JP3576335B2 - プロセス加工工程の異常抽出方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロセス加工工程における製造装置、製造条件の要因による歩留り低下の原因解析等を行うためのプロセス加工工程の異常抽出方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的にプロセス加工工程においては、製造装置履歴情報、製造条件情報やインライン測定値情報等が収集管理され、またその後工程の検査工程で製品の歩留り情報や電気的特性情報等の製品の品質結果情報が収集管理されている。
【0003】
ところが、従来は品質結果情報と、製造装置履歴情報、製造条件情報やインライン測定値情報等の製品の品質に影響を与える情報との因果関係を解析するすべがなく、検査工程で歩留り悪化の発生が判明した場合、作業者が経験と勘に頼って対処するしかなく、なかなか的確な対処ができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、早期に品質低下の原因を追求するための手法が要請され、公知の多変量解析手法を用いた解析も試みられているが、以下に示す課題があり、活用するまでには至っていない。
【0005】
すなわち、説明変数にするための項目が多く、実態に即した解析結果が得られず、特に多品種少量生産の場合データ量が少なすぎて解析ができず、また要因を説明するために必要なデータの検索及びデータ抜けに対する事前のデータ加工に手間と時間がかかるため、早期解決になかなか活かしきれず、また多変量解析手法そのものの十分な理解が必要であり、誰でも簡単に活用するというわけには行かないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、製品の品質結果情報と品質に影響を与える情報との因果関係から具体的な品質に影響を与える項目を実態に即して迅速にかつ誰でも活用できるように抽出できるプロセス加工工程の異常抽出方法及び装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明および請求項2記載の発明に係るプロセス加工工程の異常抽出方法は、半導体製造工場の拡散工程等のプロセス加工工程において、歩留り情報や電気的特性情報等の製品の品質結果情報と、製造装置履歴情報、製造条件情報やインライン測定情報等の製品の品質に影響を与える情報とを用い、これら製品の品質結果情報と製品の品質に影響を与える情報との因果関係を多段階多変量解析手段にて解析するという共通の構成を有している。
【0008】
上記構成においては、歩留りや電気的特性情報等の製品の品質結果情報を目的変数、製造装置履歴情報、製造条件やインライン測定値情報等の製品の品質に影響を与える情報を説明変数とし、重回帰分析により異常の候補を抽出し、解析の助けとするものであり、さらにこのとき重回帰式の説明変数の数が多すぎると解析結果としては有効な結果にならないため、多段階多変量解析手段を用いている。これは解析を何段階かに分け、一回の解析の説明変数の数を一定にし、公知の変数増減法を用いて自動的に異常項目(説明変数)を絞り込み、この絞り込みを複数回行い、各解析で絞り込まれた項目だけで最終の解析を行うものである。これにより、無限の説明変数の数に対応して、実態に即した精度の高い異常抽出を実現するものである。
【0009】
請求項1記載の発明は、上記共通の構成に加え、解析用情報の作成にあたって単一の品種ではデータの数が集まらず解析ができない場合に、同一製造条件の品種をひとくくりとしてまとめて解析することを特徴とする。これによりデータ量の課題を解決して多品種少量生産の場合への対応を可能にすることできる。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記共通の構成に加え、解析用情報の作成にあたって製造装置の履歴情報が残っていない場合に、仮装置として登録することを特徴とする。これにより、データ抜けに対する事前のデータ加工と人の判断を省くことでき、自動抽出処理を実現することができる。
【0011】
請求項3記載の発明に係るプロセス加工工程の異常抽出装置は、半導体製造工場の拡散工程等のプロセス加工工程における製品の品質結果情報と製品の品質に影響を与える情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された製品の品質結果情報と製品の品質に影響を与える情報との因果関係を解析する多段階多変量解析手段とを備え、前記多段階多変量解析手段は、入力されたパラメータに基づいて重回帰分析の目的変数と説明変数となるデータを記憶装置から検索するデータ検索部と、検索されたデータから解析用データを作成する解析用データ作成部と、解析用データを多段階で多変量解析して異常抽出処理する自動抽出処理部と、中間処理中の作業用データを記憶する作業用データ記憶部と、これらの処理を制御する中央制御部を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプロセス加工工程の異常抽出方法及び装置の一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
【0014】
図1において、1は異常抽出を行うために必要なパラメータを入力する入力装置、2は品質の結果情報及び品質に影響を与える情報と解析結果情報を記憶しておく記憶装置である。3は異常抽出を行う中央処理装置で、4はその異常抽出を行う多段階多変量解析手段である。5は抽出結果などの表示や印字を行う表示・印字装置である。
【0015】
多段階多変量解析手段4には、記憶装置2から必要な情報を検索するためのデータ検索部A、検索したデータから解析用のデータを作成する解析用データ作成部B、異常抽出するための自動抽出処理部Cとこれらの処理の制御を行う中央制御部Dと、各処理の作業データの記憶、受け渡しをするための作業用データ記憶部Eを備えている。
【0016】
図2に、対象とする加工工程の概念図を示す。拡散工程の各オペレーション(拡散工程での単一の作業)で各々の製造装置を経て製品が製造される。その際、品質に影響を与える情報として、どの装置で製造されたかという製造装置履歴やオペレーションでの製造条件や各オペレーションの結果としてのインライン測定値が蓄積される。また、中間検査工程にて品質結果情報として歩留りや電気的特性が測定される。
【0017】
ロット1では、拡散工程で生産方式は1つであり、ロット2では拡散工程内で生産方式が複数に分割されている。
【0018】
ここで、図3に示すように、平均歩留りがあるとき低下した場合に、その歩留り情報と製造装置履歴情報から因果関係を解析し、歩留り低下に影響する製造装置を抽出する処理について、図4〜図6を参照して説明する。
【0019】
図4にデータ検索部Aの詳細を示す。まず、解析するためのパラメータとして、図3の解析指定対象期間、対象品種等を入力装置1からパラメータ入力部A1に設定する。このとき、品種が少量生産の場合は同一製造条件の製造品種をまとめることにより情報の不足を補う。解析用データ検索部A2で設定されたパラメータにしたがって、ロット1に示すような拡散工程での製造装置の履歴情報と中間検査工程で測定された歩留り情報を検索する。ロット2に示すように、拡散工程内で生産方法が複数(2つ)に分割されている場合は、製造装置の履歴情報と歩留り情報の組合せのデータを複数組み(2組)作成する。作成されたデータを製造装置履歴記憶部E1及び歩留り情報記憶部E2に記憶する。
【0020】
図5に解析用データ作成部Bの詳細を示す。解析不良データ処理部B1では、製造装置履歴記憶部E1から読み込んだ拡散工程内の各オペレーション毎に製造装置の抜けをチェックし、データが抜けているところを「仮装置」としデータの不足を補う。さらに、装置数が1件しかないような解析上ふさわしくない項目を削除し、補正製造装置履歴記憶部E3に登録する。
【0021】
説明変数データ作成部B2では、補正製造装置履歴記憶部E3から読み込んだデータを先頭から一定数のオペレーションだけ抜き出し、歩留り情報記憶部E2と組み合わせて解析用データ記憶部E4に登録する。同様にすべてのオペレーションを一定数ずつ分割し(端数となったオペレーションについては最後の最終オペレーションからさかのぼって一定数となるようにする)、解析用データ記憶部E4に登録する。
【0022】
図6に自動抽出処理部Cの詳細を示す。一次多変量解析処理部C1では、解析用データ記憶部E4から先述した一定数に分割されたオペレーション毎にデータを読み込み、歩留りデータを目的変数、製造装置を説明変数とした重回帰分析(数量化I類)を実行し、変数増減法により分散比F値が高いオペレーションを抽出する。このとき、多重共線性異常が発生した場合はそのオペレーションは解析の範囲から取り除きデータの信頼性を向上させている。その結果は仮解析結果記憶部E5に登録される。すべての分割されたデータに関して一次多変量解析処理部C1の処理を行う。次に二次多変量解析処理部C2で仮解析結果記憶部E5から各分割されたデータの解析結果を読み込み、抽出されたオペレーションに対して一次多変量解析処理部C1と同様の処理を行い分散比F値の高いオペレーションを解析結果記憶部E6に登録する。
【0023】
解析結果表示処理部C3では、解析結果記憶部E6のデータを参照し、オペレーション毎の分散比F値の結果グラフ、製造装置別の平均歩留り、歩留り分布グラフ等を表示・印字装置5を通じて表示する。また、データ保存処理部C4では、記憶装置2に解析結果及びパラメータを登録し、必要に応じて結果表示及びパラメータを変更した再解析を可能としている。
【0024】
以上、歩留り情報と製造装置履歴情報から因果関係を解析し、歩留り低下に影響する製造装置を抽出する処理を説明したが、歩留り情報が電気的特性に変わったり、製造装置情報が製造条件やインライン測定値に変わっても同様(但し、質的変数を扱うのが数量化I類であるのに対し、量的変数の場合は通常の重回帰分析である)である。
【0025】
【発明の効果】
本発明のプロセス加工工程の異常抽出方法および装置によれば、以上の説明から明らかなように、半導体製造工場の拡散工程のような複雑な製造プロセスをもつプロセス加工工程での品質の低下に対して、実態に即して迅速にかつ誰でも品質結果情報と品質に影響を与える情報との因果関係を自動的に解析でき、ひいては品質低下の原因を抽出することができる。これらのことから、歩留りの低下に迅速に対応することができ、歩留りの向上を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロセス加工工程の異常抽出装置の一実施形態の構成図である。
【図2】同実施形態におけるプロセス加工工程の概念図である。
【図3】同実施形態における入力パラメータの説明図である。
【図4】同実施形態におけるデータ検索処理関連の詳細ブロック図である。
【図5】同実施形態における解析用データ作成処理関連の詳細ブロック図である。
【図6】同実施形態における自動抽出処理関連の詳細ブロック図である。
【符号の説明】
2 記憶装置
3 中央処理装置
4 多段階多変量解析手段
A データ検索部
B 解析用データ作成部
C 自動抽出処理部
D 中央制御部
E 作業用データ記憶部

Claims (3)

  1. 半導体製造工場の拡散工程等のプロセス加工工程において、歩留り情報や電気的特性情報等の製品の品質結果情報と、製造装置履歴情報、製造条件情報やインライン測定情報等の製品の品質に影響を与える情報とを用い、これら製品の品質結果情報と製品の品質に影響を与える情報との因果関係を多段階多変量解析手段にて解析し、解析用情報の作成にあたって単一の品種ではデータの数が集まらず解析ができない場合に、同一製造条件の複数の品種をひとくくりとしてまとめて解析することを特徴とするプロセス加工工程の異常抽出方法。
  2. 半導体製造工場の拡散工程等のプロセス加工工程において、歩留り情報や電気的特性情報等の製品の品質結果情報と、製造装置履歴情報、製造条件情報やインライン測定情報等の製品の品質に影響を与える情報とを用い、これら製品の品質結果情報と製品の品質に影響を与える情報との因果関係を多段階多変量解析手段にて解析し、解析用情報の作成にあたって製造装置履歴情報が残っていない場合に、仮装置として登録することを特徴とするプロセス加工工程の異常抽出方法。
  3. 半導体製造工場の拡散工程等のプロセス加工工程における製品の品質結果情報と製品の品質に影響を与える情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された製品の品質結果情報と製品の品質に影響を与える情報との因果関係を解析する多段階多変量解析手段とを備え、前記多段階多変量解析手段は、入力されたパラメータに基づいて重回帰分析の目的変数と説明変数となるデータを記憶装置から検索するデータ検索部と、検索されたデータから解析用データを作成する解析用データ作成部と、解析用データを多段階で多変量解析して異常抽出処理する自動抽出処理部と、中間処理中の作業用データを記憶する作業用データ記憶部と、これらの処理を制御する中央制御部とを備えていることを特徴とするプロセス加工工程の異常抽出装置。
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