JP3567769B2 - 回転装置および電磁クラッチ - Google Patents
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- F16D27/00—Magnetically- or electrically- actuated clutches; Control or electric circuits therefor
- F16D27/14—Details
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転部材をベアリングで支持する回転装置および電磁クラッチに関し、例えば車両用空調装置の圧縮機作動の断続を行う電磁クラッチや、車両の補機駆動用ベルトの張力を調整するベルトテンショナー等に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、図3,4に示すように、車両用空調装置の圧縮機用電磁クラッチ(回転装置)100は、車両用エンジンの回転力がベルト110を介して電磁クラッチのプーリ101に入力され、このプーリ101と共にロータ(回転部材)102が回転する。電磁コイル103に通電中はアーマチャ(従動側回転部材)104がロータ102に吸着され、アーマチャ104やハブ(従動側回転部材)105を介して、ロータ102の回転が圧縮機(従動側機器)120の回転軸121に伝達される。
【0003】
ロータ102の内周部と圧縮機120の円筒ボス部(支持部材)122との間にはベアリング106が配置され、このベアリング106によりロータ102が回転自在に支持されている。
そして、この種の圧縮機用電磁クラッチにおいて一般的に使用されるベアリング106は、内輪106aと外輪106bの間にボール106cが2列配置され、各ボール106cが内輪106aと外輪106bに各々1点で接触し、かつ接触角αを有する、いわゆる複列アンギュラ形玉軸受である。ここで、図4中の符号a〜hは、内外輪106a、106bとボール106cの接触点を示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の車両用空調装置の圧縮機用電磁クラッチにおいて、異音が発生するものがあり、本発明者が異音発生源や発生メカニズムについて実験検討したところ、ベアリング106から発生している異音を確認できた。
また、このベアリング106からの異音は、回転数が低い時や圧縮機120周囲温度が低い時、さらにベアリング106内のグリースが洩れていたり、グリースの粘度が低下している場合に発生しやすいことが判明した。
【0005】
そして、上記のことを踏まえて詳細に検討したところ、次のような発生メカニズムであることがわかった。
すなわち、ベルト110のテンションD(ベルト軸力)の作用線Eが、ベアリング106の径方向中心線Fからずれている場合、ベアリング106は内外輪106a、106bとボール106c間に微小(40μ程度)のラジアル方向隙間を持っているため、ベルト110のテンションDによるモーメントにより、外輪106bがプーリ101やロータ102と共に図3、4で反時計方向に微小ながら回動されて傾く。
【0006】
ここで、ベアリング106は、ボール106cが2列配置されていることや接触角αの向き等が関係して、ベアリング106において図4の左側の第1列では、上方に位置するボール106cが接触点a,bにて内外輪106a、106bに共に接触し、図4の右側の第2列では下方に位置するボール106cが接触点g,hにて内外輪106a、106bに共に接触した状態が保たれる。
【0007】
しかし、外輪106bが図4で反時計方向に回動されて傾くことにより、ベアリング106の第1列の下方側と第2列の上方側では、内外輪106a、106b間の間隔が拡がる。従って、図5に示すように、ベアリング106の第1列の下方側では内外輪106a、106bとボール106c間に隙間が生じ、外輪106bが矢印G方向に回転するのに伴いボール106cも矢印G方向に転動し、ボール106cは最下部に至る少し前の位置で、重力と遠心力により内輪106a側から外輪106b側に落下し、その際に衝突音が発生するものである。
【0008】
一方、図6に示すように、ベアリング106の第2列の上方側では内外輪106a、106bとボール106c間に隙間が生じるため、ボール106cは最上部付近で重力により落下し、ボール106cと内輪106aとの衝突音が発生する。
そして、回転数が高くなるとボール106cに作用する遠心力が増加し、ボール106cが常時外輪106bに接することになるため音は発生しなくなる。従って、低回転域でのみ使用される場合や、車両用エンジンのように低回転域から高回転域まで回転数が変動する駆動源によって回転される場合に、上記の異音の問題が生じるものである。
【0009】
なお、圧縮機120周囲温度が高い時は、アルミニュウム製の円筒ボス部122と鉄製の内輪106aとの線膨張係数の差により、内輪106aが円筒ボス部122によって押し拡げられて、ベアリング106のラジアル方向隙間が減少し、音が発生しにくくなる。
また、ベアリング106内に所定の粘度のグリースが十分入っておれば、グリースがクッション材的な役割を果たすため、この場合も音は発生しにくい。
【0010】
ところで、本発明者がさらに他の回転装置についても調べたところ、車両用エンジンにて駆動され、かつ複列アンギュラ形玉軸受を使用した回転装置では、同様のメカニズムで異音が発生することがわかった。その回転装置の例としては、車両用空調装置の可変容量圧縮機にエンジンの回転を常時伝達し、かつ圧縮機ロック等の過負荷時に圧縮機への回転伝達経路を遮断するトルクリミッター機能を持つ回転伝達装置(回転装置)や、車両の補機駆動用ベルトの張力を調整するベルトテンショナー(回転装置)等がある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、回転部材をベアリングで支持する回転装置や電磁クラッチにおいて、ボールと内外輪の衝突により発生していたベアリングからの異音を防止することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、回転駆動源からの回転力を受けて回転する回転部材(2)と、この回転部材(2)の内周部に嵌合されて回転部材(2)を回転自在に支持するベアリング(3)と、このベアリング(3)の内周部に嵌合されてベアリング(3)を支持する支持部材(122)とを備える回転装置において、ベアリング(3)は、内輪(31)と外輪(32)の間に多数のボール(33)が単列配置され、この各々のボール(33)が内輪(31)と2点で接触可能であると共に外輪(32)と2点で接触可能に構成され、回転部材(2)に対してベアリング(3)の径方向に作用する力(D)の作用線(E)と、ベアリング(3)のボール(33)中心点を通る径方向中心線(A)とが、ベアリング(3)の軸方向にずれており、前記作用線(E)と前記径方向中心線(A)との軸方向のずれと外力によるモーメントにより、外輪(32)が傾いた際に、ボール(33)が内輪(31)と1点で接触すると共に外輪(32)と1点で接触することを特徴とする。
【0013】
これによれば、ボール(33)が単列配置され、各々のボール(33)が内輪(31)と2点で接触可能であると共に外輪(32)と2点で接触可能にしているため、外力により外輪(32)が傾けられた場合でも、各ボール(33)と内輪(31)の2つの接触点のうち一方の接触点は離れるものの他方の接触点は接触状態が常に保たれ、同様に各ボール(33)と外輪(32)との間においても一方の接触点で接触状態が常に保たれる。
【0014】
従って、従来のようなボール(33)が重力により落下して音が発生するという現象が発生しなくなり、ベアリング(3)からの異音発生を防止することができる。
なお、各々のボール(33)が内輪(31)と2点で接触可能であると共に外輪(32)と2点で接触可能であっても、仮にボール(33)を2列配置した場合は、外輪(32)が傾くことにより、2列のうち一方の列側では外輪(32)が内輪(31)側に押され、他方の列側では外輪(32)が内輪(31)から遠ざかり、従って他方の列側で内外輪(31、32)とボール(33)間に隙間が発生してしまう。
【0015】
これに対し、本発明ではボール(33)を単列配置しているためそのような隙間は発生せず、上記のように各ボール(33)が内外輪(31、32)に各々1点ずつ接触した状態が常に保たれる。
【0018】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の回転装置と、通電によって電磁力を発生する電磁コイル(5)と、従動側機器(120)に連結された従動側回転部材(8、12)とを備え、電磁コイル(5)の発生する電磁力によって従動側回転部材(8、12)を回転部材(2)に吸着して、回転部材(2)の回転を従動側機器(120)に伝達することを特徴としている。
【0019】
これによれば、電磁コイル(5)への通電の断続によって、従動側機器(120)への回転の伝達を断続する電磁クラッチにおいて、請求項1と同様の効果が得られる。なお、上記した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す一実施形態について説明する。
図1は本発明を電磁クラッチ(回転装置)に適用した例を示すもので、1は駆動側プーリで、ベルト110を介して車両用エンジンから回転力を受けて回転するものである。このプーリ1は多重Vベルト110が係合される多重V溝を持ったプーリ部1aが一体形成されており、鉄系金属で製作されている。
【0021】
2は断面コの字形状の2重円筒形状に形成された駆動側ロータ(回転部材)で、鉄系金属(強磁性体)で製作されており、プーリ1とは溶接等の接合手段で一体に接合されている。このロータ2の内周部には、ベアリング3(詳細後述)が圧入され、このベアリング3によりロータ2は、圧縮機(従動側機器)120のアルミニュウム製のフロントハウジング123の円筒ボス部122(支持部材)に回転自在に支持されるようになっている。ベアリング3は円筒ボス部122の外周に嵌合され、サークリップ124にて位置決め固定されている。ここで、圧縮機は車両用空調装置の冷凍サイクルの冷媒圧縮用のものである。
【0022】
4は固定磁極部材としての役割を果たすコイルハウジングで、断面コの字形状の2重円筒形状に鉄系金属(強磁性体)で形成されている。このコイルハウジング4の内部には電磁コイル5が樹脂部材6により絶縁固定されている。この樹脂部材6はエポキシ樹脂、不飽和ポリエステルのような比較的低温(130〜140°C)で成形できる樹脂材料をコイルハウジング4の内部空間に注入し成形したものである。
【0023】
また、コイルハウジング4は前記ロータ2の断面コの字形状の内部空間内に微小隙間を介して配設されており、このコイルハウジング4の背面部には鉄系金属でリング状に形成されたステー7が点溶接等により接合されている。このステー7を介してコイルハウジング4は圧縮機120のフロントハウジング123に固定されるようになっている。
【0024】
前記ロータ2の半径方向に延びる摩擦面2aには円周方向に延びる円弧状の磁気遮断溝2b、2cが形成してあり、さらに半径方向外方の磁気遮断溝2bの部位には摩擦材2dが配設され、伝達トルクの向上を図るようにしてある。
8はロータ2の摩擦面2aに対向して配設されたアーマチャで、リング状に鉄系金属(強磁性体)で形成されている。このアーマチャ8は電磁コイル5の非通電時には後述する弾性部材9の弾性力によりロータ2の摩擦面2aから所定の微小距離離れた位置に保持されるようになっている。このアーマチャ8にも、円周方向に延びる円弧状の磁気遮断溝8aが形成されている。
【0025】
電磁コイル5への通電により発生する磁束が流れる磁気回路は、上記ロータ2、コイルハウジング4およびアーマチャ8により構成されている。
10は鉄系金属からなるリベットで、アーマチャ8を鉄系金属からなるリング状の保持部材11に固定するものである。前記弾性部材9は保持部材11の円筒部11aの内周面と、ハブ12の外側円筒部12aの外周面との間に配置され、この両部材11、12に対して一体成形されて一体に結合されている。なお、アーマチャ8およびハブ12が、従動側回転部材の主要部を構成している。
【0026】
前記弾性部材9は前記両部材11、12の間に円筒状に成形されており、その材質としては、自動車の使用環境温度範囲(−30°C〜120°)に対して、トルク伝達およびトルク変動吸収の面で優れた特性を発揮するゴムを用いることが好ましく、具体的には、塩素化ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム等のゴムがよい。
【0027】
前記ハブ12は鉄系金属にて形成されており、ハブ12の中心円筒部12bの内周には、圧縮機120の回転軸121がスプライン結合により回り止め嵌合され、ハブ12と圧縮機120の回転軸121はボルト130により一体に締めつけ固定されている。
前記ベアリング3は、いわゆる単列4点接触形玉軸受で、図2に示すように、リング状の内輪31とリング状の外輪32が同心状に配置され、内輪31と外輪32との間に形成されたリング状の空間34に多数のボール33が単列配置されている。
【0028】
空間34に配置されるリング状のリテーナ35は、ボール33が遊嵌合される穴部35aが周方向に均等な間隔で所定の数だけ形成され、ボール33はその穴部35aに挿入されて周方向に均等な間隔で配置される。ここで、内輪31、外輪32およびボール33の材質は、いずれもSUJ2(高炭素クロム軸受鋼)であり、リテーナ35は強度面および成形性の面で優れるナイロンよりなる。
【0029】
内輪31と外輪32の両側には溝31a,32aが形成され、この溝31a,32aに、耐油性・耐熱性に富むゴム(例えばニトリルゴム)で形成したリップ36aと金属製のプレート36bとからなるオイルシール36(シール手段)が組付けられている。そして、このオイルシール36によって空間34が密閉され、この密閉された空間34にグリース(*望ましい特性、具体例等)が封入されている。
【0030】
各々のボール33が、内輪31と2点で接触可能で、かつ外輪32と2点で接触可能にするために、内外輪31、32を次のように加工している。
まず、内輪31の第1軌道面31bと第2軌道面31cを、ボール33の半径よりも少し大きな一定の曲率半径で加工することにより、ボール33と内輪31が2つの接触点31d,31eで接触するようにし、また外輪32の第1軌道面32bと第2軌道面32cも、ボール33の半径よりも少し大きな一定の曲率半径で加工することにより、ボール33と外輪32が2つの接触点32d,32eで接触するようにしている。また、接触角αが約20°になるように加工されている。
【0031】
さらに接触点31d,31e,32d,32eの位置関係を説明すると、ボール33の中心点を通るベアリング3の径方向中心線Aを基準として、ベアリング3軸方向の一端側(図2で左側)に内輪31の第1接触点31dと外輪32の第1接触点32dが位置し、ベアリング3軸方向の他端側に内輪31の第2接触点31eと外輪32の第2接触点32eが位置する。
【0032】
次に、上記構成において実施形態の作動を説明する。
まず、自動車エンジンのクランクプーリの回転がベルト110を介してプーリ1に伝達され、このプーリ1と一体にロータ2は常時回転している。
上記の状態において、車両用空調装置を作動させるため、電磁コイル5に通電されると、コイルハウジング4からロータ2、およびアーマチャ8を経てコイルハウジング4に戻る磁気回路に磁束が流れる。これにより、ロータ2の摩擦面2aとアーマチャ8との間に電磁吸引力が発生するので、アーマチャ8は弾性部材9の軸方向弾性力(図1の左方向への力)に抗してロータ2の摩擦面2aに吸引、吸着される。
【0033】
この結果、ロータ2とアーマチャ8が一体となって回転し、さらにアーマチャ8からリベット10、保持部材11、および弾性部材9を介してハブ12に回転が伝達される。このハブ12には圧縮機120の回転軸121が一体に結合されているので、この圧縮機120の回転軸121にプーリ1の回転が伝達され、圧縮機120が作動する。
【0034】
ここで、圧縮機4の正常運転時には、ゴム製の弾性部材9が圧縮機の作動によるトルク変動を吸収する役割を果たしている。
一方、電磁コイル5への通電を絶つと、アーマチャ8は弾性部材9の軸方向弾性力(図1の左方向への力)によりロータ2の摩擦面2aから引き離され、圧縮機120へは回転が伝達されなくなる。
【0035】
ところで、電磁コイル5への通電状態にかかわらず、エンジン回転中はその回転がベルト110を介してプーリ1に伝達され、プーリ1とロータ2は常時回転している。そして、ベルト110のテンションDの作用線Eとベアリング3の径方向中心線Aとが、ベアリング3の軸方向にずれており、しかもベアリング3は、内外輪31、32とボール33間に微小(40μ程度)のラジアル方向隙間を持っているため、ベルト110のテンションDによるモーメントにより、外輪32がプーリ1やロータ2と共に図1で反時計方向に微小ながら回動されて傾く。
【0036】
ここで、ベアリング3は、各々のボール33が内輪31と2点で接触すると共に外輪32と2点で接触する、いわゆる単列4点接触形玉軸受であることから、上記のように外輪32が微小回動された場合でも、各々のボール33は少なくとも内外輪31、32に各々1点ずつ接触した状態が常に保たれる。
すなわち、外輪32の反時計方向への微小回動により、図1において上方に位置するボール33は、内輪31の第2軌道面31cおよび外輪32の第1軌道面32bからは離れるものの、内輪31の第1軌道面31b上の第1接触点31dで接触すると共に、外輪32の第2軌道面32c上の第2接触点32eで接触している。また、図1において下方に位置するボール33は、内輪31の第1軌道面31bおよび外輪32の第2軌道面32cからは離れるものの、内輪31の第2軌道面31c上の第2接触点31eで接触すると共に,外輪32の第1軌道面32c上の第1接触点32dで接触している。
【0037】
このように、各々のボール33は少なくとも内外輪31、32に各々1点ずつ接触した状態であるため、従来のようにボール33が重力により落下して音が発生するという現象が発生しなくなり、ベアリング3からの異音発生を防止することができる。
なお、各々のボール33が内輪31と2点で接触可能であると共に外輪32と2点で接触可能であっても、仮にボール33を2列配置した場合は、外輪32が傾くことにより、2列のうち一方の列側では外輪32が内輪31側に押され、他方の列側では外輪32が内輪31から遠ざかり、従って他方の列側で内外輪31、32とボール33間に隙間が発生してしまう。
【0038】
これに対し、本実施形態ではボール33を単列配置しているためそのような隙間は発生せず、上記のように各ボール33が内外輪31、32に各々1点ずつ接触した状態が常に保たれる。
また、ボール33が配置される空間34にグリースを封入しているから、グリースがクッション材的な役割を果たし、これによってもボール33と内外輪31、32との衝突による異音発生を防止することができる。
【0039】
しかも、グリースが封入された空間34はオイルシール36によってシールされているので、グリース洩れが防止され、グリースによる異音発生防止効果が継続的に得られる。
ところで、ベルト110のテンションDの作用線Eとベアリング3の径方向中心線Aとが完全に一致している場合は、外輪32は傾かずに図1の下方に向かって真っ直ぐに押され、それにより図1の下方で内外輪31、32間の間隔が拡がる。従って、その位置では内外輪31、32とボール33間に隙間が生じ、仮にグリースがない場合はボール33が内外輪31、32に衝突して異音が発生する。
【0040】
これから理解されるように、ベルト110のテンションDの作用線Eとベアリング3の径方向中心線Aとが、ベアリング3の軸方向にずれていて、外力により外輪32が傾けられる場合に本発明は特に有効で、このような回転装置にいわゆる単列4点接触形玉軸受を採用することにより、外輪32が傾けられるのを利用して各ボール33が内外輪31、32に各々1点ずつ接触した状態を保ち、ボール33と内外輪31、32との衝突による異音発生を防止することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、内外輪31、32の軌道面31b,31c,32b,32cを一定の曲率半径としたが、必ずしもそれを一定にする必要はない。例えば、軌道面31b,31c,32b,32cにおけるボール33が接触する部位は、ボール33の半径よりも少し大きな曲率半径とし、そこから離れた位置ではさらに大きな曲率半径にしてもよいし、また軌道面31b,31c,32b,32c全域で曲率半径を連続的に変化させてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、本発明を電磁クラッチに適用した例を示したが、本発明はその他の回転装置にも適用可能である。その回転装置の例としては、▲1▼車両用空調装置の可変容量圧縮機にエンジンの回転を常時伝達し、かつ圧縮機ロック等の過負荷時に圧縮機への回転伝達経路を遮断するトルクリミッター機能を持つ回転伝達装置や、▲2▼車両のエンジンに位置調整機構を介して取り付けられ、位置調整機構で位置を調整することにより補機駆動用ベルトの張力を調整するベルトテンショナー等がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1のベアリングの拡大縦断面図である。
【図3】従来装置を示す縦断面図である。
【図4】図3の要部の拡大縦断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図3のC−C断面図である。
【符号の説明】
2…ロータ(回転部材)、3…ベアリング、31…内輪、32…外輪、
31b,31c,32b,32c…軌道面、33…ボール、
34…空間、36…オイルシール(シール手段)、
8、12…従動側回転部材の主要部を構成するアーマチャおよびハブ、
120…圧縮機(従動側機器)、122…円筒ボス部(支持部材)。
Claims (2)
- 回転駆動源からの回転力を受けて回転する回転部材(2)と、この回転部材(2)の内周部に嵌合されて回転部材(2)を回転自在に支持するベアリング(3)と、このベアリング(3)の内周部に嵌合されてベアリング(3)を支持する支持部材(122)とを備える回転装置において、
前記ベアリング(3)は、内輪(31)と外輪(32)の間に多数のボール(33)が単列配置され、この各々のボール(33)が、前記内輪(31)と2点で接触可能であると共に前記外輪(32)と2点で接触可能に構成され、
前記回転部材(2)に対して前記ベアリング(3)の径方向に作用する力(D)の作用線(E)と、前記ベアリング(3)のボール(33)中心点を通る径方向中心線(A)とが前記ベアリング(3)の軸方向にずれており、
前記作用線(E)と前記径方向中心線(A)との軸方向のずれと外力によるモーメントにより、前記外輪(32)が傾いた際に、前記ボール(33)が前記内輪(31)と1点で接触すると共に前記外輪(32)と1点で接触することを特徴とする回転装置。 - 請求項1に記載の回転装置と、通電によって電磁力を発生する電磁コイル(5)と、従動側機器(120)に連結された従動側回転部材(8、12)とを備え、前記電磁コイル(5)の発生する電磁力によって前記従動側回転部材(8、12)を前記回転部材(2)に吸着して、前記回転部材(2)の回転を前記従動側機器(120)に伝達することを特徴とする電磁クラッチ。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP35030898A JP3567769B2 (ja) | 1998-12-09 | 1998-12-09 | 回転装置および電磁クラッチ |
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP35030898A JP3567769B2 (ja) | 1998-12-09 | 1998-12-09 | 回転装置および電磁クラッチ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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