JP3575486B2 - 義歯アタッチメント - Google Patents
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上記各部材は、全て耐食性材料により構成されている。
しかしながら、このような二重の溶接をすると、溶接時の熱による歪みのために、ヨーク82とシールドリング87の外周との突き合わせ部に空隙が生じたり、凹凸が生じたりする。そのため、シールドリング87の内周とシールド板86との突き合わせ部がレーザー溶接しにくいと共に、溶接割れが生じやすいという問題点があった。
本文献に示されている製造方法は、まずシールプレート841の外周に予めNi皮膜851を設けておく。そして、磁石体811を収納したヨーク821の凹所開口部820に、上記シールプレート841を配置して蓋をした後に、ヨーク821とシールプレート841の外周との間を溶接する。
これにより、レーザーによる溶融が一回ですむために溶接回数が一回省略でき、それに伴う問題点も解決される。
即ち、上記溶接時に、図9(B)に示すごとく、ヨーク821とシールプレート841との間に上記Ni皮膜を溶け込ませて溶融部871を形成する際には、上記溶融部871の溶接深さは図9(B)に実線Dで示すごとく、丁度シールプレート841の厚み分だけ形成する必要がある。これにより、上記ヨーク821とシールプレート841との間の非磁性化を図ることができる。
しかし、この際、もしも同図に破線Eで示すごとく溶融部871の溶接深さが深くなり、磁石体811も溶融すると、磁石体811が損傷を受け、磁気吸引力が低下してしまう。
このように、上記の製造方法では、ヨークとシールプレートとの間に非磁性領域を形成することが、非常に困難である。
更に、レーザーによる溶融はエネルギー密度が高いために瞬間的であり、十分撹拌されないため、偏析が生じ、局所的に軟磁性部が生じてしまうこともある。そのため、ヨーク821とシールプレート861との間に必要な非磁性領域が十分に確保されず、ヨーク821から直接にシールプレート841へ、短絡的にショートしてしまう磁束が増えることになり、磁気吸引力が低下する。
また、上記の剥離のために、Ni量不足による溶融部の非磁性化が不十分になることがある。
また、そのため製品歩留りが悪く生産性が低下する。
該シールプレートは、軟磁性ステンレス鋼よりなるシールド板と、該シールド板の外周に接合した非磁性ステンレス鋼よりなる非磁性リング部とよりなり、
また、上記シールド板と非磁性リング部と上記ヨークとの間は、その表面側が一度で一体的に溶接された溶接部を有することを特徴とする義歯アタッチメントにある。
本発明の義歯アタッチメントにおいては、シールプレートが、上記のごとく、まず軟磁性材料よりなるシールド板と、その外周に接合した非磁性材料よりなる非磁性リング部とによって形成されている。
また、本発明においては、非磁性領域は、ヨークとの溶接が可能な非磁性材料よりなる非磁性リング部により形成している。
そのため、上記従来技術に示したごとく、シールプレートをヨークの凹所に嵌合する際に非磁性材料が破損して、非磁性領域が破壊されるといったことがない。
それ故、本発明によれば、、シールプレートとヨークとの間に、安定した優れた非磁性領域を確保することができる。また、そのため磁気吸引力に優れている。
このように、本発明においては、上記非磁性リング部を設けることにより、容易かつ確実に非磁性領域を形成することができる。そのため、製品歩留り性に優れ、生産性が高い。
また、非磁性リング部に用いる非磁性材料としては、SUS304、SUS316、316L、310S等のステンレス鋼がある。
シールド板と非磁性リング部の接合に関しては後述の製造方法において説明する。
また、シールプレートにおけるシールド板の厚み、及び非磁性リング部の厚みは、0.05〜0.4mmとすることが好ましい。0.05mm未満ではシールプレートの機能を果たし難く、一方0.4mmを越えると義歯アタッチメントが大きくなり過ぎるという問題がある。
この場合には、両者間は一体化されて、シールド板の外周に、強固に密着形成された非磁性リング部を確実に形成できる。そのため、シールプレートとヨークとの間に優れた非磁性領域を確実に形成できる。
また、上記の融合状態は、後述するごとく、例えば上記シールド板と非磁性リング部との間の境界部を融合させるための加熱処理を施すことにより形成する。
この場合には、非磁性リング部をヨークに溶接した後においても、その非磁性状態を一層安定化することができる。なお、ニッケル層の幅は、0.003〜0.2mmとすることが好ましい。0.003mm未満では非磁性安定化効果が少なく、一方0.2mmを越えると非磁性領域の安定化効果を減少するおそれがある。
次いで、該クラッド棒を、その長手方向と直交する方向に切断して、軟磁性材料よりなるシールド板の外周に非磁性材料よりなる非磁性リング部を一体的に有するシールプレートを作製し、
次いで、上記とは別に準備した、軟磁性材料よりなるヨークの凹所内に、磁石体を収納すると共に、ヨークの凹所開口部に上記方法により作製したシールプレートを配置し、
その後、上記シールド板と非磁性リング部と上記ヨークとの間を、少なくともその表面側を一度で一体的に接合することを特徴とする義歯アタッチメントの製造方法がある。
そのため、従来技術に比較して生産性に優れていると共にシールプレートとヨークとの間に優れた非磁性領域を確保することができる。また、上記のごとき優れた義歯アタッチメントを容易に製造することができる。
なお、上記中実体の内径は通常1〜5mm、環状体の幅(外径−内径)は、0.05〜0.5mmとすることが好ましい。これらの径は、作製しようとするシールプレートの直径、クラッド加工時の径収縮率に応じて選択する。
また、シールプレートの非磁性リング部とヨークとの間の接合方法としては、レーザー溶接、電子ビーム溶接などがある。
これにより、上記のごときニッケル層形成による効果を得ることができる。
かかるニッケル層の形成方法としては、メッキ、蒸着、スパッタリング、クラッド加工などがある。
上記の融合は、上記クラッド棒とNi層を上記境界部が融合しうる温度に加熱処理することにより行なう。例えば、中実体としてステンレス鋼を、環状体としてステンレス鋼をNi層としてメッキ法を用いた場合には900〜1500℃である。
上記加熱処理は真空又は不活性ガス雰囲気中で行なうことが好ましい。
即ち、該ヨークは、口腔内での使用上の問題を発生させないよう、必要な耐蝕性を有し、かつ磁石からの磁束を伝える磁気回路を形成するために優れた磁気特性を有する必要がある。該ヨークに使用される材料としては、18Cr系ステンレス鋼、17Cr−2Mo、19Cr−2Mo系ステンレス鋼などの耐蝕性軟磁性材料が好ましい。
本発明にかかる義歯アタッチメント及びその製造方法につき、図1〜図5を用いて、説明する。
本例の義歯アタッチメント1は、図1、図2に示すごとく、磁石体11と、該磁石体11を収納する凹所125を有すると共に軟磁性材料よりなるヨーク12と、上記磁石体11を封入するよう上記ヨーク12の凹所開口部19に配設されたシールプレート2とよりなる。
次に、上記義歯アタッチメント1を製造するに当たっては、図3〜図5に示すごとく、軟磁性材料よりなる中実体3の周囲に非磁性材料よりなる環状体4を嵌合し(図3)、次いでクラッド加工を施してクラッド棒35とする(図4)。
次いで、該クラッド棒35を、図5に示すごとく、その長手方向と直交する方向に切断して、軟磁性材料よりなるシールド板の外周に非磁性材料よりなる非磁性リング部を一体的に有すると共に両者の境界部は融合しているシールプレート2を作製する。
その後、該シールプレートの非磁性リング部22と上記ヨーク12との間を、少なくともその表面側を接合する。
まず、中実体3としては19Cr−2Mo−0.2Ti−Feの軟磁性材料を、環状体4としてはSUS316よりなる非磁性材料を用いた。そして、図3に示すごとく、外径4.9mmの中実体3を、内径5.0mm、外径5.4mm(幅0.2mm)の環状体4の内腔41の中に嵌入した。
上記ヨークとしては、19Cr−2Mo−0.2Ti−Fe、磁石体としては(BH)max=42MGOeのNd−Fe−B系永久磁石を用いた。
上記のごとく、本例によれば、安定した非磁性領域を有し、磁気吸引力に優れ、生産性の高い、義歯アタッチメント及びその製造方法を提供できることが分かる。
本例は、図6に示すごとく、シールプレート2の非磁性リング部22の外周に、更にニッケル層23を設けた例である。
上記ニッケル層23は、実施例1に示したクラッド棒35の外周に対して、電解メッキにより形成した。その幅は、0.01mmであった。
次に、上記クラッド棒を、温度1250℃で、7時間、アルゴンガス雰囲気中で加熱し、中実体部分40と環状体部分30との間の境界部を融合させた。
その他は実施例1と同様である。
その他、実施例1と同様の効果を得ることができる。
11 磁石体
12 ヨーク
2 シールプレート
21 シールド板
22 非磁性リング部
3 中実体
35 クラッド棒
4 環状体
80 義歯
8 義歯アタッチメント
9 キーパー
95 根面板
Claims (4)
- 磁石体と、該磁石体を収納する凹所を有すると共に軟磁性ステンレス鋼よりなるヨークと、上記磁石体を封入するよう上記ヨークの凹所開口部に配設されたシールプレートとよりなり、
該シールプレートは、軟磁性ステンレス鋼よりなるシールド板と、該シールド板の外周に接合した非磁性ステンレス鋼よりなる非磁性リング部とよりなり、
また、上記シールド板と非磁性リング部と上記ヨークとの間は、その表面側が一度で一体的に溶接された溶接部を有することを特徴とする義歯アタッチメント。 - 請求項1において、上記非磁性リング部の外周にはニッケル層が設けてあることを特徴とする義歯アタッチメント。
- 請求項1又は2において、上記シールド板と上記非磁性材料とはクラッド接合されていることを特徴とする義歯アタッチメント。
- 請求項3において、上記クラッド接合は引き抜き加工又はスウェージング加工により行なわれていることを特徴とする義歯アタッチメント。
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