JP3573272B2 - 自動車用シートの組立、生産システム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動車用シート(座席)の組立、生産システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用シートは少なくともフレーム組立と包製の二本の組立ライン(コンベヤ)によって組立、生産している。
【0003】
即ち、フレーム組立コンベヤによってシートクッション(座部)のフレーム、シートバック(背凭部)のフレームを組立て、この組立てコンベヤに沿って多数の組立部品が配設され、このコンベヤで組立部品を搬送し乍ら多数の作業者が各々担当する部品を組付けてばね材などを有するフレーム構造体を組立てている。
【0004】
一方、包装ライン(コンベヤ)は、フレーム組立コンベヤによって組立てたフレーム構造体に発泡体製パッドを当て、このパッドを表皮で被覆する作業等を行っている。
【0005】
そして、前記フレーム組立てと包装の各コンベヤの近傍には各部品を補給担当の作業者が補給している。
また、包装コンベヤによって生産した完成品は、別のコンベヤで搬送して倉庫等に収納している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の自動車用シートの組立、生産は、複数のコンベヤを使用し、この各コンベヤ上で順次各工程を搬送し乍ら各作業者が担当する組立、生産作業を行っている。
従って、一種類のシートを多量生産できる利点がある。
【0007】
しかし、シートの種類によって工程の編成を替えたり、或いは多種類のシートを混合生産できない。生産量の変動に対応できない。搬送に無駄が生じる。…などの種々の不具合があった。
【0008】
そこで、本発明は斯様な従来の組立、生産システムの不具合を除去することを目的とする。
【0009】
【課題を解決すべき手段】
以上の目的を達成するための本発明に係る請求項1の発明によれば、周回状の誘導路に沿って自走する自走車に、作業者が乗車できる乗車部を設けると共に治具を搭載し、且つ、この自走車に、前記治具に対応する部品積載用の台車を着脱自在に連結し、前記誘導路は部品供給ゾーン、組立ゾーン、組立品清浄ゾーン、完成品搬送ゾーン内を順次通し、前記自走車の治具等には、生産情報通信制御部が読み取り組立ゾーン、組立品清浄ゾーン、完成品搬送ゾーン内の各自動化機器等に電気的に伝達させて、所定時間後に各自動化機器が所定の動作で作動するように構成されている識別記号を設け、前記部品供給ゾーン内で前記台車に積載し、組立ゾーン内で台車に積載した部品を治具に組付け、組立品清浄ゾーンにおいて組立後のシートを清掃、皺取り、抗菌作業して、完成品搬送ゾーン内において治具より完成品を取り外して外部に搬送することにより、自動車用シートを組立、生産することを特徴とするものである。
【0010】
従って、従来のコンベヤによる組立生産方式でなく、各自走車毎にシートを組立、生産できるため多種類の自動車用シートを混合生産できる。
【0011】
また、前記自走車には、作業者が乗車できる乗車部を設けてなるから、作業者が自走車に搭乗して部品を台車に供給し、組立ゾーン内において治具に部品を組付けることができる。そのため、一人の作業者が多工程の作業を自走車に乗車し乍らなし得る。
【0012】
そして、前記組立ゾーン内において、誘導路は多数に分岐するようにすれば、組立ゾーンにおいて各誘導路を増加させることにより、生産量の変動に対応できる。
【0013】
更に、前記誘導路は床面に貼着する誘導テープから構成することにより、 誘導路を簡単に変更でき、工程編成替えの容易化を図ることができる。
【0014】
加えて、前記完成品搬送ゾーンにおいて、自走車から完成品を搬送用自走 車又は搬送コンベヤにロボットで移し替えるようにすることにより、完成品 の搬送作業が容易化する。
【0015】
また、前記組立ゾーンにはシートフレームを溶接する溶接エリア、シート の表皮を成形する成形作業又は表皮を発泡体製パッドに加圧して接着して被 覆する被覆作業を行う成形エリアを有するようにすることにより、直接溶接 エリア、成形エリア内に自走車が入り、溶接品等を積載することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る自動車用シートの組立、生産システムの概略図を示し、図中(A)は部品供給ゾーン、(B)は組立ゾーン、(C)は組立品清浄ゾーン、(D)は完成品搬送ゾーンを各々示す。
【0017】
これらの各ゾーン(A)(B)(C)(D)を順次周回するように誘導路(R)が工場内の床面に配設され、この誘導路(R)に沿って自走車(M)が電動で走行するように形成されている。
【0018】
前記誘導路(R)はフレキシブルな磁気テープからなり、工場の床面に貼着することにより、自走車(M)の誘導路となるものである。
従って、この誘導路(R)は所望の場所に、或いは所望の場所において多数分岐するように簡単に変更又は増、減できる。
【0019】
図示する誘導路(R)(R)は、組立ゾーン(B)内において二又状に分岐して、自動車のシートのドライバーシートとアシスタントシートが各々別々に組立てられるようになっている。
【0020】
そして、ドライバーシート、アシスタントシートを増産する場合、或いは、リヤシートなど他のシートを生産する場合には、組立ゾーン(B)において、誘導路(R)を多数並設状に増すことにより対応できる。
【0021】
自走車(M)は、バッテリーにより駆動するもので、誘導路(R)内において、電気的信号により無人で走行し、減速し、停車できるように構成されている。
【0022】
そして、この自走車(M)には、部品積載用の台車が着脱自在に連結され、一種類のシート用の治具が搭載され、また、作業者が乗車できる乗車部を設けて、自走車(M)に作業者が乗ることができるようになっている。
【0023】
この自走車(M)の治具等には、シートの種類を電気的にみ取る識別番号が設けてあり、この識別番号を読み取る生産情報通信制御部が、誘導路(R)における完成品搬送ゾーン(D)の次の次に設けてある。そして、完成品搬送ゾーン(D)の次には自走車(M)を保持させて充電すると共にシートの種類を切り替える待機切替ゾーン(A´)に設けてある。また、自走車(M)には前記識別記号を記憶する記憶装置が設けてある。
【0024】
従って、待機切替ゾーン(A′)から部品供給ゾーン(A)内に自走車(M)が自走すると、その自走車(M)の治具等に設けた識別記号を生産情報通信制御部が読み取り、この情報を組立ゾーン(B)、組立品清浄ゾーン(C)、完成品搬送ゾーン(D)内の各自動化機器等に電気的に伝達させて、所定時間後に各自動化機器が所定の動作で作動するように構成されている。
【0025】
以上の部品供給ゾーン(A)には、ヘッドレスト、ロアカバー、発泡体製パッド、パッド支持用のばね付フレーム、バックプレート、バックル、グリップ、ノブ…などの自動車用シートを構成する部品が収納している棚が誘導路(R)に沿って設けてある。
【0026】
この棚から自走車(M)の治具に対応する部品を、自走車(M)に乗っている作業者又はロボットが台車に積載する。
【0027】
次に、自走車(M)は、誘導路(R)に沿って組立ゾーン(B)内に移動する。その際に、ドライバーシート用治具を搭載した自走車(M)の場合には誘導路(R)、アシスタントシート用治具を搭載した自走車(M)の場合には誘導路(R)に移動する。これは、自走車(M)(M)の記憶装置又は前記生産情報通信制御部から自走車(M)(M)への信号によって自走車(M)(M)が移動する。
【0028】
組立ゾーン(B)には、各誘導路(R)(R)上方に、エア、電動等の工具が上下、左右方向に移動可能に垂設されており、これらの工具を作業者が使用して台車の部品を治具上に組立てる。
なお、この組立ゾーン(B)内に一部の部品を収納する棚等を設け、この棚内の部品を治具に組付けるようにしても良い。
【0029】
組立ゾーン(B)内において治具上に組付けた組立品は、自走車(M)によって組立品清浄ゾーン(C)に移動する。
【0030】
この組立品清浄ゾーン(C)において、組立品の表皮の皺を取るために蒸気をかけたり、或いは、ゴミを取り除いたり、抗菌スプレーをかけたりする作業をする。これらの作業はロボットで行う。
【0031】
このロボットでの作業は組立品が自走車(M)に搭載されているため、上、下、左右方向よりムラなく行うことができる。
そのため、コンベヤで搬送する従来方法では不可能であったこれらの作業をロボット化でき、その作業性を向上し得る。
【0032】
この組立品清浄ゾーン(C)を通過することにより完成品となり、この完成品は完成品搬送ゾーン(D)に移動する。
【0033】
この完成品搬送ゾーン(D)は、治具より完成品を取り外して倉庫等に搬送する作業をなすものであり、治具より完成品をロボットで取り外して別の搬送用自走車の台車に積載するか、或いは、倉庫等に移送するコンベヤに移し替える。
【0034】
この完成品を取り外した自走車(M)は、前記待機切替ゾーン(A′)に移動して、他の治具を切り替えるか、切り替えずに部品供給ゾーン(A)に移動する。以下、これを繰り返して自動車用シートを組立生産する。
【0035】
図2は他の実施例を示し、図中(A)は部品供給ゾーン、(B)は組立ゾーン、(C)は組立品清浄ゾーン、(D)は完成品搬送ゾーンを各々示す。
【0036】
斯る実施例における部品供給ゾーン(A′)は、シートのフレーム溶接加工工場である溶接エリア(1)、シートの表皮をシートの着座面形状に凹凸状に成形する成形エリア又はシートの表皮を発泡体製パッドに加圧して接着する接着成形エリア(2)を示すものである。
【0037】
溶接エリア(1)は防火壁(14)に囲まれ、該エリア(1)内において自動車用シートのフレーム構造体が溶接により成形され、図中(10)(11)(12)(13)は、多種類のシート毎に異なるフレーム(例えばフロントシート、リヤシート用フレームなど)を溶接によって加工する作業加工機を示す。
【0038】
従って、自走車(M)が各フレームを台車用搭載できるように誘導路(R)(R)は分岐されており、台車にフレームをロボット又は人力で搭載する。
【0039】
接着成形エリア(2)内には、表皮をパッドに加圧して接着する成形機(20)(21)が設けてあり、この成形機(20)(21)は多種類のシートに対応できるように複数設けてあり、これらの成形機(20)(21)によって成形された表皮付のパッドは台車に積載される。
【0040】
一方、表皮をパッドに接着しないシートは、図2に示すように表皮、パッドを収納した部品棚(22)から表皮、パッドを取り出して自走車に積載できるように誘導路(R)(R)は分岐されている。なお、前記部品棚(22)はパッド、表皮以外にフィニッシャーなどの大型部品が収納されている。
【0041】
組立ゾーン(B′)には、小型部品を収納する棚(32)を設けて、作業者が治具に組立時に、この棚(32)から小型部品を取り出し、台車から大型物品を取り出して、組立ゾーン(B)内の誘導路(R)上方に設けた前記工具で治具に組付けて組立て、シートクッションとシートバックを一体に連結し、シートクッション等にフィニッシャーを取付けて組立品にする。
【0042】
組立品清浄ゾーン(C′)は、前記実施例と同様であり、その説明を省略する。
【0043】
図示する完成品搬送ゾーン(D′)には、ローラを並列した移動台(41)上に台板(42)を載せ、この台板(42)上に治具より取り外した完成品をロボットで載せて、ラック又は一時置場等に完成品が搬送するように形成されている。なお、この完成品搬送ゾーン(D′)には搬送用の自走車を設けて、この自走車に治具より外した完成品をロボットで積載するようにするのが好ましい。
【0044】
そして、完成品を治具から取り外した自走車は、待機切替ゾーン(A′)に移動して充電され、治具が他のシート用のものに切替えされるものは切替えられて、誘導路(R)に沿って移動する。
なお、図2に示す自走車は、二台を連結したもので、各自走車には台車が連結されている(不図示)。
【0045】
図2に示すものは、まず待機切替ゾーン(A′)より走行する自走車(M)はその自走車(M)に搭載した治具の識別記号を生産情報通信制御部(51)が読み取り、次の工程以降の自動機器に伝達し、各自動機器の記憶装置に記憶させる。
【0046】
次に自走車(M)が誘導路(R)に沿って部品供給ゾーン(A′)に移動すると、スライドレール、リクライニングデバイス等をその自走車(M)の治具にセットしてこれらをカシメ機(62)(62)によって固定する。
【0047】
然る後、自走車(M)は溶接エリア(1)内に移動して溶接した治具に合致するフレーム構造体を治具にセットするか、或いは台車に積載する。そして、その一部の自走車(M)は接着成形エリア(2)内に移動して接着成形した表皮付パッドを台車に載せる。また、接着成形しない表皮、パッドは棚(22)から取り出して台車に載せる。
【0048】
次に、組立ゾーン(B′)内に移動した自走車(M)の治具に、作業者が台車又は棚(32)より部品を取り出して工具によりシートを組立てる。即ち、シートバックをシートクッションに連結してフィニッシャー等を取付けてシートを完成させる。
【0049】
その後、前記実施例と同様に、自走車(M)を組立品清浄ゾーン(C′)、完成品搬送ゾーン(D′)に走行させる。
以下、これを繰り返して自動車用シートを組立生産する。
【0050】
【発明の効果】
本請求項1の発明によれば、従来の多数の独立状に設置したコンベヤを使用せずに自走車上によってシートを組立生産する。従って、多種類の自動車用シートを混合生産でき、また、従来の組立工程における搬送無駄を省くことができる。更にシートの生産量を増減する場合、或いは種類の異なるシートを組立生産する場合における工程の編成替え(レイアウト変更)が容易に行える。加えて、作業スペースがとれ、機械化、自動化を図ることができる。
【0051】
また、シート全体の組立が短時間で効率よく行える。しかも、あらゆる方向から各組立作業が行えるし、各作業が分断しないため、生産性が向上する。
【0052】
また、自走車に作業者が乗って一人の作業者がその自走車に連結する台車 に、自走車の治具に対応した部品を積載してシートを組立ることができるし 、多工程の作業を行うことができ、生産性が向上する。
更に、自走車の治具等には識別番号が設けてあるので、その識別番号を生 産情報通信制御部が読み取り、各ゾーンの各自動化機器等に電気的に伝達さ せて、所定時間後に各自動化機器が所定の動作で作動してシートを組立るこ とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用シートの組立生産システムを示す概略図である。
【図2】本発明の他の実施例の概略説明図である。
【符号の説明】
A 部品供給ゾーン
A′ 部品供給ゾーン
B 組立ゾーン
B′ 組立ゾーン
C 組立品清浄ゾーン
C′ 組立品清浄ゾーン
D 完成品搬送ゾーン
D′ 完成品搬送ゾーン
M 自走車
R 誘導路

Claims (1)

  1. 周回状の誘導路に沿って自走する自走車に、作業者が乗車できる乗車部を設けると共に治具を搭載し、且つ、この自走車に、前記治具に対応する部品積載用の台車を着脱自在に連結し、前記誘導路は部品供給ゾーン、組立ゾーン、組立品清浄ゾーン、完成品搬送ゾーン内を順次通し前記自走車の治具等には、生産情報通信制御部が読み取り組立ゾーン、組立品清浄ゾーン、完成品搬送ゾーン内の各自動化機器等に電気的に伝達させて、所定時間後に各自動化機器が所定の動作で作動するように構成されている識別記号を設け、前記部品供給ゾーン内で前記台車に積載し、組立ゾーン内で台車に積載した部品を治具に組付け、組立品清浄ゾーンにおいて組立後のシートを清掃、皺取り、抗菌作業して、完成品搬送ゾーン内において治具より完成品を取り外して外部に搬送することにより、自動車用シートを組立、生産することを特徴とする自動車用シートの組立、生産システム。
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