JP3568724B2 - 移動農機の操向装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインやハーベスタ等、クローラ走行部を有する移動農機に関し、特に操作レバー又は手元スイッチの操作に基づきサイドクラッチを入切可能な移動農機の操向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンバインやハーベスタ等の移動農機は左右一対のクローラ走行部を有しており、機体を旋回させる場合は左右いずれかの操作レバー(サイドクラッチレバー)を切り操作することで、油圧シリンダの作動杆を伸長作動させてサイドクラッチを切り、更に前記油圧シリンダの作動杆のストロークを伸長させてサイドクラッチ切り側のドライブシャフトにブレーキをかける構造のものが多い。
【0003】
また、例えば本件出願人の出願に係る特開平6−298116号公報に記載されているように、サイドクラッチを切るときに、操作レバーを操作すると先ず電磁ソレノイドに通電されてソレノイドピンが突出し、このソレノイドピンがサイドクラッチギヤと一体のカムに係合して該カムが軸方向に移動し、前記ギヤの噛み合いが外れてサイドクラッチが切られる。このとき、略々同時に油圧シリンダが作動し、該油圧にてサイドクラッチの切状態を保持するようにした技術が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来例のように、ソレノイドピンを突出させてサイドクラッチを切る手段にあっては、サイドクラッチ切の期間中、電磁ソレノイドに通電し続けてソレノイドピンを突出させた状態を維持していたため、操作レバーを戻してサイドクラッチの切状態を解除するときに、前記ソレノイドピンが前記カムに挟まれて戻り不良となる等、信頼性に欠けるおそれがある。
【0005】
すなわち、操作レバーにてサイドクラッチの切状態を解除するときに、例えば前記ソレノイドピンとカムとの位相関係から、該カムが軸方向に復帰するときにカムの凸部にソレノイドピンが当接したりすると、該ソレノイドピンがサイドクラッチギヤの戻しスプリング力により前記カムに挟み込まれ、該カムに乗り上げた状態(サイドクラッチ切状態)となって、ソレノイドピンを抜くのが困難になる。
【0006】
このため、例えば踏み板を用いてコンバインをトラックに積み降ろし等するときに、機体操向のため操作レバーを操作してソレノイドピンを突出させ、サイドクラッチを切ることがあるが、前記ソレノイドピンが前記カムに挟まれて戻り不良となると、コンバインが踏み板から外れてしまう等のおそれがある。
【0007】
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、機体操向時に作動ピンを出没させてサイドクラッチを入切する場合に、機体走行速度が低速領域にあるときや作業部が作動状態にないときは、前記作動ピンの突出を禁止して作動ピンの戻り不良による不都合を回避し得るようにした移動農機の操向装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る移動農機の操向装置は、軸方向に摺動してサイドクラッチ(c)の入切を行うサイドクラッチギヤ(19L,19R)と、該サイドクラッチギヤ(19L,19R)に一体的に固定されたカム(19a)と、操作レバー(23)の操作に基づき電磁アクチュエータ(41L,41R)を介して出没制御され、前記カム(19a)と係合離脱してサイドクラッチを入切可能な作動ピン(22,22)と、を備えた移動農機(1)において、
駆動輪(10a)に連動する回転部材(9)の回転数を検出する速度センサ(46)と、
前記速度センサ(46)による回転速度が所定値以下のときに、前記電磁アクチュエータ(41L,41R)への通電を禁止する制御部(44)と、を備え、
前記速度センサ(46)による検出速度が低速領域においては前記作動ピン(22,22)を突出させないようにした、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、軸方向に摺動してサイドクラッチ(c)の入切を行うサイドクラッチギヤ(19L,19R)と、該サイドクラッチギヤ(19L,19R)に一体的に固定されたカム(19a)と、手元スイッチ(48,48)の操作に基づき電磁アクチュエータ(41L,41R)により出没制御され前記カム(19a)と係合離脱してサイドクラッチ(c)を入切可能な作動ピン(22,22)と、油圧によりサイドクラッチ(c)を入切可能な操作レバー(23)と、を備えた移動農機において、
作業部が作動状態にあるか否かを検出する検知手段(50)と、
作業部が作動状態にないときに、前記手元スイッチ(48,48)の操作に基づく前記電磁アクチュエータ(41L,41R)への通電を禁止する制御部(44)を備え、
作業部が作動状態にないときは前記作動ピン(22,22)を突出させないようにした、ことを特徴とする。
【0010】
[作用]
以上の発明特定事項に基づき、本発明によれば、操作レバー(23)を傾動操作すると、電磁アクチュエータ(41)を介して作動ピン(22)が突出し、該作動ピン(22)がサイドクラッチのカム(19a)部に突入してサイドクラッチギヤ(19L,19R)がクラッチ切り方向に移動し、駆動力が切られるが、これと略々同時に、油圧シリンダ(15)が作動してその油圧によりサイドクラッチを切状態に保持する。
【0011】
そして、本発明では、速度センサ(46)により駆動輪(10a)に連動する回転部材(9)の回転数を検出し、このときの検出速度が所定値以下のときには、操作レバー(23)を操作したとしても、制御部(44)からの指令により前記電磁アクチュエータ(41L,41R)への通電を禁止することで、機体の低速走行時には前記作動ピン(22,22)を突出させないようにして、該作動ピン(22,22)の戻り不良による不都合を回避している。
【0012】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、本発明を何等限定するものではない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明が適用されたコンバインの外観斜視図であり、コンバイン1は、左右のクローラ走行装置10,10により支持された機体37の上部に運転席39を有し、この運転席39の操作パネル31には操作レバー(マルチステアリングレバー)23が設けられていて、機体37はエンジン38の動力により走行駆動される。また、機体37の前方には穀稈を刈り取る昇降自在な前処理部12を有し、穀稈の刈取作業中は、前記操作レバー23の左右傾動操作により立毛穀稈列条に沿って機体37が移動し、刈取りが行われる。
【0015】
前記コンバイン1のトランスミッション18の内部構造は、図2〜図4に示すようになっており、前記エンジン38からの動力は、入カプーリ2を介してメインシャフト3に伝達された後、主クラッチaを組み込んだ第1シャフト4、第2シャフト5、副変速機構bを組み込んだ第3シャフト6、第4シャフト7、サイドクラッチ機構c及びブレーキ機構dを組み込んだ第5シャフト8、及び上記各シャフトに装着されたギヤ群を介してドライブシャフト(左右)9,9に伝達され、前記クローラ走行装置10,lOが駆動されるようになっている。
【0016】
また、油圧ポンプ11は、油圧バルブ40を介して各部の油圧機構を作動させる油圧シリンダ15等を作動させ、該油圧シリンダ15によりサイドクラッチ機構cとブレーキ機構dが作動されるようになっている。前記油圧シリンダ15は、シリンダ軸15aとシフタ15bを有し、シリンダ軸15aが摺動することによりシフタ15bを回動させ、該シフタ15bに連結されたシフトフォーク15cにてサイドクラッチ機構c及びブレーキ機構dを作動させる。なお、前処理部12への動力伝達用の出カプーリ16は、ワンウエイクラッチ17を介して第2シャフト5に連係されている。
【0017】
前記サイドクラッチ機構cは、サイドクラッチギヤ19L,19Rを有し、このサイドクラッチギヤ19L,19Rは第5シャフト8に対し軸方向にのみ摺動自在で、かつ戻しスプリング20により常時クラッチ入り方向に付勢されていて、左右一方のサイドクラッチが入り状態にあるときは、サイドクラッチギヤ19L又は19Rは戻しスプリング20の弾発力でセンタギヤ21のドグ2laと噛合って動力の伝達が行われる。
【0018】
図4及び図5に示すように、このサイドクラッチギヤ19L,19Rには、夫々カム19aが一体的に設けられており、該カム19aのカム面19a’には、軸方向中央側に突出する凸部19a”が略々180度の位相差にて2箇所形成されている。そして、後述の電気指令により押し出されたソレノイドピン(作動ピン)22と上記カム19aによリ、サイドクラッチギヤ19L(又は19R)を軸方向に摺動させてサイドクラッチを切るように構成されている。
【0019】
すなわち、前述した図3に示されるように、操作レバー23の操作により、制御部44からの出力指令により電磁アクチュエータとしてのソレノイド41L(又は41R)に通電され、ソレノイドピン22が第5シャフト8側に押し出される。すると、ソレノイドピン22がサイドクラッチギヤ19L(又は19R)のカム19a部に嵌入して該サイドクラッチギヤ19L(又は19R)がクラッチ切り方向に強制的に移動させられる。このため、サイドクラッチギヤ19L(又は19R)がセンタギヤ21のドグ2laから外れ、左右いずれかのクローラ10の駆動力が切られる。
【0020】
図6(a)〜(d)は、前記ソレノイドピン22とカム19aとの位置関係を示す図である。
【0021】
すなわち、カム19aが図の時計方向に回転する場合に、ソレノイドピン22とカム19aの凸部19a”とが、回転角度において+42.80°の位相差にある位置までは、サイドクラッチは入状態にある。この状態から、図6(a)のように、カム19aが同方向に回転して、ソレノイドピン22とカム19aの凸部19a”とが、回転角度において+42.80°の位相差にある位置になると、サイドクラッチは半噛み状態になる。更に、図6(b)(c)のように、カム19aが同方向に回転してソレノイドピン22と凸部19a”とが、回転角度において±16.30°の位相差にある範囲内においては、サイドクラッチは切状態になる。そして、図6(d)のように、カム19aが更に同方向に回転してソレノイドピン22と凸部19a”とが、回転角度において−42.80°の位相差にある位置になると、サイドクラッチは半噛み状態になる。
【0022】
図7は、カムの輪郭曲線と回転角度との関係を示すものであり、前記ソレノイドピン22が図の(a)と(b)の間にあるときは、サイドクラッチは半噛み状態にあり、カムが回転してソレノイドピン22が図の(b)と(c)の間にあるとき、すなわちソレノイドピン22がカム面19a’の凸部19”に乗り上げているときは、サイドクラッチは切状態にある。また、カムが回転してソレノイドピン22が図の(c)と(d)の間にあるときは、サイドクラッチは半噛み状態にあり、更にカムが回転してソレノイドピン22が図の(d)位置から同方向に94.4°回転する間はサイドクラッチは入状態にある。
【0023】
そして、ソレノイドピン22がカムの凸部19”に乗り上げてサイドクラッチを切った後、元の位置に戻るときには、ソレノイドピン22がカムの谷の位置にきたときに復帰スプリング42の復元力で復帰する。
【0024】
ところで、図8において、前記油圧シリンダ15は、操作レバー23の操作により油圧バルブ40を介して制御され、この操作レバー23の左右傾動操作により左右のサイドクラッチ機構c及びブレーキ機構dの作動が、また,操作レバー23の前後傾動操作により前処理部12の昇降作動が行われる。そして、サイドクラッチ及びブレーキ作動と、該作動時における油圧バルブ40のバルブストローク(レバーストローク)との関係は、予め所定の関係に設定されている。
【0025】
例えば、操作レバー23が中立位置から右方向に少し傾動したA点では、制御部44に連係されたスイッチ25がONとなり、これによリソレノイド41Rのソレノイドピン22が第5シャフト8側に突出するようになっており、次いで、バルブストロークが中立位置から右方向に傾動したB点ではサイドクラッチが切れ(ON)、更にC点ではブレーキがかかり始める(ON)ように設定されている。
【0026】
同様に、操作レバー23が中立位置から左方向に少し傾動した点では、制御部44に連係されたスイッチ26がONとなり、これによリソレノイド41Lのソレノイドピン22が第5シャフト8側に突出するようになっている。
【0027】
ここで、本実施の形態では、駆動輪に連動する回転部材の回転数を検出する速度センサと、前記速度センサによる回転速度が所定値以下のときに、前記電磁アクチュエータ41L(又は41R)への通電を禁止する制御部と、を備えている、ことを特徴としている。
【0028】
すなわち、図1及び図3に示すように、トランスミッション18の近傍には、クローラ走行装置10の駆動輪10aに連動するドライブシャフト9の回転速度を検出する速度センサ46が設けられていて、該速度センサ46の出力は制御部44に入力されるようになっている。そして、前記ソレノイド41L(又は41R)には、この制御部44からの指令が入力され、前記速度センサ46によるファイナルギヤの検出速度が所定値以下のときに、前記制御部44からソレノイド41L(又は41R)への通電を禁止する制御信号が送付される。
【0029】
このため、速度センサ46により検出された速度が低速領域であって、操作レバー23の操作によりサイドクラッチを切ろうとした場合でも、ソレノイドピン22が突出されることはない。この場合、ソレノイドピン22は突出しないが、操作レバー23を操作したことにより、油圧シリンダ15が作動してシフタ15bによりサイドクラッチが切られる。
【0030】
以下、図9に基づき、操作レバー23の操作によるソレノイドピン22の制御について説明する。
【0031】
同図において、ステップS1では、トランスミッション18のドライブシャフト9の回転速度が予め設定された値より大きいか小さいかを判断し、設定値以下(低速)なら最初に戻り、設定値以上(高速)ならステップS2に移行する。このS2では、マルチレバーの右スイッチ25がオンかオフかを判断する。そして、オンならステップS3に進み、右ソレノイド41Rに通電して右側のソレノイドピン22を突出させ、オフならS4に進む。このステップS4では、マルチレバーの左スイッチ26がオンかオフかを判断する。そして、オンならステップS5に進み、左ソレノイド41Lに通電して左側のソレノイドピン22を突出させ、オフなら最初に戻る。
【0032】
次に、図10は、運転席39の把手47に手元スイッチとしてのジャストディレクタ48が設けられている。このジャストディレクタ48は、左右のサイドクラッチに対応して設けられ、これを押してオン操作すると、右又は左のソレノイド41L(41R)に通電されて対応する側のソレノイドピン22が突出され、押し続ければソレノイドピン22が突出し続けるようになっている。但し、このジャストディレクタ48をオン操作しても、油圧が作動してサイドクラッチ切状態を保持するようなことはない。
【0033】
そして、本実施の形態では、作業部が作動状態にあるか否かを検出する検知手段と、作業部が作動状態にないときに、前記手元スイッチ48の操作に基づく前記電磁アクチュエータ41L(41R)への通電を禁止する制御部44を備えたことを特徴としている。
【0034】
図11は、扱胴等の作業部を作動させる作業機レバー49と、該作業機レバー49が作動状態にあるか否かを検出する作業機クラッチスイッチ50の取り付け状態を示し、図12は本実施の形態における制御ブロック図を示している。
【0035】
前記作業機クラッチスイッチ50により、作業部が作動状態にあるか否かが検出され、このときの検出信号は制御部44に送付される。そして、作業部が作動状態にないときには、前記ジャストディレクタ48をオン操作しても、制御部44からの指令によりソレノイド41L(41R)への通電を禁止するようにしている。このため、作業部が作動状態にないときは、たとえジャストディレクタ48をオン操作しても、ソレノイドピン22は突出されず、該ソレノイドピン22によりサイドクラッチが切られることはない。
【0036】
以下、図13に基づき本実施の形態における制御を説明する。
【0037】
同図において、ステップS11で作業機クラッチスイッチ50がオンかオフかを判断し、オフなら最初に戻り、オンならステップS12に移行する。このS12では、右側のジャストディレクタ48がオン操作されたか否かを判断する。そして、オンならステップS13に進み、右ソレノイド41Rに通電して右側のソレノイドピン22を突出させ、オフならS14に進む。このステップS14では、左側のジャストディレクタ48がオン操作されたか否かを判断する。そして、オンならステップS15に進み、左ソレノイド41Lに通電して左側のソレノイドピン22を突出させ、オフなら最初に戻る。
【0038】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0039】
いま、機体を右旋回すべく操作レバー(マルチステアリングレバー)23を右側に傾働操作した際、該レバー23が右スイッチ25に接当し、該右スイッチ25がONとなるため、制御部44からの出力信号によリソレノイド41Rが作動してソレノイドピン22が突出してサイドクラッチのカム19a部に嵌入する。これによリ、カム面19’aがソレノイドピン22の側面に沿って回動し、右サイドクラッチギヤ19Rが図2の右方向に強制的に移動させられ、右サイドクラッチが切られて右クローラ10側の駆動力が切られ、機体は右旋回する。
【0040】
なお、操作レバー23をさらに右側に傾動させると油圧力がさらに上昇し、右サイドクラッチギヤ19Rの背面が右側のブレーキ機構dを押すことによリブレーキがかかり始める。
【0041】
ところで、コンバインをトラックから積み降ろす場合、通常地面とトラックの荷台との間に踏み板を掛け渡してコンバインを移動させるが、この場合、機体を左右に若干操向するのに前記操作レバー23により操作を行う場合と、運転席39の手元に設けられたジャストディレクタ48を用いる場合とがある。このジャストディレクタ48によれば、指操作によりソレノイドピン22を突出させることができるが、全機種に備えられているものではなくオプション装備である。
【0042】
そして、コンバインの積み降ろし時のような低速走行時に、前記操作レバー23を操作してソレノイドピン22を突出させてサイドクラッチを切ったり、あるいはジャストディレクタ48を操作してサイドクラッチを切ろうとすると、ソレノイドピン22の戻りが不良となった場合、コンバインが左右いずれかに旋回して踏み板から外れてしまうおそれがある。そこで、機体の走行速度を速度センサ46により検出し、コンバインの積み降ろし時のような低速走行時に、操作レバー23やジャストディレクタ48を操作したとしても、ソレノイドピン22が突出しないようにしている。
【0043】
また、圃場から畦道にコンバインを移動させるときのように、扱胴等の作業部が作動していないときに、ジャストディレクタ48を操作してソレノイドピン22を突出させ、サイドクラッチを切ろうとすると、ソレノイドピン22の戻りが不良の場合、前記と同様にコンバインが左右いずれかに旋回してしまうおそれがある。そこで、作業部が作動状態にないときは誤ってジャストディレクタ48を操作したとしても、ソレノイドピン22が突出しないようにしている。
【0044】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明は、軸方向に摺動してサイドクラッチの入切を行うサイドクラッチギヤと、該サイドクラッチギヤに一体的に固定されたカムと、操作レバーの操作に基づき電磁アクチュエータを介して出没制御され、前記カムと係合離脱してサイドクラッチを入切可能な作動ピンと、を備えた移動農機において、駆動輪に連動する回転部材の回転数を検出する速度センサと、前記速度センサによる回転速度が所定値以下のときに、前記電磁アクチュエータへの通電を禁止する制御部と、を備えたことにより、機体の低速走行時には操作レバーを操作したとしても作動ピンを突出しないようにして、該作動ピンの戻り不良により機体の正常な操向が困難となる等の不都合を回避することができる。なお、この場合でも、操作レバーの操作により油圧が作動してサイドクラッチの入切は可能である。
【0045】
また、本発明は、軸方向に摺動してサイドクラッチの入切を行うサイドクラッチギヤと、該サイドクラッチギヤに一体的に固定されたカムと、手元スイッチの操作に基づき電磁アクチュエータにより出没制御され前記カムと係合離脱してサイドクラッチを入切可能な作動ピンと、油圧によりサイドクラッチを入切可能な操作レバーと、を備えた移動農機において、作業部が作動状態にあるか否かを検出する検知手段と、作業部が作動状態にないときに、前記手元スイッチの操作に基づく前記電磁アクチュエータへの通電を禁止する制御部を備えたことにより、作業部が作動状態にないときには手元スイッチを操作したとしても作動ピンを突出させないようにして、該作動ピンの戻り不良による不都合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたコンバインの外観図である。
【図2】コンバインのトランスミッションの展開図である。
【図3】サイドクラッチギヤとソレノイドピンとの位置関係を示す側面図である。
【図4】油圧シリンダの断面図である。
【図5】サイドクラッチギヤのカム部の平面図である。
【図6】(a)〜(d)は、カムの回転に伴うソレノイドピンとカムとの相対位置関係を示す図である。
【図7】カムの輪郭曲線と回転角度との関係を示す図である。
【図8】操作レバーの操作位置とクラッチ及びブレーキの切位置との関係を示す図である。
【図9】マルチレバー操作による制御フローチャートを示す図である。
【図10】運転席の外観を示す図である。
【図11】作業機レバーと作業機クラッチスイッチとの位置関係を示す図である。
【図12】本実施の形態における制御ブロックを示す図である。
【図13】手元スイッチ操作による制御フローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 コンバイン
9 ドライブシャフト
10a 駆動輪
15 油圧シリンダ
18 トランスミッション
19L,19R サイドクラッチギヤ
19a カム
20 戻しスプリング
22 ソレノイドピン
23 操作レバー
25,26 スイッチ
40 油圧バルブ
41 ソレノイド
42 復帰スプリング
44 制御部
46 速度センサ
48 ジャストディレクタ
49 作業機レバー
50 作業機クラッチスイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインやハーベスタ等、クローラ走行部を有する移動農機に関し、特に操作レバー又は手元スイッチの操作に基づきサイドクラッチを入切可能な移動農機の操向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンバインやハーベスタ等の移動農機は左右一対のクローラ走行部を有しており、機体を旋回させる場合は左右いずれかの操作レバー(サイドクラッチレバー)を切り操作することで、油圧シリンダの作動杆を伸長作動させてサイドクラッチを切り、更に前記油圧シリンダの作動杆のストロークを伸長させてサイドクラッチ切り側のドライブシャフトにブレーキをかける構造のものが多い。
【0003】
また、例えば本件出願人の出願に係る特開平6−298116号公報に記載されているように、サイドクラッチを切るときに、操作レバーを操作すると先ず電磁ソレノイドに通電されてソレノイドピンが突出し、このソレノイドピンがサイドクラッチギヤと一体のカムに係合して該カムが軸方向に移動し、前記ギヤの噛み合いが外れてサイドクラッチが切られる。このとき、略々同時に油圧シリンダが作動し、該油圧にてサイドクラッチの切状態を保持するようにした技術が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来例のように、ソレノイドピンを突出させてサイドクラッチを切る手段にあっては、サイドクラッチ切の期間中、電磁ソレノイドに通電し続けてソレノイドピンを突出させた状態を維持していたため、操作レバーを戻してサイドクラッチの切状態を解除するときに、前記ソレノイドピンが前記カムに挟まれて戻り不良となる等、信頼性に欠けるおそれがある。
【0005】
すなわち、操作レバーにてサイドクラッチの切状態を解除するときに、例えば前記ソレノイドピンとカムとの位相関係から、該カムが軸方向に復帰するときにカムの凸部にソレノイドピンが当接したりすると、該ソレノイドピンがサイドクラッチギヤの戻しスプリング力により前記カムに挟み込まれ、該カムに乗り上げた状態(サイドクラッチ切状態)となって、ソレノイドピンを抜くのが困難になる。
【0006】
このため、例えば踏み板を用いてコンバインをトラックに積み降ろし等するときに、機体操向のため操作レバーを操作してソレノイドピンを突出させ、サイドクラッチを切ることがあるが、前記ソレノイドピンが前記カムに挟まれて戻り不良となると、コンバインが踏み板から外れてしまう等のおそれがある。
【0007】
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、機体操向時に作動ピンを出没させてサイドクラッチを入切する場合に、機体走行速度が低速領域にあるときや作業部が作動状態にないときは、前記作動ピンの突出を禁止して作動ピンの戻り不良による不都合を回避し得るようにした移動農機の操向装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る移動農機の操向装置は、軸方向に摺動してサイドクラッチ(c)の入切を行うサイドクラッチギヤ(19L,19R)と、該サイドクラッチギヤ(19L,19R)に一体的に固定されたカム(19a)と、操作レバー(23)の操作に基づき電磁アクチュエータ(41L,41R)を介して出没制御され、前記カム(19a)と係合離脱してサイドクラッチを入切可能な作動ピン(22,22)と、を備えた移動農機(1)において、
駆動輪(10a)に連動する回転部材(9)の回転数を検出する速度センサ(46)と、
前記速度センサ(46)による回転速度が所定値以下のときに、前記電磁アクチュエータ(41L,41R)への通電を禁止する制御部(44)と、を備え、
前記速度センサ(46)による検出速度が低速領域においては前記作動ピン(22,22)を突出させないようにした、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、軸方向に摺動してサイドクラッチ(c)の入切を行うサイドクラッチギヤ(19L,19R)と、該サイドクラッチギヤ(19L,19R)に一体的に固定されたカム(19a)と、手元スイッチ(48,48)の操作に基づき電磁アクチュエータ(41L,41R)により出没制御され前記カム(19a)と係合離脱してサイドクラッチ(c)を入切可能な作動ピン(22,22)と、油圧によりサイドクラッチ(c)を入切可能な操作レバー(23)と、を備えた移動農機において、
作業部が作動状態にあるか否かを検出する検知手段(50)と、
作業部が作動状態にないときに、前記手元スイッチ(48,48)の操作に基づく前記電磁アクチュエータ(41L,41R)への通電を禁止する制御部(44)を備え、
作業部が作動状態にないときは前記作動ピン(22,22)を突出させないようにした、ことを特徴とする。
【0010】
[作用]
以上の発明特定事項に基づき、本発明によれば、操作レバー(23)を傾動操作すると、電磁アクチュエータ(41)を介して作動ピン(22)が突出し、該作動ピン(22)がサイドクラッチのカム(19a)部に突入してサイドクラッチギヤ(19L,19R)がクラッチ切り方向に移動し、駆動力が切られるが、これと略々同時に、油圧シリンダ(15)が作動してその油圧によりサイドクラッチを切状態に保持する。
【0011】
そして、本発明では、速度センサ(46)により駆動輪(10a)に連動する回転部材(9)の回転数を検出し、このときの検出速度が所定値以下のときには、操作レバー(23)を操作したとしても、制御部(44)からの指令により前記電磁アクチュエータ(41L,41R)への通電を禁止することで、機体の低速走行時には前記作動ピン(22,22)を突出させないようにして、該作動ピン(22,22)の戻り不良による不都合を回避している。
【0012】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、本発明を何等限定するものではない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明が適用されたコンバインの外観斜視図であり、コンバイン1は、左右のクローラ走行装置10,10により支持された機体37の上部に運転席39を有し、この運転席39の操作パネル31には操作レバー(マルチステアリングレバー)23が設けられていて、機体37はエンジン38の動力により走行駆動される。また、機体37の前方には穀稈を刈り取る昇降自在な前処理部12を有し、穀稈の刈取作業中は、前記操作レバー23の左右傾動操作により立毛穀稈列条に沿って機体37が移動し、刈取りが行われる。
【0015】
前記コンバイン1のトランスミッション18の内部構造は、図2〜図4に示すようになっており、前記エンジン38からの動力は、入カプーリ2を介してメインシャフト3に伝達された後、主クラッチaを組み込んだ第1シャフト4、第2シャフト5、副変速機構bを組み込んだ第3シャフト6、第4シャフト7、サイドクラッチ機構c及びブレーキ機構dを組み込んだ第5シャフト8、及び上記各シャフトに装着されたギヤ群を介してドライブシャフト(左右)9,9に伝達され、前記クローラ走行装置10,lOが駆動されるようになっている。
【0016】
また、油圧ポンプ11は、油圧バルブ40を介して各部の油圧機構を作動させる油圧シリンダ15等を作動させ、該油圧シリンダ15によりサイドクラッチ機構cとブレーキ機構dが作動されるようになっている。前記油圧シリンダ15は、シリンダ軸15aとシフタ15bを有し、シリンダ軸15aが摺動することによりシフタ15bを回動させ、該シフタ15bに連結されたシフトフォーク15cにてサイドクラッチ機構c及びブレーキ機構dを作動させる。なお、前処理部12への動力伝達用の出カプーリ16は、ワンウエイクラッチ17を介して第2シャフト5に連係されている。
【0017】
前記サイドクラッチ機構cは、サイドクラッチギヤ19L,19Rを有し、このサイドクラッチギヤ19L,19Rは第5シャフト8に対し軸方向にのみ摺動自在で、かつ戻しスプリング20により常時クラッチ入り方向に付勢されていて、左右一方のサイドクラッチが入り状態にあるときは、サイドクラッチギヤ19L又は19Rは戻しスプリング20の弾発力でセンタギヤ21のドグ2laと噛合って動力の伝達が行われる。
【0018】
図4及び図5に示すように、このサイドクラッチギヤ19L,19Rには、夫々カム19aが一体的に設けられており、該カム19aのカム面19a’には、軸方向中央側に突出する凸部19a”が略々180度の位相差にて2箇所形成されている。そして、後述の電気指令により押し出されたソレノイドピン(作動ピン)22と上記カム19aによリ、サイドクラッチギヤ19L(又は19R)を軸方向に摺動させてサイドクラッチを切るように構成されている。
【0019】
すなわち、前述した図3に示されるように、操作レバー23の操作により、制御部44からの出力指令により電磁アクチュエータとしてのソレノイド41L(又は41R)に通電され、ソレノイドピン22が第5シャフト8側に押し出される。すると、ソレノイドピン22がサイドクラッチギヤ19L(又は19R)のカム19a部に嵌入して該サイドクラッチギヤ19L(又は19R)がクラッチ切り方向に強制的に移動させられる。このため、サイドクラッチギヤ19L(又は19R)がセンタギヤ21のドグ2laから外れ、左右いずれかのクローラ10の駆動力が切られる。
【0020】
図6(a)〜(d)は、前記ソレノイドピン22とカム19aとの位置関係を示す図である。
【0021】
すなわち、カム19aが図の時計方向に回転する場合に、ソレノイドピン22とカム19aの凸部19a”とが、回転角度において+42.80°の位相差にある位置までは、サイドクラッチは入状態にある。この状態から、図6(a)のように、カム19aが同方向に回転して、ソレノイドピン22とカム19aの凸部19a”とが、回転角度において+42.80°の位相差にある位置になると、サイドクラッチは半噛み状態になる。更に、図6(b)(c)のように、カム19aが同方向に回転してソレノイドピン22と凸部19a”とが、回転角度において±16.30°の位相差にある範囲内においては、サイドクラッチは切状態になる。そして、図6(d)のように、カム19aが更に同方向に回転してソレノイドピン22と凸部19a”とが、回転角度において−42.80°の位相差にある位置になると、サイドクラッチは半噛み状態になる。
【0022】
図7は、カムの輪郭曲線と回転角度との関係を示すものであり、前記ソレノイドピン22が図の(a)と(b)の間にあるときは、サイドクラッチは半噛み状態にあり、カムが回転してソレノイドピン22が図の(b)と(c)の間にあるとき、すなわちソレノイドピン22がカム面19a’の凸部19”に乗り上げているときは、サイドクラッチは切状態にある。また、カムが回転してソレノイドピン22が図の(c)と(d)の間にあるときは、サイドクラッチは半噛み状態にあり、更にカムが回転してソレノイドピン22が図の(d)位置から同方向に94.4°回転する間はサイドクラッチは入状態にある。
【0023】
そして、ソレノイドピン22がカムの凸部19”に乗り上げてサイドクラッチを切った後、元の位置に戻るときには、ソレノイドピン22がカムの谷の位置にきたときに復帰スプリング42の復元力で復帰する。
【0024】
ところで、図8において、前記油圧シリンダ15は、操作レバー23の操作により油圧バルブ40を介して制御され、この操作レバー23の左右傾動操作により左右のサイドクラッチ機構c及びブレーキ機構dの作動が、また,操作レバー23の前後傾動操作により前処理部12の昇降作動が行われる。そして、サイドクラッチ及びブレーキ作動と、該作動時における油圧バルブ40のバルブストローク(レバーストローク)との関係は、予め所定の関係に設定されている。
【0025】
例えば、操作レバー23が中立位置から右方向に少し傾動したA点では、制御部44に連係されたスイッチ25がONとなり、これによリソレノイド41Rのソレノイドピン22が第5シャフト8側に突出するようになっており、次いで、バルブストロークが中立位置から右方向に傾動したB点ではサイドクラッチが切れ(ON)、更にC点ではブレーキがかかり始める(ON)ように設定されている。
【0026】
同様に、操作レバー23が中立位置から左方向に少し傾動した点では、制御部44に連係されたスイッチ26がONとなり、これによリソレノイド41Lのソレノイドピン22が第5シャフト8側に突出するようになっている。
【0027】
ここで、本実施の形態では、駆動輪に連動する回転部材の回転数を検出する速度センサと、前記速度センサによる回転速度が所定値以下のときに、前記電磁アクチュエータ41L(又は41R)への通電を禁止する制御部と、を備えている、ことを特徴としている。
【0028】
すなわち、図1及び図3に示すように、トランスミッション18の近傍には、クローラ走行装置10の駆動輪10aに連動するドライブシャフト9の回転速度を検出する速度センサ46が設けられていて、該速度センサ46の出力は制御部44に入力されるようになっている。そして、前記ソレノイド41L(又は41R)には、この制御部44からの指令が入力され、前記速度センサ46によるファイナルギヤの検出速度が所定値以下のときに、前記制御部44からソレノイド41L(又は41R)への通電を禁止する制御信号が送付される。
【0029】
このため、速度センサ46により検出された速度が低速領域であって、操作レバー23の操作によりサイドクラッチを切ろうとした場合でも、ソレノイドピン22が突出されることはない。この場合、ソレノイドピン22は突出しないが、操作レバー23を操作したことにより、油圧シリンダ15が作動してシフタ15bによりサイドクラッチが切られる。
【0030】
以下、図9に基づき、操作レバー23の操作によるソレノイドピン22の制御について説明する。
【0031】
同図において、ステップS1では、トランスミッション18のドライブシャフト9の回転速度が予め設定された値より大きいか小さいかを判断し、設定値以下(低速)なら最初に戻り、設定値以上(高速)ならステップS2に移行する。このS2では、マルチレバーの右スイッチ25がオンかオフかを判断する。そして、オンならステップS3に進み、右ソレノイド41Rに通電して右側のソレノイドピン22を突出させ、オフならS4に進む。このステップS4では、マルチレバーの左スイッチ26がオンかオフかを判断する。そして、オンならステップS5に進み、左ソレノイド41Lに通電して左側のソレノイドピン22を突出させ、オフなら最初に戻る。
【0032】
次に、図10は、運転席39の把手47に手元スイッチとしてのジャストディレクタ48が設けられている。このジャストディレクタ48は、左右のサイドクラッチに対応して設けられ、これを押してオン操作すると、右又は左のソレノイド41L(41R)に通電されて対応する側のソレノイドピン22が突出され、押し続ければソレノイドピン22が突出し続けるようになっている。但し、このジャストディレクタ48をオン操作しても、油圧が作動してサイドクラッチ切状態を保持するようなことはない。
【0033】
そして、本実施の形態では、作業部が作動状態にあるか否かを検出する検知手段と、作業部が作動状態にないときに、前記手元スイッチ48の操作に基づく前記電磁アクチュエータ41L(41R)への通電を禁止する制御部44を備えたことを特徴としている。
【0034】
図11は、扱胴等の作業部を作動させる作業機レバー49と、該作業機レバー49が作動状態にあるか否かを検出する作業機クラッチスイッチ50の取り付け状態を示し、図12は本実施の形態における制御ブロック図を示している。
【0035】
前記作業機クラッチスイッチ50により、作業部が作動状態にあるか否かが検出され、このときの検出信号は制御部44に送付される。そして、作業部が作動状態にないときには、前記ジャストディレクタ48をオン操作しても、制御部44からの指令によりソレノイド41L(41R)への通電を禁止するようにしている。このため、作業部が作動状態にないときは、たとえジャストディレクタ48をオン操作しても、ソレノイドピン22は突出されず、該ソレノイドピン22によりサイドクラッチが切られることはない。
【0036】
以下、図13に基づき本実施の形態における制御を説明する。
【0037】
同図において、ステップS11で作業機クラッチスイッチ50がオンかオフかを判断し、オフなら最初に戻り、オンならステップS12に移行する。このS12では、右側のジャストディレクタ48がオン操作されたか否かを判断する。そして、オンならステップS13に進み、右ソレノイド41Rに通電して右側のソレノイドピン22を突出させ、オフならS14に進む。このステップS14では、左側のジャストディレクタ48がオン操作されたか否かを判断する。そして、オンならステップS15に進み、左ソレノイド41Lに通電して左側のソレノイドピン22を突出させ、オフなら最初に戻る。
【0038】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0039】
いま、機体を右旋回すべく操作レバー(マルチステアリングレバー)23を右側に傾働操作した際、該レバー23が右スイッチ25に接当し、該右スイッチ25がONとなるため、制御部44からの出力信号によリソレノイド41Rが作動してソレノイドピン22が突出してサイドクラッチのカム19a部に嵌入する。これによリ、カム面19’aがソレノイドピン22の側面に沿って回動し、右サイドクラッチギヤ19Rが図2の右方向に強制的に移動させられ、右サイドクラッチが切られて右クローラ10側の駆動力が切られ、機体は右旋回する。
【0040】
なお、操作レバー23をさらに右側に傾動させると油圧力がさらに上昇し、右サイドクラッチギヤ19Rの背面が右側のブレーキ機構dを押すことによリブレーキがかかり始める。
【0041】
ところで、コンバインをトラックから積み降ろす場合、通常地面とトラックの荷台との間に踏み板を掛け渡してコンバインを移動させるが、この場合、機体を左右に若干操向するのに前記操作レバー23により操作を行う場合と、運転席39の手元に設けられたジャストディレクタ48を用いる場合とがある。このジャストディレクタ48によれば、指操作によりソレノイドピン22を突出させることができるが、全機種に備えられているものではなくオプション装備である。
【0042】
そして、コンバインの積み降ろし時のような低速走行時に、前記操作レバー23を操作してソレノイドピン22を突出させてサイドクラッチを切ったり、あるいはジャストディレクタ48を操作してサイドクラッチを切ろうとすると、ソレノイドピン22の戻りが不良となった場合、コンバインが左右いずれかに旋回して踏み板から外れてしまうおそれがある。そこで、機体の走行速度を速度センサ46により検出し、コンバインの積み降ろし時のような低速走行時に、操作レバー23やジャストディレクタ48を操作したとしても、ソレノイドピン22が突出しないようにしている。
【0043】
また、圃場から畦道にコンバインを移動させるときのように、扱胴等の作業部が作動していないときに、ジャストディレクタ48を操作してソレノイドピン22を突出させ、サイドクラッチを切ろうとすると、ソレノイドピン22の戻りが不良の場合、前記と同様にコンバインが左右いずれかに旋回してしまうおそれがある。そこで、作業部が作動状態にないときは誤ってジャストディレクタ48を操作したとしても、ソレノイドピン22が突出しないようにしている。
【0044】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明は、軸方向に摺動してサイドクラッチの入切を行うサイドクラッチギヤと、該サイドクラッチギヤに一体的に固定されたカムと、操作レバーの操作に基づき電磁アクチュエータを介して出没制御され、前記カムと係合離脱してサイドクラッチを入切可能な作動ピンと、を備えた移動農機において、駆動輪に連動する回転部材の回転数を検出する速度センサと、前記速度センサによる回転速度が所定値以下のときに、前記電磁アクチュエータへの通電を禁止する制御部と、を備えたことにより、機体の低速走行時には操作レバーを操作したとしても作動ピンを突出しないようにして、該作動ピンの戻り不良により機体の正常な操向が困難となる等の不都合を回避することができる。なお、この場合でも、操作レバーの操作により油圧が作動してサイドクラッチの入切は可能である。
【0045】
また、本発明は、軸方向に摺動してサイドクラッチの入切を行うサイドクラッチギヤと、該サイドクラッチギヤに一体的に固定されたカムと、手元スイッチの操作に基づき電磁アクチュエータにより出没制御され前記カムと係合離脱してサイドクラッチを入切可能な作動ピンと、油圧によりサイドクラッチを入切可能な操作レバーと、を備えた移動農機において、作業部が作動状態にあるか否かを検出する検知手段と、作業部が作動状態にないときに、前記手元スイッチの操作に基づく前記電磁アクチュエータへの通電を禁止する制御部を備えたことにより、作業部が作動状態にないときには手元スイッチを操作したとしても作動ピンを突出させないようにして、該作動ピンの戻り不良による不都合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたコンバインの外観図である。
【図2】コンバインのトランスミッションの展開図である。
【図3】サイドクラッチギヤとソレノイドピンとの位置関係を示す側面図である。
【図4】油圧シリンダの断面図である。
【図5】サイドクラッチギヤのカム部の平面図である。
【図6】(a)〜(d)は、カムの回転に伴うソレノイドピンとカムとの相対位置関係を示す図である。
【図7】カムの輪郭曲線と回転角度との関係を示す図である。
【図8】操作レバーの操作位置とクラッチ及びブレーキの切位置との関係を示す図である。
【図9】マルチレバー操作による制御フローチャートを示す図である。
【図10】運転席の外観を示す図である。
【図11】作業機レバーと作業機クラッチスイッチとの位置関係を示す図である。
【図12】本実施の形態における制御ブロックを示す図である。
【図13】手元スイッチ操作による制御フローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 コンバイン
9 ドライブシャフト
10a 駆動輪
15 油圧シリンダ
18 トランスミッション
19L,19R サイドクラッチギヤ
19a カム
20 戻しスプリング
22 ソレノイドピン
23 操作レバー
25,26 スイッチ
40 油圧バルブ
41 ソレノイド
42 復帰スプリング
44 制御部
46 速度センサ
48 ジャストディレクタ
49 作業機レバー
50 作業機クラッチスイッチ
Claims (2)
- 軸方向に摺動してサイドクラッチの入切を行うサイドクラッチギヤと、該サイドクラッチギヤに一体的に固定されたカムと、操作レバーの操作に基づき電磁アクチュエータを介して出没制御され、前記カムと係合離脱してサイドクラッチを入切可能な作動ピンと、を備えた移動農機において、
駆動輪に連動する回転部材の回転数を検出する速度センサと、
前記速度センサによる回転速度が所定値以下のときに、前記電磁アクチュエータへの通電を禁止する制御部と、を備え、
前記速度センサによる検出速度が低速領域においては前記作動ピンを突出させないようにした、
ことを特徴とする移動農機の操向装置。 - 軸方向に摺動してサイドクラッチの入切を行うサイドクラッチギヤと、該サイドクラッチギヤに一体的に固定されたカムと、手元スイッチの操作に基づき電磁アクチュエータにより出没制御され前記カムと係合離脱してサイドクラッチを入切可能な作動ピンと、油圧によりサイドクラッチを入切可能な操作レバーと、を備えた移動農機において、
作業部が作動状態にあるか否かを検出する検知手段と、
作業部が作動状態にないときに、前記手元スイッチの操作に基づく前記電磁アクチュエータへの通電を禁止する制御部を備え、
作業部が作動状態にないときは前記作動ピンを突出させないようにした、
ことを特徴とする移動農機の操向装置。
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