JP3574899B2 - 鞄 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、スーツケース等、旅行その他適宜の用途で利用される鞄に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラスチックや金属等で成形された比較的剛性を有する本体と、生地を用いて縫製された柔軟性を有する蓋体とを組み合わせ、一体化させた複合素材の鞄が存在する。この鞄は、剛性、強度に優れたハードタイプの鞄と、柔軟性、フレキシビリティに優れたソフトタイプの鞄の両方の特徴を併せ持つものである。
【0003】
しかし、従来のこの種の鞄は、本体と蓋体のそれぞれの開口部を、全周にわたり平面的に重ねあわせ、縫着することにより接合されるものであった。そのため、接合の強度が弱く、縫製用の特殊なミシンを必要とし設備面での負担が大きく、また、蓋体のデザイン面での制約が大きかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、本体と蓋体との接合の強度が強く、縫製用の特殊なミシンを必要とせず設備面での負担が小さく、また、蓋体のデザイン面での制約が少ない、剛性を有する本体と柔軟性を有する蓋体とを組み合わせてなる鞄を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明は次のような技術的手段を講じている。
【0006】
この発明の鞄は、比較的剛性を有する本体1と柔軟性を有する蓋体2とを組み合わせてなる鞄であって、本体1と蓋体2との接合部分3において、本体1と蓋体2のいずれか一方に凹部4を設け、他方に凸部5を設けたものとし、前記凹部4に前記凸部5を嵌め、さらに、前記接合部分3の外周に設けた帯6により、本体1と蓋体2とを締め付けるようにしている。
【0007】
また、本体1、蓋体2及び帯6を貫通する固定具18を適宜数箇所に設けたり、内部に補強フレーム9を有したものとしたりすることもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0009】
この発明の鞄は、比較的剛性を有する本体1と柔軟性を有する蓋体2とを組み合わせてなる鞄であって、本体1と蓋体2との接合部分3において、本体1と蓋体2のいずれか一方に凹部4を設け、他方に凸部5を設けたものとし、前記凹部4に前記凸部5を嵌め、さらに、前記接合部分3の外周に設けた帯6により、本体1と蓋体2とを締め付けるようにしたものである。
【0010】
図1、図2はこの鞄の外観を示す図、図3はこの鞄の分解状態を示す図、図4は本体1を示す図、図5は本体1の縦断面を示す図、図6は蓋体2を示す図、図7は蓋体2の縦断面を示す図、図8は本体1と蓋体2とを接合した状態を示す図、図9は本体1と蓋体2とを接合した状態の縦断面を示す図である。
【0011】
この鞄は、底部にキャスター7、右側部にハンドル8、左側部に底鋲(図示せず)が設けられており、主として旅行の際に利用されるものとしているが、特にこの構成に限定されない。
【0012】
図3に示したように、この鞄は、本体1と蓋体2とを組み合わせてなるもので、さらに内部には補強フレーム9が取り付けられたものとしている。
【0013】
本体1は、略四角枠状の周壁10と後壁11とを一体的に形成したもので、硬質なプラスチック又は金属で作製することができる。
【0014】
凹部4は、本体1の開口部付近において周壁10の外側全周にわたって形成されたアンダーカット溝としている。この凹部4は、本体1と蓋体2との接合部分3を構成するのみならず、本体1の剛性や保形性の強化にも寄与する。
【0015】
蓋体2は、略四角枠状の周壁12と前壁13とからなり、本体1よりも柔軟性を有するもので、比較的薄いプラスチック製の芯材とその外側を覆う合成繊維等の生地からなるものとすることができる。蓋体2の周壁12は、外周生地が底部においてササマチ構造14を有しており、本体1の周壁10に対して外周長さ寸法に余裕を持たせている。
【0016】
前壁13は、図2に示したように、周囲に設けたファスナー15により開放自在としており、表面側と裏面側に小物を収容できるポケットを有し、また、内部にはクッション材を設けている。
【0017】
凸部5は、蓋体2の開口部付近において周壁10の内側全周にわたって設けられている。凸部5は、長尺体の上に複数本の突条を一体的に形成し、前記凹部4に嵌合するようにした形状のもので、比較的柔軟なプラスチック等の素材で作製され、縫着により蓋体2の周壁12の内面に取り付けたものとすることができる。
【0018】
帯6は、前記凸部5と対応するように、蓋体2の開口部付近において周壁12の外側全周にわたって設けられている。帯6は、合成繊維等で作製され、蓋体2の周壁12の外周生地に、底部に両端部を少し残して縫着することにより取り付けられたものとすることができる。
【0019】
そして、補強フレーム9は、本体1及び蓋体2の内側に収まる略四角枠状で、マグネシウムやアルミニウム等の金属で作製することができる。この補強フレーム9により、鞄の剛性が十分に確保され、特にハンドル8使用時の変形に対応することができ、ハードスーツケースに匹敵する強度を得ることも可能である。また、補強フレーム9には、キャスター7や底鋲等の取り付けのための芯材16をあらかじめ取り付けておくことができるので、蓋体2が柔軟性を有するものであっても、キャスター7や底鋲等の取り付け部分の強度を十分に確保した一体的なシャーシーの構成を、別工程で非常に作業性よく行なうことが可能である。
【0020】
次に、この鞄の組み立て方法について説明する。
【0021】
まず、本体1の周壁10の内側に補強フレーム9を嵌め込むと共に、本体1の周壁10の外側に蓋体2の周壁12を、それぞれ互いに一部重なるように外嵌する。この際、本体1の周壁10の凹部4に蓋体2の周壁12の凸部5を嵌める。本体1の開口部(周壁10の上部)、補強フレーム9、及び蓋体2の開口部(周壁12の下部)が重なり、この鞄の接合部分3となる(図8、図9)。
【0022】
本体1と蓋体2との接合時において、本体1は、その素材及び前記凹部4により、剛性及び保形性を有しているため、変形や寸法の変化が防止される。一方、蓋体2は比較的柔軟性を有しており、しかも、蓋体2の周壁12は、本体1の周壁10に対して寸法に余裕があるので、容易に本体1と蓋体2とを接合することができる。
【0023】
そして、底部において、帯6の両端を締結具17を介して連結し、これを本体1と蓋体2の接合部分3に固定する。締結具17はプラスチックで作製したものとすることができる。
【0024】
さらに、帯6と締結具17は、ネジ等の固定具18により本体1と蓋体2に固定する。固定具18は、本体1、補強フレーム9、蓋体2及び帯6を貫通するものとしている。固定具18は、本体1と蓋体2との接合部分3において、適宜間隔で複数設けることができる。この固定具18により、本体1と蓋体2との一体的な結合状態を得ることが可能となる。
【0025】
以上のように、この鞄は、本体1と蓋体2とが、凹部4と凸部5により立体的な重なり構造で結合され、そして、帯6により外側から締め付けられ、結合状態がしっかりと保たれる。本体1と蓋体2との接合のために、従来のこの種の鞄のように特殊なミシンで縫製を行なう必要が無いため、設備面での負担を小さくすることができるだけでなく、蓋体2のデザイン面での自由度が高いので、様々なデザインとすることが可能である。
【0026】
【発明の効果】
この発明の鞄は、上述のような構成を有しており、本体1と蓋体2との接合の強度が強く、縫製用の特殊なミシンを必要とせず設備面での負担が小さく、また、蓋体2のデザイン面での制約が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態の鞄を立てた状態の斜視図。
【図2】この発明の実施形態の鞄を横にし、蓋体の前壁を一部開いた状態の斜視図。
【図3】この発明の実施形態の鞄の分解状態を示す図。
【図4】この発明の実施形態の鞄の本体の斜視図。
【図5】この発明の実施形態の鞄の本体の縦断面を示す説明図。
【図6】この発明の実施形態の鞄の蓋体の斜視図。
【図7】この発明の実施形態の鞄の蓋体の縦断面を示す説明図。
【図8】この発明の実施形態の鞄の本体と蓋体とを接合した状態の斜視図。
【図9】この発明の実施形態の鞄の本体と蓋体とを接合した状態の縦断面を示す説明図。
【符号の説明】
1 本体
2 蓋体
3 接合部分
4 凹部
5 凸部
6 帯
9 補強フレーム
18 固定具

Claims (3)

  1. 比較的剛性を有する本体(1)と柔軟性を有する蓋体(2)とを組み合わせてなる鞄であって、本体(1)と蓋体(2)との接合部分(3)において、本体(1)と蓋体(2)のいずれか一方に凹部(4)を設け、他方に凸部(5)を設けたものとし、前記凹部(4)に前記凸部(5)を嵌め、さらに、前記接合部分(3)の外周に設けた帯(6)により、本体(1)と蓋体(2)とを締め付けるようにしたことを特徴とする鞄。
  2. 本体(1)、蓋体(2)及び帯(6)を貫通する固定具(18)を適宜数箇所に設けた請求項1記載の鞄。
  3. 内部に補強フレーム(9)を有する請求項1又は2記載の鞄。
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