JP3570097B2 - 水栓用ジョイントエルボの取付構造 - Google Patents

水栓用ジョイントエルボの取付構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物内の浴室、トイレ、洗面室などの壁面に水栓を固定する水栓用ジョイントエルボの取付構造。
【0002】
【発明の解決しよとする技術的課題】
近年、マンションなどの集合住宅や、高層建造物における給水、給湯用の配管工法として鞘管ヘッダー工法と称する工法が広く知られている。この鞘管ヘッダ工法は、給水装置に繋がるヘッダーから合成樹脂性の送水管を分岐させ、この送水管をフレキシブルな鞘管で外装して床下や天井裏などに這わせ、さらにこの鞘管を水栓の取付位置まで引き回すために壁板の裏側に配設して送水管に接続したジョイントエルボを壁板に形成する開口孔に臨ませるように固定し、この後、ジョイントエルボに水栓を接続するようにしている。
【0003】
そして、このような鞘管ヘッダー工法における送水管と水栓との接続構造として、例えば、特開平4−20618号、特開平5−79072号公報には、送水管と接続するL型のジョイントエルボをボックスの内部に収納し、このボックスの底部側に送水管に外装した鞘管の端部を固定した状態で該ボックスを壁板の裏面側に固定するように構成したボックス型の継手が開示されている。
【0004】
このようなボックス型の継手は構造が複雑でコストが嵩むうえ、ボックス内の狭い空間でジョイントエルボと送水管とを連結する必要があるため、送水管の更新時などにおいて、送水管の着脱作業に手間がかかるため、作業性に劣るものであった。
【0005】
このため、ジョイントエルボを収納するボックスを廃止し、ジョイントエルボを単にL型に折曲した支持具に固定するように構成したジョイントエルボの支持具が実開平5−71574号公報などで開示されている。しかし、この支持具は、ジョイントエルボのみを固定するもので、送水管を保護する鞘管の固定手段がないから、前述した鞘管ヘッダー工法に用いる場合、鞘管の固定手段を別途設ける必要があり構造が複雑化する。しかも、高層建造物などにおける給水、給湯用の送水管は、流水量に応じてサイズの異なる複数種の送水管が用いられ、その送水管に外装する鞘管も必然的に送水管のサイズに応じて複数種のものが用いられているから、そのサイズに応じた支持具を何種類も容易する必要があり、製造工程も煩雑となり、部品管理も複雑化するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、構造が簡単なL型の取付板にジョイントエルボと鞘管とを簡単に固定できるとともに、サイズの異なる鞘管を単一の取付板に固定することが可能な水栓用ジョイントエルボの取付構造を提供することをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、前記目的を達成するために、両端部に送水管と水栓の接続口を有するジョイントエルボを設け、このジョイントエルボと前記送水管に外装する鞘管とを固定する断面L型の取付板を設け、この取付板を壁板の裏面側に固定して前記水栓の接続口を前記壁板の開口孔に臨ませるように前記ジョイントエルボを固定する水栓用ジョイントエルボの取付構造において、前記鞘管を固定するための可撓性を有するU字型のクランプを設け、このクランプの両端部に外側に屈曲する係止片を形成し、前記取付板の下端縁には、前記クランプの両端部を挿通する一対の切欠部を形成するとともに、その切欠部に前記係止片を係止する切欠凹部を形成して構成される。
【0008】
上記構成によれば、L型に折曲した取付板にジョイントエルボを固定するようにしたから、施工が容易であり、また、ジョイントエルボと送水管との接続作業も簡単に行える。しかも、クランプの両端部を取付板の切欠部に挿通し、クランプの弾性復元力によりクランプの係止片を取付板の切欠凹部に嵌め入れるだけで取付板に鞘管を簡単に固定することができる。
【0009】
請求項2の発明は、前記請求項1記載の水栓用ジョイントエルボの取付構造において、ジョイントエルボの水栓側接続口の外周に取付座を側方に向かって突設するとともに、前記取付板の前面側に前記取付座と嵌合する位置決め凹部を設けて構成される。
【0010】
上記構成によれば、取付板とジョイントとを固定するとき、エルボジョイントエルボの取付座が取付板の前面側に形成する位置決め凹部に嵌まりジョイントエルボと取付板との位置合わせを正確に固定できる。
【0011】
請求項3の発明は、前記請求項1記載の水栓用ジョイントエルボの取付構造において、クランプを係止する切欠凹部を段差状に連続させて複数形成して構成される。
【0012】
上記構成によれば、サイズの異なる複数種の鞘管を固定する場合であっても、そのサイズに応じて複数種の取付板を用意する必要がなく、取付板を共通化できる。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明における水栓用ジョイントエルボの取付構造の一実施例について、図1〜図5を参照しながら説明する。同図において、1はボリブデンなどから成る送水管、2はこの送水管1に外装する蛇腹状の鞘管、3は砲金などの金属製材料から成形されるジョイントエルボである。
【0014】
ジョイントエルボ3は両端に接続口4,5を有して全体としてL型に形成され、その一端側の接続口4の外周に前記送水管1の固定リング6が一体的に固着されている。また、他端側の接続口5の内周面には水栓7を接続するねじ部8が形成され、さらに、その接続口5の外周面に鍔状の取付座9を横方向に向かって突設し、この取付座9にねじ10を挿通する一対の透孔11を形成する。
【0015】
15は前記ジョイントエルボ3を固定する取付板であり、垂直壁15Aと水平壁15Bとを有して断面L型に折曲形成している。この取付板15の垂直壁15Aには、前記固定リング6より径大であり、かつ前記取付座9が挿通可能な縦長の長孔16と前記取付座9の透孔11と対応するねじ孔17とが形成され、一方、取付板15の水平壁15Bには釘やビスなどを通す透孔18が形成されている。また、垂直壁15Aの下端縁には前記鞘管2の突当片20を切り起し形するための左右一対の切欠部21が間隔をおいて形成されている。なお、前記突当片21は前記鞘管2の外周面に接するように外端縁を湾曲状に切り欠いて前記鞘管2と概ね同じ曲率を有する縁部21Aを形成している。
【0016】
24は前記鞘管2を固定するクランプであり、ばね鋼材を素材とする帯板を鞘管2の径サイズに応じて概ねU字状に形成してある。なお、クランプ24の両端には外側に折曲した係止片25が形成され、この係止片25を前記取付板15の切欠部21から通して前記鞘管2を前記取付板15に固定する。この場合、前記取付板15の切欠部21にはクランプ24の係止片25を嵌め入れる複数の切欠凹部26,27が段差状に切り欠いて連続的に形成されている。つまり、前記送水管1及びこの送水管1を外装する鞘管2は、流水量に応じて各種のサイズのものが使用され、当然、鞘管2を固定するクランプ24も鞘管2のサイズに応じて複数種用意され、そのクランプ24を固定する切欠凹部26,27を順次間隔が広がるように段差状に切り欠いて形成することにより、サイズが異なる複数種のクランプ24を同じ取付板15に固定することができる。
【0017】
30は前記取付板15の垂直壁15Aにスポット溶接などの適宜手段で固着される筒体であり、壁板31に形成する開口孔32に嵌め入れる環状周壁部30Aと前記取付板15に突き当てる底面部30Bとを有する有底筒型に形成してある。そして、筒体30の底面部30Bに前記長孔16と同一の長孔33が穿設され、この長孔33の内周面に前記ジョイントエルボ3の取付座9と嵌合するようにほぼU字型に切り欠いた位置決め凹部34を形成している。
【0018】
40は前記壁板31に形成する開口孔32の前面周縁部を覆う円板状の化粧キャップであり、前記ジョイントエルボ3と前記水栓7との間に介在している。この化粧キャップ40は、その中心に前記接続口5の貫通孔41が形成され、その貫通孔41の前面周縁に防水用のOリング41を装着している。
【0019】
次に以上のように構成される本実施例の取付手順について説明する。まず、ジョイントエルボ3の接続口4に送水管1を嵌め入れ、固定リング6によってジョイントエルボ3に送水管1を接続する。このようにして予めジョイントエルボ3と送水管1を組み付けた状態でジョイントエルボ3を取付板15に固定する場合、ジョイントエルボ3の取付座9を取付板15の長孔16,33に通して取付板15の前面側に取付座9を位置させる。そして、取付板15を90度回転させて取付座9の透孔11に挿通したねじ10をねじ孔17に螺着してジョイントエルボ3と取付板15とを固定する。なお、予めジョイントエルボ3と送水管1とをセットした後、ジョイントエルボ3を取付板15に固定した場合を例に説明したが、これ以外でもジョイントエルボ3を取付板15を固定してからジョイントエルボ3に送水管1を固定する方法もある。この場合、取付板15の前面側からジョイントエルボ3の固定リング6を取付板15の長孔16,33に通して取付板15とジョイントエルボ3とを固定し、この後、ジョイントエルボ3に送水管1を接続すればよい。つまり、予めジョイントエルボ3と送水管1を組み付けた状態でジョイントエルボ3を取付板15に固定するか、もしくは、ジョイントエルボ3を取付板15を固定してからジョイントエルボ3に送水管1を固定するかは現場で施工しやすい方法を選択的に採用すればよい。また、取付板15とジョイントエルボ3との固定に際して、ジョイントエルボ3の取付面となる取付板15の前面側には、取付座9と嵌合する位置決め凹部34が取付板15の前面側に固着する筒体30の底面部30Bに切欠形成してあるから、ジョイントエルボ3の取付座9と位置決め凹部34とを嵌合させてジョイントエルボ3と取付板15との位置合わせを簡単に行うことができるとともに、筒体30の中心にジョイントエルボ3の接続口5を同芯的に組み付けることができる。このようにして送水管1、ジョイントエルボ3、取付板15を組み付けた後、送水管1に外装する鞘管2をクランプ24によって取付板15に固定するが、この取付板15へのクランプ24の固定は、クランプ24をやや撓ませた状態で、その両端部を取付板15の切欠部21から挿入してクランプ24を上方側にスライドさせることにより、クランプ24の弾性復元力によって係止片25が切欠部21に形成する切欠凹部26,27のいずれかに弾発的に嵌入する。すなわち、図5に示すように、鞘管2の径が太い場合、当然、その鞘管2を固定するクランプ24の径も大型なものを使用するから、外側の切欠凹部27にクランプ24の係止片25を係止し、細い鞘管2を使用する場合、内側の切欠凹部26にクランプ24の係止片25を係止する。つまり、サイズの異なる複数種のクランプ24を取付板15に固定できる。こうしてクランプ24によって鞘管2を取付板15に固定した後、取付板15の前面に固着した筒部30の環状周壁部30Aを壁板31の開口孔32に嵌め入れた状態で取付板15の水平壁15Bに形成する透孔18にくぎ45などの止着具を通し、これを桟木46に固定する。そして、ジョイントエルボ3の接続口5に化粧キャップ40の貫通孔41を貫通させ、接続口5のねじ部8に水栓7をねじ込んで水栓7の施工作業が終了する。
【0020】
以上のように本実施例においては、L型に折曲した極めて簡単な構造の取付板15にジョイントエルボ3を固定でき、従来のようなジョイントエルボ3を内蔵するボックスを廃止できるからコストダウンが可能である。また、狭いボックスの内側でジョイントエルボ3の組み付ける必要もないから、作業的にもジョイントエルボ3を簡単に組み付けることができる。しかも、本実施例では、L型に折曲した取付板15に鞘管2をクランプ24により簡単に固定することができる。
【0021】
また、予め工場などにおいてジョイントエルボ3と送水管1及び鞘管2を取付板15に組み付けた状態でセットしてユニット化することも可能であり、このように予めユニット化すれば施工現場での作業は単に取付板15を桟木46に固定し、ジョイントエルボ3に水栓7を組み付けるだけで済むため、現場での施工作業を簡略化することができ、また、工期も短縮化できる。また、このような方法以外でも取付板15にジョイントエルボ3のみを組み付け、施工現場でジョイントエルボ3と送水管1を接続し、クランプ24によって取付板15に鞘管2を固定することも可能である。すなわち、予め各構成部品をユニット化するかあるいは施工現場で各構成部品を固定するかは、施工現場の状況に応じて任意に選択すればよい。
【0022】
また、取付板15にジョイントエルボ3を組み付ける際、ジョイントエルボ3の取付座9が取付板15の前面側に固着する筒体30の底部に切り欠いた位置決め凹部34に嵌まりジョイントエルボ3と取付板15との位置合わせが簡単であり、また、筒体30の中心にジョイントエルボ3の接続口5が同芯的に組み付けられる。しかも、本実施例では取付板15の前面に壁板31の開口孔32に嵌め入れる筒部30を固着しているから、壁板31の開口孔32の中心にジョイントエルボ3の接続口5を正確に位置合わせした状態でジョイントエルボ3を固定でき、施工に伴う各構成部品の位置決め作業が簡単で、効率的である。さらに、クランプ24による鞘管2の固定に際して、クランプ24を切欠部21から挿通し、この後、クランプ24を上方側にスライドさせてクランプ24自体の弾性復元力によって取付板15に鞘管2を簡単に固定できる。しかも、サイズの異なる複数種のクランプ24を固定できるよう、取付板15の切欠部21に幅の異なる二種類の切欠凹部26,27を形成してあるから、サイズの異なる複数種の鞘管2を固定する場合であっても、そのサイズに応じて複数種の取付板15を用意する必要がなく、取付板15を共通化できる。
【0023】
また、取付板15の前面側にジョイントエルボ3を固定したことにより、ジョイントエルボ3を固定するねじ10を緩めてジョイントエルボ3を取り外すことにより、ジョイントエルボ3に接続する送水管1が長孔16,33から引き出すことでき、送水管1の更新時にジョイントエルボ3と送水管1との着脱作業を迅速かつ容易に行うことができる。
【0024】
以上、本発明の一実施例を詳述したが本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、取付板の形状などは適宜選定すればよいものであり、また、取付板に固着した筒体の底面部にジョイントエルボの取付座と嵌合する位置決め凹部を、U字型に切り欠いて形成した例を示したが、プレスなどにより、凹状に陥没させて位置決め凹部を形成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、両端部に送水管と水栓の接続口を有するジョイントエルボを設け、このジョイントエルボと前記送水管に外装する鞘管とを固定する断面L型の取付板を設け、この取付板を壁板の裏面側に固定して前記水栓の接続口を前記壁板の開口孔に臨ませるように前記ジョイントエルボを固定する水栓用ジョイントエルボの取付構造において、前記鞘管を固定するための可撓性を有するU字型のクランプを設け、このクランプの両端部に外側に屈曲する係止片を形成し、前記取付板の下端縁には、前記クランプの両端部を挿通する一対の切欠部を形成するとともに、その切欠部に前記係止片を係止する切欠凹部を形成して構成されるから、ジョイントエルボを内蔵するボックスを廃止してコストダウンが可能であり、また、狭いボックスの内側でジョイントエルボの組み付ける必要もないから、作業的にもジョイントエルボを簡単に組み付けることができるとともに、ジョイントエルボを組み付ける取付板に鞘管を簡単に固定することができる。
【0026】
請求項2の発明によれば、前記請求項1記載の水栓用ジョイントエルボの取付構造において、ジョイントエルボの水栓側接続口の外周に取付座を側方に向かって突設するとともに、前記取付板の前面側に前記取付座と嵌合する位置決め凹部を設けて構成されるから、ジョイントエルボと取付板との位置を正確に位置合せできる。
【0027】
請求項3の発明によれば、前記請求項1記載の水栓用ジョイントエルボの取付構造において、クランプを係止する切欠凹部を段差状に連続させて複数形成して構成されるから、サイズの異なる複数種の鞘管を固定する場合であても、そのサイズに応じて複数種の取付板を用意する必要がなく、取付板を共通化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】同上、水栓を取り付けた状態を示す全体断面図である。
【図3】同上、組み付け後の状態を示す取付板の正面図である。
【図4】同上、取付板の正面図である。
【図5】図3のA−A線断面図である。
【符号の説明】
1 送水管
2 鞘管
3 ジョイントエルボ
4,5 接続口
9 取付座
15 取付板
24 クランプ
25 係止片
26,27 切欠凹部
31 壁板
34 位置決め凹部

Claims (3)

  1. 両端部に送水管と水栓の接続口を有するジョイントエルボを設け、このジョイントエルボと前記送水管に外装する鞘管とを固定する断面L型の取付板を設け、この取付板を壁板の裏面側に固定して前記水栓の接続口を前記壁板の開口孔に臨ませるように前記ジョイントエルボを固定する水栓用ジョイントエルボの取付構造において、前記鞘管を固定するための可撓性を有するU字型のクランプを設け、このクランプの両端部に外側に屈曲する係止片を形成し、前記取付板の下端縁には、前記クランプの両端部を挿通する一対の切欠部を形成するとともに、その切欠部に前記係止片を係止する切欠凹部を形成したことを特徴とする水栓用ジョイントエルボの取付構造。
  2. 前記ジョイントエルボの水栓側接続口の外周に取付座を側方に向かって突設するとともに、前記取付板の前面側に前記取付座と嵌合する位置決め凹部を設けたことを特徴とする請求項1記載の水栓用ジョイントエルボの取付構造。
  3. 前記クランプを係止する切欠凹部を段差状に連続させて複数形成したことを特徴とする請求項1記載の水栓用ジョイントエルボの取付構造。
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