JP3714280B2 - 電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法及び傾き較正方法並びに電子ビーム近接露光装置 - Google Patents

電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法及び傾き較正方法並びに電子ビーム近接露光装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法及び傾き較正方法並びに電子ビーム近接露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電子ビーム近接露光装置は、米国特許第5,831,272 号(日本特許第2951947 号に対応)に開示されている。
【0003】
図6は上記電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。この電子ビーム近接露光装置10は、主として電子ビーム15を発生する電子ビーム源14、電子ビーム15を平行ビームにするレンズ16、及び整形アパーチャ18を含む電子銃12と、主偏向器22、24及び副偏向器26、28を含み、電子ビームを光軸に平行に走査する走査手段20と、転写用のマスク30と、静電チャック50と、XYステージ60とから構成されている。
【0004】
前記転写用のマスク30は、静電チャック50に吸着されたウエハ40に近接するように(転写用のマスク30とウエハ40との隙間が、例えば50μmとなるように)配置される。この状態で、転写用のマスク30に垂直に電子ビームを照射すると、転写用のマスク30のマスクパターンを通過した電子ビームがウエハ40上のレジスト層42に照射される。
【0005】
走査手段20中の主偏向器22、24は、図7に示されるように電子ビーム15が転写用のマスク30の全面を走査するように電子ビームを偏向制御する。これにより、転写用のマスク30のマスクパターンがウエハ40上のレジスト層42に等倍転写される。
【0006】
また、走査手段20中の副偏向器26、28は、マスク歪みを補正するように電子ビームのマスクパターンへの入射角度を制御(傾き補正)する。いま、図8に示されるように電子ビーム15の転写用のマスク30への入射角度をα、転写用の転写用のマスク30とウエハ40との間隔をGとすると、入射角度αによるマスクパターンの転写位置のずれ量δは、次式、
δ=G・tan α
で表される。図8上ではマスクパターンは、ずれ量δだけ正規の位置からずれた位置に転写される。従って、転写用のマスク30に例えば図9(A)に示されるようなマスク歪みがある場合には、電子ビームの走査位置におけるマスク歪みに応じて電子ビームの傾き制御を行うことにより、図9(B)に示されるようにマスク歪みのない状態でのマスクパターンが転写される。
【0007】
XYステージ60は、静電チャック50に吸着されたウエハ40を水平の直交2軸方向に移動させるもので、マスクパターンの等倍転写が終了するごとにウエハ40を所定量移動させ、これにより1枚のウエハ40に複数のマスクパターンを転写できるようにしている。
【0008】
ところで、前記主偏向器22、24によって電子ビーム15が転写用のマスク30の全面を走査するように電子ビームを偏向制御する場合、図6に示されるように電子ビームが光軸と平行な状態を保持したまま走査する必要があり、このため電子ビーム15の走査位置に応じて電子ビーム15の傾きを正確に測定する必要がある。
【0009】
また、前記副偏向器26、28によって電子ビーム15のマスクパターンへの入射角度を制御する場合、副偏向器26、28に印加する電圧と、電子ビーム15のマスクパターンへの入射角度との関係を予め測定しておく必要がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような事情に鑑みて、本願出願人により電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法及び傾き較正方法並びに電子ビーム近接露光装置の発明がなされている(特願2001−157606号)。この発明は、以下の特徴を有する。
【0011】
予め複数のマークが形成された較正用マスクをロードし、電子ビームが較正用マスクのマークに入射するように偏向器によって偏向制御する。このマークを通過した電子ビームが、マークを有するファラデーカップ、及び同様のマークを有する他のファラデーカップに入射し、これらの2個のファラデーカップによって検出される電気量が最大となるときのXYステージの位置座標をそれぞれ検出する。上記XYステージの位置座標を、較正用マスクの全てのマークごとに検出する。そして、このようにして検出したXYステージの位置座標と、2個のマークの高低差とに基づいて較正用マスクの各マークに入力する位置における電子ビームの傾きを算出する。
【0012】
しかしながら、上記の電気量が最大となるときのXYステージの位置座標をそれぞれ検出する作業は長時間を要し、作業性に劣るという懸念がある。また、較正用マスクと2個のファラデーカップを要し、構成面でも複雑になる。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、電子ビームの傾きを正確に測定することができるとともに、副偏向器に印加する電圧と電子ビームのマスクパターンへの入射角度との関係を測定することができる電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は電子ビームによりマスクの全面を走査する際に、電子ビームが光軸と平行な状態を保持したまま走査するように較正することができる電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き較正方法並びに電子ビーム近接露光装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、所定の断面形状の電子ビームを出射する電子銃と、ウエハに近接配置されるマスクと、前記電子銃から出射される電子ビームが前記マスクの全面を走査するように電子ビームを偏向制御する偏向器とを備え、前記マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法において、
所定のパターンが形成されたステンシルマスクと、該ステンシルマスクから所定距離をおいて配置されるイメージセンサと、を有する電子ビーム傾きセンサと、
前記電子ビーム傾きセンサを前記電子ビームの光軸と直交する平面上の任意の位置に移動させる手段と、を備え、
(a)前記電子ビーム傾きセンサを前記電子銃の光軸上に移動し、前記ステンシルマスクを通過した電子ビームの前記イメージセンサ上の照射位置を検出するステップと、
(b)前記電子ビーム傾きセンサを前記電子銃の光軸から所定距離離れた複数位置に移動し、それぞれの位置における前記電子ビーム傾きセンサの移動量と前記ステンシルマスクを通過した電子ビームの前記イメージセンサ上の照射位置を検出するステップと、
(c)前記ステップ(a)で検出された前記イメージセンサ上の照射位置と、前記ステップ(b)で検出された前記電子ビーム傾きセンサの移動量及び前記電子ビームが照射される前記イメージセンサ上の照射位置とに基づいて、前記電子銃の光軸に対する前記ステップ(b)における前記電子ビームの傾きを算出するステップと、
(d)前記ステップ(b)からステップ(c)を前記電子ビーム傾きセンサを移動するごとに繰り返し実行し、各移動位置ごとに入射する電子ビームの傾きを求めるステップと、
を含むことを特徴とする電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法、
を含むことを特徴としている。
【0016】
即ち、ステップ(a)では、電子ビーム傾きセンサが電子銃の光軸上にセットされる。この位置を電子ビーム傾きセンサの原点位置として、電子ビームが照射されるイメージセンサ上の照射位置が検出され記憶される。
【0017】
次に、ステップ(b)では、電子ビーム傾きセンサを原点位置から所定距離離れた位置に移動し、該移動量と電子ビームが照射されるイメージセンサ上の照射位置が検出され、ステップ(c)では、原点位置において検出されたイメージセンサ上の照射位置との差及び移動量より電子ビームの傾きが算出される。
【0018】
そして、ステップ(d)では、各移動位置ごとにステップ(b)からステップ(c)が繰り返し実行され、各移動位置ごとに入射する電子ビームの傾きが求められる。
【0019】
本願請求項2に係る発明は、所定の断面形状の電子ビームを出射する電子銃と、ウエハに近接配置されるマスクと、前記電子銃から出射される電子ビームが前記マスクの全面を走査するように電子ビームを偏向制御する主偏向器と、前記マスクに入射する電子ビームの傾きを制御する副偏向器とを備え、前記マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法において、
所定のパターンが形成されたステンシルマスクと、該ステンシルマスクから所定距離をおいて配置されるイメージセンサと、を有する電子ビーム傾きセンサと、
前記電子ビーム傾きセンサを前記電子ビームの光軸と直交する平面上の任意の位置に移動させる手段と、を備え、
(a)前記電子ビーム傾きセンサを前記電子銃の光軸上に移動し、前記ステンシルマスクを通過した電子ビームの前記イメージセンサ上の照射位置を検出するステップと、
(b)前記電子ビーム傾きセンサを前記電子銃の光軸から所定距離離れた複数位置に移動し、それぞれの位置における前記電子ビーム傾きセンサの移動量を検出するとともに、前記主偏向器によって電子ビームを偏向させて前記電子ビーム傾きセンサに入射させるステップと、
(c)前記副偏向器に所定の電圧を印加し、前記電子ビームを傾けるステップと、
(d)前記副偏向器に印加する電圧によって前記電子ビームの傾きを変化させ、前記電子ビーム傾きセンサによって検出される前記イメージセンサ上の照射位置が前記ステップ(a)で検出された照射位置と同一となるときに、前記副偏向器に所定の電圧を印加したときの該電子ビームの傾き又は偏向量を算出するステップと、
(e)前記ステップ(b)からステップ(d)を前記電子ビーム傾きセンサを移動するごとに繰り返し実行し、各移動位置ごとに前記副偏向器に印加される電圧と、該電圧による電子ビームの傾き又は偏向量との関係を求めるステップと、
を含むことを特徴としている。
【0020】
このような電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法においても、本願請求項1に記載の発明と同様に、各位置ごとに入射する電子ビームの傾きが求められる。
【0021】
本発明において、前記電子ビーム傾きセンサの前記イメージセンサ上には蛍光板が密着固定されていることが好ましい。イメージセンサとしては、電子ビームに感度を有するイメージセンサを使用すればよいが、電子ビームに感度を有しないイメージセンサであっても、蛍光板により電子ビームが光に変換され、同様の機能が得られるからである。
【0022】
また、本発明において、前記電子ビーム傾きセンサの前記ステンシルマスクと前記イメージセンサとの間には蛍光板と結像レンズが配されており、前記電子ビームを受けた前記蛍光板の発光する光が前記イメージセンサ上に結像するように構成されていることが好ましい。
【0023】
ステンシルマスクとイメージセンサとの距離が離れている構成の場合、一旦蛍光板が電子ビームを受光し、該蛍光板により電子ビームが光に変換され、変換された光が結像レンズからなる光学系を経てイメージセンサ上に結像する構成であっても、同様の機能が得られるからである。
【0024】
また、本発明において、前記蛍光板を前記電子銃の光軸に対して垂直方向に移動可能とし、前記蛍光板への電子ビームの照射位置を可変とすることが好ましい。 また、本発明において、前記蛍光板の表面に耐酸化性導電薄膜を形成することが好ましい。
【0025】
また、本発明において、電子ビームを偏向させることにより前記イメージセンサの電荷蓄積時間帯にのみ前記蛍光板に電子ビームを照射することが好ましい。
【0026】
蛍光板は、電子ビームの照射により輝度が低下することが経験的に確認されている。したがって、電子ビーム傾きセンサに蛍光板を使用した構成で長期に亘って稼働する場合には上記3種のいずれかの手段が有効な対策となるからである。
【0027】
本願請求項8に係る発明は、請求項1〜7に記載の電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法によって求められる前記電子ビームの前記電子銃の光軸に対する傾きをゼロにするための傾き補正値を求めるステップと、
前記電子ビームの走査位置に対応して傾き補正値が記憶された傾き補正テーブルを作成するステップと、
前記電子銃から出射される電子ビームが前記マスクの全面を走査するように前記偏向器で電子ビームを偏向制御する際に、該電子ビームの走査位置に応じて前記傾き補正テーブルから対応する傾き補正値を読み出し、該読み出した傾き補正値に基づいて前記偏向器を制御するステップと、を有し、
前記電子ビームの走査位置に関わらず電子ビームが光軸と平行になるように較正することを特徴としている。
【0028】
即ち、請求項1〜7に記載の電子ビームの傾き測定方法では、電子ビーム傾きセンサの各移動位置ごとに入射する電子ビームの傾き(即ち、電子ビームのマスクの走査位置に応じた傾き)を測定することができる。請求項8では、マスクの全面を走査してマスクパターンをウエハに近接露光する際に、前記電子ビームの走査位置に対応して電子ビームの傾きをゼロにする傾き補正値が記憶された傾き補正テーブルに基づいて電子ビームの傾きを較正し、電子ビームの走査位置に関わらず電子ビームが光軸と平行になるようにしている。
【0029】
より具体的には、主偏向器によって電子ビームがマスクの全面を走査するように偏向制御する際に、マスクに入射する電子ビームの傾きを制御することができる副偏向器によって電子ビームの傾きを較正し、電子ビームの走査位置に関わらず電子ビームが光軸と平行になるようにしている。前記電子ビームの傾きの較正時に副偏向器に印加する電圧は、前記電子ビーム傾きセンサによって検出される前記イメージセンサ上の位置が原点位置において検出された位置と同一となるとき(即ち、電子ビームがマスク面に直交するとき)に副偏向器に印加した電圧を、電子ビームの走査位置に応じて補正テーブルに記憶し、その記憶した電圧を使用する。
【0030】
本願請求項9に係る発明は、所定の断面形状の電子ビームを出射する電子銃と、ウエハに近接配置される転写用マスクと、前記電子銃から出射される電子ビームが前記転写用マスクの全面を走査するように電子ビームを偏向制御する主偏向器と、前記転写用マスクに入射する電子ビームの傾きを制御する副偏向器とを備え、前記転写用マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する電子ビーム近接露光装置において、
請求項2〜7に記載の電子ビームの傾き測定方法によって測定した、前記電子ビーム傾きセンサの各移動位置ごとに前記副偏向器に印加される電圧と、該電圧による電子ビームの傾き又は偏向量との関係を示す情報を記憶した補正テーブルと、
前記転写用マスクの歪みの情報を記憶する歪みテーブルと、
前記電子ビームによる前記ウエハへの露光時に、前記転写用マスクの歪みを補正すべく、前記補正テーブル及び歪みテーブルに記憶された情報と、前記ウエハと転写用マスクとの間隔値と、前記電子ビームの転写用マスク上の走査位置とに基づいて前記副偏向器に印加する電圧を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0031】
本願請求項10に係る発明は、前記補正テーブルと、
所定の工程時のウエハを基準にした現在のウエハのx方向及びy方向の伸縮率が設定された設定手段と、
前記電子ビームによる前記ウエハへの露光時に、前記ウエハのx方向及びy方向の伸縮率に比例してx方向及びy方向の転写倍率を変更すべく、前記補正テーブルに記憶された情報と、前記設定手段によって設定されたウエハのx方向及びy方向の伸縮率と、前記ウエハと転写用マスクとの間隔値と、前記電子ビームの転写用マスク上の走査位置とに基づいて前記副偏向器に印加する電圧を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0032】
即ち、請求項9では、転写用マスクに歪みがあっても歪みがないマスクと同じマスクパターンをウエハに精度よく露光することができ、請求項10では、ウエハの伸縮等によりマスクとウエハの倍率が変化してもウエハに露光される各マスクパターン同士がずれないように精度よく転写倍率を補正することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係る電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法及び傾き較正方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0034】
図1は本発明の方法が適用される電子ビーム近接露光装置の要部斜視図であり、図2及び図3はそれぞれ図1の平面図及び正面図である。
【0035】
これらの図面において、XYステージ60上に固定された静電チャック50上には、転写用のマスク30が保持できるように構成されている。また、電子ビーム傾きセンサ70は、XYステージ60上に静電チャック50に隣接して固定されており、電子ビーム傾きセンサ70の上面に配されるステンシルマスク70Aが静電チャック50の上面と略面一となっている。
【0036】
XYステージ60の側方には、レーザ干渉計74、76が配されており、これによりXYステージ60のx方向及びy方向の移動量が検出できるようになっている。なお、電子ビーム近接露光装置のその他の構成については、図6に示されるものと同様なため、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図4(a)に示されるように、電子ビーム傾きセンサ70は、上面に所定パターンの開口形状を有するステンシルマスク70Aが、該ステンシルマスク70Aから所定距離Dをおいてイメージセンサ70Bが配置されている。これにより、照射された電子ビーム15のうち、ステンシルマスク70Aを通過した所定パターンの電子ビームが、イメージセンサ70B上に照射される。
【0038】
図示の構成のイメージセンサ70Bとしては、電子ビームに感度を有するイメージセンサを使用する必要がある。
【0039】
通常このようなイメージセンサは、1ピクセルのサイズが10μm角程度のものがマトリクス状に配列されていることにより構成されている。たとえば、ステンシルマスク70Aとイメージセンサ70Bとの所定距離Dを20mm、電子ビームの傾きを制御する副偏向器26、28(図6参照)による傾き補正が最大で+−10ミリrad程度とすれば、イメージセンサ70B上での照射位置の最大ズレ量は約200μm、すなわち約20ピクセル分となる。また、副偏向器26、28による傾き補正の分解能は、0.1ミリrad程度であり、これはイメージセンサ70B上では2μm、すなわち約0.2ピクセル分となる。このように、イメージセンサ70Bとしては、充分な検知精度を有することが解る。
【0040】
本発明の方法が適用される電子ビーム近接露光装置には、上記の図4(a)に示される電子ビーム傾きセンサ70以外にも同図(b)及び(c)に示される構成のものも使用できる。
【0041】
同図(b)に示される電子ビーム傾きセンサ70は、同図(a)に示される電子ビーム傾きセンサ70の電子ビームに感度を有するイメージセンサに代えて、イメージセンサ70B上に蛍光板70Cが密着固定されているものが使用されている。電子ビームに感度を有しない一般的なイメージセンサであっても、蛍光板70Cにより電子ビームが光に変換され、同様の機能が得られる。
【0042】
なお、ステンシルマスク70Aと蛍光板70Cは、電荷蓄積による像の歪を防止する観点から、導電性を有し、接地されている必要がある。
【0043】
同図(c)に示される電子ビーム傾きセンサ70は、同図(a)に示される電子ビーム傾きセンサ70のイメージセンサの位置(所定距離Dの位置)に蛍光板70Cが配されている。また、蛍光板70Cの下面に発光する像が蛍光板70Cの下方に配されている結像レンズ70Dからなる光学系を経てイメージセンサ70B上に結像するようになっている。
【0044】
このように、ステンシルマスク70Aとイメージセンサ70Bとの距離が離れている構成の場合、一旦蛍光板70Cが電子ビームを受光し、蛍光板70Cにより電子ビームが光に変換され、変換された光が結像レンズ70Dからなる光学系を経てイメージセンサ70B上に結像する構成であっても、同様の機能が得られる。
【0045】
また、このような構成の場合、イメージセンサ70B上に結像する像を等倍ではなく、光学系により拡大して結像する方が分解能を向上させることができる。なお、同図(c)の構成は、結像レンズ70Dからなる光学系の基本的な構成を示したものであり、実際の装置への適用に当っては、たとえば、結像レンズ70Dとイメージセンサ70Bとの間にミラーを設け、光軸を直角に曲げる等の変形を加えることは任意である。
【0046】
ところで、上記のような蛍光板70Cは、詳細の理由は不詳であるが、電子ビームの照射により輝度が低下することが経験的に確認されている。たとえば、電子ビームの1時間の連続照射によりかなりの輝度低下が確認されている。したがって、蛍光板70Cを使用した構成で長期に亘って使用する場合にはこの対策が必要になってくる。
【0047】
その第一の対策として、請求項5に係る発明のように、蛍光板70Cを電子銃12の光軸に対して垂直方向に移動可能とし、蛍光板70Cへの電子ビームの照射位置を可変とする構成が挙げられる。すなわち、所定時間の電子ビームの照射により輝度が低下する蛍光板70Cの部分を移動させ、蛍光板70Cの未使用の部分を電子ビームの照射位置にセットする構成である。なお、この構成の概念は、蛍光板70Cを新たな蛍光板70Cと交換する態様をも含むものである。
【0048】
具体的な構成としては、蛍光板70Cを長尺の矩形状とし、これを直線状に移動させる構成、蛍光板70Cを円盤状とし、ターレット状に回転移動させる構成等、公知の各種方法が採用できる。
【0049】
また、駆動手段として、機械的(装置の外部からの遠隔操作)に行なう場合には超音波モータ、ピエゾアクチュエータ等が好ましく使用できる。装置内部は真空状態に保たれ、また、非磁性であることが好ましいことより、上記の駆動手段を装置内部で使用する構成が適するからである。
【0050】
駆動手段として、手動操作による場合には、たとえば、装置側面に設けられるビューポート(フランジ等で構成される)等よりOリング等を介して操作用のケーブル、ワイヤ等で蛍光板70Cを移動操作させることができる。
【0051】
第二の対策として、請求項6に係る発明のように、蛍光板の表面に耐酸化性導電薄膜を形成する構成が挙げられる。すなわち、耐酸化性の薄膜が形成されていれば、電子ビームの照射による蛍光膜の劣化が防止できるからである。また、導電膜とするのは、膜上に電荷が蓄積しチャージアップすると、電子ビームの検出位置精度が悪化する等の不具合を生じるからである。したがって、この耐酸化性導電薄膜にはゼロ電位となるように、接地されていることが望ましい。
【0052】
このような目的に好適な耐酸化性導電薄膜としては、たとえば、所定膜厚のAu(金)、Mo(モリブデン)等が使用できる。
【0053】
第三の対策として、請求項7に係る発明のように、電子ビームを偏向させることによりイメージセンサ70Bの電荷蓄積時間帯にのみ蛍光板70Cに電子ビームを照射する構成が挙げられる。イメージセンサ70Bのフレームレート(たとえば、1/15秒)のうち電荷蓄積時間帯はこの一部である(たとえば、約50%)。したがって、電荷蓄積時間帯以外には、電子ビームがイメージセンサ70Bに照射しないように、図示しないブランカー、主偏向器22、24又は副偏向器26、28により偏向させ、これにより蛍光板70Cの劣化が防止できるからである。
【0054】
なお、図4に示されるように、ステンシルマスク70Aの開口形状の所定パターンマークは、十字スリットから構成されているが、この実施の形態の形状に限られず、イメージセンサ70Bにより電子ビーム傾きが検出できる形状であれば、いなかる形状でもよい。
【0055】
電子ビーム傾きセンサ70の配される位置は、図1〜図3に示される構成では、XYステージ60上に静電チャック50に隣接して固定されているが、これ以外にも、XYステージ60の側方に固定される構成、又は、静電チャック50の上面に固定される構成も可能である。
【0056】
電子ビーム傾きセンサ70による電子銃12(図6参照)の光軸上での取り込み画像と、各移動位置における取り込み画像とのズレ量Sは以下のように算出する。
【0057】
電子ビーム傾きセンサ70で取り込まれた画像によるイメージセンサ70Bからの出力は、イメージセンサ画像処理ボードを経てコンピュータに取り込まれて処理される。すなわち、画像処理ソフトにより、画像の特定位置が算出される。たとえば、ステンシルマスク70Aの開口形状のパターンマークが図示のように十字状であれば、その中心位置が算出される。このときの座標は、イメージセンサ70Bの画素が基準になる。
【0058】
電子銃12の光軸上での取り込み画像の中心位置を(x1 、y1 )とし、電子ビームを偏向させた際の各移動位置における取り込み画像の中心位置を(x2 、y2 )とすれば、ズレ量Sは以下の式で示される。
S=[(x2 −x1 2 +(y2 −y1 2 1/2
[第1の実施の形態]
次に、上記電子ビーム傾きセンサ70を使用して電子ビームの傾きを測定する方法について説明する。
【0059】
(1)電子ビーム傾きセンサ70を電子銃12(図6参照)の光軸上に移動し、主偏向器22、24及び副偏向器26、28(図6参照)によって電子ビーム15を偏向させずに電子ビーム15を照射し、電子ビーム15が照射されたイメージセンサ70B上の照射位置のイメージセンサ70Bの出力を画像情報として取り込み、記憶する。また、このときのXYステージ60の位置を原点位置として記憶する。
【0060】
(2)主偏向器22、24によって電子ビーム15を偏向させ、電子銃12の光軸から所定距離離れた複数位置に電子ビーム15を照射するとともに、電子ビーム傾きセンサ70を同位置に移動し、電子ビーム15が照射されたイメージセンサ70B上の照射位置のイメージセンサ70Bの出力を画像情報として取り込む。この際、同時に電子ビーム傾きセンサ70の移動量をもレーザ干渉計74、76(図2参照)により検出する。
【0061】
なお、主偏向器22、24によって電子ビーム15を偏向させ、電子銃12の光軸から所定距離離れた複数位置に電子ビーム15を照射する前に、装置に内蔵されているSEM(走査型電子顕微鏡)を使用して電子ビーム15の照射位置を予め確認しておくとよい。
【0062】
(3)偏向させた電子ビーム15の傾き角度Tを算出する。それには、電子ビーム傾きセンサ70におけるステンシルマスク70Aとイメージセンサ70Bとの所定距離D及びイメージセンサ70Bの出力値と原点位置でのイメージセンサ70Bの出力値とより求まる照射位置ズレ量Sを使用し、S/Dの逆正接を計算すればよい。すなわち、次式、
T=tan-1S/D
で表される。なお、電子ビーム15の傾き角度TをX方向とY方向とに分解してそれぞれ求めるのであってもよい。
【0063】
(4)副偏向器26、28に印加する電圧によって電子ビーム15の傾きを変化させ、電子ビーム傾きセンサ70によって検出されるイメージセンサ70B上の照射位置が、ステップ(1)すなわち原点位置で検出された照射位置と同一となるときに、主偏向器22、24によって電子ビーム15を偏向させ、かつ、副偏向器26、28に所定の電圧を印加したときの該電子ビーム15の傾き又は偏向量を算出する。
【0064】
(5)前記ステップ(2)からステップ(4)を電子ビーム傾きセンサ70を移動するごとに繰り返し実行し、各移動位置ごとに副偏向器26、28に印加される電圧と、該電圧による電子ビーム15の傾き又は偏向量との関係を求める。
【0065】
このようにして算出された電子ビームの走査位置ごとの電子ビームの傾き角度Tをゼロにするために副偏向器26、28に印加される電圧を記憶した傾き補正テーブルを作成する。なお、マスクの任意の走査位置における電子ビームの傾き角度は、その走査位置の周囲の複数の位置における電子ビームの傾き角度に基づいて補間演算することによって求めることができる。
【0066】
その後、主偏向器22、24により電子ビーム15を偏向制御し、転写用のマスクの全面を走査してマスクパターンをウエハに近接露光するときには、前記傾き補正テーブルから電子ビームの走査位置に対応して傾き補正値を読み出し、この傾き補正値に基づいて電子ビームの傾きがゼロになるように副偏向器26、28を制御する。
【0067】
これにより、電子ビーム15は転写用マスクの走査位置に関わらず、常に光軸と平行になるように走査される。
[第2の実施の形態]
次に、上記と同様にして電子ビーム傾きセンサ70を使用し、副偏向器26、28に印加する電圧と、マスクに入射する電子ビーム15の傾き又は偏向量との関係を測定した結果に基づいて行う副偏向器26、28の電圧制御について説明する。
【0068】
図5は本発明に係る電子ビーム近接露光装置によって転写用マスクのマスクパターンをウエハに露光する動作手順を示すフローチャートである。
【0069】
同図に示されるように、まず電子ビーム近接露光装置に転写用マスクをロードし(ステップS10)、続いてウエハをXYステージ60上の静電チャック50に位置決めしたのち、該静電チャック50で吸着固定することによりウエハをロードする(ステップS12)。続いて、ウエハに電子が帯電しないように導通ピン等によってウエハの導通をとる(ステップS14)。
【0070】
次に、ウエハの高さを検出するためのzセンサによって高さ検出を行い、ウエハの高さ調整を行ったのち(ステップS16)、ウエハの粗い位置合わせ(コースアライメント)を行う(ステップS18)。
【0071】
続いて、ウエハのx方向及びy方向の伸縮率の測定(MAG測定(グローバル))を行い(ステップS19)、その測定した伸縮率を示す信号を補正演算回路90に出力する。ここで、ウエハの伸縮率とは、前段の転写プロセスを含む所定の工程時のウエハを基準にした現在のウエハの伸縮率をいう。その後、ウエハを転写位置に移動させる(ステップS20)。
【0072】
次に、マスクとウエハとの間隔(GAP)を測定し、その間隔Gを調整する(ステップS22)。なお、マスクとウエハとの間隔Gの測定方法は、詳しくは特開2000−356511号公報に開示されているが、この測定方法に限定されない。
【0073】
上記のようにして測定した間隔Gが所定値(例えば、50μm)となるように間隔Gを調整する。この間隔Gの値(間隔値)は、副偏向器26、28の偏向制御を行うための補正演算回路90に加えられる。
【0074】
その後、マスクとウエハ上のチップとを精度よく位置決め(ファインアライメント)したのち(ステップS24)、電子ビームによってマスクパターンをウエハに転写する(ステップS26)。
【0075】
この転写時に補正演算回路90は、ウエハの伸縮率に基づいて電子ビームの走査位置に応じた電子ビームのウエハ上での偏向量を求める。なお、電子ビームの走査位置に応じて電子ビームのウエハ上での偏向量を連続的に変化させることにより、転写倍率を微小量変化させることができる。
【0076】
補正演算回路90は、電子ビームのウエハ上での偏向量を求めると、マスクとウエハとの間隔Gに基づいて電子ビームの転写用マスク上の走査位置に応じた副偏向器26、28への印加電圧を求め、その求めた電圧を副偏向器26、28に印加する。これによりウエハの伸縮率に応じて転写倍率を変更するようにしている。
【0077】
また、補正演算回路90には、ステップS32で予め測定されたマスク歪みを示すデータが入力されており、補正演算回路90は、例えば図9(A)に示されるようなマスク歪みを入力した場合に、そのマスク歪みを補正するための偏向量を求め、上記と同様にして図9(B)に示されるようなマスク歪みのない状態でのマスクパターンが転写されるように副偏向器26、28に印加する電圧を制御する。
【0078】
上記のようにしてウエハへのマスクパターンの転写が終了すると、ウエハをアンロードする(ステップS28)。なお、補正演算回路90は、転写倍率の制御及びマスク歪みの補正のうちのいずれか一方を行うようにしてもよいし、両方を同時に行うようにしてもよい。
【0079】
以上、本発明に係る電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法及び傾き較正方法並びに電子ビーム近接露光装置について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。たとえば、図4(C)において、一枚の結像レンズ70Dにより倒立像が得られる光学系が採用されているが、二枚以上のレンズを使用する光学系を採用するのであってもよい。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電子ビーム傾きセンサを使用することにより、電子ビームの傾きを正確に測定することができる。また、電子ビームによりマスクの全面を走査する際に、電子ビームが光軸と平行な状態を保持したまま走査するように較正することができる。更に、副偏向器に印加する電圧と電子ビームのマスクパターンへの入射角度又は偏向量との関係を測定することができ、これによりマスク歪みの補正や転写倍率を変更する際の副偏向器への印加電圧を精度よく求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法が適用される電子ビーム近接露光装置の要部斜視図
【図2】図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部の平面図
【図3】図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部の正面図
【図4】本発明に使用される電子ビーム傾きセンサの概略図
【図5】本発明に係る電子ビーム近接露光装置によって転写用マスクのマスクパターンをウエハに露光する動作手順を示すフローチャート
【図6】本発明が適用される電子ビーム近接露光装置の基本構成図
【図7】電子ビームによるマスクの走査を説明するために用いた図
【図8】副偏向器によって電子ビームの傾きが制御される様子を示す図
【図9】マスク歪みの補正を説明するために用いた図
【符号の説明】
10…電子ビーム近接露光装置、12…電子銃、15…電子ビーム、22、24…主偏向器、26、28…副偏向器、30…転写用のマスク、40…ウエハ、50…静電チャック、60…XYステージ、70…電子ビーム傾きセンサ、70A…ステンシルマスク、70B…イメージセンサ、74、76…レーザ干渉計、90…補正演算回路

Claims (10)

  1. 所定の断面形状の電子ビームを出射する電子銃と、ウエハに近接配置されるマスクと、前記電子銃から出射される電子ビームが前記マスクの全面を走査するように電子ビームを偏向制御する偏向器とを備え、前記マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法において、
    所定のパターンが形成されたステンシルマスクと、該ステンシルマスクから所定距離をおいて配置されるイメージセンサと、を有する電子ビーム傾きセンサと、
    前記電子ビーム傾きセンサを前記電子ビームの光軸と直交する平面上の任意の位置に移動させる手段と、を備え、
    (a)前記電子ビーム傾きセンサを前記電子銃の光軸上に移動し、前記ステンシルマスクを通過した電子ビームの前記イメージセンサ上の照射位置を検出するステップと、
    (b)前記電子ビーム傾きセンサを前記電子銃の光軸から所定距離離れた複数位置に移動し、それぞれの位置における前記電子ビーム傾きセンサの移動量と前記ステンシルマスクを通過した電子ビームの前記イメージセンサ上の照射位置を検出するステップと、
    (c)前記ステップ(a)で検出された前記イメージセンサ上の照射位置と、前記ステップ(b)で検出された前記電子ビーム傾きセンサの移動量及び前記電子ビームが照射される前記イメージセンサ上の照射位置とに基づいて、前記電子銃の光軸に対する前記ステップ(b)における前記電子ビームの傾きを算出するステップと、
    (d)前記ステップ(b)からステップ(c)を前記電子ビーム傾きセンサを移動するごとに繰り返し実行し、各移動位置ごとに入射する電子ビームの傾きを求めるステップと、
    を含むことを特徴とする電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法。
  2. 所定の断面形状の電子ビームを出射する電子銃と、ウエハに近接配置されるマスクと、前記電子銃から出射される電子ビームが前記マスクの全面を走査するように電子ビームを偏向制御する主偏向器と、前記マスクに入射する電子ビームの傾きを制御する副偏向器とを備え、前記マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法において、
    所定のパターンが形成されたステンシルマスクと、該ステンシルマスクから所定距離をおいて配置されるイメージセンサと、を有する電子ビーム傾きセンサと、
    前記電子ビーム傾きセンサを前記電子ビームの光軸と直交する平面上の任意の位置に移動させる手段と、を備え、
    (a)前記電子ビーム傾きセンサを前記電子銃の光軸上に移動し、前記ステンシルマスクを通過した電子ビームの前記イメージセンサ上の照射位置を検出するステップと、
    (b)前記電子ビーム傾きセンサを前記電子銃の光軸から所定距離離れた複数位置に移動し、それぞれの位置における前記電子ビーム傾きセンサの移動量を検出するとともに、前記主偏向器によって電子ビームを偏向させて前記電子ビーム傾きセンサに入射させるステップと、
    (c)前記副偏向器に所定の電圧を印加し、前記電子ビームを傾けるステップと、
    (d)前記副偏向器に印加する電圧によって前記電子ビームの傾きを変化させ、前記電子ビーム傾きセンサによって検出される前記イメージセンサ上の照射位置が前記ステップ(a)で検出された照射位置と同一となるときに、前記副偏向器に所定の電圧を印加したときの該電子ビームの傾き又は偏向量を算出するステップと、
    (e)前記ステップ(b)からステップ(d)を前記電子ビーム傾きセンサを移動するごとに繰り返し実行し、各移動位置ごとに前記副偏向器に印加される電圧と、該電圧による電子ビームの傾き又は偏向量との関係を求めるステップと、を含むことを特徴とする電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法。
  3. 前記電子ビーム傾きセンサの前記イメージセンサ上には蛍光板が密着固定されている請求項1又は2に記載の電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法。
  4. 前記電子ビーム傾きセンサの前記ステンシルマスクと前記イメージセンサとの間には蛍光板と結像レンズが配されており、前記電子ビームを受けた前記蛍光板の発光する光が前記イメージセンサ上に結像するように構成されている請求項1又は2に記載の電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法。
  5. 前記蛍光板を前記電子銃の光軸に対して垂直方向に移動可能とし、前記蛍光板への電子ビームの照射位置を可変とする請求項3又は4に記載の電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法。
  6. 前記蛍光板の表面に耐酸化性導電薄膜を形成する請求項3又は4に記載の電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法。
  7. 電子ビームを偏向させることにより前記イメージセンサの電荷蓄積時間帯にのみ前記蛍光板に電子ビームを照射する請求項3又は4に記載の電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法。
  8. 請求項1〜7に記載の電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き測定方法によって求められる前記電子ビームの前記電子銃の光軸に対する傾きをゼロにするための傾き補正値を求めるステップと、
    前記電子ビームの走査位置に対応して傾き補正値が記憶された傾き補正テーブルを作成するステップと、
    前記電子銃から出射される電子ビームが前記マスクの全面を走査するように前記偏向器で電子ビームを偏向制御する際に、該電子ビームの走査位置に応じて前記傾き補正テーブルから対応する傾き補正値を読み出し、該読み出した傾き補正値に基づいて前記偏向器を制御するステップと、を有し、
    前記電子ビームの走査位置に関わらず電子ビームが光軸と平行になるように較正することを特徴とする電子ビーム近接露光装置における電子ビームの傾き較正方法。
  9. 所定の断面形状の電子ビームを出射する電子銃と、ウエハに近接配置される転写用マスクと、前記電子銃から出射される電子ビームが前記転写用マスクの全面を走査するように電子ビームを偏向制御する主偏向器と、前記転写用マスクに入射する電子ビームの傾きを制御する副偏向器とを備え、前記転写用マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する電子ビーム近接露光装置において、
    請求項2〜7に記載の電子ビームの傾き測定方法によって測定した、前記電子ビーム傾きセンサの各移動位置ごとに前記副偏向器に印加される電圧と、該電圧による電子ビームの傾き又は偏向量との関係を示す情報を記憶した補正テーブルと、
    前記転写用マスクの歪みの情報を記憶する歪みテーブルと、
    前記電子ビームによる前記ウエハへの露光時に、前記転写用マスクの歪みを補正すべく、前記補正テーブル及び歪みテーブルに記憶された情報と、前記ウエハと転写用マスクとの間隔値と、前記電子ビームの転写用マスク上の走査位置とに基づいて前記副偏向器に印加する電圧を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする電子ビーム近接露光装置。
  10. 前記補正テーブルと、
    所定の工程時のウエハを基準にした現在のウエハのx方向及びy方向の伸縮率が設定された設定手段と、
    前記電子ビームによる前記ウエハへの露光時に、前記ウエハのx方向及びy方向の伸縮率に比例してx方向及びy方向の転写倍率を変更すべく、前記補正テーブルに記憶された情報と、前記設定手段によって設定されたウエハのx方向及びy方向の伸縮率と、前記ウエハと転写用マスクとの間隔値と、前記電子ビームの転写用マスク上の走査位置とに基づいて前記副偏向器に印加する電圧を制御する制御手段と、
    を備えた請求項9に記載の電子ビーム近接露光装置。
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