JP3575846B2 - メカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はメカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置に係り、特にカム機構とクラッチ手段とを用いて、回転運動から間欠割り出し運動を合理的な構成で得ることができ、このようにして得られた間欠割り出し運動をワークの搬入・搬出を含む搬送動作に利用すると共に、この間欠割り出し運動に対応して作動する多数のメカニカルハンドを組み込んで、多数のワークを一挙にハンドリングすることができるメカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は、ピックアンドプレースユニットにメカニカルハンドを組み込んだ装置を既に提案している(実開平5−26282号公報)。この提案では、揺動回転運動と軸方向往復直線運動とを組み合わせた複合運動を行う出力軸に、単一のメカニカルハンドを取り付け、このメカニカルハンドを正逆方向に旋回運動させると共に出力軸の軸方向へ往復運動させ、この運動によって旋回角度範囲の一方の限界である搬入端から、他方の旋回限界である搬出端へメカニカルハンドでワークを移送するようになっている。またこの際、メカニカルハンドは、搬入端位置で停止されてワークをクランプし、その後ワークをクランプした状態で旋回移動され、搬出端位置で再度停止されてワークをアンクランプし排出する動作を行うようになっている。そして上記提案では特に、これらピックアンドプレース動作と、メカニカルハンドのクランプ、アンクランプ動作とを、単一の出力軸からの運動出力で達成できるようにして、複雑な運動を極めて簡単な構成で得られるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記提案の装置、並びに一般のピックアンドプレースユニットの考え方では、予め設定されている単一の搬入端から単一のメカニカルハンドで単一のワークを取り込み、またこれも予め設定されている単一の搬出端へ排出するという、作動において極めて制限的な運動しか行えないものであった。すなわち、一般的にピックアンドプレースユニットは、単一のメカニカルハンドで単一のワークを設定された揺動回転角度範囲で搬送するというもので、その際のワークの受け入れから排出は、単一の経路のみで行われるようになっている。
【0004】
ここに本願出願人は、このような従来のピックアンドプレースユニットの考え方から脱却することを企図し、出力軸回りの回転軌跡に従うワークの搬送経路に多数のメカニカルハンドを備えるとともにこの搬送経路に多数の停止位置を設定して、多数のメカニカルハンドを、一挙に旋回移動させると共に多数の停止位置で一挙に作動させるようにして、単一種の多数のワークを多数位置から受け入れ、かつまた多数位置で排出することを可能として、一台の装置で一挙に多数のワークを搬送処理できることや、多種のワークを一挙に受け入れ、これを目的の搬出位置で排出するというような、多種のワークに対しても、その搬送の流れを一台の装置の中に持たせながら一挙に搬送処理できること、さらにはこれらの機能を併せ持たせて、複数多種のワークを一挙にハンドリングして搬送することもできるという三方向の要望に応えることができる単一構成の新規な装置の開発に成功したものである。
【0005】
本発明は、上述したような従来の課題に鑑みて創案されたものであり、その目的は、カム機構とクラッチ手段とを用いて、回転運動から間欠割り出し運動を合理的な構成で得ることができ、このようにして得られた間欠割り出し運動をワークの搬入・搬出を含む搬送動作に利用すると共に、この間欠割り出し運動に対応して作動する多数のメカニカルハンドを組み込んで、多数のワークを一挙にハンドリングすることができるメカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るメカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置は、カム機構から、揺動回転運動と軸方向レシプロ運動とを独立に生ずる複合運動が伝達される出力軸と、該出力軸に設けられ、複数の転動体を備えた入力部材と、該転動体を係脱自在に保持可能な複数のポケットを備えた出力部材と、を有し、これら入・出力部材間に発生する負荷に応じて断続されるクラッチ手段であって、該クラッチ手段が接続されている場合には、上記転動体が上記ポケットに保持された状態で、上記入力部材と上記出力部材とが一体的に回転可能であり、該クラッチ手段が切断されている場合には、上記転動体が上記ポケット間を転動しつつ、上記入力部材が上記出力部材に対し相対的に回転可能なクラッチ手段と、上記出力軸の軸方向レシプロ運動に伴って運動する上記クラッチ手段の上記出力部材が係脱自在に係合して、該クラッチ手段を断続作動させるクラッチ作動手段と、上記クラッチ手段が接続されている場合には、上記出力部材の回転運動が伝達されて回転移動動作を行い、かつ、上記クラッチ手段が切断されている場合には、上記出力部材に対する上記出力軸の相対回転運動が伝達されてクランプ動作を行うメカニカルハンドと、を備え、上記クラッチ手段が接続されている状態で上記出力軸を回転させることにより、上記メカニカルハンドを回転移動させる第一動作と、上記クラッチ手段が切断されている状態で上記第一動作における上記出力軸の回転方向とは逆方向に該出力軸を回転させることにより、上記メカニカルハンドをクランプ動作させる第二動作と、を複数回繰り返し、上記複数の転動体は、上記入力部材の周方向に沿って等間隔に設けられており、かつ、上記複数のポケットは、上記出力部材の周方向に沿って等間隔に設けられており、上記転動体の数と上記ポケットの数は同数であり、上記第二動作において、上記出力軸を回転させると、該出力軸の回転開始の際に、上記複数のポケットの各々から転動体が離脱し、該出力軸の回転終了の際に、上記複数のポケットの各々に転動体が収まることを特徴とする。
【0007】
また、前記揺動回転運動が、停留期間を有する間欠的なオシレート運動であり、前記軸方向レシプロ運動は、順次間欠的に生成される上記停留期間に対して交互に、前記クラッチ手段の前記出力部材に、前記クラッチ作動手段に係合させる進出運動と離脱させる後退運動とのいずれか一方を生じさせることを特徴とする。
【0009】
【作用】
請求項1に係る発明の作用について説明すると、出力軸は、カム機構から伝達される回転運動とその軸方向に沿うレシプロ運動とを独立して個別に行うように運動される。具体的には出力軸は、カム機構から伝達される回転運動によってある回転角度で回転された後、ある一定期間停止され、その後さらにある回転角度で回転された後、さらにある一定期間停止されるという、間欠的な回転運動を繰り返す。他方、出力軸はさらに、このような間欠的な回転運動におけるいずれかの停留期間において少なくとも一方向に進出する軸方向のレシプロ運動を行った後ある一定期間停止され、その後のいずれかの停留期間において少なくとも反対方向に後退する軸方向のレシプロ運動を行った後にある一定期間停止されるという、レシプロ運動を繰り返す。すなわち出力軸は、回転運動するとともに、その間のいずれかの停留期間中において、少なくともいずれか一方向に進退するレシプロ運動を行うことになる。
【0010】
このような運動を行う出力軸には、断続制御されるクラッチ手段が設けられる。このクラッチ手段は、出力軸に設けられた入力部材と、この入力部材に対して相対回転可能な出力部材とを備えていて、これら入・出力部材間に発生する回転負荷に応じて、すなわち回転負荷が小さいときには入・出力部材を一体に接続し、他方、回転負荷が大きいときには、両者を切り離して出力部材の入力部材に対する相対回転を許容するようになっている。従ってこのクラッチ手段は、回転負荷が小さいときには入力部材と出力部材とを共に出力軸の回転に従って回転運動させ、他方、回転負荷が大きいときには、出力軸に従って回転運動する入力部材に対し、出力部材を相対的に回転させるように断続されるようになっている。
【0011】
このように作動されるクラッチ手段にその断続動作を行わせるべく、その入・出力部材間の回転負荷を制御する操作がクラッチ作動手段によって行われる。すなわち、回転運動の停留期間の際、出力軸がその軸方向にレシプロ運動するのに伴ってクラッチ手段も移動され、このクラッチ手段の移動によってその出力部材がクラッチ作動手段に対して係合され、若しくは離脱されるようになっている。具体的には、いずれかの回転運動の停留期間に出力部材をクラッチ作動手段に向かって進出させる出力軸の一方向へのレシプロ運動とその停止によって、出力部材がクラッチ作動手段に係合しているときには、出力軸の回転運動の再開により出力軸とともに出力部材が回転しようとしても、その回転運動はクラッチ作動手段によって制止される。この制止作用により、入力部材と出力部材との間に大きな回転負荷を発生させることができ、クラッチ手段は切り離される。このクラッチ手段の切断より、入力部材が出力軸とともに回転運動する一方で、出力部材は入力部材に対する相対回転が許容されて、制止されたままとなる。他方、その後のいずれかの回転運動の停留期間における、出力部材をクラッチ作動手段から後退させる出力軸の反対方向へのレシプロ運動とその停止によって、出力部材がクラッチ作動手段から離脱している場合には、出力部材と入力部材との間にクラッチ作動手段による回転負荷の発生はなく、従ってクラッチ手段は接続状態となる。このクラッチ手段の接続状態では、出力軸の回転運動の再開により、出力部材は入力部材とともに出力軸の回転角度で回転することになる。
【0012】
このように、出力軸はカム機構から伝達される回転運動を継続する一方で、出力部材は、カム機構による出力軸のレシプロ運動に基づく、クラッチ作動手段によるクラッチ手段の断続制御によって、制止動作と回転動作とを繰り返すこととなり、これにより間欠回転運動されることになる。そして、この間欠回転運動の際の位置割り出しは、カム機構のカム曲線と、上下動されるクラッチ手段の出力部材に係合しこれを制止させるクラッチ作動手段とによって的確に確保されることとなり、これにより確動の間欠割り出し運動を得ることができる。
【0013】
すなわち、本発明の間欠割り出し装置は基本的に、ドエルによって確実な停留状態を創出することができて運動全体の確動を容易かつ確実に得ることができる、高速運動安定性及び高い信頼性を有するカム機構という機械要素を用いて構成され、このカム機構によって得られた回転運動から、出力軸のレシプロ運動に伴ってクラッチ作動手段により制御されるクラッチ手段の断続により間欠回転運動が取り出され、この間欠回転運動においてさらにクラッチ作動手段の出力部材に対する係合動作で割り出し位置が保持されて、確動の間欠割り出し運動を合理的に高精度で得ることができる。殊に本発明にあっては、既存のピックアンドプレースユニットにおける作動原理を適用しながら、これとは全く異なる動きが要求される間欠割り出し運動を、カム機構とクラッチ手段とを用いて合理的な構成で得ることができる。
【0014】
また、出力部材の位置割り出し精度は本質的に、カム機構に備えられるカム曲線によって高い精度で確保され、さらにこのカム機構によって位置割り出しされた出力部材の不必要な回りを、クラッチ作動手段によって完全に阻止することができる。
【0015】
そして上述してきたように、出力軸は常にカム機構から伝達される運動に従って回転運動を行い、またそれと同時に出力部材は、クラッチ手段の断続制御に従って間欠回転運動を行うもので、これらの2種類の運動が単一の出力軸から同軸で出力されることになる。そしてこのような2種類の運動系において、割り出し位置で制止されている出力部材に対し、出力軸を相対回転運動させるようにし、この相対回転運動の出力をメカニカルハンドに伝達して割り出し位置でのクランプ動作に利用できるようになっている。これにより、メカニカルハンドは、出力部材が制止される間欠割り出し運動の割り出し位置においてクランプ、アンクランプのクランプ動作を行うことができる。間欠割り出し運動における割り出し位置は、出力軸回りに多数設定することができると共に、この割り出し位置の全て、若しくはいずれかに対応させて多数のメカニカルハンドを備えることができて、多数の割り出し位置で作動する多数のメカニカルハンドを配設することができる。これにより、出力軸回りの回転軌跡に従うワークの搬送経路に多数のメカニカルハンドを備えるとともにこの搬送経路に多数の停止位置を設定して、多数のメカニカルハンドを、一挙に旋回移動させると共に多数の停止位置で一挙に作動させることができる。従って、単一種の多数のワークを多数位置から受け入れ、かつまた多数位置で排出することを可能として、一台の装置で一挙に多数のワークを搬送処理できることや、多種のワークを一挙に受け入れ、これを目的の搬出位置で排出するというような、多種のワークに対しても、その搬送の流れを一台の装置の中に持たせながら一挙に搬送処理できること、さらにはこれらの機能を併せ持たせて、複数多種のワークを一挙にハンドリングして搬送することもできる単一構成の装置を得ることができる。
【0016】
要するに、カム機構とクラッチ手段とを用いて、回転運動から間欠割り出し運動を合理的な構成で得、このようにして得られた間欠割り出し運動をワークの搬入・搬出を含む搬送動作に利用できると共に、この間欠割り出し運動に対応して作動する多数のメカニカルハンドを組み込んで、多数のワークを一挙にハンドリングすることができる。
【0017】
また請求項2に係る発明の作用について説明すると、上記請求項1に係る発明における出力軸の複合運動を前提として、上記の出力軸の回転運動を、上記の軸方向レシプロ運動が行われる停留期間を備えたオシレート運動とし、出力軸の軸方向レシプロ運動については、クラッチ手段の出力部材のクラッチ作動手段に対する進出・後退のいずれかの一方の動作を、順次間欠的に生じる各停留期間に対して交互に生じさせるようになっている。要するに、一方向へ回転しまた戻るというオシレート運動に対し、出力軸は例えば、往運動の後の停留期間では必ずクラッチ手段の出力部材をクラッチ作動手段に向かって進出させ、復運動の後の停留期間には必ず後退させるというレシプロ運動を行う。
【0018】
具体的には、出力軸が最初に一方向に回転する。このときには、クラッチ手段が接続されていて、出力部材が入力部材とともに出力軸によって回転される。その後ある一定期間停止する。この停留期間中に、出力軸がクラッチ手段の出力部材をクラッチ作動手段に向かって進出させるように一方向へ運動して出力部材をクラッチ作動手段に係合させ、その状態で一定期間停止する。このような係合状態で、その後出力軸は、次の反対方向に戻る回転運動を行うことになる。この戻り回転の際には、クラッチ作動手段による回転負荷の発生でクラッチ手段は切り離され、入力部材が出力軸とともに戻り回転する一方で、出力部材は制止される。その後の戻り回転後の停留期間中には、出力軸は前回とは逆に、出力部材をクラッチ作動手段から後退させるように反対方向へ運動して出力部材をクラッチ作動手段から離脱させ、その状態で一定期間停止する。これによりクラッチ手段が接続状態となり、その後の出力軸の一方向への回転運動の際には、出力部材が出力軸とともに回転する。そしてこの運動を反復的に繰り返すことになる。
【0019】
すなわち、出力軸の一方向への回転運動時は、クラッチ手段の接続によって出力部材は出力軸と一体に一定の揺動回転角度で回転し、それ以外の期間中は、出力軸の回転運動の停留期間とクラッチ手段の切断とにより停止しているという、一方向への間欠回転運動を行い、これによって間欠割り出し運動が得られることになる。またこの際、出力軸は、出力部材の運動とは別個に、カム機構からのオシレート運動に従って回転運動される。
【0020】
このような運動構成にあっても、請求項1の発明と同様に、出力部材に対する出力軸の相対回転運動の出力をメカニカルハンドに伝達することで、メカニカルハンドは、出力部材が制止される間欠割り出し運動の割り出し位置においてクランプ、アンクランプのクランプ動作を行うことができ、請求項1と同様な作用を発揮することになる。
【0021】
当該オシレート運動に関しては、カム機構におけるカム曲線で得られるオシレート運動の揺動回転角度範囲には制限がなく、従って180°以上の角度範囲のオシレート運動を創り出すこともできる。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の好適な実施例を、添付図面に従って詳述する。図1〜図3には、本実施例に係るメカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置が示されている。30は、中空箱体状のハウジングであり、このハウジング30には、その一側壁30aから相対向する他側壁30bに亘って水平に貫通させて入力回転軸31が設けられる。この入力回転軸31は、ハウジング30のこれら側壁30a,30bに軸受71等を介して回転自在に支持され、モータ等の駆動源によって一方向に回転駆動されるようになっている。
【0024】
この入力回転軸31には、ハウジング30内部においてカム機構32が設けられる。このカム機構32は、入力回転軸31に固定された、揺動回転カム33と上下動カム36とを一体的に備える複合カム35と、揺動回転カム33の従節となるターレット34および上下動カム36の従節となるリフトアーム37とから構成される。
【0025】
まず、従節となるターレット34とその取付支持構造について説明すると、このターレット34は、下端部が径方向外方へ膨出された中空筒体状に形成され、ハウジング30の上下方向に沿って配設されるようになっている。一方、ハウジング30の天井面30cには、開口部30dが形成され、この開口部30dの下縁部には、その周方向に沿って径方向内方へ突出させてリング状の鍔部30eが形成される。そしてこの開口部30dには、ターレット34を支持するための中空円筒体状のスリーブ41が装着される。円筒体状のスリーブ41の上端部外周縁には、その周方向に沿って径方向外方へ突出させてフランジ部41aが形成され、このフランジ部41aが開口部30d内の鍔部30eに上方から重ね合わされ、これらフランジ部41aと鍔部30eとがボルト42で締結されて、ハウジング30にスリーブ41が固定される。この中空円筒体状のスリーブ41内には、その上端開口から下端鍔部との間に、リング状のスペーサ43によってスリーブ41の軸方向に間隔を隔てて、リング状の軸受44が一対装着される。そして、ターレット34は、このスリーブ41内に挿入されこれら軸受44によって回転自在に支持されて、取り付けられる。なお、スリーブ41の上端開口に位置されるスペーサ43とターレット34との間には、リング状のシール材45が装着されている。そしてこのようにハウジング30に回転自在に支持された中空筒体状のターレット34は、その膨出された下端部から水平方向外方へ突出させて配設されたローラ34aを介して揺動回転カム33の運動が伝達されて、回転駆動されるようになっている。
【0026】
複合カム35に備えられる揺動回転カムとして、本実施例にあっては、いわゆるローラギヤカム33が採用されている。このローラギヤカム33には、図2に示したように、入力回転軸31回りの外周表面にその周方向に沿って、1つのテーパリブ33aが形成され、このテーパリブ33aの両側壁に一対のリブ面33bが形成されて、これらリブ面33bがローラ34aの摺接面として構成されるようになっている。
【0027】
他方、上述したターレット34のローラ34aは、ターレット34の周りに当該ローラギヤカム33のテーパリブ33a側に向かってそれぞれ突出されている。これらローラ34aは、ターレット34に回転自在に取り付けられており、ローラギヤカム33に形成された一対のリブ面33bそれぞれに摺動回転自在に摺接されるようになっている。そしてこれらローラ34aは、テーパリブ33aに拘束されつつ案内されて、テーパリブ33aによってローラギヤカム33に創出されたカム曲線に沿って移動され、この移動に従ってターレット34がオシレート運動されるように構成される。
【0028】
具体的には、図4に示したように、揺動回転カムとしてのローラギヤカム33には、入力回転軸31の回転運動に伴いその回転角の増加に従ってターレット34を旋回させて任意の旋回角αまで回転させ、その後ドエルによって一定期間ターレット34を停止させ、その後さらに入力回転軸31の回転角の増加に従ってターレット34を戻り方向に旋回させて旋回角0°まで戻し回転させ、その後再びドエルによって一定期間ターレット34を停止させるカム曲線が形成される。本実施例では、入力回転軸31の360°の1回転の期間において、最初の90°の範囲でターレット34を旋回角αまで回転させ、その後の180°の範囲でターレット34を停止させ、その後の270°の範囲でターレット34を旋回角0°まで戻し回転させ、さらにその後の360°の範囲でターレット34を停止させ、その後の入力回転軸31の回転で再度ターレット34を旋回角αまで回転させていく動作を反復するようにカム曲線が設定されている。すなわち、揺動回転カム33は、入力回転軸31の回転運動を、停留期間を有する間欠的なオシレート運動に変換するように構成される。
【0029】
殊に本実施例で採用しているローラギヤカム33のテーパリブ33aとローラ34aとからなる構造は、拘束型でしかも予圧構造になっているため、バックラッシがなく、剛性が高く、高速駆動に適しており、特に割り出し装置の駆動用カムとして好ましい。しかしながら、揺動回転カム33としては、上記ローラギヤカムに限定されることなく、その他の平面カムや立体カム、例えば板カム、溝カム、端面カム、円筒リブカム、円筒溝カム、円錐端面カム、円錐溝カム、樽形溝カム、鼓形溝カムなど、いずれのカムを適用してもよいことはもちろんである。
【0030】
他方、図1および図2に示すように、上記複合カム35にはさらに、上記ローラギヤカム33と一体的に上下動カム36が備えられる。本実施例にあっては、上下動カムとしていわゆる平面溝カム36が採用されている。この平面溝カム36は、ローラギヤカム33の側壁面に、入力回転軸31回りに沿って所定のカムプロフィールで溝36aが刻設されて構成される。
【0031】
この平面溝カム36の従節となるリフトアーム37は、ハウジング30内部で入力回転軸31に干渉しないその下方位置に、ほぼ水平に配設される。そしてリフトアーム37は、その一端の回動中心37aがハウジング30に支持ピン72で回転自在に支持されるとともに、他端のリフト端37bが後述する出力軸40の下端に係合されて、ハウジング30内でリフト自在に取り付けられる。さらにリフトアーム37の中間部分には、平面溝カム36の溝36aに向かって突出させてローラ37cが回転自在に設けられ、このローラ37cは、平面溝カム36の溝36aに摺動回転自在に係合されるようになっている。そしてこのローラ37cは、溝36aに案内されつつ平面溝カム36に創出されたカム曲線に沿って移動され、この移動に従ってリフトアーム37はその回動中心37a回りに上下に運動されるように構成される。
【0032】
具体的には、図4に示したように、上下動カムとしての平面溝カム36には、入力回転軸31の回転運動に伴い最初はドエルに従って一定期間リフトアーム37を停止させ、その後の回転角の増加によってリフトアーム37を所定の変位量βで下方へ進出運動させ、その後さらにドエルによって一定期間リフトアーム37を停止させ、その後再び回転角の増加に従ってリフトアーム37を変位量0の位置まで上方へ後退運動させるカム曲線が形成される。本実施例では、入力回転軸31の360°の1回転の期間において、最初の90°の範囲ではリフトアーム37を停止させ、その後の90°〜180°の範囲においてリフトアーム37を変位量βまで下方に進出移動させ、その後270°までの範囲でリフトアーム37を停止させ、さらにその後の270°〜360°の範囲においてリフトアーム37を変位量0まで上方に後退移動させ、その後、次回転の90°の範囲まではリフトアーム37を停止させる動作を反復するようにカム曲線が設定されている。
【0033】
このようなカム曲線によるリフトアーム37の運動は、図4のカム線図から明らかなように、順次間欠的に生成される揺動回転カム33の各停留期間に対し、リフトアーム37の上昇運動と下降運動とのいずれか一方の運動を交互に生じさせることになる。
【0034】
上下動カム36としては、上記平面溝カムに限定されることなく、その他の平面カムや立体カム、例えば溝カム、端面カム、円筒リブカム、円筒溝カム、円錐端面カム、円錐溝カム、樽形溝カム、鼓形溝カム、ローラギヤカムなど、いずれのカムを適用してもよいことはもちろんである。
【0035】
このように構成されたカム機構32から、回転運動と軸方向レシプロ運動とを独立に生ずる複合運動、具体的には間欠的なオシレート運動と、当該オシレート運動の停留期間での軸方向レシプロ運動とが伝達される出力軸40について説明する。出力軸40は図1に示すように、ハウジング30内部からその天井部30cを貫通して外方へ延出される軸体状に形成され、その下端にリフトアーム37のリフト端37bが係合される係合部40aを有する。またこの出力軸40は図2に示したように、係合部40aの上方がターレット34の中空部に軸方向に沿ってスプライン嵌合されて取り付けられる。そしてこのスプライン嵌合によって、出力軸40はターレット34に対し、軸方向にスライド自在であって、かつ回転方向に一体に装着されることになる。またこの出力軸40の下端部の係合部40aは、上下一対の係合フランジ40bによって出力軸40回りに区画形成された環状の案内摺動溝40cで構成される。そしてリフトアーム37のリフト端37bに回転自在に設けられたローラ37dが、これら係合フランジ40bに上下方向から拘束されつつ案内摺動溝40cに回転摺動自在に係合される。そして平面溝カム36によってリフトアーム37がその回動中心37a回りに上下動する運動が、ローラ37dを介して出力軸40に入力され、これにより出力軸40がターレット34に対し軸方向に沿ってスライドして、往復上下運動するようになっている。
【0036】
このようにしてハウジング30に回転自在かつ上下レシプロ運動自在に取り付けられた出力軸40のハウジング30外方へ延出された端部側には、クラッチ装置46が設けられる。このクラッチ装置46は図1に示すように、出力軸40に設けられた入力部材としての筒体47と、この筒体47に対して相対回転可能な出力部材としての円盤48とを有し、これら筒体47と円盤48との間に発生する回転負荷に応じて断続されるように構成される。
【0037】
詳述すると、図1および図5に示すように、出力軸40のハウジング30外方へ延出された部分には、段違いに縮径された縮径部が形成され、この縮径部には、当該出力軸40を囲繞する円筒状部材49がキー部材50によって一体的に固設される。この円筒状部材49には、さらにその外側に入力部材としての筒体47が一体的に装着される。この筒体47には、その上端部側にその周方向に沿ってこれより外側に突出させて外フランジ部47aが形成されるとともに、下端部には、後述するコイルスプリング51の下端を支持するリング状の下部リテーナ52が取り付けられる。他方、筒体47の外フランジ部47a回りには、その下面側から側面側を取り囲むドラム状に形成され、さらにその内周縁側にコイルスプリング51の上端が係止される内鍔部53aを有する上部リテーナ53が設けられる。そして出力軸40を囲繞しつつこれらリテーナ52,53間に装着されるコイルスプリング51は、下部リテーナ52に反力をとって上部リテーナ53を常時上方へ付勢するように構成される。
【0038】
他方、筒体47の上部には、外フランジ部47aにその上方から重ね合わせて出力部材である円盤48が設けられる。この円盤48は、円筒状部材49と筒体47とによって上下方向から挟み込まれる配置で、かつ円筒状部材49を取り囲むようにして設けられ、またこの円盤48と当該円筒状部材49および筒体47との間にはそれぞれ、ベアリング54が介設される。従って、円盤48は、出力軸40に一体的に設けられてこれとともに回転運動する円筒状部材49および筒体48に対して、出力軸40回りに相対回転可能に取り付けられている。そしてこのように構成された円盤48上には、これに重ねて平面十字形状の割り出しフレーム55が設けられ、両者はボルト56で締結される。なお、割り出しフレーム55には、その中央部に、円筒状部材49を含めて出力軸40を貫通突出させるための穴部55aが形成されている。
【0039】
このように構成された円盤48と、筒体47の外フランジ部47aと、上部リテーナ53との間において、外フランジ部47aには、出力軸40回りのその周方向に沿って間隔を隔てて複数個の切欠部47bが形成され、これら切欠部47bにはそれぞれ円筒体状の転動体57が回転自在に装着される。またこの切欠部47bに対応させて円盤48の下面には、転動体57の円筒面上部が摺接されるポケット48aが形成される。殊にこのポケット48aは、出力軸40回りの筒体47と円盤48との相対回転方向に沿って傾斜されたテーパ面で形成され、転動体57を係脱自在に保持するようになっている。また上部リテーナ53には、外フランジ部47aの切欠部47b下方に、筒体47と円盤48との相対回転方向に沿って環状に、転動溝部53bが形成される。そして転動体57は、これらポケット48aと切欠部47b内とに収容され得る外径寸法で形成され、ポケット48aから離脱された際には、切欠部47bから下方へ突出されて、上部リテーナ53の転動溝部53b内にこれに沿って転動されるようになっている。
【0040】
ところで、切欠部47bおよびこれに対応するポケット48aの形成位置は、上述した揺動回転カム33によって与えられる旋回角αに一致させて設定され、一般的には、出力軸40が1回転する期間(360°)を、割り出し回数Sで除算することによって与えられる旋回角αに設定される。本実施例では図5(A)に示したように、旋回角αが90°の場合が示されており、従って90°間隔で4カ所に設定されている。
【0041】
クラッチ装置46の作動について説明すると、クラッチ装置46の接続状態が図5(B)にトルク伝達状態として示されている。筒体47と円盤48との間に発生する負荷が小さく、従ってコイルスプリング51の弾発付勢力が上部リテーナ53を筒体47の外フランジ部47aの下面に当接させ、かつ転動体57が外フランジ部47aの切欠部47bと円盤48のポケット48aとに収容されて保持されている図示の状態では、入力部材である筒体47と出力部材である円盤48とが転動体57を介して一体的に接続される。従って、クラッチ装置46は接続状態にあって、円盤48には出力軸40の回転トルクが筒体47を介して伝達されて、円盤48、ひいては割り出しフレーム55は出力軸40とともに一体的に回転運動する。
【0042】
次に、クラッチ装置46の切り離し状態が、図5(C)にトルク遮断状態として示されている。円盤48と筒体47との間に大きな負荷が発生すると、例えば円盤48が制止されるような負荷が加わると、円盤48のポケット48aと、筒体47の外フランジ部47aの切欠部47bとの間に収容されていた転動体57は、制止された円盤48に対し出力軸40からの回転トルクを受けて回転を継続しようとする筒体47に押されて、コイルスプリング51の弾発付勢力に抗して上部リテーナ53を押し下げつつ、ポケット48aのテーパ面に沿って当該ポケット48aから離脱する。これにより、クラッチ装置46が切断される。そして転動体57は、コイルスプリング51の弾発付勢力により円盤48と上部リテーナ53との間に挟み込まれた状態で、切欠部47b内で転動しつつ上部リテーナ53の転動溝部53b内を転がることとなり、この結果、筒体47は、制止された円盤48に対して相対回転していくことになる。この期間中、クラッチ装置46は切り離し状態となり、出力軸40とともに筒体47が回転する一方で、出力軸40の回転トルクの円盤48への伝達が遮断され、割り出しフレーム55は停止する。すなわち、コイルスプリング51に設定したセット荷重を超える負荷が円盤48と筒体47との間に発生すると、転動体57がコイルスプリング51の付勢力に抗してポケット48aから離脱してクラッチ装置46が切断されるようになり、転動体57の離脱している回転角度範囲である旋回角αにおいて、筒体47と円盤48との相対回転が発生することになる。
【0043】
その後図5(D)に示したように、転動体57が次のポケット48aに収まると、円盤48と筒体47との間の負荷がコイルスプリング51のセット荷重以下であることを条件にクラッチ装置46が接続されて、再びトルク伝達状態が得られ、出力軸40とともに円盤48および割り出しフレーム55が回転されるようになっている。本実施例では上述したように、旋回角αが90°の設定とされていることから、図5に示したように、一回のトルク遮断状態(クラッチ切断状態)は90°の回転角度範囲で生ずるようになっている。
【0044】
このように構成されたクラッチ装置46にその断続動作を行わせるべく、その入・出力部材である筒体47と円盤48との間の回転負荷を制御する操作がクラッチ作動手段であるストッパ38によって行われる。このストッパ38は図1及び図3に示すように、ハウジング30の天井面30c上に、出力部材である円盤48に一体的に取り付けられた割り出しフレーム55の下面に対して下方から臨ませて設けられる。このストッパ38は、台部38aとこの台部38aの中央から立設された縦壁38bとからなる逆T字状のブロックでなり、割り出しフレーム55の周縁位置に配置される。このストッパ38上方の割り出しフレーム55下面には、その周方向に沿って旋回角αの間隔を隔てて、当該ストッパ38に係脱自在に係合される係合体39が複数設けられる。これら係合体39は、割り出しフレーム55下面にボルト58で固定された支持ブロック39aと、この支持ブロック39aから割り出しフレーム55の周縁外方へ向かって水平に突出させて回転自在に設けられ、ストッパ38の縦壁38bを両側から挟み込むように、当該縦壁38bに回転摺動自在に摺接しつつ係合する一対のローラ39bとから構成される。そして係合体39は、出力軸40による割り出しフレーム55の上下運動に従って、ストッパ38に対しその上方から進退自在に進入して係脱自在に係合するようになっている。
【0045】
そしてハウジング30に設けられたストッパ38は、出力軸40によって割り出しフレーム55が変位量βで進出移動されてその係合体39が係合することにより、割り出しフレーム55の移動を制止し、これにより出力部材である円盤48側の回転負荷を増大させて、クラッチ装置46を切り離し作動させるクラッチ作動手段として機能するとともに、係合している割り出しフレーム55の位置を的確に保持する位置決め手段として機能されることになる。この作用は、図4において入力回転軸31の180°〜270°の回転角度範囲においてなされる。他方、係合体39は、割り出しフレーム55が出力軸40によって上下動されたり、変位量0の位置に維持されるときには、ストッパ38から離脱され、これにより割り出しフレーム55、ひいては円盤48には当該ストッパ38による何らの回転負荷も発生せず、クラッチ装置46を接続状態に制御できるようになっている。この作用は、図4において入力回転軸31の270°〜次回の180°の回転角度範囲においてなされる。
【0046】
このようにして間欠割り出し運動される割り出しフレーム55よりも上方へ突出されてオシレート運動される出力軸40の軸端部には、図1及び図3に示すように、割り出しフレーム55に対する当該出力軸40の相対回転運動が伝達されて回転駆動される駆動カム73が設けられる。本実施例にあっては、この駆動カム73として板カムが採用されている。また割り出しフレーム55上には、上述した揺動回転カム33によって与えられる旋回角αに一致させて、具体的には図5(A)で説明したように90°間隔で4カ所に、メカニカルハンド74が配設される。図示例にあっては、これらメカニカルハンド74は、十字形状の割り出しフレーム55の4つの突出端それぞれに、これより水平方向外方へ突出させて設けられている。
【0047】
これらメカニカルハンド74それぞれは図6に示したように、中央の湾曲凹部75aを挟んで互いに鈍角の関係で反対方向に延出されたクランプアーム部75b及び入力側アーム部75cを備える一対のクランプ片75によって、いわゆる洗濯バサミのようなクリップ様に構成される。そして、これらクランプ片75の湾曲凹部75aの内側が割り出しフレーム55上に突設された支持ピン76周りに回転自在に摺接されるとともに、さらにこの湾曲凹部75aの外側が、同様に割り出しフレーム55上に回転自在に支持されたローラ77に摺接されて、これら支持ピン76とローラ77とに回転自在に狭持され、支持ピン76周りにクランプアーム部75b及び入力側アーム部75cが互いに反対に拡縮され、これによりクランプアーム部75bがクランプ動作されるようになっている。また、一対のクランプ片75の入力側アーム部75c間には、これら両者を引きつけてクランプアーム部75bを拡張状態、すなわち開放状態に設定するためのバネ78が設けられ、当該バネ78によってメカニカルハンド74は通常時アンクランプ状態とされるように構成されている。なお、この設定は反対に構成することもできる。
【0048】
このように構成されたメカニカルハンド74と上記板カム73との間には、当該板カム73に駆動されてメカニカルハンド74を動作させるための駆動手段79が設けられる。この駆動手段79は図3及び図6に示すように、割り出しフレーム55上で板カム73側からメカニカルハンド74側に向かってスライド移動自在に設けられたスライダ80と、このスライダ80上に回転自在に立設され、板カム73に摺接されるローラフォロワ81と、割り出しフレーム55上に固設され、スライダ80を割り出しフレーム55上に保持しつつそのスライド移動を案内するための一対のスライドガイド82とから構成される。スライダ80は、メカニカルハンド74側に臨む先端が楔形状で順次先細りに形成されると共に、後端側の凸部80aには上記ローラフォロワ81が回転自在に取り付けられ、さらにその後端側両側面がスライドガイド82に嵌入される。スライドガイド82それぞれは、断面L字状に形成され、スライダ80の後端部両側面をその上下左右から挟み込んでその移動を許容しつつ割り出しフレーム55上に保持するようになっている。このように構成されたスライダ80は、その先端がクランプ片75の入力側アーム部75c間に挿入されると共に、後端側のローラフォロワ81が板カム73に回転摺動自在に摺接される。そしてこのローラフォロワ81は、板カム73に創出されたカム曲線に沿って移動され、この移動に従ってスライダ80を移動させるようになっている。スライド移動されるスライダ80は、その先端が一対のクランプ片75の入力側アーム部75c間にバネ78に抗して挿抜され、この先端の楔形状によって入力側アーム部75cが順次拡縮されることに応じてクランプアーム部75bが逆に拡縮されて、クランプ、アンクランプの作動が行われることになる。このような作動において、上記バネ78は、スライダ80の戻りに際してこれを入力側アーム部75cから押し出してクランプ片75を戻し動作させるとともに、その弾発力によって板カム73とローラフォロワ81との摺接状態を維持すべく機能するようになっている。
【0049】
具体的な作動状態を、ポジション▲1▼のメカニカルハンド74(図3のアンクランプ状態参照)を例にとって説明すると、まず基本的に割り出しフレーム55の回転運動期間中にあっては、当該メカニカルハンド74は初期のアンクランプ状態を維持し、クランプ動作されない。この期間中は、割り出しフレーム55と出力軸40とが一体に回転し、これら両者間に相対回転運動が生じない期間であることから、出力軸40の板カム73と、割り出しフレーム55のメカニカルハンド74及び駆動手段79との間には相対的な運動は発生せず、従って駆動手段79のスライダ80は移動せず、メカニカルハンド74は作動されない(入力回転軸31の0°〜90°の回転角度範囲参照)。またその他の揺動回転カム33のドエルに従う停留期間にあっても、出力軸40は上下運動するのみであり、当該出力軸40及び割り出しフレーム55は回転運動することはなく、メカニカルハンド74はそのときの状態を維持して動作されない(入力回転軸31の90°〜180°及び270°〜360°の回転角度範囲参照)。これに対し、出力軸40と割り出しフレーム55との間に相対回転を発生させるためのストッパ38によるクラッチ装置46の切り離し操作がなされて、割り出しフレーム55が停止されている状態で出力軸40が回転運動される(入力回転軸31の180°〜270°の回転角度範囲参照)と、ここで初めて出力軸40の板カム73と割り出しフレーム55の駆動手段79との間に相対回転運動が発生し、板カム73によってローラフォロワ81がスライダ80を順次クランプ片75側へ移動させて、当該メカニカルハンド74を図示しないクランプ状態から図示しているアンクランプ状態へと動作させていく。このクランプ動作は、クラッチ装置46の切り離し状態において完了され、その後出力軸40と割り出しフレーム55との相対回転が終了しクラッチ装置46が接続される際には、アンクランプ状態が安定化した状態となるように設定されている。本実施例では、4つのメカニカルハンド74の反対側に位置するもの同士が反対の動きを行うように設定されていて、図3に示した状態では、ポジション▲3▼のメカニカルハンド74(図3のクランプ状態参照)は、ポジション▲1▼のメカニカルハンド74と逆の動きを行うようになっている。このようなクランプ動作を行わせるカム曲線が板カム73に形成される。本実施例では、入力回転軸31の360°の1回転の期間において、180°〜270°までの範囲でクランプ動作させ、それ以外の回転角度状態ではクランプ動作完了状態を維持させるカム曲線が板カム73に設定され、図4のカム線図から明らかなように、出力軸40と割り出しフレーム55とが相対回転運動される期間でクランプ動作を生じさせることになる。
【0050】
駆動カム73としては、上記板カムに限定されることなく、その他の平面カムや立体カム、例えば溝カム、端面カム、円筒リブカム、平面溝カム、円筒溝カム、円錐端面カム、円錐溝カム、樽形溝カム、鼓形溝カム、ローラギヤカムなど、いずれのカムを適用してもよいことはもちろんである。
【0051】
以上の構成の作用について、図4のカム線図と図7とを参照しつつ、メカニカルハンド74によるワークの搬送状態を想定して説明する。図7では、ポジション▲1▼が搬出端とされ、ポジション▲3▼が搬入端とされて、ワークをメカニカルハンド74でポジション▲3▼からポジション▲1▼へ搬送する例が示されている。従って、ポジション▲2▼の位置では、ワークを搬送するメカニカルハンド74のクランプ状態が維持される一方、ポジション▲4▼の位置では、メカニカルハンド74はワークを搬送しないアンクランプ状態が維持されるようになっている。このワーク搬送状態をメカニカルハンド74aを中心にして説明する。図7(A)の初期状態では、メカニカルハンド74aは搬入端(ポジション▲3▼)で何らかのワークをつかんでクランプ状態にある。このとき、メカニカルハンド74bはこれも何らかのワークをつかんで搬入端から搬出端に向かって搬送している状態(ポジション▲2▼)にある。またメカニカルハンド74cは、搬出端(ポジション▲1▼)でワークを離して排出したアンクランプ状態にある。さらにメカニカルハンド74dは、次のワークの受け入れのために搬出端から搬入端に移動している状態(ポジション▲4▼)にある。
【0052】
次に、図4のカム線図に示されているように、入力回転軸31の1回転360°の回転運動において、入力回転軸31が90°まで回転する間にカム機構32の揺動回転カム33はターレット34を介して、出力軸40に旋回角α(=90°の割り出し角度)の一方向への回転を出力する。このときは、上下動カム36はドエルによってリフトアーム37を停止させており、出力軸40を変位量0の位置に停止させている。これによりクラッチ装置46には大きな回転負荷は発生せず、従ってクラッチ装置46は接続状態で筒体47と円盤48とが一体的に回転駆動されて、図7(B)の割り出し回転終了時に示すように割り出しフレーム55は出力軸40とともに旋回角αで一方向に回転される。これによりメカニカルハンド74aはポジション▲2▼に移動されてワークを搬送する。このときメカニカルハンド74bはポジション▲1▼の搬出端に達しているとともに、メカニカルハンド74dはポジション▲3▼の搬入端に達している。
【0053】
次に、入力回転軸31が90°〜180°まで回転する期間にあっては、揺動回転カム33はドエルによって回転を出力せず、出力軸40は旋回角αを維持したままで停留期間に入る。この際、割り出しフレーム55も停止する。この停止位置では、ストッパ38の上方には、揺動回転カム33のカム曲線に従って割り出しフレーム55の係合体39が旋回角αの位置割り出しで位置しており、この状態において上下動カム36はリフトアーム37を介して出力軸40を変位量βで下方へ進出移動させることとなり、係合体39はストッパ38に進入して係合し、割り出しフレーム55をハウジング30側に固定する。そしてこの係合状態は、その後上下動カム36がドエルによってリフトアーム37を停止させ、出力軸40がその変位量βを維持して停止されることから、維持される。このとき全メカニカルハンド74は回転移動されず、搬入端及び搬出端に位置しているメカニカルハンド74b,74dを含む全てのメカニカルハンド74が、同様の変位量で下降されることになる。
【0054】
次に、入力回転軸31が180°〜270°まで回転する期間にあっては、図4及び図7(C)に示すように、揺動回転カム33は旋回角αで反対の戻り方向への回転を出力し、旋回角を0°とする。このときは、上下動カム36はドエルによって出力軸40を変位量βの位置に停止させている。これによりクラッチ装置46には大きな回転負荷が発生し、従ってクラッチ装置46は切り離し状態となり、筒体47と円盤48との間に相対回転が発生することになる。すなわち、出力軸40は戻り回転される一方で、割り出しフレーム55は係合体39とストッパ38との係合作用も相俟って、旋回角αの位置に停止される。この相対回転運動が発生すると、図7(C)に示すように、駆動カム73によって駆動手段79を介し一部のメカニカルハンド74b,74dが作動される一方で、残りのメカニカルハンド74a,74cの作動は行われない。すなわち、搬入端・搬出端に位置されたメカニカルハンド74b,74dは、下降位置においてクランプ、アンクランプのクランプ動作を行う。これに対して、殊にワーク搬送中のメカニカルハンド74aは動作されないと共に、受け入れ準備態勢のメカニカルハンド74cも搬出時のアンクランプ状態を維持している。
【0055】
次に、入力回転軸31が270°〜360°まで回転する期間にあっては、揺動回転カム33はドエルによって回転を出力せず、出力軸40の旋回角0°を維持したままで停留期間に入る。この停留期間では、上下動カム36はリフトアーム37を駆動して出力軸40を変位量βで上方へ後退移動させることとなり、割り出しフレーム55の係合体39は、ストッパ38から離脱して変位量0の位置に戻されてクラッチ装置46が接続される。そしてこの離脱状態は、その後上下動カム36がドエルによってリフトアーム37を停止させ、出力軸40がその変位量0を維持して停止されることから、維持される。そしてこの停留期間中も、揺動回転カム33が回転を出力しないことから割り出しフレーム55には何らの回転トルクも伝達されず、停止状態を維持している。このときも全メカニカルハンド74は回転移動されず、搬入端及び搬出端に位置しているメカニカルハンド74b,74dを含む全てのメカニカルハンド74が、同様の変位量で上昇されることになる。以上の作動が、入力回転軸31の1回転で達成される。
【0056】
入力回転軸31の2回転目には、同様な作動の下、メカニカルハンド74aが上記のメカニカルハンド74bに代わってポジション▲1▼でアンクランプ作動されてワークを搬出し、他方、メカニカルハンド74cが上記のメカニカルハンド74dに代わってポジション▲3▼でクランプ動作されてワークを受け入れることになる。この際、メカニカルハンド74b,74dは上記のメカニカルハンド74a,74cと同様に状態を維持する。
【0057】
すなわち、メカニカルハンド74は、90°の割り出し間隔で、入力回転軸31の4回転によって一回りの作動を完了することになる。
【0058】
上述してきたように本実施例の間欠割り出し作用に関しては、出力軸40は揺動回転カム33から伝達されるオシレート運動を継続する一方で、割り出しフレーム55は、ストッパ38によるクラッチ装置46の断続制御によって、制止動作と回転動作とを繰り返すこととなり、これにより間欠回転運動されることになる。そして、この間欠回転運動の際の位置割り出しは、揺動回転カム33のカム曲線と、上下動カム36に駆動されて上下動する割り出しフレーム55の係合体39に係合しこれを制止させるストッパ38とによって的確に確保されることとなり、これにより確動の間欠割り出し運動を得ることができる。さらに本実施例にあっては、クラッチ装置46を構成する筒体47の切欠部47bおよび円盤48のポケット48aを旋回角αに一致させていることから、このクラッチ装置46の断続動作自体が割り出し位置において行われるようになっており、従ってこのクラッチ装置46によっても割り出し位置を適切に保持することができる。すなわち本実施例では、揺動回転カム33の旋回角α、クラッチ装置46の切欠部47bおよびポケット48aの配置角度α、割り出しフレーム55の係合体39の配置角度αが全て一致されていて、極めて高い位置割り出し精度が得られるようになっている。
【0059】
また本実施例では、入力回転軸31の1回転においては、出力軸40が1往復のオシレート運動を行うのに対して、割り出しフレーム55は、旋回角αだけ一方向へ送り出される回転運動を行うことになる。また、上下動カム36は、入力回転軸31の1回転における揺動回転カム33の2回の停留期間それぞれにおいて、ストッパ38に対する割り出しフレーム55の係合体39の係合のための進出運動と離脱のための後退運動とのいずれか一方の運動を交互に、出力軸40に伝達することになる。そして、旋回角αを90°とした本実施例にあっては、割り出しフレーム55は90°づつで間欠回転運動され、入力回転軸31の4回転で1回転されるようになっている。
【0060】
ところで以上説明した本実施例のメカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置は基本的に、ドエルによって確実な停留状態を創出することができて運動全体の確動を容易かつ確実に得ることができる、高速運動安定性及び高い信頼性を有するカム機構32及び駆動カム73という機械要素を用いて構成され、揺動回転カム33によって得られた間欠的なオシレート運動から、ストッパ38により制御されるクラッチ装置46の断続によって間欠回転運動が取り出され、この間欠回転運動においてさらにストッパ38に対する割り出しフレーム55の係合動作で割り出し位置が保持されて、確動の間欠割り出し運動を合理的に高精度で得ることができる。殊に本実施例では、既存のピックアンドプレースユニットにおける作動原理を適用しながら、これとは全く異なる動きが要求される間欠割り出し運動を、カム機構32とクラッチ装置46とを用いて合理的な構成で得ることができる。
【0061】
また、割り出しフレーム55の位置割り出し精度は本質的に、揺動回転カム33に備えられるカム曲線によって高い精度で確保され、さらにこの揺動回転カム33によって位置割り出しされた割り出しフレーム55の不必要な回りを、ストッパ38によって完全に阻止することができる。
【0062】
そしてまた他方、上述してきたように、出力軸40は常にカム機構32から伝達される運動に従ってオシレート運動を行い、またそれと同時に割り出しフレーム55は、クラッチ装置46の断続制御に従って間欠回転運動を行うもので、これらの2種類の運動が単一の出力軸40から同軸で出力されることになる。そしてこのような2種類の運動系において、割り出し位置で制止されている割り出しフレーム55に対し、出力軸40を相対回転運動させるようにし、この相対回転運動の出力をメカニカルハンド74に伝達して割り出し位置でのクランプ動作に利用できるようになっている。これにより、メカニカルハンド74は、割り出しフレーム55が制止される間欠割り出し運動の割り出し位置においてクランプ、アンクランプのクランプ動作を行うことができる。本実施例では、4つの割り出し位置で、1組の搬入端・搬出端を設定し、4つのメカニカルハンド74を備えて構成したが、例えば単純に、8つの割り出し位置で、2組の搬入端・搬出端を設定し、8つのメカニカルハンド74を備えて構成するなど、間欠割り出し運動における割り出し位置は、出力軸40回りに多数設定することができると共に、この割り出し位置の全て、若しくはいずれかに対応させて多数のメカニカルハンド74を備えることができて、多数の割り出し位置で作動する多数のメカニカルハンド74を配設することができる。これにより、出力軸40回りの回転軌跡に従うワークの搬送経路に多数のメカニカルハンド74を備えるとともにこの搬送経路に多数の停止位置を設定して、多数のメカニカルハンド74を、一挙に旋回移動させると共に多数の停止位置で一挙に作動させることができる。従って、単一種の多数のワークを多数位置から受け入れ、かつまた多数位置で排出することを可能として、一台の装置で一挙に多数のワークを搬送処理できることや、多種のワークを一挙に受け入れ、これを目的の搬出位置で排出するというような、多種のワークに対しても、その搬送の流れを一台の装置の中に持たせながら一挙に搬送処理できること、さらにはこれらの機能を併せ持たせて、複数多種のワークを一挙にハンドリングして搬送することもできる単一構成の装置を得ることができる。
【0063】
要するに、カム機構32とクラッチ装置46とを用いて、オシレート運動から間欠割り出し運動を合理的な構成で得、このようにして得られた間欠割り出し運動をワークの搬入・搬出を含む搬送動作に利用できると共に、この間欠割り出し運動に対応して作動する多数のメカニカルハンド74を組み込んで、多数のワークを一挙にハンドリングすることができる。
【0064】
また、上下動カム36により、揺動回転カム33の各回の停留期間に対して交互に、出力軸40を進出・後退のいずれか一方向へのみ運動させるようにしたので、揺動回転カム33の一方向への回転運動時は、クラッチ装置46の接続によって割り出しフレーム55は出力軸40と一体に一定の揺動回転角度で回転し、それ以外の期間中は、揺動回転カム33の停留期間とクラッチ装置46の切断とにより停止しているという、一方向への間欠回転運動を得ることができ、これによって間欠割り出し運動を行わせることができる。そしてこのような運動構成にあっても、割り出しフレーム55に対する出力軸40の相対回転運動の出力をメカニカルハンド74に伝達することで、メカニカルハンド74は、割り出しフレーム55が制止される間欠割り出し運動の割り出し位置においてクランプ、アンクランプのクランプ動作を行うことができ、上記と同様な作用を発揮することになる。
【0065】
また、揺動回転カム33におけるカム曲線では、オシレート運動の揺動回転角度範囲に制限はなく、従って180°以上の角度範囲のオシレート運動を創り出すこともできる。
【0066】
さらに、メカニカルハンド74を、カム機構32によって運動される出力軸40に設けた駆動カム73により駆動される駆動手段79によってクランプ動作させるように構成したので、メカニカルハンド74の作動を、空気圧や油圧・電気駆動機構などのその他一切の別の動力源を用いることなく、カム構成の運動伝達系のみによって、且つ単一の出力軸40からの運動出力で行わせることができ、複雑な運動を極めて簡単な構成で得ることができる。
【0067】
また上記実施例では、揺動回転カム33の各回の停留期間に対して交互に、出力軸40を進出・後退のいずれか一方向へのみ運動させるようにしたが、揺動回転カム33の停留期間に対する出力軸40の制御はこれに限られるものではない。間欠割り出し運動の設定については、上下動カム36による出力軸40のレシプロ駆動に関し、揺動回転カム33が作り出すいずれかの停留期間において少なくとも一方向に進出する運動を生じさせて一定期間停止させ、その後のいずれかの停留期間において少なくとも反対方向に後退する運動を生じさせて一定期間停止させるカム曲線を創出するようにしてもよい。これにより、出力軸40は、揺動回転カム33のいずれかの停留期間中において、少なくともいずれか一方向に進退するレシプロ運動を生じることになり、これによって得られる間欠割り出し運動は多種多様のものとなる。
【0068】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1に係る発明によれば、カム機構から出力軸に、回転運動に加えて独立した軸方向レシプロ運動を伝達して、クラッチ作動手段によりクラッチ手段を断続制御させるようにしたので、出力部材に制止動作と回転動作とを反復的に生じさせることができ、カム機構の回転運動から間欠回転運動を得ることができる。そして、この間欠回転運動の際の位置割り出しは、カム機構のカム曲線と、当該カム機構により駆動されてレシプロ運動するクラッチ手段の出力部材に係合しこれを制止させるクラッチ作動手段とによって的確に確保することができ、これにより確動の間欠割り出し運動を得ることができる。
【0069】
特に、ドエルによって確実な停留状態を創出することができて運動全体の確動を容易かつ確実に得ることができるカム機構という機械要素を用いて構成したので、このカム機構によって得られた回転運動から、クラッチ作動手段により制御されるクラッチ手段の断続によって間欠回転運動を取り出すことができ、この間欠回転運動においてさらにクラッチ作動手段の出力部材に対する係合動作で割り出し位置を保持することができて、確動の間欠割り出し運動を合理的に高精度で得ることができる。殊に本発明にあっては、既存のピックアンドプレースユニットにおける作動原理を適用しながら、これとは全く異なる動きが要求される間欠割り出し運動を、カム機構とクラッチ手段とを用いて合理的な構成で得ることができる。
【0070】
また、出力部材の位置割り出し精度は本質的に、カム機構に備えられるカム曲線によって高い精度で確保され、さらにこのカム機構によって位置割り出しされた出力部材の不必要な回りを、クラッチ作動手段によって完全に阻止することができる。
【0071】
そしてこのようにして、出力軸は常にカム機構から伝達される運動に従って回転運動を行い、またそれと同時に出力部材は、クラッチ手段の断続制御に従って間欠回転運動を行うという、これらの2種類の運動を単一の出力軸から同軸で出力させることができ、このような2種類の運動系により、割り出し位置で制止されている出力部材に対し、出力軸を相対回転運動させるようにし、この相対回転運動の出力をメカニカルハンドに伝達して割り出し位置でのクランプ動作に利用できるようになっている。これにより、メカニカルハンドは、出力部材が制止される間欠割り出し運動の割り出し位置においてクランプ、アンクランプのクランプ動作を行うことができる。間欠割り出し運動における割り出し位置は、出力軸回りに多数設定することができると共に、この割り出し位置の全て、若しくはいずれかに対応させて多数のメカニカルハンドを備えることができて、多数の割り出し位置で作動する多数のメカニカルハンドを配設することができる。これにより、出力軸回りの回転軌跡に従うワークの搬送経路に多数のメカニカルハンドを備えるとともにこの搬送経路に多数の停止位置を設定して、多数のメカニカルハンドを、一挙に旋回移動させると共に多数の停止位置で一挙に作動させることができる。従って、複数多種のワークを一挙にハンドリングして搬送することができる単一構成の装置を得ることができる。
【0072】
要するに、カム機構とクラッチ手段とを用いて、回転運動から間欠割り出し運動を合理的な構成で得、このようにして得られた間欠割り出し運動をワークの搬入・搬出を含む搬送動作に利用できると共に、この間欠割り出し運動に対応して作動する多数のメカニカルハンドを組み込んで、多数のワークを一挙にハンドリングすることができる。
【0073】
また請求項2に係る発明によれば、出力軸の一方向への回転運動時においては、クラッチ手段の接続によって、出力部材を出力軸と一体に一定の揺動回転角度で回転させることができ、それ以外の期間中は、出力軸の回転運動の停留期間とクラッチ手段の切断とにより出力部材を停止させることができて、出力部材の一方向への間欠回転運動を得ることができ、これによって間欠割り出し運動を得ることができる。そしてこのような運動構成にあっても、出力部材に対する出力軸の相対回転運動の出力をメカニカルハンドに伝達することで、メカニカルハンドは、出力部材が制止される間欠割り出し運動の割り出し位置においてクランプ、アンクランプのクランプ動作を行うことができ、請求項1の発明と同様な効果を奏することになる。
【0074】
また、カム機構におけるカム曲線では、オシレート運動の揺動回転角度範囲に制限はなく、従って180°以上の角度範囲のオシレート運動を創り出すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置の好適な一実施例を示す側断面図である。
【図2】上記実施例の平面断面図である。
【図3】上記実施例の平面図である。
【図4】上記実施例の間欠割り出し動作及びメカニカルハンドの作動を説明するためのダイヤグラムである。
【図5】上記実施例に採用されたクラッチ装置の構造および作動を示す説明図である。
【図6】上記実施例に採用されたメカニカルハンド及びその駆動機構を説明するための説明図である。
【図7】メカニカルハンドの作動状態を割り出し回転に従って説明するための説明図である。
【符号の説明】
32 カム機構
38 ストッパ
40 出力軸
46 クラッチ装置
47 筒体
48 円盤
73 駆動カム
74 メカニカルハンド
79 駆動手段
Claims (3)
- カム機構から、揺動回転運動と軸方向レシプロ運動とを独立に生ずる複合運動が伝達される出力軸と、
該出力軸に設けられ、複数の転動体を備えた入力部材と、該転動体を係脱自在に保持可能な複数のポケットを備えた出力部材と、を有し、これら入・出力部材間に発生する負荷に応じて断続されるクラッチ手段であって、該クラッチ手段が接続されている場合には、上記転動体が上記ポケットに保持された状態で、上記入力部材と上記出力部材とが一体的に回転可能であり、該クラッチ手段が切断されている場合には、上記転動体が上記ポケット間を転動しつつ、上記入力部材が上記出力部材に対し相対的に回転可能なクラッチ手段と、
上記出力軸の軸方向レシプロ運動に伴って運動する上記クラッチ手段の上記出力部材が係脱自在に係合して、該クラッチ手段を断続作動させるクラッチ作動手段と、
上記クラッチ手段が接続されている場合には、上記出力部材の回転運動が伝達されて回転移動動作を行い、かつ、上記クラッチ手段が切断されている場合には、上記出力部材に対する上記出力軸の相対回転運動が伝達されてクランプ動作を行うメカニカルハンドと、
を備え、
上記クラッチ手段が接続されている状態で上記出力軸を回転させることにより、上記メカニカルハンドを回転移動させる第一動作と、上記クラッチ手段が切断されている状態で上記第一動作における上記出力軸の回転方向とは逆方向に該出力軸を回転させることにより、上記メカニカルハンドをクランプ動作させる第二動作と、を複数回繰り返し、
上記複数の転動体は、上記入力部材の周方向に沿って等間隔に設けられており、かつ、上記複数のポケットは、上記出力部材の周方向に沿って等間隔に設けられており、
上記転動体の数と上記ポケットの数は同数であり、
上記第二動作において、上記出力軸を回転させると、該出力軸の回転開始の際に、上記複数のポケットの各々から転動体が離脱し、該出力軸の回転終了の際に、上記複数のポケットの各々に転動体が収まることを特徴とするメカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置。 - 前記揺動回転運動が、停留期間を有する間欠的なオシレート運動であり、前記軸方向レシプロ運動は、順次間欠的に生成される上記停留期間に対して交互に、前記クラッチ手段の前記出力部材に、前記クラッチ作動手段に係合させる進出運動と離脱させる後退運動とのいずれか一方を生じさせることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置。
- 前記メカニカルハンドは、これをクランプ動作させる駆動手段を有し、該駆動手段は、前記出力軸に設けられた駆動カムによって駆動されることを特徴とする請求項1または2に記載のメカニカルハンドを備えた間欠割り出し装置。
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