JP3571654B2 - 高調波を出力しないインバータ - Google Patents

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、インバータまたはインバータの出力フィルタに関する。より大きなレベルのパワーのためのインバータの出力電流は、一般的に、全ての連続した高調波電流を有する。これらの高調波は厄介で、特に、比較的大きい電力がインバータを介してネットワークに供給される必要があるとき、受け入れがたい形状で発生する。
【0002】
(背景技術)
図1は、出力チョークとコンデンサフィルタネットワークとを有するインバータを示しており、これは、インバータの上述した技術的欠点を著しく減少させ、電流の質を相当に改善する。パワースイッチT1からT6と、それに並列に接続されたダイオードは、パワースイッチのパルス幅変調によって切り換えられるので、インバータの出力には3つの正弦波出力電流相U、V、Wが現れる。個々のスイッチT1−T6を定められた方法で時々切り換えることにより、出力電流の波形は正弦振動に近づけられる。しかし、その場合に、基準値または目標値から必然的にずれることによって上述の高調波が発生する。
【0003】
これらの生成された高調波は、三相網において、任意の時間に合計すると0に等しい。それは、少なくとも、他の電流通路(他の電気回路)が存在しないからである。その状態では、対称的な高調波のみが発生する。そこで、図1の出力側でも示されるように、それらの高調波を相殺するための試みがフィルタ回路によってなされる。また、電気回路網が、誘電性部分や容量性部分(伝送線の成分)により、ある周波数で部分的にとても低いインピーダンス(抵抗)をもつので、望ましくないことに、高い割合の高調波が、なお、一般の供給網に流れる。
【0004】
(発明の開示)
それ故に、本発明は、上記の欠点を除き、よって、高調波がとても少ない、もし可能であれば全く高調波のない電流だけが一般の供給網に供給されることを目的とする。本発明は、さらに、インバータの直流電圧中間回路が、電位(ハウジング、アース、または、三相システムに関する電圧値)に関して安定であることを提供しようとする。
【0005】
本発明によると、その目的を達成するために、請求項1で述べられた特徴をもつインバータが提案される。好ましい実施形態が、添付の請求の範囲に述べられる。
【0006】
本発明によるインバータを用いると、非対称性高調波が、インバータの出力側で生成されて直流中間回路にフィードバックされる。非対称性高調波を生成するために、インバータ出力における三相出力チョークに加えて、さらなる巻線(第4の足)がある。このさらなる巻線は、非対称性高調波から発生する非対称性磁束を伝える。その高調波は、例えば3つのLC部材のような、3つの共振回路を介して集められる。もし、対称性高調波がいまだ多少なりとも存在するとしても、それらの共振回路で直接に相殺される。非対称性高調波(Σ≠0)は、直流電圧中間回路にフィードバックされる。その非対称性高調波の和は、共振回路(共振回路のフィルタコンデンサ)の星点(star point)で取り出され、第4の足の巻線を介して、直流電圧中間回路の負の電線に結合され、通される。それは、図2で図示される、閉じられた「高調波電流回路」を与える。
【0007】
共振回路の星点で取り出された非対称性高調波の全電流は、出力チョークの第4の足において磁束を生成する。電流状態により、それらの磁束は、出力チョークの3つの主要な足に還流し、従って、出力インダクタンスを維持する。結果として、その出力インダクタンスは通常の三相チョークよりも約5%から20%高い。高調波電流のみが第4の巻線に流れ込むので、この場合に、チョークの主要コイルに関して、発生する銅損の程度はかなり低い。
【0008】
(発明を実施するための最良の形態)
発明と好ましい実施形態が、その効果と共に、以下の明細書の説明における実施例を用いて述べられる。
【0009】
図1は、既知のインバータの回路図を示す。それは、各々のダイオードD1−D6を有するパワースイッチT1−T6の逆並列接続により、操作の4つのクワドラントモードを可能にし、従って、回路として、かなり用途を広くできる。出力電流の正の半波を生成するために、既知のインバータは、スイッチT(n=1、3、5)とTn+1(n=2、4、6)の連続的なスイッチオンとスイッチオフの実行を必要とする。これは、三相電流のU相の出力電流の半波のために、T1とT6が、半波の間に複数回連続的にオンとオフが切り換えられることを意味する。パワースイッチの上流に接続されるのは、直流電圧+Udと−Udに給電するための2つの直列接続された電解コンデンサC4とC5を有する直流電圧中間回路である。出力側において、そのインバータは、出力チョークL(LAU、LAV、LAW)と、各々の相間に配置される3つのコンデンサC6、C7、C8から成る下流に接続されたフィルタとを有する。既に述べられたように、三相出力電流U、V、Wは、決められた様式でオンとオフが切り換えられる個々のパワースイッチT1からT6によって正弦波に近づけられる。しかし、その場合に、基準値または目標値から必然的にずれることによって、高調波が発生する。これらの生成された高調波は、三相網において、任意の時間に合計すると0に等しいか、ほとんどそれに近い。それは、少なくとも、他の電流通路が存在しないからである。しかし、発生する高調波は常に対称的であり、それらの高調波を相殺するための試みがコンデンサフィルタ回路を利用してなされる。また、電気回路網が、誘電性部分や容量性部分(伝送線の成分)により、ある周波数で部分的にとても低いインピーダンス(抵抗)をもつので、望まれないことに、高い割合の高調波が、なお、一般の供給網に流れる。
【0010】
図2は、本発明によるインバータの回路図を示す。それは、既知のインバータと同様に、直流電圧中間回路、パワースイッチT1−T6とそれに並列に接続されたダイオードD1−D6、および、出力チョークLを有する。
【0011】
本発明によるインバータは、非対称性高調波を生成する。そのために、追加の巻線L(追加の足)がある。第4の足Lは、非対称性高調波から発生する非対称性磁束を伝える。その高調波は、インダクタLからLとコンデンサC1からC3とを含む3つの共振回路LC、または、3つのLC部品、および、共通の星点を介して集められる。対称的な高調波が、もし、いまだ存在するなら、これらの共振回路LCで相殺される。非対称性高調波L(Σ≠0)は、星点を経由して第4の足Lの巻線に通される。その第4の巻線Lは、直流電圧中間回路の負の電線に接続される。従って、非対称性高調波の和は、フィルタコンデンサの星点で取り出され、第4の足の巻線を介して、直流電圧中間回路の負の電線に結合される。それは、非対称性高調波のための閉じられた高調波回路を与える。
【0012】
コンデンサの星点で取り出された非対称性高調波の全電流は、出力チョークLの第4の足で磁束を生成する。関連した各々の状態により、それらの磁束は、第4の足に磁気的に結合された出力チョークLの主要な足に還流し、その出力インダクタンスを助長する。
【0013】
その結果として、それは、通常の三相チョークよりも約5%から20%高い出力インダクタンスLを与える。非対象高調波の高調波電流のみが第4の巻線LA4に流れ込むので、この場合に、主要コイルLA1、LA2、LA3と比較して、発生する銅損の程度はかなり低い。
【0014】
図3は、図2で示されたインバータの測定図を示す。上部曲線は、インバータ出力における電流の正の対称性半振動を示す。この場合、電流のヒステリシスは一定で、切り換え周波数は可変である。下部曲線は、第4の足によって直流電圧中間回路に還流する、インバータの3つの出力相の高調波の和を示す。
【0015】
図4は、相1のインバータの出力電流の一部を、より高い解像度で再び示す。この場合に、出力電流IWRLの三角高調波がはっきりとわかる。
【0016】
それらの高調波は、出力インダクタンスLの出力において、LとC1とを含む共振回路により(対称的な)基本波成分から分離される。図4の下部曲線は、LとC1における電流IL1C1の時間に関する変化を示す。
【0017】
図5は、主要電流(基本波成分50Hz)から高調波を分離した結果を示す。最上部の曲線は、高調波を含まない出力電流を示す。このとても良好な結果は、本発明による高調波回路でのみ可能である。この場合、図からわかるように、生成された高調波は、インバータから直流電圧中間回路に、ほとんど100%フィードバックされる。図5の中央の曲線は、インバータ電流IWRLを示し、図5の下部曲線は、関連した高調波電流を再び示す。
【0018】
図6(下部曲線)は、3つの高調波電流I21、I22、I23の和を示す。3相のほとんど全ての高調波を含む電流は、出力チョークLの動作を促進するために、再び使用される。
【0019】
すでに述べられたように、そのチョークは、3つの主要な出力巻線のための3つの主要な足LA1、LA2、LA3と、高調波のためだけに意図された第4の小さな補助足とを含む。その第4の足は、高調波の和に相当する磁束のみを伝える。その高調波の合計電流の相当する振幅は、図6の下部曲線に示される。上部曲線は、それに関する相当の電圧の形状を示す。それを達成するためには、主要な足の約20%の鉄の断面があれば、第4の足にとって十分である。しかし、第4足は、約5%から20%の間で、動作出力インダクタンスLを増す。その結果、出力チョークLはサイズが小さくなり、効率が良くなる。
【0020】
図7は、本発明によるインバータの変形を示す。この場合に、出力チョークは、2つの部分をもつ構造であり、4つ足チョークと、それに直列に接続された相殺三相チョークLA2を含む。電流相殺チョークは、好ましくは、非対称性高調波電流のために使用できる。ネットワーク電流(三相電流)の和は0になるので、そのチョークは基本波成分が多い(磁化される前)。それは、高いインダクタンスが低いコストで与えられることを意味する。
【0021】
図8の上部曲線は、そのフィルタの上流のインバータ出力における3つの出力電流の和を示す。この場合に、最大振幅は、単相電流のピーク値のほんの10%である。下部曲線は、フィルタの下流の出力電流の和を示す。この出力電流は、非常に質が高く、どんな好ましくない高調波もネットワークに結合されないことがわかる。
【0022】
また、直流電圧中間回路は、同時に、閉じられた高調波回路により安定である。3つのコンデンサの星点は、静止した電位、原則として、アースと同じ電位である。接点は、中間回路まで、インダクタンスを経由して静的に接続されるので、もし中間回路の電位が変化するなら、それを経由して相殺電流が流れる。急に変化する電位は、直流電圧中間回路に給電する発電機に有害である。電圧変化(dU/dt)によって、容量性電流が絶縁体に流れ込み、長期的には絶縁体の破壊を起こすからである。
【0023】
本発明によるインバータは、好ましくは、例えば、風力発電装置のような電気エネルギーを生成するシステムで使用される。そのとき、そのような電気エネルギー生成システムは、ネットワークに最高の質の電流を供給する。また、各々のネットワークオペレータは、電流の質を保護する測定をほとんど実行する必要がないという結論を与えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】既知のインバータの図式的な回路図。
【図2】本発明によるインバータの図式的な回路図。
【図3】本発明によるインバータの図式的な測定図。
【図4】解像度を大きくして図3の一部を示した図。
【図5】本発明によるインバータの図式的な測定図。
【図6】本発明によるインバータの図式的な測定図。
【図7】本発明によるインバータの好ましい実施の形態の回路図。
【図8】インバータおよびネットワーク電流の電流測定図。
【符号の説明】
T1、T2、T3、T4、T5、T6 パワースイッチ
出力チョーク
、L、L インダクタ
C1、C2、C3、C4、C5 コンデンサ

Claims (19)

  1. 直流電圧から交流または三相電流を生成するインバータであって、
    直流電圧中間回路と、
    前記直流電圧中間回路の出力部に接続された出力回路と、
    フィードバック回路と
    を備え、
    前記出力回路は、出力チョーク(LA)を含み、
    前記フィードバック回路は、前記出力部で発生する高調波をフィードバックして除去するように、前記出力チョークに電磁結合され、かつ前記直流電圧中間回路に接続されたフィードバックチョークを含むインバータ。
  2. 直流電圧から交流または三相電流を生成するインバータであって、
    直流電圧中間回路と、前記直流電圧中間回路に接続された出力チョーク(LA)と、前記直流電圧中間回路の出力部から前記直流電圧中間回路へのフィードバックループとを備え、
    前記フィードバックループは、前記出力チョークに電磁結合されたフィードバックチョークを含み、
    交流または三相電流が、共振回路によって共に連結されたm本の電線を介して、前記インバータで出力され、
    前記直流電圧中間回路の出力部で発生する実質的に対称的な高調波が、その高調波を、前記フィードバックループを通して前記直流電圧中間回路にフィードバックすることにより、実質的に相殺されるインバータ。
  3. その共振回路がタッピングを有し、そのタッピングを介して、インバータの出力で発生する非対称性高調波が、直流電圧中間回路にフィードバックされることを特徴とする請求項1または2に記載のインバータ。
  4. 出力部で非対称性高調波を生成する手段を有する請求項1または2に記載のインバータ。
  5. 前記出力チョークが、非対称性高調波から生じる非対称性磁束を伝える請求項4に記載のインバータ。
  6. mが自然数であるとき、前記出力チョークがm+1本の足を含み、1本の足が各々の三相電流相に関連し、非対称性高調波から生じる非対称性磁束がm+1番目の足によって伝えられる請求項4に記載のインバータ。
  7. m+1本の足が、磁気的に共に連結され、そのm+1番目の足で発生する磁束が、出力チョークのm本の足に還流する請求項6に記載のインバータ。
  8. 高調波電流のみがm+1番目の足を通して流れる請求項1または2に記載のインバータ。
  9. 前記出力チョークが、電流相殺チョークであることを特徴とする請求項1または2に記載のインバータ。
  10. 前記出力チョークが、4つ足チョークと、それに直列接続された三相チョークとを含む請求項1または2に記載のインバータ。
  11. 前記直流電圧中間回路が、閉じられた高調波回路により安定であることを特徴とする請求項1または2に記載のインバータ。
  12. 前記直流電圧中間回路が、2本のバスを含み、
    前記出力チョークが、2本の前記バスのうち1本に接続される請求項1に記載のインバータ。
  13. 前記出力チョークが、別のチョークによって、前記直流電圧中間回路に接続される請求項1に記載のインバータ。
  14. 直流電圧を運ぶ2本のバスと、2本の前記バスに接続され、多相交流電圧を生成するスイッチとを備える直流回路と、
    各々が前記直流回路に接続された第1番目の組の出力チョークと、前記出力チョークに接続され、前記多相交流電圧を運ぶ複数の出力ラインとを含む出力回路と、
    第1番目の組の前記出力チョークに電磁結合され、かつ前記直流回路に接続され、前記出力回路で生成された高調波をフィードバックするフィードバックチョークを含むフィードバック回路と
    を備えるインバータ。
  15. さらに、前記出力ラインと前記フィードバックチョークとの間に接続された第2番目の組のチョークを備える請求項14に記載のインバータ。
  16. 前記第2番目の組のチョークが、星構造で接続される請求項15に記載のインバータ。
  17. さらに、各々のコンデンサが前記第2番目の組のチョークの1つのチョークに接続される1組のコンデンサを備える請求項15に記載のインバータ。
  18. 前記フィードバックチョークが、前記バスの1つに接続される請求項14に記載のインバータ。
  19. 直流入力部と、
    前記直流入力部から入力される直流電圧から交流電圧を生成するインバータと
    を備える電気エネルギー生成システムであって、
    前記インバータは、
    前記直流入力部に接続された直流中間回路と、
    出力チョークを備える出力部と、
    前記出力部で生成された高調波を、前記直流中間回路にフィードバックし、前記高調波を低減するように、前記出力チョークと前記直流中間回路との間に接続されたフィードバック部と
    を備え、
    前記フィードバック部が、前記出力チョークに電磁結合されたフィードバックチョークを含むシステム。
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