JP3574631B2 - プレキャストコンクリート部材およびこれを用いたコンクリートスラブの構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプレキャストコンクリート部材およびこれを用いたコンクリートスラブの構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の高架橋におけるコンクリートスラブの構築は、図9に示すように、梁29間に薄肉プレキャストコンクリート板30を設置するとともに、片持ち部の薄肉プレキャストコンクリート板30をブラケット31または支保工32で支持して、トップコンクリート33を打設していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の構築方法は、片持ち部の薄肉プレキャストコンクリート板をブラケットまたは支保工で支持していたため、ブラケットを撤去するための足場が必要となるばかりでなく、支保工が交通の妨げになっていた。
【0004】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブラケットや支保工を必要としないプレキャストコンクリート部材およびこれを用いたコンクリートスラブの構築方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための手段であるプレキャストコンクリート部材は、梁材上部の長辺側にコンクリート板が一体的に突設され、梁材からコンクリート板にかけての上面に、トラス筋が上部を突出させて配筋され、梁材の上面からはあばら筋の一部が突出され、前記コンクリート板と反対側の梁材の上部には、プレキャストコンクリート床板を設置したときに、該プレキャストコンクリート床板の上面が梁材の上面と面一になるような深さの段部が形成されたことを特徴とする。またコンクリート板の先端部に突起部が設けられ、該突起部に手摺りが取り付けられたことを含む。また梁材とコンクリート板下面とにわたってハンチまたは方杖が設けられたことを含む。またコンクリート板が先端から梁材側にかけて漸次肉厚に形成されたことを含む。また梁材からコンクリート板にかけてPC鋼材が埋設され、該PC鋼材によりプレストレスが付与されたことを含むものである。
またコンクリートスラブの構築方法は、梁材上部の長辺側にコンクリート板が一体的に突設され、梁材からコンクリート板にかけての上面に、上部が突出したトラス筋が配筋され、梁材の上面からはあばら筋の一部が突出され、前記コンクリート板と反対側の梁材の上部には、プレキャストコンクリート床板を設置したときに、該プレキャストコンクリート床板の上面が梁材の上面と面一になるような深さの段部が形成されたプレキャストコンクリート部材を、コンクリート板を外側に向けて、柱頭部に設置した後、前記梁材の段部にプレキャストコンクリート床板を設置し、該プレキャストコンクリート床板およびコンクリート板にトップコンクリートを打設することを特徴とする。
【0006】
梁材の設置と同時にコンクリートスラブにおける片持ち部を形成することができる。またトラス筋によりコンクリート板が支持され、かつ剛性が高まるため、運搬や荷揚げ時における損傷を防ぐことができる。上面から一部が突出したあばら筋やトラス筋により、トップコンクリートとの一体性を高めることができる。また共同住宅用におけるバルコニーを構築することができる。PC鋼材によるプレストレスにより、トップコンクリートが打設されたコンクリート板を支持することができる。ハンチによりコンクリート板が支持される。コンクリート板の梁材側が肉厚に形成されたことにより、トップコンクリートが打設されたコンクリート板が支持される。高架橋のコンクリートスラブにおける片持ち部や共同住宅におけるコンクリートスラブを支持用ブラケットや支保工を必要とせずに構築することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプレキャストコンクリート部材およびこれを用いたコンクリートスラブの構築方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。はじめにプレキャストコンクリート部材(以下PC部材という)を説明し、その後にこれを用いたコンクリートスラブの構築方法(以下スラブの構築方法という)について説明するが、各実施の形態において同じ構成は同じ符号を付して説明し、異なった構成にのみ異なった符号を付して説明する。
【0008】
図1〜3は第1の実施の形態のPC部材1を示したものである。このPC部材1は、梁材2上部の長辺側にコンクリート板3が突出して形成され、該コンクリート板3から梁材2にかけて、上部が突出したトラス筋4が配筋されるとともに、梁材2の上面からはあばら筋5の上部が突出されている。またコンクリート板3と反対側の梁材2上部にはプレキャストコンクリート床板(以下PC床板という)を載置する段部6が形成されている。この段部6は、PC床板を載置したときに、その上面が梁材2上面と面一になるような深さに形成されている。前記トラス筋4は、三角形状に配置された1本の上端筋7aと2本の下端筋7bとが波形のラチス筋8で接合されたものであり、コンクリート板3の剛性を高めるとともに、一部が梁材2側まで配筋されてコンクリート板3を片持ちに支持している。
【0009】
また図4は、第2の実施の形態のPC部材9を示し、梁材2からコンクリート板3にかけてPC鋼棒、PC鋼撚線、PC鋼線などのPC鋼材10が適宜間隔ごとに配設され、このPC鋼材10により所定のプレストレスが付与されたものであり、これ以外は前記のPC部材1と同じ構成である。
【0010】
また図5は、第3の実施の形態のPC部材11を示し、コンクリート板3の先端の突起部12に手摺り13を設けたバルコニー用のPC部材であり、これ以外は前記のPC部材1と同じ構成である。
【0011】
また図6は、その他の実施の形態のPC部材14、15、16、17、18、19の概念図を示したものである。このうちの(1)および(2)のPC部材14、15は、梁材2とコンクリート板3との間にハンチ20、21を設けたものである。また(3)のPC部材16は、梁材2とコンクリート板3との間に方杖22を設けたものである。また(4)のPC部材17は、コンクリート板3が先端から梁材2側にかけて漸次肉厚に形成されたものである。また(5)のPC部材18は、コンクリート板2が先端から梁材側にかけて同じ肉厚で形成されたものである。また(6)のPC部材19は、コンクリート板3を吊り材23で吊り上げたものである。これらのPC部材14、15、16、17、18、19は、上記の構成を除いて前記のPC部材1と同じ構成である。
【0012】
なお、第2の実施の形態のPC部材9におけるPC鋼材10は、上記のPC部材11、14、15、16、17、18、19にも埋設してプレストレスを付与することができる。
【0013】
次に、上記のPC部材1、11を使用したコンクリートスラブの構築方法について説明する。図7は、PC部材1を用いた高架橋のコンクリートスラブの構築方法である。まず、PC部材1を、コンクリート板3を外側に向けて各柱24間に架設するとともに、PC部材1の梁材2間にPC床板25を設置する。次に、このPC床板25上およびPC部材1上にトップコンクリート26を打設して、コンクリートスラブ27を構築する。よって、片持ち部をブラケットや支保工で支持することなくコンクリートスラブ27を構築することができる。
【0014】
また図8は、PC部材11を用いたコンクリートスラブの構築方法である。まず、PC部材11を、コンクリート板3を外側に向けて各柱24間に架設するとともに、PC部材11の梁材2間にPC床板25を設置する。次に、このPC床板25上およびPC部材11上にトップコンクリート26を打設して、コンクリートスラブ28を構築する。よって、上記と同じ効果を奏することができる。
【0015】
【発明の効果】
梁材の設置と同時にコンクリートスラブにおける片持ち部を形成することができる。
【0016】
トラス筋によってコンクリート板が支持され、かつその剛性が高まるため、運搬や荷揚げ時における損傷を防ぐことができる。
【0017】
上面から一部が突出したあばら筋やトラス筋により、トップコンクリートとの一体性を高めることができる。
【0018】
共同住宅用のバルコニーを構築することができる。
【0019】
ハンチによりコンクリート板を支持することができる。
【0020】
コンクリート板の梁材側が肉厚に形成されたことにより、トップコンクリートが打設されたコンクリート板を支持することができる。
【0021】
PC鋼材によるプレストレスにより、トップコンクリートが打設されたコンクリート板を支持することができる。
【0022】
高架橋のコンクリートスラブにおける片持ち部や共同住宅におけるコンクリートスラブを、支持用ブラケットや支保工を必要とせずに構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のPC部材の斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】第2の実施の形態のPC部材の正面図である。
【図5】第3の実施の形態のPC部材の断面図である。
【図6】(1)〜(6)は他の実施の形態のPC部材の概念図である。
【図7】(1)は第1の実施の形態のPC部材を用いた高架橋のコンクリートスラブの構築方法の斜視図、(2)は同断面図である。
【図8】第3の実施の形態のPC部材を用いたコンクリートスラブの構築方法の断面図である。
【図9】従来の高架橋のコンクリートスラブの構築方法の断面図である。
【符号の説明】
1、9、11、14、15、16、17、18、19 PC部材
2 梁材
3 コンクリート板
4 トラス筋
5 あばら筋
6 段部
7a 上端筋
7b 下端筋
8 ラチス筋
10 PC鋼材
12 突起部
13 手摺り
20、21 ハンチ
22 方杖
23 吊り材
24 柱
25 ハーフPC板
26、33 トップコンクリート
27、28 コンクリートスラブ
29 梁
30 薄肉PC板
31 ブラケット
32 支保工
Claims (6)
- 梁材上部の長辺側にコンクリート板が一体的に突設され、梁材からコンクリート板にかけての上面に、トラス筋が上部を突出させて配筋され、梁材の上面からはあばら筋の一部が突出され、前記コンクリート板と反対側の梁材の上部には、プレキャストコンクリート床板を設置したときに、該プレキャストコンクリート床板の上面が梁材の上面と面一になるような深さの段部が形成されたことを特徴とするプレキャストコンクリート部材。
- コンクリート板の先端部に突起部が設けられ、該突起部に手摺りが取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材。
- 梁材とコンクリート板下面とにわたってハンチまたは方杖が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載のプレキャストコンクリート部材。
- コンクリート板が先端から梁材側にかけて漸次肉厚に形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレキャストコンクリート部材。
- 梁材からコンクリート板にかけてPC鋼材が埋設され、該PC鋼材によりプレストレスが付与されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプレキャストコンクリート部材。
- 梁材上部の長辺側にコンクリート板が一体的に突設され、梁材からコンクリート板にかけての上面に、上部が突出したトラス筋が配筋され、梁材の上面からはあばら筋の一部が突出され、前記コンクリート板と反対側の梁材の上部には、プレキャストコンクリート床板を設置したときに、該プレキャストコンクリート床板の上面が梁材の上面と面一になるような深さの段部が形成されたプレキャストコンクリート部材を、コンクリート板を外側に向けて、柱頭部に設置した後、前記梁材の段部にプレキャストコンクリート床板を設置し、該プレキャストコンクリート床板およびコンクリート板にトップコンクリートを打設することを特徴とするコンクリートスラブの構築方法。
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- 2001-06-14 JP JP2001180017A patent/JP3574631B2/ja not_active Expired - Lifetime
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