピンドルに対して複数のノズルホルダを取り付けることができ、巻線作業の効率化を図ることができる。
【0041】
また、リンク機構支持体の上下方向への動きは許容するが延長軸部材を中心にした回動運動を阻止するようにリンク機構支持体をガイドするリンク機構支持体ガイド機構を更に備えているので、リンク機構支持体ガイド機構並びに該リンク機構支持体ガイド機構に接続されるリンク機構支持体,リンク機構及びスライド部材によりスピンドル及び延長軸部材が撓むのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の巻線機の一部破断正面図である。
【図2】(A)及び(B)は、図1に示す巻線機の平面図及び側面図である。
【図3】図1に示す巻線機の巻線機本体の断面図である。
【図4】図1に示す巻線機の巻線機本体の一部の分解斜視図である。
【図5】図1に示す巻線機のカム面構成体の断面図である。
【図6】図1に示す巻線機のノズルホルダ取付構造部の平面図である。
【図7】図1に示す巻線機のノズルホルダが揺動する態様を説明するための図である。
【図8】図1に示す巻線機が巻線作動する際のノズルホルダの動きを示す図である。
【図9】従来の巻線機の一部破断正面図である。
【図10】図9に示す従来の巻線機のカム面構成体の断面図である。
【符号の説明】
1 巻線機本体
3 ガイド体
5 水平移動カム装置
9 スピンドル
9a 軸線
11 延長軸部材
13 巻線
19 リンク機構支持体
21 スライド部材
27 取付プレート
35 側面回転ローラ
37 端面回転ローラ
43 ガイドレール
45 揺動リンク(リンク機構)
47 第1の揺動アーム部
49 第2の揺動アーム部
51 連結部
47a,47a 一対の腕部分
53 回転ローラ
54 第2の従動ローラ
57 カム面構成体(第2のカム)
59 カム移動機構
61e 環状の溝
63 カム体(第1のカム)
63a カム面
67 第2のバネ部材
71 第1のアーム
73 第2のアーム
77 ノズル
79 第1の従動ローラ
81 第1のバネ部材
83 磁極部

Claims (9)

  1. 軸線が上下方向に延びるように配置されたスピンドルと、
    前記スピンドルを前記軸線を中心にして所定の回転角度内で回動運動させ且つ前記スピンドルを前記上下方向に上下運動させるスピンドル駆動機構と、
    前記スピンドルの動きによって前記上下運動と前記回転運動をするノズルホルダ取付構造部と、
    上側に延びる第1のアーム及び下側に延びる第2のアームを備え、前記第1のアームと前記第2のアームの連結部が、前記スピンドルの前記軸線と交差しないように軸線が水平方向に延びる第1の水平軸を中心にして回動するように前記ノズルホルダ取付構造部に回り対偶を介して取付けられたノズルホルダと、
    第1のアームの先端部に取付けられて横方向に延びて巻線導体を導出するノズルと、
    前記ノズルホルダの前記第2のアームを前記第1の水平軸を中心にして所定の角度範囲内で揺動させる揺動力付与機構とを具備し、
    前記スピンドルの前記回動運動及び前記上下運動と前記ノズルホルダの前記揺動とにより、前記ノズルを電機機器の磁極部の周りにボックス運動と前記磁極部に沿った往復運動とを行わせて前記磁極部に前記巻線導体を巻きつける巻線機であって、
    前記揺動力付与機構は、
    前記スピンドルの先端に固定されて前記スピンドルと同心的に配置された延長軸部材と、
    前記延長軸部材に前記延長軸部材の回動は許容するが前記延長軸部材に沿って上下方向に移動しないように前記延長軸部材に取付けられたリンク機構支持体と、
    前記リンク機構支持体に動作可能に支持されたリンク機構と、
    前記延長軸部材の先端に固定された前記ノズルホルダ取付構造部と前記リンク機構支持体との間に配置され且つ前記延長軸部材に対して軸線方向にスライド可能に取付けられ、前記スピンドルと一緒に動く前記延長軸部材の前記回動運動を許容する係合構造を介して前記リンク機構の作用部と係合し、前記リンク機構の前記作用部の位置が上方に変位するとその変位量に応じた長さだけ前記延長軸部材に沿って上方に移動し、前記作用部が下方に変位するとその変位量に応じた長さだけ前記延長軸部材に沿って下方に移動するスライド部材と、
    前記スライド部材と前記ノズルホルダの前記第2のアームとの間に配置され、前記スライド部材の前記延長軸部材に対する前記上下方向の移動量に応じて前記第2のアームを前記第1の水平軸を中心にして回動させる運動変換機構と、
    前記スピンドルが前記上下運動をする際には前記リンク機構の前記作用部の前記延長軸部材に対する位置を変化せることなく前記リンク機構支持体と一緒に前記リンク機構が上下方向に動くことを許容し、しかも前記スピンドルの動きと無関係に前記リンク機構の前記作用部を前記上下方向に変位させるリンク変位機構とからなり、
    更に前記リンク機構支持体の前記上下方向への動きは許容するが前記延長軸部材を中心にした回動運動を阻止するように前記リンク機構支持体をガイドするリンク機構支持体ガイド機構を備えていることを特徴とする巻線機。
  2. 軸線が上下方向に延びるように配置されたスピンドルと、
    前記スピンドルを前記軸線を中心にして所定の回転角度内で回動運動させ且つ前記スピンドルを前記上下方向に上下運動させるスピンドル駆動機構と、
    前記スピンドルの動きによって前記上下運動と前記回転運動をするノズルホルダ取付構造部と、
    上側に延びる第1のアーム及び下側に延びる第2のアームを備え、前記第1のアームと前記第2のアームの連結部が、前記スピンドルの前記軸線と交差しないように軸線が水平方向に延びる第1の水平軸を中心にして回動するように前記ノズルホルダ取付構造部に回り対偶を介して取付けられたノズルホルダと、
    第1のアームの先端部に取付けられて横方向に延びて巻線導体を導出するノズルと、
    前記ノズルホルダの前記第2のアームを前記第1の水平軸を中心にして所定の角度範囲内で揺動させる揺動力付与機構とを具備し、
    前記スピンドルの前記回動運動及び前記上下運動と前記ノズルホルダの前記揺動とにより、前記ノズルを電機機器の磁極部の周りにボックス運動と前記磁極部に沿った往復運動とを行わせて前記磁極部に前記巻線導体を巻きつける巻線機であって、
    前記揺動力付与機構は、
    前記スピンドルの先端に固定されて前記スピンドルと同心的に配置された延長軸部材と、
    前記延長軸部材に前記延長軸部材の回動は許容するが前記延長軸部材に沿って上下方向に移動しないように前記延長軸部材に取付けられたリンク機構支持体と、
    第1の揺動アーム部及び第2の揺動アーム部を有し、前記第1の揺動アーム部と前記第2の揺動アーム部の連結部が前記スピンドルの前記軸線と交差しないように軸線が水平方向に延びる第2の水平軸を中心にして回動するように前記リンク機構支持体に回り対偶を介して取付けられた揺動リンクを備えたリンク機構と、
    前記延長軸部材の先端に固定された前記ノズルホルダ取付構造部と前記リンク機構支持体との間に配置され且つ前記延長軸部材に対して軸線方向にスライド可能に取付けられ、前記スピンドルと一緒に動く前記延長軸部材の前記回動運動及び前記上下運動を許容する係合構造を介して前記揺動リンクの前記第1の揺動アーム部と係合し、前記第1の揺動アーム部が前記第2の水平軸を中心にして上方に回動するとその回動量に応じた長さだけ前記延長軸部材に沿って上方に移動し、前記第1の揺動アーム部が前記第2の水平軸を中心にして下方に回動するとその回動量に応じた長さだけ前記延長軸部材に沿って下方に移動するスライド部材と、
    前記スライド部材と前記ノズルホルダの前記第2のアームとの間に配置され、前記スライド部材の前記延長軸部材に対する前記上下方向の移動量に応じて前記第2のアームを前記第1の水平軸を中心にして回動させる運動変換機構と、
    前記スピンドルが前記上下運動をする際には前記揺動リンクが前記第2の水平軸を中心にして回動することなく前記リンク機構支持体と一緒に前記揺動リンクが上下方向に動くことを許容し、しかも前記スピンドルの動きと無関係に前記第2の揺動アーム部を前記第2の水平軸を中心にして回動させるリンク変位機構とからなり、
    更に前記リンク機構支持体の前記上下方向への動きは許容するが前記延長軸部材を中心にした回動運動を阻止するように前記リンク機構支持体をガイドするリンク機構支持体ガイド機構を備えていることを特徴とする巻線機。
  3. 前記運動変換機構は、前記スライド部材に設けられたカム面を備えた第1のカムと、前記第2のアームに設けられて前記第1のカムのカム面上を従動する第1の従動ローラと、前記第1の従動ローラを常時前記第1のカムのカム面に押し付ける押し付け力を発生する第1のバネ部材とを具備し、
    前記第1のカムの前記カム面は前記ノズルホルダ取付構造部に近づくに従って前記延長軸部材に近づくように傾斜した傾斜面を備えており、
    前記リンク変位機構は、前記第1のカムと前記ノズルホルダ取付構造部との間に前記第1のカムを備えた前記スライド部材を前記リンク機構支持体側に向かって常時付勢する第2のバネ部材と、
    前記揺動リンクの前記第2の揺動アーム部に固定された第2の従動ローラと、前記スピンドルの軸線と平行に延び且つ前記スピンドルが上下方向に動く範囲において常時前記第2の従動ローラが従動するカム面を備えた第2のカムと、
    前記スライド部材を上方に変位させるときには、前記第2のカムを前記スピンドルの前記軸線に近付ける方向に変位させ、前記スライド部材を下方に変位させるときには、前記第2のカムを前記スピンドルの前記軸線から離す方向に変位させるカム移動機構とからなる請求項2に記載の巻線機。
  4. 前記第1のカムは前記中心に前記延長軸部材が貫通する貫通孔を有し、前記ノズルホルダ取付構造部に近づくに従って径寸法が小さくなる切頭円錐体からなる請求項3に記載の巻線機。
  5. 前記第1の揺動アーム部と前記スライド部材とを係合させる係合構造は、
    前記延長軸部材の軸線を中心にして前記スライド部材に形成され径方向外側に向かって開口する環状の溝と、
    前記第1の揺動アーム部に取付けられて前記環状の溝の内部に移動自在に嵌合され、前記環状の溝を囲む壁面と接触して前記スライド部材と係合する係合部材とから構成されている請求項2または3に記載の巻線機。
  6. 前記第1の揺動アーム部は、前記軸線方向と直交する方向から前記スライド部材を間に挟むように二又に分かれた一対の腕部分を有し、前記係合部材は前記一対の腕部分にそれぞれ回動自在に固定されて前記環状の溝を囲む前記壁面上を回転する一対の回転ローラから構成されている請求項5に記載の巻線機。
  7. 前記リンク機構支持体ガイド機構は、前記スピンドルを間に挟む位置に配置され前記スピンドルの軸線と平行に延びる一対のガイドレールと、前記リンク機構支持体にぞれぞれ取付けられて、対応する前記ガイドレールを間に挟み且つ前記軸線方向と直交する方向に位置して前記軸線方向に延びる前記ガイドレールの一対の側面上を回転する一対の側面回転ローラから構成された一対のガイドレール挟持機構とからなる請求項1または2に記載の巻線機。
  8. 前記リンク機構支持体には、前記ガイドレールの前記一対の回転ローラが接触する前記一対の側面をつないで前記軸線方向に延びる端面上を回転する端面回転ローラが、前記一対のガイドレールに対して少なくとも1つずつ取付けられている請求項7に記載の巻線機。
  9. 前記リンク機構支持体は、前記水平方向に延びる取付プレートを有しており、前記ガイドレール挟持機構と前記端面回転ローラとは前記取付プレートを間にして前記取付プレートの上面と下面とにそれぞれ取付けられている請求項8に記載の巻線機。
JP2001014994A 2001-01-23 2001-01-23 巻線機 Expired - Fee Related JP3578717B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001014994A JP3578717B2 (ja) 2001-01-23 2001-01-23 巻線機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001014994A JP3578717B2 (ja) 2001-01-23 2001-01-23 巻線機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002218719A JP2002218719A (ja) 2002-08-02
JP3578717B2 true JP3578717B2 (ja) 2004-10-20

Family

ID=18881614

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001014994A Expired - Fee Related JP3578717B2 (ja) 2001-01-23 2001-01-23 巻線機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3578717B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5530243B2 (ja) * 2010-04-26 2014-06-25 日特エンジニアリング株式会社 線材の巻線装置
CN104269982A (zh) * 2014-10-08 2015-01-07 北京曙光航空电气有限责任公司 一种可调线圈周长的电机线圈绕线模
CN106200351B (zh) * 2016-08-31 2018-09-11 苏州天诚创达电子有限公司 一种钟表用线圈绕线装置
CN106200350B (zh) * 2016-08-31 2018-09-11 苏州天诚创达电子有限公司 一种线圈绕线机构
CN108806970B (zh) * 2018-08-10 2023-09-22 山东中际智能装备有限公司 绕线模同心绕线自动转换装置
CN113708584B (zh) * 2021-09-16 2022-09-06 杭州合慧智能装备有限公司 一种电机定子针绕机定子夹紧机构

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002218719A (ja) 2002-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100904940B1 (ko) 기어조립체
JP5116561B2 (ja) 刺繍ミシンの布押え部材駆動転換構造
CN103453095A (zh) 旋转致动器
JP2001341039A (ja) クランプ装置
JP3578717B2 (ja) 巻線機
JP4634575B2 (ja) カム装置
JPH01170347A (ja) 巻線機
WO2006108342A1 (fr) Came rainuree
JPH02129449A (ja) リニアアクチュエータ装置
CN218745751U (zh) 一种摆幅可调的高频摆动装置
JPH10151542A (ja) 工具交換機のフィンガ開閉機構
JP4267577B2 (ja) 回転・揺動変換機構
JP3159449B2 (ja) 固定支点,揺動力点,揺動作用点を有するてこ装置およびこれを用いた機械装置
JP2909430B2 (ja) 振動加工装置
JP3354462B2 (ja) 巻線機
JPH01306119A (ja) 揺動する工具の駆動装置
JP2000354915A (ja) ピックアンドプレース装置
JP2792666B2 (ja) モータ回転子の巻線装置
CN101298112A (zh) 用于x型枪的电驱动单元
CN211005922U (zh) 一种大扭力电磁面线夹持装置
CN217503792U (zh) 一种球形出风口翻转机构
US20120216733A1 (en) Travel beginning/end adjusting positioning structure for a sewing machine motor drive mechanism
JP4236337B2 (ja) 電動ミラー装置
JP6844759B1 (ja) カム装置、及び部品の製造装置、軸受の製造装置、並びに部品の製造方法及び機械の製造方法、カム装置の小型化方法
JP4204816B2 (ja) テーブル駆動装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040330

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040527

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040622

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040713

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees