JP3546488B2 - 歯車の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、歯車の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来の歯形創成理論に基づく曲線で形成される歯車は、標準化した歯切工具で切削工法により歯形が形成されるため、図3に示すように、歯底1に対し左右の歯面は対称形状に形成され、ドライブ側歯面Dとコースト側歯面Cは対称形をなしている。しかし、自動車の変速機等に歯車が使用される場合には、左右何れか側の歯面がドライブ側となり、ドライブ側の歯面にはコースト側よりも強く入力荷重が作用し、ドライブ側歯面は摩耗,破損にさらされるものであり、現実にはドライブ側歯面はコースト側歯面よりも強度が要求され、また、ギアノイズ等の発生を抑えるためにはドライブ側の歯面はコースト側の歯面よりも歯形精度等が優れていることが要求されるものであり、従来の切削工法による対称形状に形成された歯面では実状にそぐわないという問題点があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、ドライブ側の歯面の面精度および面強度を向上させた歯車の製造方法を提供せんことを目的とし、その要旨は、金型を相対的に押圧移動させて歯面を盛り上げ形成させる鍛造,圧造,サイジング工法による歯車の製造方法において、前記金型をねじれ角を有する傾斜状に形成し、該金型を歯車の軸方向に押圧移動させて該金型の荷重がドライブ側となる歯面に強く作用するように金型構造を設定したことである。
【0004】
【作用】
ドライブ側となる歯面側に強大に金型の押圧力が作用するようにして、鍛造,圧造,サイジング工法により歯車を製造すれば、ドライブ側の歯面がコースト側の歯面よりも優れた強度かつ精度を有するものとなる。
【0005】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、鍛造,圧造,サイジング工法により金型を用いて歯車を製造する概略構成図を示すものであり、図2は、その要部拡大斜視図を示すものである。
【0006】
ベース11には複数の金型12,12,12が固定されており、各金型12,12,12はねじれ角βを有する傾斜状にそれぞれ並列配置されたものであり、各金型12,12,12により図2に示すように歯車の歯形が形成される。
金型のベース11にPで示す矢印方向に押圧力を加えると、各金型12が歯車に押し付けられて、金型12の移動により、盛り上げ状に歯部Gが形成されるものであり、金型12の底面部12aにより歯底1が形成され、金型12の側面部12b,12cにより歯面が形成されるものであるが、本例では、金型12はそれぞれねじれ角βを有する傾斜状に形成されているため、荷重Pが作用することにより、ねじれ角βの関係で金型12の側面部12bが歯面に対し強く押圧されて移動することとなり、従って、金型12の側面部12bが押圧される図示右側のドライブ側歯面Dに押圧荷重が強く作用して、ドライブ側歯面Dは反対側のコースト側歯面Cよりも強い押圧力により内側に良好なファイバーフロー(繊維組織)が形成され、しかも、ドライブ側歯面Dは金型12の押圧移動に従って強い摩擦力を受けて面精度が良好に確保される。
【0007】
従って、ドライブ側歯面Dはコースト側歯面Cよりも面精度および面強度が高められたものとなり、特に、ねじれ角βを有するヘリカルギア等を形成する際には、極めて良好に金型12により一方側のドライブ側歯面Dを他方側のコースト側歯面Cよりも面精度等を高めたものとして製造することができ、このように製造された歯車を自動車用変速機等に使用する際には、ドライブ側歯面Dは常に入力荷重等を受けて使用頻度がコースト側歯面Cよりも高いものであり、従来よりもドライブ側歯面Dは優れた面精度および面強度に形成されているため、実際の使用状況に良好に対応することができ、摩耗,破損(フレーキング,スポーリング等)が従来よりも少なく耐久性が優れたものとなり、また、面精度が良好であるためギアノイズの発生が少ないものとなる。
【0008】
このように金型12の形状を工夫することにより、容易にドライブ側となる歯面の面精度を向上させることができ、ねじれ角βの方向を変えれば、逆にコースト側歯面Cをドライブ側として使用する際に、その面精度を向上させることができるものである。
【0009】
なお、本例では歯車に対し金型12を移動させて形成する場合を例示したが、逆に金型12に対し歯車側を押圧移動させて製造することもでき、金型12および歯車の両方を移動させて製造することもでき、ドライブ側となる歯面をコースト側となる歯面よりも強大な押圧力で盛り上げ形成し、内側に形成されるファイバーフローを強化させ、かつ面精度を良好に向上させることができるものである。
【0010】
なお、後の工程にシェービング工程または歯研工程を入れる場合にも、ドライブ側歯面の面精度は向上したものに形成されているため、シェービング工程または歯研工程でのドライブ側歯面の研削代は少なくてすみ、シェービング工程等のサイクルタイムを減少させることができるものである。
【0011】
【発明の効果】
本発明は、金型を相対的に押圧移動させて歯面を盛り上げ形成させる鍛造,圧造,サイジング工法による歯車の製造方法において、前記金型をねじれ角を有する傾斜状に形成し、該金型を歯車の軸方向に押圧移動させて該金型の荷重がドライブ側となる歯面に強く作用するように金型構造を設定したことにより、金型を相対的に押圧移動させて歯面を盛り上げ形成させる際に、ドライブ側となる歯面に、より強大な押圧力が作用し、これによりドライブ側歯面の内側に強大かつ良好なファイバーフローが形成されて、ドライブ側歯面の強度が向上するものとなり、また、金型による強大な摩擦力によりドライブ側歯面の面精度が極めて向上したものとなり、自動車用変速機等に使用される場合にドライブ側歯面の強度および精度が従来よりも大であるため、歯車の耐久性が向上し、また、面精度が良好でギアノイズの発生を減少させることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金型を押圧移動させて歯車を製造する作用説明図である。
【図2】図1の要部拡大斜視図である。
【図3】従来の歯形創性理論に基づく歯形図である。
【符号の説明】
G 歯部
D ドライブ側歯面
C コースト側歯面
P 荷重
11 ベース
12 金型
12a 底面部
12b,12c 側面部
【産業上の利用分野】
この発明は、歯車の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来の歯形創成理論に基づく曲線で形成される歯車は、標準化した歯切工具で切削工法により歯形が形成されるため、図3に示すように、歯底1に対し左右の歯面は対称形状に形成され、ドライブ側歯面Dとコースト側歯面Cは対称形をなしている。しかし、自動車の変速機等に歯車が使用される場合には、左右何れか側の歯面がドライブ側となり、ドライブ側の歯面にはコースト側よりも強く入力荷重が作用し、ドライブ側歯面は摩耗,破損にさらされるものであり、現実にはドライブ側歯面はコースト側歯面よりも強度が要求され、また、ギアノイズ等の発生を抑えるためにはドライブ側の歯面はコースト側の歯面よりも歯形精度等が優れていることが要求されるものであり、従来の切削工法による対称形状に形成された歯面では実状にそぐわないという問題点があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、ドライブ側の歯面の面精度および面強度を向上させた歯車の製造方法を提供せんことを目的とし、その要旨は、金型を相対的に押圧移動させて歯面を盛り上げ形成させる鍛造,圧造,サイジング工法による歯車の製造方法において、前記金型をねじれ角を有する傾斜状に形成し、該金型を歯車の軸方向に押圧移動させて該金型の荷重がドライブ側となる歯面に強く作用するように金型構造を設定したことである。
【0004】
【作用】
ドライブ側となる歯面側に強大に金型の押圧力が作用するようにして、鍛造,圧造,サイジング工法により歯車を製造すれば、ドライブ側の歯面がコースト側の歯面よりも優れた強度かつ精度を有するものとなる。
【0005】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、鍛造,圧造,サイジング工法により金型を用いて歯車を製造する概略構成図を示すものであり、図2は、その要部拡大斜視図を示すものである。
【0006】
ベース11には複数の金型12,12,12が固定されており、各金型12,12,12はねじれ角βを有する傾斜状にそれぞれ並列配置されたものであり、各金型12,12,12により図2に示すように歯車の歯形が形成される。
金型のベース11にPで示す矢印方向に押圧力を加えると、各金型12が歯車に押し付けられて、金型12の移動により、盛り上げ状に歯部Gが形成されるものであり、金型12の底面部12aにより歯底1が形成され、金型12の側面部12b,12cにより歯面が形成されるものであるが、本例では、金型12はそれぞれねじれ角βを有する傾斜状に形成されているため、荷重Pが作用することにより、ねじれ角βの関係で金型12の側面部12bが歯面に対し強く押圧されて移動することとなり、従って、金型12の側面部12bが押圧される図示右側のドライブ側歯面Dに押圧荷重が強く作用して、ドライブ側歯面Dは反対側のコースト側歯面Cよりも強い押圧力により内側に良好なファイバーフロー(繊維組織)が形成され、しかも、ドライブ側歯面Dは金型12の押圧移動に従って強い摩擦力を受けて面精度が良好に確保される。
【0007】
従って、ドライブ側歯面Dはコースト側歯面Cよりも面精度および面強度が高められたものとなり、特に、ねじれ角βを有するヘリカルギア等を形成する際には、極めて良好に金型12により一方側のドライブ側歯面Dを他方側のコースト側歯面Cよりも面精度等を高めたものとして製造することができ、このように製造された歯車を自動車用変速機等に使用する際には、ドライブ側歯面Dは常に入力荷重等を受けて使用頻度がコースト側歯面Cよりも高いものであり、従来よりもドライブ側歯面Dは優れた面精度および面強度に形成されているため、実際の使用状況に良好に対応することができ、摩耗,破損(フレーキング,スポーリング等)が従来よりも少なく耐久性が優れたものとなり、また、面精度が良好であるためギアノイズの発生が少ないものとなる。
【0008】
このように金型12の形状を工夫することにより、容易にドライブ側となる歯面の面精度を向上させることができ、ねじれ角βの方向を変えれば、逆にコースト側歯面Cをドライブ側として使用する際に、その面精度を向上させることができるものである。
【0009】
なお、本例では歯車に対し金型12を移動させて形成する場合を例示したが、逆に金型12に対し歯車側を押圧移動させて製造することもでき、金型12および歯車の両方を移動させて製造することもでき、ドライブ側となる歯面をコースト側となる歯面よりも強大な押圧力で盛り上げ形成し、内側に形成されるファイバーフローを強化させ、かつ面精度を良好に向上させることができるものである。
【0010】
なお、後の工程にシェービング工程または歯研工程を入れる場合にも、ドライブ側歯面の面精度は向上したものに形成されているため、シェービング工程または歯研工程でのドライブ側歯面の研削代は少なくてすみ、シェービング工程等のサイクルタイムを減少させることができるものである。
【0011】
【発明の効果】
本発明は、金型を相対的に押圧移動させて歯面を盛り上げ形成させる鍛造,圧造,サイジング工法による歯車の製造方法において、前記金型をねじれ角を有する傾斜状に形成し、該金型を歯車の軸方向に押圧移動させて該金型の荷重がドライブ側となる歯面に強く作用するように金型構造を設定したことにより、金型を相対的に押圧移動させて歯面を盛り上げ形成させる際に、ドライブ側となる歯面に、より強大な押圧力が作用し、これによりドライブ側歯面の内側に強大かつ良好なファイバーフローが形成されて、ドライブ側歯面の強度が向上するものとなり、また、金型による強大な摩擦力によりドライブ側歯面の面精度が極めて向上したものとなり、自動車用変速機等に使用される場合にドライブ側歯面の強度および精度が従来よりも大であるため、歯車の耐久性が向上し、また、面精度が良好でギアノイズの発生を減少させることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金型を押圧移動させて歯車を製造する作用説明図である。
【図2】図1の要部拡大斜視図である。
【図3】従来の歯形創性理論に基づく歯形図である。
【符号の説明】
G 歯部
D ドライブ側歯面
C コースト側歯面
P 荷重
11 ベース
12 金型
12a 底面部
12b,12c 側面部
Claims (1)
- 金型を相対的に押圧移動させて歯面を盛り上げ形成させる鍛造,圧造,サイジング工法による歯車の製造方法において、前記金型をねじれ角を有する傾斜状に形成し、該金型を歯車の軸方向に押圧移動させて該金型の荷重がドライブ側となる歯面に強く作用するように金型構造を設定したことを特徴とする歯車の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26156394A JP3546488B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | 歯車の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26156394A JP3546488B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | 歯車の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08103844A JPH08103844A (ja) | 1996-04-23 |
JP3546488B2 true JP3546488B2 (ja) | 2004-07-28 |
Family
ID=17363648
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26156394A Expired - Fee Related JP3546488B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | 歯車の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3546488B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2548253A1 (en) * | 2003-12-05 | 2005-06-23 | Axiom Automotive Technologies, Inc. | Improved automatic transmission and gear train |
-
1994
- 1994-09-30 JP JP26156394A patent/JP3546488B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08103844A (ja) | 1996-04-23 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040109 |
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TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
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