JPH07309833A - プロスタグランジンfエステル、その製造方法およびそれを含有する薬剤 - Google Patents

プロスタグランジンfエステル、その製造方法およびそれを含有する薬剤

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JPH07309833A
JPH07309833A JP8654595A JP8654595A JPH07309833A JP H07309833 A JPH07309833 A JP H07309833A JP 8654595 A JP8654595 A JP 8654595A JP 8654595 A JP8654595 A JP 8654595A JP H07309833 A JPH07309833 A JP H07309833A
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JP
Japan
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formula
group
carbocycle
alkyl
ester
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Application number
JP8654595A
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English (en)
Inventor
Toru Miyazaki
徹 宮崎
Masanori Kawamura
雅範 川村
Eiichi Shirasawa
榮一 白澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ono Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Ono Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 式(I)、(VI)又は(XIV)で示されるP
GFエステル、その製造方法及びそれを含有する薬剤
(式中、R1 、R10及びR40はC4〜7炭素環, C4〜
7の炭素環で置換された低級アルキル;R20及びR50
単結合, 低級アルキレン;R30及びR60はC1〜7アル
キル;但し、前記炭素環はアルキル、アルコキシ、ハロ
ゲン等で置換されていてもよく、R20−R30及びR50
60はn−ペンチルを表わさず、R10がメチルで13位
と14位の間が単結合のとき及びR10がエチルで13位
と14位の間が二重結合のときのR20−R30、並びにR
40がエチルのときのR50−R60は各々1,1−ジメチル
ペンチルを表わさない。) 【化1】 【効果】 式(I)、(VI)、(XIV)のPGFエステ
ルは眼に対する刺激が少なく、低濃度で十分な眼圧低下
作用を有し、緑内障予防剤及び/又は治療剤として有用
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロスタグランジンF
(以下、PGFと略記する。)エステルに関する。さら
に詳しくは、
【0002】1) 式(I)
【化15】 (式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で
示されるPGFエステル、
【0003】2) 式(VI)
【化16】 (式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で
示されるPGFエステル、
【0004】3) 式(XIV)
【化17】 (式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で
示されるPGFエステル、
【0005】4) それらの製造方法、および 5) それらを有効成分として含有する緑内障予防剤お
よび/または治療剤に関する。
【0006】
【発明の背景】緑内障は、眼圧が亢進することにより起
こる疾患であり、病状の進行により視野狭搾を生じ、さ
らに進行すると失明を引起こす。眼圧は、主として毛様
体上皮による房水の分泌とシュレム管からの排出のバラ
ンスにより変化するが、このバランスがくずれると眼圧
亢進が引起こされる。緑内障の治療は、現在2つの方
法、すなわち、外科的手術と眼圧低下剤の投与とが行な
われている。眼圧低下剤としては、ピロカルピン、カル
バコール等の縮瞳剤や炭酸脱水酵素阻害剤、またはβ−
ブロッカー等が知られている。
【0007】
【従来の技術】最近の研究の成果として、プロスタグラ
ンジン(PG)の誘導体が眼圧の低下に有用であり、し
かも重篤な副作用を示さないことが見出されている。例
えば、一般式(A)
【化18】 (式中、RA はC1〜5のアルキル基を表わす。)で示
されるPGF2αアルキルエステルが眼圧低下作用を有
することが開示されている(特開昭 59-1418号)[上記
の一般式は、本発明者らによって書き換えられたもので
ある。]。この中で、具体的に効果の記載のある化合物
はPGF型化合物としては、PGF2αメチルエステ
ル、PGF2αエチルエステル、PGF2αイソプロピ
ルエステル、等が挙げられている。また、比較のための
化合物としてPGF1α、PGF2α、PGF2αトロ
メタミン塩、PGF2βトロメタミン塩、PGF2β
16,16−ジメチル−PGF2α等が挙げられてい
る。
【0008】また、一般式(B)
【化19】 (式中、RB はアルキル基およびアルキルアリール基を
表わす。)で示される11−エピ−PGF2αアルキル
およびアルキルアリールエステルが眼圧低下作用を有す
ることが開示されている(特開平 2-501483 号)[上記
の一般式は、本発明者らによって書き換えられたもので
ある。]。この中で、具体的に効果の記載のある化合物
は11−エピ−PGF2αイソプロピルエステルであ
る。
【0009】また、さらに、本発明化合物の構造類似化
合物として、以下の化合物が公知である(括弧内はCA
Sレジストリー番号を表わす)。 ・13,14−ジヒドロ−PGF2α メチルエステル
(69170-52-1) ・PGF2α シクロヘキシルエステル (57893-60-4) ・PGF2α フェニルエステル (74973-23-2) ・PGF2α ベンジルエステル (71845-64-2) ・PGF2β エチルエステル (62791-46-2) ・16,16−ジメチル−PGF2αエチルエステル
(71098-61-8) ・16,16−ジメチル−13,14−ジヒドロ−PG
2αメチルエステル(67788-51-6) しかしながら、これらの化合物が具体的に記載されてい
る特許もしくは文献には、眼圧を降下させる作用につい
ては記載されておらず、また示唆する記述も見られな
い。
【0010】
【発明の目的】本発明者らは、これらの知見をもとに、
様々なPGF型化合物を合成し、その薬理効果および物
性を検討した結果、その化学構造として、PGFの
(1)9位の水酸基がβ−配置で環に結合している、
(2)13−14位間の二重結合が飽和されている、お
よび(3)カルボン酸部分がエステルになっている、こ
とを特徴とする13,14−ジヒドロ−PGF2βエス
テル(前記式(I)で示される)が、眼圧低下作用、副
作用、物性のいずれの点でも満足できる化合物であるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0011】またさらに、その化学構造として、PGF
の(1)カルボン酸部分がエステルになっている、
(2)オメガ鎖を変換した、ことを特徴とするPGFエ
ステル(前記式(VI)で示される)が眼圧低下作用、副
作用、物性のいずれの点でも満足できる化合物であるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0012】またさらに、その化学構造として、PGF
の(1)9位の水酸基がβ−配置で環に結合している、
(2)カルボン酸部分がエステルになっている、(3)
オメガ鎖を変換した、ことを特徴とするPGFエステル
(前記式(XIV)で示される)が眼圧低下作用、副作
用、物性のいずれの点でも満足できる化合物であること
を見出し、本発明を完成した。
【0013】
【従来技術との比較】式(I)で示される本発明化合物
については、以下のことが言える。すなわち、これまで
9位の水酸基がβ−配置であり、かつ13−14位間の
二重結合が飽和されている化合物は具体的には全く知ら
れていない。前記式(A)または(B)で示される化合
物は、いずれも9位の水酸基がα−配置で結合し、13
−14位間に二重結合を有しているので、これらは本発
明化合物を含まない。また、構造類似の化合物は眼圧降
下作用を示唆するものではない。
【0014】式(VI)で示される本発明化合物について
は、以下のことが言える。すなわち、PGF2αのアル
キルエステルが、眼圧降下作用があることは知られてい
るが、PGのオメガ鎖を変換した化合物についてその作
用があることは、従来知られておらず、また、構造類似
の化合物は、眼圧降下作用を示唆するものではない。
【0015】式(XIV)で示される本発明化合物につい
ては、以下のことが言える。すなわち、これまで9位の
水酸基がβ配置であり、かつエステルであり、オメガ鎖
が変換された化合物は、眼圧降下作用を有することは知
られておらず、また、いくつかの化合物を除いて実際合
成されていない。
【0016】また、16,16−ジメチル−PGF2β
エチルエステルについては、特開昭54-84563 号中、実
施例15に特定して記載されている公知化合物である
が、合成中間体としてのみの開示されており、眼圧降下
作用も、これを示唆する記載も見られない。本発明は、
この化合物の新規な用途も含むものである。
【0017】以上のことから、本発明化合物であるPG
Fエステルは、新規な化合物であり、また上記の従来技
術からみて、本発明化合物であるPGFエステルが眼圧
低下作用、副作用、物性のいずれの点でも満足できる化
合物であることは、全く予測できないことである。
【0018】
【発明の開示】本発明は、 1) 式(I)
【化20】 (式中、R1 は、C4〜7の炭素環、またはC4〜7の
炭素環で置換されているC1〜4アルキル基を表わす。
ただし、前記の炭素環は、C1〜4アルキル、C1〜4
アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチ
ル基で置換されていてもよい。)で示されるPGFエス
テル、
【0019】2) 式(VI)
【化21】 (式中、R10は、C1〜6アルキル、C4〜7の炭素
環、またはC4〜7の炭素環で置換されているC1〜4
アルキル基を表わし、R20は、単結合またはC1〜4ア
ルキレン基を表わし、R30は、C1〜7アルキル基を表
わす。ただし、(i) 前記の炭素環は、C1〜4アルキ
ル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリ
フルオロメチル基で置換されていてもよく、(ii) R20
−R30はn−ペンチル基を表わさず、また、(iii-1) R
10がメチル基であり、かつ13位と14位の間が単結合
であるとき、または(iii-2) R10がエチル基であり、か
つ13位と14位の間が二重結合であるときには、R20
−R30は1,1−ジメチルペンチル基を表わさない。)
で示されるプロスタグランジンFエステル、
【0020】3) 式(XIV)
【化22】 (式中、R40は、C1〜6アルキル、C4〜7の炭素
環、またはC4〜7の炭素環で置換されているC1〜4
アルキル基を表わし、R50は、単結合またはC1〜4ア
ルキレン基を表わし、R60は、C1〜7アルキル基を表
わす。ただし、(i) 前記の炭素環は、C1〜4アルキ
ル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリ
フルオロメチル基で置換されていてもよく、(ii) R50
−R60はn−ペンチル基を表わさず、(iii) R40がエチ
ル基であるときには、R50−R60は、1,1−ジメチル
ペンチル基を表わさない。)で示されるプロスタグラン
ジンFエステル、 4) それらの製造方法、および 5) 一般式(I)で示される化合物を有効成分として
含有する緑内障予防剤および/または治療剤に関する。 6) 一般式(VI)で示される化合物を有効成分として
含有する緑内障予防剤および/または治療剤に関する。 7) 一般式(XIV)で示される化合物を有効成分とし
て含有する緑内障予防剤および/または治療剤に関す
る。
【0021】R1 およびR10が表わすC4〜7の炭素環
としては、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シ
クロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンタジエニ
ル、シクロペンテニル、フェニル、シクロヘプタトリエ
ニル、シクロヘプタジエニル、シクロへプテニル等が挙
げられる。R1 中およびR10中のC1〜4アルキル基と
しては、メチル、エチル、プロピル、ブチル基およびそ
の異性体が挙げられる。R1 中およびR10中のC1〜4
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピル
オキシ、ブチルオキシ基およびその異性体が挙げられ
る。R10およびR40が表わすC1〜6アルキル基として
は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘ
キシル基およびそれらの異性体が挙げられる。R20およ
びR50が表わすC1〜4アルキレン基としては、メチレ
ン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン基および
それらの異性体が挙げられる。より好ましいものとし
て、1,1−ジメチルメチレン基が挙げられる。R30
よびR60が表わすC1〜7アルキル基としては、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、
ヘプチル基およびそれらの異性体が挙げられる。当業者
にも明らかなように、アルキル、アルコキシ、アルキレ
ン基には、枝別れにより異性体が生じる。これらの異性
体も本発明に含まれることは言うまでもない。
【0022】式(I)で示される13,14−ジヒドロ
−PGF2βエステルは、α−、β−あるいはγ−シク
ロデキストリン、あるいはこれらの混合物を用いて、特
公昭50-3363 号、同 52-31404 号または同 61-52146 号
明細書記載の方法を用いることによりシクロデキストリ
ン包接化合物に変換することができる。シクロデキスト
リン包接化合物に変換することにより、安定性が増大
し、また水溶性が大きくなるため、薬剤として使用する
際好都合である。
【0023】
【本発明化合物の製造方法】式(I)で示される本発明
化合物は式(II)
【化23】 (式中、THPはテトラヒドロピラン−2−イル基を表
わし、R1 は前記と同じ意味を表わす。)で示される化
合物を酸性条件下、加水分解反応に付すことにより製造
することができる。
【0024】酸性条件下での加水分解反応は公知であ
り、例えば、水と混和しうる有機溶媒(テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、メタノール、エタノール等)中、酸
(酢酸、トリクロロ酢酸、塩酸、シュウ酸等)を用い
て、0〜90℃の温度で行なわれる。
【0025】式(II)で示される化合物は以下の反応工
程式(A)に示される反応により製造することができ
る。反応工程式(A)中、THPはテトラヒドロピラン
−2−イル基を表わし、DHPは、ジヒドロピランを表
わし、THFはテトラヒドロフランを表わし、DMAP
は4−ジメチルアミノピリジンを表わす。
【0026】
【化24】
【0027】出発物質である式(III)で示される化合
物は、特願平 5-167531号明細書記載の化合物である。
【0028】式(VI)で示される本発明化合物のうち、
13位と14位が単結合である化合物、すなわち式(VI
a)
【化25】 (式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で
示される化合物は、式(XII)
【0029】
【化26】 (式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で
示される化合物を酸性条件下、加水分解反応に付すこと
により製造することができる。
【0030】酸性条件下における加水分解は、前記と同
じ方法により行なわれる。式(XII)で示される化合物
は、以下の反応工程式(B)に示される反応により製造
することができる。反応工程式(B)中、DIBALは
ジイソブチルアルミニウムハイドライドを表わし、CS
Aはカンファースルホン酸を表わし、その他の記号は前
記と同じ意味を表わす。
【0031】
【化27】
【0032】式(VII)で示される化合物は、公知の化
合物である。式(VI)で示される本発明化合物のうち、
13位と14位が二重結合である化合物、すなわち式
(VIb)
【0033】
【化28】 (式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で
示される化合物は、式(XIII)
【0034】
【化29】 (式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で
示される化合物をエステル化反応に付すことにより製造
することができる。
【0035】エステル化反応は公知であり、例えば、不
活性有機溶媒(テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラ
ン等)中、目的とする式(XI)
【化30】HO−R10 (XI) (式中、R10は前記と同じ意味を表わす。)で示される
アルコールを用いて、ヨウ化2−クロロ−N−メチルピ
リジニウムおよび4−ジメチルアミノピリジンの存在
下、0〜60℃の温度で行なわれる。式(XIII)で示さ
れる化合物は、公知の化合物である。
【0036】式(XIV)で示される本発明化合物は式(X
IX)
【化31】 (式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で
示される化合物を酸性条件下、加水分解反応に付すこと
により製造することができる。
【0037】酸性条件下における加水分解反応は、前記
と同様の方法により行なわれる。一般式(XIX)で示さ
れる化合物は、以下の反応工程式(C)に示される反応
により製造することができる。反応工程式(C)中の記
号は前記と同じ意味を表わす。
【0038】
【化32】
【0039】式(XV)で示される化合物は、公知の化合
物である。
【0040】
【本発明化合物の薬理活性】式(I)で示される本発明
化合物は、前述したように、眼圧を下げる作用を有して
いる。例えば、実験室の実験では、表1、表2、図1、
図2、図3および図4に示す結果を得た。各データは各
々3または4例の平均値を表わしている。
【0041】[実験1]体重 3.0 kg前後の雄性日本
白色ウサギを、軽く保定し、0.4 %塩酸オキシブプロカ
インの点眼により、表面麻酔を行ない、アプラネーショ
ン・ニューマトノグラフ(Applanation Pneumatonograp
h )を用いて眼圧を測定した。被験化合物は基剤(濃グ
リセリンを 2.5%およびポリソルベート80を 2.0%含
む滅菌精製水)に 0.1 %の濃度になるように溶解し、
ウサギの左眼に50μl点眼し、対側の右眼は無処置と
した。対照として、基剤のみを同様に左眼に点眼した、
下記の式を用いて被験化合物の眼圧低下効果である△I
OP(mmHg)を求めた。
【0042】
【数1】△IOP=(IOPt −IOP0 )−(IOP
vt−IOPv0) IOPt :時間tにおける被験化合物群の眼圧 IOPvt :時間tにおける基剤群の眼圧 IOP0 :点眼前の被験化合物群の眼圧 IOPv0 :点眼前の基剤群の眼圧
【0043】[結果]本発明化合物の0.1 %の濃度での
眼圧降下を示すグラフを、図1および図2に示す。図1
および図2から明らかなように、本発明化合物は、濃度
0.1 %において点眼初期に眼圧を低下させ、例えば、
後の実施例1、1(a)、1(b)、(2)、(3)お
よび(4)で示される化合物の降圧作用の最大値はそれ
ぞれ 6.0、5.7、5.4、4.0、4.7 、6.7 および9.8 mmHg
であった。また、本発明化合物を点眼した場合、眼球結
膜および眼瞼結膜に充血は、ほとんど見られなかった。
【0044】本発明化合物は、強力で、かつ持続的な眼
圧低下作用を示した。また、副作用および物性の点から
見ても、本発明化合物は医薬として使用するために十分
満足のいくものであり、特に優れたものといえる。
【0045】さらに、本発明化合物を、前記した先行技
術中に具体的に記載された化合物と比較した。比較化合
物としては、本発明化合物と構造が近いものを選び、実
際に使用される濃度に近い、0.02 %で比較を行った。
後に示される、表1、表2、図3および図4で示される
比較化合物1および2は、以下の通りのものである。 比較化合物1:特開昭 50-14660 号 実施例3の化合物
(9α,11α,15(S)−トリヒドロキシ−5(シ
ス)−13(トランス)プロスタジエン酸シクロヘキシ
ルエステル)、 比較化合物2:特開昭 59-1418 号 第3表記載の化合
物(16,16−ジメチル−PGF2α)、
【0046】[実験2]本発明化合物および比較化合物
が0.02%の濃度になるようにして、実験1と同様にし
て、眼圧低下作用である△IOP(mmHg)を求め、その
比較を行った。
【0047】[結果]本発明化合物と比較化合物の0.02
%の濃度での眼圧降下作用を比較した結果を、表1お
よび表2に示す。表1および表2で示される結果をグラ
フにしたものが図3および図4である。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】[考察]緑内障治療薬としては、 1)眼圧降下作用が速やかに発現し、その効果が持続さ
れること、 2)初期眼圧上昇等の副作用が少ないこと、 が求められる。そこで、本発明化合物(実施例1)と比
較化合物1、および本発明化合物(実施例4および5)
と比較化合物2とを、0.02 %の濃度で、この観点より
比較した。まず、1)眼圧降下作用が速やかに発現し、
その効果が持続されることについて比較すると、本発明
化合物(実施例1)では、点眼1時間後には効果を発現
し、4時間後には眼圧降下が 6.6 mmHg に達し、6時間
後でも効果が維持されている。比較化合物1では、点眼
後4時間以降にようやく効果の発現が認められるにすぎ
ない。
【0051】次に、2)初期眼圧上昇等の副作用が少な
いことについて比較すると、本発明化合物(実施例1)
では、点眼後の初期眼圧上昇が認められないのに対し
て、比較化合物1では極端な初期眼圧上昇を引き起こし
ている。この初期眼圧上昇の観点からも、本発明化合物
の比較化合物に対する優位性は明らかである。本発明化
合物(実施例4および5)でも同様に、眼圧降下作用に
関しては、点眼1時間後には効果を発現し、6時間後で
も効果が維持されている。比較化合物2では、点眼後4
時間以降にようやく効果の発現が認められるにすぎな
い。初期眼圧上昇に関しては、本発明化合物(実施例4
および5)では、点眼後の初期眼圧上昇が認められない
のに対して、比較化合物2では初期眼圧上昇を引き起こ
しており、4時間近くまでその眼圧上昇が継続的に認め
られる。
【0052】
【毒性】本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、
医薬として使用するために十分安全であると判断でき
る。
【0053】
【医薬品への適用】ヒトを含めた動物、特にヒトにおい
て眼圧を下げることは、緑内障の予防および治療として
有効な手段である。本発明化合物は、in vivo の系にお
ける実験結果でも明らかなように眼に対する刺激などの
副作用を伴なうことなしに、眼圧を下げる作用を有する
ため、緑内障の予防および治療薬として使用しうるもの
である。
【0054】式(I)で示される化合物を上記の目的で
用いるためには、通常、溶液剤の形で用いられ、汎用さ
れている技術を用いて製剤化することができる。例えば
点眼液であれば、滅菌精製水に塩化ナトリウム、濃グリ
セリン等の等張化剤、リン酸ナトリウム等の緩衝剤、ポ
リソルベート80等の可溶化剤、エデト酸ナトリウム等
の安定化剤、塩化ベンザルコニウム等の防腐剤等を必要
に応じて適宜選択して調製することができる。本発明化
合物を点眼の形で投与するには、症状、年齢、治療効
果、処理時間等により異なるが、通常、0.0001%〜0.5
%溶液として用いられる。好ましくは 0.001%〜0.2 %
溶液である。
【0055】
【実施例】以下、参考例、実施例および製剤例を挙げて
本発明を詳述するが、本発明はこれらにより限定される
ものではない。クロマトグラフィによる分離の箇所に示
されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または
展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。特別な記載の
ない場合は、NMRは重クロロホルム溶液中で測定して
いる。
【0056】参考例1:9β,11α,15α−トリス
(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−5Z−プロステ
ン酸イソプロピルの合成
【化33】
【0057】13,14−ジヒドロ−PGF2βイソプ
ロピル(243mg;特願平 5-167531号明細書中、実
施例1記載の化合物)を無水塩化メチレン(15ml)
に溶解し、1,4−ジヒドロピラン(0.33 ml)とd
l−カンファースルホン酸(23mg)を加え、アルゴ
ン雰囲気下、室温で3時間撹拌した。その後、反応混合
物に、トリエチルアミン(0.2 ml)を加え、溶媒を減
圧下に留去し、獲られた残留物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、下
記の物性値を有する標題化合物(390mg)を得た。 形状 :無色油状物質; TLC:Rf 0.84(酢酸エチル:ヘキサン=10:
1)。
【0058】参考例2:9β,11α,15α−トリス
(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−5Z−プロステ
ン酸の合成
【化34】
【0059】参考例1で合成した化合物(390mg)
をメタノール(15ml)に溶解した。水素化リチウム
一水和物(252mg)を水(3ml)に溶解し、これ
を先のメタノール溶液に加えた。反応混合物を50℃で
4時間撹拌した。反応終了後、反応混合物に酢酸エチル
(30ml)を加え、シュウ酸一水和物(454mg)
の水(30ml)溶液および、飽和食塩水で洗浄した。
洗浄液を酢酸エチルで抽出し、有機層と合わせた。有機
層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残
留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチ
ル/ヘキサン)で精製し、下記の物性値を有する標題化
合物(359mg)を得た。 形状 :無色油状物質; TLC:Rf 0.42(酢酸エチル:ヘキサン=10:
1)。
【0060】参考例3:9β,11α,15α−トリス
(2−テトラヒドロピラニルオキシ)−5Z−プロステ
ン酸シクロヘキシルエステルの合成
【化35】
【0061】参考例2で合成した化合物(61mg)を
無水テトラヒドロフラン(5ml)に溶解し、これにシ
クロヘキサノール(21μl)、ヨウ化2−クロロ−N
−メチルピリジニウム(51mg)、ジイソプロピルエ
チルアミン(70μl)および4−ジメチルアミノピリ
ジン(6.1 mg)を加えた。反応溶液をアルゴン雰囲気
下、室温で4時間撹拌した。反応終了後、反応混合物
に、酢酸エチルを加え、1N塩酸、飽和炭酸水素カリウ
ム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で
精製し、下記の物性値を有する標題化合物(37mg)
を得た。 形状 :無色油状物質; TLC:Rf 0.85(酢酸エチル:ヘキサン=10:
1)。
【0062】実施例1:13,14−ジヒドロ−PGF
2βシクロヘキシルエステルの合成
【化36】
【0063】参考例3で合成した化合物(37mg)に
65%酢酸−テトラヒドロフラン(5ml+0.5 ml)
の混合液を加え、50℃で3時間撹拌した。反応終了
後、反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(20m
l)を加えた。溶液を飽和炭酸水素カリウム水溶液およ
び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、下記
の物性値を有する標題化合物(19mg)を得た。 形状 :淡黄色結晶; TLC:Rf 0.41(メタノール:塩化メチレン=1:1
0); NMR:δ 5.60-5.38 (2H, m), 4.78 (1H, m), 4.10 -
3.95 (2H, m), 3.65-3.50 (1H, br), 2.60-1.10 (37H,
m), 0.88 (3H, t)。
【0064】実施例1(a)〜(b) 参考例1−3および実施例1と同様の操作により、下記
物性値を有する各化合物を得た。
【0065】実施例1(a):13,14−ジヒドロ−
PGF2βフェニルエステルの合成
【化37】
【0066】形状 :無色結晶; TLC:Rf 0.28(メタノール:塩化メチレン=1:1
0); NMR:δ 7.37 (2H, t), 7.21 (1H, t), 7.08 (2H,
d), 5.62-5.40 (2H, m),4.08-3.90 (2H, m), 3.66-3.50
(1H, br), 2.80-1.10 (27H, m), 0.90 (3H, t)。
【0067】実施例1(b):13,14−ジヒドロ−
PGF2βベンジルエステルの合成
【化38】
【0068】形状 :淡黄色結晶; TLC:Rf 0.26(酢酸エチル:塩化メチレン=1:1
0); NMR:δ 7.35 (5H, s), 5.60-5.34 (2H, m), 5.10
(2H, s), 4.08-3.95 (2H,m), 3.67-3.52 (1H, br), 2.6
0-1.20 (27H, m), 0.88 (3H, t)。
【0069】参考例4:7R−ヒドロキシ−6R−
(4,4−ジメチル−3R−ヒドロキシオクチル)−2
−オキサビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンの
合成
【化39】
【0070】7R−ヒドロキシ−6R−(4,4−ジメ
チル−3R−ヒドロキシオクト−1−エニル)−2−オ
キサビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オン(3.25
g;B. J. Magerlein ら, Prostaglandins, 4, 143 (1
973)中の式IIIの化合物)、亜硝酸ナトリウム(325
mg)、パラジウム−炭素(5%;325mg)および
エタノール(110ml)の混合物を水素雰囲気下、室
温で、3.5 時間激しく撹拌した。反応終了後、反応混合
物をグラスフィルターでろ過し、エタノールで洗浄し、
減圧濃縮し、下記の物性値を有する標題化合物(3.25
g)を得た。 形状 :無色油状物質; TLC:Rf 0.45(酢酸エチル:ヘキサン=9:1)。
【0071】参考例5:7R−(2−テトラヒドロピラ
ニルオキシ)−6R−[4,4−ジメチル−3R−(2
−テトラヒドロピラニルオキシ)オクチル]−2−オキ
サビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンの合成
【化40】
【0072】参考例4で合成した化合物(3.25 g)を
塩化メチレン(110ml)に溶解させ、これにジヒド
ロピラン(3ml)およびカンファースルホン酸(1.16
g)を加えた。反応溶液を室温で、1時間撹拌した。
反応溶液にトリエチルアミン(1ml)を加えた後、減
圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、下記の物性値
を有する標題化合物(4.34 g)を得た。 形状 :淡黄色油状物質; TLC:Rf 0.65(酢酸エチル); NMR:δ 5.00(1H, m), 4.65(1H, m), 4.65-4.35(1H,
m), 4.10(1H, m), 4.00-3.73(3H, m), 3.58-3.33(2H,
m), 3.32-3.08(1H, m), 2.90-2.35(3H, m), 2.30-1.00
(24H, m), 0.88(3H, t), 0.84(3H, s), 0.82(3H, s)。
【0073】参考例6:7R−(2−テトラヒドロピラ
ニルオキシ)−6R−[4,4−ジメチル−3R−(2
−テトラヒドロピラニルオキシ)オクチル]−2−オキ
サビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オールの合成
【化41】
【0074】参考例5で合成した化合物(4.34 g)を
無水トルエン(60ml)に溶解させ、これをメタノー
ル−ドライアイス浴で冷却した。アルゴン雰囲気下、こ
の溶液に、DIBAL(7.44 ml;1.5 Mトルエン溶
液)を8分間かけて滴下した。反応混合物を20分間激
しく撹拌した後、メタノール(0.8 ml)を滴下し、浴
を氷浴に取り換えた。反応混合物に水(0.8 ml)を滴
下し、室温で1時間激しく撹拌した。反応混合物をグラ
スフィルターで減圧ろ過し、不純物を酢酸エチルで洗浄
した。合わせたろ液を減圧濃縮し、下記の物性値を有す
る標題化合物(4.11 g)を得た。 形状 :無色油状物質; TLC:Rf 0.26(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)。
【0075】参考例7:11,15−O−ビス(2−テ
トラヒドロピラニル)−16,16−ジメチル−13,
14−ジヒドロ−PGF2αの合成
【化42】
【0076】乾燥した4−カルボキシブチル−トリフェ
ニルホスホニウム ブロマイド(20.61 g)に無水トル
エン(200ml)およびカリウム t−ブトキサイド
(10.43 g)を加え、80℃で1時間撹拌した。この溶
液を充分に冷却した後、参考例6で合成した化合物(4.
11 g)の無水トルエン(37ml)溶液を10分かけ
て滴下した。反応混合物を30分間撹拌し、酢酸エチル
(100ml)で希釈し、シュウ酸水溶液(二水和物
7.03 g/150ml)で洗浄し、続いて、飽和食塩水
(150ml)で洗浄した。有機層を無水無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、減圧濃縮し、標題化合物(18.6
g)を得た。
【0077】参考例8:11,15−O−ビス(2−テ
トラヒドロピラニル)−16,16−ジメチル−13,
14−ジヒドロ−PGF2αイソプロピルエステルの合
【化43】
【0078】参考例7で合成した化合物(18.6 g)を
無水テトラヒドロフラン(200ml)に溶解させ、こ
の溶液にイソプロピルアルコール(52ml)、ジイソ
プロピルエチルアミン(23.6 ml)、ヨウ化 2−クロ
ロ−N−メチルピリジニウム(17.4 g)および4−ジ
メチルアミノピリジン(2.06 g)を加えた。反応混合
物を室温で1.5 時間撹拌した。反応終了後、反応混合物
を酢酸エチル(100ml)で希釈し、シュウ酸水溶液
(二水和物 11.47 g/150ml)、飽和炭酸水素カ
リウム溶液および飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を
無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残留物
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/
ヘキサン)で精製し、下記の物性値を有する標題化合物
を得た。 形状 :無色油状物質; TLC:Rf 0.11(酢酸エチル:ヘキサン=1:5); NMR:δ 5.60-5.28(2H, m), 5.00(1H, m), 4.75-4.4
0(2H, m), 4.15-3.75(4H, m), 3.55-3.05(3H, m), 2.60
-1.00(34H, m), 1.22(6H, d), 0.95-0.78(9H, m)。
【0079】実施例2:16,16−ジメチル−13,
14−ジヒドロ−PGF2αイソプロピルエステルの合
【化44】
【0080】参考例8で合成した化合物(580mg)
を65%酢酸−テトラヒドロフラン(10ml+1m
l)に溶解させ、50℃で4時間撹拌した。反応混合物
を酢酸エチル(50ml)で希釈し、飽和食塩水(30
ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾
燥し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、下記
の物性値を有する標題化合物(336mg)を得た。 形状 :無色油状物質; TLC:Rf 0.52(酢酸エチル:ヘキサン=4:1); NMR:δ 5.56-5.30(2H, m), 5.00(1H, m), 4.23-4.1
0(1H, br), 4.05-3.92(1H, br), 3.35-3.20(1H, br),
2.74-1.10(25H, m), 1.23(6H, d), 0.90(3H, t),0.86(3
H, s), 0.84(3H, s)。
【0081】実施例3:16,16−ジメチル−PGF
2αイソプロピルエステルの合成
【化45】
【0082】16,16−ジメチル−PGF2α(24
1mg;B. J. Magerlein ら, Prostaglandins, 4, 143
(1973)中の式Vで示されている化合物)を無水テトラ
ヒドロフラン(10ml)に溶解させ、この溶液にイソ
プロピルアルコール(1.22ml)イソプロピル エチル
アミン(0.44 ml)、ヨウ化 2−クロロ−N−メチル
ピリジニウム(322mg)および4−ジメチルアミノ
ピリジン(38mg)を加え、室温で3.5 時間撹拌し
た。反応混合物を酢酸エチル(30ml)で希釈し、氷
冷した1N塩酸、飽和炭酸水素カリウム水溶液および飽
和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製
し、下記の物性値を有する標題化合物(201mg)を
得た。 形状 :無色油状物質; TLC:Rf 0.30(メタノール:塩化メチレン=1:1
0); NMR:δ 5.72-5.30(4H, m), 5.00(1H, m), 4.23-4.1
0(1H, br), 4.05-3.88(1H, br), 3.78(1H, d), 3.18-2.
98(1H, br), 2.58-1.00(20H, m), 1.23(6H, d),0.90(3
H, t), 0.88(3H, s), 0.84(3H, s)。
【0083】参考例9:11,15−O−ビス(2−テ
トラヒドロピラニル)−16,16−ジメチル−PGF
2αイソプロピルエステルの合成
【化46】
【0084】11,15−ビス(2−テトラヒドロピラ
ニル)−16,16−ジメチル−PGF2α(1.00
g;B. J. Magerlein ら, Prostaglandins, 4, 143 (19
73)中の式IVで示されている化合物)を無水テトラヒ
ドロフラン(20ml)に溶解させ、イソプロピルアル
コール(3.6 ml)、ジイソプロピル エチルアミン
(1.28 ml)、ヨウ化 2−クロロ−N−メチルピリジ
ニウム(940mg)および4−ジメチルアミノピリジ
ン(112mg)を加え、室温で、3.5 時間撹拌した。
反応混合物を酢酸エチル(30ml)で希釈し、シュウ
酸水溶液(二水和物、512mg/50ml)、飽和炭
酸水素カリウム溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機
層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残
留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチ
ル/ヘキサン)で精製し、下記物性値を有する標題化合
物(850mg)を得た。 形状 :淡黄色油状物質; TLC:Rf 0.55(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)。
【0085】参考例10:9−O−ホルミル−11,1
5−O−ビス(2−テトラヒドロピラニル)−16,1
6−ジメチル−PGF2βイソプロピルエステルの合成
【化47】
【0086】参考例9で合成した化合物(850mg)
を無水テトラヒドロフラン(7ml)に溶解させ、アル
ゴン雰囲気下、ギ酸(97μl)、トリフェニルホスフ
ィン(674mg)およびジアゾカルボン酸 ジエチル
エステル(0.41 ml)を室温で加えた。反応混合物を
室温で1.5 時間撹拌した。反応終了後、混合物を酢酸エ
チルで希釈し、飽和炭酸水素カリウム溶液、飽和食塩水
で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥
し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、下記物
性値を有する標題化合物(570mg)を得た。 形状 :淡黄色油状物質; TLC:Rf 0.31(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)。
【0087】参考例11:11,15−O−ビス(2−
テトラヒドロピラニル)−16,16−ジメチル−PG
2βイソプロピルエステルの合成
【化48】
【0088】参考例10で合成した化合物(560m
g)をイソプロピルアルコール(4.5ml)に溶解さ
せ、無水炭酸水素カリウム(370mg)を加えた。反
応混合物をアルゴン雰囲気下、50℃で3時間撹拌し
た。冷却後、反応混合物にジエチルエーテル(20m
l)を加え、グラスフィルターでろ過した。ろ液を減圧
濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、下記物性
値を有する標題化合物(518mg)を得た。 形状 :無色油状物質; TLC:Rf 0.45(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)。
【0089】実施例4:16,16−ジメチル−PGF
2βイソプロピルエステルの合成
【化49】
【0090】参考例11で合成した化合物(503m
g)を65%酢酸−テトラヒドロフラン(10ml+1
ml)に溶解させ、50℃で4時間撹拌した。反応混合
物を冷却し、酢酸エチル(50ml)で希釈し、飽和炭
酸水素カリウム溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機
層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残
留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチ
ル/ヘキサン)で精製し、下記物性値を有する標題化合
物(250mg)を得た。 形状 :無色油状物質; TLC:Rf 0.26(メタノール:塩化メチレン=1:1
0); NMR:5.70-5.40(4H, m), 5.00(1H, m), 4.15-3.88(2
H, m), 3.78(1H, d), 2.90-2.76(1H, br), 2.34-1.00(3
H, t), 0.88(3H, s), 0.84(3H, s)。
【0091】実施例5:16,16−ジメチル−PGF
2βエチルエステルの合成
【化50】 特開昭 54-84563 号明細書中の実施例15の記載の方法
に従って標題の化合物を合成した。
【0092】製剤例 滅菌精製水に濃グリセリンおよびポリソルベート80を
加えた後、13,14−ジヒドロ−PGF2βエステル
を加え溶解し、下記処方の点眼液を得た。
【0093】
【表3】 処方1 13,14−ジヒドロ−PGF2βシクロヘキシルエステル 0.001 g 濃グリセリン 2.5 g ポリソルベート80 0.2 g 滅菌精製水 適量 計 100ml
【0094】
【表4】 処方2 13,14−ジヒドロ−PGF2βシクロヘキシルエステル 0.01 g 濃グリセリン 2.5 g ポリソルベート80 2.0 g 滅菌精製水 適量 計 100ml
【0095】
【表5】 処方3 13,14−ジヒドロ−PGF2βシクロヘキシルエステル 0.1 g 濃グリセリン 2.5 g ポリソルベート80 2.0 g 滅菌精製水 適量 計 100ml
【0096】
【表6】 処方4 13,14−ジヒドロ−PGF2βシクロヘキシルエステル 0.2 g 濃グリセリン 2.5 g ポリソルベート80 2.0 g 滅菌精製水 適量 計 100ml
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1、1(a)および1(b)に記載の
本発明化合物の濃度0.1%での眼圧下降効果を示すグラ
フである。
【図2】 実施例2、3、4および5に記載の本発明化
合物の濃度0.1%での眼圧下降効果を示すグラフであ
る。
【図3】 実施例1に記載の本発明化合物と比較化合物
1の濃度0.02%での眼圧下降効果作用の比較を示すグラ
フである。
【図4】 実施例4および5に記載の本発明化合物と比
較化合物2の濃度0.02%での眼圧下降効果作用の比較を
示すグラフである。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、R1 は、C4〜7の炭素環、またはC4〜7の
    炭素環で置換されているC1〜4アルキル基を表わす。
    ただし、前記の炭素環は、C1〜4アルキル、C1〜4
    アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチ
    ル基で置換されていてもよい。)で示されるプロスタグ
    ランジンFエステル。
  2. 【請求項2】 13,14−ジヒドロ−PGF2βシク
    ロヘキシルエステル。
  3. 【請求項3】 13,14−ジヒドロ−PGF2βフェ
    ニルエステル。
  4. 【請求項4】 13,14−ジヒドロ−PGF2βベン
    ジルエステル。
  5. 【請求項5】 式(II) 【化2】 (式中、THPはテトラヒドロピラン−2−イル基を表
    わし、R1 はC4〜7の炭素環、またはC4〜7の炭素
    環で置換されているC1〜4アルキル基を表わす。ただ
    し、前記の炭素環は、C1〜4アルキル、C1〜4アル
    コキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチル基
    で置換されていてもよい。)で示される化合物を酸性条
    件下、加水分解反応に付すことを特徴とする式(I) 【化3】 (式中、R1 は、前記と同じ意味を表わす。)で示され
    るプロスタグランジンFエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 式(I) 【化4】 (式中、R1 はC4〜7の炭素環、またはC4〜7の炭
    素環で置換されているC1〜4アルキル基を表わす。た
    だし、前記の炭素環は、C1〜4アルキル、C1〜4ア
    ルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオロメチル
    基で置換されていてもよい。)で示されるプロスタグラ
    ンジンFエステルを有効成分として含有する緑内障予防
    剤および/または治療剤。
  7. 【請求項7】 式(VI) 【化5】 (式中、R10は、C1〜6アルキル、C4〜7の炭素
    環、またはC4〜7の炭素環で置換されているC1〜4
    アルキル基を表わし、R20は、単結合またはC1〜4ア
    ルキレン基を表わし、R30は、C1〜7アルキル基を表
    わす。ただし、(i) 前記の炭素環は、C1〜4アルキ
    ル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリ
    フルオロメチル基で置換されていてもよく、(ii) R20
    −R30はn−ペンチル基を表わさず、また、(iii-1) R
    10がメチル基であり、かつ13位と14位の間が単結合
    であるとき、または(iii-2) R10がエチル基であり、か
    つ13位と14位の間が二重結合であるときには、R20
    −R30は1,1−ジメチルペンチル基を表わさない。)
    で示されるプロスタグランジンFエステル。
  8. 【請求項8】 16,16−ジメチル−13,14−ジ
    ヒドロ−PGF2αイソプロピルエステル。
  9. 【請求項9】 16,16−ジメチル−PGF2αイソ
    プロピルエステル。
  10. 【請求項10】 式(XII) 【化6】 (式中、THPはテトラヒドロピラン−2−イル基を表
    わし、R10は、C1〜6アルキル、C4〜7の炭素環、
    またはC4〜7の炭素環で置換されているC1〜4アル
    キル基を表わし、R20は、単結合またはC1〜4アルキ
    レン基を表わし、R30は、C1〜7アルキル基を表わ
    す。ただし、(i) 前記の炭素環は、C1〜4アルキル、
    C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリフル
    オロメチル基で置換されていてもよく、(ii) R20−R
    30はn−ペンチル基を表わさない。)で示される化合物
    を酸性条件下、加水分解反応に付すことを特徴とする式
    (VIa) 【化7】 (式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で
    示されるプロスタグランジンFエステルの製造方法。
  11. 【請求項11】 式(XIII) 【化8】 (式中、R20は、単結合またはC1〜4アルキレン基を
    表わし、R30は、C1〜7アルキル基を表わす。ただ
    し、R20−R30は、n−ペンチル基を表わさない。)で
    示される化合物をエステル化反応に付すことを特徴とす
    る式(VIb) 【化9】 (式中、R10は、C1〜6アルキル、C4〜7の炭素
    環、またはC4〜7の炭素環で置換されているC1〜4
    アルキル基を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を
    表わす。ただし、前記の炭素環は、C1〜4アルキル、
    C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリフル
    オロメチル基で置換されていてもよい。)で示されるプ
    ロスタグランジンFエステルの製造方法。
  12. 【請求項12】 式(VIc) 【化10】 (式中、R10は、C1〜6アルキル、C4〜7の炭素
    環、またはC4〜7の炭素環で置換されているC1〜4
    アルキル基を表わし、R20は、単結合またはC1〜4ア
    ルキレン基を表わし、R30は、C1〜7アルキル基を表
    わす。ただし、前記の炭素環は、C1〜4アルキル、C
    1〜4アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリフルオ
    ロメチル基で置換されていてもよく、R20c −R30c
    n−ペンチル基を表わさない。)で示されるプロスタグ
    ランジンFエステルを有効成分として含有する緑内障予
    防剤および/または治療剤。
  13. 【請求項13】 式(XIV) 【化11】 (式中、R40は、C1〜6アルキル、C4〜7の炭素
    環、またはC4〜7の炭素環で置換されているC1〜4
    アルキル基を表わし、R50は、単結合またはC1〜4ア
    ルキレン基を表わし、R60は、C1〜7アルキル基を表
    わす。ただし、(i) 前記の炭素環は、C1〜4アルキ
    ル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリ
    フルオロメチル基で置換されていてもよく、(ii) R50
    −R60は、n−ペンチル基を表わさず、(iii) R40がエ
    チル基であるときは、R50−R60は、1,1−ジメチル
    ペンチル基を表わさない。)で示されるプロスタグラン
    ジンFエステル。
  14. 【請求項14】 16,16−ジメチル−PGF2β
    ソプロピルエステル。
  15. 【請求項15】 式(XIX) 【化12】 (式中、THPは、テトラヒドロピラン−2−イル基を
    表わし、R40は、C1〜6アルキル、C4〜7の炭素
    環、またはC4〜7の炭素環で置換されているC1〜4
    アルキル基を表わし、R50は、単結合またはC1〜4ア
    ルキレン基を表わし、R60は、C1〜7アルキル基を表
    わす。ただし、(i) 前記の炭素環は、C1〜4アルキ
    ル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリ
    フルオロメチル基で置換されていてもよく、(ii) R50
    −R60はn−ペンチル基を表わさない。)で示される化
    合物を酸性条件下、加水分解反応に付すことを特徴とす
    る式(XIV) 【化13】 (式中すべての記号は前記と同じ意味を表わす)で示さ
    れるプロスタグランジンFエステルの製造方法。
  16. 【請求項16】 式(XIV) 【化14】 (式中、R40は、C1〜6アルキル、C4〜7の炭素
    環、またはC4〜7の炭素環で置換されているC1〜4
    アルキル基を表わし、R50は、単結合またはC1〜4ア
    ルキレン基を表わし、R60は、C1〜7アルキル基を表
    わす。ただし、(i) 前記の炭素環は、C1〜4アルキ
    ル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはトリ
    フルオロメチル基で置換されていてもよく、(ii) R50
    −R60はn−ペンチル基を表わさない。)で示されるプ
    ロスタグランジンFエステルを有効成分として含有する
    緑内障予防剤および/または治療剤。
  17. 【請求項17】 有効成分が16,16−ジメチル−P
    GF2βエチルエステルである請求項16記載の緑内障
    予防剤および/または治療剤。
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