JP3971888B2 - 軟質樹脂チューブの先端丸め加工方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質樹脂チューブ、例えばカテーテル等に使用されるシリコン樹脂チューブ等の先端部を丸め加工する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から血管や尿路等の体内管腔内に挿入して使用されるカテーテルは、人体内組織に傷を与えることなく体内の離れた所にまで到達させなければならないので、ある程度の硬さと、その直径に拘わらず先端部には必ず丸め加工が施されている。
では、カテーテルを形成する樹脂チューブの先端部を、どのようにして丸め加工しているかというと、従来は熱加工やグラインダ等を使用し人手にて行われている。
すなわち、先端部の丸め加工は技術者の経験と勘とによる手作業で行われているのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、人手による場合は、技量の違い等による個人差があるとともに、同一人でも均一の製品を作ることが難しく、仕上がり製品にばらつきが生じるという問題があるとともに、カテーテルなどの場合、先端部にバリ等があると人体内組織に傷をつける恐れもある。
【0004】
本発明の課題は、人手によらないで均一な先端丸め加工を行うことができ、かつ任意の丸め形態が形成可能で、バリ等の生じない軟質樹脂チューブの先端丸め加工方法及び装置の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
すなわち、請求項1の軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置は、複数個の回転部材及びこれら回転部材間に巻き掛けられ表面に研磨材が配置された無端ベルトとを有し、前記回転部材が回転駆動されると前記無端ベルトの上面が直線的に水平移動するように構成された研磨手段と、該研磨手段を支持するとともに、前記無端ベルトのほぼ垂直中心点を回転中心軸として前記研磨手段と一体に回転する台座と、前記研磨手段の上方に配置され、軟質樹脂チューブを保持して上昇下降し、チューブの先端部を前記研磨手段の無端ベルト上面に当接・離間させるチューブ保持手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】
請求項2の軟質樹脂チューブの先端丸め加工方法は、表面に研磨材が配置された無端ベルトを回転部材間に巻き掛けて、無端ベルトの上面が直線的に水平移動するように回転させるとともに、該無端ベルトをそのほぼ垂直中心点を回転中心軸とし回転させ、その状態で軟質樹脂チューブの先端部を無端ベルトの上面に押し付けた後、徐々に引き上げていくことにより軟質樹脂チューブの先端部を丸め加工するようにしたことを特徴としている。
なお、この場合に、徐々に引き上げる速度は、0.1mm〜1.0mm/secの範囲がよく、好ましくは0.2mm〜0.5mm/secの範囲で選択するとよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1乃至図3は、本発明に係る軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置の原理図で、図1(a)は正面図、(b)は側面図、図2は装置の一部の斜視図、図3(a)は先端丸め加工処理中の正面図、(b)は側面図である。
軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置1は、図に示すように、研磨手段10を有している。研磨手段10は、2個の従動ローラ12,12と1個の駆動ローラ14とからなる回転部材を備えており、該回転部材間には、表面に砂状の研磨材16aが配置された無端ベルト(研磨布)16が巻き掛けられている。後述するモータにより駆動ローラ14が回転すると、無端ベルト16はその上面が直線的に水平移動するようにA方向に回転する(これを自転とする)。
【0008】
また、研磨手段10は、図1(b)に示すように、台座20に支持固定されており、台座20は無端ベルト16のほぼ垂直中心点を回転中心軸として研磨手段10と一体に回転するように構成されている。従って、台座20が後述するモータにより回転すると、研磨手段10は無端ベルト16のほぼ垂直中心点を回転中心軸として台座20と一体になってB方向に回転する(これを公転とする)。なお、図2は、この研磨手段10を斜め上方から見た斜視図である。
【0009】
研磨手段10の上方には、チューブ保持手段30が設けられており、該チューブ保持手段30はシリコーン樹脂チューブ等からなる軟質樹脂チューブ40を保持して上昇下降し、チューブ40の先端部40aを研磨手段10の無端ベルト16上面に当接・離間させる機能を有している。
【0010】
チューブ40の先端部40aの丸め加工は、図3に示すように、軟質樹脂チューブ40を保持させたチューブ保持手段30を下降させるとともに、研磨手段10の無端ベルト16を自転させ、かつ台座20を回転させて研磨手段10を公転させる。チューブ保持手段30を、保持しているチューブ40の先端部40aが無端ベルト16の表面より下側に2mm〜5mm(可変可能)ほど下がった位置になる程度降下させ、先端部40aを無端ベルト19の表面に押し付ける。
【0011】
図4(a)は、この状態を拡大したものである。先端部40aを押し付けた後、図4(b)に示すように、チューブ保持手段30を所定の速度で徐々に上昇させ、さらに図4(c)に示すように、先端部40aを無端ベルト19の表面から離間させる。無端ベルト16は自転(A)と公転(B)が行われているので、無端ベルト16上に押し付けられているチューブ40の先端部40aは複雑に振られ、その上昇速度と相まって研磨材16aにより丸く研磨されることになる。図5(a)は丸め加工前のチューブ40の先端部40aを示し、図5(b)は加工後の先端部を示したものである。チューブ40の先端部40aを無端ベルト16の表面に押し付けている時間は、チューブ40の直径にもよるが、約10sec前後で、その後約3sec〜30sec前後をかけて上方へ徐々に引き上げていく。すなわち、約0.1mm〜1.0mm/secの速度で引き上げることになる。この場合、チューブ40の硬さにもよるが、0.2mm〜0.5mm/secの範囲から選択するのがより好ましい。
【0012】
次に、この軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置1の具体例について説明する。図6は、チューブ保持手段30の部分等を省略した軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置1の正面図、図7はその側面図である。
軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置1は、図に示すように、3個のローラを備えており、そのうち2個はほぼ直径48mmの従動ローラ12で、他のローラはほぼ直径75mmの駆動ローラ14である。従動ローラ12の軸間の距離はおよそ110mmで水平に配置されており、駆動ローラ14は従動ローラ12の中心間の真ん中からおよそ77mm下方にその回転軸14aが配置されている。そして、これらローラ間には幅75mmの無端ベルト16が巻き掛けられている。無端ベルト16は下地が布製で、その表面には砂状の研磨材が付着されているものである。
【0013】
前記駆動ローラ14の回転軸14aは、台座20の側壁20aを貫通して外側に延びており、該回転軸14aの先端にはプーリ21が取り付けられている。また、該駆動ローラ14の回転軸14aの下方にあたる台座20の側壁20aにも回転軸22が貫通配置されており、該回転軸22の先端にもプーリ23が取り付けられていて、これらプーリ21,23間にはベルト24が巻き掛けられている。また、下側に配置されている該回転軸22の他端にはベベルギア25が取り付けられており、該ベベルギア25は台座20の下側に設けられている基台20bを貫通して延びる回転軸26の先端に取り付けられたベベルギア27と噛み合わされている。
【0014】
前記回転軸26の他端にはプーリ28が取り付けられていて、該回転軸26は自転用モータ29により回転するように構成されている。モータ29が回転すると、回転軸26、ベベルギア27、回転軸22、ベベルギア25、プーリ23、ベルト24、プーリ21、回転軸14aを介して駆動ローラ14が回転し、無端ベルト16が回転する。回転数は、500〜1500RPMの範囲で自在に変速させることができる。従って、無端ベルト16自体の移動速度は、およそ3m/sec〜9m/secとなる。
【0015】
一方、台座20の回転方法は次のようになっている。すなわち、台座20の下端にはギアG1が取り付けられており、公転用モータ(不図示)の回転に伴い回転する軸に取り付けられたギアG2と噛み合わされていて、公転用モータが回転するとギアG2、ギアG1を介して台座20が回転し、台座20に支持された研磨手段10は台座20と一体となって公転する。公転の回転数は、50〜200RPMの範囲で自在に変速することができるように構成されている。
【0016】
また、一度に丸め加工ができるチューブ40の本数は前述したチューブ保持手段30で保持できる数で、この場合5本である。また、丸め加工ができるチューブの直径は、この装置の場合、2.5、3.5、5.0、10.0mm等種々の直径のものに広く適用できる。なお、10.0mmの場合には一度で処理できる数は4本となる。
【0017】
なお、チューブ保持手段30の引上げ速度や、最下位置に停止させておく時間等はチューブ40の直径に応じて、自在に設定することができ、またも無端ベルト16も研磨材の粗さの異なるものが数種類用意されている。これにより、種々の材質からなる軟質樹脂チューブの先端丸め加工を行うことができる。また、丸め形状も自在に行うことができる。
【0018】
なお、上記説明では、軟質樹脂チューブについて先端丸め加工を行ったが、用途次第によっては、チューブのような中空状のものに限らず中実状のものにも適用することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、軟質樹脂チューブの先端部を、人手によらないで均一な丸め加工を行うことができ、かつ任意の丸め形態を形成することができるので、安定した品質のカテーテル等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置の原理図を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】図1に示す軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置の一部の斜視図である。
【図3】本発明の軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置により、チューブ先端部を丸め加工している状態を示す図である。
【図4】軟質樹脂チューブの先端丸め加工の工程を示す図で、(a)→(b)→(c)の順序となる。
【図5】(a)は丸め加工を行う前の軟質樹脂チューブの先端部を示し、(b)は丸め加工を行った後の軟質樹脂チューブの先端部を示す図である。
【図6】本発明に係る軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置の実施形態を示す正面図である。
【図7】本発明に係る軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置
10 研磨手段
12 従動ローラ
14 駆動ローラ
16 無端ベルト
16a 研磨材
20 台座
30 チューブ保持手段
40 軟質樹脂チューブ
Claims (3)
- 複数個の回転部材及びこれら回転部材間に巻き掛けられ表面に研磨材が配置された無端ベルトとを有し、前記回転部材が回転駆動されると前記無端ベルトの上面が直線的に水平移動するように構成された研磨手段と、
該研磨手段を支持するとともに、前記無端ベルトのほぼ垂直中心点を回転中心軸として前記研磨手段と一体に回転する台座と、
前記研磨手段の上方に配置され、軟質樹脂チューブを保持して上昇下降し、チューブの先端部を前記研磨手段の無端ベルト上面に当接・離間させるチューブ保持手段と
を備えたことを特徴とする軟質樹脂チューブの先端丸め加工装置。 - 表面に研磨材が配置された無端ベルトを回転部材間に巻き掛けて、無端ベルトの上面が直線的に水平移動するように回転させるとともに、該無端ベルトをそのほぼ垂直中心点を回転中心軸とし回転させ、その状態で軟質樹脂チューブの先端部を無端ベルトの上面に押し付けた後、徐々に引き上げていくことにより軟質樹脂チューブの先端部を丸め加工するようにしたことを特徴とする軟質樹脂チューブの先端丸め加工方法。
- 前記徐々に引き上げる速度は、0.1mm〜1.0mm/secの範囲とすることを特徴とする請求項2記載の軟質樹脂チューブの先端丸め加工方法。
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