JP3569852B2 - 歯車の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、歯車の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、歯車の歯面の断面輪郭は図11に示すように標準化したものとなっており、歯元円6に沿って歯底1が形成され、歯先円8に沿って歯先5が形成されるもので、一般的にインボリュート曲線A等による歯形創成理論に基づく曲線で形成されており、従来においては歯切工具により、このような歯形創成理論に基づく歯形が切削加工で形成されるものである。即ち、従来においては、歯切工具により一義的に歯車の上記歯形が決定されるものであり、歯形により自ずとその強度も決定されており、より強度の増す歯形を有する歯車の製造は、従来の切削工法では困難であるという問題点があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、鍛造工法,圧造工法,サイジング工法等で、従来の歯形理論にとらわれない歯形の歯車を得ることのできる製造方法を提供せんことを目的とし、その第1の要旨は、鍛造工法,圧造工法,サイジング工法等で金型によりクラッチギアが一体成形された歯車の歯部を盛り上げ形成させるに際し、あらかじめ前記歯部の歯幅方向端面に歯の盛り上げを助長する凹部を断続的に形成させておくことである。
また第の要旨は、前記クラッチギアは、前記歯部の位置に対してずらした位置に形成されてなることである。
【0004】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明は、一般的なインボリュート曲線を有するスーパー歯車,ヘリカル歯車,ハイポイド歯車,カサ歯車,クラッチギア,スプライン等に適応され、また、トロコイド曲線を有した歯車にも適応することができるもので、図1では本例の歯車を造形する金型10の一例を示しており、本例の歯車は金型10を用いて鍛造工法または圧造工法またはサイジング工法により歯形を形成するものであり、金型10に形成された底部10aが歯車の歯底1を形成するものであり、また、底部10aから連続して立ち上がる金型10の側面部10bにより歯面が形成されるもので、金型10を押し付ける等して図1のように歯車の歯を盛り上げさせて形成することができる。尚、あらかじめ切削加工により歯形を形成させた後に前記金型10を用いて鍛造工法または圧造工法またはサイジング工法により形成することもでき、冷間,温間,熱間を問わず行なうことができる。
【0005】
本例では、図2に斜視図で、また図3に断面図で示すように、あらかじめ歯幅方向の両端面または一方の端面に凹み状に凹溝11を形成させておくものであり、この凹溝11は、歯元円6よりも中心側位置に、歯元円6に沿って形成させておくことができ、このような凹溝11を歯幅方向端面に形成させておけば、金型10で押圧して歯部を盛り上げ形成させる際に、凹溝11が盛り上げを助長させ、凹溝11を介し金型10による盛り上げ形成が円滑に行なわれるものであり、このような凹溝11が形成されていない場合には歯の盛り上げの初期の時点で極めて強大な押圧力を必要とするが、凹溝11が歯の盛り上げを良好に助長するため、金型10の押圧力を少なくして製造することができ、また金型10の摩耗も少なくなり、金型10の耐久性を高めることができるものである。また、凹溝11により歯車の軽量化を図ることができるものである。
【0006】
なお、凹溝11は図4のように、円周方向に沿って断続的な凹部12,12,12に変更しても良く、図4の場合には、各歯部の歯元部分にのみ凹部12,12,12をそれぞれ凹み状に形成させておくものである。
図4の場合にも金型による盛り上げ成形時に、凹部12が歯の盛り上げを良好に助長するものである。
【0007】
次に、図5は変更例を示すものであり、歯幅方向の端面に、歯元円6に沿って凹溝13を凹み状に形成させるとともに、この凹溝13に連続して各歯部に、歯元円6よりも外周側へ突出する凹部14,14,14をそれぞれ凹み状に形成させたものであり、図6に側面図で示すように、この各歯部Gの端面に形成される凹部14は、歯部の外径線Rに対する肉厚tを例えば1.5mm以上に設定しておくことができ、このような凹溝13および凹部14を形成させておけば、より良好に金型10による歯の盛り上げ形成が助長され、かつ歯車の軽量化を図ることができるものである。
なお、図7に示すように、前記図5の凹溝13を断続的なものに形成しておくこともできる。
【0008】
さらに、図8はクラッチギア20,20,20が一体化された歯車の場合を示すが、このようなクラッチギア一体歯車においても、凹部14,14,14を、それぞれの歯部Gの歯幅方向端面のクラッチギア20の上部にあらかじめ形成させておけば、金型10により、鍛造工法,圧造工法,サイジング工法で良好に歯部Gの盛り上げ形成をすることができ、凹部14,14,14を介し歯の盛り上げ形成が助長されて、歯部Gの成形が容易なものとなる。また、断続的な凹部14,14では、クラッチギア一体歯車におけるストッパー21の部分は良好に残されるため、ストッパー機能をも有効に発揮できるクラッチギア一体歯車を造形することができる。また図9のように、クラッチギア20,20,20の位置を歯部Gに対しずらせば、凹部14,14,14を大形に形成することができ、さらに図10のように、クラッチギア20と反対側の歯部Gの歯幅方向端面に凹部14,14,14を形成させても良い。
【0009】
【発明の効果】
本発明の歯車の製造方法は、鍛造工法,圧造工法,サイジング工法等で金型によりクラッチギアが一体成形された歯車の歯部を盛り上げ形成させるに際し、あらかじめ前記歯部の歯幅方向端面に歯の盛り上げを助長する凹部を断続的に形成させておくこととしたため、端面に形成された凹部が、金型で歯部を盛り上げ形成させる際に歯部の盛り上げ形成を良好に助長することとなり、歯面の内側にファイバーフローを円滑に形成させて歯を良好に造形することができ、従来の切削工法とは異なり、歯形理論にとらわれない強度の大なる歯形を有する歯車で、かつ軽量な歯車を製造することができる効果を有する。
また、凹部は、歯幅方向端面において断続的に形成されてなることにより、ストッパー部を残すことができ、これによってストッパー機能を有効に発揮しながら軽量化が図れる効果を有する。
また、クラッチギアは、歯部の位置に対してずらした位置に形成されてなることにより、凹部を大形に形成することができ、より軽量化が図れる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯車の歯部を金型により盛り上げ形成させる際の作業説明図である。
【図2】あらかじめ端面に形成される凹溝の斜視構成図である。
【図3】図2の断面構成図である。
【図4】端面に断続状に凹部を形成させた歯車の要部斜視図である。
【図5】端面の凹部の変更例を示す歯車の要部斜視図である。
【図6】図5の要部側面図である。
【図7】図5の凹部を断続状に形成させた側面構成図である。
【図8】クラッチギア一体歯車の端面に凹部を形成させた要部斜視構成図である。
【図9】クラッチギア一体歯車の端面に凹部を形成させた要部斜視構成図である。
【図10】クラッチギア一体歯車の端面に凹部を形成させた要部斜視構成図である。
【図11】従来のインボリュート曲線による歯形図である。
【符号の説明】
G 歯部
t 肉厚
1 歯底
10 金型
10b 側面部
11 凹溝
12 凹部
13 凹溝
14 凹部
20 クラッチギア

Claims (2)

  1. 鍛造工法,圧造工法,サイジング工法等で金型によりクラッチギアが一体成形された歯車の歯部を盛り上げ形成させるに際し、あらかじめ前記歯部の歯幅方向端面に歯の盛り上げを助長する凹部を断続的に形成させておくことを特徴とする歯車の製造方法。
  2. 前記クラッチギアは、前記歯部の位置に対してずらした位置に形成されてなる請求項に記載の歯車の製造方法。
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