JP3568389B2 - 寝具類乾燥機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、布団、マットレス等の寝具類を乾燥する寝具類乾燥機に関し、更に詳しくは、一度に多数の寝具類を乾燥可能な業務用の寝具類乾燥機に関する。
【0002】
【従来の技術】
病院や各種福祉施設では多数の寝具類が使用されており、これらの衛生状態を保つため、或いは、患者や施設入所者に快適な環境を提供するために、複数の寝具類を短時間で乾燥させる寝具類乾燥機が利用されている。
【0003】
従来の寝具類乾燥機として、特公平6−73591号公報に開示のものが知られている。この乾燥機では、側周壁に多数の通気孔を穿孔した円筒形状のドラムを使用し、該ドラム内に収容した布団に作用する遠心力が重力より大となる速度でドラムを回転させつつ、通気孔から蒸気をドラム内に噴出することにより布団に蒸気を通過させ、その後に、布団に作用する遠心力が重力より小となる速度でドラムを回転させつつ熱風をドラム内に吹き込むことにより、布団を攪拌しながら乾燥させる構成となっている。
【0004】
しかしながらこの構成は、例えばマットレスのように折り畳むことが困難である寝具類の乾燥には適さない。また、多数の寝具類を同時に乾燥することができない。更に、攪拌することにより布団の中綿や布カバーの傷みが大きいため、布団の寿命が短くなるという問題もある。
【0005】
このようなことから、一般的には、電気ヒータを用いた静止形の布団乾燥機が使用されている。すなわち、布団掛け用ハンガーに布団やマットレスを掛けた台車を密閉可能な乾燥室内に収納し、該乾燥室内に電気ヒータにより加熱した熱風を循環させ、これにより布団やマットレス等の乾燥を行なうものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、布団の中綿やマットレスのウレタンフォームはそれ自体が断熱材と同様の効果を有するから、熱風は布団やマットレスの内部に届きにくく、該内部の温度は上がりにくい。そのため、寝具類の損傷をあまり生じない程度の温度や乾燥時間でもって、その内部に潜む細菌類を完全に死滅させることは実際上不可能であった。また、温度が上昇しにくいため、特に内部の乾燥が不十分になる傾向にあった。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、布団やマットレス等の寝具類の内部の殺菌を効果的に行なうとともに、短時間で十分な乾燥が行なえる寝具類乾燥機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
上記課題を解決するために成された本発明は、箱形の乾燥室内に布団、マットレス等の寝具類を静止状態で収納して乾燥する寝具類乾燥機において、
a)外気を加熱して前記乾燥室内に送り込む加熱空気供給手段と、
b)前記乾燥室内に加熱蒸気を供給するための蒸気供給手段と、
c)該蒸気供給手段により所定時間前記乾燥室内に加熱蒸気を供給して、該加熱室内の温度を高温にすることにより寝具類内部にまで蒸気を浸透させて、寝具類内部の温度を上昇させる蒸気導入行程と、前記加熱空気供給手段により加熱空気を該乾燥室内に供給して、加熱室内の温度を所定範囲に保ち、寝具類を乾燥させる熱風乾燥行程とを順次実行する運転制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る寝具類乾燥機では、乾燥室に乾燥対象の寝具類が収納されると、運転制御手段は、まず、蒸気供給手段により乾燥室内に加熱蒸気を供給する。加熱蒸気は寝具類の表面から内部に浸透し、内部の温度も充分に高まる。これにより、寝具類の内部に至るまで殺菌が行なえる。次いで運転制御手段は、蒸気の供給を停止させ、加熱空気供給手段により乾燥室内に加熱空気を供給する。このとき、既に寝具類の内部温度は高くなっているので、蒸気により与えられた湿り気は加熱空気により運び去られ、寝具類は短時間のうちに乾燥する。これにより、寝具類はその内部までふんわりした状態になる。
【0010】
なお、上記本発明に係る寝具類乾燥機では、加熱空気供給手段は、外気吸入口と、該外気吸入口から取り入れた外気を加熱する加熱手段と、該加熱手段から前記乾燥室に連通する通風路と、乾燥室に設けられた排気用の吸引口と、該吸引口から空気を吸引して外部へ排出する送風手段と、を備える構成とすることができる。この構成によれば、送風手段により空気が吸い出されると乾燥室内が負圧になり、通風口を通して加熱手段により加熱された外気が流れ込む。
【0011】
また、上記本発明に係る寝具類乾燥機では、前記乾燥室内の温度を検出する温度センサと、運転開始時に該検出温度が所定値以上であるか否かを判定する初期温度判定手段とを更に備え、前記運転制御手段は、該温度が所定値未満の場合には加熱空気を乾燥室に供給し、該温度が所定値以上になった後に前記蒸気導入行程を開始する構成とすることが好ましい。この構成によれば、蒸気導入行程の開始時点で乾燥室内が或る程度暖まっているので、加熱蒸気が供給されたときに結露が生じることを防止できる。
【0012】
また、上記本発明に係る寝具類乾燥機では、前記運転制御手段は、前記乾燥室への加熱蒸気の供給を停止させた後に該乾燥室内に蒸気が充満した状態を暫く維持し、その後に熱風乾燥行程を行なう構成とすることができる。この構成によれば、ほぼ静止した蒸気雰囲気の中で寝具類の蒸らしがなされ、その結果、布団等のふんわり感が一層向上する。
【0013】
また、蒸気導入行程時に蒸気供給手段より乾燥室に蒸気が供給されると、該蒸気は急激に体積が膨張し、乾燥室内のガス圧が上昇する。そこで、該ガス圧が異常に上昇することを防止するため、前記運転制御手段は、蒸気導入行程時に前記送風手段を間欠的に動作させる構成とするとよい。これによれば、間欠的な排気によって乾燥室内から蒸気が適度に抜けるので、乾燥室内のガス圧の異常上昇を防止することができる。
【0014】
更に、上記本発明に係る寝具類乾燥機では、前記加熱手段は、前記蒸気供給手段に供給される加熱蒸気を分岐して流通させる配管路を備え、該配管路との熱交換により外気吸入口から取り入れた外気を加熱する構成とすると、構成が簡素化できる。
【0015】
また上記構成において、熱風乾燥行程時に加熱空気の供給を連続的に行なうと、乾燥室内の温度が高くなり過ぎて寝具類に損傷を与える恐れがある。そこで、前記運転制御手段は、前記温度センサによる検出温度が所定の範囲に収まるように適当な温度調節を行なうようにするとよい。そのような温度調節の方法としては、前記乾燥室に加熱されない外気を取り入れる風路切替手段を備え、前記運転制御手段は、熱風乾燥行程時に、該風路切替手段を駆動することにより乾燥室内の温度を調節する構成とすることができる。この場合、加熱手段の運転を継続したまま、乾燥室内の温度を迅速に降下させることができる。
【0016】
また他の方法としては、運転制御手段は加熱手段の加熱を直接制御する構成とすることができる。上述のように加熱手段が加熱蒸気の流通する配管路を通過する構成である場合、該配管路の入口に開閉弁を設け、該開閉弁を制御することにより乾燥室内の温度を調節することができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の一実施例である寝具類乾燥機を図1〜図5により説明する。 図1は、本実施例の寝具類乾燥機の外観斜視図である。箱形の筐体1の内部には乾燥室2が形成されており、乾燥室2の両側壁面3(図1では一方の側壁面しか見えない)下部には熱風吐出口4が開口している。また、乾燥室2の後壁面5底部には多数の蒸気噴出孔7を穿孔した蒸気吐出部6が突出して設けられており、一方、乾燥室2の上壁面8には排気用の多数の吸引孔9が形成されている。乾燥室2の前面は片側に開放する扉体10によって開閉自在になっており、該扉体10が閉鎖されると乾燥室2は略密閉状態となる。
【0018】
図2は、この寝具類乾燥機の概略側面断面図である。布団や毛布類等の寝具22は、台車に立設された布団掛け用ハンガー21に掛けられ、また折り畳みができないマットレスは該ハンガー21間に立てかけた状態で乾燥室2内へ収納される。外部の蒸気発生室で発生した加熱蒸気は、筐体1背面上部の蒸気入口11からストレーナ(濾過器)12を介して供給される。筐体1上部のヒータ13は、該蒸気の有する熱でもって後方に開口した外気吸入口14から取り入れた外気を熱交換により加熱するためのものである。また、ヒータ13の前方に開口した外気直接吸入口15は、ダンパ16により開閉されるようになっている。
【0019】
また、ストレーナ12を介した蒸気は分岐され、後述の制御バルブ及び蒸気電磁弁(図2中では図示せず)を介し配管17を通って下方へ送られ、その末端部から蒸気吐出部6内に噴出される。したがって、蒸気電磁弁が開放されると、加熱蒸気が蒸気噴出孔7を介して乾燥室2内に供給される。
【0020】
筐体1上部にはファンモータ18により回転駆動されるファン19が設けられ、このファン19が回転すると吸引孔9を介して乾燥室2内のガス(熱風や蒸気)が上方に吸い出され、排気ダクト20を介して排出される。ダンパ16が外気直接吸入口15を閉鎖した状態でファン19が回転されると、ヒータ13により加熱された外気が、乾燥室2両側壁面3と筐体1の両側壁面との間に形成されている通気路(図示しない)を通って下方に送られ、両側の熱風吐出口4から乾燥室2内へと供給される。一方、ダンパ16が外気直接吸入口15を開放した状態でファン19が回転されると、冷たい外気がヒータ13で加熱されることなしに乾燥室2へと供給される。なお、図2中において、熱風及び排出ガスの流れは実線矢印で、蒸気の流れは破線矢印で示している。
【0021】
図3は、この寝具類乾燥機の蒸気配管系統図である。蒸気入口11から供給された蒸気はストレーナ12を介したあと二系統に分岐し、一方はヒータ13内を通過したあと、本体ドレイン気化部30、蒸気発生室ドレイン気化部31を通り蒸気出口32から外部へ排出される。本体ドレイン気化部30及び蒸気発生室ドレイン気化部31では、蒸気が冷やされて滴下した水滴が高温蒸気により加熱され再び蒸発する。分岐された他の蒸気配管では、制御バルブ33にて蒸気流量が調節され蒸気電磁弁34により乾燥室2内への噴射又は停止が制御される。
【0022】
図4は、この寝具類乾燥機における電気系の要部のブロック構成図である。運転制御部40は主としてマイクロコンピュータから構成されており、運転プログラムを格納したメモリを有している。運転制御部40には入力信号として、操作部41からキー入力信号が、温度センサ43から乾燥室2内の温度検知信号が、更に扉体10又は扉体10に対向する筐体1側に付設されたドアスイッチ44から閉鎖検知信号が入力される。運転制御部40はこれらの入力信号を受け、所定の運転プログラムを実行する過程で、ダンパ16、蒸気電磁弁34及びファンモータ18を制御するとともに、所定の表示を表示部42に行なわせる。
【0023】
次に、上記構成を有する寝具類乾燥機の動作を図5の制御フローチャートを用いて説明する。作業者は、乾燥対象の寝具類を上述のハンガー21に掛ける等した後に専用台車を乾燥室2内に収納し、扉体10を閉めて操作部41にて運転開始スイッチを押す(ステップS1)。運転制御部40は、ドアスイッチ44により扉体10が確実に閉鎖されていることを検知すると、運転開始スイッチの入力を受け付け、乾燥運転を開始する。なお、運転開始時点では、ダンパ16は閉鎖、蒸気電磁弁34は閉鎖、ファン19は停止した状態になっている。
【0024】
(i) 予熱行程
運転開始直後、温度センサ43による検知温度が40℃以上であるか否かが判定される(ステップS2)。すなわち、乾燥室2の内壁面の温度が低い状態で蒸気を乾燥室2内に供給すると、結露により内壁面に水滴が付着する恐れが高い。一旦、結露が生じると、後述の熱風乾燥時に水滴を蒸発させるのに時間を要するため、蒸気供給時に結露しないように予め乾燥室2内を暖めておく。
【0025】
上記検知温度が40℃未満である場合には、ファンモータ18が駆動されファン19が回転する(ステップS3)。これにより、乾燥室2内の空気は吸引孔9を介して吸い出される。このときダンパ16は閉鎖されているので、ヒータ13により加熱された熱風が熱風吐出口4から乾燥室2内に供給され、乾燥室2内の温度は上昇してゆく。ファン19作動後、検知温度が40℃以上に達すると(ステップS4で「Y」)、ファンモータ18の駆動は停止されファン19は止まる(ステップS5)。上記ステップS2にて検知温度が40℃以上である場合には、予熱は不要であるので直接ステップS6へと進む。
【0026】
(ii) 蒸気導入行程
この蒸気導入行程は、乾燥室2に蒸気を供給することにより、寝具類の内部にまで蒸気を浸透させ、該内部の温度を高温(80〜90℃程度)にするための行程である。上記予熱行程後、蒸気電磁弁34は開放される(ステップS6)。これにより、蒸気噴出孔7から乾燥室2内に蒸気が供給される。また、ファンモータ18は間欠駆動される(ステップS7)。この間欠駆動のパターンは、例えば、0.3秒オン/20秒オフの繰返しとすることができる。0.3秒間ファンモータ18がオンされると、ファン19は惰性により数秒程度回転し続け、その後十乃至十数秒間はファン19は停止する。乾燥室2に蒸気が供給され続けると乾燥室2内の圧力が高まるが、ファン19の間欠回転で蒸気を少しずつ抜くことにより、圧力が高くなり過ぎることを防止することができる。このようにして、予め定められた蒸気導入運転時間が経過したときに(ステップS8で「Y」)、この行程は終了する。この蒸気導入行程の運転時間は、布団の厚さ等に応じて適宜に設定することができるが、後述のように充分な殺菌効果を得るには15分程度以上とすることが望ましい。
【0027】
(iii) 蒸らし行程
蒸らし行程は、蒸気を乾燥室2内に充満させた状態を暫時維持し、寝具類の蒸らしを行なうことにより布団等のふんわり感を出すための行程である。本行程では、蒸気電磁弁34が閉鎖されるとともに(ステップS9)、ファンモータ18の駆動は停止されファン19の回転は止まる(ステップS10)。その結果、乾燥室2内には先に導入された蒸気が滞留充満する。その状態で1分が経過すると(ステップS11で「Y」)この行程は終了する。勿論、この蒸らし行程の時間は適宜変えるようにしてもよいが、短過ぎると布団等の膨張の効果が得られにくく、長過ぎると温度が降下して次の熱風乾燥行程時の乾きが劣化する。
【0028】
(iv) 熱風乾燥行程
熱風乾燥行程は、熱風を乾燥室2内に供給することにより寝具類の乾燥を行なうための行程である。本行程では、まず、ダンパ16が閉鎖された状態で、ファンモータ18が駆動されファン19は回転する(ステップS12)。これにより、上記予熱行程と同様に、熱風が熱風吐出口4から乾燥室2内に供給される。その後、乾燥室2内の温度が所定の範囲(60〜85℃)に保たれるように、ダンパ16の開閉の制御により熱風の量が調節される。すなわち、温度センサ43による検知温度が予め定められた上限値以上になると(ステップS13で「Y」)、ダンパ16が開放され(ステップS14)、冷たい外気が乾燥室2内に供給される。また、温度が下がって温度センサ43による検知温度が予め定められた下限値以下になると(ステップS15で「Y」)、ダンパ16は閉鎖され(ステップS16)、熱風が乾燥室2内に供給される。熱風乾燥運転時間が終了するまで(ステップS17で「Y」)、このような温度調節が継続される。この熱風乾燥行程の運転時間は30〜60分程度とするとよい。
【0029】
(v) クーリング行程
クーリング行程は、冷風(外気)を乾燥室2内に供給することにより、作業者が触れても危険のない程度の温度にまで寝具類の温度を降下させるための行程である。本行程では、ファン19の動作は継続され、ダンパ16は開放される(ステップS18)。これにより、冷たい外気が熱風吐出口4から乾燥室2内に供給され、乾燥室2内の温度は急速に室外温度と平衡する。温度センサ43による検知温度が50℃以下になったとき(ステップS19で「Y」)、或いは、50℃以下にならなくともクーリング行程開始から5分間が経過したときに(ステップS20で「Y」)、ダンパ16が閉鎖されるとともに(ステップS21)ファンモータ18の駆動は停止され(ステップS22)、一連の乾燥運転は終了する。
【0030】
なお、上記実施例の構成では、同一の温度センサ43を用いて(i)予熱行程と(iv)熱風乾燥行程との温度制御を行うようにしていたが、その目的から鑑みるに、例えば、予熱行程(i)では乾燥室2内壁面に密着して設けた温度センサ、熱風乾燥行程(iv)では吸引口9近傍に配設した温度センサというように、それぞれ異なる温度センサを用いるとより適切な温度制御が行える。
【0031】
次に、上述の寝具類乾燥機における殺菌効果の試験例を説明する。この試験では、試験菌としてMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を用い、布団の内部の5箇所に菌数105を埋め込む。そして、該試験対象の布団を、上記寝具類乾燥機において、蒸気導入運転時間15分、蒸らし時間1分、熱風乾燥運転時間35分の乾燥運転を行なった後の菌数を検査した。また、比較対象として、熱風乾燥行程のみで50分の乾燥運転を行なったものについても同様の検査を行なった。
【0032】
その結果、本実施例の寝具類乾燥機にて乾燥運転を行なった場合には、5箇所のいずれの検査点においても菌数は10以下に減少していた。ちなみに、その乾燥運転時に、蒸気導入行程直後には布団の各部(中心部や表面)の温度は78〜89℃になっており、熱風乾燥行程直後には50〜68℃になっている。このように、蒸気導入行程によって布団の中心部でも温度が充分に上昇するため、細菌を死滅させることができる。
【0033】
これに対し、比較対象のものでは5箇所のいずれの検査点においても菌数は105であって、殺菌効果は殆ど得られなかった。ちなみに、その乾燥運転時に、この行程直後には布団の各部(中心部や表面)の温度は53〜83℃であり、表面の温度は充分に上昇するものの、中心部の温度は充分に上がらない。このため、例えばダニや大腸菌の一部等の比較的低い温度で死滅するものに対しては効果があるが、一般細菌や殆どの大腸菌に対しては殺菌効果が得られない。
【0034】
上記試験結果でわかるように、本実施例による寝具類乾燥機では、従来のこの種の寝具類乾燥機でもって殺菌が困難であった種々の細菌を死滅させることができる。
【0035】
ところで、上記実施例の寝具類乾燥機は、ダンパ16の開閉によって乾燥室2内の温度を制御する構成であったが、他の構成により温度調節を達成するようにしてもよい。図6は、本発明に係る寝具類乾燥機の他の実施例による蒸気配管系統図である。
【0036】
この実施例では、ストレーナ12とヒータ13との間の蒸気配管に電磁弁35を設けている。すなわち、この構成では、該電磁弁35を開放するとヒータ13に加熱蒸気が供給され、ヒータ13により外気は加熱される。一方、電磁弁35が閉鎖されるとヒータ13に加熱蒸気が流れなくなり、外気の加熱が行えなくなる。これにより、上記実施例のダンパ16の開閉動作と同様に電磁弁35の開閉動作によって、乾燥室2内の温度を所定範囲に収めることができる。但し、この構成では、電磁弁35を閉鎖してもヒータ13は余熱によって即座には温度が降下しないので、電磁弁35の開閉制御に対する乾燥室2内の温度変化の応答性が劣る。したがって、予めこのような応答性の相違を考慮した制御を行なうようにすることが望ましい。
【0037】
なお、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行なえることは明らかである。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の寝具類乾燥機によれば、布団やマットレス等の寝具類がまず加熱蒸気に所定時間晒され、該蒸気が寝具類の内部まで浸透して内部温度が充分に高まった後に、熱風による乾燥が行なわれる。したがって、寝具類の表面のみならず内部にいる細菌類を死滅させることができ、寝具類の清潔さを維持することができる。
【0039】
また、寝具類の内部温度が高い状態で熱風を供給することにより、内部まで乾燥しやすくなりふんわり感が得られるとともに、乾燥に要する時間が短くて済み、時間や運転コストが節約できる。
【0040】
更に、蒸気により寝具類に付着していた汚れが布や中綿等から剥離する。また、寝具類に付着していた臭気成分が蒸気の水分に溶け込む。そして、これらが運び去られるので、寝具類の汚れや臭気もとれる。
【0041】
また、本発明の寝具類乾燥機では、乾燥終了までの全ての処理が自動的に行なわれるので、作業者は当該乾燥機内に寝具類を出し入れする作業のみを行なえばよく、途中で複数の装置間で寝具類を移し替える等の手間は一切不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である寝具類乾燥機の外観斜視図。
【図2】図1の実施例による寝具類乾燥機の側面断面図。
【図3】図1の実施例による寝具類乾燥機の蒸気配管系統図。
【図4】実施例の寝具類乾燥機の電気系のブロック構成図。
【図5】本実施例の寝具類乾燥機の乾燥運転時の制御フローチャート。
【図6】本発明の他の実施例による寝具類乾燥機の蒸気配管系統図。
【符号の説明】
2…乾燥室 4…熱風吐出口
6…蒸気吐出部 7…蒸気噴出孔
9…吸引孔 10…扉体
13…ヒータ 14…外気吸入口
15…外気直接吸入口 16…ダンパ
18…ファンモータ 19…ファン
34…蒸気電磁弁 40…運転制御部
43…温度センサ
Claims (8)
- 箱形の乾燥室内に布団、マットレス等の寝具類を静止状態で収納して乾燥する寝具類乾燥機において、
a)外気を加熱して前記乾燥室内に送り込む加熱空気供給手段と、
b)前記乾燥室内に加熱蒸気を供給するための蒸気供給手段と、
c)該蒸気供給手段により所定時間前記乾燥室内に加熱蒸気を供給して、該加熱室内の温度を高温にすることにより寝具類内部にまで蒸気を浸透させて、寝具類内部の温度を上昇させる蒸気導入行程と、前記加熱空気供給手段により加熱空気を該乾燥室内に供給して、加熱室内の温度を所定範囲に保ち、寝具類を乾燥させる熱風乾燥行程とを順次実行する運転制御手段と、
を備えることを特徴とする寝具類乾燥機。 - 前記加熱空気供給手段は、外気吸入口と、該外気吸入口から取り入れた外気を加熱する加熱手段と、該加熱手段から前記乾燥室に連通する通風路と、乾燥室に設けられた排気用の吸引口と、該吸引口から空気を吸引して外部へ排出する送風手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の寝具類乾燥機。
- 前記乾燥室内の温度を検出する温度センサと、運転開始時に該検出温度が所定値以上であるか否かを判定する初期温度判定手段とを更に備え、前記運転制御手段は、該温度が所定値未満の場合には加熱空気を乾燥室に供給し、該温度が所定値以上になった後に前記蒸気導入行程を開始することを特徴とする請求項2に記載の寝具類乾燥機。
- 前記運転制御手段は、前記乾燥室への加熱蒸気の供給を停止させた後に該乾燥室内に蒸気が充満した状態を暫く維持し、その後に熱風乾燥行程を行なうことを特徴とする請求項2又は3に記載の寝具類乾燥機。
- 前記運転制御手段は、蒸気導入行程時に前記送風手段を間欠的に動作させることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の寝具類乾燥機。
- 前記加熱手段は、前記蒸気供給手段に供給される加熱蒸気を分岐して流通させる配管路を備え、該配管路との熱交換により外気吸入口から取り入れた外気を加熱することを特徴とする請求項2に記載の寝具類乾燥機。
- 前記乾燥室に加熱されない外気を取り入れる風路切替手段を備え、前記運転制御手段は、熱風乾燥行程時に、前記温度センサによる検出温度に基づいて該風路切替手段を駆動することにより乾燥室内の温度を調節することを特徴とする請求項2に記載の寝具類乾燥機。
- 前記配管路の入口に開閉弁を設け、前記運転制御手段は、熱風乾燥行程時に、前記温度センサによる検出温度に基づいて該開閉弁を制御することにより乾燥室内の温度を調節することを特徴とする請求項6に記載の寝具類乾燥機。
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