JP3575713B2 - 電解水の生成方法および生成装置 - Google Patents

電解水の生成方法および生成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム等を含有し殺菌作用、消毒作用、鮮度保持作用等を有するpHが3未満から11までの広いpHの範囲の任意のpH値の強酸性〜弱アルカリ性の電解水を選択的に製造するための電解水生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム等を主要成分として含有し、殺菌作用、消毒作用を有する電解水を製造するための電解水生成装置の一形式として、特公平4−42077号公報に示されているように、電解槽内をイオン透過能を有する隔膜にて区画して形成された一対の隔室にそれぞれ電極を配置して陽極室と陰極室とを構成し、これら両電極室に供給される希薄食塩水を両電極間で有隔膜電解する電解水生成装置がある。
【0003】
当該電解水生成装置においては、両電極室間で希薄食塩水の有隔膜電解がなされ、陽極室内では次亜塩素酸を含む強酸性水が生成されるとともに、陰極室内では強アルカリ性水が生成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
当該電解水生成装置によれば、陽極室内の生成水はpHが3未満という強い酸性になるとともに、陰極室内の生成水はpHが11以上という強アルカリ性となる。次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム等を主要成分として含む水溶液ではpHが低い程殺菌力は高く、殺菌力の点からすれば低いpH程好ましい。しかしながら、殺菌処理、消毒処理、その他鮮度保持処理、鮮魚解凍時の発色処理等、処理の目的によっては、pHが3未満から11までの広い範囲の任意の値の電解水を使用することがある。
【0005】
従って、本発明の目的は、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム等を主要成分として含有し、殺菌作用、消毒作用、その他の作用を有するpH3未満の強酸性の電解水、pH3〜8の範囲の酸性〜弱アルカリ性の電解水と、pH8〜11のアルカリ性の電解水を選択的に製造し得る電解水生成方法、および電解水生成装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は電解水の生成方法および生成装置に関するもので、本発明に係る電解水の生成方法は、イオン透過能を有する隔膜にて区画して形成された一対の隔室のうちの一方の隔室に第1の電極と第2の電極を互いに対向して配置して第1の電極室を構成するとともに、他方の隔室に第3の電極を配置して第2の電極室を構成してなる電解槽を使用して電解水を生成する電解水の生成方法であって、前記第1の電極室にて希薄食塩水の無隔膜電解および前記両電極室間での電気透析の第1の電解処理と、同第1の電解処理とは各電極の極性を逆極性にした第2の電解処理と、前記第1,第2の電極室間での希薄食塩水の有隔膜電解の第3の電解処理を選択的に行うことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明に係る電解水の生成装置は本発明に係る電解水の生成方法を実施するための電解水生成装置であり、イオン透過能を有する隔膜にて区画して形成された一対の隔室を有する電解槽と、同電解槽の一方の隔室に互いに対向して配設されて同隔室を第1の電極室に構成する第1の電極および第2の電極と、前記電解槽の他方の隔室に配設されて同隔室を第2の電極室に構成する第3の電極と、直流電源の正負の一方の極と前記第1,第2,第3の電極との接続回路に介装され同第1の電極と第2,第3の電極とを前記一方の極に選択的に接続する第1のスイッチと、前記直流電源の正負の他方の極と前記第1,第2,第3の電極との接続回路に介装され同第1の電極と第2,第3の電極とを前記他方の極に選択的に接続する第2のスイッチと、前記直流電源と前記第3の電極との接続回路に介装された可変抵抗器と、前記直流電源と前記第3の電極との接続回路に介装され同第3の電極を前記直流電源に前記可変抵抗器の存在の有無の状態に選択的に接続する第3のスイッチと、前記直流電源と前記第2の電極との接続回路に介装され同第2の電極の前記直流電源に対する接続を選択的に断続する第4のスイッチを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の作用・効果】
本発明の電解水の生成方法においては、前記第1,第2,第3の電解処理を選択的に行うもので、第1の電解処理では、第1の電極室内での希薄食塩水の無隔膜電解と第1,第2の電極室間での電気透析を併用するものである。これにより、第1の電極室内で生成された電解水中の陽イオン成分が第2の電極室内に移動し、または第2の電極室内の陽イオン成分が第1電極室内に移動する。
【0009】
この第1の電解処理において、第1の電極室内の電解水中の陽イオン成分が移動する場合には、第1の電極室内の電解水のpHは陽イオン成分の移動量に応じて低下することになり、陽イオン成分の移動量を調整することにより、第1の電極室内の電解水はpH3〜8の範囲の任意の値の酸性〜弱アルカリ性となる。また、これとは逆に、第2の電極室内の陽イオン成分が移動する場合には、第1の電極室内の電解水のpHは陽イオン成分の移動量に応じて高くなり、陽イオン成分の移動量を調整することにより、第1の電極室内の電解水はpH8〜11の範囲の任意の値のアルカリ性となる。
【0010】
また、第2の電解処理では、第1の電解処理とは各電極の極性を逆極性にして、第1の電極室内での希薄食塩水の無隔膜電解と第1,第2の電極室間での電気透析を併用するものである。従って、当該電解処理においては、第1の電極室内では第1の電解処理とは全く逆に、pH8〜11の範囲の任意の値のアルカリ性の電解水が生成されるか、またはpH3〜8の範囲の任意の値の酸性〜弱アルカリ性の電解水が生成される。
【0011】
また、第3の電解処理では、第1,第2の電極室間での希薄食塩水の有隔膜電解を行うものである。これにより、両電極室内の一方ではpH3が未満の強酸性の電解水が生成され、かつ両電解室内の他方ではpHが11以上の強アルカリ性の電解水が生成される。
【0012】
従って、これら第1,第2,第3の電解処理を選択的に行えば、pH3未満からpH11までの広い範囲の任意のpHの電解水を生成することができる。
【0013】
本発明に係る電解水の生成装置は上記した3つの電解処理態様を実施するものであり、第4のスイッチの操作により、第2の電極を直流電源の他方の極に選択的に接続することができるとともに、第1,第2のスイッチの操作により、第1の電極と第2,第3の電極との直流電源の各極に対する接続を切替えることができ、かつ第3のスイッチの操作により、第3の電極を直流電源に対して可変抵抗器の有、無の状態に選択的に接続することができる。
【0014】
従って、第4のスイッチの操作により第2の電極を直流電源の他方の極に接続した状態で、第1,第2のスイッチの操作により第1の電極を直流電源の一方の極に、第2,第3の電極を直流電源の他方の極に、かつ第3のスイッチの操作により第3の電極を可変抵抗器を介した状態で直流電源の他方にそれぞれ接続すれば、第1の電極室内での希薄食塩水の無隔膜電解と、第1,第2の電極室間での電気透析とを行うことができ、これにより第1の電解処理を選択することができる。
【0015】
また、当該電解水生成装置において、この状態で第1,第2のスイッチの操作により、第1の電極と第2,第3の電極との直流電源の各極に対する接続を切替えると、第1の電極を直流電源の他方の極に、第2,第3の電極を直流電源の一方の極に、かつ第3の電極を可変抵抗器を介した状態で直流電源の一方にそれぞれ接続することができ、第1の電解処理とは逆極性で、第1の電極室内での希薄食塩水の無隔膜電解と、第1,第2の電極室間での電気透析とを行うことができ、これにより第2の電解処理を選択することができる。
【0016】
また、当該電解水生成装置において、上記した第1,第2の電解処理のいずれかの状態で、第4のスイッチの操作により第2の電極の直流電源に対する接続を遮断し、かつ第3のスイッチの操作により第3の電極を可変抵抗器を介さず直接直流電源に接続すれば、第1,第2の電極室間で希薄食塩水の有隔膜電解を行うことができ、これにより第3の電解処理を選択することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に基づいて説明するに、図1〜図3には本発明に係る電解水生成装置の一例が概略的に示されている。当該電解水生成装置は、電解槽11と、隔膜12と、第1,第2,第3電極13a,13b,13cを備えている。隔膜12はイオン透過能を有するもので、電解槽11の中央部に配設されて電解槽11内を一対の隔室に区画している。
【0018】
第1電極13aと第2電極13bとは一方の隔室に所定間隔を保持して並列的に配置されて互いに対向し、同隔室を第1電極室14aに構成している。また、第3電極13cは他方の隔室にて隔膜12とは所定間隔を保持して配置されていて、第2電極13bとは隔膜12を挟んで並列して互いに対し、同隔室を第2電極室14bに構成している。第1電極室14aには、希薄食塩水の供給管路11aと電解水の流出管路11bが開口し、かつ第2電極室14bには、希薄食塩水の供給管路11cと電解水の流出管路11dが開口している。
【0019】
第1電極13a、第2電極13b、および第3電源13cは直流電源15aに接続されており、直流電源15aの正極と第1電極13aおよび第2,第3電極13b,13cの接続回路には第1切換スイッチ16aが、直流電源15aの負極と第1電極13aおよび第2,第3電極13b,13cの接続回路には第2切換スイッチ16bがそれぞれ介装されている。直流電源15aと第3電極13cの接続回路は、可変抵抗器15bが介装されている接続回路と、電気機器を介装されていない接続回路とからなり、これら両接続回路間に第3切換スイッチ16cが介装されている。また、直流電源15aと第2電極13bの接続回路には開閉スイッチ16dが介装されている。
【0020】
当該電解水生成装置においては、第1,第2,第3切換スイッチ16a,16b,16cの切換え動作と、開閉スイッチ16dの開閉動作により、図1〜図3に示す3つの態様の接続回路を構成する。
図1に示す第1の接続態様では、開閉スイッチ16dが閉成された状態で各切換スイッチ16a〜16cがa側接点に接続されていて、第1電極13aを直流電源15aの正極に、第2電極13bおよび第3電極13cを直流電源15aの負極にそれぞれ接続する接続回路を構成し、かつ第3電極13cを可変抵抗器15bを介して直流電源15aに接続する接続回路を構成している。
【0021】
図2に示す第2の接続態様では、開閉スイッチ16dが閉成された状態で第1,第2切換スイッチ16a,16bがb側接点に、かつ第3切換スイッチ16cはa側接点にそれぞれ接続されていて、第1電極13aを直流電源15aの負極に、第2,第3電極13b,13cを直流電源15bの正極にそれぞれ接続する接続回路を構成し、かつ第3電極13cを可変抵抗器15bを介して直流電源15aに接続する接続回路を構成している。
【0022】
図3に示す第3の接続態様では、開閉スイッチ16dが開成された状態で第1切換スイッチ16aがa側接点に、第2切換スイッチ16bがa側接点に、第3切換スイッチ16cがb側接点に接続されていて、第2電極13bの直流電源15aに対する接続を遮断した状態で、第1電極13aを直流電源15aの正極に、
第3電極13cを直流電源15aの負極にそれぞれ接続する接続回路を構成し、かつ第3電極13cを可変抵抗器15bを介さずに直流電源15aに接続する接続回路を構成している。
【0023】
図1〜図3において、符号17aは水道水を導入するウォータバルブ、符号17bは希薄食塩水の貯溜タンク、符号17cは希薄食塩水の供給ポンプ、符号17d,17eは流量調整バルブである。当該電解水生成装置においては、貯溜タンク17bにて所定の濃度の希薄食塩水が調製され、調製された希薄食塩水は供給ポンプ17cの駆動により各流量調整バルブ17d,17eにて流量を調整されて、各供給管路11a,11cを通して各電極室14a,14b内に供給される。各電極室14a,14b内に供給された希薄食塩水は電解処理され、生成された各電解水は流出管路11b,11dを通して外部へ流出される。
【0024】
このように構成した電解水生成装置においては、図1の第1の接続態様での運転(第1の電解処理)では第1電極室14a内で希薄食塩水の無隔膜電解が行なわれるとともに、第1電極室14aと第2電極室14b間で電気透析が行われる。また、図2に示す接続態様での運転(第2の電解処理)では、第1の電解処理とは各電極13a〜第13cの極性を逆極性とした無隔膜電解が第1電極室14a内で行われ、かつ第1電極室14aと第2電極室14b間で電気透析が行われる。また、図3に示す接続態様での運転(第3の電解処理)では、第1電極室14aと第2電極室14b間で希薄食塩水の有隔膜電解が行われる。
【0025】
当該電解水生成装置における第1の電解処理では(図1を参照)、第1電極室14a内にて希薄食塩水の無隔膜電解が行われて同電解室14a内に弱アルカリ性の電解水が生成されるが、第1電極室14aと第2電極室14b間で同時になされる電気透析により、生成された電解水中の陽イオン成分が第2電極室14b内へ移動して、電解水が漸次酸性側へ移行する。この場合、これら両電極13a,13c間に供給する電流を可変抵抗器15bにて調整して、第1電極室14a内から第2電極室14b内へ移動する陽イオン成分の量を調整することにより、第1電極室14a内で生成される電解水のpHを3〜8の任意の値に調整することができる。
【0026】
当該電解水生成装置における第2の電解処理では(図2を参照)、第1電極室14a内にて希薄食塩水の無隔膜電解が行われて同電解室14a内に弱アルカリ性の電解水が生成されるが、第1電極室14aと第2電極室14b間で同時になされる電気透析により、第2電極室14内の陽イオン成分が第1電極室14a内へ移動し、電解水がさらにアルカリ性側に漸次移行する。この場合、これら両電極13a,13c間に供給する電流を可変抵抗器15bにて調整して、第2電極室14b内から第1電極室14a内へ移動する陽イオン成分の量を調整することにより、第1電極室14a内で生成される電解水のpHを8〜11の任意の値に調整することができる。
【0027】
当該電解水生成装置における第3の電解処理では(図3を参照)、第1電極室14aと第2電極室14b間で希薄食塩水の有隔膜電解が行われ、第1電極室14a内ではpHが3未満の強酸性の電解水が生成されるとともに、第2電極室14b内ではpHが11以上の強アルカリ性の電解水が生成される。
【0028】
このように、当該電解水生成装置を使用した生成方法によれば、希薄食塩水を被処理液として、無隔膜電解と電気透析とを併用した第1の電解処理と、第1の電解処理とは各電極の極性を逆極性とし第2の電解処理と、有隔膜電解の第3の電解処理とを選択的に行って、pH3未満の強酸性の電解水、pH3〜8の酸性〜弱アルカリ性の電解水、pH8〜11のアルカリ性の電解水を選択的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る電解水生成装置の第1の電解処理の状態を示す概略構成図である。
【図2】同電解水生成装置の第2の電解処理の状態を示す概略構成図である。
【図3】同電解水生成装置の第3の電解処理の状態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
11…電解槽、12…隔膜、13a,13b,13c…電極、14a,14b…電極室、15a…直流電源,15b…可変抵抗器、16a,16b,16c…切換スイッチ、16d…開閉スイッチ。

Claims (2)

  1. イオン透過能を有する隔膜にて区画して形成された一対の隔室のうちの一方の隔室に第1の電極と第2の電極を互いに対向して配置して第1の電極室を構成するとともに、他方の隔室に第3の電極を配置して第2の電極室を構成してなる電解槽を使用して電解水を生成する電解水の生成方法であり、前記第1の電極室にて希薄食塩水の無隔膜電解および前記両電極室間での電気透析の第1の電解処理と、同第1の電解処理とは各電極の極性を逆極性にした第2の電解処理と、前記第1,第2の電極室間での希薄食塩水の有隔膜電解の第3の電解処理を選択的に行うことを特徴とする電解水の生成方法。
  2. 請求項1に記載の電解水の生成方法を実施するための電解水生成装置であり、イオン透過能を有する隔膜にて区画して形成された一対の隔室を有する電解槽と、同電解槽の一方の隔室に互いに対向して配設されて同隔室を第1の電極室に構成する第1の電極および第2の電極と、前記電解槽の他方の隔室に配設されて同隔室を第2の電極室に構成する第3の電極と、直流電源の正負の一方の極と前記第1,第2,第3の電極との接続回路に介装され同第1の電極と第2,第3の電極とを前記一方の極に選択的に接続する第1のスイッチと、前記直流電源の正負の他方の極と前記第1,第2,第3電極との接続回路に介装され同第1の電極と第2,第3の電極とを前記他方の極に選択的に接続する第2のスイッチと、前記直流電源と前記第3の電極との接続回路に介装された可変抵抗器と、前記直流電源と前記第3の電極の接続回路に介装され同第3の電極を前記直流電源に前記可変抵抗器の存在の有無の状態に選択的に接続する第3のスイッチと、前記直流電源と前記第2の電極との接続回路に介装され同第2の電極の前記直流電源にたいする接続を選択的に断続する第4のスイッチを備えていることを特徴とする電解水生成装置。
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