JP3567610B2 - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形加工性に優れ、かつ耐衝撃性、耐候性が良好な塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質塩化ビニル樹脂は、優れた耐薬品性、耐候性、機械的特性を有し、パイプ、建材など多方面の分野に使用されている。該樹脂の欠点である耐衝撃性を改良する目的で各種のゴム成分をブレンドする方法が提案されており、塩素化ポリオレフィンもその一種として利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、塩素化ポリオレフィンをブレンドすると、押出成形時にトルク上昇が見られ加工性が低下するという問題がある。そのため、原料ポリオレフィンとして分子量分布の広いものを用いたり、2段重合により得られるもの(特開平5−156108号公報、特開平6−157855号公報など)を用いる試みが行われてきたが、未だ十分とはいえない。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、成形加工性に優れ、かつ耐衝撃性、耐候性が良好な塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の非晶性塩素化ポリオレフィンを用いることにより上記目的を達成しうることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)塩化ビニル系樹脂 100重量部および、
(B)メルトフローレートが0.01〜15g/10分であり、かつ、下記(a)および(b)の性状を有するポリオレフィンを塩素化して得られる、塩素含有量が20〜50重量%である非晶性塩素化ポリオレフィン(I)と、メルトフローレートが30〜300g/10分であり、かつ、下記(a)および(b)の性状を有するポリオレフィンを塩素化して得られる、塩素含有量が20〜50重量%である非晶性塩素化ポリオレフィン(II)からなり、その重量比が20/80〜80/20の割合である塩素化ポリオレフィン 3〜20重量部からなる塩化ビニル系樹脂組成物を提供するものである。
(a)ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.0
(b)示差走査熱量計で測定した結晶融解ピーク温度が70℃以上
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる(A)塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体、あるいは塩化ビニルと他のモノマー、例えば塩化ビニリデン、エチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、あるいはこれらのエステルなどを共重合して得られる樹脂である。一般に他のモノマーの共重合割合は、合計量として多くとも40重量%であり、好ましくは30重量%以下である。これらの樹脂は、懸濁重合、乳化重合、塊状重合など公知の重合方法で得られる。
本発明の塩化ビニル系樹脂の平均重合度としては、混練性、機械的特性および熱安定性の面から、一般には300〜2000であり、400〜1800が好ましく、とりわけ500〜1600が好適である。
【0006】
本発明に用いる非晶性塩素化ポリオレフィン(I)の原料ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体、エチレンとα−オレフィンの共重合体もしくはこれらα−オレフィンの2種以上の共重合体などで結晶を有する重合体である。ここで共重合体とはランダムまたはブロックの共重合体が含まれる。また、これらのポリオレフィンは2種以上を併用することができる。
【0007】
本発明において、原料ポリオレフィンとしては、メルトフローレート(JISK7210に準拠し表1、条件4で測定、以下「MFR」という)は0.01〜15g/10分である必要があり、0.05〜13g/10分が好ましく、特に0.1〜10g/10分が好適である。MFRが0.01g/10分未満では加工性が劣る。一方、15g/10分を超えると耐衝撃性が劣るので好ましくない。
さらに、原料ポリオレフィンは下記(a)および(b)の性状を有することが必要である。
まず、(a)ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.5〜3.0である。Mw/Mnは1.6〜2.8が好ましく、特に1.8〜2.5が好適である。Mw/Mnが1.5未満では加工性が低下する。一方、3.0を超えると機械的強度が低下するので好ましくない。
また、(b)示差走査熱量計で測定した結晶融解ピーク温度は70℃以上であり、80℃以上が好ましく、特に100℃以上が好適である。結晶融解ピーク温度が70℃未満では塩素化反応に不具合を生ずるばかりでなく、機械的強度にも劣るので好ましくない。
【0008】
以上述べた条件を満たすポリオレフィンの例としては、例えば、周期律表第IVB 族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物からなる、いわゆるメタロセン触媒を用いて重合して得られるものが挙げられる。周期律表第IVB 族から選ばれる遷移金属としては、例えばジルコニウム、チタン、ハフニウムなどが挙げられる。また、有機アルミニウムオキシ化合物としては、例えば、吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、例えば硫酸アルミニウム水和物、塩化マグネシウム水和物などを懸濁した芳香族炭化水素溶媒に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させて得られる従来公知のアルミノキサンが挙げられる。メタロセン触媒については、特開昭62−121709号公報、特開昭62−121711号公報、特開昭62−129303号公報などに詳細な記載がある。
【0009】
上記ポリオレフィンを塩素化する方法としては、水性懸濁法、溶液法、気相法など公知の塩素化法が使用できるが、なかでも水性懸濁法により塩素化するのが好ましい。塩素化方法に具体例としては、例えば特開昭54−124096号公報、特開平4−106109号公報、特開平5−195502号公報に記載されている。塩素含有量としては、20〜50重量%であり、25〜45重量%が好ましく、特に30〜40重量%が好適である。塩素含有量が20重量%未満では耐衝撃性に劣る。一方、50重量%を超えても同様に耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0010】
本発明における非晶性塩素化ポリオレフィン(II)は、原料ポリオレフィのMFRが30〜300g/10分であることを除けば上記原料ポリオレフィンが使用できる。MFRはこのましくは40〜270g/10分であり、とりわけ50〜250g/10分が好適である。MFRが30g/10分未満では加工性が劣る。一方、300g/10分を超えると塩素化が困難となるので好ましくない。
【0011】
本発明においては、上記塩素化ポリオレフィン(I)と塩素化ポリオレフィン(II)との重量比は、20/80〜80/20であり、25/75〜75/25が好ましく、特に30/70〜70/30が好適である。ポリオレフィン(I)の重量比が20未満では耐衝撃性が不十分となる。一方、80を超えると加工性が低下するので好ましくない。
塩化ビニル系樹脂100重量部に対する塩素化ポリオレフィン(I)および(II)の配合量は、合計量として3〜20重量部であり、4〜18重量部が好ましく、特に5〜15重量部が好適である。配合量が3重量部未満では耐衝撃性改良効果が得られない。一方、20重量部を超えると耐熱性および引張強度が低下するので好ましくない。
【0012】
さらに、本発明の組成物には、所望により当該技術分野において慣用の添加剤、例えば充填剤、補強材、加工助剤、顔料、老化防止剤、難燃剤、発泡剤等を本発明の特性を損なわない範囲で配合してもよい。
本発明の組成物は、当業界で通常用いられる方法、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混練することにより得られる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
なお、用いた測定法を以下に示す。
(1)重量平均分子量、数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(Waters社製、ALC−150C)を用いて測定した。
(2)MFR
JIS K7210に準拠し表1、条件4で測定した。
(3)結晶融解ピーク温度
示差走査熱量計を用いて結晶融解熱を測定したときのピーク温度である。
(4)塩素含有量
精秤したサンプルを試験管内で燃焼させ、発生した塩化水素を純水に捕集し、水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めた。
(5)引張強度およびシャルピー衝撃強度
JIS K6301に準拠し測定した。
(6)ブラベンダートルクおよびゲル化時間
ブラベンダー混合機を用いて、温度180℃、回転数35rpm、予熱4分の条件で測定した。
【0014】
塩化ビニル樹脂として、重合度1050のものを用いた。
また、原料ポリオレフィンの製造例を以下に示す。
〈アルミノキサンの調整〉
十分に窒素置換した200mlフラスコに乾燥トルエン50mlを加え、そこにAl2(SO4)3・14H2 O 2.5gを懸濁させた。−20℃に冷却後、トリメチルアルミニウム30mmol(1.11mol/lのトルエン溶液27ml)を15分かけて加え、80℃に昇温して7時間撹拌した。その後、窒素雰囲気下で硫酸アルミニウム化合物を取り除き、0.35mol/lのアルミノキサンのトルエン懸濁液70mlを回収した。
〈アルミノキサンの担体への担持〉
十分に窒素置換した100mlフラスコにトルエン25mlとシリカ(デビソン952を300℃、4時間焼成したもの)1.5gを加え、この懸濁液に上記のメチルアルミノキサン(0.35mol(Al原子換算)トルエン溶液、メチル基/アルミニウム原子=1.32)37mlを加え、室温にて30分撹拌した。その後、減圧条件下溶媒を留去した。ヘプタン50mlを加えて、80℃にて4時間撹拌を行った。その後、80℃にてヘプタンで2回洗浄を行い、固体成分を得た。
〈重合〉
十分に窒素置換した内容積500リットルのステンレス製オートクレーブに、トリノルマルブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mol/l)を533ml、上記調製した固体触媒成分15g、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド83.3mgをトルエン333mlに溶解した溶液、およびイソブタン267リットルを導入した後、70℃に昇温した。エチレンと水素の混合ガス(水素/エチレン(モル比)=3×10−5)を導入することで重合を開始し、エチレン圧10kg/cm2 、70℃にて30分重合を行いポリマー(以下「PO−1」という)34kgを得た。
【0015】
重合時、エチレンと水素の混合ガスに加えて1−ヘキセン33.3kgを導入した以外は上記と同様にしてポリマー(以下「PO−2」という)25kgを得た。
【0016】
比較用として次の方法で製造したポリエチレンを用いた。
〈触媒調製〉
窒素置換した500リットルの反応器にマグネシウムエチラート4.7kgおよびヘキサン100リットルを加えスラリーとした。テトラブトキシチタン7.8kgおよびテトラブトキシジルコニウム8.7kgを添加し、90℃で2時間撹拌した。40℃に内温を下げた後、エチルアルミニウムジクロリド55.0kgを40℃を保つように100分間で滴下した。65℃に昇温し、1時間撹拌後、洗液中に塩化物イオンが確認できなくなるまでヘキサンで洗浄し、触媒スラリーを得た。
〈重合〉
内容積200リットルの重合器に脱水精製したイソブタンを117リットル/hr、トリイソブチルアルミニウムを175mmol/hrの速度で、上記触媒を50g/hrの速度で連続的に供給し、重合器内容物を所用速度で排出しながら、80℃においてエチレン濃度を1.0重量%、水素の対エチレン濃度比を1.05−3(w/w)、1−ブテンの対エチレン濃度比を12.0(w/w)となるように一定に保ち、全圧41.0kg/cm2 、平均滞留時間を0.8hrの条件下で連続重合を行いポリマー(以下「PO−A」という)を得た。
【0017】
〈触媒調製〉
窒素置換した500リットルの反応器にマグネシウムエチラート4.7kgおよびトルエン100リットルを加えスラリーとした。テトラブトキシチタン7.8kgを添加し、90℃で2時間撹拌した。40℃に内温を下げた後、エチルアルミニウムジクロリド30.0kgを40℃を保つように100分間で滴下した。60℃に昇温し、1.5時間撹拌後、洗液中に塩化物イオンが確認できなくなるまでヘキサンで洗浄し、触媒スラリーを得た。
〈重合〉
内容積200リットルの重合器に脱水精製したイソブタンを117リットル/hr、トリイソブチルアルミニウムを175mmol/hrの速度で、上記触媒を25g/hrの速度で連続的に供給し、重合器内容物を所用速度で排出しながら、80℃においてエチレン濃度を1.0重量%、水素の対エチレン濃度比を1.05−3(w/w)となるように一定に保ち、全圧41.0kg/cm2 、平均滞留時間を0.8hrの条件下で連続重合を行いポリマー(以下「PO−B」という)を得た。
【0018】
以上の各ポリオレフィンのMw/Mn比、MFRおよび結晶融解ピーク温度を測定した。その結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
〈塩素化反応〉
100リットルのオートクレーブに水80リットル、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム80g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム80gおよび粉末状のPO−1 10kgを投入し、温度105℃で15重量%まで塩素化した後、塩素ガス供給を中断し温度130℃まで加熱し、その後温度120℃まで冷却し、その温度で35重量%まで塩素化した。常法で水洗、乾燥して塩素化物(以下「CPO−1」という)を得た。
PO−2〜PO−BについてもPO−1と同様にして塩素化反応を行い、得られた塩素化物をそれぞれCPO−2〜CPO−Bとした。
【0021】
実施例1〜3、比較例1〜4
表2に種類と配合量(重量部)が示された各成分並びに安定剤として三塩基性硫酸鉛1重量部、三塩基性亜硫酸鉛1重量部およびステアリン酸1重量部をヘンシェルミキサーを用いて120℃まで加熱混合し、その後60℃まで冷却して均一な粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をブラベンダーを用いてトルクを測定した。また、ブラベンダーで混合した組成物をプレス成形機を用いて温度195℃、圧力200kg/cm2 の条件で5分間加圧し、厚さ3mmのシートを得た。得られたシートについて各物性を測定した。以上の結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、成形加工性に優れ、かつ耐衝撃性、耐候性が良好であるのでパイプ、建材など多方面の分野に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形加工性に優れ、かつ耐衝撃性、耐候性が良好な塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質塩化ビニル樹脂は、優れた耐薬品性、耐候性、機械的特性を有し、パイプ、建材など多方面の分野に使用されている。該樹脂の欠点である耐衝撃性を改良する目的で各種のゴム成分をブレンドする方法が提案されており、塩素化ポリオレフィンもその一種として利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、塩素化ポリオレフィンをブレンドすると、押出成形時にトルク上昇が見られ加工性が低下するという問題がある。そのため、原料ポリオレフィンとして分子量分布の広いものを用いたり、2段重合により得られるもの(特開平5−156108号公報、特開平6−157855号公報など)を用いる試みが行われてきたが、未だ十分とはいえない。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、成形加工性に優れ、かつ耐衝撃性、耐候性が良好な塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の非晶性塩素化ポリオレフィンを用いることにより上記目的を達成しうることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)塩化ビニル系樹脂 100重量部および、
(B)メルトフローレートが0.01〜15g/10分であり、かつ、下記(a)および(b)の性状を有するポリオレフィンを塩素化して得られる、塩素含有量が20〜50重量%である非晶性塩素化ポリオレフィン(I)と、メルトフローレートが30〜300g/10分であり、かつ、下記(a)および(b)の性状を有するポリオレフィンを塩素化して得られる、塩素含有量が20〜50重量%である非晶性塩素化ポリオレフィン(II)からなり、その重量比が20/80〜80/20の割合である塩素化ポリオレフィン 3〜20重量部からなる塩化ビニル系樹脂組成物を提供するものである。
(a)ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.0
(b)示差走査熱量計で測定した結晶融解ピーク温度が70℃以上
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる(A)塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体、あるいは塩化ビニルと他のモノマー、例えば塩化ビニリデン、エチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、あるいはこれらのエステルなどを共重合して得られる樹脂である。一般に他のモノマーの共重合割合は、合計量として多くとも40重量%であり、好ましくは30重量%以下である。これらの樹脂は、懸濁重合、乳化重合、塊状重合など公知の重合方法で得られる。
本発明の塩化ビニル系樹脂の平均重合度としては、混練性、機械的特性および熱安定性の面から、一般には300〜2000であり、400〜1800が好ましく、とりわけ500〜1600が好適である。
【0006】
本発明に用いる非晶性塩素化ポリオレフィン(I)の原料ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体、エチレンとα−オレフィンの共重合体もしくはこれらα−オレフィンの2種以上の共重合体などで結晶を有する重合体である。ここで共重合体とはランダムまたはブロックの共重合体が含まれる。また、これらのポリオレフィンは2種以上を併用することができる。
【0007】
本発明において、原料ポリオレフィンとしては、メルトフローレート(JISK7210に準拠し表1、条件4で測定、以下「MFR」という)は0.01〜15g/10分である必要があり、0.05〜13g/10分が好ましく、特に0.1〜10g/10分が好適である。MFRが0.01g/10分未満では加工性が劣る。一方、15g/10分を超えると耐衝撃性が劣るので好ましくない。
さらに、原料ポリオレフィンは下記(a)および(b)の性状を有することが必要である。
まず、(a)ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.5〜3.0である。Mw/Mnは1.6〜2.8が好ましく、特に1.8〜2.5が好適である。Mw/Mnが1.5未満では加工性が低下する。一方、3.0を超えると機械的強度が低下するので好ましくない。
また、(b)示差走査熱量計で測定した結晶融解ピーク温度は70℃以上であり、80℃以上が好ましく、特に100℃以上が好適である。結晶融解ピーク温度が70℃未満では塩素化反応に不具合を生ずるばかりでなく、機械的強度にも劣るので好ましくない。
【0008】
以上述べた条件を満たすポリオレフィンの例としては、例えば、周期律表第IVB 族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物からなる、いわゆるメタロセン触媒を用いて重合して得られるものが挙げられる。周期律表第IVB 族から選ばれる遷移金属としては、例えばジルコニウム、チタン、ハフニウムなどが挙げられる。また、有機アルミニウムオキシ化合物としては、例えば、吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、例えば硫酸アルミニウム水和物、塩化マグネシウム水和物などを懸濁した芳香族炭化水素溶媒に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させて得られる従来公知のアルミノキサンが挙げられる。メタロセン触媒については、特開昭62−121709号公報、特開昭62−121711号公報、特開昭62−129303号公報などに詳細な記載がある。
【0009】
上記ポリオレフィンを塩素化する方法としては、水性懸濁法、溶液法、気相法など公知の塩素化法が使用できるが、なかでも水性懸濁法により塩素化するのが好ましい。塩素化方法に具体例としては、例えば特開昭54−124096号公報、特開平4−106109号公報、特開平5−195502号公報に記載されている。塩素含有量としては、20〜50重量%であり、25〜45重量%が好ましく、特に30〜40重量%が好適である。塩素含有量が20重量%未満では耐衝撃性に劣る。一方、50重量%を超えても同様に耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0010】
本発明における非晶性塩素化ポリオレフィン(II)は、原料ポリオレフィのMFRが30〜300g/10分であることを除けば上記原料ポリオレフィンが使用できる。MFRはこのましくは40〜270g/10分であり、とりわけ50〜250g/10分が好適である。MFRが30g/10分未満では加工性が劣る。一方、300g/10分を超えると塩素化が困難となるので好ましくない。
【0011】
本発明においては、上記塩素化ポリオレフィン(I)と塩素化ポリオレフィン(II)との重量比は、20/80〜80/20であり、25/75〜75/25が好ましく、特に30/70〜70/30が好適である。ポリオレフィン(I)の重量比が20未満では耐衝撃性が不十分となる。一方、80を超えると加工性が低下するので好ましくない。
塩化ビニル系樹脂100重量部に対する塩素化ポリオレフィン(I)および(II)の配合量は、合計量として3〜20重量部であり、4〜18重量部が好ましく、特に5〜15重量部が好適である。配合量が3重量部未満では耐衝撃性改良効果が得られない。一方、20重量部を超えると耐熱性および引張強度が低下するので好ましくない。
【0012】
さらに、本発明の組成物には、所望により当該技術分野において慣用の添加剤、例えば充填剤、補強材、加工助剤、顔料、老化防止剤、難燃剤、発泡剤等を本発明の特性を損なわない範囲で配合してもよい。
本発明の組成物は、当業界で通常用いられる方法、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混練することにより得られる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
なお、用いた測定法を以下に示す。
(1)重量平均分子量、数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(Waters社製、ALC−150C)を用いて測定した。
(2)MFR
JIS K7210に準拠し表1、条件4で測定した。
(3)結晶融解ピーク温度
示差走査熱量計を用いて結晶融解熱を測定したときのピーク温度である。
(4)塩素含有量
精秤したサンプルを試験管内で燃焼させ、発生した塩化水素を純水に捕集し、水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めた。
(5)引張強度およびシャルピー衝撃強度
JIS K6301に準拠し測定した。
(6)ブラベンダートルクおよびゲル化時間
ブラベンダー混合機を用いて、温度180℃、回転数35rpm、予熱4分の条件で測定した。
【0014】
塩化ビニル樹脂として、重合度1050のものを用いた。
また、原料ポリオレフィンの製造例を以下に示す。
〈アルミノキサンの調整〉
十分に窒素置換した200mlフラスコに乾燥トルエン50mlを加え、そこにAl2(SO4)3・14H2 O 2.5gを懸濁させた。−20℃に冷却後、トリメチルアルミニウム30mmol(1.11mol/lのトルエン溶液27ml)を15分かけて加え、80℃に昇温して7時間撹拌した。その後、窒素雰囲気下で硫酸アルミニウム化合物を取り除き、0.35mol/lのアルミノキサンのトルエン懸濁液70mlを回収した。
〈アルミノキサンの担体への担持〉
十分に窒素置換した100mlフラスコにトルエン25mlとシリカ(デビソン952を300℃、4時間焼成したもの)1.5gを加え、この懸濁液に上記のメチルアルミノキサン(0.35mol(Al原子換算)トルエン溶液、メチル基/アルミニウム原子=1.32)37mlを加え、室温にて30分撹拌した。その後、減圧条件下溶媒を留去した。ヘプタン50mlを加えて、80℃にて4時間撹拌を行った。その後、80℃にてヘプタンで2回洗浄を行い、固体成分を得た。
〈重合〉
十分に窒素置換した内容積500リットルのステンレス製オートクレーブに、トリノルマルブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.5mol/l)を533ml、上記調製した固体触媒成分15g、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド83.3mgをトルエン333mlに溶解した溶液、およびイソブタン267リットルを導入した後、70℃に昇温した。エチレンと水素の混合ガス(水素/エチレン(モル比)=3×10−5)を導入することで重合を開始し、エチレン圧10kg/cm2 、70℃にて30分重合を行いポリマー(以下「PO−1」という)34kgを得た。
【0015】
重合時、エチレンと水素の混合ガスに加えて1−ヘキセン33.3kgを導入した以外は上記と同様にしてポリマー(以下「PO−2」という)25kgを得た。
【0016】
比較用として次の方法で製造したポリエチレンを用いた。
〈触媒調製〉
窒素置換した500リットルの反応器にマグネシウムエチラート4.7kgおよびヘキサン100リットルを加えスラリーとした。テトラブトキシチタン7.8kgおよびテトラブトキシジルコニウム8.7kgを添加し、90℃で2時間撹拌した。40℃に内温を下げた後、エチルアルミニウムジクロリド55.0kgを40℃を保つように100分間で滴下した。65℃に昇温し、1時間撹拌後、洗液中に塩化物イオンが確認できなくなるまでヘキサンで洗浄し、触媒スラリーを得た。
〈重合〉
内容積200リットルの重合器に脱水精製したイソブタンを117リットル/hr、トリイソブチルアルミニウムを175mmol/hrの速度で、上記触媒を50g/hrの速度で連続的に供給し、重合器内容物を所用速度で排出しながら、80℃においてエチレン濃度を1.0重量%、水素の対エチレン濃度比を1.05−3(w/w)、1−ブテンの対エチレン濃度比を12.0(w/w)となるように一定に保ち、全圧41.0kg/cm2 、平均滞留時間を0.8hrの条件下で連続重合を行いポリマー(以下「PO−A」という)を得た。
【0017】
〈触媒調製〉
窒素置換した500リットルの反応器にマグネシウムエチラート4.7kgおよびトルエン100リットルを加えスラリーとした。テトラブトキシチタン7.8kgを添加し、90℃で2時間撹拌した。40℃に内温を下げた後、エチルアルミニウムジクロリド30.0kgを40℃を保つように100分間で滴下した。60℃に昇温し、1.5時間撹拌後、洗液中に塩化物イオンが確認できなくなるまでヘキサンで洗浄し、触媒スラリーを得た。
〈重合〉
内容積200リットルの重合器に脱水精製したイソブタンを117リットル/hr、トリイソブチルアルミニウムを175mmol/hrの速度で、上記触媒を25g/hrの速度で連続的に供給し、重合器内容物を所用速度で排出しながら、80℃においてエチレン濃度を1.0重量%、水素の対エチレン濃度比を1.05−3(w/w)となるように一定に保ち、全圧41.0kg/cm2 、平均滞留時間を0.8hrの条件下で連続重合を行いポリマー(以下「PO−B」という)を得た。
【0018】
以上の各ポリオレフィンのMw/Mn比、MFRおよび結晶融解ピーク温度を測定した。その結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
〈塩素化反応〉
100リットルのオートクレーブに水80リットル、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム80g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム80gおよび粉末状のPO−1 10kgを投入し、温度105℃で15重量%まで塩素化した後、塩素ガス供給を中断し温度130℃まで加熱し、その後温度120℃まで冷却し、その温度で35重量%まで塩素化した。常法で水洗、乾燥して塩素化物(以下「CPO−1」という)を得た。
PO−2〜PO−BについてもPO−1と同様にして塩素化反応を行い、得られた塩素化物をそれぞれCPO−2〜CPO−Bとした。
【0021】
実施例1〜3、比較例1〜4
表2に種類と配合量(重量部)が示された各成分並びに安定剤として三塩基性硫酸鉛1重量部、三塩基性亜硫酸鉛1重量部およびステアリン酸1重量部をヘンシェルミキサーを用いて120℃まで加熱混合し、その後60℃まで冷却して均一な粉末混合物を得た。得られた粉末混合物をブラベンダーを用いてトルクを測定した。また、ブラベンダーで混合した組成物をプレス成形機を用いて温度195℃、圧力200kg/cm2 の条件で5分間加圧し、厚さ3mmのシートを得た。得られたシートについて各物性を測定した。以上の結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、成形加工性に優れ、かつ耐衝撃性、耐候性が良好であるのでパイプ、建材など多方面の分野に有用である。
Claims (2)
- (A)塩化ビニル系樹脂 100重量部および、
(B)メルトフローレートが0.01〜15g/10分であり、かつ、下記(a)および(b)の性状を有するポリオレフィンを塩素化して得られる、塩素含有量が20〜50重量%である非晶性塩素化ポリオレフィン(I)と、メルトフローレートが30〜300g/10分であり、かつ、下記(a)および(b)の性状を有するポリオレフィンを塩素化して得られる、塩素含有量が20〜50重量%である非晶性塩素化ポリオレフィン(II)からなり、その重量比が20/80〜80/20の割合である塩素化ポリオレフィン 3〜20重量部からなる塩化ビニル系樹脂組成物。
(a)ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.0
(b)示差走査熱量計で測定した結晶融解ピーク温度が70℃以上 - メルトフローレートが0.01〜15g/10分であり、かつ、(a)および(b)の性状を有するポリオレフィン並びにメルトフローレートが30〜300g/10分であり、かつ、(a)および(b)の性状を有するポリオレフィンが周期律表第IVB族から選ばれた遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物からなるメタロセン触媒を用いて重合して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
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