JP3576430B2 - 自動利得制御器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音声通信装置等に用いられる自動利得制御器(Automatic Gain Control:AGC)に係り、特に、電話回線などの伝送路における伝送損失を補償するための増幅器のゲインを制御する自動利得制御器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電話回線は2線式加入者回線と4線式中継基幹回線から構成されており、2線式回線と4線式回線はハイブリッド回路により接続されている。このハイブリッド回路は、2線式回線の伝送信号を4線式回線に伝送可能となるように変換したり、4線式回線の伝送信号を2線式回線に伝送可能となるように変換する。このハイブリッド回路は、接続するすべての2線式加入者回線と最適なインピーダンス整合をとることが難しいため、インピーダンス不整合により4線側の受話信号が反射して送話側に回り込み、結果的に自分が話した声がしばらくして戻ってくることになる。このエコーを回線エコーと呼び、その信号成分をERL(Ecoh Return Loss:エコー反射減衰量)という。
【0003】
このようなエコーを消去するため、適応フィルタと減算器からなるエコーキャンセラを使用する方法が良く用いられている。エコーキャンセラは、反響路のインパルス応答の推定値を内部に持ち受信信号との畳込み演算によりエコーを推定して擬似エコーを発生し、それを送信信号から差し引くことによりエコーを消去する装置である。反響路のインパルス応答は時間と共に変化するため、通常は適応的にインパルス応答を推定する適応形エコーキャンセラが用いられる。
【0004】
また、エコーキャンセラが推定する伝送系に非線形を与えない位置に、レベル制御を行う自動利得制御器を挿入して、エコーキャンセラの誤動作を防止しようとするものがある。
【0005】
従来のデータ伝送システムに用いられるゲイン制御器としては、例えば特開平6−303168号、特開平6−104970号各公報に開示されるものがある。
【0006】
図7は従来の音声通信装置に用いられるゲイン制御器の構成を示すブロック図である。
【0007】
図7において、1は受信側遠端端子、2は送信側遠端端子、3は受信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する受信信号増幅器、4は2線−4線変換を行う2線4線ハイブリッド回路(H)、5は受信信号増幅器3のゲインを設定するゲイン制御器、6は近端である。
【0008】
2線4線ハイブリッド回路(H)4は、受信信号増幅器3からの出力信号を近端6の方向にだけ出力して、理論的には送信側遠端端子2への信号の漏洩がないようにする。
【0009】
受信側遠端端子1に入力された遠端信号Xは、受信信号増幅器3とゲイン制御器5に入力される。
【0010】
ゲイン制御器5には、あらかじめ目標パワーPが定められており、ゲイン制御器5は、遠端信号XのパワーXPを計算し、次に目標パワーPと遠端信号XのパワーXPの差defを計算する。このパワーの差defは、遠端信号Xを目標パワーPにするためのゲインとなる。ゲイン制御器5は、受信信号増幅器3にパワーの差defを出力する。
【0011】
受信信号増幅器3は、遠端信号Xに対して上記defによるゲインの増幅を行う。具体的には、遠端信号XのパワーXPが−16dBm0であり、目標パワーPが−10dBm0であるとき、ゲイン制御器5は6dBの増幅を行うように増幅器3に対して上記defの出力を行う。ここで、10dBとは対数の表現であり、これは通常での倍率は2倍に相当する。
【0012】
受信信号増幅器3により増幅された信号は、パワーが上昇して点Bを通り、2線4線変換ハイブリッド回路(H)4を経由し、点Cを通り近端6に出力される。
【0013】
このようにして遠端信号Xを所望のレベルに増幅させて近端6への出力とする。こうすることで小さな遠端信号Xを、所望レベルの大きさを持つ聞き易いパワーを持つ信号に変換することができる。
【0014】
上記は、受信側遠端端子1から近端6への信号例であるが、近端6から送信側遠端端子2にも同様に、図示しない送信信号増幅器とゲイン制御器によって同様な増幅が行われ伝送損失が補償される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の音声通信装置に用いられるゲイン制御器にあっては、以下(1)〜(3)のような問題点があった。
(1)一般に、2線4線ハイブリッド回路(以下、ハイブリッドという)では、信号の反射が起こり、通過させたい信号の全てを通過させることができない。このようなハイブリッドでの伝送特性を考慮していないため、本来、点Cで設定したいレベルを点Bで設定するため、必すバイブリッドでの伝送ロスを受けてしまい、所望のレベルより小さいレベルしか実現できない。
(2)ハイブリッドの伝送ロスは未知であり、毎回の回線の接続毎に変化する。従来の方法では近端から遠端への信号を入手してからでないと遠端から近端へのゲインを決められないので、遠端からの信号を増幅するのにしばらく時間を要し、近端側の話者はしばらく遠端話者のレベルが小さいまま我慢して通話を行わなければならない。
(3)近端から遠端に信号を送信するときにもエコーキャンセラの出力を増幅するため、一度消去したエコー雑音を再び増幅してしまい、遠端話者にエコー雑音の大きい信号を送信してしまう。
【0016】
本発明は、ハイブリッドでの伝送ロスを受けても所望の信号レベルを設定できる自動利得制御器を提供することを目的とする。
【0017】
本発明は、遠端から近端へのゲインを速やかに決めることができ、近端側の話者は端話者のレベルが小さいまま我慢する必要がなく、また近端から遠端に信号を送信するときにも遠端話者に耳障りなエコー雑音が聞こえない通話を実現できる自動利得制御器を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動利得制御器は、受信側遠端と、送信側遠端と、受信側遠端と送信側遠端に接続され、2線/4線の線路変換を行う線路変換手段と、受信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する受信信号増幅手段と、受信信号増幅手段のゲインを制御するゲイン制御手段とを備えた自動利得制御器において、受信側遠端からの受信信号が線路変換手段から送信側遠端にエコー信号として反射されるエコー反射減衰量(ERL)を測定する測定手段を備え、ゲイン制御手段が、エコー反射減衰量に基づいて受信信号が線路変換手段を通過した割合を計算し、線路変換手段を通過した受信信号が所定のレベルになるように受信信号増幅手段のゲインを制御することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る自動利得制御器は、送信信号とエコー経路の推定とにより擬似エコー成分を生成し、受信信号に重畳されるエコー成分を打ち消すエコーキャンセラと、送信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する送信信号増幅手段とを備え、ゲイン制御手段が、受信信号増幅手段により増幅したエコー信号を、送信信号増幅手段により減衰させるように受信信号増幅手段及び送信信号増幅手段のゲインを制御することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る自動利得制御器は、ゲイン制御手段が、エコーキャンセラにとって信号の増幅がないように、受信信号増幅手段及び送信信号増幅手段のゲインを制御して、該エコーキャンセラの疑似エコー作成の動作劣化を防ぐようにしたものであってもよい。
【0021】
本発明に係る自動利得制御器は、送信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する送信信号増幅手段を備え、ゲイン制御手段が、あらかじめ定めたエコー反射減衰量が得られるように、送信信号増幅手段のゲインを制御するものであってもよい。
【0022】
本発明に係る自動利得制御器は、送信信号とエコー経路の推定とにより擬似エコー成分を生成し、受信信号に重畳されるエコー成分を打ち消すエコーキャンセラと、エコーキャンセラの出力である疑似エコーを増幅する疑似エコー増幅手段と、エコーと疑似エコー増幅手段の出力を相殺する減算手段と、減算手段の出力を減衰する残差減衰手段とを備え、ゲイン制御手段が、受信信号増幅手段で信号を増幅する倍率と疑似エコー増幅手段で疑似エコーを増幅する倍率が等しくなるように受信信号増幅手段及び疑似エコー増幅手段を制御するとともに、減算手段の出力を減衰させるように残差減衰手段を制御することを特徴とする。
【0023】
本発明に係る自動利得制御器は、ゲイン制御手段が、擬似エコー増幅手段で用いた倍率の逆数を用いて残差減衰手段を制御し、減算手段においてエコーを完全に相殺できない場合に減算手段から出力される残差信号を減衰させるものであってもよい。
【0024】
本発明に係る自動利得制御器は、さらに、送信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する送信信号増幅手段を備え、受信信号増幅手段が、エコーキャンセラより遠端側に設置されて受信信号増幅手段の出力がエコーキャンセラに入力されており、ゲイン制御手段が、送信信号増幅手段の倍率と擬似エコー増幅手段の倍率が等しくなるように、送信信号増幅手段及び擬似エコー増幅手段の倍率を制御し、減算手段が、送信信号増幅手段の出力から擬似エコー増幅手段の出力を減算してエコー信号を相殺し、残差減衰手段が、減算手段により減算したあとの残差信号を減衰するものであってもよい。
【0025】
本発明に係る自動利得制御器は、ゲイン制御手段が、残差減衰手段で減衰する減衰の度合を、擬似エコー増幅手段の倍率の逆数になるように設定するものであってもよい。
【0026】
本発明に係る自動利得制御器は、送信信号とエコー経路の推定とにより擬似エコー成分を生成し、受信信号に重畳されるエコー成分を打ち消すエコーキャンセラと、エコーキャンセラの出力である疑似エコーを増幅する疑似エコー増幅手段と、エコーと疑似エコー増幅手段の出力を相殺する第1の減算手段と、擬似エコーとエコーを打ち消す第2の減算手段とを備え、ゲイン制御手段が、送信信号増幅手段の倍率と擬似エコー増幅手段の倍率が等しくなるように、送信信号増幅手段及び擬似エコー増幅手段の倍率を制御し、第2の減算手段が、線路変換手段の出力から擬似エコーを相殺してエコーキャンセラに入力し、疑似エコー増幅手段が、エコーキャンセラ出力を増幅し、第1の減算手段が、送信信号増幅手段の出力から擬似エコー増幅手段の出力を減算してエコー信号を相殺するものであってもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
第1の実施形態
図1は本発明の第1の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。図1に示す自動利得制御器は、音声通信装置に用いられる自動利得制御器に適用した例である。本実施形態に係る自動利得制御器10の説明にあたり前記図7と同一構成部分には同一符号を付している。
【0028】
図1において、1は受信側遠端端子、2は送信側遠端端子、3は受信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する受信信号増幅器(受信信号増幅手段)、11はエコーロス測定器(測定手段)、12は受信信号増幅器3のゲインを設定するゲイン制御器(ゲイン制御手段)、13はディジタル−アナログ変換器(D/A変換器)、4は2線−4線変換を行う2線4線ハイブリッド回路(H)(線路変換手段)、14はアナログ−ディジタル変換器(A/D変換器)、6は近端である。
【0029】
2線4線ハイブリッド回路(H)4は、受信信号増幅器3からの出力信号を近端6の方向にだけ出力して、理論的には送信側遠端端子2への信号の漏洩がないようにする。
【0030】
受信側遠端端子1に入力された遠端信号Xは、受信信号増幅器3とエコーロス測定器11に入力される。
【0031】
エコーロス測定器11は、受信側遠端端子1からの受信信号が2線4線ハイブリッド回路(H)(以下、ハイブリッドという)4から反射されるエコー信号のレベルと、受信側遠端端子1からの遠端信号XからエコーロスERL(Ecoh Return Loss)を計算し、ゲイン制御器12に出力する。
【0032】
ゲイン制御器12は、エコーロス測定器11により計算されたエコーロスERLから遠端信号がハイブリッド4を通過した割合を計算し、ハイブリッド4を通過した遠端からの信号が所望のレベルになるように受信信号増幅器3に対してゲイン設定値を出力する。
【0033】
上記エコーロスERLの計算及びゲイン制御の詳細については動作例にて後述する。
【0034】
受信信号増幅器3は、遠端信号Xに対してゲイン制御器12からのゲイン設定値によるゲインの増幅を行う。
【0035】
受信信号増幅器3により増幅された信号は、パワーが上昇して点Bを通り、D/A変換器13、ハイブリッド4を経由し、点Cを通り入出力端子6に出力される。
【0036】
このように、自動利得制御器10は、図7に示す従来の自動利得制御器の遠端側に、エコーロスERLを測定するエコーロス測定器11、測定したエコーロスERLに基づいて受信信号増幅器3のゲインを制御するゲイン制御器12を設けた構成となっている。
【0037】
以下、上述のように構成された自動利得制御器10の動作を説明する。
【0038】
受信信号遠端端子1から入力された遠端信号(受信信号)Xは、受信信号増幅器3に入力される一方で、エコーロス測定器11に入力される。
【0039】
初期状態では、受信信号増幅器3のゲインは1であり、遠端信号Xを増幅させる効果はない。
【0040】
受信信号増幅器3から出力された信号は、D/A変換器13でアナログ信号に変換された後、ハイブリッド4を通過して点Cを通り近端6に出力される一方で、ハイブリッド4で反射されてA/D変換器14に出力される。
【0041】
A/D変換器14によりディジタル信号に変換された信号は、点Dを通り再び遠端である送信側遠端端子2に出力されるとともに、エコーロス測定器11に入力される。
【0042】
受信信号遠端端子1から遠端信号Xが届くと、エコーロス測定器11は、遠端信号Xとハイブリッド4から反射されるエコー信号Yとから次式(1)に従ってエコーロスERLを計算する。
【0043】
【数1】
式(1)からわかるように、エコーロスERLは、ハイブリッド4において少なくともエコー成分のエネルギは伝送に失敗してエコーとして反射されてきたことを示している。例えば、ERL=0.5であれば、エコー信号Yは遠端信号Xの振輻の半分になっていることを表している。すなわち、近端側である点Cには、エコーに相当するエネルギ分だけ信号を伝送できなかったことになる。具体的に説明すれば、Xを1.0としたとき、近端側点Cに伝送された信号成分は、点Dで観測される信号、すなわちエコー成分として反射されてしまった成分の残りであり、せいぜい1−0.5=0.5の分だけが近端側である点Cに伝わったことになる。
【0044】
従来の利得制御器では、このようなハイブリッド4でのエネルギの損失を考慮しないので、ハイブリッド4で損失が予想される時にはあらかじめ利得を大きめに設定しておく等の対処をするしかなかった。しかし、ハイブリッド4の反射は、個々のハイブリッド4の特性により異なり、また、接続される近端側の条件によっても反射の量が変わる。したがって、あらかじめ反射の量を知ることができないので、呼の設定によっては利得が大きすぎたり、小さすぎたりすることが発生した。
【0045】
本実施形態では、エコーロス測定器11とゲイン制御器12でこれらの問題を軽減するものである。
【0046】
上述したように、エコーロス測定器11では、まず上記式(1)に従ってエコーロスERLを測定する。エコーロスERLが測定できると、次式(2)により点Cでの信号レベルXoutを点Aでの信号レベルと同じにするためのゲインgainHが推定できる。式(2)によるgainHの推定は、本実施形態ではゲイン制御器12で行っているが、エコーロス測定器11で行うようにしてもよい。
【0047】
gainH=1/(1−ERL) …(2)
例えば、X=1.0、ERL=0.5であればgainH=2.0となる。
【0048】
ゲイン制御器12には、あらかじめXの値に望ましいレベルとして目標レベルが設定されている。ゲイン制御器12は、受信信号遠端端子1からの遠端信号Xである受話信号Rinと所望の目標レベルとの差分defを計算する。例えば、点AでのXの振幅が−16dBm0であり、目標値が−10dBm0であるとすると、目標値と点Aの差分defは次式(3)により計算できる。ここで基準となる0dBm0のレベルは設計者が適切に定めればよい。
【0049】
def=(−10)−(−16)=6(dB) …(3)
まず、ゲイン制御器12は、上記差分defを信号に対する倍率に計算し直す。dBと倍率の変換は単純な対数−線形変換であり、公知であるのでここでは説明しない。例えば、差分defが6dBであれば、倍率gainは次式(4)で示されるので、2倍の倍率になる。
【0050】
【数2】
次に、ゲイン制御器12は、次式(5)に示すように、上記式(4)で求めた倍率gainに上記式(2)で求めたgainHを乗算して受信側ゲインgainRHを計算する。この受信側ゲインgainRHは、信号Xがハイブリッド4で減衰を受けると予想される量をあらかじめ受信信号増幅器3を用いて増幅しておくためのゲインである。ゲイン制御器12は、受信信号増幅器3に上記受信側ゲインgainRHを出力することによりハイブリッド4での減衰分を補償する。
【0051】
gainRH=gain・gainH …(5)
ゲイン制御器12は、計算したgainRHを受信信号増幅器3に出力する。
【0052】
受信信号増幅器3では、次式(6)に示すように、受信された遠端信号Xに対し受信側ゲインgainRHを乗算することにより信号を増幅してハイブリッド4に対する出力信号XHを計算し、D/A変換器13に出力する。
【0053】
D/A変換器13は、出力信号XHをアナログ信号に変換してハイブリッド4に出力する。
【0054】
ハイブリッド4は、アナログ信号に変換された出力信号を近端6の方向にだけ出力するように2線−4線の線路変換を行うとともに、近端6からの信号及びエコーとして反射される信号を送信側に出力する。
【0055】
A/D変換器14は、近端6からの信号及びエコーとして反射される信号を一定の速度でサンプリングしてディジタル信号に変換し送信側遠端端子2及びエコーロス測定器11に出力する。
【0056】
ハイブリッド4から出力される信号について考察する。
【0057】
ハイブリッド4では、エコーとして反射される信号の割合はERL、ハイブリッド4を近端側に通過する信号の割合はせいぜい(1−ERL)であるので点Cに到達する信号Xoutは、次式(7)で示される。
【0058】
上記式(7)から、信号はハイブリッド4の出力端である点Cで所望のレベルに増幅されていることがわかる。所望のレベルに増幅された信号は、近端6の出力端子に出力される。
【0059】
以上説明したように、第1の実施形態に係る自動利得制御器10は、受信側遠端からの受信信号がハイブリッド4から送信側遠端にエコー信号として反射されるエコーロスERLを測定するエコーロス測定器11と、測定したエコーロスERLに基づいて受信信号がハイブリッド4を通過した割合を計算し、ハイブリッド4を通過した受信信号が所定のレベルになるように受信信号増幅器3のゲインを制御するゲイン制御器21とを備えて構成したので、ハイブリッド4での伝送ロスを受けても所望の信号レベルを設定できる。
【0060】
特に、本実施形態では、ゲイン制御器12は、エコーロス測定器11により測定されたエコーロスERLを基に、受信信号をあらかじめ定めた所望のレベルまで増幅する増幅率gainを計算するとともに、受信信号がハイブリッド4で受ける損失分のゲインgainHを補償し、受信信号増幅器3はゲイン制御器12からのgainH、gainの両方を用いて受信信号を増幅するようにしたので、点Cで設定したいレベルを、ハイブリッド4での伝送特性を考慮して点Bで設定できるため、ハイブリッド4での伝送ロスを受けても所望の信号レベルを設定できる。
【0061】
また、ハイブリッド4の伝送ロスは未知であり、毎回の回線の接続毎に変化することがある。このような場合でも、遠端から近端へのゲインを決められるようになるので、受信信号遠端端子1からの信号を増幅するのに近端話者の信号を待つまでも無くなり余分な時間を必要としない。したがって、近端側の話者にとっては、遠端話者のレベルが小さいまま我慢する必要がなく、通話品質の優れた利得制御器を実現できる。
第2の実施形態
第1の実施形態では、ハイブリッド4より近端側の点Cで所望のレベルの信号を作成でき、ハイブリッド4での伝送ロスを受けても所望の信号レベルを設定できた。しかし、ハイブリッド4より近端側の点Cで所望のレベルの信号を作成できる反面、結果として発生するエコー雑音も同時に増幅されるので遠端話者に対するエコー雑音も大きくなる。第2の実施形態では、遠端話者に対するエコー雑音の軽減を実現する。
【0062】
図2は本発明の第2の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る自動利得制御器20の説明にあたり前記図1と同一構成部分には同一符号を付して重複部分の説明を省略する。
【0063】
図2において、15は送信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する送信信号増幅器(送信信号増幅手段)、16はエコーキャンセラ、17は減算器(減算手段)、21は受信信号増幅器3及び送信信号増幅器15のゲインを設定するゲイン制御器(ゲイン制御手段)である。
【0064】
エコーキャンセラ16は、送信信号とエコー経路の推定とにより擬似エコー成分を生成し、減算器17により受信信号に重畳されるエコー成分を打ち消して受信データの誤りを低減する。
【0065】
本実施形態は、近端6から送信側遠端端子2への信号経路に、送信信号増幅器15が設置され、ゲイン制御器21によって受信側と同様な増幅が行われ伝送損失が補償される。
【0066】
ゲイン制御器21は、エコーロス測定器11により計算されたエコーロスERLから遠端信号がハイブリッド4を通過した割合を計算し、ハイブリッド4を通過した遠端からの信号が所望のレベルになるように受信信号増幅器3及び送信信号増幅器15に対してゲイン設定値を出力する。
【0067】
以下、上述のように構成された自動利得制御器20の動作を説明する。
【0068】
本実施形態は、ゲイン制御器21、送信信号増幅器15、エコーキャンセラ16及び減算器17の動作が異なるのみであり、それ以外の動作は第1の実施形態と同様であるのでこの部分の動作説明は省略する。
【0069】
エコーロス測定器11は、エコーロスERLを測定し、測定したエコーロスERLをゲイン制御器21に出力する。
【0070】
ゲイン制御器21では、前記式(5)に示したように、受信信号Xを所望のあらかじめ定めた目標レベルまで増幅する倍率gainとハイブリッド4で損失することが予想されるロスを補償するためのゲインgainHを乗算して受信側ゲインgainRHを計算し、受信信号増幅器3に出力する。
【0071】
受信信号増幅器3は、受信信号Xを受信側ゲインgainRHで増幅する。
【0072】
その結果、ハイブリッド4から出力される「エコー信号」Y2のレベルは次式(8)に示すように計算される。
【0073】
ここで、第1の実施形態で説明したようにERL<1であるので、上記式(8)において、
1/(1−ERL)>1 …(9)
である。また、gain≧1であるので、
Y2>X・ERL …(10)
となり、エコー信号が増幅されているのが分かる。
【0074】
ゲイン制御器21は、受信信号増幅器3に出力したgainRHを元に1/gain・gainHを計算し、送信信号増幅器15に出力する。
【0075】
送信信号増幅器15は、エコー信号Y2に対して次式(11)に従ってゲインを乗算し、送信信号Y3を作成する。
【0076】
送信信号Y3は、減算器17に出力される。また、減算器17にはエコーキャンセラ16の出力である擬似エコーが入力されている。
【0077】
エコーキャンセラ16は、ハイブリッド4や受信信号増幅器3を含む信号の伝送特性を推定し、エコー信号の擬似信号を作成して減算器17に出力する。疑似エコーの作成には、公知の学習同定法及び、LMS(least mean square)法などを用いればよい。
【0078】
減算器17の出力は、上記公知の学習同定法、LMS法などによる疑似エコー作成のためにエコーキャンセラ16に出力される。
【0079】
エコーキャンセラ16の出力は、減算器17に出力され、減算器17にはエコー信号が入力される。減算器17では擬似エコーとエコーが相殺されて送信側遠端端子2へ出力される。
【0080】
近端6からの話者信号がある時は、図示しない双方向検出器によってエコーキャンセラ16の疑似エコー推定動作の継続は停止するが、減算器17での疑似エコー打ち消し動作は継続する。この双方向検出器の検出動作は、送信信号、受信信号各々のパワーを監視して両者が近接したときに双方検出を行うなどすればよく、双方向の検出ができれば方法は何であってもよい。
【0081】
本実施形態では、エコーキャンセラ16を設けることによって遠端話者に対するエコー雑音の軽減を実現することができるが、これに加えて、エコーキャンセラ16自体の動作劣化を防ぐことが可能である。
【0082】
すなわち、従来例では、エコーキャンセラはハイブリッドの前段(直前)に設置され、さらにその遠端側に送受信信号を増幅する増幅器が設置されていた。このように、エコーキャンセラの減算器より遠端側に送信信号増幅器を設置して送信信号を増幅するため、エコーキャンセラにより一度キャンセルしたエコー信号を増幅するので遠端話者にとって聞き難い信号となる。
【0083】
本実施形態では、ハイブリッドの前段(直前)に受信信号増幅器3及び送信信号増幅器15と、エコーロス測定器11及びゲイン制御器21が設置され、さらにその遠端側にエコーキャンセラ16及び減算器17が設置されているので、受信信号増幅器3が原因で増幅した分のエコーを送信信号増幅器15により減衰させることができる。このことを、エコーキャンセラ16からみると送受の増幅器はないも同じである。エコーキャンセラ16は、上述した疑似エコー作成アルゴリズムを使用するとき、エコー経路中に時間可変の信号経路があると収束特性が劣化することが知られており、本実施形態のように時間可変要素である増幅器の動作が相殺されてあたかもエコーキャンセラ16にとって、増幅器がないも同じ状況は非常に都合が良く、収束特性を優れたまま維持できることにつながる。
【0084】
以上説明したように、第2の実施形態に係る自動利得制御器20は、さらにエコーキャンセラ16及び送信信号増幅器15を設け、ゲイン制御器21が、受信信号増幅器3により増幅したエコー信号を、送信信号増幅器15により減衰させるように受信信号増幅器3及び送信信号増幅器15のゲインを制御するので、受信信号増幅器3で増幅した分のエコーが送信信号増幅器15の増幅によって減衰され、エコーキャンセラ16にとっては増幅器3,15が無いと同じ状態となり、この状態でエコーキャンセラ16を用いてエコーが消去されるため、第1の実施形態と同様な効果を得ることができることに加えて、近端から遠端に信号を送信するときにも遠端話者に耳障りなエコー雑音が聞こえない通話を実現することができる。
第3の実施形態
図3は本発明の第3の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る自動利得制御器30の説明にあたり前記図2と同一構成部分には同一符号を付して重複部分の説明を省略する。
【0085】
図3において、31はゲイン制御器(ゲイン制御手段)であり、ゲイン制御器31は、あらかじめ定めたエコー減衰量が得られるように送信信号増幅器15に対して倍率を計算して出力する機能を備える。この倍率の計算については後述する。
【0086】
また、送信信号増幅器15はゲイン制御器31で計算された倍率を信号に乗算する。
【0087】
本実施形態に係る自動利得制御器30は、前記図2の回路構成からエコーキャンセラ16及び減算器17を取り除いた構成であり、その他の部分に関しては第2の実施形態と同じである。
【0088】
以下、上述のように構成された自動利得制御器30の動作を説明する。
【0089】
本実施形態の動作は、ゲイン制御器31及び送信信号増幅器15の動作が異なること以外は前記第1の実施形態の動作と同様である。ゲイン制御器31及び送信信号増幅器15の動作について説明する。
【0090】
ゲイン制御器31には、点Aと点Dの間の信号のレベル比である目標エコー減衰量ERL1があらかじめ設定されているものとする。
【0091】
本実施形態では、この目標エコー減衰量ERL1を例えば40dBに設定する。目標エコー減衰量が40dBであるということは、点Aでの信号がハイブリッド4で反射され、点Dで振幅が1/100になっているということに等しい。
【0092】
ゲイン制御器31は、受信信号増幅器3に対しては第1の実施形態と同様のゲインを出力するが、送信信号増幅器15は関しては受信信号増幅器3で増幅したゲインを相殺し、更に所望のエコー減衰量を実現するための減衰L1を次式(12)に示すように計算する。
【0093】
L1=ERL1/Y2 …(12)
送信信号増幅器15では、Y2にL1を乗算し、送信側遠端端子2に出力する。
【0094】
このように、ゲイン制御器31は、あらかじめ定めたエコー減衰量が得られるように送信信号増幅器51に対して倍率を計算して出力し、送信信号増幅器51はゲイン制御器12で計算された倍率を信号に乗算することで、受信信号をハイブリッド4より近端側で所望のレベルに設定できるとともに、所望のエコー減衰量を実現できる。
【0095】
以上説明したように、第3の実施形態に係る自動利得制御器30は、ゲイン制御器31が、あらかじめ定めた目標エコー減衰量が得られるように送信信号増幅器15のゲインを制御するので、第2の実施形態より装置構成が簡単で、第2の実施形態とほぼ同等の効果を得ることができる。
【0096】
すなわち、遠端側で双方向通信時のエコー感は第2の実施形態より増加するものの、一般に双方向通信は会話中にあまり発生しないので大きな問題にはならない。結果として、第2の実施形態より、装置構成が簡単であり、装置の低コストカを図ることができる。
第4の実施形態
図4は本発明の第4の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る自動利得制御器40の説明にあたり前記図2と同一構成部分には同一符号を付して重複部分の説明を省略する。
【0097】
図4において、41はエコーキャンセラ16と減算器17の間に設置された疑似エコー増幅器(疑似エコー増幅手段)、42は減算器17出力とエコーキャンセラ16の間に設置された残差減衰器(残差減衰手段)、43は受信信号増幅器3及び送信信号増幅器51のゲインを設定するとともに、疑似エコー増幅器41及び残差減衰器42に倍率/減衰係数を出力するゲイン制御器(ゲイン制御手段)である。
【0098】
ゲイン制御器43は、エコーと擬似エコーを相殺するための倍率を疑似エコー増幅器41に出力して受信信号増幅器3と疑似エコー増幅器41で倍率が等しくなるように制御する。また、ゲイン制御器43は、擬似エコー増幅器41で用いた倍率の逆数を残差減衰器42に出力してエコーを完全に相殺できないことによる雑音の発生を防ぐように制御する。
【0099】
本実施形態に係る自動利得制御器40は、前記図2の回路構成から送信側増幅器15が除かれ、また、エコーキャンセラ16と減算器17の間に疑似エコー増幅器41が、減算器17出力とエコーキャンセラ16の間に残差減衰器42が設けられている点が異なっている。その他の部分に関しては第2の実施形態と同じである。
【0100】
以下、上述のように構成された自動利得制御器40の動作を説明する。
【0101】
本実施形態は、擬似エコー増幅器41及び残差減衰器42が付加されている点が第2の実施形態の動作と異なる。擬似エコー増幅器41及び残差減衰器42の動作について説明する。
【0102】
まず、基本的な考え方について説明する。
【0103】
第2の実施形態で述べたように、ハイブリッド4から反射されるエコー信号Y2のレベルは、前記式(8)で示される。
【0104】
前記式(8)において、gain≧1、gain≧1、ERL≦1であるので3つのゲインの積が
gain・gainH・ERL>1 …(13)
となることがある。
【0105】
エコーキャンセラ16をソフトウェア、特に、固定小数点ディジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)のソフトウェアで実現しようとする際に、このような大きなゲインはエコーキャンセラ16にとって不利であり、精度のよいエコー打ち消しができないという問題がある。なぜなら固定少数点でのDSPを用いる時、一般にデータの精度を表す精度(bit幅)が決まっており、ゲインの大きいエコーを打ち消そうとするためには精度が不足し、精度を向上しようとすると対応できるエコーの上限レベルを大きくできないという性質があるからである。
【0106】
本実施形態では、エコーキャンセラ16の動作を、受信側の信号増幅に関わりなく動作できるようにするため、エコーキャンセラ16出力に疑似エコー増幅器41を設けて、送信信号増幅器15での影響を吸収するようにする。これにより、エコーキャンセラ16の推定精度は、受信信号を増幅しても劣化しないままで動作させることができる。
【0107】
また、第2の実施形態では、送信信号を減衰するので、遠端には音声が小さくなって送信されてしまうことがある。これを避けるために、送信信号だけがある時を検出して送信信号増幅器15を停止することが考えられるが、そのような方法を採ったとしても、受信信号と送信信号の両方がある(以下、これをダブルトークという)ときには送信信号増幅器3及び受信信号増幅器15が働くので、送信信号を減衰してしまう。つまり、遠端話者はダブルトークの時は近端話者の声が小さく聞こえてしまう。これらの現象を改善するため、本実施形態は、遠端話者に対する信号の減衰を回避する。
【0108】
次に上記基本的な考え方に基づく動作について説明する。
【0109】
ゲイン制御器43は、送信信号増幅器15に対してgainRHを出力するとともに、疑似エコー増幅器41に対しても同様に、gainRHを出力する。
【0110】
エコー信号Y2のレベルは、前述したように前記式(8)で示される。また、エコーキャンセラ16は、擬似エコーY2’を次式(14)により推定する。
【0111】
Y2’=X・ERL …(14)
ERLは、ERL<1である場合がほとんどであるので前述したように、これはエコーキャンセラ16をDSPで実現する際に都合がよい。
【0112】
疑似エコー増幅器41は、前記式(8)からわかるようにエコーキャンセラ16出力をgain・gainHで乗算するので、減算器17に対する出力Y2”は、次式(15)で示される。
【0113】
Y2”=X・ERL(gain・gainH) …(15)
したがって、前記式(8)及び式(15)から、Y2−Y2”を実行することが可能であることがわかる。減算器17上でY2−Y2”を実行すれば、エコー信号は相殺される。但し、エコーを完全に相殺できない時は、Y2−Y2”の残差がgain・gain倍になったままなので、図示しない信号線によってゲイン制御器43は残差減衰器42に対し1/gain・gainHなる減衰係数を出力する。残差減衰器42は、残差に1/gain・gainHを乗算してエコーキャンセラ16に再び入力する。
【0114】
このようにして擬似エコー増幅器41と残差減衰器42を用いることでエコーキャンセラ16は送信信号増幅器15の動作の影響を受けないまま精度良くエコー雑音を打ち消すことができる。更に、遠端への信号経路に減衰操作が加わっていないので遠端話者は音声が小さくならない良好な通話ができる。
【0115】
以上説明したように、第4の実施形態に係る自動利得制御器40は、エコーキャンセラ16と、エコーキャンセラ16の出力である疑似エコーを増幅する疑似エコー増幅器41と、エコーと疑似エコー増幅器41の出力を相殺する減算器17と、減算器17の出力を減衰する残差減衰器42とを備え、ゲイン制御器43が、受信信号増幅器3で信号を増幅する倍率と疑似エコー増幅器41で疑似エコーを増幅する倍率が等しくなるように受信信号増幅器3及び疑似エコー増幅器41を制御するとともに、減算器17出力の残差信号を疑似エコー増幅器41で用いた倍率との逆数関係を持たせて乗算しエコーキャンセラ16に入力するようにに構成したので、固定小数点DSPを用いてエコーキャンセラ16を容易に実現することができ、しかもレベルの大きなエコー信号であっても推定精度を犠性にすることがないため、前記各実施形態に比べてよりエコー雑音を少なくすることができる。また、送信信号上での信号減衰操作を含まないので、信号減衰操作に伴う音質劣化の要因をなくすことができ、遠端話者に明瞭な音声信号を伝達することができる。
第5の実施形態
図5は本発明の第5の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る自動利得制御器50の説明にあたり前記図4と同一構成部分には同一符号を付して重複部分の説明を省略する。
【0116】
図5において、51は送信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する送信信号増幅器、52は受信信号増幅器3及び送信信号増幅器51のゲインを設定するとともに、疑似エコー増幅器41及び残差減衰器42に倍率/減衰係数を出力するゲイン制御器(ゲイン制御手段)である。
【0117】
ゲイン制御器52は、第4の実施形態のゲイン制御器43と同様に、エコーと擬似エコーを相殺するための倍率を疑似エコー増幅器41に出力して受信信号増幅器3と疑似エコー増幅器41で倍率が等しくなるように制御し、また、擬似エコー増幅器41で用いた倍率の逆数を残差減衰器42に出力してエコーを完全に相殺できないことによる雑音の発生を防ぐように制御する。
【0118】
さらに、ゲイン制御器52は、あらかじめ定めたエコー減衰量が得られるように送信信号増幅器51に対して倍率を計算して出力する機能を備える。この倍率の計算については後述する。
【0119】
送信信号増幅器51は、ゲイン制御器52で計算された倍率を信号に乗算する。
【0120】
また、第2及び第4の実施形態と異なり、受信信号増幅器3は、エコーキャンセラ16の前段に設置されている。
【0121】
以下、上述のように構成された自動利得制御器50の動作を説明する。
【0122】
本実施形態は、第1の実施形態とは受信信号増幅器3及び送信信号増幅器15の動作が、第4の実施形態とは疑似エコー増幅器41及び残差減衰器42の動作が異なっている。
【0123】
受信信号遠端端子1から入力された遠端信号Xは、受信信号増幅器3に入力される。
【0124】
初期状態では、受信信号増幅器3のゲインは1であり、遠端信号Xを増幅させる効果はない。
【0125】
受信信号増幅器3から出力された信号の一部は、D/A変換器13でアナログ信号に変換された後、ハイブリッド4を通過して点Cを通り近端6に出力される一方で、ハイブリッド4で反射されてA/D変換器14に出力される。
【0126】
A/D変換器14によりディジタル信号に変換された信号は、送信信号増幅器51で所定ゲイン増幅され、減算器17を通り再び遠端であるである送信側遠端端子2に出力される。
【0127】
エコーロス測定器11は、第1の実施形態と同様に、遠端信号Xとハイブリッド4から反射されるエコー信号Yとから前記式(1)に従ってエコーロスERLを計算する。
【0128】
また、エコーロス測定器11は、前記式(2)に従って点Cでの信号レベルXoutを点Aでの信号レベルと同じにするためのゲインgainを推定する。
【0129】
ゲイン制御器52には、あらかじめXの入力値に望ましい信号のレベルとして目標レベルが設定されている。ゲイン制御器52は、受信信号遠端端子1からの遠端信号Rinである信号Xと所望の目標レベルとの差分defを計算する。ゲイン制御器52は、第1の実施形態と同様の方法でdefを信号に対する倍率に計算し直す。
【0130】
次に、ゲイン制御器52は、ハイブリッド4での減衰分を配慮するため信号Xがハイブリッド4で減衰を受けると予想される量をあらかじめ増幅しておく。すなわち、ゲイン制御器52は、前記式(5)に示すように、前記式(4)で求めた倍率gainに前記式(2)で求めたgainHを乗算して受信側ゲインgainRHを計算する。
【0131】
ゲイン制御器52は、受信信号増幅器3に上記受信側ゲインgainRHを出力する。
【0132】
受信信号増幅器3では、受信信号Xに対し前記式(6)に示すように信号を増幅してハイブリッド4に対する出力信号XHを計算し、D/A変換器13及びエコーキャンセラ16に出力する。
【0133】
D/A変換器13は、受信信号増幅器3からの出力信号XHをアナログ信号に変換してハイブリッド4に出力する。
【0134】
ハイブリッド4は、アナログ信号に変換された出力信号を近端6の方向にだけ出力するように2線−4線変換を行うとともに、近端6からの信号及びエコーとして反射される信号を送信側に出力する。ハイブリッド4から出力されるエコー信号Y2のレベルは前記式(6)に示すように計算される。
【0135】
A/D変換器14は、近端6からの信号及びエコーとして反射される信号をディジタル信号に変換して送信信号増幅器51に出力する。
【0136】
上記基本動作において、本実施形態では、受信信号増幅器3の出力をエコーキャンセラ16に入力しているため、エコーキャンセラ16に対する入力XECinは、次式(16)で示される。
【0137】
XECin=X・gain・gainH …(16)
エコーキャンセラ16は、送信信号増幅器51の倍率が1であれば、擬似エコーY2’としては次式(17)を推定すればよい。
【0138】
Y2’=X・gain・gainH・ERL …(17)
上記式(16)及び式(17)から擬似エコーY2’は、次式(18)で示される。
【0139】
Y2’=XECin・ERL …(18)
上記式(18)から、エコーキャンセラ16は、ERL<1なるレベルの伝達関数を公知の学習同定法などのアルゴリズムで推定すればよく、DSPで実現する際に都合が良くなるのは第4の実施形態で述べた通りである。
【0140】
本実施形態では、第2の実施形態、第3の実施形態とは、送信信号増幅器51における動作が異なっている。本実施形態においては、ゲイン制御器52は、上述した受信信号増幅器3に関する目標レベルの制御に加えて、送信信号増幅器51に関しても同様な目標レベルの制御を行う。
【0141】
すなわち、送信信号増幅器51に関しても、目標レベルをあらかじめ設定しておき、入力信号と目標レベルとの差分を求め、これを倍率gain_sに計算し直して送信信号増幅器51に出力する。
【0142】
具体的には、送信信号増幅器51に対して出力するための倍率gain_sを計算するため、次式(19)に従って送信信号目標レベルLSin1と実際の送信信号レベルLSinの差分defSinを計算する。
【0143】
defSin=LSin1−LSin …(19)
上記式(19)で計算した差分defSinは、送信信号を目標レベルに上昇するための倍率であるので、ゲイン制御器52は送信信号増幅器51に対してdefSin=gain_sとした倍率gain_sを送信信号増幅器51に出力する。
【0144】
送信信号増幅器51は、以後送信側信号に対してgain_sの倍率で信号を増幅する。
【0145】
ここで問題になるのがエコー雑音である。上述したようにエコー信号Y2は、前記式(8)に示す状態でハイブリッド4から反射されている。したがって、ハイブリッド4から出力され、A/D変換器14から出力された信号は、送信信号増幅器51でgain_sの倍率で増幅されるので、減算器17に入力されるエコー信号Y2は、次式(20)で示されるレベルのエコー信号である。
【0146】
Y2=X・gain・gainH・ERL・gain_s …(20)
前述したように、本実施形態では、受信信号増幅器3の出力をエコーキャンセラ16に入力するようにしたので、上記エコー信号Y2の成分のうち、gain・gainHはエコーキャンセラ16の入力信号に含まれるようにしたので影響はない。しかし、送信信号増幅器51では、gain_sなる倍率でエコーを増幅して減算器17に入力する。エコーキャンセラ16にとってエコーの増幅は都合がわるく、特に送信信号の倍率を時間によって可変にするような場合には、エコーキャンセラ16の疑似エコー推定特性は急激に劣化することがよく知られているのは前述した通りである。
【0147】
そこで本実施形態では、ゲイン制御器52で計算した送信信号増幅器51の倍率gain_sを疑似エコー増幅器41に出力し、エコーキャンセラ16で推定した疑似エコーを送信信号増幅器51の倍率gain_sと同一の倍率で疑似エコー増幅器41でもって増幅し、エコーキャンセラ16からみた送信信号増幅器51の影響を、疑似エコー増幅器41と残差減衰器42で吸収するようにした。
【0148】
この動作を図5を用いて詳細に説明する。ゲイン制御器52は、上述したようにgain_sを計算し、送信信号増幅器51と疑似エコー増幅器41に出力する。疑似エコー増幅器41は、エコーキャンセラ16の推定した疑似エコーをgain_sの倍率で増幅し、減算器17に出力する。
【0149】
減算器17では、前記式(20)に示すエコーY2から次式(21)に示す疑似エコーY3’が減算されるので、その結果エコー信号が相殺される。
【0150】
Y3’=X・gain・gainH・ERL・gain_s …(21)
但し、相殺が完全に行われなかった時は、残差がgain_s倍になったままなので減算器17出力の残差信号を残差減衰器42に入力する。残差減衰器42では、入力信号を1/gain_sに減衰してエコーキャンセラ16に出力し、疑似エコーの逐次作成に用いる。
【0151】
以上説明したように、第5の実施形態に係る自動利得制御器50は、受信信号増幅器3の出力がエコーキャンセラ16に入力されており、ゲイン制御器52が、送信信号増幅器51の倍率と擬似エコー増幅手段の倍率が等しくなるように、送信信号増幅器51及び擬似エコー増幅器41の倍率を制御し、減算器17が、送信信号増幅器51の出力から擬似エコー増幅器41の出力を減算してエコー信号を相殺し、残差減衰器42が、疑似エコー増幅器41で用いた倍率の逆数を用いて残差を減衰するように構成したので、前記各実施形態の効果に加え、エコーキャンセラ16は精度良くエコー雑音を推定して実効を図ることができ、また疑似エコー増幅器41によって大きなエコーにも対処してこれを打ち消すことができる。
第6の実施形態
図6は本発明の第6の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る自動利得制御器60の説明にあたり前記図5と同一構成部分には同一符号を付して重複部分の説明を省略する。
【0152】
本実施形態に係る自動利得制御器60は、前記図5の回路構成に、第2の減算器61(第2の減算手段)が追加され、また、残差減衰器42が取り除かれ、A/D変換器14の出力が送信信号増幅器51と第2の減算器61に出力され、エコーキャンセラ16の出力が第2の減算器61と疑似エコー増幅器41に出力されている点が異なっている。その他の部分に関しては第5の実施形態と同じである。
【0153】
以下、上述のように構成された自動利得制御器60の動作を説明する。
【0154】
本実施形態では、上記構成の変更以外は第5の実施形態と同様であるのでこの部分の動作説明を省略する。
【0155】
A/D変換器14の出力が送信信号増幅器51と第2の減算器61に出力される。A/D変換器14から送信信号増幅器51を経て、送信側遠端端子2に至る動作は第5の実施形態と同様である。
【0156】
一方、A/D変換器14から第2の減算器61に出力された信号は、第2の減算器61で相殺される。なぜなら、A/D変換器14の出力は、受信信号遠端端子1からの受信信号Xが受信信号増幅器3で前記式(5)に従って計算された倍率gainRHで増幅されたエコー信号であるが、受信信号増幅器3の出力をエコーキャンセラ16に入力するようにしたので、エコーキャンセラ16はERLに相当するレベルの擬似エコーを作成すればよい。すなわち、受信信号増幅器3の出力をエコーキャンセラ16に入力するようにしたので、エコー信号Y2の成分のうち、gain・gainHはエコーキャンセラ16の入力信号に含まれるようにしたので影響はなく、ERLに相当するレベルの擬似エコーを作成するだけでよい。
【0157】
したがって、エコーキャンセラ16の出力Y4’は、既に次式(22)で示されるレベルになっている。
【0158】
Y4’=X・gainRH・ERL …(22)
上記式(22)に示すように、第2の減算器61ではエコーが適切に相殺される。加えて、A/D変換器14から第2の減算器61に至る経路では、増幅器がないのでエコーキャンセラ16に残差を入力する際、残差減衰器42(前記図5)を用いなくてよい。一方でエコーキャンセラ16の出力である疑似エコーY4’は疑似エコー増幅器41で増幅される。疑似エコー増幅器41における増幅の倍率は、第5の実施形態と同様に決めればよい。
【0159】
以上説明したように、第6の実施形態に係る自動利得制御器60は、残差減衰器42を取り去るとともに、第2の減算器61を設け、A/D変換器14の出力を送信信号増幅器51と第2の減算器61に、またエコーキャンセラ16の出力を第2の減算器61と疑似エコー増幅器41に出力し、ゲイン制御器52が、送信信号増幅器51の倍率と擬似エコー増幅器41の倍率が等しくなるように、送信信号増幅器51及び擬似エコー増幅器41の倍率を制御し、第2の減算器61が、A/D変換器14の出力から擬似エコーを相殺してエコーキャンセラ16に入力し、疑似エコー増幅器41が、エコーキャンセラ16出力を増幅し、減算器17が、送信信号増幅器51の出力から擬似エコー増幅器41の出力を減算してエコー信号を相殺するように構成したので、第5の実施形態と同様の効果を、より小さな装置規模あるいは小さな演算コストで実現できる。
【0160】
特に、本実施形態では、エコー信号を増幅しない状態でエコーキャンセラ16の疑似エコー作成を行うので、DSPを用いてエコーキャンセラ16を実現するときに、精度よいエコーキャンセラ16を実現できる。
【0161】
また、前記第5の実施形態において残差減衰器42に与える減衰量1/gain_sを計算する際には、除算が必要になるのだが、よく知られているように固定小数点DSPで除算を行うためには演算数が多く必要である。本実施形態によれば、残差減衰器42をなくし、1つの減算器61を増加させるだけで第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。実際に、DSPソフトウェアで実現する際には除算演算部分を、加算演算に交換することになり、一例として大まかには除算部分を加算部分に変更することで、除算に要した演算量を、概略1/16にすることができる。
【0162】
また、上記各実施形態では、本発明を音声通信装置に適用した自動利得制御器で説明したが、入力信号のゲインを自動調整するものであればどのような装置に用いてもよく、例えばFAX信号、modem信号などデータ通信装置にも適用が可能である。
【0163】
また、本自動利得制御器は、ハードウェアに限らず、ソフトウェアで実現することも可能である。
【0164】
さらに、上記各実施形態に係る自動利得制御器では、上記自動利得制御器10〜60を構成するD/A変換器、A/D変換器や減算器等の種類・個数、制御方法、種類接続状態などは上述の各実施形態に限られない。
【0165】
【発明の効果】
本発明に係る自動利得制御器では、受信側遠端からの受信信号が線路変換手段から送信側遠端にエコー信号として反射されるエコー反射減衰量(ERL)を測定する測定手段を備え、ゲイン制御手段が、エコー反射減衰量に基づいて受信信号が線路変換手段を通過した割合を計算し、線路変換手段を通過した受信信号が所定のレベルになるように受信信号増幅手段のゲインを制御するように構成したので、ハイブリッドでの伝送ロスを受けても所望の信号レベルを設定できる自動利得制御器が実現できる。したがって、ハイブリッドにおける伝送ロスが変化した場合でも正確に利得が制御でき、本自動利得制御器を適用したデータ通信装置等の性能を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した第2の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明を適用した第3の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用した第4の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明を適用した第5の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明を適用した第6の実施形態に係る自動利得制御器の構成を示すブロック図である。
【図7】従来の自動利得制御器の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 受信側遠端端子、2 送信側遠端端子、3 受信信号増幅器(受信信号増幅手段)、4 2線4線ハイブリッド回路(H)(線路変換手段)、6 近端、10,20,30,40,50,60 自動利得制御器、11 エコーロス測定器(測定手段)、12,21,31,43,52 ゲイン制御器(ゲイン制御手段)、13 ディジタル−アナログ変換器(D/A変換器)、14 アナログ−ディジタル変換器(A/D変換器)、15 送信信号増幅器(送信信号増幅手段)、16 エコーキャンセラ、17 減算器(減算手段,第1の減算手段)、41 疑似エコー増幅器(疑似エコー増幅手段)、42 残差減衰器(残差減衰手段)、51 送信信号増幅器、61 第2の減算器(第2の減算手段)
Claims (9)
- 受信側遠端と、送信側遠端と、受信側遠端と送信側遠端に接続され、2線/4線の線路変換を行う線路変換手段と、受信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する受信信号増幅手段と、受信信号増幅手段のゲインを制御するゲイン制御手段とを備えた自動利得制御器において、
受信側遠端からの受信信号が前記線路変換手段から送信側遠端にエコー信号として反射されるエコー反射減衰量(ERL:Ecoh Return Loss)を測定する測定手段を備え、
前記ゲイン制御手段は、
前記エコー反射減衰量に基づいて受信信号が前記線路変換手段を通過した割合を計算し、前記線路変換手段を通過した受信信号が所定のレベルになるように前記受信信号増幅手段のゲインを制御する
ことを特徴とする自動利得制御器。 - 送信信号とエコー経路の推定とにより擬似エコー成分を生成し、受信信号に重畳されるエコー成分を打ち消すエコーキャンセラと、
送信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する送信信号増幅手段とを備え、
前記ゲイン制御手段は、
前記受信信号増幅手段により増幅したエコー信号を、前記送信信号増幅手段により減衰させるように前記受信信号増幅手段及び送信信号増幅手段のゲインを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の自動利得制御器。 - 前記ゲイン制御手段は、
前記エコーキャンセラにとって信号の増幅がないように、前記受信信号増幅手段及び送信信号増幅手段のゲインを制御して、該エコーキャンセラの疑似エコー作成の動作劣化を防ぐようにした
ことを特徴とする請求項2記載の自動利得制御器。 - 送信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する送信信号増幅手段を備え、
前記ゲイン制御手段は、
あらかじめ定めたエコー反射減衰量が得られるように、前記送信信号増幅手段のゲインを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の自動利得制御器。 - 送信信号とエコー経路の推定とにより擬似エコー成分を生成し、受信信号に重畳されるエコー成分を打ち消すエコーキャンセラと、
前記エコーキャンセラの出力である疑似エコーを増幅する疑似エコー増幅手段と、
エコーと前記疑似エコー増幅手段の出力を相殺する減算手段と、
前記減算手段の出力を減衰する残差減衰手段とを備え、
前記ゲイン制御手段は、
前記受信信号増幅手段で信号を増幅する倍率と前記疑似エコー増幅手段で疑似エコーを増幅する倍率が等しくなるように前記受信信号増幅手段及び前記疑似エコー増幅手段を制御するとともに、前記減算手段の出力を減衰させるように前記残差減衰手段を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の自動利得制御器。 - 前記ゲイン制御手段は、
前記擬似エコー増幅手段で用いた倍率の逆数を用いて前記残差減衰手段を制御し、前記減算手段においてエコーを完全に相殺できない場合に前記減算手段から出力される残差信号を減衰させる
ことを特徴とする請求項5記載の自動利得制御器。 - さらに、送信信号を所定ゲインで増幅して伝送損失を補償する送信信号増幅手段を備え、
前記受信信号増幅手段は、前記エコーキャンセラより遠端側に設置されて前記受信信号増幅手段の出力が前記エコーキャンセラに入力されており、
前記ゲイン制御手段は、
前記送信信号増幅手段の倍率と前記擬似エコー増幅手段の倍率が等しくなるように、前記送信信号増幅手段及び前記擬似エコー増幅手段の倍率を制御し、
前記減算手段は、前記送信信号増幅手段の出力から前記擬似エコー増幅手段の出力を減算してエコー信号を相殺し、
前記残差減衰手段は、前記減算手段により減算したあとの残差信号を減衰する
ことを特徴とする請求項5記載の自動利得制御器。 - 前記ゲイン制御手段は、
前記残差減衰手段で減衰する減衰の度合を、前記擬似エコー増幅手段の倍率の逆数になるように設定する
ことを特徴とする請求項7記載の自動利得制御器。 - 送信信号とエコー経路の推定とにより擬似エコー成分を生成し、受信信号に重畳されるエコー成分を打ち消すエコーキャンセラと、
前記エコーキャンセラの出力である疑似エコーを増幅する疑似エコー増幅手段と、
エコーと前記疑似エコー増幅手段の出力を相殺する第1の減算手段と、
擬似エコーとエコーを打ち消す第2の減算手段とを備え、
前記ゲイン制御手段は、
前記送信信号増幅手段の倍率と前記擬似エコー増幅手段の倍率が等しくなるように、前記送信信号増幅手段及び前記擬似エコー増幅手段の倍率を制御し、
前記第2の減算手段は、前記線路変換手段の出力から擬似エコーを相殺して前記エコーキャンセラに入力し、
前記疑似エコー増幅手段は、前記エコーキャンセラ出力を増幅し、
前記第1の減算手段は、前記送信信号増幅手段の出力から前記擬似エコー増幅手段の出力を減算してエコー信号を相殺する
ことを特徴とする請求項1記載の自動利得制御器。
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