JP3570357B2 - 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3570357B2
JP3570357B2 JP2000250791A JP2000250791A JP3570357B2 JP 3570357 B2 JP3570357 B2 JP 3570357B2 JP 2000250791 A JP2000250791 A JP 2000250791A JP 2000250791 A JP2000250791 A JP 2000250791A JP 3570357 B2 JP3570357 B2 JP 3570357B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
movable member
housing
pump
drive shaft
pump chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000250791A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001099052A (ja
Inventor
清治 早川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2000250791A priority Critical patent/JP3570357B2/ja
Publication of JP2001099052A publication Critical patent/JP2001099052A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3570357B2 publication Critical patent/JP3570357B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Reciprocating Pumps (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置に関するものであり、特にハウジングとそれに摺動可能に嵌合された可動部材とにより形成される容積可変のポンプ室を備えたポンプと、そのポンプと共に駆動装置を含む駆動装置付ポンプおよびそのポンプを備えるインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平3─5160号公報にこの種のポンプの一種であるインク吸引ポンプが記載されている。このインク吸引ポンプは、インクジェット記録装置においてインクジェットヘッドの吐出口やインク液室からインクを吸引するポンプであり、図6,7に示すように、筒状のハウジング300とその内部に液密かつ摺動可能に嵌合された可動部材としての1個のピストン302とを備え、それらハウジング300とピストン302とにより容積可変のポンプ室304が形成されたものである。
【0003】
この吸引ポンプにより吸引が行われる場合には、まず、駆動軸308が図示しない移動装置により図の右方へ移動させられる。ピストン302に形成された吐出口310が、駆動軸308と一体の第一頭部312によって塞がれるとともに、その第一頭部312によってピストン302が右方へ移動させられる。駆動軸308の移動に伴ってポンプ室304の容積が増加し、ポンプ室304の圧力が低下する。ハウジング300に形成された吸入口316がポンプ室304に開放されると、吸入口316からインクが吸入される。
【0004】
次に、図7に示すように駆動軸308が左方へ移動させられる。第二頭部318がピストン302の端面320に当接する一方、第一頭部312が端面322から離間し、吐出口310がポンプ室304に開放される。ピストン302は、第二頭部318によって左方へ移動させられ、それに伴って、ポンプ室304の容積が減少し、ポンプ室304に吸入されたインクが吐出口310から吐出される。
【0005】
このように、本インク吸引ポンプにおいては、吸入口316がピストン302によって開閉され、吐出口310が駆動軸308と一体の第一頭部312によって開閉されるため、インクによって開閉される吸入弁,吐出弁による場合に比較して吸入口,吐出口の開閉が確実に行われる。しかも、ポンプ室304の容積を変化させるためのピストン302および第一頭部312によって吸入口316および吐出口310が開閉されるため、専用の弁駆動装置が不要であって、構成が簡単である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このインク吸引ポンプには、吸入口316がピストン302によって開閉され、吐出口310の開閉が駆動軸308と一体の第一頭部312によって行われることによって不可避的に生じる欠点がある。ポンプ室304に吸入されたインクの一部が吸入口316から逆流することを避け得ないことがその一例である。上述のように、吐出時には、図6に示す状態から駆動軸308が左方へ移動させられ、第一頭部312が端面322から離間させられることによって吐出口310が開放される。しかし、この吐出口310が開放される時点には、吸入口316も開放されている。そして、吸入口316が開放されたまま、駆動軸308が左方へ移動させられ、ポンプ室304の容積が減少させられるため、吸入口316が閉じられるまではポンプ室304のインクの一部が、吸入口316から逆流するのである。
【0007】
また、このインク吸引ポンプには、吐出終了時におけるポンプ室304の容積を十分小さくすることができないという欠点もある。吐出終了時のポンプ室304の容積を、吐出口310が開放された状態における第一頭部312とピストン302の端面322との距離d(バルブリフト量と称する)に相当する大きさ、すなわちポンプ室304の断面積と距離dとの積より小さくすることができないからである。上述のように、吐出口310の開閉は、駆動軸308の第一頭部312が端面322に対して当接,離間させられることによって行われるようになっており、ピストン302は、駆動軸308の第二頭部318によって端面320側から押されることによって、左方へ移動させられるようになっている。そのためには、駆動軸308の第一頭部312と第二頭部318との間の長さを、ピストン302の端面320,322間の長さよりバルブリフト量dだけ長くしなければならない。したがって、駆動軸308が最も左端まで移動させられても、ピストン302の端面322と第一頭部312(ハウジング300の底部と見なすことができる)との間には、上述のバルブリフト量dに相当する隙間dが残ることを避け得ず、吐出されないでポンプ室内に残るインクの量(吐出残量と称する)が多くなるのである。
【0008】
このインク吸引ポンプは他の液体や気体(流体と総称する)を吸引するポンプとしては勿論、流体を圧送するポンプとしても利用可能であり、上記例示の欠点はそれらの場合にも同様に発生する。第一発明ないし第六発明は、以上の事情を背景として、吸入口,吐出口の開閉が確実に行われ、しかも専用の弁駆動装置が不要であって構成が簡単であるという特開平3─5160号公報に記載のポンプの長所を維持しつつ、ポンプ室の流体の吸入口への逆流や、吐出残量の低減困難等の欠点を除去もしくは低減することが可能な駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置を得ることを課題としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第一発明においては、筒状のハウジングとその内部に液密かつ摺動可能に嵌合された可動部材とを備え、それらハウジングと可動部材とにより容積可変のポンプ室が形成される形式のポンプにおいて、前記ハウジングが筒状を成し、吸入口と吐出口とがハウジングの軸方向に離れて形成され、前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも一対互いに対向して設けられ、その一対の可動部材の間に前記ポンプ室が形成されるとともに、前記吸入口および吐出口がその一対の可動部材の各々により開閉される位置に設けられ、前記一対の可動部材にそれぞれ駆動軸が連結されるとともに、一方の前記可動部材に連結された駆動軸が他方の前記可動部材を通って前記両駆動軸とも前記ハウジングの同じ側の端部にそれぞれ延び出されその延び出された部分にそれぞれカムフォロワが設けられ、前記両駆動軸の各カムフォロワが、1つの駆動源によって駆動される各カム部にそれぞれ係合され、前記一対の可動部材がそれに対応する各カム部によってそれぞれ駆動される。
【0010】
このように第一発明においては、少なくとも一対の可動部材を備えている。そして、各一対の可動部材の間にポンプ室が形成される。各一対の可動部材同士が互いに離間させられれば、これらの間に形成されるポンプ室の容積が増加させられ、互いに接近させられれば、ポンプ室の容積が減少させられる。また、ポンプ室の吸入口および吐出口が、ハウジングに形成され、可動部材の各々によって開閉される。すなわち、従来のポンプのように、吐出口が可動部材に形成され、駆動軸によって開閉されるわけではないから、吸入口が開放された状態においてはポンプ室の容積が減少しないようにすることができる。また、理論上、可動部材同士を吐出口近傍で互いに当接するまで接近させることも可能である。
【0011】
そして、各可動部材に連結された駆動軸が、それぞれ前記ハウジングの同じ側の端部から延び出され、各カムとそれぞれ係合され、それらカムを一体的に駆動する1つの駆動源によって、それぞれ駆動される。可動部材の各々の移動速度の変化をカムに形成されるカム部の形状によって決めることが可能であり、通常の電動モータ等等速回転駆動源を駆動源として使用し得る。
【0012】
また第二発明は、前記他方の可動部材に連結された駆動軸は、円筒状をなし、その内部に前記一方の可動部材に連結された駆動軸を嵌合している。
【0013】
第三発明においては、筒状のハウジングとその内部に液密かつ摺動可能に嵌合された可動部材とを備え、それらハウジングと可動部材とにより容積可変のポンプ室が形成される形式のポンプであって、前記ハウジングが筒状を成し、吸入口と吐出口とがハウジングの軸方向に離れて形成され、前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも一対互いに対向して設けられ、その一対の可動部材の間に前記ポンプ室が形成されるとともに、前記吸入口および吐出口がその一対の可動部材の各々により開閉される位置に設けられ、前記対の可動部材の一方が駆動軸に相対移動不能に固定され、他方の可動部材の内周に前記駆動軸が相対移動可能に嵌合され、前記他方の可動部材の外周面と前記ハウジングの内周面との間の摩擦力は、前記他方の可動部材の内周面と駆動軸の外周面との間の摩擦力より大きくされており、前記駆動軸において前記他方の可動部材の前記一方の可動部材とは反対側にストッパが設けられ、前記ストッパが前記他方の可動部材に当接するまで前記一方の可動部材のみが前記ポンプ室の容積を増加するように移動されその後両可動部材が一体的に移動される方向と、前記一方の可動部材のみが前記ポンプ室の容積を減少するように移動されその後前記他方の可動部材と一体的に移動される方向とに、前記駆動軸を駆動する1つの駆動源からなる駆動装置を備える。
【0014】
第三発明は、第一発明と同様に、吸入口が開放された状態においてはポンプ室の容積が減少しないようにすることができ、かつポンプ室に吸入された流体の殆ど全部が吐出されるようにすることができる。さらに、1つの駆動軸で対の可動部材をそれぞれ駆動でき、したがって、1つの駆動源で駆動できる。
【0015】
第四発明は、ノズルからインクを噴射して画像形成を行うインク噴射ヘッドと、そのインク噴射ヘッドのノズルを覆うことが可能なキャップと、そのキャップに接続されキャップがノズルを覆った状態でノズルからインクを吸引し廃インクタンクに廃出する駆動装置付きポンプとを備えるインクジェット記録装置において、前記駆動装置付きポンプとして第一発明の駆動装置付きポンプを用いる。
【0016】
第五発明は、ノズルからインクを噴射して画像形成を行うインク噴射ヘッドと、そのインク噴射ヘッドのノズルを覆うことが可能なキャップと、そのキャップに接続されキャップがノズルを覆った状態でノズルからインクを吸引し廃インクタンクに廃出する駆動装置付きポンプとを備えるインクジェット記録装置において、前記駆動装置付きポンプとして第三発明の駆動装置付きポンプを用いる。
【0017】
第六発明は、第四または第五発明において、前記駆動装置は、少なくとも前記吸入口がポンプ室に開放されている間は、前記少なくとも一対の可動部材の各対の可動部材の各々とハウジングとをポンプ室の容積が減少しない状態を保ちつつ相対移動させる。このように、一対の可動部材の各々を、一方の可動部材が吸入口を閉じるまでは、両可動部材が一定の距離を保つか、あるいは互いに離間するように移動させることで、吸入口が閉じられるまではポンプ室の容積が減少することがなく、ポンプ室に吸入された流体が吸入口から逆流しない。また、吐出終了時にはそれら可動部材が互いに当接するように両可動部材を移動させれば、ポンプ室の容積を極めて小さく、あるいは実質的に0にすることが可能であり、ポンプ室に吸入された流体の殆ど全部が吐出されるようにすることができる。
【0018】
【実施例】
第一、第二、第四および第六発明に共通の一実施例である駆動装置付き吸引ポンプを備えたインクジェット記録装置を図面に基づいて詳細に説明する。図1において、10はプラテンである。このプラテン10は軸方向に延びた円筒状を成したものであり、図示しない軸を介してフレーム12に矢印A方向に回転可能に取り付けられている。プラテン10に対向してインク噴射ヘッド14が設けられている。
【0019】
インク噴射ヘッド14は、キャリッジ16上に載置されている。キャリッジ16は、プラテン10の中心線に平行に配設されたガイドロッド20に摺動可能に支持されるとともに、一対のプーリ22,24に巻付けられたタイミングベルト26に係合させられている。一方のプーリ22がキャリッジ駆動モータ28によって回転させられ、タイミングベルト26が送られることによりキャリッジ16は、プラテン10に沿って矢印B方向に移動させられる。インク噴射ヘッド14は、記録時には、予め定められた記録範囲内において往復動させられるが、記録が終了すれば、図示する非記録位置に移動させられるようになっている。
【0020】
インク噴射ヘッド14は、図示しない多数個のインク流路と、それらインク流路に対応して設けられた多数個のノズルを含むものである。インク流路には、フレーム12に固定され、あるいはキャリッジ16に載置された図示しないインク供給装置からインクが供給される。インク流路の壁は振動板によって形成され、その振動板が後述する制御装置30の指令に基づいて図示しない駆動回路により変形させられると、その変形に起因する圧力変化によりインクがノズルから噴射される。したがって、振動板は記録データに基づいて変形させられ、インク流路に供給されたインクは、記録データに基づいて決められたノズルから噴射されることになる。インクは、プラテン10とインク噴射ヘッド14との間に供給される記録用紙32に、キャリッジ16の移動に伴って噴射され、それにより1行分の画像が形成される。1行分の画像形成が終了したならば、プラテン10の回転により記録用紙32が1行分送られ、再び1行分の画像の形成が行われる。この繰返しにより、記録用紙32全体の画像形成が行われる。記録用紙32は、フレーム12の後方の図示しない用紙供給口から矢印C方向に供給され、プラテン10の回転によって矢印D方向に送られ、図示しない用紙排出口から排出される。
【0021】
非記録位置にあるインク噴射ヘッド14に対向する位置にはキャップ装置34が設けられている。キャップ装置34はプラテン10の一端の側方に設けられており、インク噴射ヘッド14に対向する位置にキャップゴム36を備えている。キャップゴム36の中央部には、幅1.5mm×長さ20mm×深さ1mmの大きさの窪み37が形成されている。この窪み37を囲むキャップゴム36の先端面が、インク噴射ヘッド14の先端面のノズル列を囲む部分に密着することによって、ノズル列が気密に覆われる。以下、単に、ノズルが覆われると称することにする。また、窪み37の底面には孔が形成されており、キャップ装置34の本体に形成された図示しないインク通路に接続されている。インク通路は、吸引ポンプ38に吸引チューブ40によって接続されている。
【0022】
キャップ装置34は、矢印E方向に移動可能とされている。常には、後方の退避位置にあるが、記録終了後にインク噴射ヘッド14が記録終了位置から非記録位置に移動させられると、それに連動して前進させられるようになっている。本実施例においては、インク噴射ヘッド14が記録終了位置から非記録位置に移動させられると図示しないクラッチが接続され、キャップ装置34が駆動モータ28の駆動により前進させられるようになっているのである。同様に、記録開始時にインク噴射ヘッド14が非記録位置から記録開始位置(記録終了位置と同じ)に移動させられると、それに連動してキャップ装置34が後退させられる。したがって、インク噴射ヘッド14が非記録位置にある間には、キャップ装置34は前進位置にあり、キャップゴム36がノズルを覆う状態にある。
【0023】
一方、プラテン10とキャップ装置34との間には、ワイパブレード44が移動装置により矢印F方向に移動可能に取り付けられている。ワイパブレード44は、F方向に延びた平板状を成した可撓性部材であり、矢印G方向に撓み易くなっている。常には、後方の退避位置にあるが、記録終了時には、ワイパ駆動モータ46(図3参照)の駆動により前進させられる。その後、インク噴射ヘッド14の記録終了位置から非記録位置への移動に伴って、ワイパブレード44が撓められながらノズル先端部に摺接することによって、先端面が拭われることになる。ワイパブレード44は、所定時間経過後に後退位置に戻される。同様に、記録開始時にも前進させられ、インク噴射ヘッド14の非記録位置から記録開始位置への移動に伴ってノズル先端面が拭われる。
【0024】
前記吸引ポンプ38には、吸引チューブ40の他に吐出チューブ48が接続されており、その吐出チューブ48が吸着体50が収容された廃インクタンク52に接続されている。したがって、吸引ポンプ38によって、吸引されたノズル内のインクは、吐出チューブ48を経て廃インクタンク52内の吸着材50に吸着される。
【0025】
吸引ポンプ38は、図2に示すように、駆動装置54と共に駆動装置付吸引ポンプ56を構成しており、この駆動装置付吸引ポンプ56が前記キャップ装置34,キャップ装置34を進退させるキャップ装置移動装置および吸引チューブ40等と共に吸引装置58を構成している。吸引ポンプ38は、軸方向に真っ直ぐに延びた円筒状の本体60と、その本体60の内部に本体60に対して軸方向に相対移動可能に嵌合された一対の可動部材としてのピストン62,64とを備えている。本実施例においては、本体60が固定され、ピストン62,64が移動させられることによって、ピストン62,64と本体60とが相対移動させられるようになっている。
【0026】
本体60の中間部には、吸入口66と吐出口68とが軸方向、すなわち、ピストン62,64の移動方向に隔たった位置に設けられている。吸入口66には、吸引チューブ40が接続され、吐出口68には、吐出チューブ48が接続される。吸入口66および吐出口68は、図には、1個の孔として記載されているが、実際には、それぞれ周方向に並んだ複数個の小孔から成っている。また、ハウジング60の内部には、ピストン62,64が対向して配設され、これらの間にポンプ室69が形成される。また、ピストン62,64は、それぞれ、駆動軸70,72に嵌合され、駆動軸70,72は、ハウジング60と同軸に配設されている。
【0027】
駆動軸70の一端部78は中空の駆動軸72の内部に相対移動可能に配設され、その一端部78より小径の他端部80はハウジング60の端壁81に形成されボス部82内の貫通孔83に摺動可能に嵌合されている。貫通孔83はボス部82の中央部に、ハウジング60の中心線と平行に形成されている。したがって、駆動軸70の軸方向の移動が貫通孔83によってガイドされることになり、ボス部82によってガイド部が構成されることになる。
【0028】
一端部78には、カムフォロワ86が固定され、後述するカム88のカム溝90に嵌合されている。また、他端部80には、2個のフランジ92,93が設けられ、フランジ92,93の間に前記ピストン62が嵌合されている。ピストン62は、ニトリルゴム(NBR)等のゴム状弾性材によって成形された円筒状を成したものである。軸方向の両端部付近には、外径がハウジング60の内径より大径の環状の大径部94,95が形成されている。大径部94,95が設けられているのは、ピストン62の外周面とハウジング60の内周面との間を液密に保つためである。ピストン62の内径は他端部80の外径より多少大きくされ、軸方向の長さは、フランジ92,93間の距離より多少長く、端面96には円環状の溝98が形成されている。
【0029】
溝98が形成されているのは、ピストン62の駆動軸70への嵌合を容易にするためである。ピストン62を駆動軸70に嵌め込む場合には、ピストン62の内径を広げながら比較的小径で一端部に丸みが付けられたフランジ92側から挿入することになるが、この場合に溝98の幅を狭めれば、フランジ92の通過が容易になる。ピストン62の内径が他端部80の外径より大きくされているのも、ピストン62の駆動軸70への嵌合を容易にするためである。また、ピストン62の軸方向の長さがフランジ92,93の間の距離より長いのは、ピストン62と駆動軸70との間を液密に保つためである。ピストン62がフランジ92,93間に嵌合された状態においては、ピストン62の溝98より内周側の部分が、軸方向に圧縮され、フランジ92,93に弾性的に当接させられることになる。なお、ピストン62は、駆動軸70の2個のフランジ92,93に挟まれた状態となるため、駆動軸70に対して軸方向に移動不能となる。
【0030】
駆動軸72は、概して円筒状を成しており、内部には、上述のように、駆動軸70が半径方向の隙間を残して嵌合されている。駆動軸72は、一端部が環状に半径方向外向きに延び出した環状のフック99とされ、中間部は、駆動軸70と同様に、ハウジング60の端壁100に設けられたボス部101に摺動可能に支持されている。また、他端部にはカムフォロワ102が固定され、前記カム88のカム溝104に嵌合されている。フック99の近傍には、フランジ106が設けられている。
【0031】
ピストン64は、ピストン62と同様にニトリルゴムによって成形された円筒状部材である。軸方向の両端部には、環状の大径部110,112が形成されてハウジング60に液密に嵌合される一方、内径は駆動軸70の一端部78の外径より僅かに小さくされている。ピストン64には、また、形状が前記フック99とほぼ同じで、フック99より若干大きい環状の溝114が形成されており、この溝114がフック99に引っかけられることによって駆動軸72に嵌合される。この状態ではピストン64の内周部がフック99とフランジ106とにより軸方向の両側から挟まれ、ピストン64が駆動軸72に対して軸方向に移動不能となる。なお、内径が一端部78の外径より小さくされているため、ピストン64と駆動軸70との間の液密が保持される。
【0032】
以上の説明から明らかなように、ピストン62,64とハウジング60の内周面との間が共に液密に保たれ、かつ、ピストン62,64と駆動軸70との間も液密に保たれため、前記ピストン62,64間に形成されたポンプ室69は大気に開放されたピストン62と端壁81との間の大気圧室118、ピストン64と端壁100との間の大気圧室122から完全に遮断されることになる。
【0033】
駆動軸70の一端部78の、駆動軸72のカムフォロワ102が固定される部分付近には、軸方向に延びた長穴126が形成され、カムフォロワ102の軸がガイド軸128として貫通している。これにより、カムフォロワ86とカム溝90との摩擦力によって駆動軸70を図2の面に直角な方向へ移動させようとする力は、ガイド軸128と長穴126の内面との接触により駆動軸72に伝達され、さらに駆動軸72からハウジング60に伝達される。ハウジング60は固定されているため、前記伝達された力が吸引装置58に悪影響を与えることが回避される。
【0034】
駆動装置54は、上述の駆動軸70,72、カムフォロワ86,102、カム溝90,104が形成されたカム88および駆動源としての電動モータであるポンプ駆動モータ130等を備えている。カム88がカム軸回りにポンプ駆動モータ130の駆動により回転させられると、カムフォロワ86,102と駆動軸70,72とがカム溝90,104の作用により駆動軸70,72の軸方向に移動させられ、これら駆動軸70,72と共にピストン62,64が移動させられるのである。カム溝90,104は、ピストン62,64が後述するように移動させられるように形成されている。カム溝90,104が形成されたカム88は、電動モータ130の回転を軸方向の直線運動に変換する運動変換機能と、ピストン62,60の移動速度を決定する速度決定機能との両方を備えることになる。
【0035】
上記ポンプ駆動モータ130と、前記キャリッジ駆動モータ28およびワイパ駆動モータ46とは、当該インクジェット記録装置の制御装置30により駆動回路を介して制御される。制御装置30は、CPU132,RAM133,ROM134,入力部135,出力部136等を備えたものであり、インクジェット記録装置全体の作動を制御するものであるが、図3には、吸引ポンプ38の作動に関連する部分のみが記載されている。
【0036】
RAM133には、記録すべき記録データが格納される記録データメモリが設けられ、ROM134のプログラムメモリには、吸引作動プログラム等が格納されている。また、入力部135には、吸引スイッチ140,141等各種スイッチが接続されるとともに図示しない記録データ入力手段が接続されている。また、出力部136には、キャリッジ駆動モータ28,ポンプ駆動モータ130,ワイパ駆動モータ46を制御する駆動回路142,143,144等が接続されるとともにインク噴射ヘッド14の振動板を制御する図示しない駆動回路等が接続されている。
【0037】
以上のように構成されたインクジェット記録装置における作動について説明する。本インクジェット記録装置において、通常は、インク噴射ヘッド14は、ノズルがキャップゴム36に覆われた状態で非記録位置にある。記録データが入力されると記録が行われる。記録用紙32が、プラテン10とインク噴射ヘッド14との間に供給される。ワイパ駆動モータ46が駆動され、それによりワイパブレード44が前進させられる。また、キャリッジ駆動モータ28の作動によりインク噴射ヘッド14が非記録位置から記録開始位置に移動させられ、それと同時に、キャップ装置34が後退させられる。その結果、インク噴射ヘッド14が、ノズルの先端部がワイパブレード44によって拭われた後、記録開始位置に移動させられることになる。インク噴射ヘッド14が、記録データに基づいてインクを噴射しつつ記録範囲内において往復動させられることによって、記録用紙32上に所望の画像が形成される。
【0038】
RAM133の記録データメモリに記録すべき記録データがなくなり、記録が終了すると、ワイパブレード44が前進させられ、インク噴射ヘッド14が記録終了位置から非記録位置に移動させられ、キャップ装置34が前進させられる。その結果、ノズルの先端部がワイパブレード44によって拭われた後、ノズルがキャップゴム36によって覆われることになる。このように、ノズルがキャップゴム36によって覆われれば、使用しない間にノズル先端部が乾燥することが回避される。
【0039】
インク噴射ヘッド14が非記録位置にあり、ノズルがキャップゴム36によって覆われた状態にある間に、吸引スイッチ140が操作されれば、吸引作動プログラムが実行され、ポンプ駆動モータ130が制御される。本実施例においては、ポンプ駆動モータ130は、吸引、吐出が1回行われる間駆動されるようになっている。一方、吸引スイッチ141が操作されれば、吸引,吐出が複数回行われるようになっている。
【0040】
吸引スイッチ140,141は、インク噴射不良が生じた場合,メンテナンスを行う場合等インクを吸引する必要がある場合に操作されるスイッチである。吸引スイッチ141は、吸引スイッチ140の操作による吸引では、インク噴射不良が直らなかった場合,インク供給装置のインクカートリッジが交換された場合等インクを多量に吸引する必要がある場合に操作される。ノズルに気泡,塵等が溜まることが原因で噴射不良が生じた場合には、通常、吸引スイッチ140が操作される。以下、駆動装置付吸引ポンプ56の作動について説明する。
【0041】
駆動装置付吸引ポンプ56の吸引ポンプ38において、通常は、ピストン62,64は、図4の(A)に示す位置にある。ピストン62が吸入口66より図における左側にあり、ピストン64がフランジ93に当接する位置にある。また、吐出口68はピストン64の外周面(厳密には大径部110,112)によって塞がれている。
【0042】
ポンプ駆動モータ130の作動によりカム88が回転させられる。(B)に示すように、ピストン64のみが右方へ移動させられ、ピストン62は静止したままに保たれてポンプ室69の容積が増大させられる。ポンプ室69が負圧になり、ノズル内のインクが吸引され、吸入口66からポンプ室69に吸入される。厳密にいえば、インクは、キャップゴム36の窪み37内の空気が吸入された後に吸入される。ピストン64の右方への移動に伴って、ポンプ室69の容積が増大させられる間、インクの吸入が継続される。
【0043】
ポンプ室69の容積が(C)に示す大きさになると、ピストン62がピストン64と共に同じ速度で右方へ移動させられる。ポンプ室69の容積が一定に保たれたままでピストン62,64が移動させられるのである。この間においても、ポンプ室69が大気圧になるまでインクは吸引され、吸入口66からポンプ室69に流入する。ピストン62,64の移動速度が非常に遅い場合には、ポンプ室69の容積の増大に伴う吸入口66からのインクおよび空気の流入によって、ポンプ室69の圧力を常に大気圧に保つことも可能であるが、本実施例においては、ピストン62,64がポンプ室69の圧力がインク等の流入により大気圧に戻るより早く移動させられる。そのため、ポンプ室69が、容積の増加に伴って負圧にされ、ポンプ室69の容積が一定に保たれている間においても、インクが吸引され、吸入口66からポンプ室69に流入するのである。
【0044】
(D)に示すように、吐出口68が開放され、吸入口66が塞がれると、ピストン64の移動が停止させられ、ピストン62のみが右方へ移動させられる。ポンプ室69の容積が減少させられ、それに伴ってポンプ室69に吸入されたインクが吐出口68から吐出される。インクは、吐出チューブ48を経て廃インクタンク52に排出される。
【0045】
本実施例においては、吸入口66が開放されている間は、ポンプ室69の容積が一定に保たれ、吸入口66が塞がれて吐出口68が開放された後、容積が減少させられる。そのため、吸入口66からインクが逆流することが回避される。本実施例の駆動装置付吸引ポンプ56においては、一対のピストン62,64が設けられ、かつ、ピストン62,64が各々別個に移動させられるため、ピストン62,64間に形成されるポンプ室69の容積をインクが逆流しないように変化させることができるのである。
【0046】
また、ピストン62は、(E)に示すように、フランジ93が吐出口68の右縁にあるピストン64に当接するまで移動させられる。この場合には、ポンプ室69の容積はフランジ93の外周に形成される環状の空間に対応する大きさとなり、非常に小さい。このように、ポンプ室69の容積を非常に小さくできるのは、吸引ポンプ38が2個のピストン62,64を備えており、吐出口68近傍でこれらを当接させることができるからである。なお、フランジ93の外径をハウジング60の内径とほぼ同じにすれば、吐出終了時のポンプ室69の容積を殆ど0にすることができ、理論的には0にすることが可能である。以上の作動の後、(F)に示すように、ピストン62,64は共に左方へ移動させられ、(A)に示す状態に戻される。
【0047】
このように、本実施例によれば、ピストン62,64を2個備えた吸引ポンプ38によって、ノズル内に溜まった気泡,塵等をインクと共に吸引して良好に排除することができ、インクの噴射不良等を解消することができる。また、一旦吸入口66からポンプ室69に吸入されたインクが逆流することを回避することができるため、逆流防止用の弁を設ける必要がなくなり、その分、部品点数を減らし得、コストダウンを図ることができる。さらに、吐出終了時にポンプ室69の容積を非常に小さくすることができるため、吸引されたインクおよび空気の殆どすべてをポンプ室69から吐出させることができる。吐出終了時のポンプ室69の容積が十分に小さくできず、空気を完全に排出することができない場合には、次にインクを吸入する際、ポンプ室69内の負圧の高まりを妨げ、インクの吸引能力を低下させるのであるが、本実施例においてはこの不都合を良好に回避することができるのである。
【0048】
また、本実施例においては、駆動装置54が、2個のカム溝90,104が形成されたカム88を含むものであるため、2個のピストン62,64を移動させるのに、カム88およびポンプ駆動モータ130が1個で済み、その分コストダウンを図ることができる。
【0049】
なお、上記実施例においては、(C)に示す状態から(D)に示す状態まではピストン62,64がポンプ室69の容積を一定に保って移動させられるようになっていたが、ポンプ室69の容積が増大するように移動させられるようにしてもよい。そのためには、カム溝90,104の少なくとも一方の形状を変えればよい。吸引口66がポンプ室69に開放されている間には、ポンプ室69の容積が増大させられるようにすれば、インクの逆流を一層確実に回避することができる。
【0050】
また、上記実施例においては、インク噴射ヘッド14のノズル先端部が、ワイパブレード44によって、記録開始時と、終了時との両方において拭われるようになっていたが、いずれか一方においてのみ拭われるようにしてもよい。さらに、使用者がワイピングさせるための操作ボタンを押下することによって、ワイパ駆動モータ46の駆動が行われるようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施例においては、ハウジング60が固定され、ピストン62,64が移動させられるようになっていたが、ピストン62,64のいずれか一方が固定され、ピストン62,64の他方とハウジング60とが移動させられるようにし、あるいはピストン62,64の両方とハウジング60とが移動させられるようにしても、同様の目的を達することができる。
【0052】
また、ピストン62,64の材質は、ニトリルゴム以外のゴム状弾性材であってもよい。さらに、ピストン62,64や駆動軸70,72の形状も、上記実施例に限らず、他の形状であってもよい。また、駆動装置54を、カム溝等のカム部がそれぞれ1個ずつ形成された2個のカムを含む駆動装置や、ポンプ駆動モータを2個含む駆動装置に変更することも可能である。さらに、運動変換装置は、ねじ機構を利用するもの等他の態様のものであってもよい。
【0053】
次に、第三発明、第五および第六発明に共通の一実施例としての駆動装置付き吸引ポンプを図5に基づいて説明する。この駆動装置付吸引ポンプは、ねじ機構を利用した運動変換装置を備えたものである。駆動装置付吸引ポンプは、ハウジング60,ピストン154,156を含む吸引ポンプ158と、1個の駆動軸160,ポンプ駆動モータ161,図示しないねじ機構を利用する運動変換装置等を含む駆動装置162とを備えたものである。ポンプ駆動モータ161はキャリッジ駆動モータ28等と共に、制御装置163により図示しない駆動回路を介して制御される。
【0054】
吸引ポンプ158において、吸入口66,吐出口68を有するハウジング60の内部には、2個のピストン154,156が対向して配設され、これらの間にポンプ室164が形成されている。ピストン154は駆動軸160の中間部に固定され、駆動軸160と一体的に軸方向に移動させられるようになっている。それに対してピストン156は、駆動軸160に対して液密かつ相対移動可能に嵌合されている。また、ピストン156の外周面とハウジング60の内周面との間の摩擦力は、ピストン156の内周面と駆動軸160の外周面との間の摩擦力より大きくされており、駆動軸160の移動に伴って、ピストン156が移動させられないようになっている。駆動軸160の、ピストン156に対してピストン154とは反対側の部分(図示の例では先端部)にはストッパ166が設けられている。
【0055】
ピストン154,156は、上記実施例におけるピストン62,64と同様に、ニトリルゴムによって成形された円筒状を成したものであり、ハウジング60の内周面との間が液密に保たれている。その結果、ポンプ室164は、ピストン156の左側の大気圧室やピストン154の右側の大気圧室から完全に遮断されている。
【0056】
駆動装置162において、ポンプ駆動モータ161の回転が、ねじとナットとを含むねじ機構によって軸方向の移動に変換され、それによって駆動軸160が移動させられる。また、制御装置163の入力部には、上述の吸引スイッチ140,141等の他に光電センサ168,170が接続され、出力部には、ポンプ駆動モータ161を駆動する図示しない駆動回路等が接続されている。
【0057】
光電センサ168,170は、駆動軸160の位置を検出する位置センサであり、駆動装置付吸引ポンプのフレーム172に固定されている。光電センサ168,170はそれぞれ発光部と受光部とを備えた透過型のセンサであり、発光部から発射された光が、駆動軸160に設けられたドグ174によって遮られ、受光部に受光されなくなることによって、ドグ174を検出するものである。
【0058】
ドグ174が光電センサ168によって検出されれば、駆動軸160が左端にあり、ピストン154,156が左端にあることが判り、光電センサ170によって検出されれば、駆動軸160が右端にあり、ピストン156の右側端面176が吐出口68の左縁の位置にあることが判る。
【0059】
吸引スイッチ140が操作されると、ポンプ駆動モータ161は、駆動軸160を右方へ移動させる方向に回転させられる。そして、ドグ174が光電センサ170によって検出されると、回転方向が逆にされる。駆動軸160を左方へ移動させる方向に回転させられるのである。ドグ174が光電センサ168によって検出されると、回転が停止させられる。これによって、駆動軸160が軸方向に一往復動させられ、一回の吸引,吐出が行われる。
【0060】
以下、この吸引,吐出を説明する。通常、ピストン154,156は、図5の(A)に示すように、ハウジング60の左端付近にある。ポンプ駆動モータ161が回転させられると、(B)に示すように、駆動軸160が右方へ移動させられる。駆動軸160の移動に伴ってピストン154のみが右方へ移動させられるが、ピストン156は静止したままである。その結果、ピストン154,156の間に形成されるポンプ室164の容積が増加してポンプ室164内が負圧になる。その後、ストッパ166がピストン156に当接させられると、ピストン156は、ピストン154と一体的に移動させられる。ピストン154,156が一体的に移動させられれば、ポンプ室164の容積は一定に保たれる。
【0061】
(C)に示すように、ピストン154の左側端面178が吸入口66の左縁より右方に位置すると、吸入口66が開放される。ノズル内のインクが吸引され、吸入口66からポンプ室164に供給される。本実施例においては、吸入口66が、予め負圧にされたポンプ室164に開放されるため、ノズル内のインクが急速に吸引されることになる。したがって、上記実施例における場合より、インクの流速を大きくすることができ、ノズル内に溜まった気泡,塵等を良好に排除することができる。また、その場合に必要なインクの量が少なくて済むという利点もある。
【0062】
さらに、ピストン154,156は、ポンプ室164の容積を一定の大きさに保ちつつ移動させられるが、この間も、ポンプ室164が大気圧に戻されるまで、インクが吸引され、吸入口66からインクが供給される。(D)に示す状態において、吐出口68がポンプ室164に開放されるが、この時点においてはポンプ室164の圧力がほぼ大気圧にあるため、吐出口68からインクが流出したり、流入したりすることは殆どない。
【0063】
(E)に示すように、吸入口66がポンプ室164から遮断され、ピストン156の右側端面176が吐出口68の左縁より右方に位置する状態になった後、駆動軸160が逆方向に移動させられる。(F)に示すように、駆動軸160の左方への移動によってピストン154が左方へ移動させられるが、ピストン156は静止したままである。ピストン154の移動に伴い、ポンプ室164の容積が減少させられ、ポンプ室164内のインクは吐出口68から吐出される。
【0064】
やがて、(G)に示すように、ピストン154の左側端面178がピストン156の右側端面176に当接してポンプ室164の容積は殆ど0になり、ポンプ室164に収容されたインクの殆どすべてが吐出される。その後、駆動軸160の左方への移動に伴いピストン154,156が左方へ移動させられ、(A)に示す状態に戻される。
【0065】
以上のように、本実施例においては、一対のピストン154,156が1個の駆動軸160の移動によってそれぞれ相対移動させられるようになっている。そのため、駆動源としてのポンプ駆動モータ161と、運動変換装置としてのねじ機構が1個で済むという利点がある。また、本実施例においては、駆動軸160にストッパ166が設けられているため、ストッパ166を利用して一対のピストン154,156を、ポンプ室164の容積を正確に一定に保ったまま移動させることができる。
【0066】
なお、本実施例においては、吸入口66がポンプ室164に開放される以前に、ストッパ166がピストン156に当接させられ、ポンプ室164の容積が一定に保たれるようになっていたが、ポンプ室164の容積が増大途中にある時に吸入口66が開放されるようにしてもよい。この場合にも、インクを大きな吸引力で吸引することができる。さらに、(A),(E)ないし(G)に示す状態において、吸入口66がピストン156の外周面によって完全に塞がれた状態とすることもできる。
【0067】
また、本実施例においては、ポンプ駆動モータ161の駆動が光電センサ168,170の出力信号に基づいて制御されるようになっていたが、ポンプ駆動モータがサーボモータ,ステップモータ等回転量の制御が可能な回転駆動装置である場合には、回転量に基づいて制御されるようにすることができる。その場合には光電センサ168,170は不要となる。サーボモータ等を予め決められた回転数だけ一方向に回転させた後、逆方向に同じ数の回転数だけ回転させれば、駆動軸160を決まった距離だけ一往復動させることができる。
【0068】
さらに、運動変換装置を、ねじ機構を利用したものに限らず、ラックアンドピニオン機構,クランク機構等を利用したものとすることができる。クランク機構等を利用するものとした場合には、回転運動が直線往復運動に変換されるとともに駆動軸160の移動範囲が決まるため、ポンプ駆動モータの回転方向を逆にする必要がなく、また、回転量をそれほど正確に制御する必要がなくなる利点がある。また、駆動軸160の位置を検出するセンサは、リミットスイッチ,近接スイッチ等であってもよい。さらに、駆動軸160を手動で移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一から第六発明に共通の一実施例である駆動装置付きポンプを備えたインクジェット記録装置全体の概略図である。
【図2】第一、第二、第四および第六発明の一実施例である駆動装置付きポンプの正面断面図である。
【図3】上記インクジェット記録装置の制御装置のブロック図である。
【図4】上記駆動装置付吸引ポンプの作動を説明するための図である。
【図5】第三、第五および第六発明に共通の実施例である駆動装置付きポンプの構造を概念的に示すとともに、作動を説明するための図である。
【図6】従来のインク吸引ポンプの一例を示す正面断面図である。
【図7】図6のインク吸引ポンプの異なる作動状態を示す正面断面図である。
【符号の説明】
14 インク噴射ヘッド
38,158 吸引ポンプ
54 駆動装置
56 駆動装置付吸引ポンプ
60 ハウジング
66 吸入口
68 吐出口
70,72,160 駆動軸
62,64,154,156 ピストン
86,102 カムフォロワ
69,164 ポンプ室
88 カム
90,104 カム溝
130,161 ポンプ駆動モータ
30,162 制御装置

Claims (6)

  1. 筒状のハウジングとその内部に液密かつ摺動可能に嵌合された可動部材とを備え、それらハウジングと可動部材とにより容積可変のポンプ室が形成される形式のポンプであって、
    前記ハウジングが筒状を成し、吸入口と吐出口とがハウジングの軸方向に離れて形成され、
    前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも一対互いに対向して設けられ、その一対の可動部材の間に前記ポンプ室が形成されるとともに、前記吸入口および吐出口がその一対の可動部材の各々により開閉される位置に設けられ、
    前記一対の可動部材にそれぞれ駆動軸が連結されるとともに、一方の前記可動部材に連結された駆動軸が他方の前記可動部材を通って前記両駆動軸とも前記ハウジングの同じ側の端部にそれぞれ延び出されその延び出された部分にそれぞれカムフォロワが設けられ、
    前記両駆動軸の各カムフォロワが、1つの駆動源によって駆動される各カム部にそれぞれ係合され、前記一対の可動部材がそれに対応する各カム部によってそれぞれ駆動されることを特徴とする駆動装置付きポンプ。
  2. 前記他方の可動部材に連結された駆動軸は、円筒状をなし、その内部に前記一方の可動部材に連結された駆動軸を嵌合していることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置付きポンプ。
  3. 筒状のハウジングとその内部に液密かつ摺動可能に嵌合された可動部材とを備え、それらハウジングと可動部材とにより容積可変のポンプ室が形成される形式のポンプであって、
    前記ハウジングが筒状を成し、吸入口と吐出口とがハウジングの軸方向に離れて形成され、
    前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも一対互いに対向して設けられ、その一対の可動部材の間に前記ポンプ室が形成されるとともに、前記吸入口および吐出口がその一対の可動部材の各々により開閉される位置に設けられ、
    前記対の可動部材の一方が駆動軸に相対移動不能に固定され、他方の可動部材の内周に前記駆動軸が相対移動可能に嵌合され、前記他方の可動部材の外周面と前記ハウジングの内周面との間の摩擦力は、前記他方の可動部材の内周面と駆動軸の外周面との間の摩擦力より大きくされており、
    前記駆動軸において前記他方の可動部材の前記一方の可動部材とは反対側にストッパが設けられ、
    前記ストッパが前記他方の可動部材に当接するまで前記一方の可動部材のみが前記ポンプ室の容積を増加するように移動されその後両可動部材が一体的に移動される方向と、前記一方の可動部材のみが前記ポンプ室の容積を減少するように移動されその後前記他方の可動部材と一体的に移動される方向とに、前記駆動軸を駆動する1つの駆動源からなる駆動装置を備えたことを特徴とする駆動装置付きポンプ。
  4. ノズルからインクを噴射して画像形成を行うインク噴射ヘッドと、そのインク噴射ヘッドのノズルを覆うことが可能なキャップと、そのキャップに接続されキャップがノズルを覆った状態でノズルからインクを吸引し廃インクタンクに廃出する駆動装置付きポンプとを備えるインクジェット記録装置において、
    前記駆動装置付きポンプは、筒状のハウジングと、その内部に液密かつ摺動可能に嵌合された可動部材とを備え、それらハウジングと可動部材とにより容積可変のポンプ室が形成される形式のものであって、
    前記ハウジングが筒状を成し、前記キャップに接続された吸入口と廃インクタンクに接続された吐出口とがハウジングの軸方向に離れて形成され、
    前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも一対互いに対向して設けられ、その一対の可動部材の間に前記ポンプ室が形成されるとともに、前記吸入口および吐出口がその一対の可動部材の各々により開閉される位置に設けられ、
    前記一対の可動部材にそれぞれ駆動軸が連結されるとともに、一方の前記可動部材に連結された駆動軸が他方の前記可動部材を通って前記両駆動軸とも前記ハウジングの同じ側の端部にそれぞれ延び出されその延び出された部分にそれぞれカムフォロワが設けられ、
    前記両駆動軸の各カムフォロワが、1つの駆動源によって駆動される各カム部にそれぞれ係合され、前記一対の可動部材がそれに対応する各カム部によってそれぞれ駆動されることを特徴とする駆動装置付きポンプ。
  5. ノズルからインクを噴射して画像形成を行うインク噴射ヘッドと、そのインク噴射ヘッドのノズルを覆うことが可能なキャップと、そのキャップに接続されキャップがノズルを覆った状態でノズルからインクを吸引し廃インクタンクに廃出する駆動装置付きポンプとを備えるインクジェット記録装置において、
    前記駆動装置付きポンプは、筒状のハウジングと、その内部に液密かつ摺動可能に嵌合された可動部材とを備え、それらハウジングと可動部材とにより容積可変のポンプ室が形成される形式のものであって、
    前記ハウジングが筒状を成し、前記キャップに接続された吸入口と廃インクタンクに接続された吐出口とがハウジングの軸方向に離れて形成され、
    前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも一対互いに対向して設けられ、その一対の可動部材の間に前記ポンプ室が形成されるとともに、前記吸入口および吐出口がその一対の可動部材の各々により開閉される位置に設けられ、
    前記対の可動部材の一方が駆動軸に相対移動不能に固定され、他方の可動部材の内周に前記駆動軸が相対移動可能に嵌合され、前記他方の可動部材の外周面と前記ハウジングの内周面との間の摩擦力は、前記他方の可動部材の内周面と駆動軸の外周面との間の摩擦力より大きくされており、
    前記駆動軸において前記他方の可動部材の前記一方の可動部材とは反対側にストッパが設けられ、
    前記ストッパが前記他方の可動部材に当接するまで前記一方の可動部材のみが前記ポンプ室の容積を増加するように移動されその後両可動部材が一体的に移動される方向と、前記一方の可動部材のみが前記ポンプ室の容積を減少するように移動されその後前記他方の可動部材と一体的に移動される方向とに、前記駆動軸を駆動する1つの駆動源からなる駆動装置を備えたことを特徴とする駆動装置付きポンプ。
  6. 前記駆動装置は、少なくとも前記吸入口がポンプ室に開放されている間は、前記少なくとも一対の可動部材の各対の可動部材の各々とハウジングとをポンプ室の容積が減少しない状態を保ちつつ相対移動させることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のインクジェット記録装置。
JP2000250791A 2000-08-22 2000-08-22 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置 Expired - Lifetime JP3570357B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000250791A JP3570357B2 (ja) 2000-08-22 2000-08-22 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000250791A JP3570357B2 (ja) 2000-08-22 2000-08-22 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06215548A Division JP3129099B2 (ja) 1994-09-09 1994-09-09 駆動装置付ポンプ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001099052A JP2001099052A (ja) 2001-04-10
JP3570357B2 true JP3570357B2 (ja) 2004-09-29

Family

ID=18740307

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000250791A Expired - Lifetime JP3570357B2 (ja) 2000-08-22 2000-08-22 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3570357B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001099052A (ja) 2001-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3129099B2 (ja) 駆動装置付ポンプ
US20130241993A1 (en) Liquid ejection device
JP4285554B2 (ja) チューブポンプ、流体噴射装置、及びチューブポンプの駆動方法
JP4613631B2 (ja) 液体噴射装置及びそのクリーニング方法
KR20060044420A (ko) 잉크 젯 기록 장치
US20120274712A1 (en) Air extraction method for inkjet printhead
JP4617176B2 (ja) インクジェット記録装置
WO2005100031A1 (ja) 液体噴射装置のクリーニング方法及び液体噴射装置
JP3570357B2 (ja) 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置
JP3352665B2 (ja) インクジェット記録装置
JP2004314622A (ja) 液体噴射装置
JP2007090554A (ja) 液体噴射装置
US6086183A (en) Recovery device of an ink jet printer
US5343773A (en) Device for generating and decoupling different movements in cleaning and sealing stations in ink printers
JP3350361B2 (ja) インクジェット記録装置
US5934889A (en) Pump driven by cam having the cylinder supported by the cam shaft
JP4687397B2 (ja) 液体噴射装置およびそのポンプ制御方法
JP4315173B2 (ja) 液体噴射装置
JP2008057474A (ja) チューブポンプ及び液体噴射装置
JP3345231B2 (ja) ポンプ装置およびインク噴射式プリンタのインク噴射ヘッド回復装置
JPH0979136A (ja) ポンプ装置およびインクジェット型プリンタの噴射ヘッド回復装置
JP2834957B2 (ja) インクジェットプリンタ
JP4175412B2 (ja) チューブポンプ及び液体噴射装置
JP3363555B2 (ja) インクジェット装置及びインクジェット装置用ポンプ
JP3233546B2 (ja) インクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20031128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20031224

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040601

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040614

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080702

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090702

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100702

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110702

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120702

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120702

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130702

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term