JP2001099052A - 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置

Info

Publication number
JP2001099052A
JP2001099052A JP2000250791A JP2000250791A JP2001099052A JP 2001099052 A JP2001099052 A JP 2001099052A JP 2000250791 A JP2000250791 A JP 2000250791A JP 2000250791 A JP2000250791 A JP 2000250791A JP 2001099052 A JP2001099052 A JP 2001099052A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
housing
pump
ink
pump chamber
pair
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000250791A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3570357B2 (ja
Inventor
Seiji Hayakawa
清治 早川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2000250791A priority Critical patent/JP3570357B2/ja
Publication of JP2001099052A publication Critical patent/JP2001099052A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3570357B2 publication Critical patent/JP3570357B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reciprocating Pumps (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸引したポンプ室内の流体の逆流を防止する
とともに吐出残量を低減し、また2個のピストンを1つ
の駆動源で駆動することができるポンプを提供する。 【解決手段】 カムの回転で駆動軸72によりピストン
64のみが右側に移動され、ポンプ室69の容積が増大
され、ポンプ室69が負圧になりインクが吸引される。
続いて、駆動軸70によりピストン62がピストン64
と共に右方向に移動されて、吐出口68が開放され、吸
入口66が塞がれると、ピストン64の移動が停止さ
れ、ピストン62のみが右方向へ移動される。これによ
りポンプ室69の容積が減少され、吸入されたインクが
吐出口68から吐出される。ピストン62がピストン6
4に当接した後、ピストン62,64共に左方向へ移動
されて元の位置に戻る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は駆動装置付ポンプおよび
インクジェット記録装置に関するものであり、特にハウ
ジングとそれに摺動可能に嵌合された可動部材とにより
形成される容積可変のポンプ室を備えたポンプと、その
ポンプと共に駆動装置を含む駆動装置付ポンプおよびそ
のポンプを備えるインクジェット記録装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】特開平3─5160号公報にこの種のポ
ンプの一種であるインク吸引ポンプが記載されている。
このインク吸引ポンプは、インクジェット記録装置にお
いてインクジェットヘッドの吐出口やインク液室からイ
ンクを吸引するポンプであり、図6,7に示すように、
筒状のハウジング300とその内部に液密かつ摺動可能
に嵌合された可動部材としての1個のピストン302と
を備え、それらハウジング300とピストン302とに
より容積可変のポンプ室304が形成されたものであ
る。
【0003】この吸引ポンプにより吸引が行われる場合
には、まず、駆動軸308が図示しない移動装置により
図の右方へ移動させられる。ピストン302に形成され
た吐出口310が、駆動軸308と一体の第一頭部31
2によって塞がれるとともに、その第一頭部312によ
ってピストン302が右方へ移動させられる。駆動軸3
08の移動に伴ってポンプ室304の容積が増加し、ポ
ンプ室304の圧力が低下する。ハウジング300に形
成された吸入口316がポンプ室304に開放される
と、吸入口316からインクが吸入される。
【0004】次に、図7に示すように駆動軸308が左
方へ移動させられる。第二頭部318がピストン302
の端面320に当接する一方、第一頭部312が端面3
22から離間し、吐出口310がポンプ室304に開放
される。ピストン302は、第二頭部318によって左
方へ移動させられ、それに伴って、ポンプ室304の容
積が減少し、ポンプ室304に吸入されたインクが吐出
口310から吐出される。
【0005】このように、本インク吸引ポンプにおいて
は、吸入口316がピストン302によって開閉され、
吐出口310が駆動軸308と一体の第一頭部312に
よって開閉されるため、インクによって開閉される吸入
弁,吐出弁による場合に比較して吸入口,吐出口の開閉
が確実に行われる。しかも、ポンプ室304の容積を変
化させるためのピストン302および第一頭部312に
よって吸入口316および吐出口310が開閉されるた
め、専用の弁駆動装置が不要であって、構成が簡単であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このイ
ンク吸引ポンプには、吸入口316がピストン302に
よって開閉され、吐出口310の開閉が駆動軸308と
一体の第一頭部312によって行われることによって不
可避的に生じる欠点がある。ポンプ室304に吸入され
たインクの一部が吸入口316から逆流することを避け
得ないことがその一例である。上述のように、吐出時に
は、図6に示す状態から駆動軸308が左方へ移動させ
られ、第一頭部312が端面322から離間させられる
ことによって吐出口310が開放される。しかし、この
吐出口310が開放される時点には、吸入口316も開
放されている。そして、吸入口316が開放されたま
ま、駆動軸308が左方へ移動させられ、ポンプ室30
4の容積が減少させられるため、吸入口316が閉じら
れるまではポンプ室304のインクの一部が、吸入口3
16から逆流するのである。
【0007】また、このインク吸引ポンプには、吐出終
了時におけるポンプ室304の容積を十分小さくするこ
とができないという欠点もある。吐出終了時のポンプ室
304の容積を、吐出口310が開放された状態におけ
る第一頭部312とピストン302の端面322との距
離d(バルブリフト量と称する)に相当する大きさ、す
なわちポンプ室304の断面積と距離dとの積より小さ
くすることができないからである。上述のように、吐出
口310の開閉は、駆動軸308の第一頭部312が端
面322に対して当接,離間させられることによって行
われるようになっており、ピストン302は、駆動軸3
08の第二頭部318によって端面320側から押され
ることによって、左方へ移動させられるようになってい
る。そのためには、駆動軸308の第一頭部312と第
二頭部318との間の長さを、ピストン302の端面3
20,322間の長さよりバルブリフト量dだけ長くし
なければならない。したがって、駆動軸308が最も左
端まで移動させられても、ピストン302の端面322
と第一頭部312(ハウジング300の底部と見なすこ
とができる)との間には、上述のバルブリフト量dに相
当する隙間dが残ることを避け得ず、吐出されないでポ
ンプ室内に残るインクの量(吐出残量と称する)が多く
なるのである。
【0008】このインク吸引ポンプは他の液体や気体
(流体と総称する)を吸引するポンプとしては勿論、流
体を圧送するポンプとしても利用可能であり、上記例示
の欠点はそれらの場合にも同様に発生する。第一発明な
いし第六発明は、以上の事情を背景として、吸入口,吐
出口の開閉が確実に行われ、しかも専用の弁駆動装置が
不要であって構成が簡単であるという特開平3─516
0号公報に記載のポンプの長所を維持しつつ、ポンプ室
の流体の吸入口への逆流や、吐出残量の低減困難等の欠
点を除去もしくは低減することが可能な駆動装置付ポン
プおよびインクジェット記録装置を得ることを課題とし
てなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】第一発
明においては、筒状のハウジングとその内部に液密かつ
摺動可能に嵌合された可動部材とを備え、それらハウジ
ングと可動部材とにより容積可変のポンプ室が形成され
る形式のポンプにおいて、前記ハウジングが筒状を成
し、吸入口と吐出口とがハウジングの軸方向に離れて形
成され、前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも
一対互いに対向して設けられ、各一対の可動部材の間に
前記ポンプ室が形成されるとともに、前記吸入口および
吐出口が各一対の可動部材の各々により開閉される位置
に設けられ、前記各可動部材に連結された駆動軸が、そ
れぞれ前記ハウジングの同じ側の端部から延び出され、
それら駆動軸と係合する各カムと、それらカムを一体的
に駆動する1つの駆動源とからなる駆動装置を備える。
【0010】このように第一発明においては、少なくと
も一対の可動部材を備えている。そして、各一対の可動
部材の間にポンプ室が形成される。各一対の可動部材同
士が互いに離間させられれば、これらの間に形成される
ポンプ室の容積が増加させられ、互いに接近させられれ
ば、ポンプ室の容積が減少させられる。また、ポンプ室
の吸入口および吐出口が、ハウジングに形成され、可動
部材の各々によって開閉される。すなわち、従来のポン
プのように、吐出口が可動部材に形成され、駆動軸によ
って開閉されるわけではないから、吸入口が開放された
状態においてはポンプ室の容積が減少しないようにする
ことができる。また、理論上、可動部材同士を吐出口近
傍で互いに当接するまで接近させることも可能である。
【0011】そして、各可動部材に連結された駆動軸
が、それぞれ前記ハウジングの同じ側の端部から延び出
され、各カムとそれぞれ係合され、それらカムを一体的
に駆動する1つの駆動源によって、それぞれ駆動され
る。可動部材の各々の移動速度の変化をカムに形成され
るカム部の形状によって決めることが可能であり、通常
の電動モータ等等速回転駆動源を駆動源として使用し得
る。
【0012】また第二発明は、前記各カムは、1つのモ
ータによって駆動される1つのカム部材に形成されてい
る。例えば、2個のカムは、例えば1個の回転可能なカ
ム部材の一端面に2つのカム溝を形成する等により、一
体的に構成することが可能である。各可動部材の駆動軸
が各カム溝にそれぞれ係合され、独立して駆動される。
【0013】第三発明においては、筒状のハウジングと
その内部に液密かつ摺動可能に嵌合された可動部材とを
備え、それらハウジングと可動部材とにより容積可変の
ポンプ室が形成される形式のポンプであって、前記ハウ
ジングが筒状を成し、吸入口と吐出口とがハウジングの
軸方向に離れて形成され、前記可動部材が前記ハウジン
グ内に少なくとも一対互いに対向して設けられ、各一対
の可動部材の間に前記ポンプ室が形成されるとともに、
前記吸入口および吐出口が各一対の可動部材の各々によ
り開閉される位置に設けられ、前記対の可動部材の一方
が駆動軸に相対移動不能に固定される一方、その駆動軸
に他方の可動部材が相対移動可能に嵌合され、かつ、そ
の駆動軸において前記他方の可動部材の前記一方の可動
部材とは反対側にストッパが設けられ、その駆動軸を駆
動する1つの駆動源からなる駆動装置を備える。
【0014】第三発明は、第一発明と同様に、吸入口が
開放された状態においてはポンプ室の容積が減少しない
ようにすることができ、かつポンプ室に吸入された流体
の殆ど全部が吐出されるようにすることができる。さら
に、1つの駆動軸で対の可動部材をそれぞれ駆動でき、
したがって、1つの駆動源で駆動できる。
【0015】第四発明は、ノズルからインクを噴射して
画像形成を行うインク噴射ヘッドと、そのインク噴射ヘ
ッドのノズルを覆うことが可能なキャップと、そのキャ
ップに接続されキャップがノズルを覆った状態でノズル
からインクを吸引し廃インクタンクに廃出する駆動装置
付きポンプとを備えるインクジェット記録装置におい
て、前記駆動装置付きポンプとして第一発明の駆動装置
付きポンプを用いる。
【0016】第五発明は、ノズルからインクを噴射して
画像形成を行うインク噴射ヘッドと、そのインク噴射ヘ
ッドのノズルを覆うことが可能なキャップと、そのキャ
ップに接続されキャップがノズルを覆った状態でノズル
からインクを吸引し廃インクタンクに廃出する駆動装置
付きポンプとを備えるインクジェット記録装置におい
て、前記駆動装置付きポンプとして第三発明の駆動装置
付きポンプを用いる。
【0017】第六発明は、第四または第五発明におい
て、前記駆動装置は、少なくとも前記吸入口がポンプ室
に開放されている間は、前記少なくとも一対の可動部材
の各対の可動部材の各々とハウジングとをポンプ室の容
積が減少しない状態を保ちつつ相対移動させる。このよ
うに、一対の可動部材の各々を、一方の可動部材が吸入
口を閉じるまでは、両可動部材が一定の距離を保つか、
あるいは互いに離間するように移動させることで、吸入
口が閉じられるまではポンプ室の容積が減少することが
なく、ポンプ室に吸入された流体が吸入口から逆流しな
い。また、吐出終了時にはそれら可動部材が互いに当接
するように両可動部材を移動させれば、ポンプ室の容積
を極めて小さく、あるいは実質的に0にすることが可能
であり、ポンプ室に吸入された流体の殆ど全部が吐出さ
れるようにすることができる。
【0018】
【実施例】第一、第二、第四および第六発明に共通の一
実施例である駆動装置付き吸引ポンプを備えたインクジ
ェット記録装置を図面に基づいて詳細に説明する。図1
において、10はプラテンである。このプラテン10は
軸方向に延びた円筒状を成したものであり、図示しない
軸を介してフレーム12に矢印A方向に回転可能に取り
付けられている。プラテン10に対向してインク噴射ヘ
ッド14が設けられている。
【0019】インク噴射ヘッド14は、キャリッジ16
上に載置されている。キャリッジ16は、プラテン10
の中心線に平行に配設されたガイドロッド20に摺動可
能に支持されるとともに、一対のプーリ22,24に巻
付けられたタイミングベルト26に係合させられてい
る。一方のプーリ22がキャリッジ駆動モータ28によ
って回転させられ、タイミングベルト26が送られるこ
とによりキャリッジ16は、プラテン10に沿って矢印
B方向に移動させられる。インク噴射ヘッド14は、記
録時には、予め定められた記録範囲内において往復動さ
せられるが、記録が終了すれば、図示する非記録位置に
移動させられるようになっている。
【0020】インク噴射ヘッド14は、図示しない多数
個のインク流路と、それらインク流路に対応して設けら
れた多数個のノズルを含むものである。インク流路に
は、フレーム12に固定され、あるいはキャリッジ16
に載置された図示しないインク供給装置からインクが供
給される。インク流路の壁は振動板によって形成され、
その振動板が後述する制御装置30の指令に基づいて図
示しない駆動回路により変形させられると、その変形に
起因する圧力変化によりインクがノズルから噴射され
る。したがって、振動板は記録データに基づいて変形さ
せられ、インク流路に供給されたインクは、記録データ
に基づいて決められたノズルから噴射されることにな
る。インクは、プラテン10とインク噴射ヘッド14と
の間に供給される記録用紙32に、キャリッジ16の移
動に伴って噴射され、それにより1行分の画像が形成さ
れる。1行分の画像形成が終了したならば、プラテン1
0の回転により記録用紙32が1行分送られ、再び1行
分の画像の形成が行われる。この繰返しにより、記録用
紙32全体の画像形成が行われる。記録用紙32は、フ
レーム12の後方の図示しない用紙供給口から矢印C方
向に供給され、プラテン10の回転によって矢印D方向
に送られ、図示しない用紙排出口から排出される。
【0021】非記録位置にあるインク噴射ヘッド14に
対向する位置にはキャップ装置34が設けられている。
キャップ装置34はプラテン10の一端の側方に設けら
れており、インク噴射ヘッド14に対向する位置にキャ
ップゴム36を備えている。キャップゴム36の中央部
には、幅1.5mm×長さ20mm×深さ1mmの大きさの窪
み37が形成されている。この窪み37を囲むキャップ
ゴム36の先端面が、インク噴射ヘッド14の先端面の
ノズル列を囲む部分に密着することによって、ノズル列
が気密に覆われる。以下、単に、ノズルが覆われると称
することにする。また、窪み37の底面には孔が形成さ
れており、キャップ装置34の本体に形成された図示し
ないインク通路に接続されている。インク通路は、吸引
ポンプ38に吸引チューブ40によって接続されてい
る。
【0022】キャップ装置34は、矢印E方向に移動可
能とされている。常には、後方の退避位置にあるが、記
録終了後にインク噴射ヘッド14が記録終了位置から非
記録位置に移動させられると、それに連動して前進させ
られるようになっている。本実施例においては、インク
噴射ヘッド14が記録終了位置から非記録位置に移動さ
せられると図示しないクラッチが接続され、キャップ装
置34が駆動モータ28の駆動により前進させられるよ
うになっているのである。同様に、記録開始時にインク
噴射ヘッド14が非記録位置から記録開始位置(記録終
了位置と同じ)に移動させられると、それに連動してキ
ャップ装置34が後退させられる。したがって、インク
噴射ヘッド14が非記録位置にある間には、キャップ装
置34は前進位置にあり、キャップゴム36がノズルを
覆う状態にある。
【0023】一方、プラテン10とキャップ装置34と
の間には、ワイパブレード44が移動装置により矢印F
方向に移動可能に取り付けられている。ワイパブレード
44は、F方向に延びた平板状を成した可撓性部材であ
り、矢印G方向に撓み易くなっている。常には、後方の
退避位置にあるが、記録終了時には、ワイパ駆動モータ
46(図3参照)の駆動により前進させられる。その
後、インク噴射ヘッド14の記録終了位置から非記録位
置への移動に伴って、ワイパブレード44が撓められな
がらノズル先端部に摺接することによって、先端面が拭
われることになる。ワイパブレード44は、所定時間経
過後に後退位置に戻される。同様に、記録開始時にも前
進させられ、インク噴射ヘッド14の非記録位置から記
録開始位置への移動に伴ってノズル先端面が拭われる。
【0024】前記吸引ポンプ38には、吸引チューブ4
0の他に吐出チューブ48が接続されており、その吐出
チューブ48が吸着体50が収容された廃インクタンク
52に接続されている。したがって、吸引ポンプ38に
よって、吸引されたノズル内のインクは、吐出チューブ
48を経て廃インクタンク52内の吸着材50に吸着さ
れる。
【0025】吸引ポンプ38は、図2に示すように、駆
動装置54と共に駆動装置付吸引ポンプ56を構成して
おり、この駆動装置付吸引ポンプ56が前記キャップ装
置34,キャップ装置34を進退させるキャップ装置移
動装置および吸引チューブ40等と共に吸引装置58を
構成している。吸引ポンプ38は、軸方向に真っ直ぐに
延びた円筒状の本体60と、その本体60の内部に本体
60に対して軸方向に相対移動可能に嵌合された一対の
可動部材としてのピストン62,64とを備えている。
本実施例においては、本体60が固定され、ピストン6
2,64が移動させられることによって、ピストン6
2,64と本体60とが相対移動させられるようになっ
ている。
【0026】本体60の中間部には、吸入口66と吐出
口68とが軸方向、すなわち、ピストン62,64の移
動方向に隔たった位置に設けられている。吸入口66に
は、吸引チューブ40が接続され、吐出口68には、吐
出チューブ48が接続される。吸入口66および吐出口
68は、図には、1個の孔として記載されているが、実
際には、それぞれ周方向に並んだ複数個の小孔から成っ
ている。また、ハウジング60の内部には、ピストン6
2,64が対向して配設され、これらの間にポンプ室6
9が形成される。また、ピストン62,64は、それぞ
れ、駆動軸70,72に嵌合され、駆動軸70,72
は、ハウジング60と同軸に配設されている。
【0027】駆動軸70の一端部78は中空の駆動軸7
2の内部に相対移動可能に配設され、その一端部78よ
り小径の他端部80はハウジング60の端壁81に形成
されボス部82内の貫通孔83に摺動可能に嵌合されて
いる。貫通孔83はボス部82の中央部に、ハウジング
60の中心線と平行に形成されている。したがって、駆
動軸70の軸方向の移動が貫通孔83によってガイドさ
れることになり、ボス部82によってガイド部が構成さ
れることになる。
【0028】一端部78には、カムフォロワ86が固定
され、後述するカム88のカム溝90に嵌合されてい
る。また、他端部80には、2個のフランジ92,93
が設けられ、フランジ92,93の間に前記ピストン6
2が嵌合されている。ピストン62は、ニトリルゴム
(NBR)等のゴム状弾性材によって成形された円筒状
を成したものである。軸方向の両端部付近には、外径が
ハウジング60の内径より大径の環状の大径部94,9
5が形成されている。大径部94,95が設けられてい
るのは、ピストン62の外周面とハウジング60の内周
面との間を液密に保つためである。ピストン62の内径
は他端部80の外径より多少大きくされ、軸方向の長さ
は、フランジ92,93間の距離より多少長く、端面9
6には円環状の溝98が形成されている。
【0029】溝98が形成されているのは、ピストン6
2の駆動軸70への嵌合を容易にするためである。ピス
トン62を駆動軸70に嵌め込む場合には、ピストン6
2の内径を広げながら比較的小径で一端部に丸みが付け
られたフランジ92側から挿入することになるが、この
場合に溝98の幅を狭めれば、フランジ92の通過が容
易になる。ピストン62の内径が他端部80の外径より
大きくされているのも、ピストン62の駆動軸70への
嵌合を容易にするためである。また、ピストン62の軸
方向の長さがフランジ92,93の間の距離より長いの
は、ピストン62と駆動軸70との間を液密に保つため
である。ピストン62がフランジ92,93間に嵌合さ
れた状態においては、ピストン62の溝98より内周側
の部分が、軸方向に圧縮され、フランジ92,93に弾
性的に当接させられることになる。なお、ピストン62
は、駆動軸70の2個のフランジ92,93に挟まれた
状態となるため、駆動軸70に対して軸方向に移動不能
となる。
【0030】駆動軸72は、概して円筒状を成してお
り、内部には、上述のように、駆動軸70が半径方向の
隙間を残して嵌合されている。駆動軸72は、一端部が
環状に半径方向外向きに延び出した環状のフック99と
され、中間部は、駆動軸70と同様に、ハウジング60
の端壁100に設けられたボス部101に摺動可能に支
持されている。また、他端部にはカムフォロワ102が
固定され、前記カム88のカム溝104に嵌合されてい
る。フック99の近傍には、フランジ106が設けられ
ている。
【0031】ピストン64は、ピストン62と同様にニ
トリルゴムによって成形された円筒状部材である。軸方
向の両端部には、環状の大径部110,112が形成さ
れてハウジング60に液密に嵌合される一方、内径は駆
動軸70の一端部78の外径より僅かに小さくされてい
る。ピストン64には、また、形状が前記フック99と
ほぼ同じで、フック99より若干大きい環状の溝114
が形成されており、この溝114がフック99に引っか
けられることによって駆動軸72に嵌合される。この状
態ではピストン64の内周部がフック99とフランジ1
06とにより軸方向の両側から挟まれ、ピストン64が
駆動軸72に対して軸方向に移動不能となる。なお、内
径が一端部78の外径より小さくされているため、ピス
トン64と駆動軸70との間の液密が保持される。
【0032】以上の説明から明らかなように、ピストン
62,64とハウジング60の内周面との間が共に液密
に保たれ、かつ、ピストン62,64と駆動軸70との
間も液密に保たれため、前記ピストン62,64間に形
成されたポンプ室69は大気に開放されたピストン62
と端壁81との間の大気圧室118、ピストン64と端
壁100との間の大気圧室122から完全に遮断される
ことになる。
【0033】駆動軸70の一端部78の、駆動軸72の
カムフォロワ102が固定される部分付近には、軸方向
に延びた長穴126が形成され、カムフォロワ102の
軸がガイド軸128として貫通している。これにより、
カムフォロワ86とカム溝90との摩擦力によって駆動
軸70を図2の面に直角な方向へ移動させようとする力
は、ガイド軸128と長穴126の内面との接触により
駆動軸72に伝達され、さらに駆動軸72からハウジン
グ60に伝達される。ハウジング60は固定されている
ため、前記伝達された力が吸引装置58に悪影響を与え
ることが回避される。
【0034】駆動装置54は、上述の駆動軸70,7
2、カムフォロワ86,102、カム溝90,104が
形成されたカム88および駆動源としての電動モータで
あるポンプ駆動モータ130等を備えている。カム88
がカム軸回りにポンプ駆動モータ130の駆動により回
転させられると、カムフォロワ86,102と駆動軸7
0,72とがカム溝90,104の作用により駆動軸7
0,72の軸方向に移動させられ、これら駆動軸70,
72と共にピストン62,64が移動させられるのであ
る。カム溝90,104は、ピストン62,64が後述
するように移動させられるように形成されている。カム
溝90,104が形成されたカム88は、電動モータ1
30の回転を軸方向の直線運動に変換する運動変換機能
と、ピストン62,60の移動速度を決定する速度決定
機能との両方を備えることになる。
【0035】上記ポンプ駆動モータ130と、前記キャ
リッジ駆動モータ28およびワイパ駆動モータ46と
は、当該インクジェット記録装置の制御装置30により
駆動回路を介して制御される。制御装置30は、CPU
132,RAM133,ROM134,入力部135,
出力部136等を備えたものであり、インクジェット記
録装置全体の作動を制御するものであるが、図3には、
吸引ポンプ38の作動に関連する部分のみが記載されて
いる。
【0036】RAM133には、記録すべき記録データ
が格納される記録データメモリが設けられ、ROM13
4のプログラムメモリには、吸引作動プログラム等が格
納されている。また、入力部135には、吸引スイッチ
140,141等各種スイッチが接続されるとともに図
示しない記録データ入力手段が接続されている。また、
出力部136には、キャリッジ駆動モータ28,ポンプ
駆動モータ130,ワイパ駆動モータ46を制御する駆
動回路142,143,144等が接続されるとともに
インク噴射ヘッド14の振動板を制御する図示しない駆
動回路等が接続されている。
【0037】以上のように構成されたインクジェット記
録装置における作動について説明する。本インクジェッ
ト記録装置において、通常は、インク噴射ヘッド14
は、ノズルがキャップゴム36に覆われた状態で非記録
位置にある。記録データが入力されると記録が行われ
る。記録用紙32が、プラテン10とインク噴射ヘッド
14との間に供給される。ワイパ駆動モータ46が駆動
され、それによりワイパブレード44が前進させられ
る。また、キャリッジ駆動モータ28の作動によりイン
ク噴射ヘッド14が非記録位置から記録開始位置に移動
させられ、それと同時に、キャップ装置34が後退させ
られる。その結果、インク噴射ヘッド14が、ノズルの
先端部がワイパブレード44によって拭われた後、記録
開始位置に移動させられることになる。インク噴射ヘッ
ド14が、記録データに基づいてインクを噴射しつつ記
録範囲内において往復動させられることによって、記録
用紙32上に所望の画像が形成される。
【0038】RAM133の記録データメモリに記録す
べき記録データがなくなり、記録が終了すると、ワイパ
ブレード44が前進させられ、インク噴射ヘッド14が
記録終了位置から非記録位置に移動させられ、キャップ
装置34が前進させられる。その結果、ノズルの先端部
がワイパブレード44によって拭われた後、ノズルがキ
ャップゴム36によって覆われることになる。このよう
に、ノズルがキャップゴム36によって覆われれば、使
用しない間にノズル先端部が乾燥することが回避され
る。
【0039】インク噴射ヘッド14が非記録位置にあ
り、ノズルがキャップゴム36によって覆われた状態に
ある間に、吸引スイッチ140が操作されれば、吸引作
動プログラムが実行され、ポンプ駆動モータ130が制
御される。本実施例においては、ポンプ駆動モータ13
0は、吸引、吐出が1回行われる間駆動されるようにな
っている。一方、吸引スイッチ141が操作されれば、
吸引,吐出が複数回行われるようになっている。
【0040】吸引スイッチ140,141は、インク噴
射不良が生じた場合,メンテナンスを行う場合等インク
を吸引する必要がある場合に操作されるスイッチであ
る。吸引スイッチ141は、吸引スイッチ140の操作
による吸引では、インク噴射不良が直らなかった場合,
インク供給装置のインクカートリッジが交換された場合
等インクを多量に吸引する必要がある場合に操作され
る。ノズルに気泡,塵等が溜まることが原因で噴射不良
が生じた場合には、通常、吸引スイッチ140が操作さ
れる。以下、駆動装置付吸引ポンプ56の作動について
説明する。
【0041】駆動装置付吸引ポンプ56の吸引ポンプ3
8において、通常は、ピストン62,64は、図4の
(A)に示す位置にある。ピストン62が吸入口66よ
り図における左側にあり、ピストン64がフランジ93
に当接する位置にある。また、吐出口68はピストン6
4の外周面(厳密には大径部110,112)によって
塞がれている。
【0042】ポンプ駆動モータ130の作動によりカム
88が回転させられる。(B)に示すように、ピストン
64のみが右方へ移動させられ、ピストン62は静止し
たままに保たれてポンプ室69の容積が増大させられ
る。ポンプ室69が負圧になり、ノズル内のインクが吸
引され、吸入口66からポンプ室69に吸入される。厳
密にいえば、インクは、キャップゴム36の窪み37内
の空気が吸入された後に吸入される。ピストン64の右
方への移動に伴って、ポンプ室69の容積が増大させら
れる間、インクの吸入が継続される。
【0043】ポンプ室69の容積が(C)に示す大きさ
になると、ピストン62がピストン64と共に同じ速度
で右方へ移動させられる。ポンプ室69の容積が一定に
保たれたままでピストン62,64が移動させられるの
である。この間においても、ポンプ室69が大気圧にな
るまでインクは吸引され、吸入口66からポンプ室69
に流入する。ピストン62,64の移動速度が非常に遅
い場合には、ポンプ室69の容積の増大に伴う吸入口6
6からのインクおよび空気の流入によって、ポンプ室6
9の圧力を常に大気圧に保つことも可能であるが、本実
施例においては、ピストン62,64がポンプ室69の
圧力がインク等の流入により大気圧に戻るより早く移動
させられる。そのため、ポンプ室69が、容積の増加に
伴って負圧にされ、ポンプ室69の容積が一定に保たれ
ている間においても、インクが吸引され、吸入口66か
らポンプ室69に流入するのである。
【0044】(D)に示すように、吐出口68が開放さ
れ、吸入口66が塞がれると、ピストン64の移動が停
止させられ、ピストン62のみが右方へ移動させられ
る。ポンプ室69の容積が減少させられ、それに伴って
ポンプ室69に吸入されたインクが吐出口68から吐出
される。インクは、吐出チューブ48を経て廃インクタ
ンク52に排出される。
【0045】本実施例においては、吸入口66が開放さ
れている間は、ポンプ室69の容積が一定に保たれ、吸
入口66が塞がれて吐出口68が開放された後、容積が
減少させられる。そのため、吸入口66からインクが逆
流することが回避される。本実施例の駆動装置付吸引ポ
ンプ56においては、一対のピストン62,64が設け
られ、かつ、ピストン62,64が各々別個に移動させ
られるため、ピストン62,64間に形成されるポンプ
室69の容積をインクが逆流しないように変化させるこ
とができるのである。
【0046】また、ピストン62は、(E)に示すよう
に、フランジ93が吐出口68の右縁にあるピストン6
4に当接するまで移動させられる。この場合には、ポン
プ室69の容積はフランジ93の外周に形成される環状
の空間に対応する大きさとなり、非常に小さい。このよ
うに、ポンプ室69の容積を非常に小さくできるのは、
吸引ポンプ38が2個のピストン62,64を備えてお
り、吐出口68近傍でこれらを当接させることができる
からである。なお、フランジ93の外径をハウジング6
0の内径とほぼ同じにすれば、吐出終了時のポンプ室6
9の容積を殆ど0にすることができ、理論的には0にす
ることが可能である。以上の作動の後、(F)に示すよ
うに、ピストン62,64は共に左方へ移動させられ、
(A)に示す状態に戻される。
【0047】このように、本実施例によれば、ピストン
62,64を2個備えた吸引ポンプ38によって、ノズ
ル内に溜まった気泡,塵等をインクと共に吸引して良好
に排除することができ、インクの噴射不良等を解消する
ことができる。また、一旦吸入口66からポンプ室69
に吸入されたインクが逆流することを回避することがで
きるため、逆流防止用の弁を設ける必要がなくなり、そ
の分、部品点数を減らし得、コストダウンを図ることが
できる。さらに、吐出終了時にポンプ室69の容積を非
常に小さくすることができるため、吸引されたインクお
よび空気の殆どすべてをポンプ室69から吐出させるこ
とができる。吐出終了時のポンプ室69の容積が十分に
小さくできず、空気を完全に排出することができない場
合には、次にインクを吸入する際、ポンプ室69内の負
圧の高まりを妨げ、インクの吸引能力を低下させるので
あるが、本実施例においてはこの不都合を良好に回避す
ることができるのである。
【0048】また、本実施例においては、駆動装置54
が、2個のカム溝90,104が形成されたカム88を
含むものであるため、2個のピストン62,64を移動
させるのに、カム88およびポンプ駆動モータ130が
1個で済み、その分コストダウンを図ることができる。
【0049】なお、上記実施例においては、(C)に示
す状態から(D)に示す状態まではピストン62,64
がポンプ室69の容積を一定に保って移動させられるよ
うになっていたが、ポンプ室69の容積が増大するよう
に移動させられるようにしてもよい。そのためには、カ
ム溝90,104の少なくとも一方の形状を変えればよ
い。吸引口66がポンプ室69に開放されている間に
は、ポンプ室69の容積が増大させられるようにすれ
ば、インクの逆流を一層確実に回避することができる。
【0050】また、上記実施例においては、インク噴射
ヘッド14のノズル先端部が、ワイパブレード44によ
って、記録開始時と、終了時との両方において拭われる
ようになっていたが、いずれか一方においてのみ拭われ
るようにしてもよい。さらに、使用者がワイピングさせ
るための操作ボタンを押下することによって、ワイパ駆
動モータ46の駆動が行われるようにしてもよい。
【0051】また、上記実施例においては、ハウジング
60が固定され、ピストン62,64が移動させられる
ようになっていたが、ピストン62,64のいずれか一
方が固定され、ピストン62,64の他方とハウジング
60とが移動させられるようにし、あるいはピストン6
2,64の両方とハウジング60とが移動させられるよ
うにしても、同様の目的を達することができる。
【0052】また、ピストン62,64の材質は、ニト
リルゴム以外のゴム状弾性材であってもよい。さらに、
ピストン62,64や駆動軸70,72の形状も、上記
実施例に限らず、他の形状であってもよい。また、駆動
装置54を、カム溝等のカム部がそれぞれ1個ずつ形成
された2個のカムを含む駆動装置や、ポンプ駆動モータ
を2個含む駆動装置に変更することも可能である。さら
に、運動変換装置は、ねじ機構を利用するもの等他の態
様のものであってもよい。
【0053】次に、第三発明、第五および第六発明に共
通の一実施例としての駆動装置付き吸引ポンプを図5に
基づいて説明する。この駆動装置付吸引ポンプは、ねじ
機構を利用した運動変換装置を備えたものである。駆動
装置付吸引ポンプは、ハウジング60,ピストン15
4,156を含む吸引ポンプ158と、1個の駆動軸1
60,ポンプ駆動モータ161,図示しないねじ機構を
利用する運動変換装置等を含む駆動装置162とを備え
たものである。ポンプ駆動モータ161はキャリッジ駆
動モータ28等と共に、制御装置163により図示しな
い駆動回路を介して制御される。
【0054】吸引ポンプ158において、吸入口66,
吐出口68を有するハウジング60の内部には、2個の
ピストン154,156が対向して配設され、これらの
間にポンプ室164が形成されている。ピストン154
は駆動軸160の中間部に固定され、駆動軸160と一
体的に軸方向に移動させられるようになっている。それ
に対してピストン156は、駆動軸160に対して液密
かつ相対移動可能に嵌合されている。また、ピストン1
56の外周面とハウジング60の内周面との間の摩擦力
は、ピストン156の内周面と駆動軸160の外周面と
の間の摩擦力より大きくされており、駆動軸160の移
動に伴って、ピストン156が移動させられないように
なっている。駆動軸160の、ピストン156に対して
ピストン154とは反対側の部分(図示の例では先端
部)にはストッパ166が設けられている。
【0055】ピストン154,156は、上記実施例に
おけるピストン62,64と同様に、ニトリルゴムによ
って成形された円筒状を成したものであり、ハウジング
60の内周面との間が液密に保たれている。その結果、
ポンプ室164は、ピストン156の左側の大気圧室や
ピストン154の右側の大気圧室から完全に遮断されて
いる。
【0056】駆動装置162において、ポンプ駆動モー
タ161の回転が、ねじとナットとを含むねじ機構によ
って軸方向の移動に変換され、それによって駆動軸16
0が移動させられる。また、制御装置163の入力部に
は、上述の吸引スイッチ140,141等の他に光電セ
ンサ168,170が接続され、出力部には、ポンプ駆
動モータ161を駆動する図示しない駆動回路等が接続
されている。
【0057】光電センサ168,170は、駆動軸16
0の位置を検出する位置センサであり、駆動装置付吸引
ポンプのフレーム172に固定されている。光電センサ
168,170はそれぞれ発光部と受光部とを備えた透
過型のセンサであり、発光部から発射された光が、駆動
軸160に設けられたドグ174によって遮られ、受光
部に受光されなくなることによって、ドグ174を検出
するものである。
【0058】ドグ174が光電センサ168によって検
出されれば、駆動軸160が左端にあり、ピストン15
4,156が左端にあることが判り、光電センサ170
によって検出されれば、駆動軸160が右端にあり、ピ
ストン156の右側端面176が吐出口68の左縁の位
置にあることが判る。
【0059】吸引スイッチ140が操作されると、ポン
プ駆動モータ161は、駆動軸160を右方へ移動させ
る方向に回転させられる。そして、ドグ174が光電セ
ンサ170によって検出されると、回転方向が逆にされ
る。駆動軸160を左方へ移動させる方向に回転させら
れるのである。ドグ174が光電センサ168によって
検出されると、回転が停止させられる。これによって、
駆動軸160が軸方向に一往復動させられ、一回の吸
引,吐出が行われる。
【0060】以下、この吸引,吐出を説明する。通常、
ピストン154,156は、図5の(A)に示すよう
に、ハウジング60の左端付近にある。ポンプ駆動モー
タ161が回転させられると、(B)に示すように、駆
動軸160が右方へ移動させられる。駆動軸160の移
動に伴ってピストン154のみが右方へ移動させられる
が、ピストン156は静止したままである。その結果、
ピストン154,156の間に形成されるポンプ室16
4の容積が増加してポンプ室164内が負圧になる。そ
の後、ストッパ166がピストン156に当接させられ
ると、ピストン156は、ピストン154と一体的に移
動させられる。ピストン154,156が一体的に移動
させられれば、ポンプ室164の容積は一定に保たれ
る。
【0061】(C)に示すように、ピストン154の左
側端面178が吸入口66の左縁より右方に位置する
と、吸入口66が開放される。ノズル内のインクが吸引
され、吸入口66からポンプ室164に供給される。本
実施例においては、吸入口66が、予め負圧にされたポ
ンプ室164に開放されるため、ノズル内のインクが急
速に吸引されることになる。したがって、上記実施例に
おける場合より、インクの流速を大きくすることがで
き、ノズル内に溜まった気泡,塵等を良好に排除するこ
とができる。また、その場合に必要なインクの量が少な
くて済むという利点もある。
【0062】さらに、ピストン154,156は、ポン
プ室164の容積を一定の大きさに保ちつつ移動させら
れるが、この間も、ポンプ室164が大気圧に戻される
まで、インクが吸引され、吸入口66からインクが供給
される。(D)に示す状態において、吐出口68がポン
プ室164に開放されるが、この時点においてはポンプ
室164の圧力がほぼ大気圧にあるため、吐出口68か
らインクが流出したり、流入したりすることは殆どな
い。
【0063】(E)に示すように、吸入口66がポンプ
室164から遮断され、ピストン156の右側端面17
6が吐出口68の左縁より右方に位置する状態になった
後、駆動軸160が逆方向に移動させられる。(F)に
示すように、駆動軸160の左方への移動によってピス
トン154が左方へ移動させられるが、ピストン156
は静止したままである。ピストン154の移動に伴い、
ポンプ室164の容積が減少させられ、ポンプ室164
内のインクは吐出口68から吐出される。
【0064】やがて、(G)に示すように、ピストン1
54の左側端面178がピストン156の右側端面17
6に当接してポンプ室164の容積は殆ど0になり、ポ
ンプ室164に収容されたインクの殆どすべてが吐出さ
れる。その後、駆動軸160の左方への移動に伴いピス
トン154,156が左方へ移動させられ、(A)に示
す状態に戻される。
【0065】以上のように、本実施例においては、一対
のピストン154,156が1個の駆動軸160の移動
によってそれぞれ相対移動させられるようになってい
る。そのため、駆動源としてのポンプ駆動モータ161
と、運動変換装置としてのねじ機構が1個で済むという
利点がある。また、本実施例においては、駆動軸160
にストッパ166が設けられているため、ストッパ16
6を利用して一対のピストン154,156を、ポンプ
室164の容積を正確に一定に保ったまま移動させるこ
とができる。
【0066】なお、本実施例においては、吸入口66が
ポンプ室164に開放される以前に、ストッパ166が
ピストン156に当接させられ、ポンプ室164の容積
が一定に保たれるようになっていたが、ポンプ室164
の容積が増大途中にある時に吸入口66が開放されるよ
うにしてもよい。この場合にも、インクを大きな吸引力
で吸引することができる。さらに、(A),(E)ない
し(G)に示す状態において、吸入口66がピストン1
56の外周面によって完全に塞がれた状態とすることも
できる。
【0067】また、本実施例においては、ポンプ駆動モ
ータ161の駆動が光電センサ168,170の出力信
号に基づいて制御されるようになっていたが、ポンプ駆
動モータがサーボモータ,ステップモータ等回転量の制
御が可能な回転駆動装置である場合には、回転量に基づ
いて制御されるようにすることができる。その場合には
光電センサ168,170は不要となる。サーボモータ
等を予め決められた回転数だけ一方向に回転させた後、
逆方向に同じ数の回転数だけ回転させれば、駆動軸16
0を決まった距離だけ一往復動させることができる。
【0068】さらに、運動変換装置を、ねじ機構を利用
したものに限らず、ラックアンドピニオン機構,クラン
ク機構等を利用したものとすることができる。クランク
機構等を利用するものとした場合には、回転運動が直線
往復運動に変換されるとともに駆動軸160の移動範囲
が決まるため、ポンプ駆動モータの回転方向を逆にする
必要がなく、また、回転量をそれほど正確に制御する必
要がなくなる利点がある。また、駆動軸160の位置を
検出するセンサは、リミットスイッチ,近接スイッチ等
であってもよい。さらに、駆動軸160を手動で移動さ
せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一から第六発明に共通の一実施例である駆動
装置付きポンプを備えたインクジェット記録装置全体の
概略図である。
【図2】第一、第二、第四および第六発明の一実施例で
ある駆動装置付きポンプの正面断面図である。
【図3】上記インクジェット記録装置の制御装置のブロ
ック図である。
【図4】上記駆動装置付吸引ポンプの作動を説明するた
めの図である。
【図5】第三、第五および第六発明に共通の実施例であ
る駆動装置付きポンプの構造を概念的に示すとともに、
作動を説明するための図である。
【図6】従来のインク吸引ポンプの一例を示す正面断面
図である。
【図7】図6のインク吸引ポンプの異なる作動状態を示
す正面断面図である。
【符号の説明】
14 インク噴射ヘッド 38,158 吸引ポンプ 54 駆動装置 56 駆動装置付吸引ポンプ 60 ハウジング 66 吸入口 68 吐出口 70,72,160 駆動軸 62,64,154,156 ピストン 86,102 カムフォロワ 69,164 ポンプ室 88 カム 90,104 カム溝 130,161 ポンプ駆動モータ 30,162 制御装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状のハウジングとその内部に液密かつ
    摺動可能に嵌合された可動部材とを備え、それらハウジ
    ングと可動部材とにより容積可変のポンプ室が形成され
    る形式のポンプであって、 前記ハウジングが筒状を成し、吸入口と吐出口とがハウ
    ジングの軸方向に離れて形成され、 前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも一対互い
    に対向して設けられ、各一対の可動部材の間に前記ポン
    プ室が形成されるとともに、前記吸入口および吐出口が
    各一対の可動部材の各々により開閉される位置に設けら
    れ、 前記各可動部材に連結された駆動軸が、それぞれ前記ハ
    ウジングの同じ側の端部から延び出され、 それら駆動軸と係合する各カムと、それらカムを一体的
    に駆動する1つの駆動源とからなる駆動装置を備えたこ
    とを特徴とする駆動装置付きポンプ。
  2. 【請求項2】 前記各カムは、1つのモータによって駆
    動される1つのカム部材に形成されていることを特徴と
    する請求項1に記載の駆動装置付きポンプ。
  3. 【請求項3】 筒状のハウジングとその内部に液密かつ
    摺動可能に嵌合された可動部材とを備え、それらハウジ
    ングと可動部材とにより容積可変のポンプ室が形成され
    る形式のポンプであって、 前記ハウジングが筒状を成し、吸入口と吐出口とがハウ
    ジングの軸方向に離れて形成され、 前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも一対互い
    に対向して設けられ、各一対の可動部材の間に前記ポン
    プ室が形成されるとともに、前記吸入口および吐出口が
    各一対の可動部材の各々により開閉される位置に設けら
    れ、 前記対の可動部材の一方が駆動軸に相対移動不能に固定
    される一方、その駆動軸に他方の可動部材が相対移動可
    能に嵌合され、かつ、その駆動軸において前記他方の可
    動部材の前記一方の可動部材とは反対側にストッパが設
    けられ、 その駆動軸を駆動する1つの駆動源からなる駆動装置を
    備えたことを特徴とする駆動装置付きポンプ。
  4. 【請求項4】 ノズルからインクを噴射して画像形成を
    行うインク噴射ヘッドと、そのインク噴射ヘッドのノズ
    ルを覆うことが可能なキャップと、そのキャップに接続
    されキャップがノズルを覆った状態でノズルからインク
    を吸引し廃インクタンクに廃出する駆動装置付きポンプ
    とを備えるインクジェット記録装置において、 前記駆動装置付きポンプは、筒状のハウジングと、その
    内部に液密かつ摺動可能に嵌合された可動部材とを備
    え、それらハウジングと可動部材とにより容積可変のポ
    ンプ室が形成される形式のものであって、 前記ハウジングが筒状を成し、前記キャップに接続され
    た吸入口と廃インクタンクに接続された吐出口とがハウ
    ジングの軸方向に離れて形成され、 前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも一対互い
    に対向して設けられ、各一対の可動部材の間にポンプ室
    が形成されるとともに、前記吸入口および吐出口が各一
    対の可動部材の各々により開閉される位置に設けられ、 前記各可動部材に連結された駆動軸が、それぞれ前記ハ
    ウジングの同じ側の端部から延び出し、 それら駆動軸と係合する各カムと、それらカムを一体的
    に回転させる1つの駆動源とからなる駆動装置を備えた
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 ノズルからインクを噴射して画像形成を
    行うインク噴射ヘッドと、そのインク噴射ヘッドのノズ
    ルを覆うことが可能なキャップと、そのキャップに接続
    されキャップがノズルを覆った状態でノズルからインク
    を吸引し廃インクタンクに廃出する駆動装置付きポンプ
    とを備えるインクジェット記録装置において、 前記駆動装置付きポンプは、筒状のハウジングと、その
    内部に液密かつ摺動可能に嵌合された可動部材とを備
    え、それらハウジングと可動部材とにより容積可変のポ
    ンプ室が形成される形式のものであって、 前記ハウジングが筒状を成し、前記キャップに接続され
    た吸入口と廃インクタンクに接続された吐出口とがハウ
    ジングの軸方向に離れて形成され、 前記可動部材が前記ハウジング内に少なくとも一対互い
    に対向して設けられ、各一対の可動部材の間にポンプ室
    が形成されるとともに、前記吸入口および吐出口が各一
    対の可動部材の各々により開閉される位置に設けられ、 駆動軸の中間部が対の可動部材の一方に相対移動不能に
    固定される一方、他方に相対移動可能に嵌合され、か
    つ、前記他方の可動部材に対して前記一方の可動部材と
    は反対側にストッパが設けられその駆動軸を駆動する1
    つの駆動源からなる駆動装置を備えたことを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記駆動装置は、少なくとも前記吸入口
    がポンプ室に開放されている間は、前記少なくとも一対
    の可動部材の各対の可動部材の各々とハウジングとをポ
    ンプ室の容積が減少しない状態を保ちつつ相対移動させ
    ることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のイ
    ンクジェット記録装置。
JP2000250791A 2000-08-22 2000-08-22 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置 Expired - Lifetime JP3570357B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000250791A JP3570357B2 (ja) 2000-08-22 2000-08-22 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000250791A JP3570357B2 (ja) 2000-08-22 2000-08-22 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06215548A Division JP3129099B2 (ja) 1994-09-09 1994-09-09 駆動装置付ポンプ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001099052A true JP2001099052A (ja) 2001-04-10
JP3570357B2 JP3570357B2 (ja) 2004-09-29

Family

ID=18740307

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000250791A Expired - Lifetime JP3570357B2 (ja) 2000-08-22 2000-08-22 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3570357B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP3570357B2 (ja) 2004-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3129099B2 (ja) 駆動装置付ポンプ
US8820887B2 (en) Liquid ejection device
JP2008230197A (ja) チューブポンプ、流体噴射装置、及びチューブポンプの駆動方法
JP4613631B2 (ja) 液体噴射装置及びそのクリーニング方法
KR20060044420A (ko) 잉크 젯 기록 장치
US20120274712A1 (en) Air extraction method for inkjet printhead
WO2005100031A1 (ja) 液体噴射装置のクリーニング方法及び液体噴射装置
US20090102884A1 (en) Fluid ejecting apparatus and method of controlling same
JP4356070B2 (ja) 液体噴射装置
JP4655142B2 (ja) 液体噴射装置
JP3570357B2 (ja) 駆動装置付ポンプおよびインクジェット記録装置
JP3352665B2 (ja) インクジェット記録装置
US6086183A (en) Recovery device of an ink jet printer
JP4497865B2 (ja) インクジェット記録装置の吸引回復方法
US20100020125A1 (en) Fluid ejection apparatus
JP3350361B2 (ja) インクジェット記録装置
JP4687397B2 (ja) 液体噴射装置およびそのポンプ制御方法
US5934889A (en) Pump driven by cam having the cylinder supported by the cam shaft
JP4529607B2 (ja) 液体噴射装置のクリーニング方法及び液体噴射装置
EP4197800A1 (en) Liquid ejecting device, and liquid ejecting method
JP2012192661A (ja) 弁機構及び液体噴射装置
JP2834957B2 (ja) インクジェットプリンタ
JPH0979136A (ja) ポンプ装置およびインクジェット型プリンタの噴射ヘッド回復装置
JP2006224531A (ja) 液体噴射装置、液体噴射装置における加圧気体の加圧解除システム、及び液体噴射装置における加圧気体の加圧解除方法
JP2004034462A (ja) チューブポンプ、該チューブポンプを用いたインクジェット式記録装置のメンテナンス機構およびそれらを備えたインクジェット式記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20031128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20031224

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040601

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040614

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080702

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090702

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100702

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110702

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120702

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120702

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130702

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term