JP3577775B2 - 4,5−ジハロアニリン誘導体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、4,5−ジハロ−アニリン誘導体及びその製造方法、更に詳しくはは3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒド、3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類およびそれらの製法に関する。
前述の3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒド、3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類は、例えばWO94/19345号公報に記載されたような抗アレルギ−剤を合成する際に中間体として有用である。
【0002】
本発明の目的化合物の1つである3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類は、例えば、参考例に記載された方法に準じてp−トルエンスルホン酸の存在下、ピルビン酸アルキルエステルと反応させて縮合を行うことにより6−フルオロ−7−クロロキノリン−2−カルボン酸エステルに誘導され、更に水素化ホウ素ナトリウムと反応させて、6−フルオロ−7−クロロ−2−キナルジンメタノ−ルに誘導でき、
【0003】
WO94/19345号公報に記載された方法に準じて、抗アレルギ−活性を持つキノリン誘導体を得ることができる。
【0004】
本発明の目的化合物の1つである3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドは、例えば、参考例に記載された方法に準じて酢酸の存在下、ピルビン酸アルキルエステルと反応させて縮合を行うことにより6−フルオロ−7−クロロキノリン−2−カルボン酸エステルに誘導され、更に水素化ホウ素ナトリウムと反応させて、6−フルオロ−7−クロロ−2−キナルジンメタノ−ルに誘導でき、WO94/19345号公報に記載された方法に準じて、抗アレルギ−活性を持つキノリン誘導体を得ることができる。
【0005】
【従来技術】
一般にキノリン環の形成方法としては、以下に示すような方法がある。
▲1▼.ケミカル レビュ−ス(Chemical Reviews、第35巻、153頁、1944年)には、アニリン類と不飽和アルデヒド類とを反応させるDoebner−Miller反応が記載されている。WO94/19345号公報記載の製造方法も本方法である。しかし、この方法はベンゼン環に置換基がある場合、環化の方向が2通りあるため選択性が悪く、また酸化反応を伴うので還元化合物の副生が否めなく通常収率が極めて低いという点で問題があった。
▲2▼.オルガニック リアクションズ(Organic reactions,第7巻、80頁、1953年)には、アニリン類とグリセリン類とを反応させるSkraup反応が記載されている。しかし、この方法は収率が極めて低いという点で問題があった。
【0006】
▲3▼.ヘテロサイクリック コンパウンズス、(R.C,Elderfield編、Heterocyclic Compounds、第4巻、47頁、1952年)には、イサチン類とケトン類とを反応させるPfitzinger反応が記載されている。しかし、この方法は4位が無置換のキノリン化合物に適用するには、4位のカルボキシル基を脱炭酸させる必要があり、2位、4位にカルボキシル基を持つキノリン化合物に適用するには、4位のカルボキシル基のみを選択的に脱炭酸させることが困難であるという点で問題があった。
▲4▼.ヘテロサイクリック コンパウンズス(R.C.Elderfield編、Heterocyclic Compounds、第4巻、60頁、1952年)には、2−アシルアミノアセトフェノン類を環化させるCamp反応が記載されている。しかし、この方法は、キノリン環の4位にヒドロキシル基が残留し、4位無置換キノリン類の製法としては採用できない。
【0007】
▲5▼.ヘテロサイクリック コンパウンズス(R.C.Elderfield編、Heterocyclic Compounds、第5巻、331頁、1957年)には、アントラニル酸類とケトン類とを反応させるNiementowski反応が記載されている。しかし、この方法は、キノリン環の4位にヒドロキシル基が残留し、4位無置換キノリン類の製法としては採用できない。
従って、公知の▲1▼〜▲5▼のいずれもが、4位に置換基を持たず、2位に官能基を持つキノリン類を製造する場合の工業的製法としては不満があった。
【0008】
本発明者らは、前記公知の製法における問題点を解決すべく、例えばオルガニック リアクションズ(Organic reactions,第28巻、37頁、1982年)に記載されているo−アミノベンズアルデヒド類とケトン類とを反応させてキノリン環を形成させるFriedlander反応(Friedlander中のaはaウムラウトを表す。以下同様である。)を用いることにより、特定の位置に塩素、フッ素を有するキノリン環を効率よく形成させることができるのではないかと着想し、Friedlander反応に用いる前駆体について鋭意検討した。
【0009】
その検討過程において、同一分子内に、ニトロ基、ハロゲン原子およびアルデヒド基またはアセタ−ル基のような、接触還元反応に反応し易い官能基を有する芳香族化合物のニトロ基のみを還元する反応が、キノリン環形成反応にFriedlander反応を用いるために必要になった。
【0010】
従来のニトロ基とアルデヒド基を有する化合物の接触水素還元によりアミノアルデヒド得る方法は少ないながらも報告されており、また芳香族ニトロアルデヒドの選択的還元には以下のような方法がある。
【0011】
▲1▼.ジャ−ナル オブ メディシナル ケミストリ−(Journal ofMedicinal Chemistry、第29巻、2354頁、1986年)には、無置換芳香族ニトロアルデヒドの塩化スズにより還元する方法が記載されている。しかし、この方法は、触媒反応ではなく量論反応であり、使用触媒はスズ触媒である点で本発明の製法とは異なり、また反応に使用化合物の濃度が低く、収率も低い点で問題があった。
▲2▼.ジャ−ナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリ−(Journalof Heterocyclic Chemistry、第29巻、1859頁、1992年)には、フッ素原子、塩素原子で置換されている芳香族ニトロアルデヒドのナトリウムジチオナイトにより還元する方法が記載されている。しかし、この方法は、触媒反応ではなく量論反応である点で本発明の製法とは異なり、また反応に使用化合物の濃度が極めて低く、収率も極めて低い点で問題があった。
【0012】
▲3▼.ジャ−ナル オブ メディシナル ケミストリ−(Journal ofMedicinal Chemistry、第30巻、1774頁、1987年)には、無置換芳香族ニトロアルデヒドの硫酸鉄により還元する方法が記載されている。しかし、この方法は、触媒反応ではなく量論反応であり、使用触媒は鉄触媒である点で本発明の製法とは異なり、また反応に使用化合物の濃度が低く、収率も低い点で問題があった。
▲4▼.ケミストリ− レタ−ズ(Chemistry Letters、361頁、1988年)には、無置換芳香族ニトロアルデヒドのFe3 (OAc)6 (Py)6 により還元する方法が記載されている。しかし、この方法は、触媒反応ではなく量論反応であり、使用触媒は鉄触媒である点で本発明の製法とは異なり、また反応に使用化合物の濃度が低く、収率も低い点で問題があった。
【0013】
▲5▼. 特開昭62−238250号公報には、無置換芳香族ニトロアルデヒドを、シアナミドまたはジシアンジアミドなどで被毒したラネ−ニッケルにより還元する方法が記載されている。しかし、この方法は、ハロゲン置換の芳香族ニトロアルデヒドについては、収率が記載されてなく、またアルデヒドとニトロ基がメタ位、パラ位の位置関係にある芳香族ニトロアルデヒドは記載されているが、オルトの位置関係にある化合物は記載されてない。
▲6▼.特開平2−72159号公報には、ハロゲン置換芳香族ニトロアセタ−ルを、触媒としてラネ−ニッケルなどの存在下、接触還元させてハロゲン置換芳香族アミノアセタ−ルを生成させる反応が記載されている。しかし、この公報の明細書には、アセタ−ル基とニトロ基との芳香族環上の位置関係が、パラ位にある化合物のみ記載されており、オルト位およびメタ位の位置関係にある化合物の記載はない。
また、この公報の明細書には、触媒としてニッケル、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびレニウムが記載されているが、実施例はラネ−ニッケルのみが記載されているにすぎない。
本発明者らは、本願化合物を、炭素を担体とするパラジウム、ルテニウム触媒の存在下、接触還元させたが、3,4−ジハロ−6−アミノベンズアルデヒド又は3,4−ジハロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類はほとんど得られないか、低収率であった。
【0014】
▲7▼.ジャ−ナル オブ アメリカン ケミカル ソサイティ−(Journal of American Chemical Society、第87巻、2767頁、1965年)には、ジハロゲン化ニトロベンゼンを白金硫黄炭素によるにより還元する方法が記載されている。しかし、この方法は、ハロゲン含有芳香族ニトロ化合物にのみ適用されており、化合物の分子内に容易に還元されるアルデヒド基もしくはアセタ−ル基を、ハロゲン原子とニトロ基を同時に持つ化合物には言及されていない。
【0015】
従って、公知の製法▲1▼〜▲7▼のいずれもが、本発明の製法のような4,5−ジハロアニリン誘導体を得る工業的方法としては不満があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明者らは、前記公知のキノリン環の製法における問題点を解決すべく、前記のFriedlander反応を用いることにより、特定の位置に塩素、フッ素を有するキノリン環を効率よく形成させることができるのではないかと着想し、Friedlander反応に用いる前駆体について鋭意検討した結果、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドアセタ−ル類から出発する場合、3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類を経由することによりキノリン環を高収率で得ることができることを見出した。
また、3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類を含む3、4−ジクロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類を高収率で得ることができる製造方法も見出した。
【0018】
本発明は、キノリン環の特定の位置に塩素、フッ素を有するキノリン環合成を、選択性に優れたFriedlander反応を用いて行うための前駆体およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
本発明の第1の発明は、式(I)
【0020】
【化5】
【0021】
で表される3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドに関し、
本発明の第2の発明は、一般式(1)
【0022】
【化6】
【0023】
(式中、R1 、R2 は互いに結合していてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)で表される3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類に関し、
【0024】
本発明の第3の発明は、一般式(2)
【0025】
【化7】
【0026】
〔式中、Yはホルミル基、−CH(OR1 )(OR2 )で示されるアセタ−ル基を示し(R1 、R2 は前記と同じ意味を示す。)、X1 、X2 は互いに独立してハロゲン原子を示す。〕で表される4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体を、白金含有触媒またはルテニウム含有触媒で、有機溶媒中、加圧下、接触水素還元することを特徴とする4,5−ジハロアニリン誘導体の製造方法に関し、
【0027】
本発明の第4の発明は、4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体が3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドである請求項1に記載の3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドの製造方法に関し、
【0028】
本発明の第5の発明は、4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体が、
一般式(3)
【0029】
【化8】
【0030】
(式中、R1 、R2 は前記と同じ意味を示す。)で表される3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドアセタ−ル類である特許請求の範囲第2項に記載の3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類の製造方法に関し、
【0031】
本発明の第6の発明は、触媒が、白金硫黄炭素である請求項3に記載の製造方法に関し、
【0032】
本発明の第7の発明は、触媒が、ルテニウム−アルミナ触媒である請求項3に記載の製造方法に関し、
【0033】
本発明の第8の発明は、有機溶媒が酢酸の炭素原子数1〜4のアルキルエステルである請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7に記載の製造方法に関し、
【0034】
本発明の第9の発明は、反応系に合成ゼオライトを添加する、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8に記載の製造方法に関する。
【0035】
本発明の目的化合物である4,5−ジハロアニリン誘導体の一つは、式(I)で表される3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒド〔以下化合物(1)ともいう〕である。
【0036】
本発明の目的化合物である4,5−ジハロアニリン誘導体のもう一つは、一般式(1)で表される3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類〔以下化合物(2)ともいう〕における、R1 、R2 は互いに結合していてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、
互いに結合していない場合には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(異性体を含む)、ブチル基(異性体を含む)のようなアルキル基を挙げることができ、特にメチル基、エチル基が好ましく、
互いに結合してしている場合には、R1 、R2 は一緒になって、例えばエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基のようなポリメチレン基を構成することができ、特にエチレン基を構成することが好ましい。
【0037】
本発明の目的化合物である4,5−ジハロアニリン誘導体のもう一つの目的化合物である、一般式(1)で表される3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類の化合物としては、例えば
3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、
3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、
3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドジプロピルアセタ−ル、
3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドジブチルアセタ−ル、
3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル、
3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドトリメチレンアセタ−ル、
2−(3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノフェニル)−4−メチル−1,3−ジオキソラン(異性体を含む)、
2−(3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ジオキシソラン、
2−(3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノフェニル)−4,5−ジメチル−1,3−ジオキシソラン(異性体を含む)、
を挙げることができ、
3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、
3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、
3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル、
が好ましい。
【0038】
前記の4,5−ジハロアニリン誘導体は、例えば反応式(1)
【0039】
【化9】
【0040】
で表される反応により製造される。
反応式(1)で表される反応は、一般式(2)で表される4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体を、白金含有触媒またはルテニウム含有触媒で、有機溶媒中、加圧下、接触水素還元させることにより4,5−ジハロアニリン誘導体を生成させる反応である。
【0041】
本発明の製法において原料化合物として使用される、一般式(2)で表される4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体の表すYは、アルデヒド基または−CH(OR1 )(OR2 )で示されるアセタ−ル基を示し、該アセタ−ル基の示すR1 、R2 は前記のR1 、R2 を示す。
【0042】
本発明の製法において原料化合物として使用される、一般式(2)で表される4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体の表すX1 、X2 は、互いに独立してハロゲン原子を示し、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
【0043】
本発明の製法において原料化合物として使用される、一般式(2)で表される4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体としては、
Yがアルデヒド基を示す場合には、前記のX1 、X2 を持つ化合物であり、例えば3,4−ジフルオロ−6−ニトロベンズアルデヒド、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒド、3,4−ジブロモ−6−ニトロベンズアルデヒド、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒド、3−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロベンズアルデヒド、3−フルオロ−4−ブロモ−6−ニトロベンズアルデヒドなどの3,4−ジハロニトロベンズアルデヒドを挙げることができ、3,4−ジフルオロ−6−ニトロベンズアルデヒド、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒド、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒド、3−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドが好ましく、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒド、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドがさらに好ましい。
【0044】
本発明の製法において原料化合物として使用される、一般式(2)で表される4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体は、Yがアルデヒド基を示す場合には、例えば、参考例に記載された方法に準じて、3−フルオロ−4−クロロベンズアルデヒドと濃硫酸および発煙硝酸よりなる混酸とを反応させて3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドに誘導することができる。
【0045】
本発明の製法において原料化合物として使用される、一般式(2)で表される4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体としては、Yが−CH(OR1 )(OR2 )で示されるアセタ−ル基を示す場合、前記のR1 、R2 、X1 、X2 を持つ化合物であり、例えば3,4−ジフルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3,4−ジフルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、3,4−ジフルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル、3,4−ジフルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドジトリメチレンアセタ−ル、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドトリメチレンアセタ−ル、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドトリメチレンアセタ−ル、3−フルオロ−4−ブロモ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3−フルオロ−4−ブロモ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、3−フルオロ−4−ブロモ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル、3−フルオロ−4−ブロモ−6−ニトロベンズアルデヒドトリメチレンアセタ−ル、3−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、3−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル、3−フルオロ−4−ブロモ−6−ニトロベンズアルデヒドトリメチレンアセタ−ル、2−(3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノフェニル)−4−メチル−1,3−ジオキソラン(異性体を含む)、
2−(3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ジオキシソラン、
2−(3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノフェニル)−4,5−ジメチル−1,3−ジオキシソラン(異性体を含む)、
などの3,4−ジハロ−6−ニトロベンズアルデヒドアセタ−ル類を挙げることができ、
【0046】
3,4−ジフルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3,4−ジフルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、3,4−ジフルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドトリメチレンアセタ−ル、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、3−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、3−クロロ−4−フルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ルが好ましく、
【0047】
3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ル、3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジメチルアセタ−ル、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジエチルアセタ−ルがさらに好ましい。
【0048】
本発明の製法において原料化合物として使用される、一般式(2)で表される4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体は、Yが−CH(OR1 )(OR2 )で示されるアセタ−ル基を示す場合には、例えば、参考例に記載された方法に準じて、前記の3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドと脂肪族アルコ−ル、脂肪族ジオ−ルまたはトリアルキルオルソ酸エステルとを、酸触媒の存在下、反応させることにより3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドアルキレンアセタ−ル又は3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドジアルキレンアセタ−ルに誘導できる。
【0049】
本発明の製法において使用される触媒としては、通常白金またはルテニウムを含有する触媒が好ましく用いられる。
白金を含有する触媒としては、白金硫黄触媒(Platinum on sulfied carbon)が好ましく、ルテニウムを含有する触媒としては、ルテニウム−アルミナ触媒が好ましい。
なお、白金硫黄触媒、ルテニウム−アルミナ触媒は、試薬として販売されており、入手は容易である。
【0050】
前記白金またはルテニウム含有触媒における、白金またはルテニウム金属の担持量は、通常担体に対して0.1〜20重量%の割合になる量であり、1〜10重量%の割合になる量が好ましい。
触媒としての使用量は、通常、前記4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体に対して1〜100重量%の割合になる量であり、2〜80重量%になる量が好ましい。
【0051】
本発明の製法における水素圧は、通常1〜50気圧の範囲で用いられ、圧力が高いほど反応速度も速い傾向にあるが、工業的には1〜30気圧の範囲で十分な反応速度が得られる。
本発明の製法における反応温度は、使用する4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体によって異なるが、通常0〜150℃の範囲であり、10〜100℃の範囲が好ましい。
【0052】
本発明の製法において用いられる有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチルのような、酢酸の炭素原子数1〜4の直鎖又は分枝状のアルキル基とのエステルが好ましく、酢酸エチルが好ましい。
本発明の製法において用いられる有機溶媒の使用量は、4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体に対して、通常等量〜50倍量(容量/重量)の割合になる量であり、2〜20倍量(容量/重量)の割合になる量が好ましい。
【0053】
本発明の製法において用いられる有機溶媒として、従来接触還元反応によく使用されるアルコ−ル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エ−テル系溶媒を用いた場合、本反応は進行するが、選択性が極めて悪く、多くの副生物が生じる。
【0054】
本発明の製法において、脱水剤としてモレキュラ−シ−ブス(合成ゼオライト)を反応系に添加することにより、副生物の生成を抑制することができる。
本発明の製法におけるモレキュラ−シ−ブスの添加量は、4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体1gに対して、通常0.1〜3gの割合になる量でよい。モレキュラ−シ−ブスの使用する規格としては、4A,3Aなどが使用可能であり、使用する形態としては、粉末でも粒状でも使用可能であるが、攪拌操作上、粉末のモレキュラ−シ−ブスであることが好ましい。
【0055】
本発明の製法における反応時間は、使用する水素圧、反応温度によって大きく異なるが、通常1〜50時間で行われる。
【0056】
本発明の製法において、生成した4,5−ジハロアニリン誘導体を含む反応混合液から該化合物を得る方法は、通常の抽出操作、洗浄操作、分離操作を組み合わせて行えばよく、例えば、反応混合液に有機溶媒を添加して溶媒抽出を行い、さらに希アルカリ水溶液で洗浄した後に、減圧濃縮を行って粗精製物を得て、この粗精製物を通常の、蒸留、再結晶等の操作により生成物を得ることが好ましい。
【0057】
【発明の効果】
本発明の目的化合物である、3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒド、3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドアセタ−ル類を用いれば、従来の製造方法に比べると、高収率でキノリン類を得ることができる製造方法を用いることができる。本発明の製法を用いれば、4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体より4,5−ジハロアニリン誘導体を、選択性よく、高収率で得ることができる。
【0058】
【実施例】
以下に実施例および参考例を示す。
【0059】
実施例1
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル4.0g(16.2ミリモル)を酢酸エチル40ミリリットルに溶解し、得られた酢酸エチル溶液に5%ルテニウム−アルミナ0.8gと粉末モレキュラ−シ−ブス4A 5.0gとを加え、20気圧の水素雰囲気下で、80℃に保ちながら5時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過し、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグム(アルミナ、活性度 1;溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)に付して、3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル2.97g(13.6ミリモル)を得た(3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル基準の収率=84%)。HPLCで定量分析すると反応収率は95%であった。
【0060】
実施例2
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル3.0g(12.1ミリモル)を酢酸エチル30ミリリットルに溶解し、得られた酢酸エチル溶液に5%ルテニウム−アルミナ0.8gを加え、20気圧の水素雰囲気下で、80℃に保ちながらで5時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液1を濾過し、生成した3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ルを分離していない濾液を、60℃に加熱したp−トルエンスルホン酸230mg(1.2ミリモル)とピルビン酸メチル12.4g(121ミリモル)との混合溶液に、2.5時間で滴下した。滴下後、さらに60℃に保ったまま5時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液2を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30ミリリットルで洗浄した後、メタノ−ル30ミリリットルを加えた。生成した6−フルオロ−7−クロロキノリン−2−カルボン酸メチルを分離せずに、さらに水素化ホウ素ナトリウム4.0g(106ミリモル)を加えて、2時間攪拌して反応させた。
【0061】
得られた反応溶液3に水60ミリリットルを加えて分液し、水層を酢酸エチル40ミリリットルで抽出した。合わせた有機層に、2N−塩酸20ミリリットル、1N−塩酸水溶液10ミリリットルを加えて、2回抽出した。合わせた水層を5N−水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性とし、析出した6−フルオロ−7−クロロ−2−キナルジンメタノ−ルを1.13g(5.3ミリモル)を得た(3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル基準の収率=44%)。
【0062】
【0063】
実施例3
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒド4.0g(19.7ミリモル)を酢酸エチル72ミリリットルに溶解し得られた酢酸エチル溶液に、5%白金硫黄炭素0.72gを加え、4気圧の水素雰囲気下で、5時間攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過後、減圧濃縮して3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒド3.34g(純度95%、3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドとして18.3ミリモル)を得た(3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒド基準の収率=93%)。
【0064】
実施例4
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル0.50g(2.0ミリモル)を酢酸エチル10ミリリットルに溶解し、得られた酢酸エチル溶液に5%ルテニウム−アルミナ0.1gを加え、20気圧の水素雰囲気下で、50℃に保ちながらで4時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過後、HPLCで定量分析すると、3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル0.38g(1.75ミリモル)を含む酢酸エチル溶液が得られたことがわかった(3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル基準の反応収率=88%)。
【0065】
実施例5
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル0.50g(2.0ミリモル)と炭酸ナトリウム0.10gとをメタノ−ル10ミリリットルに懸濁した、得られた懸濁液に5%ルテニウム−アルミナ0.10gを加え、20気圧の水素雰囲気下で、50℃に保ちながら5時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過後、濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(C−200、溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)に付して3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル0.31g(1.4ミリモル)を得た(3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル基準の収率=70%)。
【0066】
実施例6
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル4.0g(16.2ミリモル)、粉末モレキュラ−シ−ブス 4A 5.0gと5%ルテニウム−アルミナ0.80gとを酢酸エチル40ミリリットルに懸濁し、得られた懸濁液を、4気圧の水素雰囲気下で、80℃に保ちながら15時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過後、HPLCで定量分析すると3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル3.36g(15.5ミリモル)を含む酢酸エチル溶液が得られたことがわかった(3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル基準の反応収率=95.7%)。
【0067】
実施例7
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル2.0g(8.1ミリモル)、5%白金硫黄炭素0.32gとを酢酸エチル20ミリリットルに懸濁し、得られた懸濁液を、4気圧の水素雰囲気下で、40℃に保ちながら6時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過後、HPLCで定量分析すると3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル0.76g(3.5ミリモル)を含む酢酸エチル溶液が得られたことがわかった(3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル基準の反応収率=43%)。
【0068】
実施例8
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒド0.50g(2.5ミリモル)と5%ルテニウム−アルミナ50mgとをメタノ−ル5ミリリットルに懸濁し、得られた懸濁液を、20気圧の水素雰囲気下で、70℃に保ちながら5時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過し、HPLCで定量分析すると3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒド0.33g(1.9ミリモル)を含むメタノ−ル溶液が得られたことがわかった(3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒド基準の反応収率=77%)。
【0069】
実施例9
3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル2.14g(8.14ミリモル)を酢酸エチル20ミリリットルに溶解し、得られた酢酸エチル溶液に5%ルテニウム−アルミナ0.40g,粉末モレキュラ−シ−ブス4A 2.5gを加え、20気圧の水素雰囲気下で、70℃に保ちながら5時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を、濾過し、減圧濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ−〔フロリジ−ル(商品名:和光純薬工業株式会社製)、溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1〕に付して、3,4−ジクロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル 1.51g(6.5ミリモル)を得た(3,4−ジクロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル基準の収率=80%)。 融点76〜78℃
【0070】
比較例1
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル0.50g(2.5ミリモル)、5%ルテニウム−炭素0.10gと炭酸ナトリウム0.10gとをメタノ−ル10ミリリットルに懸濁し、得られた懸濁液を、20気圧の水素雰囲気下で、80℃に保ちながら4時間加熱攪拌して反応させた。 得られた反応溶液を濾過し、HPLCで定量分析すると3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ルは全く認められなかった。主生成物は、4−クロロ−3−メトキシ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ルであった。
【0071】
比較例2
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル0.50g(2.5ミリモル)、5%パラジウム−炭素0.10gと炭酸ナトリウム0.20gとをメタノ−ル10ミリリットルに懸濁し、得られた懸濁液を、4気圧の水素雰囲気下で2時間攪拌し、次いで1気圧の水素雰囲気下で1時間攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を濾過し、HPLCで定量分析すると3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ルは全く認められなかった。主生成物は、3−フルオロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ルであった。
【0072】
比較例3
特開昭62−238250号公報の記載の方法に準じて、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル0.5g(2.0ミリモル)、ラネ−ニッケル20mgとジシアンジアミド20mgとをメチルエチルケトン6.5ミリリットルに懸濁し、得られた懸濁液を、4気圧の水素雰囲気下で1時間攪拌し、次いで60℃に昇温させた後、2時間攪拌して反応させたが、反応は進行しなかった。
更にラネ−ニッケル20mgを追加して、20気圧の水素雰囲気下で、60℃を保ったまま2時間攪拌して反応させたが、懸濁液を濾過し、HPLCで定量分析すると3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ルは全く認められず、反応はほとんど進行していなかった。
【0073】
比較例4
3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル0.50g(2.0ミリモル)と5%パラジウム−炭素0.10gとをメタノ−ル10ミリリットルに懸濁し、得られた懸濁液を、1気圧の水素雰囲気下で、5時間攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を、濾過後、HPLCで定量分析すると3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル91mg(0.42ミリモル)を含むメタノ−ル溶液が得られたことがわかった(3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル基準の反応収率=17%)。
【0074】
比較例5
特開平2−72159号公報の記載の方法に準じて、3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル1.31g(5.0ミリモル)とラネ−ニッケル200mgとをテトラヒドロフラン10ミリリットルに懸濁し、得られた懸濁液を、1気圧の水素雰囲気下で、50℃に昇温させて2.5時間攪拌して反応させたが、ほとんど反応は進行しなかった。
更に4気圧の水素雰囲気下で、50℃を保ったまま5.5時間攪拌して反応させた。(特開平2−72159号公報の記載の方法には、還元反応時間の記載がない。)
得られた反応懸濁液を、濾過後、HPLCで定量分析すると3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ルの転化率は80%であったが、目的物の3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒドエチレンアセタ−ルは10%の反応収率(3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル基準)であることがわかった。
【0075】
参考例1:
3−フルオロ−4−クロロベンズアルデヒド50.6gを〔フルオロケム社製(英国)〕濃硫酸40ミリリットルに懸濁し、得られた懸濁液に氷冷下、発煙硝酸(比重1.52)89.7gを、反応温度が10℃を越えない速度で滴下攪拌して反応させた。滴下終了後、さらに同温度に保ったまま、15分間攪拌して反応させた。
得られた反応混合物の液温を室温に戻した後、反応混合物を氷水500ミリリットル中に加え、トルエン300ミリリットル、トルエン200ミリリットルで2回抽出した。合わせた抽出有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300ミリリットルで3回洗浄した後、減圧濃縮して、黄色固体の3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒド57.1gを粗精製物として得た。本固体はガスクロマトグラフで測定すると、94.5%の純度があり、精製しなくても次工程の使用には問題がなかった。
該黄色固体10gを、トルエン5ミリリットルとヘキサン10ミリリットルとの混合溶液から再結晶を行って純度99.4%の3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒド8.2gを精製物として得た。
精製物の物性
【0076】
参考例2:
前記の参考例1で得られた粗精製3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒド30gをエチレングリコ−ル24.6ミリリットルに溶解して、得られたエチレングリコ−ル溶液にp−トルエンスルホン酸560mgを添加して、120℃に保ったまま12時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を室温まで冷却した後、1N−水酸化ナトリウム水溶液250ミリリットルを加え、トルエン300ミリリットル、トルエン150ミリリットルを加えて、2回抽出した。合わせた有機層を水100ミリリットルで3回洗浄した後、減圧濃縮し、得られた残渣をトルエン3.7ミリリットルとヘキサン110ミリリットルとの混合溶媒で再結晶して3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドエチレンアセタ−ル30gを得た。HPLC分析による純度は97%であった。
【0077】
参考例3
前記の実施例3で得られた3−フルオロ−4−クロロ−6−アミノベンズアルデヒド0.66gをピルビン酸メチル1.16gに懸濁し、得られた懸濁液に、酢酸5ミリモルを加えた後、110℃に昇温させ、同温度を保ったまま5時間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応溶液を室温(20℃)まで冷却し、酢酸エチル20ミリリットルを加えた後、0℃に冷却し、1N−水酸化ナトリウム水溶液85ミリモル、飽和炭酸水素ナトリウム30ミリリットルで洗浄した後、抽出した。得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧乾燥を行って6−フルオロ−7−クロロキノリン−2−カルボン酸メチル0.82gを得た。
【0078】
参考例4
ピルビン酸メチルの代わりにピルビン酸エチル1.32gを用いた他は参考例3と同様にして、6−フルオロ−7−クロロキノリン−2−カルボン酸エチル0.53gを得た。
【0079】
なお、本実施例などにおいて、使用した分析方法は下記に示す方法である。
1:高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析法
カラム:ODS−80TM 150mm x 4.6φ
カラム温度:40℃
溶離液:アセトニトリル:水:トリエチルアミン=500:500:1の溶液を酢酸でpH6.5に調整した液体。
検出器:UV 254nm
流速:1.0ミリリットル/min.
内部標準物質:ジフェニルエ−テル
【0080】
2:ガスクロマトグラフ(GC)分析法
カラム:OV−17 10% ユニポ−トHP
カラム長:1m
カラム温度:100〜230℃、5℃/min.昇温
注入部温度:230℃
検出部温度:230℃
検出器:FID
キャリア−ガス:窒素
Claims (9)
- 4,5−ジハロニトロベンゼン誘導体が3−フルオロ−4−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒドである請求項3に記載の製造方法。
- 触媒が、白金硫黄炭素である請求項3に記載の製造方法。
- 触媒が、ルテニウム−アルミナ触媒である請求項3に記載の製造方法。
- 有機溶媒が酢酸の炭素原子数1〜4のアルキルエステルである請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7に記載の製造方法。
- 反応系に合成ゼオライトを添加する、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8に記載の製造方法。
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