JP3570804B2 - クレープ生地の引延し装置 - Google Patents

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國博 入江
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有限会社山陽技研
株式会社コガ
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、調製後の塊状クレープ生地を薄く展開する引延し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クレープは菓子素材を薄く焼かれた表皮によって包んでいる。このクレープ生地を薄く展開する作業とその焼上げがクレープ製品の外観や食感を左右する。従来は熟練した職人によって手作業で焼上げられていた。
【0003】
この手作業による非能率的な点を装置によって行なうことを検討して、先に特願平7−139887号によって、加熱したホットプレートのほぼ中央部にクレープ生地を投入し、そのホットプレートの中心から偏心した位置において引延し用ヘラを公転させながら自転させて、クレープ生地を薄く引延ばすことのできる引延し方法と装置を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は更に装置に検討を加えて、よりクレープ生地の展開が熟練した職人に近い状態にうまく行なわれ、清掃も容易であり、かつ、高能率化の可能性について検討した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を検討した結果、ホットプレート上のクレープ生地を公転しながら自転する引延し用ヘラによって引延ばす装置において、引延し用ヘラのクレープ生地接触部を面取りし、その材質をフッ素樹脂製として上部に補強材を設けるか、又はフッ素樹脂コーティング鋼材とし、クレープ接触側が進行方向後方となるよう傾斜させた。
【0006】
また、引延し用ヘラの自転と公転とを別個に制御する制御手段を設けた。この制御手段は、自転軸と公転軸を回転させる自転用モータと公転用モータを設けそれらを別個に制御するようにした。
【0007】
更に、引延し用ヘラの自転と公転とを別個に制御する制御手段は、自転軸と公転軸の回転駆動を共通のモータとそれにより回転する共通軸で行ない、公転軸を回転させるギヤを共通軸に対してワンウエイクラッチを介して装着し、そのギヤの回転をON−OFF制御するようにした。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のクレープ生地の引延し装置の概要を示す斜視図である。図2はヘラ部分の拡大斜視図、図3は同ヘラ部分の側面図、図4はヘラのクレープ生地引延し時の動きを示す平面図、図5はヘラ駆動系の制御手段の詳細を示す断面図である。
【0009】
図1にみられるように、本装置はホットプレート1上に公転しながら自転するクレープ生地の引延し用ヘラ2を設けている。この引延し用ヘラ2は、クレープ生地をホットプレート上へ載せたり、焼上がったクレープを取り除く際には、アーム3が回動して上方へ逃すことができる。支持アーム3の先端部へ公転アーム4が設けられており、後に示す駆動機構によって回転して引延し用ヘラ2を公転させる。引延し用ヘラ2の自転のための機構についても後に詳細に説明する。この自転は公転に比べて遅く、公転が5〜10回転する間にほぼ70°程度公転方向後方が内方中心向きに回動する程度である。
【0010】
引延し用ヘラ2の構造は、図2,3に見られるように、クレープ生地接触部5を面取りしている。この面取りは接触部の先端のみでなく、その上部の肉厚を次第に薄くする屈曲部においても同様に面取りがされている。引延し用ヘラ2の材質はクレープ生地の粘着を防ぐために、この例ではフッ素樹脂のテフロン製であって、上部にチャンネル鋼の補強材6を設けている。補強材6は重量を調整する役目もしている。鋼材にフッ素樹脂コーティングしたものの使用も可能である。引延し用ヘラ2はクレープ生地接触部5が進行方向後方となるよう傾斜させている。そのための構造として、引延し用ヘラ2を保持するブラケット7は、ヘラ自転軸8に取付けられるブラケット片7aと引延し用ヘラ2の固着片7bとをピン9によって軸支して、引延し用ヘラ2の回動傾斜を可能にしている。引延し用ヘラ2の傾斜は図3で明らかなように、ホットプレートとのなす角度がほぼ60〜80°程度であって、クレープ生地接触部5とホットプレートとのなす角度は15°程度である。ブラケット片7aとヘラ自転軸8とはマグネット10を介して連結されているので、単に引延し用ヘラ2を取外すだけで引延し用ヘラ2の清掃ができる。
【0011】
ホットプレート上のクレープ生地を公転しながら自転する引延し用ヘラによって引延ばす場合に、クレープ生地の展開が終わると、引延し用ヘラを元の角度まで戻す必要がある。そのために先に提案した特願平7−139887号の装置では、公転と自転を逆回転させることによって戻していた。例えば公転軸が10回転の間に自転軸が90°自転する装置の場合、クレープ生地の展開が終わった段階で公転軸を10回逆回転させて自転軸を元に戻していた。この点が能率向上のネックになっていたのである。そこで本発明では自転軸と公転軸とを別個に制御する制御手段を設けたのである。
【0012】
引延し用ヘラ2の自転と公転とを別個に制御する制御手段の例として、図5の例は支持アーム3内に自転用モータ11と公転用モータ12を設け、それらを二重軸にした自転軸13と公転軸14へそれぞれ傘歯車15,16,17,18によって連結して回転させるようにした。自転軸13は二重軸の内側にあって、公転アーム4の内部下端にプーリ19を設けている。このプーリ19は前述したヘラ自転軸8の上部プーリ20へタイミングベルト21で連結されている。二重軸の外側の公転軸14には公転アーム4が固着されている。自転用モータ11と公転用モータ12が独立して設けられているので、これらを適当に回転させることによって、前述した公転軸が5〜10回転する間に、図4に示すように、引延し用ヘラ2の公転方向後方がほぼ70°程度内方中心向きに自転軸が回動するように制御することができる。このように制御するのはクレープ生地を展開しながら均一な厚みとなるようにすると共に、中心側へクレープ生地を寄せて所定の厚みを確保するためである。また、クレープ生地の展開後においては、自転用モータ11のみを逆回転させることによって直ちに元の角度へ引延し用ヘラ2を復帰させることができる。
【0013】
図6に自転軸13と公転軸14を別個に制御する他の構造例を示す。この例は公転用モータ12を支持アーム3内に設け、自転用モータ11は公転アーム4内に設けている。公転用モータ12で回転する公転軸14に公転アーム4が固着されているのでまた、自転用モータ11に装着されたヘラ自転軸8に引延し用ヘラ2が設けられているので、自転用モータ11と公転用モータ12を自由に回転させることによって、前述した引延し用ヘラ2の公転と自転を自由に制御することもできるし、元の角度へ引延し用ヘラ2を復帰させることもできる。
【0014】
図7の例は引延し用ヘラの自転と公転とを別個に制御する制御手段として自転軸13と公転軸14の回転駆動を、共通のモータ22とそれにより回転する共通軸23で行なうようにしている。この例でも自転軸13と公転軸14は二重軸となっており、それぞれ上部に自転ギヤB24と公転ギヤB25を備えており、自転ギヤB24は共通軸23に設けた自転ギヤA26と噛み合い、公転ギヤB25はワンウエイクラッチ28を介して設けた公転ギヤA27に噛み合っている。公転軸14に公転アーム4が固着されている点は、前記例と同じである。公転ギヤA27にはストッパー30が設けられており、ソレノイド29で公転ギヤA27のみの回転を止めることができる。ヘラ自転軸8の回転は自転軸13との間に設けられたクランク31による。このクランク31は自転軸13に設けた連結杆32とヘラ自転軸8に設けた連結杆33間を連結しており、連結杆32と連結杆33の回転半径比(長さの比)を任意に設定することによって引延し用ヘラ2の回転を適当な角度に設定できる。
【0015】
クレープ生地の展開後においては、モータ22を逆回転させることによって直ちに元の角度へ引延し用ヘラ2を復帰させることができる。ソレノイド29をOFFにしてストッパー30を公転ギヤ27に係合させてやると、ワンウエイクラッチ28があるので共通軸23が回転して自転軸13を逆回転させて引延し用ヘラ2を復帰させても、引延し用ヘラ2の公転がないので短時間にヘラ2が復帰して作業の能率を上げることができる。この公転ギヤ27のON−OFFはソレノイドの作動杆を直接公転ギヤへ噛合わせるようにしてもよいし、ラチェットギヤを噛合わせるようにしてもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明のクレープ生地の引延し装置は以上のような構造にしたので、クレープ生地の展開焼き上げが熟練した職人に近い状態にうまく行なわれ、清掃も容易であり、しかも、焼き上げ作業の高能率化を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレープ生地の引延し装置の概要を示す斜視図である。
【図2】ヘラ部分の拡大斜視図である。
【図3】ヘラのクレープ生地引延し時の動きを示す平面図である。
【図4】ヘラのクレープ生地引延し時の動きを示す平面図である。
【図5】ヘラ駆動系の制御手段の詳細を示す断面図である。
【図6】他の例のクレープ生地の引延し装置の概要を示す斜視図である。
【図7】共通モータによる他の例のクレープ生地の引延し装置の断面図である。
【符号の説明】
1 ホットプレート
2 引延し用ヘラ
3 支持アーム
4 公転アーム
5 クレープ生地接触部
6 補強材
7 ブラケット
8 ヘラ自転軸
9 ピン
10 マグネット
11 自転用モータ
12 公転用モータ
13 自転軸
14 公転軸
22 モータ
23 共通軸
28 ワンウエイクラッチ
30 ストッパー

Claims (4)

  1. ホットプレート上のクレープ生地を公転しながら自転する引延し用ヘラによって引延ばす装置において、引延し用ヘラのクレープ生地接触部を面取りし、その材質をフッ素樹脂製として上部に補強材を設けるか、又はフッ素樹脂コーティング鋼材とし、クレープ接触側が進行方向後方となるよう傾斜させたことを特徴とするクレープ生地の引延し装置。
  2. ホットプレート上のクレープ生地を公転しながら自転する引延し用ヘラによって引延ばす装置において、引延し用ヘラの自転と公転とを別個に制御する制御手段を設けたことを特徴とするクレープ生地の引延し装置。
  3. 請求項2記載の引延し用ヘラの自転と公転とを別個に制御する制御手段が、自転軸と公転軸を回転させる自転用モータと公転用モータを設けそれらを別個に制御するよう設けられてなるクレープ生地の引延し装置。
  4. 請求項2記載の引延し用ヘラの自転と公転とを別個に制御する制御手段が、自転軸と公転軸の回転駆動を共通のモータとそれにより回転する共通軸で行ない、公転軸を回転させるギヤを共通軸に対してワンウエイクラッチを介して装着し、該ギヤの回転を制御するよう設けられてなるクレープ生地の引延し装置。
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JP5513304B2 (ja) * 2010-08-06 2014-06-04 東都クリエート株式会社 クレープの製造方法及びクレープ焼き装置
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