JP3576991B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真式のプリンタ、ファクシミリ、複写機等の記録装置においては、像担持体としての感光体ドラムを帯電ローラによって一様に、かつ、均一に帯電させ、感光体ドラム上に露光装置によって静電潜像を書き込み、該静電潜像を現像装置によって現像することによりトナー像を形成するようにしている。そして、該トナー像は、転写ローラによって用紙、フィルム等の記録媒体に転写され、定着装置によって定着される。
【0003】
ところで、前記定着装置によってトナー像を定着するための定着方式として、一般に、トナーを溶融させて記録媒体に付着させる加熱定着方式が用いられる。そして、該加熱定着方式のうち、熱効率が高く、安全であることから、熱ローラ方式が最も多く用いられる。
【0004】
該熱ローラ方式は、定着ローラ及び加圧ローラを圧接させ、圧接部分(以下「ニップ部」という。)で記録媒体を挟んで搬送するとともに、定着ローラを加熱することによって、未定着のトナーを加熱し、溶融させて定着するようにしている。
【0005】
図2は従来の定着装置の概略図である。
【0006】
図において、11は定着装置カバー、12は矢印方向に回転させられる第1のローラとしての定着ローラ、13は第2のローラとしての加圧ローラ13であり、前記定着ローラ12及び加圧ローラ13は、互いに圧接させられ、ニップ部で記録媒体16を挟んで搬送する。18は搬送部のメインフレームであり、該メインフレーム18の案内部18aに沿って前記記録媒体16が搬送される。
【0007】
前記定着ローラ12内には、ハロゲンランプ、セラミックヒータ等の熱源14が、軸方向に延在させられ、通電されて定着ローラ12を加熱する。その結果、記録媒体16がニップ部を通過する際に、記録媒体16上のトナー像を構成する未定着のトナー17が加熱され、溶融させられて記録媒体16に定着される。
【0008】
また、定着ローラ12の外周面に接触させて温度センサ15が配設され、該温度センサ15のセンサ出力が図示されない制御部に送られる。該制御部は、前記センサ出力を受けると、ニップ部の温度を定着に適した温度、すなわち、定着温度にすることができるように、熱源14に供給される電力量を制御する。
【0009】
なお、前記定着装置カバー11によって定着ローラ12が覆われ、メインフレーム18の包囲部18bにより加圧ローラ13が包囲される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の定着装置においては、定着ローラ12の軸方向における温度分布を均一にするのが困難になってしまう。例えば、用紙サイズの小さい記録媒体16に対して印刷を行う場合、ニップ部のうちの記録媒体16が通過する領域、すなわち、通紙部領域においては、トナー17を加熱し溶融させるために熱が消費されるだけでなく、トナー17を加熱し溶融させる際に記録媒体16が加熱され、それに伴って熱が消費される。
【0011】
これに対して、ニップ部のうちの記録媒体16が通過しない領域、すなわち、非通紙部領域においては、定着ローラ12と、記録媒体16及びトナー17とが接触しないので、熱が消費されず、定着ローラ12の熱が蓄積される。
【0012】
その結果、非通紙部領域の温度が通紙部領域の温度より高くなり、定着ローラ12の軸方向における温度分布を均一にするのが困難になってしまう。
【0013】
そして、定着ローラ12の軸方向における中央に前記温度センサ15が配設されている場合、温度センサ15は、記録媒体16及びトナー17によって熱が消費された部分(前記通紙部領域に対応する部分)の温度を検出するので、該温度に基づいて前記電力量を制御すると、定着ローラ12の軸方向における両端部の温度が異常に高くなってしまう。
【0014】
したがって、定着ローラ12の両端部を支持するために配設された図示されない軸受等が異常に加熱されてしまうことがあり、軸受等の耐久性が低くなったり、軸受等が破損したりしてしまう。
【0015】
また、用紙サイズの小さい記録媒体16に対して連続して印刷を行った直後に、用紙サイズの大きい記録媒体16に対して印刷を行う場合、定着ローラ12の軸方向における温度分布が均一でないので、記録媒体16に定着むら、しわ等が発生したり、記録媒体16の両端部において、未定着のトナー17が過度に加熱され、溶融させられて定着ローラ12に付着し、記録媒体16の表面を汚したり(ホットオフセット)してしまう。
【0016】
そこで、前記温度センサ15を定着ローラ12の端部(最大の用紙サイズに対応する非通紙部領域の端部)に配設することが考えられるが、用紙サイズの小さい記録媒体16に対して連続して印刷を行う場合、温度センサ15は、熱が消費されない部分(前記非通紙部領域に対応する部分)の温度を検出するので、該温度に基づいて前記電力量を制御すると、通紙部領域の温度が低くなり、トナー像を記録媒体16に十分に定着することができなくなってしまう。
【0017】
本発明は、前記従来の定着装置の問題点を解決して、第1のローラの軸方向における温度分布を均一にすることができる定着装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の定着装置においては、熱源によって加熱される第1のローラ、及び該第1のローラと対向させて配設された第2のローラを備え、前記第1、第2のローラ間に記録媒体を挟んで、該記録媒体上の画像を定着するようになっている。
そして、前記記録媒体の搬送方向における前記第1、第2のローラ間に形成されるニップ部より下流側で、かつ、前記記録媒体の通過面を挟んで前記第1のローラと反対側に位置し、該第1のローラの近傍に、第1のローラの軸方向に沿って形成された通気口と、前記第1のローラの近傍の空気を前記通気口を介して吸引する通気手段とを有する。
また、前記通気口は、前記記録媒体が前記第1、第2のローラ間を通過するのに伴い、前記記録媒体によって一部が遮断される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、電子写真式のプリンタ、ファクシミリ、複写機等の記録装置のうちのプリンタに適用した例について説明する。
【0020】
図1は本発明の第1の実施の形態における定着装置の概略図、図3は本発明の第1の実施の形態における定着装置の要部を示す斜視図、図4は本発明の第1の実施の形態における定着装置の要部を示す平面図である。
【0021】
図において、11は定着装置カバー、12は矢印A方向に回転させられる第1のローラとしての定着ローラ、13は第2のローラとしての加圧ローラであり、該加圧ローラ13は図示されない付勢手段としてのスプリングによって定着ローラ12に圧接させられ、該定着ローラ12と加圧ローラ13との間に形成されるニップ部によって用紙、フィルム等の記録媒体16を挟んで矢印B方向に搬送する。18は搬送部のメインフレームであり、該メインフレーム18の案内部18aに沿って前記記録媒体16が搬送される。
【0022】
なお、プリンタは、像担持体としての図示されない感光体ドラム、帯電手段としての図示されない帯電ローラ、露光手段としての図示されない露光装置、現像手段としての図示されない現像装置、転写手段としての図示されない転写ローラ等から成るドラムユニット、及び定着手段としての定着装置を備える。そして、前記感光体ドラムを帯電装置によって一様に、かつ、均一に帯電させ、前記感光体ドラム上に露光装置によって静電潜像を書き込み、該静電潜像を現像装置によって現像してトナー像を形成するようにしている。そして、該トナー像は、転写ローラによって記録媒体16に転写され、定着装置によって定着される。
【0023】
前記定着ローラ12内には、ハロゲンランプ、セラミックヒータ等の熱源14が、軸方向に延在させられ、通電されて定着ローラ12を加熱する。その結果、記録媒体16がニップ部を通過する際に、記録媒体16上のトナー像を構成する未定着のトナー17が加熱され、溶融させられて定着される。
【0024】
また、定着ローラ12の外周面に接触させて温度センサ15が配設され、該温度センサ15のセンサ出力が図示されない制御部に送られる。該制御部は、前記センサ出力を受けると、ニップ部の温度を定着温度にすることができるように、熱源14に供給される電力量を制御する。
【0025】
そして、前記案内部18aは、前記記録媒体16の搬送方向における前記ニップ部より上流側及び下流側に延在させて形成されるが、下流側の案内部18aにおける定着ローラ12の直近において、前記ニップ部に隣接させて、定着ローラ12の軸方向に沿って一つ以上の、本実施の形態においては複数の、矩(く)形の形状を有する通気部としての通気口19が形成される。なお、矩形の形状を有する通気口19に代えて、定着ローラ12の軸方向に沿って通気部としての細いスリットを形成することもできる。なお、前記通気口19を上流側の案内部18aに形成することもできる。
【0026】
また、前記定着装置カバー11は定着ローラ12を覆うように配設され、定着装置カバー11における定着ローラ12の直上には、定着ローラ12の軸方向に沿って、一つ以上の、本実施の形態においては複数の、矩形の形状を有する吸引口32が形成される。なお、矩形の形状を有する吸引口32に代えて、定着ローラ12の軸方向に沿って延在させて細いスリットを形成することもできる。
【0027】
そして、前記下流側の案内部18aの下方には、加圧ローラ13に隣接させて吸引室18cが案内部18aと一体に形成され、該吸引室18c内に、前記通気口19において空気を通過させる通気手段としての装置冷却用ファン20が配設される。該装置冷却用ファン20を駆動すると、定着装置の周囲の空気が、吸引口32を介して矢印C方向に定着装置カバー11内に吸引され、定着装置カバー11内において定着ローラ12の周囲の熱を奪い、通気口19を介して矢印D方向に吸引室18c内に吸引された後、定着装置外に矢印E方向に排出される。
【0028】
ところで、前記通気口19及び吸引口32の形状、寸法等、並びに装置冷却用ファン20を駆動したときの、通気口19における風量、すなわち、冷却風量は、装置冷却用ファン20を駆動することによって定着ローラ12から奪われる単位面積当たりの熱量と、用紙サイズが小さい記録媒体16に対して印刷を行うときに、記録媒体16及びトナー17によって消費され、定着ローラ12から奪われる単位面積当たりの熱量とが等しくなるように設定される。
【0029】
図5は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御部のブロック図である。
【0030】
図において、12は定着ローラ、15は温度センサ、21はプリンタの全体の制御を行うためのマイクロプロセッサ、すなわち、CPUであり、該CPU21は、プログラムROM22に記録された制御プログラムに従って、各種のデータが記録されているデータRAM23にアクセスすることによって各種の処理を行う。
【0031】
また、25は用紙入口センサ24のセンサ受回路であり、前記用紙入口センサ24からの信号を受けてCPU21に送る。また、27は書込開始センサ26のセンサ受回路であり、記録媒体16(図1)の前端を認識する記録媒体検出手段としての書込開始センサ26からの信号を受けてCPU21に送る。
【0032】
そして、28はLEDヘッド、29は該LEDヘッドを駆動するLEDヘッド駆動回路、30はエンジンインタフェース回路、31はエンジンインタフェース、35は前記熱源14を駆動するための熱源駆動回路、37はA/Dコンバータ36を備えた電源LSI、38は電源インタフェースである。また、39はドラムモータ駆動回路であり、該ドラムモータ駆動回路39は、CPU21の指示に基づいてドライブ信号を発生させ、該ドライブ信号をドラムモータ40に送ってドラムモータ40を駆動し、前記ドラムユニット及び定着ローラ12を作動させる。47は、CPU21の指示に基づいてドライブ信号を発生させ、該ドライブ信号を給紙モータ46に送って給紙モータ46を駆動し、図示されない給紙ローラを回転させる給紙モータ駆動回路、49は、CPU21の指示に基づいてドライブ信号を発生させ、該ドライブ信号をレジストモータ48に送ってレジストモータ48を駆動し、図示されないレジストローラを回転させるレジストモータ駆動回路、45はCPU21の指示に基づいてドライブ信号を発生させ、該ドライブ信号を装置冷却用ファン20に送って装置冷却用ファン20を駆動するファン駆動回路である。
【0033】
次に、前記構成の定着装置の動作について説明する。
【0034】
まず、プリンタの電源がオンにされ、プリンタが待機状態に置かれ、印刷を行っていない状態においては、通気口19は何ら遮られない。したがって、前記CPU21の図示されない冷却処理手段がファン駆動回路45を介して装置冷却用ファン20を駆動すると、定着装置の周囲の空気が、吸引口32を介して定着装置カバー11内に吸引され、定着装置カバー11内において定着ローラ12の周囲の熱を奪い、通気口19を介して吸引室18c内に吸引された後、排出される。この場合、前記通気口19は何ら遮られないので、定着装置カバー11内の空気は、すべての通気口19を介して吸引室18c内に取り込まれる。したがって、定着ローラ12は、軸方向において均一に冷却され、温度分布は軸方向において均一になる。
【0035】
また、プリンタが印刷を行っている状態においては、記録媒体16の前端(図1における右端)が通気口19に到達するまでは、プリンタが印刷を行っていない状態と同様に、前記通気口19は何ら遮られない。したがって、定着ローラ12は、軸方向において均一に冷却され、軸方向における温度分布は均一になる。
【0036】
続いて、記録媒体16が搬送されて、前端がニップ部に到達してから、後端(図1における左端)がニップ部を通過するまでの間、記録媒体16及びトナー17によって熱が消費され、定着ローラ12のニップ部における通紙部領域から熱が奪われる。このとき、記録媒体16の前端が通気口19に到達してから、記録媒体16の後端が通気口19を通過するまでの間(前端がニップ部に到達してから、後端がニップ部を通過するまでの間とほぼ等しい。)、記録媒体16の幅に対応する分だけ通気口19が遮られる。したがって、定着装置カバー11内の空気によって、定着ローラ12のニップ部における非通紙部領域から奪われる単位面積当たりの熱量は、通紙部領域において消費される単位面積当たりの熱量と等しい。
【0037】
図6は本発明の第1の実施の形態における装置冷却用ファンの動作を示すタイムチャートである。
【0038】
図において、f1は記録媒体16(図1)の前端が通気口19に到達してから、記録媒体16の後端が通気口19を通過するまでの間における通紙部領域の冷却風量、f2は記録媒体16の前端が通気口19に到達してから、記録媒体16の後端が通気口19を通過するまでの間における非通紙部領域の冷却風量である。
【0039】
図から分かるように、通紙時、すなわち、記録媒体16が通気口19を遮っている間、定着ローラ12の通紙部領域は、冷却風量が少なくなるのでほとんど冷却されず、非通紙部領域は、冷却風量が多くなるので、通紙部領域が冷却されない分だけ多く冷却される。
【0040】
したがって、記録媒体16が通気口19を遮っている間、定着ローラ12を効率よく冷却することができる。
【0041】
図7は軸方向における定着ローラの温度分布を示す図である。なお、図において、横軸に定着ローラ12(図1)の軸方向の位置を、縦軸に定着ローラ12の表面温度を採ってある。また、aは温度センサ15の位置を示す。
【0042】
この場合、定着ローラ12の軸方向における端部(最大の用紙サイズの記録媒体16を使用したときの非通紙部領域の端部)に温度センサ15を配設し、連続して印刷を行ったときの、軸方向における定着ローラ12の温度分布が示される。記録媒体16に対して連続して印刷を行った場合、従来のプリンタにおいては、温度センサ15によって検出された温度に基づいて、非通紙部領域は定着温度T1に維持されるが、通紙部領域は定着温度T1より低い温度T2になる。一方、本実施の形態においては、温度センサ15によって検出された温度に基づいて、通紙部領域は定着温度T1に維持され、非通紙部領域は定着温度T1よりわずかに低い温度T3になる。
【0043】
このように、本実施の形態においては、定着装置カバー11内の空気によって定着ローラ12が冷却されるので、通紙部領域において消費される単位面積当たりの熱量と、非通紙部領域から奪われる単位面積当たりの熱量とが等しくなる。その結果、定着ローラ12の軸方向における温度分布を均一にすることができる。
【0044】
したがって、本実施の形態のように、温度センサ15を定着ローラ12の端部に配設した場合に、通紙部領域の温度が低くなるのを防止することができるので、トナー像を記録媒体16に十分に定着することができる。また、定着ローラ12の軸方向における中央に前記温度センサ15を配設した場合に、両端部の温度が異常に高くなるのを防止することができるので、定着ローラ12の両端部を支持するために配設された図示されない軸受等が異常に加熱されることがなくなり、軸受等の耐久性が低くなったり、軸受等が破損したりすることがなくなる。
【0045】
また、用紙サイズの小さい記録媒体16に対して連続して印刷を行った直後に、用紙サイズの大きい記録媒体16に対して印刷を行う場合でも、定着ローラ12の軸方向における温度分布が均一になるので、記録媒体16に定着むら、しわ等が発生することがなくなる。そして、記録媒体16の両端部において、未定着のトナー17が過度に加熱され、溶融させられることがなくなる。したがって、溶融させられたトナー17が定着ローラ12に付着することがなく、記録媒体16の表面を汚すことがなくなる。
【0046】
しかも、既存のプリンタの構成要素を使用することができ、新規に部品を追加する必要がなく、プリンタの制御方法を変更する必要もないので、定着装置のコストを低くすることができる。
【0047】
また、記録媒体16の幅をセンサ等によって検出する必要がないので、長方形の形状を有する記録媒体16だけでなく、穴が空いている記録媒体、長手方向において幅が不規則に変化する記録媒体等に対しても適用することができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。
【0049】
図8は本発明の第2の実施の形態における定着装置の概略図である。
【0050】
図において、51は像担持体としての感光体ドラム、52は記録媒体16にトナー像を転写する転写手段としての転写ローラであり、該転写ローラ52は感光体ドラム51に圧接させて配設され、感光体ドラム51と転写ローラ52との間に転写部が形成される。また、26は記録媒体16の搬送方向における前記転写部より上流側の所定の位置に配設された、記録媒体16の前端(図における右端)を検出する記録媒体検出手段としての書込開始センサであり、該書込開始センサ26は、通常オフにされ、記録媒体16の前端が到達するとオンになり、後端(図における左端)が通過するとオフになる。
【0051】
次に、通気手段としての装置冷却用ファン20の制御について説明する。
【0052】
図9は本発明の第2の実施の形態における定着装置の動作を示すタイムチャートである。
【0053】
まず、プリンタの電源がオンにされ、プリンタが待機状態に置かれ、印刷を行っていない状態においては、通気部としての通気口19(図8)は何ら遮られない。また、装置冷却用ファン20は駆動されない。
【0054】
また、プリンタが印刷を行っている状態においては、記録媒体16の前端が書込開始センサ26に到達すると、該書込開始センサ26はオンになり、CPU21(図5)はセンサ受回路27を介して記録媒体16の前端を検出する。そして、CPU21の図示されない冷却処理手段は、冷却処理を行い、記録媒体16の前端を検出するのに伴って、CPU21に内蔵された図示されないタイマ等を使用して計時を開始し、計時を開始してから時間τ1が経過すると、ファン駆動回路45を介して装置冷却用ファン20の駆動を開始する。なお、前記時間τ1は、記録媒体16の前端が、書込開始センサ26に到達してから通気口19に到達するまでの時間と等しくされるので、記録媒体16の前端が通気口19に到達するタイミングで装置冷却用ファン20の駆動が開始される。
【0055】
続いて、印刷が行われている間に、記録媒体16の後端が書込開始センサ26を通過すると、書込開始センサ26はオフになり、前記冷却処理手段はセンサ受回路27を介して記録媒体16の後端を検出する。そして、前記冷却処理手段は、記録媒体16の後端を検出するのに伴って、前記タイマ等を使用して計時を開始し、計時を開始してから時間τ2が経過すると、ファン駆動回路45を介して装置冷却用ファン20の駆動を停止させる。なお、前記時間τ2は、記録媒体16の後端が、書込開始センサ26を通過してから通気口19を通過するまでの時間と等しくされるので、記録媒体16の後端が通気口19を通過するタイミングで装置冷却用ファン20の駆動が停止される。
【0056】
このように、記録媒体16が通気口19を遮っている間だけ装置冷却用ファン20が駆動され、第1のローラとしての定着ローラ12が冷却される。
【0057】
なお、図において、f3は通紙部領域の冷却風量、f4は記録媒体16の前端が通気口19に到達してから、記録媒体16の後端が通気口19を通過するまでの間における非通紙部領域の冷却風量である。
【0058】
図から分かるように、定着ローラ12の通紙部領域はほとんど冷却されず、記録媒体16が通気口19を遮っている間、非通紙部領域は、通紙部領域が冷却されない分だけ多く冷却される。
【0059】
したがって、記録媒体16が通気口19を遮っている間だけ定着ローラ12を効率よく冷却することができる。
【0060】
図10は周方向における定着ローラの温度分布を示す図である。なお、図において、横軸に定着ローラ12(図8)の周方向の位置を、縦軸に定着ローラ12の表面温度を採ってある。また、aは温度センサ15の位置を、bは吸引口32の位置を示す。
【0061】
前記第1の実施の形態においては、プリンタが待機状態に置かれ、印刷を行っていない状態においても装置冷却用ファン20が駆動されるので、ラインL1で示されるように、吸引口32の位置の近傍からニップ部にかけて局部的に冷却されてしまうことがある。
【0062】
これに対して、本実施の形態においては、記録媒体16が通気口19を遮っている間だけ定着ローラ12が冷却されるので、ラインL2で示されるように、ニップ部から温度センサ15の位置及び吸引口32の位置を介してニップ部に至るまで、すなわち、定着ローラ12の周方向における全域にわたって表面温度を均一にすることができる。
【0063】
このように、本実施の形態においては、記録媒体16が通気口19を遮っている間だけ定着ローラ12が冷却されるので、軸方向だけでなく、周方向においても定着ローラ12の温度分布を均一にすることができる。
【0064】
したがって、温度センサ15を定着ローラ12の端部に配設した場合に、通紙部領域の温度が低くなるのを防止することができるので、トナー像を記録媒体16に十分に定着することができる。また、定着ローラ12の軸方向における中央に前記温度センサ15を配設した場合に、両端部の温度が異常に高くなるのを防止することができるので、定着ローラ12の両端部を支持するために配設された図示されない軸受等が異常に加熱されることがなくなり、軸受等の耐久性が低くなったり、軸受等が破損したりすることがなくなる。
【0065】
また、用紙サイズの小さい記録媒体16に対して連続して印刷を行った直後に、用紙サイズの大きい記録媒体16に対して印刷を行う場合でも、定着ローラ12の軸方向及び周方向における温度分布が均一になるので、記録媒体16に幅方向及び長手方向において定着むら、しわ等が発生することがなくなる。そして、記録媒体16の両端部において、未定着のトナー17が過度に加熱され、溶融させられることがなくなる。したがって、溶融させられたトナー17が定着ローラ12に付着することがなく、記録媒体16の表面を汚すことがなくなる。
【0066】
また、軸方向及び周方向において定着ローラ12の温度分布を均一にすることができるので、定着装置全体に歪(ひず)み等が発生するのを十分に防止することができる。したがって、定着装置の耐久性を向上させることができるとともに、コストを低くすることができる。
【0067】
さらに、記録媒体16が通気口19を遮っている間以外において、必要以上に定着ローラ12を冷却することがないので、電源がオンにされてから印刷が終了するまでの時間を短くすることができ、電力の消費を抑制することができる。
【0068】
前記各実施の形態においては、通気口19を介して空気を吸引することによって定着ローラ12を冷却するようにしているが、通気口19を介して空気を吹き出すことによって定着ローラ12を冷却することもできる。
【0069】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0070】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、定着装置においては、熱源によって加熱される第1のローラ、及び該第1のローラと対向させて配設された第2のローラを備え、前記第1、第2のローラ間に記録媒体を挟んで、該記録媒体上の画像を定着するようになっている。
そして、前記記録媒体の搬送方向における前記第1、第2のローラ間に形成されるニップ部より下流側で、かつ、前記記録媒体の通過面を挟んで前記第1のローラと反対側に位置し、該第1のローラの近傍に、第1のローラの軸方向に沿って形成された通気口と、前記第1のローラの近傍の空気を前記通気口を介して吸引する通気手段とを有する。
また、前記通気口は、前記記録媒体が前記第1、第2のローラ間を通過するのに伴い、前記記録媒体によって一部が遮断される。
【0071】
この場合、第1のローラの近傍に、第1のローラに沿って通気部が形成され、該通気部において空気が通過させられるので、該空気によって第1のローラが冷却され、通紙部領域において消費される単位面積当たりの熱量と、非通紙部領域から奪われる単位面積当たりの熱量とが等しくなる。したがって、第1のローラの軸方向における温度分布を均一にすることができる。
【0072】
そして、温度センサを第1のローラの端部に配設した場合に、通紙部領域の温度が低くなるのを防止することができるので、トナー像を記録媒体に十分に定着することができる。また、第1のローラの軸方向における中央に前記温度センサを配設した場合に、両端部の温度が異常に高くなるのを防止することができるので、第1のローラの両端部を支持するために配設された軸受等が異常に加熱されることがなくなり、軸受等の耐久性が低くなったり、軸受等が破損したりすることがなくなる。
【0073】
また、用紙サイズの小さい記録媒体に対して連続して印刷を行った直後に、用紙サイズの大きい記録媒体に対して印刷を行う場合でも、第1のローラの軸方向における温度分布が均一になるので、記録媒体に定着むら、しわ等が発生することがなくなる。そして、記録媒体の両端部において、未定着のトナーが過度に加熱され、溶融させられることがなくなる。したがって、溶融させられたトナーが第1のローラに付着することがなく、記録媒体の表面を汚すことがなくなる。
【0074】
しかも、既存のプリンタの構成要素を使用することができ、新規に部品を追加する必要がなく、プリンタの制御方法を変更する必要もないので、定着装置のコストを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における定着装置の概略図である。
【図2】従来の定着装置の概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における定着装置の要部を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における定着装置の要部を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御部のブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における装置冷却用ファンの動作を示すタイムチャートである。
【図7】軸方向における定着ローラの温度分布を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における定着装置の概略図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における定着装置の動作を示すタイムチャートである。
【図10】周方向における定着ローラの温度分布を示す図である。
【符号の説明】
11 定着装置カバー
12 定着ローラ
13 加圧ローラ
16 記録媒体
19 通気口
20 装置冷却用ファン
Claims (4)
- 熱源によって加熱される第1のローラ、及び該第1のローラと対向させて配設された第2のローラを備え、前記第1、第2のローラ間に記録媒体を挟んで、該記録媒体上の画像を定着する定着装置において、
(a)前記記録媒体の搬送方向における前記第1、第2のローラ間に形成されるニップ部より下流側で、かつ、前記記録媒体の通過面を挟んで前記第1のローラと反対側に位置し、該第1のローラの近傍に、第1のローラの軸方向に沿って形成された通気口と、
(b)前記第1のローラの近傍の空気を前記通気口を介して吸引する通気手段とを有するとともに、
(c)前記通気口は、前記記録媒体が前記第1、第2のローラ間を通過するのに伴い、前記記録媒体によって一部が遮断されることを特徴とする定着装置。 - (a)前記第1のローラを覆う定着装置カバーを有するとともに、
(b)前記通気口は、前記記録媒体の搬送方向における前記定着装置カバーの下流側の端部より前記ニップ部側に形成される請求項1に記載の定着装置。 - 前記定着装置カバーは、前記第1のローラの軸方向に沿って配設され、定着装置カバー外から空気を吸引するための吸引口を備える請求項2に記載の定着装置。
- 前記通気口と連結され、該通気口を介して吸引された空気を前記通気手段に導く吸引室を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
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