JP3573480B2 - プロスタグランジン誘導体およびその使用 - Google Patents
プロスタグランジン誘導体およびその使用 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は新規な(9R−クロロ)プロスタグランジン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロスタグランジン(以下PGと略称する)およびその誘導体は微量で種々の重要な生理作用を発揮する。このため、医薬への応用を意図して天然PG及び夥しい数のその誘導体について、これらの合成と生物活性の検討が行なわれてきている。その結果は多数の文献をはじめ、特開昭52−100446号公報(米国特許第4,029,681号)、特表平2−502009号公報(WO89/00559号)などで報告されている。PGおよびその誘導体は、血管拡張作用、起炎作用、血小板凝集作用、子宮筋収縮作用、腸管収縮作用等の作用を有することが知られている。また、PGおよびその誘導体の中には、眼圧下降作用を有するものも知られている。しかしこれらの化合物は、一過性の眼圧上昇を伴い、また結膜、紅彩に充血が認められ、さらには流涙、眼脂、閉眼などの副作用が認められる。このため、眼圧下降剤あるいは緑内障治療剤としての使用には問題があった。また、特表平2−502009号公報は、9位がハロゲンで置換された一群のPG誘導体を開示しているが、眼圧下降作用、副作用等を考慮すると、その作用は十分に満足できるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規なPG誘導体の提供、および強力な眼圧下降作用を有し、PG誘導体に見られる結膜、紅彩での強い充血、閉眼、流涙などの副作用が全く認められないかあるいは著しく軽減されたPG誘導体の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を進めた結果、α鎖にインターフェニレンの構造を有し、9位にR−立体配置の塩素原子を有し、かつ13,14位に3重結合を有するある特定のPG誘導体が前記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、式(I)
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、R1は水素原子あるいは炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基、R2は炭素原子数4〜8個のシクロアルキル基、炭素原子数5〜9個のシクロアルキルメチル基または炭素原子数1〜4個のアルキル基で置換された炭素原子数5〜7個のシクロアルキル基を示し、nは0または1を示す。)で表されるプロスタグランジン誘導体またはその塩である。
本発明の式(I)の化合物は、例えば以下に挙げる方法により合成できる。その反応式を次に示す。
【0007】
【化4】
【0008】
【化5】
【0009】
(反応式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を示し、Etはエチル基を示し、EEはエトキシエチル基を示し、R2は式(I)のR2と同じ意味を示し、R3は式(I)のR1から水素原子を除いたものと同じ意味を示す。)。
【0010】
すなわち,まず、佐藤らの方法[ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、第53巻、第5590ページ(1988年)]により公知である式(II)の化合物に式(III)の有機アルミニウム化合物を反応させてPGにω−側鎖を導入し式(IV)の化合物とする。一方、式(V)で表されるブロモベンゼン誘導体にtーブチルリチウムと2−チエニルシアノキュープレイトとを反応させた化合物に先の式(IV)の化合物を反応させてPGのα−側鎖を導入し式(VI)の化合物とする。次にこれをリチウムトリ−sec−ブチルボロハイドライドにて立体選択的に還元し、式(VII)の化合物とした後にエトキシエチル基を脱保護し式(VIII)の化合物とする。式(VIII)の化合物はナトリウムハイドライドを用いブロモ酢酸エステルを反応させると式(IX)の化合物が得られる。ついで、式(IX)の化合物の水酸基をメタンスルホニルクロライドでメシル化した後、テトラn−ブチルアンモニウムクロライドと反応させクロロ置換体(X)とし、更にフッ化水素酸で水酸基の保護基をはずし式(Ia)の化合物((I)でR1が炭素数1〜6のアルキル基の化合物)とする。ここで、ブロム化、フッ素化も通常の条件にて行いブロモ、フルオロ置換体とすることができる。ブロム化は例えばアセトニトリル中四臭化炭素を用い、トリフェニルフォスフィン、ピリジン存在下反応することにより、またフッ素化は例えば、塩化メチレン中、ジメチルアミノサルファートトリフロリド(DAST)を反応させて得ることができる。式(Ia)の化合物は水酸化リチウムで加水分解することにより式(Ib)の化合物((I)でR1が水素原子の化合物)が得られる。
【0011】
本発明において、炭素原子数1〜4個のアルキル基とは直鎖状または分鎖状のものである。これらアルキル基で置換された炭素原子数5〜7個のシクロアルキル基としては、例えば2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、4−メチルシクロペンチル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、2−メチルシクロヘプチル基などを挙げることができる。
【0012】
本発明のPG誘導体は、塩であってもあるいはカルボキシル基がエステル化されていてもよい。塩としては生理学的に許容し得る塩であればよい。例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウムなどの金属との塩、あるいはアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノメチルモノエタノールアミン、トロメタミン、リジン、テトラアルキルアンモニウムなどの塩である。エステルとしては、生理学的に許容し得るアルキルエステルであればよい。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等の直鎖または側鎖を有する炭素原子数1〜6のアルキルエステルである。
本発明においては、R2がシクロヘキシル基またはシクロペンチルメチル基である化合物が特に好ましい。
【0013】
本発明による点眼剤としては、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤等であってよい。水性の溶液剤、懸濁剤用希釈剤としては蒸留水、生理食塩水が例示される。非水性の溶液剤、懸濁剤用希釈剤としては食物油、流動パラフィン、プロピレングリコール等が例示される。さらに塩化ナトリウム、塩化フェドリン等の等張化剤、ホウ酸緩衝液等の緩衝剤を用いることもできる。また、亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等の安定剤、グリセリン、カルボキシメチルセルロース等の粘稠剤等、点眼剤として常用される各種の添加剤を加えることもできる。
本発明による眼軟膏としては、ワセリン、プラスチベース等を基剤とし、これにポリソルベート等の界面活性剤、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のゼリー剤等を含ませてもよい。
本発明の眼圧下降剤は、眼圧下降作用を利用して緑内障治療剤として利用できる。緑内障治療剤として用いるときは、従来のコリン系眼圧下降剤、縮瞳剤としてのサリチル酸フイゾスチグミン、塩酸ピロカルビン等、静注用高浸透圧剤としてのマンニトール、グリセリン等、あるいは他の炎症疾患予防および治療にペニシリン、サルファ剤、クロラムフェニコール等を配合することもできる。
【0014】
【発明の効果】
本発明の化合物は、後記試験例から明らかなように眼圧降下作用が強く、また副作用もほとんどみられないことから緑内障をはじめとする、眼圧低下が望まれる種種の疾患及び症状の処置に対して有用である。
【0015】
以下、本発明の降下を試験例により具体的に説明する。
試験例 [ウサギ眼圧下降作用]
試験法にあたっては、以下の文献を参考にした。
日眼会誌、96巻、4号、462ページ、1992年
British Journal of Opthalomogy, 72巻、461ページ、1988年
ウサギ(白色家兎;2.0〜2.5Kg)を経口投与用固定器に入れ眼下用キシロカイン液(藤沢)1〜2滴を点眼して角膜表面麻酔を施した後、電子眼圧計(ALCON)を用いウサギの角膜にセンサーのついたシリコンゴム膜を当ててセンサー内のガス圧を眼圧値として測定し15分間隔で3回、各両眼の眼圧(Intraocular pressure)をとって平均した値をコントロールとした。
ウサギの左目に本発明化合物(10−8,10−7,10−6mol/50μl)を右目にVehicle(10%,saline溶液50μl)を点眼投与し0.5,1,2,3,時間まで眼圧を測定した。なお、ウサギは1群4羽とした。本発明化合物としては、製造例1および2で得られた化合物を使用した。
統計解析は、点眼前の眼圧と各測定時点の眼圧との比較をpairded T−検定法を測定した。有意水準は両側危険率5%とし、危険率5%未満のものを有意差ありと判定した。
【0016】
【結果】
各種濃度の本発明化合物点眼液(10−8,10−7,10−6mol/50 μl)をウサギに点眼し眼圧の経時変化を調べた(図1〜4)。
発明化合物点眼液の投与により、眼圧は速やかに下降し、有意な眼圧下降が投与1〜2時間後より観察された。10−8,10−7mol/50 μlでは安定な眼圧下降作用がみられ、ほとんど副作用は観察されなかった。またいずれの用量群においても眼圧下降に先立つ眼圧の上昇は観察されなかった。一方、Vehicle を投与した他眼においては投与前値と比べ、有意な変化はみられずまた副作用もみられなっかった。
図1〜4中、irritation、縮瞳、紅彩、結膜に対する記号は次の意味を有する。
irritation−:通常の状態で異常が認められない。
縮瞳−:縮瞳は認められない(ウサギの平均瞳孔径7mm)。
+:縮瞳が認められる(薬物点眼投与後、瞳孔径が1.5mm以上小さくなった時)。
紅彩−:充血は認められない(紅彩は白色)。
結膜−:充血は認められない。
【0017】
製造例1 3−オキサ−4、7−o−インタ−フェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−13、14−ジデヒドロ−5、6、16、17、18、19、20−ヘプタノル−15−シクロヘキシル−PGF1αの製造
【0018】
【化6】
【0019】
(1)(3S)−3−(t−ブチルジメチルシリル)−3−シクロヘキシルプロパ−1−イン(3.61g)をベンゼン28.8mlに溶解し、0℃でn−ブチルリチウム(1.95M、ヘキサン溶液、6.4ml)を加え、同温度で30分間攪拌した。この溶液に0℃でジエチルアルミニウムクロリド(0.97M,ヘキサン溶液、14.8ml)を加え、室温まで昇温後30分間攪拌した。
この溶液に室温で(4R)−2−(N,N−ジエチルアミノ)メチル−4−(t−ブチルジメチルシロキシ)ペント−2−エン−1−オン(0.25M,ヘキサン溶液、38.4ml)を加え、15分間攪拌した。
反応液をヘキサン(100ml)−飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)−塩酸水溶液(3m,30ml)の混合液に攪拌しながら注いだ後、有機層を分離し、飽和重曹水溶液(50ml)で洗浄した。得られた有機層の乾燥、濃縮して得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン−エーテル=10:1)で精製して(3R,4R)−2−メチレン−3−[(3’S)−3’−(t−ブチルジメチルシリル)−3’−シクロヘキシルプロパ−1’−イニル]−4−(t−ブチルジメチルシリル)シクロペンタン−1−オン3.69gを得た。
【0020】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.07,0.08 and 0.12(3s,12H),0.88(s,18H),0.92−1.92(m,11H),2.32(dd,J=7.4Hz,17.8Hz,1H),2.71(dd,J=6.5Hz,17.8Hz,1H),3.48−3.58(m,1H),4.11(dd,J=1.4Hz,6.2Hz,1H),4.20−4.32(m,1H),5.55(d,J=2.6Hz,1H),6.13(d,J=3.0Hz,1H)。
IR(neat):
2930,2850,1735,1640,1470,1380,1255,1105,830,770cm−1。
【0021】
(2)o−(1−エトキシエチルオキシ)メチル−ブロモベンゼン(1.58g,6.08mmol)のエーテル(12.2ml)溶液に、−78℃でt−ブチルリチウムのペンタン溶液(3.58ml,1.7M,6.08mmol)を滴下し、30分間攪拌した後、続いて(2−チエニル)Cu(CN)Liのテトラヒドロフラン溶液(30.4ml,0.25M,7.60mmol)を加えた。−78℃で10分間攪拌した後、(1)で得た化合物(1.45g,3.04mmol)のエーテル溶液(12.2ml)を滴下した。攪拌しながら、約1時間かけて室温に昇温した後、反応液をヘキサン(100ml)−飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)の混合液中に攪拌しながら注いだ。有機層を分離し,水層をヘキサン(50ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、続いて濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(展開溶媒;ヘキサン:エーテル=6:1)により精製し、2−デカルボキシ−4、7−o−インターフェニレン−2,3,5,6,16,17,18,19,20−ノナノル−4−(1−エトキシエチルオキシ)−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGE1 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)1.12gを得た。
【0022】
(3)(2)で得た化合物(1.12g,1.70mmol)のテトラヒドロフラン(13.6ml)溶液を−78℃に冷却し、L−セレクトライド(3.4ml,1Mのテトラヒドロフラン溶液,3.41mmol)を滴下した。−78℃で1時間攪拌した後、約1時間かけて、室温に昇温した。これに、35%過酸化水素水溶液(3ml)を滴下した後、室温で15分間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)とヘキサン(50ml)を加えた後、有機層を分離し、水層をヘキサン(30ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下、濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:エーテル=5:1)により精製して2−デカルボキシ−4、7−o−インターフェニレン−2,3,5,6,16,17,18,19,20−ノナノル−4−(1−エトキシエチルオキシ)−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)を得た。
【0023】
(4)(3)で得た化合物のi−PrOH(7.5ml)とエーテル(7.5ml)溶液に、ピリジウム p−トルエンスルホネート(21.4mg,0.085mmol)を加え、室温で10時間攪拌した。エーテル(20ml)続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)を加えた後、有機層を分離し、水層をエーテル(2×10ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−デカルボキシ−4、7−o−インターフェニレン−2,3,5,6,16,17,18,19,20−ノナノル−4−ヒドロキシ−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル) 645.4mgを得た。
【0024】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.10,0.11,0.13and0.14(4s,12H),0.91and0.92(2s,18H),0.95−1.32(m,5H),1.40−1.55(m,1H),1.62−1.82(m,5H),1.80−1.93(m,1H),1.97(ddd,J=4.2,6.1,14.3Hz,1H),2.08−2.20(m,1H),2.62−2.70(m,1H),2.95(dd,J=4.1,13.8Hz,1H),3.10(dd,J=11.5,13.8Hz,1H),3.82(br,2H),4.13(dd,J=1.8,6.3Hz,1H),4.22(br s,1H),4.32−4.35(m,1H),4.44(d,J=12.3Hz,1H),4.94(d,J=12.1Hz,1H),7.15−7.37(m,4H).
13C−NMR(CDCl3,75MHz)δppm:
139.2,139.0,130.4,129.7,128.1,126.3,111.5,85.5,83.9,80.1,72.9,67.9,63.3,55.8,45.2,45.0,43.0,29.9,28.8,28.7,26.6,26.0,25.8,18.3,17.9,−4.3,−4.7,−4.9。
IR(neat):
3340,2900,2225,1600,1450,1380,1320,1250,1100,930,835,775cm−1。
【0025】
(5)(4)で得た化合物(645.4mg,1.1mmol)とBu4N・HSO4(37.3mg,0.11mmol)のトルエン(5ml)−25%水酸化ナトリウム水溶液(5.5ml)の溶液に、2−ブロモ酢酸t−ブチルエステル(0.21ml,1.3mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。有機層を分離し、水層をヘキサン(15ml)で抽出した。得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。濾過して得られた濾液を減圧下濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製して3−オキサ−4、7−o−インターフェニレン−5,6,16,17,18,19,20−ヘプタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α t−ブチルエステル 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)550.4mgを得た。
【0026】
(6)(5)で得た化合物(550.4mg,0.785mmol)のピリジン(3.9ml)溶液に、氷冷攪拌下、メタンスルホニルクロリド(0.12ml,1.57mmol),を加え、室温に昇温した後、5時間攪拌した。反応液を、テトラブチルアンモニウムクロライド(3.6g)のトルエン溶液(3.9ml)に室温攪拌下滴下し、50℃に昇温しさらに4時間攪拌する。反応液を氷水にあけ、エーテルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄の後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチルエステル=4:1)により精製して3−オキサ−4、7−o−インターフェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−5,6,16,17,18,19,20−ヘプタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α t−ブチルエステル 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)408.4mgを得た。
【0027】
(7)(6)で得られた化合物(410.3mg,10.57mmol)のTHF溶液(19ml)に、氷冷攪拌下、フッ化水素酸水溶液(5.7ml)−THF(5.7ml)の混合溶液を加え、室温に昇温しながら3時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(30ml)−飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)中に攪拌しながら注いだ後、有機層を分離し、水層を酢酸エチル(20ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチルエステル:メタノール=50:1)により精製して3−オキサ−4、7−o−インターフェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−5,6,16,17,18,19,20−ヘプタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1αt−ブチルエステル243.0mgを得た。
【0028】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.85−1.28(m,5H),1.29−1.40(m,1H),1.48(s,9H),1.60−1.78(m,5H),2.00(br s,1H),2.22−2.28(m,2H),2.45−2.58(m,2H),2.83(br s,1H),2.94(dd,J=8.3,14.4Hz,1H),3.15(dd,J=4.9,14.4Hz,1H),3.90−3.98(m,1H),4.00(s,2H),4.04−4.15(m,1H),4.26−4.34(m,1H),4.59(d,J=11.4Hz,1H),4.75(d,J=11.5Hz,1H),7.18−7.36(m,4H)。
13C−NMR(CDCl3,75MHz)δppm:
169.8,138.3,135.3,130.8,130.3,128.3,126.4,85.8,83.1,81.9,71.2,67.6,67.0,60.1,56.3,44.1,44.0,43.7,34.6,28.1,26.4,25.9。
【0029】
(8)(7)で得た化合物(172.4mg,10.351mmol)のメタノール(6.3ml)−水(0.7ml)溶液に、水酸化リチウム・1水和物(73.6mg,1.76mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。酢酸エチル(18ml)を加えた後、0.1N塩酸水溶液を少しずつ加えてpH6.5にした。これに、硫酸アンモニウム(5g)を加えた後、酢酸エチル(2×18ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:メタノール=3:1)により精製して標記化合物61.3mgを得た。
【0030】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.82−1.40(m,6H),1.57−1.79(m,5H),2.18−2.27(m,2H),2.37−3.16(m,7H),3.91−3.97(m,1H),4.00−4.21(m,3H),4.24−4.34(m,1H),4.56−4.84(m,2H),7.24−7.38(m,4H)。
13C−NMR(CDCl3,75MHz)δppm:
174.4,138.1,134.8,130.7,130.2,128.5,126.5,86.0,82.7,71.3,67.0,59.8,56.0,44.0,43.8,43.4,34.3,28.6,28.1,26.3。
[α]D=−27.82°(C=1.054,CHCl3)。
【0031】
製造例2 3−オキサ−3、7−m−インタ−フェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−13、14−ジデヒドロ−4,5、6、16、17、18、19、20−オクタノル−15−シクロヘキシル−PGF1αの製造
【0032】
【化7】
【0033】
(1)m−(1−エトキシエチルオキシ)メチル−ブロモベンゼン(1.27g,5.2mmol)のエーテル(10.4ml)溶液に、−78℃でt−ブチルリチウムのペンタン溶液(3.1ml,1.7M,5.2mmol)を滴下し、30分間攪拌した後、続いて(2−チエニル)Cu(CN)Liのテトラヒドロフラン溶液(26.0ml,0.25M,6.5mmol)を加えた。−78℃で10分間攪拌した後、実施例1(1)で得た化合物(1.24g,2.6mmol)のエーテル溶液(10.4ml)を滴下した。攪拌しながら、約1時間かけて室温に昇温した後、反応液をヘキサン(100ml)−飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)の混合液中に攪拌しながら注いだ。有機層を分離し,水層をヘキサン(50ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、続いて濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(展開溶媒;ヘキサン:エーテル=6:1)により精製し、2−デカルボキシ−3、7−m−インターフェニレン−2,3,4,5,6,16,17,18,19,20−デカノル−4−(1−エトキシエチルオキシ)−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGE1 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)88.5mgを得た。
【0034】
(2)(1)で得た化合物(881.5mg,1.37mmol)のテトラヒドロフラン(11.6ml)溶液を−78℃に冷却し、L−セレクトライド(2.1ml,1Mのテトラヒドロフラン溶液,2.06mmol)を滴下した。−78℃で1時間攪拌した後、約1時間かけて、室温に昇温した。これに、35%過酸化水素水溶液(3ml)を滴下した後、室温で15分間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)とヘキサン(50ml)を加えた後、有機層を分離し、水層をヘキサン(30ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下、濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:エーテル=5:1)により精製して2−デカルボキシ−3、7−m−インターフェニレン−2,3,4,5,6,16,17,18,19,20−デカノル−4−(1−エトキシエチルオキシ)−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)を得た。
【0035】
(3)(2)で得た化合物のi−PrOH(6.95ml)とエーテル(6.95ml)溶液に、ピリジウム p−トルエンスルホネート(3.49mg)を加え、室温で10時間攪拌した。エーテル(20ml)続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)を加えた後、有機層を分離し、水層をエーテル(2×10ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−デカルボキシ−3、7−m−インターフェニレン−2,3,4,5,6,16,17,18,19,20−デカノル−4−ヒドロキシ−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)460mgを得た。
【0036】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.10,0.12(s,12H),0.90,0.91(2s,18H),0.79−1.34(m,5H),1.37−1.53(m,1H),1.58−1.90(m,5H),1.91−2.08(m,2H),2.55−2.64(m,1H),2.70−2.77(m,1H),2.79−2.98(m,2H),3.94−4.04(m,1H),4.08(dd,J=1.9,6.3Hz,1H),4.26−4.34(m,1H),6.62−6.69(m,1H),6.75−6.84(m,2H),7.14(t,J=7.8Hz,1H)。
13C−NMR(CDCl3,75MHz)δppm:
155.7,142.9,121.2,116.1,112.9,85.7,83.7,80.4,73.6,67.9,55.2,45.1,43.1,34.9,28.8,28.7,26.6,26.0,25.9,25.8,18.3,17.9,−4.27,−4.74,−4.95。
IR(neat):
3355,2940,2850,2225,1590,1455,1360,1250,1100,1050,1000,960,835,758cm−1。
[α]D=−45.25°(C=2.612,CHCl3)。
【0037】
(4)(3)で得た化合物(279mg,0.487mmol)とBu4N・HSO4(16.5mg,0.0478mmol)のトルエン(4.9ml)−25%水酸化ナトリウム水溶液(2.4ml)の溶液に、2−ブロモ酢酸 t−ブチルエステル(0.1ml,0.633mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。有機層を分離し、水層をヘキサン(15ml)で抽出した。得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。濾過して得られた濾液を減圧下濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製して3−オキサ−3、7−m−インターフェニレン−4,5,6,16,17,18,19,20−オクタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α t−ブチルエステル 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)266.7mgを得た。
【0038】
(5)(4)で得た化合物(266mg,0.387mmol)のピリジン(1.9ml)溶液に、氷冷攪拌下、メタンスルホニルクロリド(0.06ml,0.774mmol),を加え、室温に昇温した後、5時間攪拌した。反応液を、テトラブチルアンモニウムクロライド(1.8g)のトルエン溶液(1.9ml)に室温攪拌下滴下し、50℃に昇温しさらに4時間攪拌する。反応液を氷水にあけ、エーテルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄の後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチルエステル=4:1)により精製して3−オキサ−3、7−m−インターフェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−4,5,6,16,17,18,19,20−オクタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α t−ブチルエステル11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)215.6mgを得た。
【0039】
(6)(5)で得られた化合物(209.2mg,0.296mmol)のTHF溶液(9.8ml)に、氷冷攪拌下、フッ化水素酸水溶液(2.96ml)−THF(2.96ml)の混合溶液を加え、室温に昇温しながら3時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(30ml)−飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)中に攪拌しながら注いだ後、有機層を分離し、水層を酢酸エチル(20ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチルエステル:メタノール=50:1)により精製して3−オキサ−3、7−m−インターフェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−4,5,6,16,17,18,19,20−オクタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α t−ブチルエステル110.8mgを得た。
【0040】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.93−1.33(m,5H),1.40−1.50(m,1H),1.49(s,9H),1.62−1.88(m,5H),2.06−2.41(m,4H),2.82(dd,J=6.3,13.8Hz,1H),2.99(dd,J=4.6,13.8Hz,1H),3.84−3.95(m,1H),4.04−4.12(m,1H),4.26−4.38(m,1H),4.51(s,2H),6.73−6.88(m,3H),7.21(t,J=7.8Hz,1H)。
13C−NMR(CDCl3,75MHz)δppm:168.2,139.2,129.4,123.0,116.0,112.7,85.0,82.5,76.5,76.0,67.2,65.6,58.0,55.1,44.2,43.3,43.1,35.9,28.7,28.3,28.1,26.4,25.9。
IR(neat):
3350,2940,2850,2225,1735,1580,1483,1460,1365,1300,1230,1080,1000,840,750.cm−1。
[α]D=+23.53°(C=1.594,CHCl3)。
【0041】
(7)(6)で得た化合物(110mg,0.23mmol)のメタノール(4.2ml)−水(0.4ml)溶液に、水酸化リチウム・1水和物(48.3mg,1.15mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。酢酸エチル(18ml)を加えた後、0.1N塩酸水溶液を少しずつ加えてpH6.5にした。これに、硫酸アンモニウム(5g)を加えた後、酢酸エチル(2×18ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:メタノール=3:1)により精製して標記化合物61.3mgを得た。
【0042】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.83−1.38(m,5H),1.40−1.58(m,1H),1.59−1.89(m,5H),1.92−2.33(m,4H),2.82−3.00(m,2H),3.67−3.82(m,1H),4.03−4.12(m,H),4.18−4.30(m,1H),4.40−4.65(m,2H),6.65−6.90(m,3H),7.20(t,J=7.7Hz,1H)。
[α]D=+40.92°(C=0.735,CHCl3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1の化合物を用いて眼圧の経時変化を調べたグラフである。
【図2】製造例1の化合物を用いて眼圧の経時変化を調べたグラフである。
【図3】製造例1の化合物を用いて眼圧の経時変化を調べたグラフである。
【図4】製造例2の化合物を用いて眼圧の経時変化を調べたグラフである。
【産業上の利用分野】
本発明は新規な(9R−クロロ)プロスタグランジン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロスタグランジン(以下PGと略称する)およびその誘導体は微量で種々の重要な生理作用を発揮する。このため、医薬への応用を意図して天然PG及び夥しい数のその誘導体について、これらの合成と生物活性の検討が行なわれてきている。その結果は多数の文献をはじめ、特開昭52−100446号公報(米国特許第4,029,681号)、特表平2−502009号公報(WO89/00559号)などで報告されている。PGおよびその誘導体は、血管拡張作用、起炎作用、血小板凝集作用、子宮筋収縮作用、腸管収縮作用等の作用を有することが知られている。また、PGおよびその誘導体の中には、眼圧下降作用を有するものも知られている。しかしこれらの化合物は、一過性の眼圧上昇を伴い、また結膜、紅彩に充血が認められ、さらには流涙、眼脂、閉眼などの副作用が認められる。このため、眼圧下降剤あるいは緑内障治療剤としての使用には問題があった。また、特表平2−502009号公報は、9位がハロゲンで置換された一群のPG誘導体を開示しているが、眼圧下降作用、副作用等を考慮すると、その作用は十分に満足できるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規なPG誘導体の提供、および強力な眼圧下降作用を有し、PG誘導体に見られる結膜、紅彩での強い充血、閉眼、流涙などの副作用が全く認められないかあるいは著しく軽減されたPG誘導体の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を進めた結果、α鎖にインターフェニレンの構造を有し、9位にR−立体配置の塩素原子を有し、かつ13,14位に3重結合を有するある特定のPG誘導体が前記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、式(I)
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、R1は水素原子あるいは炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基、R2は炭素原子数4〜8個のシクロアルキル基、炭素原子数5〜9個のシクロアルキルメチル基または炭素原子数1〜4個のアルキル基で置換された炭素原子数5〜7個のシクロアルキル基を示し、nは0または1を示す。)で表されるプロスタグランジン誘導体またはその塩である。
本発明の式(I)の化合物は、例えば以下に挙げる方法により合成できる。その反応式を次に示す。
【0007】
【化4】
【0008】
【化5】
【0009】
(反応式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基を示し、Etはエチル基を示し、EEはエトキシエチル基を示し、R2は式(I)のR2と同じ意味を示し、R3は式(I)のR1から水素原子を除いたものと同じ意味を示す。)。
【0010】
すなわち,まず、佐藤らの方法[ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、第53巻、第5590ページ(1988年)]により公知である式(II)の化合物に式(III)の有機アルミニウム化合物を反応させてPGにω−側鎖を導入し式(IV)の化合物とする。一方、式(V)で表されるブロモベンゼン誘導体にtーブチルリチウムと2−チエニルシアノキュープレイトとを反応させた化合物に先の式(IV)の化合物を反応させてPGのα−側鎖を導入し式(VI)の化合物とする。次にこれをリチウムトリ−sec−ブチルボロハイドライドにて立体選択的に還元し、式(VII)の化合物とした後にエトキシエチル基を脱保護し式(VIII)の化合物とする。式(VIII)の化合物はナトリウムハイドライドを用いブロモ酢酸エステルを反応させると式(IX)の化合物が得られる。ついで、式(IX)の化合物の水酸基をメタンスルホニルクロライドでメシル化した後、テトラn−ブチルアンモニウムクロライドと反応させクロロ置換体(X)とし、更にフッ化水素酸で水酸基の保護基をはずし式(Ia)の化合物((I)でR1が炭素数1〜6のアルキル基の化合物)とする。ここで、ブロム化、フッ素化も通常の条件にて行いブロモ、フルオロ置換体とすることができる。ブロム化は例えばアセトニトリル中四臭化炭素を用い、トリフェニルフォスフィン、ピリジン存在下反応することにより、またフッ素化は例えば、塩化メチレン中、ジメチルアミノサルファートトリフロリド(DAST)を反応させて得ることができる。式(Ia)の化合物は水酸化リチウムで加水分解することにより式(Ib)の化合物((I)でR1が水素原子の化合物)が得られる。
【0011】
本発明において、炭素原子数1〜4個のアルキル基とは直鎖状または分鎖状のものである。これらアルキル基で置換された炭素原子数5〜7個のシクロアルキル基としては、例えば2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、4−メチルシクロペンチル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、2−メチルシクロヘプチル基などを挙げることができる。
【0012】
本発明のPG誘導体は、塩であってもあるいはカルボキシル基がエステル化されていてもよい。塩としては生理学的に許容し得る塩であればよい。例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウムなどの金属との塩、あるいはアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノメチルモノエタノールアミン、トロメタミン、リジン、テトラアルキルアンモニウムなどの塩である。エステルとしては、生理学的に許容し得るアルキルエステルであればよい。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等の直鎖または側鎖を有する炭素原子数1〜6のアルキルエステルである。
本発明においては、R2がシクロヘキシル基またはシクロペンチルメチル基である化合物が特に好ましい。
【0013】
本発明による点眼剤としては、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤等であってよい。水性の溶液剤、懸濁剤用希釈剤としては蒸留水、生理食塩水が例示される。非水性の溶液剤、懸濁剤用希釈剤としては食物油、流動パラフィン、プロピレングリコール等が例示される。さらに塩化ナトリウム、塩化フェドリン等の等張化剤、ホウ酸緩衝液等の緩衝剤を用いることもできる。また、亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等の安定剤、グリセリン、カルボキシメチルセルロース等の粘稠剤等、点眼剤として常用される各種の添加剤を加えることもできる。
本発明による眼軟膏としては、ワセリン、プラスチベース等を基剤とし、これにポリソルベート等の界面活性剤、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のゼリー剤等を含ませてもよい。
本発明の眼圧下降剤は、眼圧下降作用を利用して緑内障治療剤として利用できる。緑内障治療剤として用いるときは、従来のコリン系眼圧下降剤、縮瞳剤としてのサリチル酸フイゾスチグミン、塩酸ピロカルビン等、静注用高浸透圧剤としてのマンニトール、グリセリン等、あるいは他の炎症疾患予防および治療にペニシリン、サルファ剤、クロラムフェニコール等を配合することもできる。
【0014】
【発明の効果】
本発明の化合物は、後記試験例から明らかなように眼圧降下作用が強く、また副作用もほとんどみられないことから緑内障をはじめとする、眼圧低下が望まれる種種の疾患及び症状の処置に対して有用である。
【0015】
以下、本発明の降下を試験例により具体的に説明する。
試験例 [ウサギ眼圧下降作用]
試験法にあたっては、以下の文献を参考にした。
日眼会誌、96巻、4号、462ページ、1992年
British Journal of Opthalomogy, 72巻、461ページ、1988年
ウサギ(白色家兎;2.0〜2.5Kg)を経口投与用固定器に入れ眼下用キシロカイン液(藤沢)1〜2滴を点眼して角膜表面麻酔を施した後、電子眼圧計(ALCON)を用いウサギの角膜にセンサーのついたシリコンゴム膜を当ててセンサー内のガス圧を眼圧値として測定し15分間隔で3回、各両眼の眼圧(Intraocular pressure)をとって平均した値をコントロールとした。
ウサギの左目に本発明化合物(10−8,10−7,10−6mol/50μl)を右目にVehicle(10%,saline溶液50μl)を点眼投与し0.5,1,2,3,時間まで眼圧を測定した。なお、ウサギは1群4羽とした。本発明化合物としては、製造例1および2で得られた化合物を使用した。
統計解析は、点眼前の眼圧と各測定時点の眼圧との比較をpairded T−検定法を測定した。有意水準は両側危険率5%とし、危険率5%未満のものを有意差ありと判定した。
【0016】
【結果】
各種濃度の本発明化合物点眼液(10−8,10−7,10−6mol/50 μl)をウサギに点眼し眼圧の経時変化を調べた(図1〜4)。
発明化合物点眼液の投与により、眼圧は速やかに下降し、有意な眼圧下降が投与1〜2時間後より観察された。10−8,10−7mol/50 μlでは安定な眼圧下降作用がみられ、ほとんど副作用は観察されなかった。またいずれの用量群においても眼圧下降に先立つ眼圧の上昇は観察されなかった。一方、Vehicle を投与した他眼においては投与前値と比べ、有意な変化はみられずまた副作用もみられなっかった。
図1〜4中、irritation、縮瞳、紅彩、結膜に対する記号は次の意味を有する。
irritation−:通常の状態で異常が認められない。
縮瞳−:縮瞳は認められない(ウサギの平均瞳孔径7mm)。
+:縮瞳が認められる(薬物点眼投与後、瞳孔径が1.5mm以上小さくなった時)。
紅彩−:充血は認められない(紅彩は白色)。
結膜−:充血は認められない。
【0017】
製造例1 3−オキサ−4、7−o−インタ−フェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−13、14−ジデヒドロ−5、6、16、17、18、19、20−ヘプタノル−15−シクロヘキシル−PGF1αの製造
【0018】
【化6】
【0019】
(1)(3S)−3−(t−ブチルジメチルシリル)−3−シクロヘキシルプロパ−1−イン(3.61g)をベンゼン28.8mlに溶解し、0℃でn−ブチルリチウム(1.95M、ヘキサン溶液、6.4ml)を加え、同温度で30分間攪拌した。この溶液に0℃でジエチルアルミニウムクロリド(0.97M,ヘキサン溶液、14.8ml)を加え、室温まで昇温後30分間攪拌した。
この溶液に室温で(4R)−2−(N,N−ジエチルアミノ)メチル−4−(t−ブチルジメチルシロキシ)ペント−2−エン−1−オン(0.25M,ヘキサン溶液、38.4ml)を加え、15分間攪拌した。
反応液をヘキサン(100ml)−飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)−塩酸水溶液(3m,30ml)の混合液に攪拌しながら注いだ後、有機層を分離し、飽和重曹水溶液(50ml)で洗浄した。得られた有機層の乾燥、濃縮して得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン−エーテル=10:1)で精製して(3R,4R)−2−メチレン−3−[(3’S)−3’−(t−ブチルジメチルシリル)−3’−シクロヘキシルプロパ−1’−イニル]−4−(t−ブチルジメチルシリル)シクロペンタン−1−オン3.69gを得た。
【0020】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.07,0.08 and 0.12(3s,12H),0.88(s,18H),0.92−1.92(m,11H),2.32(dd,J=7.4Hz,17.8Hz,1H),2.71(dd,J=6.5Hz,17.8Hz,1H),3.48−3.58(m,1H),4.11(dd,J=1.4Hz,6.2Hz,1H),4.20−4.32(m,1H),5.55(d,J=2.6Hz,1H),6.13(d,J=3.0Hz,1H)。
IR(neat):
2930,2850,1735,1640,1470,1380,1255,1105,830,770cm−1。
【0021】
(2)o−(1−エトキシエチルオキシ)メチル−ブロモベンゼン(1.58g,6.08mmol)のエーテル(12.2ml)溶液に、−78℃でt−ブチルリチウムのペンタン溶液(3.58ml,1.7M,6.08mmol)を滴下し、30分間攪拌した後、続いて(2−チエニル)Cu(CN)Liのテトラヒドロフラン溶液(30.4ml,0.25M,7.60mmol)を加えた。−78℃で10分間攪拌した後、(1)で得た化合物(1.45g,3.04mmol)のエーテル溶液(12.2ml)を滴下した。攪拌しながら、約1時間かけて室温に昇温した後、反応液をヘキサン(100ml)−飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)の混合液中に攪拌しながら注いだ。有機層を分離し,水層をヘキサン(50ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、続いて濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(展開溶媒;ヘキサン:エーテル=6:1)により精製し、2−デカルボキシ−4、7−o−インターフェニレン−2,3,5,6,16,17,18,19,20−ノナノル−4−(1−エトキシエチルオキシ)−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGE1 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)1.12gを得た。
【0022】
(3)(2)で得た化合物(1.12g,1.70mmol)のテトラヒドロフラン(13.6ml)溶液を−78℃に冷却し、L−セレクトライド(3.4ml,1Mのテトラヒドロフラン溶液,3.41mmol)を滴下した。−78℃で1時間攪拌した後、約1時間かけて、室温に昇温した。これに、35%過酸化水素水溶液(3ml)を滴下した後、室温で15分間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)とヘキサン(50ml)を加えた後、有機層を分離し、水層をヘキサン(30ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下、濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:エーテル=5:1)により精製して2−デカルボキシ−4、7−o−インターフェニレン−2,3,5,6,16,17,18,19,20−ノナノル−4−(1−エトキシエチルオキシ)−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)を得た。
【0023】
(4)(3)で得た化合物のi−PrOH(7.5ml)とエーテル(7.5ml)溶液に、ピリジウム p−トルエンスルホネート(21.4mg,0.085mmol)を加え、室温で10時間攪拌した。エーテル(20ml)続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)を加えた後、有機層を分離し、水層をエーテル(2×10ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−デカルボキシ−4、7−o−インターフェニレン−2,3,5,6,16,17,18,19,20−ノナノル−4−ヒドロキシ−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル) 645.4mgを得た。
【0024】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.10,0.11,0.13and0.14(4s,12H),0.91and0.92(2s,18H),0.95−1.32(m,5H),1.40−1.55(m,1H),1.62−1.82(m,5H),1.80−1.93(m,1H),1.97(ddd,J=4.2,6.1,14.3Hz,1H),2.08−2.20(m,1H),2.62−2.70(m,1H),2.95(dd,J=4.1,13.8Hz,1H),3.10(dd,J=11.5,13.8Hz,1H),3.82(br,2H),4.13(dd,J=1.8,6.3Hz,1H),4.22(br s,1H),4.32−4.35(m,1H),4.44(d,J=12.3Hz,1H),4.94(d,J=12.1Hz,1H),7.15−7.37(m,4H).
13C−NMR(CDCl3,75MHz)δppm:
139.2,139.0,130.4,129.7,128.1,126.3,111.5,85.5,83.9,80.1,72.9,67.9,63.3,55.8,45.2,45.0,43.0,29.9,28.8,28.7,26.6,26.0,25.8,18.3,17.9,−4.3,−4.7,−4.9。
IR(neat):
3340,2900,2225,1600,1450,1380,1320,1250,1100,930,835,775cm−1。
【0025】
(5)(4)で得た化合物(645.4mg,1.1mmol)とBu4N・HSO4(37.3mg,0.11mmol)のトルエン(5ml)−25%水酸化ナトリウム水溶液(5.5ml)の溶液に、2−ブロモ酢酸t−ブチルエステル(0.21ml,1.3mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。有機層を分離し、水層をヘキサン(15ml)で抽出した。得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。濾過して得られた濾液を減圧下濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製して3−オキサ−4、7−o−インターフェニレン−5,6,16,17,18,19,20−ヘプタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α t−ブチルエステル 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)550.4mgを得た。
【0026】
(6)(5)で得た化合物(550.4mg,0.785mmol)のピリジン(3.9ml)溶液に、氷冷攪拌下、メタンスルホニルクロリド(0.12ml,1.57mmol),を加え、室温に昇温した後、5時間攪拌した。反応液を、テトラブチルアンモニウムクロライド(3.6g)のトルエン溶液(3.9ml)に室温攪拌下滴下し、50℃に昇温しさらに4時間攪拌する。反応液を氷水にあけ、エーテルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄の後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチルエステル=4:1)により精製して3−オキサ−4、7−o−インターフェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−5,6,16,17,18,19,20−ヘプタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α t−ブチルエステル 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)408.4mgを得た。
【0027】
(7)(6)で得られた化合物(410.3mg,10.57mmol)のTHF溶液(19ml)に、氷冷攪拌下、フッ化水素酸水溶液(5.7ml)−THF(5.7ml)の混合溶液を加え、室温に昇温しながら3時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(30ml)−飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)中に攪拌しながら注いだ後、有機層を分離し、水層を酢酸エチル(20ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチルエステル:メタノール=50:1)により精製して3−オキサ−4、7−o−インターフェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−5,6,16,17,18,19,20−ヘプタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1αt−ブチルエステル243.0mgを得た。
【0028】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.85−1.28(m,5H),1.29−1.40(m,1H),1.48(s,9H),1.60−1.78(m,5H),2.00(br s,1H),2.22−2.28(m,2H),2.45−2.58(m,2H),2.83(br s,1H),2.94(dd,J=8.3,14.4Hz,1H),3.15(dd,J=4.9,14.4Hz,1H),3.90−3.98(m,1H),4.00(s,2H),4.04−4.15(m,1H),4.26−4.34(m,1H),4.59(d,J=11.4Hz,1H),4.75(d,J=11.5Hz,1H),7.18−7.36(m,4H)。
13C−NMR(CDCl3,75MHz)δppm:
169.8,138.3,135.3,130.8,130.3,128.3,126.4,85.8,83.1,81.9,71.2,67.6,67.0,60.1,56.3,44.1,44.0,43.7,34.6,28.1,26.4,25.9。
【0029】
(8)(7)で得た化合物(172.4mg,10.351mmol)のメタノール(6.3ml)−水(0.7ml)溶液に、水酸化リチウム・1水和物(73.6mg,1.76mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。酢酸エチル(18ml)を加えた後、0.1N塩酸水溶液を少しずつ加えてpH6.5にした。これに、硫酸アンモニウム(5g)を加えた後、酢酸エチル(2×18ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:メタノール=3:1)により精製して標記化合物61.3mgを得た。
【0030】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.82−1.40(m,6H),1.57−1.79(m,5H),2.18−2.27(m,2H),2.37−3.16(m,7H),3.91−3.97(m,1H),4.00−4.21(m,3H),4.24−4.34(m,1H),4.56−4.84(m,2H),7.24−7.38(m,4H)。
13C−NMR(CDCl3,75MHz)δppm:
174.4,138.1,134.8,130.7,130.2,128.5,126.5,86.0,82.7,71.3,67.0,59.8,56.0,44.0,43.8,43.4,34.3,28.6,28.1,26.3。
[α]D=−27.82°(C=1.054,CHCl3)。
【0031】
製造例2 3−オキサ−3、7−m−インタ−フェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−13、14−ジデヒドロ−4,5、6、16、17、18、19、20−オクタノル−15−シクロヘキシル−PGF1αの製造
【0032】
【化7】
【0033】
(1)m−(1−エトキシエチルオキシ)メチル−ブロモベンゼン(1.27g,5.2mmol)のエーテル(10.4ml)溶液に、−78℃でt−ブチルリチウムのペンタン溶液(3.1ml,1.7M,5.2mmol)を滴下し、30分間攪拌した後、続いて(2−チエニル)Cu(CN)Liのテトラヒドロフラン溶液(26.0ml,0.25M,6.5mmol)を加えた。−78℃で10分間攪拌した後、実施例1(1)で得た化合物(1.24g,2.6mmol)のエーテル溶液(10.4ml)を滴下した。攪拌しながら、約1時間かけて室温に昇温した後、反応液をヘキサン(100ml)−飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)の混合液中に攪拌しながら注いだ。有機層を分離し,水層をヘキサン(50ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、続いて濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(展開溶媒;ヘキサン:エーテル=6:1)により精製し、2−デカルボキシ−3、7−m−インターフェニレン−2,3,4,5,6,16,17,18,19,20−デカノル−4−(1−エトキシエチルオキシ)−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGE1 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)88.5mgを得た。
【0034】
(2)(1)で得た化合物(881.5mg,1.37mmol)のテトラヒドロフラン(11.6ml)溶液を−78℃に冷却し、L−セレクトライド(2.1ml,1Mのテトラヒドロフラン溶液,2.06mmol)を滴下した。−78℃で1時間攪拌した後、約1時間かけて、室温に昇温した。これに、35%過酸化水素水溶液(3ml)を滴下した後、室温で15分間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)とヘキサン(50ml)を加えた後、有機層を分離し、水層をヘキサン(30ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下、濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:エーテル=5:1)により精製して2−デカルボキシ−3、7−m−インターフェニレン−2,3,4,5,6,16,17,18,19,20−デカノル−4−(1−エトキシエチルオキシ)−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)を得た。
【0035】
(3)(2)で得た化合物のi−PrOH(6.95ml)とエーテル(6.95ml)溶液に、ピリジウム p−トルエンスルホネート(3.49mg)を加え、室温で10時間攪拌した。エーテル(20ml)続いて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)を加えた後、有機層を分離し、水層をエーテル(2×10ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−デカルボキシ−3、7−m−インターフェニレン−2,3,4,5,6,16,17,18,19,20−デカノル−4−ヒドロキシ−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)460mgを得た。
【0036】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.10,0.12(s,12H),0.90,0.91(2s,18H),0.79−1.34(m,5H),1.37−1.53(m,1H),1.58−1.90(m,5H),1.91−2.08(m,2H),2.55−2.64(m,1H),2.70−2.77(m,1H),2.79−2.98(m,2H),3.94−4.04(m,1H),4.08(dd,J=1.9,6.3Hz,1H),4.26−4.34(m,1H),6.62−6.69(m,1H),6.75−6.84(m,2H),7.14(t,J=7.8Hz,1H)。
13C−NMR(CDCl3,75MHz)δppm:
155.7,142.9,121.2,116.1,112.9,85.7,83.7,80.4,73.6,67.9,55.2,45.1,43.1,34.9,28.8,28.7,26.6,26.0,25.9,25.8,18.3,17.9,−4.27,−4.74,−4.95。
IR(neat):
3355,2940,2850,2225,1590,1455,1360,1250,1100,1050,1000,960,835,758cm−1。
[α]D=−45.25°(C=2.612,CHCl3)。
【0037】
(4)(3)で得た化合物(279mg,0.487mmol)とBu4N・HSO4(16.5mg,0.0478mmol)のトルエン(4.9ml)−25%水酸化ナトリウム水溶液(2.4ml)の溶液に、2−ブロモ酢酸 t−ブチルエステル(0.1ml,0.633mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。有機層を分離し、水層をヘキサン(15ml)で抽出した。得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。濾過して得られた濾液を減圧下濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製して3−オキサ−3、7−m−インターフェニレン−4,5,6,16,17,18,19,20−オクタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α t−ブチルエステル 11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)266.7mgを得た。
【0038】
(5)(4)で得た化合物(266mg,0.387mmol)のピリジン(1.9ml)溶液に、氷冷攪拌下、メタンスルホニルクロリド(0.06ml,0.774mmol),を加え、室温に昇温した後、5時間攪拌した。反応液を、テトラブチルアンモニウムクロライド(1.8g)のトルエン溶液(1.9ml)に室温攪拌下滴下し、50℃に昇温しさらに4時間攪拌する。反応液を氷水にあけ、エーテルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄の後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチルエステル=4:1)により精製して3−オキサ−3、7−m−インターフェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−4,5,6,16,17,18,19,20−オクタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α t−ブチルエステル11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル エーテル)215.6mgを得た。
【0039】
(6)(5)で得られた化合物(209.2mg,0.296mmol)のTHF溶液(9.8ml)に、氷冷攪拌下、フッ化水素酸水溶液(2.96ml)−THF(2.96ml)の混合溶液を加え、室温に昇温しながら3時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(30ml)−飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)中に攪拌しながら注いだ後、有機層を分離し、水層を酢酸エチル(20ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチルエステル:メタノール=50:1)により精製して3−オキサ−3、7−m−インターフェニレン−9−デオキシ−9β−クロロ−4,5,6,16,17,18,19,20−オクタノル−15−シクロヘキシル−13,14−ジデヒドロ−PGF1α t−ブチルエステル110.8mgを得た。
【0040】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.93−1.33(m,5H),1.40−1.50(m,1H),1.49(s,9H),1.62−1.88(m,5H),2.06−2.41(m,4H),2.82(dd,J=6.3,13.8Hz,1H),2.99(dd,J=4.6,13.8Hz,1H),3.84−3.95(m,1H),4.04−4.12(m,1H),4.26−4.38(m,1H),4.51(s,2H),6.73−6.88(m,3H),7.21(t,J=7.8Hz,1H)。
13C−NMR(CDCl3,75MHz)δppm:168.2,139.2,129.4,123.0,116.0,112.7,85.0,82.5,76.5,76.0,67.2,65.6,58.0,55.1,44.2,43.3,43.1,35.9,28.7,28.3,28.1,26.4,25.9。
IR(neat):
3350,2940,2850,2225,1735,1580,1483,1460,1365,1300,1230,1080,1000,840,750.cm−1。
[α]D=+23.53°(C=1.594,CHCl3)。
【0041】
(7)(6)で得た化合物(110mg,0.23mmol)のメタノール(4.2ml)−水(0.4ml)溶液に、水酸化リチウム・1水和物(48.3mg,1.15mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。酢酸エチル(18ml)を加えた後、0.1N塩酸水溶液を少しずつ加えてpH6.5にした。これに、硫酸アンモニウム(5g)を加えた後、酢酸エチル(2×18ml)で抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した後、濾過した。濾液を減圧下濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:メタノール=3:1)により精製して標記化合物61.3mgを得た。
【0042】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δppm:
0.83−1.38(m,5H),1.40−1.58(m,1H),1.59−1.89(m,5H),1.92−2.33(m,4H),2.82−3.00(m,2H),3.67−3.82(m,1H),4.03−4.12(m,H),4.18−4.30(m,1H),4.40−4.65(m,2H),6.65−6.90(m,3H),7.20(t,J=7.7Hz,1H)。
[α]D=+40.92°(C=0.735,CHCl3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1の化合物を用いて眼圧の経時変化を調べたグラフである。
【図2】製造例1の化合物を用いて眼圧の経時変化を調べたグラフである。
【図3】製造例1の化合物を用いて眼圧の経時変化を調べたグラフである。
【図4】製造例2の化合物を用いて眼圧の経時変化を調べたグラフである。
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