JP3574011B2 - 製氷装置及びそれを備えた冷凍冷蔵庫 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭等における冷凍冷蔵庫に用いられて好適な製氷装置に係り、特に高品質な透明氷を短時間で製氷することが可能な製氷装置及びそれを備えた冷凍冷蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、家庭用の冷凍冷蔵庫等においては、水を製氷皿に貯留して製氷する製氷装置が略標準装備され、中には所定量の氷が常備できるように給水タンクから自動給水して自動製氷する製氷装置が市場に提供されている。
【0003】
しかし、単に製氷皿を冷却して製氷すると白濁した氷になることが知られており、かかる白濁した氷は溶解速度が速く、またウイスキーの水割等に用いても雰囲気が盛上がらない等の理由から透明氷が要望され種々の構成の製氷装置が提案されている。
【0004】
即ち、製氷皿は複数の製氷ブロックに区画され、当該各製氷ブロックに水が貯留されている。このような製氷皿を単に冷却すると、各製氷ブロックの周囲から結氷が始り、内部の水が最後に結氷するようになる。
【0005】
このとき、水に溶存していた空気が、未結氷水中に気泡となってでてきて、当該気泡が氷に閉じこめられると白濁した氷となる。
【0006】
そこで、発生した気泡の脱気を促進させて透明氷を得る構成として、例えば特開平6−221736号公報においては、製氷皿を揺動可能に設けると共に当該製氷皿に永久磁石等の磁性材料を固着し、また製氷室の一部(固定されて動かない部分)に電磁コイルを設けた構成が開示されている。
【0007】
そして、電磁コイルに交流電流を供給して、そのときに発生する交番磁界により製氷皿を揺動させるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成では、製氷皿に貯留されている水の量により当該製氷皿の重さが異なるので、時には共振を起して水が零れたり、また振幅が大きくなると製氷皿又は磁性材料と電磁コイルとが衝突して打撃音が発生する問題があった。
【0009】
特に、磁力は距離の二乗で小さくなるので磁性材料と電磁コイルとが離れると、これらに働く磁力が急激に小さくなって製氷皿への制動力が激減してしまうので、例えば製氷皿の振動数を大きくするには、磁性材料と電磁コイルとが離れた状態でも大きな磁力が作用しなうように、電磁コイル又は磁性材料の磁場を大きくしなければならず、コスト上昇の要因となると共に大きな電力損失を発生させる原因となる問題がある。
【0010】
また、基本的に上記構成は交番磁界を介して揺動するので、接触して振動を伝える機構に比べ振動始動力が弱く、このため揺動軸に氷が少しでも付着しているとスムースに揺動が始動できない問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、製氷皿の状態に左右されることなく当該製氷皿を適切に揺動させることにより、安定して透明氷が製氷できる製氷装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、矩形状の製氷皿に貯留された水を冷却して製氷する製氷装置において、製氷皿の側端部と係合可能に設けられて、当該製氷皿に直接揺動力を与えて揺動させる揺動付与機構と、製氷皿を上下反転させて脱氷すると共に、その際揺動付与機構と製氷皿との係合を解除する脱氷機構とを有して、製氷皿の状態に左右されることなく当該製氷皿に直接的に力を与えて適切に揺動させ、これにより安定して透明氷が製氷できるようにしたことを特徴とする。
【0013】
更に本発明は、揺動付与機構が、製氷皿の対向する側端部に設けられて、当該製氷皿を揺動可能にする回動軸と、製氷皿の揺動する際の揺動力を発生する揺動モータと、製氷皿の側端部に延設して設けられた長孔の係合孔と、該係合孔に挿嵌される係合ピンを備えると共に揺動モータにより回動して、該揺動モータの回転運動を製氷皿の揺動運動に変換する動力変換板とを有して、簡単な構成で、製氷皿の状態に左右されることなく当該製氷皿に直接的に力を与えて適切に揺動させ、これにより安定して透明氷が製氷できるようにしたことを特徴とする。
【0014】
更に本発明は、脱氷機構が、回動軸と係合して製氷皿を上下反転させる脱氷モータと、回動軸に設けられたカムと、一端がカムに当接し、他端が揺動モータに連結されて、カムの動きに合わせて揺動モータの位置を変えるアームとを有して、脱氷モータが回動して製氷皿を上下反転させる際に、アームが振動モータの位置をずらして、係合ピンと係合孔との係合を解除するようにして、脱氷時における脱氷機構と揺動付与機構との干渉を防止したことを特徴とする。
【0015】
請求項にかかる発明は、係合孔が製氷皿のコーナ近傍に設けられて、製氷皿を揺動させた際に当該製氷皿に撚りが加わるようにして、脱氷が容易に行えるようにしたことを特徴とする。
【0016】
請求項にかかる発明は、揺動モータが、バネにより製氷皿の方向に付勢されて、アームが常にカムに当接するようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項にかかる発明は、請求項1乃至いずれか1項記載の製氷装置を用いて冷凍冷蔵庫を形成したことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は本発明にかかる製氷装置20を適用した冷凍冷蔵庫2の正面図で、その正面の扉を取除いたときの様子を示す図である。図2は本発明にかかる製氷装置20の概略構成を示す上面図である。また、図3は製氷皿21の要部を示す側面図である。
【0019】
冷凍冷蔵庫2は、外箱3と内箱4とを有し、この間に断熱材5が充填されてなる断熱構造体で、内箱4の内部には複数の断熱中仕切板6が設けられて冷蔵室7、冷凍室8、野菜室9等が形成されている。
【0020】
冷蔵室7の下端部には、氷を作るための水が貯留される給水タンク11が設けられ、また冷凍室8には製氷装置20及び貯氷箱12が設けらている。なお、貯氷箱12は製氷装置20の下に設けられて、当該製氷装置20からの氷を受止めて貯氷するようになっている。
【0021】
また、冷凍冷蔵庫2の下端部等には、冷媒を圧縮する圧縮機、冷媒を絞るキャピラリーチューブ、ガス状態の冷媒の熱を放熱して凝縮させる凝縮器、内部で冷媒を気化させて庫内空気を冷却する冷却器等からなる図示しない冷凍装置が収納されて、庫内空気を強制循環させながら庫内を冷却している。
【0022】
一方、製氷装置20は、給水タンク11からの水を貯留する製氷皿21、当該製氷皿21を所定周期で揺動させる揺動付与機構30、製氷皿21を上下反転させて当該製氷皿21に製氷した氷を貯氷箱12に移す脱氷機構23等を有している。
【0023】
このような製氷皿21は、上面が開口して形成された合成樹脂製で、その内側が凹状に形成された複数の製氷ブロック24に区画され、また製氷皿21の両端部(図2及び図3では、左右方向)には回動軸25が設けられると共に、左端に給水タンク11からの水が給水される給水口26が設けられている。
【0024】
そして、製氷皿21の裏側に冷却装置により冷気が送風されて、当該製氷皿21を底部側から冷却すると共に、各製氷ブロック24の側端部に揺動付与機構30が設けられて当該製氷皿21を揺動させるようになっている。
【0025】
揺動付与機構30は、製氷皿21の対向する側端部に設けられて、当該製氷皿21を揺動可能にする上述した回動軸25、製氷皿21の揺動する際の揺動力を発生する揺動モータ31、回動軸25が設けられた製氷皿21の側端部と直交する一方の側端部に延設して設けられた長孔の係合孔32、該係合孔32に挿嵌される係合ピン33を備えると共に揺動モータ31により回動して、該揺動モータ31の回転運動を製氷皿21の揺動運動に変換する動力変換板34、揺動モータ31製氷皿の方向に付勢するバネ37等により構成されている。
【0026】
そして、揺動モータ31の回転に伴い動力変換板34が回転すると、係合ピン33が円運動するようになる。
【0027】
この係合ピン33は、係合孔32に係合し、かつ、該係合孔32が製氷皿21の側端部に沿って延設されているので、係合ピン33は係合孔32を往復運動するようになり、当該係合ピン33の円運動が製氷皿21の揺動運動に変換される。
【0028】
なお、係合孔32は製氷皿21のコーナ近傍に設けられている。この理由については後述する。
【0029】
脱氷機構23は、製氷皿21の一端側(図2では右側)に設けられた駆動部27、該駆動部27から製氷皿21の他端(図2では左側)に延びて設けられた支持部材28、貯氷箱12に所定量以上の氷が蓄えられているか否かを検出する検氷レバー29、回動軸25に固着されたカム36、一端がカム36に当接し、他端が揺動モータ31に連結されて、カム36の動きに合わせて揺動モータ31の水平位置を変えるアーム35等を有して、駆動部27は脱氷モータ、ギヤ及び出力軸等により構成されている。
【0030】
そして、製氷皿21の一方の回動軸25は、支持部材28により支持され、他方の回動軸25は出力軸に係合して、脱氷モータの動力が製氷皿21に伝達されることにより当該製氷皿21が上下反転して製氷された氷が落下する。この落下した氷は貯氷箱12に受止められて貯氷されるようになっている。
【0031】
このとき、揺動モータ31がバネ377により付勢されているので、アーム35の一端は常にカム36に当接し、また他端は揺動モータ31に連結されてているので、カム36の動きに合わせて揺動モータ31の水平位置が変化するようになる。
【0032】
これにより、脱氷モータが回動して製氷皿21を上下反転させて脱氷する際には、係合ピン33と係合孔32との係合が解除されるようになっている。
【0033】
従って、脱氷時に脱氷動作と揺動動作とが緩衝するようなことが防止できるようになっている。
【0034】
なお、貯氷箱12に氷が所定量以上貯氷されているか否かの判断は、上述したように製氷皿21が上下反転する前に検氷レバー29が貯氷箱12に向って回転して、氷が所定量以上貯氷されているときに受ける力により判断するようになっている。
【0035】
即ち、検氷レバー29が所定量回転しても、力を受けない場合には、貯氷箱12に氷が無くなっていると判断して脱氷動作が開始する。
【0036】
また、脱氷時には、製氷皿21は上下反転するが、このとき脱氷が容易なように、当該製氷皿21には撚りが加えられるようになっている。
【0037】
次に、このような構成の製氷装置20における製氷過程を説明する。先ず、給水タンク11から水が給水口26を介して製氷皿21に供給され、これにより各製氷ブロック24には水が貯留されるようになる。
【0038】
このとき、製氷皿21の裏面には冷気が送風されているので、貯留された水は冷却され0℃の冷水となって各製氷ブロック24の周囲から徐々に結氷を開始する。
【0039】
そして、水中に溶存していた空気は、未結氷の水に微少な気泡となってでてくるが、この気泡が水から抜けでないと白濁した氷となってしまう。
【0040】
そこで、揺動付与機構30により製氷皿21を揺動させて、水を攪拌し、これにより気泡が脱気し易くしている。
【0041】
このとき、係合ピン33が係合孔32に挿嵌されているので、揺動力は直接製氷皿21に伝達され、例えば回動軸25が着氷して動きが悪くなっているような場合でも確実に製氷皿21を揺動させることができる。
【0042】
製氷が完了すると、上述したように製氷皿21に捻りが加えられて脱氷が行われる。このときの捻りは、氷が製氷皿21にくっついていて、単に当該製氷皿21を上下反転しただけでは脱氷しないので、氷を製氷皿21から離す目的で行っている。
【0043】
しかし、図2及び図3にも見られるように、係合孔32は製氷皿21のコーナ近傍に設けられて揺動力が当該コーナ近傍に付与されるようになっているので(中央部分でない)、揺動力により製氷皿21を捻る力の成分が働き、製氷中に結氷した氷が製氷皿21にくっついてしまうことを抑制している。
【0044】
従って、製氷完了時には氷は製氷皿21にくっついていないので、敢て脱氷時に捻りを加える必要が無くなる。
【0045】
ただ、製氷面には種々の理由で傷等が付くことが予想され、かかる場合には氷がこの傷の所でくっついてしまう恐れがあり、これを解除するには大きな捻りを必要とするので本発明では脱氷時にも捻りを加えるようにしている。
【0046】
また、揺動力に捻り成分が作用し、製氷中の氷が製氷皿21にくっつかなくなると、結氷した氷が揺動動作により振動し、これにより未結氷水が攪拌されて気泡の脱気を促進させる効果もある。
【0047】
このような、攪拌作用が生れることにより、透明度の高い氷を作ることが可能になる。
【0048】
なお、上記説明では、揺動付与機構30を回動軸25を結ぶ線に平行な製氷皿21の側面に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図4〜図5に示すように回動軸25を結ぶ線に垂直な製氷皿21の側面(脱氷機構23が設けられている側の側面)に設けても良い。
【0049】
図4は上面図であり、図5は図4におけるBB矢視断面図である。
【0050】
動作は上述した場合と同様であり、上述した場合と同様の効果を得ることが可能になるが、脱氷機構における動作が多少異なっている。なお、同一構成に関しては同一符号を用いる。
【0051】
即ち、カム36におけるアーム35の当接面は、傾斜して設けられ、当該カム36が回転することによりアーム35はバネ37に抗してこの当接面を滑る。これにより、係合孔32と係合ピン33との係合が解除され、製氷皿21が上下反転して脱氷が行われる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1にかかる発明によれば、製氷皿の側端部と係合可能に設けられて、当該製氷皿に直接揺動力を与えて揺動させる揺動付与機構を設けると共に、製氷皿を上下反転させて脱氷すると共に、その際揺動付与機構と製氷皿との係合を解除する脱氷機構を設けたので、製氷皿の状態に左右されることなく当該製氷皿に直接的に力を与えて適切な揺動を行うことができるようになり、これにより安定して透明度の高い透明氷が製氷できるようになる。
【0053】
更に本発明によれば、揺動付与機構を回動軸、揺動モータ、製氷皿の側端部に設けられた係合孔、該係合孔に挿嵌される係合ピンを備えて揺動モータの回転運動を製氷皿の揺動運動に変換する動力変換板により構成したので、簡単な構成で確実に製氷皿に揺動力を与えることができて、製氷皿の状態に左右されることなく当該製氷皿を適切に揺動することができるようになり、これにより安定して透明度の高い透明氷が製氷できるようになる。
【0054】
更に本発明によれば、カムが揺動モータの位置を変えるアームに当接して、係合ピンと係合孔との係合を解除するようにしたので、簡単な構成で脱氷時における脱氷機構と揺動付与機構との干渉を防止することができ、安定して透明度の高い透明氷が製氷できるようになる。
【0055】
請求項にかかる発明によれば、係合孔が製氷皿のコーナ近傍に設けられて、製氷皿を揺動させた際に当該製氷皿に撚りが加わるようにしたので、氷が製氷皿にくっついてしまうことが抑制され、これにより気泡の脱気が促進されると共に脱氷が容易に行えるようになる。
【0056】
請求項にかかる発明によれば、揺動モータが、バネにより製氷皿の方向に付勢されて、アームが常にカムに当接するようにしたので、簡単な構成で脱氷時における脱氷機構と揺動付与機構との干渉を防止することができ、安定して透明度の高い透明氷が製氷できるようになる。
【0057】
請求項にかかる発明によれば、請求項1乃至5いずれか1項記載の製氷装置を用いて冷凍冷蔵庫を形成したので、高品質な冷凍冷蔵庫を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる製氷装置が適用される冷凍冷蔵庫の正面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の説明に適用される製氷装置の上面図である。
【図3】製氷装置の要部を示す部分側断面図である。
【図4】他の実施例の構成を示す製氷装置の上面図である。
【図5】図4における矢視BBの断面図である。
【符号の説明】
20 製氷装置
21 製氷皿
23 脱氷機構
24 製氷ブロック
25 回動軸
30 揺動付与機構
31 揺動モータ
32 係合孔
33 係合ピン
34 動力変換板
35 アーム
36 カム
37 バネ

Claims (4)

  1. 矩形状の製氷皿に貯留された水を冷却して製氷する製氷装置において、
    前記製氷皿の側端部と係合可能に設けられて、当該製氷皿に直接揺動力を与えて揺動させる揺動付与機構と前記製氷皿を上下反転させて脱氷すると共に、その際前記揺動付与機構と前記製氷皿との係合を解除する脱氷機構とを有し、
    前記揺動付与機構が、前記製氷皿の対向する側端部に設けられて、当該製氷皿を揺動可能にする回動軸と、前記製氷皿を揺動させる際の動力を発生する揺動モータと、前記製氷皿の側端部に延設して設けられた長孔の係合孔と、該係合孔に挿嵌される係合ピンを備えると共に前記揺動モータにより回動して、該揺動モータの回転運動を前記製氷皿の揺動運動に変換する動力変換板とを有し、
    前記脱氷機構が、前記回動軸と係合して前記製氷皿を上下反転させる脱氷モータと、前記回動軸に設けられたカムと、一端が前記カムに当接し、他端が前記揺動モータに連結されて、前記カムの動きに合わせて前記揺動モータの位置を変えるアームとを有して、前記脱氷モータが回動して前記製氷皿を上下反転させる際に、前記アームが前記振動モータの位置をずらして、前記係合ピンと前記係合孔との係合を解除するようにしたことを特徴とする製氷装置
  2. 前記係合孔が前記製氷皿のコーナ近傍に設けられて、前記製氷皿を揺動させた際に当該製氷皿に撚りが加わるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の製氷装置。
  3. 前記揺動モータが、バネにより前記製氷皿の方向に付勢されて、前記アームが常に前記カムに当接するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の製氷置。
  4. 請求項1乃至いずれか1項記載の製氷装置が備えられていることを特徴とする冷凍冷蔵庫。
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