JP3576932B2 - リソグラフィ用ダイヤモンド膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リソグラフィ用ダイヤモンド膜、特にX線リソグラフィ用及び電子線リソグラフィ用ダイヤモンド膜、並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体デバイスの高精度化、高集積化等に伴い、これに形成されるパターンに対し更なる微細化が要請されており、この要請を可能にし得る技術としてX線リソグラフィ及び電子線リソグラフィが注目されている。
【0003】
この微細なパターンを形成するため、一般に露光装置が使用されることが多い。この露光装置に装着されるマスクメンブレンの材質としてダイヤモンド、窒化ホウ素、窒化ケイ素又は炭化ケイ素等が提案されているが、これらの材質の中で、ダイヤモンド膜はヤング率、耐エッチング性、耐高エネルギー線照射性等に優れており、X線又は電子線のリソグラフィ用マスクメンブレンとして最適な材質と考えられている。
【0004】
また、膜の製造方法として、DCアーク放電、DCグロー放電、燃焼炎、高周波、マイクロ波、熱フィラメント等を用いた方法が知られているが、これら製法の内マイクロ波CVD法及び熱フィラメントCVD法は、大きな面積で、しかも結晶性よく成膜できるため、一般にかかる方法で実施されることが多い。
【0005】
ところで、上記CVD法に使用される原料ガスは、一般にメタン、エチレン、アセチレン等の炭素含有ガスを水素で希釈した混合ガスである。
この水素希釈炭素含有ガスを原料ガスとして気相反応を行って得られるダイヤモンド膜の電気抵抗値は、109 〜1015Ω・cmの範囲にある。
【0006】
そして、このような範囲の電気抵抗値を示すダイヤモンド膜をリソグラフィ用マスク、特にX線又は電子線リソグラフィ用マスクとする場合には、電子ビームを照射する欠陥検査を行う必要があるが、この場合に抵抗が高すぎて荷電粒子が蓄積されてチャージアップ現象が起こり易く、かかる欠陥検査を迅速かつ精密に実施できないことが多い。
また、電子線リソグラフィ用マスクとして実際に用いる場合にも、抵抗が高いとチャージアップで転写に問題が起こる。
【0007】
そこで、このようなチャージアップ現象を回避すべく、ダイヤモンド膜の電気抵抗値を低下させるため、ダイヤモンド膜を成膜させる時に、ジボラン(B2 H6 )又はホスフィン(PH3 )等のドーパントガスを前記水素希釈炭素含有ガスと共に、気相反応を行うことが提案されている。
【0008】
具体的には、ジボランをドーパントとして水素希釈メタンガスを導入して気相反応を行いP型のダイヤモンド膜を成膜すると、該ダイヤモンド膜の電気抵抗値が10−2Ω・cmに低減されることが報告されている(K.Marumoto,J.Appl.Phys.,31,(1992)4205−4209)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ホウ素のドープ源としてジボランを使用した場合、許容濃度は0.1ppmであるため人体への影響が危惧される。また、ホスフィンを用いた場合も、許容濃度が0.3ppmであるため同様に人体への影響が危惧される。すなわち、これらのガスを用いたドーピングでは、わずかな漏洩も許されない。さらに、人体への影響のみならず爆発性も有しているため取扱上も問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、電気抵抗値が低減されたダイヤモンド膜にすることができ、しかも人体への影響や取扱上の問題がないため容易に前記電気特性を有するリソグラフィ用ダイヤモンド膜、特にX線リソグラフィ用及び電子線リソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造することができる方法を提供することを主目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1に記載した発明は、原料ガスを導入して気相反応により基板上にダイヤモンド膜を成膜させる際に、ホウ素をドープしてリソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造する方法において、前記ホウ素のドープ源として窒化ホウ素を用いることを特徴とするリソグラフィ用ダイヤモンド膜の製造方法である。
【0012】
このように、原料ガスを導入して気相反応により基板上にダイヤモンド膜を成膜させる際に、ホウ素をドープしてリソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造する方法において、前記ホウ素のドープ源として窒化ホウ素を用いれば、得られたダイヤモンド膜の電気抵抗値を低減でき、従って、該ダイヤモンド膜をリソグラフィ用マスクに使用した場合における電子ビームを用いた欠陥検査で、チャージアップ現象を回避できる。
また、ホウ素のドープ源を従来のジボランから固体の窒化ホウ素に変更したことにより、人体への影響や取扱上の問題がないため、容易に電気抵抗値が低減されたリソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造することができる。
その上、ガスドープのようにドーピングガスが気相反応時において未反応のまま排出、飛散する等の問題もない。
【0013】
この場合、請求項2に記載したように、前記リソグラフィ用ダイヤモンド膜は、X線リソグラフィ用又は電子線リソグラフィ用とすることができる。
【0014】
このように、リソグラフィ用ダイヤモンド膜を、X線リソグラフィ用又は電子線リソグラフィ用とすれば、半導体デバイスの更なる高精度化、高集積化を図ることができる。例えば、電子線リソグラフィ用ダイヤモンドマスクとして実際に使用した場合には、チャージアップ現象を回避できるので、高精度な転写が高効率で行うことが可能となる。
【0015】
この場合、請求項3に記載したように、前記窒化ホウ素として、熱分解窒化ホウ素を用いることができる。
【0016】
このように、前記窒化ホウ素として熱分解窒化ホウ素を用いれば、CVD法等により容易に高純度の窒化ホウ素を製造できると共に、均一かつ緻密な窒化ホウ素膜を形成できるため、これをホウ素のドープ源として使用してダイヤモンド膜を成膜させれば、ホウ素以外の不純物をほとんど含まない高純度のダイヤモンド膜を得ることができる。
また、ホウ素のドープ量を調節し易いため、ダイヤモンド膜を所望の電気抵抗値に設定し易くなる。
【0017】
また、請求項4に記載したように、前記ホウ素のドープを、ダイヤモンド膜の電気抵抗値が107 Ω・cm以下になるように調節することが好ましい。
【0018】
このように、前記ホウ素のドープを、ダイヤモンド膜の電気抵抗値が107 Ω・cm以下になるように調節すれば、該ダイヤモンド膜をリソグラフィ用マスク、特にX線又は電子線リソグラフィ用マスクに使用して該マスクの電子ビームを用いた欠陥検査において、確実にチャージアップ現象を回避できるので、かかる欠陥検査を迅速かつ精密に実施できる。したがって、これを用いて高品質のリソグラフィ用ダイヤモンドマスクを作製することが可能となる。
また、該マスクを電子線リソグラフィに実際に用いる場合にも、照射電線のチャージアップ現象を回避できるので、高精度な転写が高効率で行うことが可能となる。
【0019】
そして、この場合、請求項5に記載したように、前記窒化ホウ素を、反応装置内の基板に対向若しくは同心円状となる位置に配置して気相反応を行うことができる。
【0020】
このように、前記窒化ホウ素を、反応装置内の基板に対向若しくは同心円状となる位置に配置して気相反応を行えば、確実かつ均一にホウ素のドープを行うことができるので、得られたダイヤモンド膜の電気抵抗値を確実に低減できるとともに、その分布を均一にすることができる。しかも、前記の電気抵抗値である107 Ω・cm以下になるように調節することが容易になる。
【0021】
また、請求項6に記載したように、前記原料ガスを、酸素原子を含有するガスを少なくとも1種含むものとした。
【0022】
このように、ダイヤモンド膜の原料ガスを、酸素原子を含有するガスを少なくとも1種含むものとすれば、電気抵抗値を低減できるだけでなく、結晶性を損なわずに膜の引張応力に優れたダイヤモンド膜を製造することができる。
【0023】
この場合、請求項7に記載したように、前記酸素原子を含有するガスを、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の内のいずれか1種又は2種以上の混合とすることが好ましい。
【0024】
このように、前記酸素原子を含有するガスを、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の内のいずれか1種又は2種以上の混合とすれば、確実にダイヤモンド膜の電気抵抗値を低減できるだけでなく、結晶性を損なわずに優れた膜の引張応力をダイヤモンド膜に付与することができる。
【0025】
また、請求項8に記載した発明は、前記請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法で製造されたリソグラフィ用ダイヤモンド膜である。
【0026】
このように、前記請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法で製造されたリソグラフィ用ダイヤモンド膜であれば、従来品に比べ確実に電気抵抗値が低減された均一なダイヤモンド膜とすることができる。
従って、該ダイヤモンド膜をリソグラフィ用マスクに使用すれば、該マスクの欠陥検査においてチャージアップ現象を回避でき、優れたリソグラフィ用ダイヤモンドマスクを製造することができる。
【0027】
さらに、請求項9に記載した発明は、前記ダイヤモンド膜の電気抵抗値が、107 Ω・cm以下であるリソグラフィ用ダイヤモンド膜である。
【0028】
このように、ダイヤモンド膜の電気抵抗値を107 Ω・cm以下とすれば、マスクの欠陥検査において確実にチャージアップ現象を回避できるので、このダイヤモンド膜をリソグラフィ用マスク、特にX線又は電子線リソグラフィ用マスクに使用すれば、高品質のものとすることができる。
また、電子線リソグラフィ用マスクとして実際に使用した場合にも、チャージアップ現象を回避できるので、高精度な転写が高効率で行うことが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、電気抵抗値が低減されたダイヤモンド膜とすることができ、しかも人体への影響や取扱上の問題なく容易に前記電気特性を有するリソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造するためには、原料ガスを導入して気相反応により基板上にダイヤモンド膜を成膜させる際に、窒化ホウ素をホウ素のドープ源としてリソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造すればよいことに想到し、本発明を完成させたものである。
【0030】
ここで、図1(A)は本発明の製造方法で使用され、ホウ素のドープ源として窒化ホウ素を用いたマイクロ波CVD装置を示した概略構成例図である。
また、図1(B)は本発明で使用されるマイクロ波CVD装置内に配置される窒化ホウ素と基板との位置関係を説明する平面図である。
【0031】
以下、原料ガスを導入して気相反応により基板上にダイヤモンド膜を成膜させる際に、窒化ホウ素をホウ素のドープ源としてリソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造する方法について、図1に基づき説明する。
【0032】
図1(A)において、マイクロ波CVD装置10は、ガス導入管11とガス排出管12を備えたチャンバー13内に、基板14と窒化ホウ素15とが図1(B)に示すような同心円状になるよう配置されている。そして、基板14と窒化ホウ素15上では、ガス導入管11から導入される原料ガスにマイクロ波を印加してプラズマ16が発生できるようになっている。
また、本発明では上述のように窒化ホウ素を基板に対し同心円状になるように配置する場合について説明したが、基板に対向させるように配置しても構わない。
なお、原則として基板等の配置させる際の形態を水平、斜め又は垂直等のいずれの形態としても構わないが、この中で水平に配置した方がホウ素をドープする際に効率がよい。
【0033】
このような装置によって、窒化ホウ素をドープ源としたマイクロ波CVD法によるダイヤモンド膜の成膜は、以下のようにして行う。
ダイヤモンド膜の形成に供すべき基板14および熱分解窒化ホウ素15を基板台17上に載置した後、チャンバー13内をロータリーポンプで10−3Torr以下に減圧して排気する。
次に、酸素原子を含有するガスを少なくとも1種含む所望流量の原料ガスをガス導入管11からチャンバー13内に供給する。
【0034】
ここで、ダイヤモンド膜の形成に供すべき基板14の材質は、シリコン又は酸化ケイ素や窒化ケイ素等のセラミックスであることが好ましく、さらに、酸化ケイ素や窒化ケイ素等のセラミックスで表面を被覆されたシリコンでも構わない。このように、基板14の材質として上記のいずれかを選択すれば、平滑な基板に加工できるため、該基板上にダイヤモンド膜を平滑かつ均一に積層でき、しかも所望の膜厚のダイヤモンド膜とすることができる。
【0035】
また、酸素原子を含有するガスは、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の内のいずれか1種又は2種以上の混合とすることが好ましく、一方原料ガスは、前記酸素原子を含有するガスの他に、メタン等の炭化水素系ガスや水素等との混合とするのが望ましい。
このように、原料ガスを酸素原子を含有するガス等からなる混合ガスとすれば、得られたダイヤモンド膜の電気抵抗値を低減できるだけでなく、該ダイヤモンド膜に結晶性を損なわずに優れた引張応力を付与できる。
【0036】
次に、ガス排出管12のバルブを調節してチャンバー13内を例えば30Torrにした後、上記の原料ガスにマイクロ波を印加してプラズマ16を発生させ、基板14上にホウ素のドープされたダイヤモンド膜を成膜させる。
【0037】
なお、成膜させる前に、ダイヤモンド核を発生させ易くするため基板表面をダイヤモンド粒子等で前処理してもよい。
また、成膜させる時に、ダイヤモンド膜の膜応力を調整するため基板14を例えば基板台17に内蔵させた焼結SiCヒータ等で加熱してもよい。
【0038】
ここで、本発明の最大の特徴は、原料ガスを導入して気相反応により基板上にダイヤモンド膜を成膜させる際に、窒化ホウ素をホウ素のドープ源としてリソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造することである。
【0039】
このように、窒化ホウ素をホウ素のドープ源としたのは、従来から使用されてきたジボランのように人体への影響や引火による爆発等の問題を考慮することなく、安全かつ容易にリソグラフィ用ダイヤモンド膜の製造を実施できるからである。すなわち、従来の気体ドープから固体ドープに変更したことが大きな効果をもたらす要因となった。
また、窒化ホウ素は、熱分解窒化ホウ素であることが好ましく、例えば、アンモニアと三塩化ホウ素との高温減圧CVD法等で製造することができる。
このように窒化ホウ素を熱分解窒化ホウ素とすれば、上述のようにCVD法等により容易に所望の厚さに製造できると共に、高純度で均一かつ緻密に窒化ホウ素を形成できるため、これをホウ素のドープ源として使用してダイヤモンド膜を成膜させれば、確実に電気抵抗値を低減できる。
【0040】
この場合、ホウ素のドープをダイヤモンド膜の電気抵抗値が107 Ω・cm以下になるように調節することが望ましい。
このように、ホウ素のドープをダイヤモンド膜の電気抵抗値が107 Ω・cm以下になるように調節すれば、該ダイヤモンド膜をリソグラフィ用マスク、特にX線又は電子線リソグラフィ用マスクにする際に必要とされるマスクの欠陥検査において、チャージアップ現象を確実に回避できる。したがって、高品質のリソグラフィ用ダイヤモンドマスクを製造することが可能となる。
また、電子線リソグラフィ用ダイヤモンドマスクとして実際に使用した場合にも、チャージアップ現象を回避できるので、高精度な転写が高効率で行うことが可能となる。
【0041】
このように、適量のホウ素のドープを確実にして、ダイヤモンド膜の電気抵抗値が107 Ω・cm以下になるようにするためには、上述のように窒化ホウ素を、例えば反応装置内の基板に対向若しくは同心円状となる位置に配置すればよい。
このように窒化ホウ素15を基板14に対向又は同心円状になるよう設置すれば、均一にボロンがダイヤモンド膜にドープされ、抵抗制御も容易となり、所望電気抵抗を有し、かつその分布も均一な膜を得ることができる。
【0042】
そして、上記のようにリソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造すれば、人体への影響や引火による爆発等の危険を考慮することなく、安全かつ容易に製造を実施できる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。
【0044】
(実施例)
直径3インチ、厚さが2mmで、方位<100>の両面研磨シリコンウェーハを基板として準備し、該シリコン基板上にダイヤモンド膜を成膜させる前に、ダイヤモンド粒子で該シリコン基板の表面をダイヤモンド核を発生し易くするため処理した。
【0045】
上記処理をした後、マイクロ波CVD装置のチャンバー内の基板台上にシリコン基板を設置した。一方ドーパントとして用いる熱分解窒化ケイ素は、内径80mm、外径120mm、厚さ3mmの形状で、シリコン基板に同心円状となるように配置した(図1(B)参照)。
【0046】
次に、ロータリーポンプで10−3Torr以下に減圧して排気した後、メタンガス、水素ガス及び酸素ガスからなる混合ガスをガス導入管から供給した。各ガスの供給は、メタンガスを45.0sccm、水素ガスを945.0sccm、酸素ガスを10.0sccmとし、体積比率を、メタンガス/水素ガス/酸素ガス=4.5/94.5/1.0とした。その後、ガス排出管のバルブを調節してチャンバー内を30Torrとして、3000Wのマイクロ波を印加してプラズマを発生させ、基板上にホウ素のドープされたダイヤモンド膜の成膜を37時間行った。
なお、成膜時に基板の加熱は行わなかったが、この時の表面温度は850℃に達していた。
【0047】
このようにして得られたホウ素のドープされたダイヤモンド膜を、膜厚が2μmで、表面粗さがRaで5nmになるまで研磨加工して、X線リソグラフィ用マスクメンブレンとし、該メンブレンを用いてX線リソグラフィ用マスクを作製した。
次に、該マスクのダイヤモンド膜の電気抵抗値を測定したところ、1Ω・cmであり、該マスクの欠陥検査を行ってもチャージアップ現象は発生しなかった。また、欠陥もほとんど検出されなかった。
【0048】
(比較例)
窒化ホウ素によるドーピングを行わなかった以外は、実施例1と同一の条件でダイヤモンド膜を作製し、膜厚が2μmで、表面粗さがRaで5nmになるまで研磨加工して、X線リソグラフィ用マスクメンブレンとした。
その後、該メンブレンを用いてX線リソグラフィ用マスクの製造を行い、該マスクの電気抵抗値を測定したところ、>109 Ω・cmであり、欠陥検査を行った行ったところ、チャージアップ現象が発生し、欠陥検査ができず、マスクの信頼性にかけるものとなった。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0050】
例えば、本発明においては、熱分解窒化ホウ素をドーパントとして使用し、シリコン基板上にダイヤモンド膜を成膜後研磨加工してX線リソグラフィ用マスクを作製する場合について具体的に説明したが、基板に石英を用いて同様に該基板上にダイヤモンド膜を成膜させた後、酸性水溶液で該基板をエッチングしてX線リソグラフィ用マスクを作製しても構わない。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、人体への影響や取扱上の問題がなく容易に高純度のリソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造できると共に、この製造方法に従って得られたダイヤモンド膜は所望の電気抵抗値に低減されるため、該ダイヤモンド膜を使用したリソグラフィ用マスクの欠陥検査を迅速かつ正確に、しかも容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明の製造方法で使用されるマイクロ波CVD装置の概略図である。
(B)は、本発明の製造方法で使用されるマイクロ波CVD装置内に配置される窒化ホウ素と基板との平面配置図である。
【符号の説明】
10・・・マイクロ波CVD装置、 11・・・ガス導入管、
12・・・ガス排出管、 13・・・チャンバー、
14・・・基板、 15・・・窒化ホウ素、
16・・・プラズマ、 17・・・基板台。
Claims (9)
- 原料ガスを導入して気相反応により基板上にダイヤモンド膜を成膜させる際に、ホウ素をドープしてリソグラフィ用ダイヤモンド膜を製造する方法において、前記ホウ素のドープ源として窒化ホウ素を用いることを特徴とするリソグラフィ用ダイヤモンド膜の製造方法。
- 前記リソグラフィ用ダイヤモンド膜は、X線リソグラフィ用又は電子線リソグラフィ用であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記窒化ホウ素として、熱分解窒化ホウ素を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
- 前記ホウ素のドープを、ダイヤモンド膜の電気抵抗値が107 Ω・cm以下になるように調節することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記窒化ホウ素を、反応装置内の基板に対向若しくは同心円状となる位置に配置して気相反応を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記原料ガスを、酸素原子を含有するガスを少なくとも1種含むものとすることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記酸素原子を含有するガスを、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の内のいずれか1種又は2種以上の混合とすることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
- 前記請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法で製造されたリソグラフィ用ダイヤモンド膜。
- 前記ダイヤモンド膜の電気抵抗値が、107 Ω・cm以下であることを特徴とする請求項8に記載のリソグラフィ用ダイヤモンド膜。
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