JP3573561B2 - 釈放型電磁石装置 - Google Patents
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構成部品点数が少なく、安価で、磁気回路効率が高く、小型で、性能安定度の高く、かつ、組立性に優れた釈放型電磁石装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の釈放型電磁石装置は特開平5−82005および特開平5−182578に見られるように、ばねに力学的エネルギーを蓄え、可動コアをヨークに吸着させる磁束を発生するために可動コアの外部に立方体状のマグネットが2個設けられている。円柱状の可動コアとマグネットの間には、磁気回路の一部を構成するヨークが、電磁石装置の効率を上げるために設けられている。この釈放型電磁石装置の磁気回路は図1のようになる。磁気回路は可動コア105の両側に対向して設けられた1対の立方体状のマグネット101、第1のヨーク102、第2のヨーク103、固定コア104、可動コア105より構成され、マグネット101の磁束が一方は第1のヨーク102、固定コア104を介し、他方は第2のヨーク103を介して、可動コア105が固定コア104に吸着される。可動コア105は軸107を介して、ばね力が作用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、可動コア吸着用のマグネットが立方体状であるので、漏洩磁束を少なくするためには可動コア105の両側に対向して配置できるよう2個必要であり、かつ、円柱状の可動コア及びコイルと、立方体状のマグネット及びヨークで磁気回路を構成すると、コイル外周部とヨーク間に不要な空間が発生し、かつ、コイル側面が釈放電磁石装置より外部に露出して漏洩磁束が発生しやすい構造となり、磁気シールドのためには別部品が必要であった。また、マグネット1個で磁気回路を構成すると、釈放型電磁石装置が大きくなる等の障害が生じた。
【0004】
本発明の目的は、磁気回路構成部品数の最小化、磁気回路簡素化による可動コア吸着力の安定化、漏洩磁束最小化による磁気回路効率の向上、不要空間最小化による小形化および部品製造性および組立性の向上を図れる釈放型電磁石装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明は上記目的を達成するため、磁気回路を形成するように配設されたマグネットと、該マグネットの両極にそれぞれ磁気的に結合された第1のヨーク及び第2のヨークと、前記コイル内に摺動自在に配設された可動コアと、該可動コアを前記コイルから突出する方向に付勢する付勢手段とを備え、非動作時は、前記マグネットによる磁束で前記可動コアが前記第2のヨークに吸着され、前期コアに作用する吸着力によって前期付勢手段に力学的エネルギーが蓄えられ、動作時は、前記コイルが前記マグネットによる磁束を打ち消すように励磁されて前記付勢手段の力学的エネルギーにより前記可動コアを動作させるように構成した釈放型電磁石装置において、前記可動コア、前記コイル、前記第1のヨーク、前記第2のヨーク及び前記マグネットを各々円形状とし、かつ同心円状に設け、該マグネットは、該コイルの外周に配設し、前記第1のヨーク、第2のヨーク及び前記マグネットで前記可動コア、前記コイルとを覆う構造としたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0007】
本発明の第1実施例を図2ないし図4により説明する。図2は釈放型電磁石装置の分解見取り図を示し、図3に非動作時と動作時の釈放型電磁石装置の断面図を示す。
【0008】
本実施例ではコイル6はボビン6aに巻線6bが巻回されて全体として略中空円筒状に形成され、このコイル6の外周には円筒状のマグネット1が配設される。マグネット1はフェライト磁石で円筒の両端面がそれぞれ異なる極性を示すよう軸方向に着磁され、円筒の一方の端面がN極、他方の端面がS極となる。このマグネット1の両極にはそれぞれ第1のヨーク2および第2のヨーク3が固着される。第1のヨーク2および第2のヨーク3はいずれも底を有する円筒状に形成され、第1のヨーク2にはその底面に可動コア5が突出できるよう穴2aが設けられ、この穴2aの周囲には可動コア5をガイドできるよう絞り加工あるいはプレス加工等による立ち上がり部2bが形成されている。
【0009】
第1のヨーク2および第2のヨーク3は電磁鋼板、磁気軟鉄等の磁性体により形成され、マグネット1との機械的接触によりマグネット1と磁気的に結合されるとともに、第1のヨーク2および第2のヨーク3の底面がコイル6のそれぞれの端面と機械的接触してコイル6にも磁気的に結合される。第2のヨーク3の底面にはコイル6の位置決め用の打ち出し部3aが形成される。マグネット1と第1のヨークおよび第2のヨークとの固着は、第1のヨークおよび第2のヨークをボビン6aにネジ、カシメ等により固着した後、これらの外表面にシリコン樹脂またはエポキシ樹脂等の樹脂層(図示せず)を形成することにより行う。コイル6内には中空円筒状の可動コア5が摺動自在に配設される。可動コア5も電磁鋼板、磁気軟鉄等の磁性体により形成される。これによりマグネット1の一方の極から第1のヨーク2、可動コア5、第2のヨーク3を介してマグネット1の他方の極に至る磁気回路が形成される。また、コイル6の磁束も第1のヨーク2、第2のヨーク3を介して流れるので、コイル6の一方の極から第1のヨーク2、可動コア5、第2のヨーク3を介してコイル6の他方の極に至る磁気回路も同時に形成される。そのため、コイル6による磁束とマグネット1による磁束が実質的に同じ磁気回路を形成する。
【0010】
可動コア5の内部には可動コア5をコイル6から突出する方向に付勢する付勢手段としてのばね8が設けられ、ばね8は可動コアに荷重を作用させている。可動コア5の先端には動作棒9が設けられており、動作棒9より釈放型電磁石装置の出力が取り出せるようになっている。動作棒9を非磁性材で構成することにより、漏洩磁束による金属付着等を防止できる。非磁性材としては燐青銅、ステンレス鋼等の金属材料、あるいはポリプロピレン系樹脂、ナイロン系樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の機械的強度および耐久性に優れた合成樹脂が用いられる。動作棒9の耐食性、耐久性が要求される場合にはステンレス鋼、ポリプロピレン系樹脂、ナイロン系樹脂、PBT等が望ましい。
【0011】
本実施例の釈放型電磁石装置は、非動作時は図3(a)に示すようにマグネット1による磁束で可動コア5が第2のヨーク3に吸着されるとともに可動コア5に作用する吸着力によってばね8に力学的エネルギーが蓄えられる。具体的にはばね8が圧縮されることにより弾性力としてエネルギーが蓄えられる。動作時は図3(b)に示すようにコイル6はマグネット1による磁束と逆方向の磁束を発生するよう励磁され、マグネット1による磁束が打ち消されてばねの力学的エネルギーにより可動コア5が第1のヨーク2から突出する。
【0012】
また、図4に本実施例の釈放型電磁石装置の磁気回路の簡略化したモデルを示す。釈放型電磁石装置の磁気回路は、マグネット1、第1のヨーク2、第2のヨーク3、及びコイル6より構成される。図4中の実線矢印はマグネット1による磁束を示し、非動作時の磁束は、一方が第1のヨーク2を介し、他方が第2のヨーク3を介して可動コア5に流れる。可動コア5と第1のヨーク2は接触しており、可動コア5と第2のヨーク3との間は小さなギャップを設けてある。可動コア5には、ばね8により可動コア5に作用する吸着力とは逆の方向のばね力が作用しており、可動コア5のガイドはコイル6のボビンによりなされる。動作時はコイル6に電流を流すことにより、図4及び図5中の破線矢印に示されるような、マグネット1による磁束とは逆方向の磁束が発生し、コイル6による磁束がマグネット1による磁束を打ち消すことにより、可動コア5に作用する吸着力が減少し、ばね力が吸着力より大きくなり、可動コア5が突出する。可動コア5の先端には動作棒9が設けられており、動作棒9より釈放型電磁石装置の出力が取り出せるようになっている。動作棒9を非磁性材で構成することにより、漏洩磁束による金属付着等を防止できる。釈放型電磁石装置の動作後のリセットは外部より動作棒9または可動コア5を押すことにより、可動コア5を第1のヨーク2に再吸着させることによりなされる。マグネット1を釈放型電磁石装置の外周部に配置することにより、リセット時に可動コア5が第1のヨーク2に吸着する際の衝撃力がマグネット1に作用するのを防止でき、マグネット1の破壊及び保磁力の変化の発生を防止できる。
【0013】
また、第1のヨーク2、第2のヨーク3及びマグネット1をコイル6と同様な円柱形状とすることにより、釈放型電磁石装置内に不要なスペースが生じることがなく、かつ、磁気回路の磁路が外部に発生しにくいため漏洩磁束を最小限にすることができ、高い磁気効率が得られる。可動コア5の吸着力は、磁気回路構成部品の接触部接触面積により大きく影響されるが、マグネット1と第1のヨーク2、第2のヨーク3及び第1のヨーク2と可動コア5の接触面を釈放型電磁石装置の円周方向とすることにより、部品寸法精度のばらつきが各磁気回路構成部品の接触面に影響しにくく、そのため、動作が安定し、かつ、組立性に優れた釈放型電磁石装置を得ることが可能となる。
【0014】
本発明は上記の実施例に限るものではなく、例えば第1のヨーク2、第2のヨーク3、マグネット1およびコイル6を多角形の筒状としてもよい。
【0015】
本発明の第2実施例を図5により説明する。
【0016】
本実施例は図5(b)に示すように、第1のヨーク22を円盤状とし、第2のヨーク23を底を有する円筒状として、その深さ寸法をコイル6の高さ寸法と第1のヨーク22の板厚寸法を加えた寸法としたものである。また、第2のヨーク23の内径はマグネット1の外形より多少大きい寸法(マグネット1を装着するのに必要なクリアランスを有する寸法)に設定される。第2のヨーク23には1対のツメ23aとコイル6のリード線6cの引き出し穴23bが設けられる。一方、第1のヨーク22には第1実施例と同様に可動コア5が突出するための穴22aと立ち上がり部22bが設けられ、さらにツメ23aと係合する切り欠き22cが設けられる。本実施例では図5(a)に示すように第2のヨーク23内にマグネット1、コイル6、ばね8、可動コア5、動作棒9が組み込まれる。第2のヨーク23の底面にはコイル6の位置決め用の打ち出し部23cが形成される。第1のヨーク22は切り欠き22cをツメ23aと係合させた状態でコイル6の上面に載置され、その後ツメ23bを折り曲げることにより第1のヨークが第2のヨークに固着される。コイル6のリード線は引き出し穴23bから引き出される。なお、図5(b)ではばね8、可動コア5、動作棒9の図示を省略してある。
【0017】
本発明の第3実施例を図6により説明する。
【0018】
本実施例は図6(b)に示すように、第1のヨーク32及び第2のヨーク33を円盤状とし、中空円筒状マグネット31の高さ寸法をコイル6の高さ寸法と一致させたものである。また、マグネット31の内径はコイル6の外形より多少大きい寸法(コイル6を装着するのに必要なクリアランスを有する寸法)に設定される。第2のヨーク33にはコイル6の位置決め用の打ち出し部33aが設けられる。一方、第1のヨーク32には第1実施例と同様に可動コア5が突出するための穴32aと立ち上がり部32bが設けられ、さらにコイル6のリード線を引き出す切り欠き32cが設けられる。本実施例では図6(a)に示すようにマグネット31内に、コイル6、ばね8、可動コア5、動作棒9が組み込まれる。第1のヨーク32はコイル6の上面に載置され、その後接着剤または樹脂等により第1のヨーク32、マグネット31、第2のヨーク33が固着される。なお、図6(b)ではばね8、可動コア5、動作棒9の図示を省略してある。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、下記の効果を備えた釈放型電磁石装置を得ることができる。
【0020】
1.磁気回路構成部品数の最小化。
【0021】
2.磁気回路簡素化による可動コア吸着力の安定化。
【0022】
3.漏洩磁束最小化による磁気回路効率の向上。
【0023】
4.不要空間最小化による小形化。
【0024】
5.部品製造性および組立性の向上
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の釈放型電磁石装置の磁気回路を示した図である。
【図2】本発明の第1実施例における釈放型電磁石装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例における釈放型電磁石装置の断面図で同図(a)は非動作時、同図(b)は動作時の状態をそれぞれ示す図である。
【図4】本発明の第1実施例における釈放型電磁石装置の磁気回路モデル図である。
【図5】本発明の第2実施例における釈放型電磁石装置の構成を示す図で、同図(a)は断面図、同図(b)は分解斜視図である。
【図6】本発明の第3実施例における釈放型電磁石装置の釈放型電磁石装置の構成を示す図で、同図(a)は断面図、同図(b)は分解斜視図である。
【符号の説明】
1、31‥‥マグネット
2、22、32‥‥第1のヨーク
3、23、33‥‥第2のヨーク
5‥‥可動コア
6‥‥コイル
8‥‥ばね
9‥‥動作棒
【発明の属する技術分野】
本発明は、構成部品点数が少なく、安価で、磁気回路効率が高く、小型で、性能安定度の高く、かつ、組立性に優れた釈放型電磁石装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の釈放型電磁石装置は特開平5−82005および特開平5−182578に見られるように、ばねに力学的エネルギーを蓄え、可動コアをヨークに吸着させる磁束を発生するために可動コアの外部に立方体状のマグネットが2個設けられている。円柱状の可動コアとマグネットの間には、磁気回路の一部を構成するヨークが、電磁石装置の効率を上げるために設けられている。この釈放型電磁石装置の磁気回路は図1のようになる。磁気回路は可動コア105の両側に対向して設けられた1対の立方体状のマグネット101、第1のヨーク102、第2のヨーク103、固定コア104、可動コア105より構成され、マグネット101の磁束が一方は第1のヨーク102、固定コア104を介し、他方は第2のヨーク103を介して、可動コア105が固定コア104に吸着される。可動コア105は軸107を介して、ばね力が作用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、可動コア吸着用のマグネットが立方体状であるので、漏洩磁束を少なくするためには可動コア105の両側に対向して配置できるよう2個必要であり、かつ、円柱状の可動コア及びコイルと、立方体状のマグネット及びヨークで磁気回路を構成すると、コイル外周部とヨーク間に不要な空間が発生し、かつ、コイル側面が釈放電磁石装置より外部に露出して漏洩磁束が発生しやすい構造となり、磁気シールドのためには別部品が必要であった。また、マグネット1個で磁気回路を構成すると、釈放型電磁石装置が大きくなる等の障害が生じた。
【0004】
本発明の目的は、磁気回路構成部品数の最小化、磁気回路簡素化による可動コア吸着力の安定化、漏洩磁束最小化による磁気回路効率の向上、不要空間最小化による小形化および部品製造性および組立性の向上を図れる釈放型電磁石装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明は上記目的を達成するため、磁気回路を形成するように配設されたマグネットと、該マグネットの両極にそれぞれ磁気的に結合された第1のヨーク及び第2のヨークと、前記コイル内に摺動自在に配設された可動コアと、該可動コアを前記コイルから突出する方向に付勢する付勢手段とを備え、非動作時は、前記マグネットによる磁束で前記可動コアが前記第2のヨークに吸着され、前期コアに作用する吸着力によって前期付勢手段に力学的エネルギーが蓄えられ、動作時は、前記コイルが前記マグネットによる磁束を打ち消すように励磁されて前記付勢手段の力学的エネルギーにより前記可動コアを動作させるように構成した釈放型電磁石装置において、前記可動コア、前記コイル、前記第1のヨーク、前記第2のヨーク及び前記マグネットを各々円形状とし、かつ同心円状に設け、該マグネットは、該コイルの外周に配設し、前記第1のヨーク、第2のヨーク及び前記マグネットで前記可動コア、前記コイルとを覆う構造としたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0007】
本発明の第1実施例を図2ないし図4により説明する。図2は釈放型電磁石装置の分解見取り図を示し、図3に非動作時と動作時の釈放型電磁石装置の断面図を示す。
【0008】
本実施例ではコイル6はボビン6aに巻線6bが巻回されて全体として略中空円筒状に形成され、このコイル6の外周には円筒状のマグネット1が配設される。マグネット1はフェライト磁石で円筒の両端面がそれぞれ異なる極性を示すよう軸方向に着磁され、円筒の一方の端面がN極、他方の端面がS極となる。このマグネット1の両極にはそれぞれ第1のヨーク2および第2のヨーク3が固着される。第1のヨーク2および第2のヨーク3はいずれも底を有する円筒状に形成され、第1のヨーク2にはその底面に可動コア5が突出できるよう穴2aが設けられ、この穴2aの周囲には可動コア5をガイドできるよう絞り加工あるいはプレス加工等による立ち上がり部2bが形成されている。
【0009】
第1のヨーク2および第2のヨーク3は電磁鋼板、磁気軟鉄等の磁性体により形成され、マグネット1との機械的接触によりマグネット1と磁気的に結合されるとともに、第1のヨーク2および第2のヨーク3の底面がコイル6のそれぞれの端面と機械的接触してコイル6にも磁気的に結合される。第2のヨーク3の底面にはコイル6の位置決め用の打ち出し部3aが形成される。マグネット1と第1のヨークおよび第2のヨークとの固着は、第1のヨークおよび第2のヨークをボビン6aにネジ、カシメ等により固着した後、これらの外表面にシリコン樹脂またはエポキシ樹脂等の樹脂層(図示せず)を形成することにより行う。コイル6内には中空円筒状の可動コア5が摺動自在に配設される。可動コア5も電磁鋼板、磁気軟鉄等の磁性体により形成される。これによりマグネット1の一方の極から第1のヨーク2、可動コア5、第2のヨーク3を介してマグネット1の他方の極に至る磁気回路が形成される。また、コイル6の磁束も第1のヨーク2、第2のヨーク3を介して流れるので、コイル6の一方の極から第1のヨーク2、可動コア5、第2のヨーク3を介してコイル6の他方の極に至る磁気回路も同時に形成される。そのため、コイル6による磁束とマグネット1による磁束が実質的に同じ磁気回路を形成する。
【0010】
可動コア5の内部には可動コア5をコイル6から突出する方向に付勢する付勢手段としてのばね8が設けられ、ばね8は可動コアに荷重を作用させている。可動コア5の先端には動作棒9が設けられており、動作棒9より釈放型電磁石装置の出力が取り出せるようになっている。動作棒9を非磁性材で構成することにより、漏洩磁束による金属付着等を防止できる。非磁性材としては燐青銅、ステンレス鋼等の金属材料、あるいはポリプロピレン系樹脂、ナイロン系樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の機械的強度および耐久性に優れた合成樹脂が用いられる。動作棒9の耐食性、耐久性が要求される場合にはステンレス鋼、ポリプロピレン系樹脂、ナイロン系樹脂、PBT等が望ましい。
【0011】
本実施例の釈放型電磁石装置は、非動作時は図3(a)に示すようにマグネット1による磁束で可動コア5が第2のヨーク3に吸着されるとともに可動コア5に作用する吸着力によってばね8に力学的エネルギーが蓄えられる。具体的にはばね8が圧縮されることにより弾性力としてエネルギーが蓄えられる。動作時は図3(b)に示すようにコイル6はマグネット1による磁束と逆方向の磁束を発生するよう励磁され、マグネット1による磁束が打ち消されてばねの力学的エネルギーにより可動コア5が第1のヨーク2から突出する。
【0012】
また、図4に本実施例の釈放型電磁石装置の磁気回路の簡略化したモデルを示す。釈放型電磁石装置の磁気回路は、マグネット1、第1のヨーク2、第2のヨーク3、及びコイル6より構成される。図4中の実線矢印はマグネット1による磁束を示し、非動作時の磁束は、一方が第1のヨーク2を介し、他方が第2のヨーク3を介して可動コア5に流れる。可動コア5と第1のヨーク2は接触しており、可動コア5と第2のヨーク3との間は小さなギャップを設けてある。可動コア5には、ばね8により可動コア5に作用する吸着力とは逆の方向のばね力が作用しており、可動コア5のガイドはコイル6のボビンによりなされる。動作時はコイル6に電流を流すことにより、図4及び図5中の破線矢印に示されるような、マグネット1による磁束とは逆方向の磁束が発生し、コイル6による磁束がマグネット1による磁束を打ち消すことにより、可動コア5に作用する吸着力が減少し、ばね力が吸着力より大きくなり、可動コア5が突出する。可動コア5の先端には動作棒9が設けられており、動作棒9より釈放型電磁石装置の出力が取り出せるようになっている。動作棒9を非磁性材で構成することにより、漏洩磁束による金属付着等を防止できる。釈放型電磁石装置の動作後のリセットは外部より動作棒9または可動コア5を押すことにより、可動コア5を第1のヨーク2に再吸着させることによりなされる。マグネット1を釈放型電磁石装置の外周部に配置することにより、リセット時に可動コア5が第1のヨーク2に吸着する際の衝撃力がマグネット1に作用するのを防止でき、マグネット1の破壊及び保磁力の変化の発生を防止できる。
【0013】
また、第1のヨーク2、第2のヨーク3及びマグネット1をコイル6と同様な円柱形状とすることにより、釈放型電磁石装置内に不要なスペースが生じることがなく、かつ、磁気回路の磁路が外部に発生しにくいため漏洩磁束を最小限にすることができ、高い磁気効率が得られる。可動コア5の吸着力は、磁気回路構成部品の接触部接触面積により大きく影響されるが、マグネット1と第1のヨーク2、第2のヨーク3及び第1のヨーク2と可動コア5の接触面を釈放型電磁石装置の円周方向とすることにより、部品寸法精度のばらつきが各磁気回路構成部品の接触面に影響しにくく、そのため、動作が安定し、かつ、組立性に優れた釈放型電磁石装置を得ることが可能となる。
【0014】
本発明は上記の実施例に限るものではなく、例えば第1のヨーク2、第2のヨーク3、マグネット1およびコイル6を多角形の筒状としてもよい。
【0015】
本発明の第2実施例を図5により説明する。
【0016】
本実施例は図5(b)に示すように、第1のヨーク22を円盤状とし、第2のヨーク23を底を有する円筒状として、その深さ寸法をコイル6の高さ寸法と第1のヨーク22の板厚寸法を加えた寸法としたものである。また、第2のヨーク23の内径はマグネット1の外形より多少大きい寸法(マグネット1を装着するのに必要なクリアランスを有する寸法)に設定される。第2のヨーク23には1対のツメ23aとコイル6のリード線6cの引き出し穴23bが設けられる。一方、第1のヨーク22には第1実施例と同様に可動コア5が突出するための穴22aと立ち上がり部22bが設けられ、さらにツメ23aと係合する切り欠き22cが設けられる。本実施例では図5(a)に示すように第2のヨーク23内にマグネット1、コイル6、ばね8、可動コア5、動作棒9が組み込まれる。第2のヨーク23の底面にはコイル6の位置決め用の打ち出し部23cが形成される。第1のヨーク22は切り欠き22cをツメ23aと係合させた状態でコイル6の上面に載置され、その後ツメ23bを折り曲げることにより第1のヨークが第2のヨークに固着される。コイル6のリード線は引き出し穴23bから引き出される。なお、図5(b)ではばね8、可動コア5、動作棒9の図示を省略してある。
【0017】
本発明の第3実施例を図6により説明する。
【0018】
本実施例は図6(b)に示すように、第1のヨーク32及び第2のヨーク33を円盤状とし、中空円筒状マグネット31の高さ寸法をコイル6の高さ寸法と一致させたものである。また、マグネット31の内径はコイル6の外形より多少大きい寸法(コイル6を装着するのに必要なクリアランスを有する寸法)に設定される。第2のヨーク33にはコイル6の位置決め用の打ち出し部33aが設けられる。一方、第1のヨーク32には第1実施例と同様に可動コア5が突出するための穴32aと立ち上がり部32bが設けられ、さらにコイル6のリード線を引き出す切り欠き32cが設けられる。本実施例では図6(a)に示すようにマグネット31内に、コイル6、ばね8、可動コア5、動作棒9が組み込まれる。第1のヨーク32はコイル6の上面に載置され、その後接着剤または樹脂等により第1のヨーク32、マグネット31、第2のヨーク33が固着される。なお、図6(b)ではばね8、可動コア5、動作棒9の図示を省略してある。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、下記の効果を備えた釈放型電磁石装置を得ることができる。
【0020】
1.磁気回路構成部品数の最小化。
【0021】
2.磁気回路簡素化による可動コア吸着力の安定化。
【0022】
3.漏洩磁束最小化による磁気回路効率の向上。
【0023】
4.不要空間最小化による小形化。
【0024】
5.部品製造性および組立性の向上
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の釈放型電磁石装置の磁気回路を示した図である。
【図2】本発明の第1実施例における釈放型電磁石装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例における釈放型電磁石装置の断面図で同図(a)は非動作時、同図(b)は動作時の状態をそれぞれ示す図である。
【図4】本発明の第1実施例における釈放型電磁石装置の磁気回路モデル図である。
【図5】本発明の第2実施例における釈放型電磁石装置の構成を示す図で、同図(a)は断面図、同図(b)は分解斜視図である。
【図6】本発明の第3実施例における釈放型電磁石装置の釈放型電磁石装置の構成を示す図で、同図(a)は断面図、同図(b)は分解斜視図である。
【符号の説明】
1、31‥‥マグネット
2、22、32‥‥第1のヨーク
3、23、33‥‥第2のヨーク
5‥‥可動コア
6‥‥コイル
8‥‥ばね
9‥‥動作棒
Claims (1)
- 磁気回路を形成するように配設されたマグネットと、該マグネットの両極にそれぞれ磁気的に結合された第1のヨーク及び第2のヨークと、前記コイル内に摺動自在に配設された可動コアと、該可動コアを前記コイルから突出する方向に付勢する付勢手段とを備え、
非動作時は、前記マグネットによる磁束で前記可動コアが前記第2のヨークに吸着され、前期コアに作用する吸着力によって前期付勢手段に力学的エネルギーが蓄えられ、
動作時は、前記コイルが前記マグネットによる磁束を打ち消すように励磁されて前記付勢手段の力学的エネルギーにより前記可動コアを動作させるように構成した釈放型電磁石装置において、
前記可動コア、前記コイル、前記第1のヨーク、前記第2のヨーク及び前記マグネットを各々円形状とし、かつ同心円状に設け、
該マグネットは、該コイルの外周に配設し、
前記第1のヨーク、第2のヨーク及び前記マグネットで前記可動コア、前記コイルとを覆う構造としたことを特徴とする釈放型電磁石装置。
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JP06244996A JP3573561B2 (ja) | 1996-03-19 | 1996-03-19 | 釈放型電磁石装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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-
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- 1996-03-19 JP JP06244996A patent/JP3573561B2/ja not_active Expired - Fee Related
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