JP3568318B2 - 荷電粒子ビーム露光方法及び装置並びにこれらに用いられるチャージアップ補正用関数の決定方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム露光方法及び装置並びにこれらに用いられるチャージアップ補正用関数の決定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷電粒子ビーム露光方法及び装置並びにこれらに用いられるチャージアップ補正用関数の決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの回路素子の微細化に伴い、露光精度の向上が要求されている。
光露光は光学材料や光源により露光精度が制限され、0.15μm以下の幅のレジストパターンを安定して得ることは困難と考えられている。これに対し、荷電粒子ビーム露光によれば、0.15μm以下の幅のレジストパターンを得ることができる。
【0003】
荷電粒子ビーム露光装置では、図6に示す如く、移動ステージ10上に半導体ウェーハ11が搭載され、その上方に副偏向器としての静電偏向器12が配置されている。荷電粒子ビーム13は、静電偏向器12内を通って走査されながら半導体ウェーハ11上に照射される。半導体ウェーハ11上にはレジストが塗布されており、荷電粒子ビーム13の照射によりその一部が蒸発し、コンタミネーション14として静電偏向器12に付着し、これに電荷が蓄積されるというチャージアップ現象が生ずる。この付着は、荷電粒子ビーム13の他の部分への荷電粒子ビーム照射によっても生ずる。図6ではコンタミネーション14を代表的に示している。
【0004】
静電偏向器12で形成された電界強度Eに、コンタミネーション14のチャージアップで形成された電界強度Ecが重ね合わされるので、電界強度Ecによるビームドリフトが生じて、レジストパターン精度が低下する原因となる。この問題は、回路素子の微細化が進展するほど大きくなる。
ビームドリフト量は、半導体ウェーハ上のマークを荷電粒子ビームで走査しなければ測定できないので、露光中には測定することができず、従来ではこのビームドリフトを補正することができなかった。
【0005】
そこで、従来では、露光処理後に上記のようにしてビームドリフト量を測定し、これが所定値以上である場合に、荷電粒子ビーム光学系を解体して洗浄したり、荷電粒子ビーム露光装置内に酸素を導入し、内部電極にRF電圧を印加してアッシングしたりすることにより、コンタミネーションを除去していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、荷電粒子銃をオフにし、鏡筒内の真空を解除し、洗浄後に鏡筒内を真空に戻し、荷電粒子銃をオンにして荷電粒子ビームが安定するまで待つ必要がある。このため、少なくとも数時間以上装置が非稼働状態になり、また、その時間が不定であるので、生産性が著しく低下する。
【0007】
このような問題は、チャージアップによるビームドリフトを補正することにより解決され又は低減される。
本発明の目的は、コンタミネーションのチャージアップによるビームドリフトを補正することが可能な荷電粒子ビーム露光方法及び装置並びにこれらに用いられるチャージアップ補正用関数の決定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及びその作用効果】
第1発明では、偏向器に駆動信号を供給して荷電粒子ビームを走査しながら該荷電粒子ビームを対象物に照射する荷電粒子ビーム露光方法において、
該荷電粒子ビームをドリフトさせるチャージアップの原因量Iを検出し、
該原因量Iの増分に応じて増加し且つ時間tの増分に応じて減少する補正値Cを決定し、
該ドリフトを低減するために該補正値Cにより該駆動信号を補正する。
【0009】
露光中にはビームドリフトを測定することができないが、この第1発明によれば、荷電粒子ビームをドリフトさせるチャージアップの原因量Iの増分に応じて増加し且つ時間tの増分に応じて減少する補正値Cのモデルに基づいてビームドリフトが補正され、これにより荷電粒子ビーム露光装置内のコンタミネーション除去作業が長期間不要となり、生産性が向上するという効果を奏する。
【0010】
第1発明の第1態様では、ローパスフィルタを用い、
上記原因量Iは、上記照射により上記対象物へ流れる電流のうち該ローパスフィルタを通過したものの検出値である。
コンタミネーションの電荷の充放電の時定数が比較的大きいので、この第1態様によれば、ローパスフィルタを通さないことによる過渡応答が低減されて、補正精度が向上するという効果を奏する。
【0011】
第1発明の第2態様では、2次電子検出器とローパスフィルタとを用い、
上記原因量Iは、該2次電子検出器の出力信号のうち該ローパスフィルタを通過したものの検出値である。
この第2態様によっても、ローパスフィルタを通さないことによる過渡応答が低減されて、補正精度が向上するという効果を奏する。
【0012】
第1発明の第3態様では、上記原因量Iは、上記駆動信号に応じた値を上記検出値に乗じた値である。
コンタミネーションの充電は偏向器による荷電粒子ビームの偏向量に依存するので、この第3態様によれば補正精度が向上するという効果を奏する。
第1発明の第4態様では、上記補正値Cを時間Δt経過毎に更新し、時点t+Δtでの該補正値Ci+1を、式
Ci+1=Ci+(A・I−Ci)B
により算出し、ここに、Ciは時点tでの該補正値であり、A及びBは定数又は該原因量Iの関数である。
【0013】
この第4態様によれば、図5(A)のモデルを一般化した式で補正値が逐次求められ、適当なA及びBの選定により補正精度を向上させることが可能であるという効果を奏する。
第1発明の第5態様では、上記BはEXP(−Δt/τ)であり、ここに時定数τは定数又は上記原因量Iの関数である。
【0014】
時定数τが定数の場合は、図5(A)のモデルに対応しており、図4の基本的性質に基づいた補正が行われるという効果を奏し、補正式が簡単になるので特にビームドリフトが小さい場合に効果的である。
第2発明では、上記原因量Iの関数を決定するチャージアップ補正用関数決定方法であって、
上記荷電粒子ビームを上記偏向器の上方で所定時間ブランキングし、
該ブランキングを解除し、上記補正値Cを0にした状態で、
(1)上記駆動信号を変化させて該荷電粒子ビームを走査させながら、上記対象物から放出された2次電子の量を検出することにより、該対象物に形成されたマークの位置を検出し、
(2)上記駆動信号を0にし且つ上記原因量Iを一定にして該荷電粒子ビームを上記対象物に照射し、
マーク検出位置が収束するまでステップ(1)と(2)とを繰り返し、
該マーク検出位置が略収束したときに、該マーク検出位置を最初のステップ(1)でのマーク検出位置に等しくするための補正値Cを求め、
該原因量Iでの上記関数Aの値をA=C/Iとして求める。
【0015】
この第2発明によれば、試行錯誤的ではなく、補正値Cを求める式に基づいて効率的に関数Aを定めることができるという効果を奏する。
第2発明の第1態様では、上記関数Aの値を求めた後に、複数の、上記マーク検出位置が収束する前の上記ステップ(1)での該マーク検出位置とその時点との組に基づいて、上記原因量Iでの上記関数Bの値を決定する。
【0016】
この第1態様によっても、試行錯誤的ではなく、補正値Cを求める式に基づいて効率的に関数Aを定めることができるという効果を奏する。
第3発明では、偏向器に駆動信号を供給して荷電粒子ビームを走査しながら該荷電粒子ビームを対象物に照射する荷電粒子ビーム露光装置において、
該荷電粒子ビームをドリフトさせるチャージアップの原因量Iを検出する原因量検出手段と、
該原因量Iの増分に応じて増加し時間tの増分に応じて減少する補正値Cを決定する補正量決定手段と、
該ドリフトを低減するために該補正値Cにより該駆動信号を補正する補正手段と、
を有する。
【0017】
この第3発明によれば、第上記1発明の方法を実施可能である。
第3発明の第1態様では、上記原因量検出手段は、
上記照射により上記対象物へ流れる電流が供給されるローパスフィルタと、
上記駆動信号に応じた値を出力する関数手段と、
該値と該ローパスフィルタの出力値との積を上記原因量Iとして求める乗算手段と、
を有する。
【0018】
この第1態様によれば、上記第1発明の第1態様の方法を実施可能である。
第3発明の第2態様では、上記原因量検出手段は、
2次電子検出器と、
該2次電子検出器の出力信号が供給されるローパスフィルタと、
上記駆動信号に応じた値を出力する関数手段と、
該値と該ローパスフィルタの出力値との積を上記原因量Iとして求める乗算手段と、
を有する。
【0019】
この第2態様によれば、上記第1発明の第2態様の方法を実施可能である。
第3発明の第3態様では、上記補正量決定手段は、時点t及びt+Δtでの補正値をそれぞれCi、Ci+1とし、A及びBを定数又は該原因量Iの関数としたとき、
Ci+1=Ci+(A・I−Ci)B
により該補正値Ci+1を時間Δt経過毎に算出する。
【0020】
この第3態様によれば、上記第1発明の第4態様の方法を実施可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
図4は、チャージアップによるビームドリフトの測定結果を示す。横軸は時間(分)であり、縦軸は半導体ウェーハ11上のビームスポットのチャージアップによる変位量(nm)である。この測定結果は、以下のようにして得られたものである。
【0022】
図6において、荷電粒子ビーム13を、チャージアップが無くなっていると考えられるまで、オフにする。次に、荷電粒子ビーム13をオンにし、その電流値を一定にして5分間、次の[1]及び[2]を繰り返す。
[1]荷電粒子ビーム13を静電偏向器12で振って半導体ウェーハ11上のマークを走査することにより、該マークに対するE=0での移動ステージ10上のビームスポット位置を測定する。
【0023】
[2]静電偏向器12の印加電圧を0にして、荷電粒子ビーム13を半導体ウェーハ11上に照射する。
次に、間欠的に[1]のみを繰り返す。
図4の結果から、次のような結論が得られる。
(1)荷電粒子ビーム13のオンによりコンタミネーション14がチャージアップされ、且つ、その電荷が徐々に放電される。
【0024】
(2)充放電の時定数は比較的大きく、放電の時定数は充電の時定数よりも大きい。
露光中にはビームドリフトを測定することができないので、その原因量とビームドリフトとの関係を予めモデル化しておき、露光中では原因量を測定しモデルに基づいてビームドリフトを補正する。
【0025】
図5(A)は電気回路を用いたチャージアップモデルを示す。このモデルでは、コンデンサ15と抵抗16とが並列接続され、その回路と定電流源17とスイッチ18とが、電源供給線VCCとグランド線との間に直列接続されている。
スイッチ18をオンにすると、定電流源17から出力された一定の電流I0が、コンデンサ15側への電流I1と抵抗16側への電流I2とに別れて流れる。次の関係、
I1+I2=I0、 V=CQ=I2・R、 I1=dQ/dt
が成立し、ここにCはコンデンサ15の容量、Rは抵抗16の抵抗値、QはCに蓄積された電荷量である。
【0026】
スイッチ18をオンにした時点ではQ=0であるので、V=0、I2=0、I1=I0となる。電荷Qが増加して電流I1が0に収束し、他方、電流I2が電流I0に収束する。電流I1と電流I2の変化を図5(B)に示す。電流I2が電流I0に収束した後にスイッチ18をオフにすると、コンデンサ15の電荷Qが放電されて抵抗16に流れ、電流I2が0に収束する。このときの電流I2の波形は、図5(B)中の電流I1の波形と同一になる。
【0027】
このモデルにおいて、スイッチ18がオンのとき、電流I0の一部がコンデンサ15へ流れながらコンデンサ15から放電されて抵抗16に流れていると考えれば、スイッチ18のオン/オフにかかわらずコンデンサ15から放電されていることになる。この場合、図6との関係において、電流I0が荷電粒子ビーム13の電流に対応し、コンデンサ15の電荷Qがコンタミネーション14の蓄積電荷に対応し、コンデンサ15からの放電がコンタミネーション14からの放電に対応する。
【0028】
電荷Qは電界強度Ecに比例するので、荷電粒子ビーム13の量に基づいて補正値を求めることが可能となる。ただし、このモデルの時定数τは充電と放電とで等しい値CRになるので、充電と放電とで時定数が異なるようにモデルを修正した方が好ましい。また、コンタミネーション14の充電は静電偏向器12による荷電粒子ビーム13の偏向量に依存するので、これを考慮した方が好ましい。
【0029】
図1は、上記のような考察に基づいて得られた、本発明の一実施形態に係る荷電粒子ビーム露光装置の概略構成を示す。
荷電粒子ビーム放射装置20は制御回路21で制御され、これにより荷電粒子ビーム13の断面が荷電粒子ビーム放射装置20内のマスクの透過孔パターンと相似形になっている。荷電粒子ビーム13は、ブランキング偏向器22、絞り23の開口及び静電偏向器12を通り、半導体ウェーハ11上に照射される。図1では簡単化のために、電磁レンズ及び主偏向器としての電磁偏向器を図示省略している。
【0030】
半導体ウェーハ11上の荷電粒子ビーム照射点から放出された2次電子24は、2次電子検出器25A及び25Bで検出され、両出力の和ISが加算器26で算出されてチャージアップ補正回路27に供給される。2次電子検出器は実際にはY方向(紙面垂直方向)にも配置され、これらの出力も加算器26で加算される。半導体ウェーハ11に入射した荷電粒子ビーム13は、導電性の移動ステージ10上及びチャージアップ補正回路27Xを通ってグランド線に流れ、その電流IBがチャージアップ補正回路27Xで用いられる。また、静電偏向器12と上記電磁偏向器とに対するX方向偏向量目標値DX及びY方向偏向量目標値DYが制御回路21からチャージアップ補正回路27Xへ供給される。
【0031】
チャージアップ補正回路27Xは、2次電子検出値ISと電流IBとの一方又は両方並びにX方向偏向量目標値DX及びY方向偏向量目標値DYに基づいて、X補正値CAXを求め、これを減算器29Xの減数入力端に供給する。減算器29XによりX方向副偏向量目標値SAXとX補正値CAXとの差が求められ、これが増幅器30Xで増幅されて静電偏向器12に供給される。X方向副偏向量目標値SAXは、制御回路21からのX方向副偏向量目標値SXをD/A変換器28Xでアナログ化したものである。
【0032】
チャージアップ補正回路27X、D/A変換器28X、減算器29X及び増幅器30Xは静電偏向器12のX方向偏向部分に関するものであり、同様の不図示の構成が静電偏向器12のY方向偏向部分に関しても備えられている。2次電子検出値IS、電流IB、X方向偏向量目標値DX及びY方向偏向量目標値DYは、該構成にも用いられる。
【0033】
X方向及びY方向に関するチャージアップ補正回路27の構成例を図2に示す。
上記(2)のようにコンタミネーション14の充放電の時定数が比較的大きいので、X方向偏向量目標値DX、Y方向偏向量目標値DY、2次電子検出値IS及び電流IBをそれぞれローパスフィルタ31、32、33及び34に通して時間平均化することにより、補正精度を向上させる。2次電子検出値ISと電流IBの両方を用いてもよいが、簡単化のために両者の一方をマルチプレクサ35で選択する。この選択は、荷電粒子ビーム露光装置毎の過去の補正精度に基づいて操作者が決定する。デジタル補正演算を行うために、ローパスフィルタ31、32及びマルチプレクサ35の出力はそれぞれA/D変換器36、37及び38に供給されてデジタル化され、X方向偏向量目標値LX、Y方向偏向量目標値LY及び電流ICとなる。デジタル化はクロックCK1に同期して行われる。
【0034】
X方向偏向量目標値LX及びY方向偏向量目標値LYの両者はメモリ39及び40のアドレス入力端に供給され、メモリ39及び40からそれぞれ関数値F(LX,LY)及びG(LX,LY)が読み出される。電流ICとFとの積がX原因量IXとして乗算器41で求められ、電流ICとGとの積がY原因量IYとして乗算器42で求められ、これらが補正演算回路43に供給される。補正演算回路43は、X原因量IX及びY原因量IYに基づき、クロックCK2のパルス毎にX補正値CX及びY補正値CYを算出する。X補正値CX及びY補正値CYはそれぞれ、D/A変換器44及び45でアナログ化され、X補正値CAX及びY補正値CAYとして出力される。
【0035】
関数値F(LX,LY)及びG(LX,LY)は、例えば、最初全て1に初期設定しておき、ビームドリフトが小さくなるように関数値を少しずつ変えていく。
補正演算回路43のうち、X補正値CXを算出する部分の構成例を43Xとして図3に示す。
【0036】
補正演算回路43Xは、次式、
CXi+1=CXi+(A・IX−CXi)B (1)
を演算するための回路であり、ここに、CXiは時点tでのX補正値であり、CXi+1は時点t+ΔtでのX補正値であり、IXは時点tでのX原因量であり、A及びBはX原因量IXの関数である。
【0037】
この式は、図5(A)のモデルを一般化したものである。すなわち、このモデルでは、Δtを0に近づけた場合、
CXi+1=CXi+(A・IX−CXi)(1−Δt/τ) (2)
となる。式(2)中のA及び時定数τは定数である。IXi=IXi−1+ΔIX、A・IXi−1=CXの場合には、この式は、
CXi+1=CXi+A・ΔIX(1−Δt/τ) (3)
となる。A・ΔIXは時点tでのX原因量増分ΔIXによるコンタミネーション14の電荷の増加に対応しており、A・ΔIX・Δt/τは時間Δt経過によるコンタミネーション14からの放電に対応している。
【0038】
式(2)は、Δtを少し大きくした場合、
CXi+1=CXi+(A・IX−CXi)EXP(−Δt/τ) (4)
となる。実際には、A及びτはX原因量IXに依存する。式(4)において、EXP(−Δt/τ)をX原因量IXの関数Bで置き換え、かつ、AをX原因量IXの関数として一般化したものが式(1)である。
【0039】
図3において、X原因量IXは、メモリ50及び51のアドレス入力端並びに乗算器52の一方の入力端に供給される。X原因量IXと、メモリ50から読み出された関数値A(IX)との積が乗算器52で求められ、これが減算器53の被減数入力端に供給される。減算器53の出力とメモリ51から読み出された関数値B(IX)との積が乗算器54で求められ、これが加算器55の一方の入力端に供給される。加算器55の出力CXi+1がレジスタ56の入力端に供給され、クロックCK2の立ち上がりでレジスタ56に保持される。レジスタ56の出力CXiは、減算器53の減数入力端及び加算器55の他方の入力端に供給される。
【0040】
クロックCK2は図2中のクロックCK1と同一周期Δtであり、Δt経過毎に、算出されたX補正値CXi+1がX補正値CXiとしてレジスタ56に保持され、補正演算回路43Xから出力される。
補正演算回路43のうち、Y補正値CYを算出する部分の構成は、メモリの内容を除き補正演算回路43Xと同一である。
【0041】
次に、メモリ50及び51の内容の決定方法を、図1を参照して説明する。
まず、荷電粒子ビーム13を、チャージアップが無くなっていると考えられるまでオフにする。荷電粒子ビーム13のオフは、ブランキング偏向器22で荷電粒子ビーム13を偏向させて荷電粒子ビーム13を絞り23で遮断するすることにより行う。次に、ブランキング偏向器22の印加電圧を0にすることにより荷電粒子ビーム13をオンにし、その電流値を一定にし且つCX=0にした状態で、次の[3]でのマーク検出位置が収束するまで次の[3]と[4]とを繰り返す。
【0042】
[3]X方向副偏向量目標値SAXを変化させて荷電粒子ビームを走査させ、この際の2次電子検出値ISの微分値のピークに基づいて、半導体ウェーハ11に形成されたマークの位置を検出する。
[4]SAX=0にし且つ荷電粒子ビーム13の電流を一定にして荷電粒子ビーム13を半導体ウェーハ11上に照射する。
【0043】
マーク検出位置が収束した後に、補正値CXを変化させてマーク検出位置を最初の[3]でのマーク検出位置に等しくし(ビームドリフトを0にし)、このときのX補正値CXと、X原因量IXとから、X原因量IXでの関数値AをA=CX/IXとして求める。
このような処理を、X原因量IXの異なる値毎に繰り返すことにより、メモリ50の記憶内容が決定される。メモリ51の記憶内容の決定についても上記同様である。
【0044】
なお、本発明には外にも種々の変形例が含まれる。
例えば、メモリ50及び51をレジスタとし、関数A及びBを定数で近似した構成であってもよい。この点は、メモリ39及び40についても同様である。また、マルチプレクサ35の替わりに、ローパスフィルタ33の出力とローパスフィルタ34の出力との1次結合値を出力する回路を用いてもよい。メモリ39及び40は、それぞれX方向偏向量目標値LX及びY方向偏向量目標値LYのみでアドレス指定するように近似してもよい。さらに、メモリ39、40、乗算器41及び42の替わりに1つのメモリを用い、これをX方向偏向量目標値LX、Y方向偏向量目標値LY及び電流ICでアドレス指定して、X原因量IX及びY原因量IYを同時に読み出すように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る荷電粒子ビーム露光装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】チャージアップ補正回路の構成例を示すブロック図である。
【図3】補正演算回路の構成例を示すブロック図である。
【図4】チャージアップによるビームドリフト測定結果を示す図である。
【図5】チャージアップモデル説明図である。
【図6】チャージアップによるビームドリフト説明図である。
【符号の説明】
11 半導体ウェーハ
12 静電偏向器
13 荷電粒子ビーム
14 コンタミネーション
20 荷電粒子ビーム放射装置
25A、25B 2次電子検出器
27、27X チャージアップ補正回路
31〜34 ローパスフィルタ
39、40、50、51 メモリ
43、43X 補正演算回路

Claims (12)

  1. 偏向器に駆動信号を供給して荷電粒子ビームを走査しながら該荷電粒子ビームを対象物に照射する荷電粒子ビーム露光方法において、
    該荷電粒子ビームをドリフトさせるチャージアップの原因量Iを検出し、
    該原因量Iの増分に応じて増加し且つ時間tの増分に応じて減少する補正値Cを決定し、
    該ドリフトを低減するために該補正値Cにより該駆動信号を補正する、
    ことを特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。
  2. ローパスフィルタを用い、
    上記原因量Iは、上記照射により上記対象物へ流れる電流のうち該ローパスフィルタを通過したものの検出値である、
    ことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム露光方法。
  3. 2次電子検出器とローパスフィルタとを用い、
    上記原因量Iは、該2次電子検出器の出力信号のうち該ローパスフィルタを通過したものの検出値である、
    ことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム露光方法。
  4. 上記原因量Iは、上記駆動信号に応じた値を上記検出値に乗じた値である、
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の荷電粒子ビーム露光方法。
  5. 上記補正値Cを時間Δt経過毎に更新し、時点t+Δtでの該補正値Ci+1を、式
    Ci+1=Ci+(A・I−Ci)B
    により算出し、ここに、Ciは時点tでの該補正値であり、A及びBは定数又は該原因量Iの関数である、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の荷電粒子ビーム露光方法。
  6. 上記BはEXP(−Δt/τ)であり、ここに時定数τは定数又は上記原因量Iの関数である、
    ことを特徴とする請求項5記載の荷電粒子ビーム露光方法。
  7. 請求項5又は6記載の荷電粒子ビーム露光方法で用いられる、上記原因量Iの関数を決定するチャージアップ補正用関数決定方法であって、
    上記荷電粒子ビームを上記偏向器の上方で所定時間ブランキングし、
    該ブランキングを解除し、上記補正値Cを0にした状態で、
    (1)上記駆動信号を変化させて該荷電粒子ビームを走査させながら、上記対象物から放出された2次電子の量を検出することにより、該対象物に形成されたマークの位置を検出し、
    (2)上記駆動信号を0にし且つ上記原因量Iを一定にして該荷電粒子ビームを上記対象物に照射し、
    マーク検出位置が収束するまでステップ(1)と(2)とを繰り返し、
    該マーク検出位置が略収束したときに、該マーク検出位置を最初のステップ(1)でのマーク検出位置に等しくするための補正値Cを求め、
    該原因量Iでの上記関数Aの値をA=C/Iとして求める、
    ことを特徴とするチャージアップ補正用関数決定方法。
  8. 上記関数Aの値を求めた後に、複数の、上記マーク検出位置が収束する前の上記ステップ(1)での該マーク検出位置とその時点との組に基づいて、上記原因量Iでの上記関数Bの値を決定する、
    ことを特徴とする請求項7記載のチャージアップ補正用関数決定方法。
  9. 偏向器に駆動信号を供給して荷電粒子ビームを走査しながら該荷電粒子ビームを対象物に照射する荷電粒子ビーム露光装置において、
    該荷電粒子ビームをドリフトさせるチャージアップの原因量Iを検出する原因量検出手段と、
    該原因量Iの増分に応じて増加し時間tの増分に応じて減少する補正値Cを決定する補正量決定手段と、
    該ドリフトを低減するために該補正値Cにより該駆動信号を補正する補正手段と、
    を有することを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置。
  10. 上記原因量検出手段は、
    上記照射により上記対象物へ流れる電流が供給されるローパスフィルタと、
    上記駆動信号に応じた値を出力する関数手段と、
    該値と該ローパスフィルタの出力値との積を上記原因量Iとして求める乗算手段と、
    を有することを特徴とする請求項9記載の荷電粒子ビーム露光装置。
  11. 上記原因量検出手段は、
    2次電子検出器と、
    該2次電子検出器の出力信号が供給されるローパスフィルタと、
    上記駆動信号に応じた値を出力する関数手段と、
    該値と該ローパスフィルタの出力値との積を上記原因量Iとして求める乗算手段と、
    を有することを特徴とする請求項9記載の荷電粒子ビーム露光装置。
  12. 上記補正量決定手段は、時点t及びt+Δtでの補正値をそれぞれCi、Ci+1とし、A及びBを定数又は該原因量Iの関数としたとき、
    Ci+1=Ci+(A・I−Ci)B
    により該補正値Ci+1を時間Δt経過毎に算出する、
    ことを特徴とする請求項9記載荷電粒子ビーム露光装置。
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