JP2935902B2 - エチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

エチレン系重合体の製造方法

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JP2935902B2
JP2935902B2 JP40973990A JP40973990A JP2935902B2 JP 2935902 B2 JP2935902 B2 JP 2935902B2 JP 40973990 A JP40973990 A JP 40973990A JP 40973990 A JP40973990 A JP 40973990A JP 2935902 B2 JP2935902 B2 JP 2935902B2
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哲夫 中條
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次彦 箱崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は狭い分子量分布を有する
エチレン系重合体の製造方法に関する。さらに詳しく
は、新規な高活性触媒を使用して、エチレンを単独重合
またはエチレンと他のα- オレフィン類とを共重合させ
ることにより、分子量分布が狭く極低分子量重合体の生
成量が少ないエチレン系重合体を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】エチレン系重合体は機械的性質にすぐ
れ、加工性が良好なことから、フィルム、テープ、シー
ト、繊維、中空成形品、射出成形品など非常に多くの成
形品に加工されて使用されている。これらの製品におい
て、透明性、耐衝撃性などが優れたものを得るために
は、分子量分布が狭い重合体を用いるのが好ましい。
叉、エチレン系重合体、特に共重合体を製造する時にフ
ァウリング(重合器の器壁などに重合体が付着するこ
と)やブリッジングを防止し、安全運転を行なうために
は、分子量分布が狭く、特に極低分子量重合体の存在量
が少ないことが好ましい。
【0003】分子量分布の狭いエチレン系重合体を得る
方法としては、バナジウム系触媒成分と有機アルミニウ
ム化合物とから形成される触媒を用いる方法が知られて
いるが、重合活性が低いという欠点がある。叉、マグネ
シウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする高活性
チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とから形成さ
れる触媒を用いて、狭い分子量分布のエチレン系重合体
を得る方法が数多く提案されており、たとえば特開昭6
0−104103号公報、特開昭58−1706号公
報、特開昭59−204603号公報などがあるが分子
量分布の充分に狭い重合体を与えるとは言い難い。
【0004】分岐度分布を均質にすることにより極低密
度重合体の生成量を減少する技術としては、特公昭56
−39766号公報、特公昭59−1408号公報、特
公昭59−1409号公報などが提案されているが、い
ずれも極低分子量重合体の生成を充分に抑えているとは
言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように分子量分布
が狭いとされている触媒を用いてエチレンを単独重合す
ることによって得られる重合体においても、溶媒(例え
ば、n−ヘキサン)を用いて抽出を行なった場合、相当
量の抽出分(極低分子量重合体)が存在する。これらの
極低分子量重合体の存在は重合体を成形加工する際に、
発煙、メヤニまたは悪臭の発生の原因となるとともに重
合体を製造する時にファウリングやブリッジングの原因
となる。
【0006】上記のごとき現象はエチレンとα−オレフ
ィンとを共重合させて得られる共重合体においてさらに
顕著となる。とりわけエチレンと比較的多量のα−オレ
フィンとを共重合することによって得られる中密度およ
び低密度ポリエチレンにおいては、溶媒による抽出分が
増大する。該抽出分は極低分子量重合体および、叉は極
低密度重合体とから構成されており、共重合時に生ずる
密度分布(分岐度分布)の広さにより極低密度部の存在
量が決定される。
【0007】よって、本発明の目的は、狭い分子量分布
を有し、しかも極低分子量重合体及び又は極低密度重合
体の含有量が少なく上記のような欠点のないエチレン系
重合体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上のことから、本発明
者らは、狭い分子量分布を有し、前記のような欠点が改
良された重合体を製造することを種々探索した結果、 (A)マグネシウム化合物、チタン化合物およびハロゲ
ン含有化合物を必須成分とする固体触媒の形成時もしく
は形成後に、下記一般式(1) (ここでR1 ,R2 およびZは脂肪族炭化水素、脂環式
炭化水素、芳香族炭化水素、多環式炭化水素より選ばれ
る基である。)で表わされるケトエステル化合物の1種
または2種以上の存在下で処理することを特徴とする固
体触媒成分および (B)有機アルミニウム化合物から得られる触媒系の存
在下にエチレンを単独重合または、エチレンと他のオレ
フィン類とを共重合させる方法によって、これらの問題
点がすべて改良されたエチレン系重合体が得られること
を見いだし本発明に到達した。
【0009】本発明において使用されるマグネシウム化
合物としては塩化マグネシウム、臭化マグネシウムのよ
うなハロゲン化マグネシウム、ジエトキシマグネシウ
ム、ジイソプロポキシマグネシウムのようなアルコキシ
マグネシウム、ラウリル酸マグネシウム、ステアリン酸
マグネシウムのようなマグネシウムのカルボン酸塩、ブ
チルエチルマグネシウムのようなアルキルマグネシウム
等を例示することができる。また、これらの化合物の2
種以上の混合物であってもよい。好ましくは、ハロゲン
化マグネシウムもしくは触媒形成時にハロゲン化マグネ
シウムを形成するものである。更に好ましくは、上記の
ハロゲンが素であるものである。
【0010】本発明において使用されるチタン化合物と
しては、四塩化チタン、三塩化チタン、四臭化チタン等
のハロゲン化チタン、テトラブトキシチタン、テトラエ
トキシチタン等のチタンアルコキシド、ブトキシトリク
ロロチタン、トリフェノキシクロロチタン等のアルコキ
シチタンハライド等を例示することができる。また、こ
れらの化合物の2種以上の混合物であってもよい。好ま
しくは、ハロゲンを含む4価のチタン化合物であり、特
に好ましくは四塩化チタンである。
【0011】本発明において使用されるハロゲン含有化
合物は、ハロゲンが弗素、塩素、臭素またはヨウ素、好
ましくは塩素であり、具体例としては四塩化チタン、四
臭化チタンなどのハロゲン化チタン、四塩化ケイ素、四
臭化ケイ素などのハロゲン化ケイ素、三塩化リン、五塩
化リンなどのハロゲン化リンなどが挙げられるが、調製
法によっては、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン分子、ハ
ロゲン化水素酸(例、HCl,HBr,HI等)を用い
ても良い。
【0012】本発明において使用されるケトエステル化
合物は一般式 で表わされる。
【0013】(1)式においてR1 は炭素数1〜20の
脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、多
環式炭化水素のいずれか叉は複数からなる基である。具
体的には、メチル、エチル,n-プロピル、i-プロピル、
n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、tert- ブチル、ペン
チル、tert- アミル、2−ヘキセニル、イソプロペニ
ル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
テトラメチルシクロヘキシル、シクロヘキセニル、ノル
ボルニルフェニル、トリル、エチルフェニル、キシル、
クミル、トリメチルフェニル、テトラメチルフェニル、
ペンタメチルフェニル、ナフチル、メチルナフチル、ア
ントラニル、ベンジル、ジフェニルメチル、インデニル
などを例示することができる。叉、これらの水素原子が
ハロゲン原子で置換されていても良い。この中でも、芳
香族炭化水素叉は多環式炭化水素を有する基が好適に使
用される。
【0014】Zは、炭素数1〜30の炭化水素基で脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素、多環
式炭化水素のいずれか叉は複数よりなる基である。具体
例としては、メチレン、エチレン、エチリデン、トリメ
チレン、プロピレンシクロヘキサン- ジイル、O-フェニ
レン、m-フェニレン、p-フェニレン、ジメチル-O- フェ
ニレン、1,2-ナフチレン、2,3-ナフチレン、1,8-ナフチ
レン、ビフェニレン、ビナフチレン、1,9-フルオレンジ
イルなどが挙げられる。これらの水素原子がハロゲン原
子で置換されていても良い。この中でも炭素数1〜20
の芳香族炭化水素叉は多環式炭化水素基を有する基が好
適に使用される。
【0015】R2 は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素、
脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、多環式炭化水素のい
ずいれか叉は複数からなる基である。具体的には、メチ
ル、エチル,n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブ
チル、sec-ブチル、tert- ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、シクロ
ヘキシル、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等を
例示できる。これらの水素原子がハロゲン原子で置換さ
れていてもよい。この中でも炭素数1〜12の脂肪族炭
化水素基を有する基が好適に使用される。
【0016】一般式(1)のケトエステル化合物の具体
例としては、2−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベン
ゾイル安息香酸エチル、2−(2′−メチルベンゾイ
ル)安息香酸n−ブチル、2−(4′−メチルベンゾイ
ル)安息香酸エチル、2−(2′,4′−ジメチルベン
ゾイル)安息香酸エチル、2−(2′,4′,6′−ト
リメチルベンゾイル)安息香酸エチル、2−(ペンタメ
チル−ベンゾイル)安息香酸プロピル、2−(トリエチ
ルベンゾイル)安息香酸エチル、2−(4′−塩化ベン
ゾイル)安息香酸エチル、2−(トリメチルベンゾイ
ル)−4,5−ジメチル安息香酸メチル、2−ベンゾイ
ル−3,6−ジメチル安息香酸n−プロピル、(1′−
ナフチル)フェニルケトン−2−カルボン酸エチル、
(1′−ナフチル)−4,5−ジメチルフェニルケトン
−2−カルボン酸メチル、(2′−ナフチル)フェニル
ケトン−2−カルボン酸プロピル、フェニル−1−ナフ
チルケトン−2−カルボン酸プロピル、フェニル−1−
ナフチルケトン−2−カルボン酸ブチル、メシチル−2
−ナフチルケトン−3−カルボン酸エチル、8−ベンゾ
イルナフタレンカルボン酸プロピル、8−トリオイルナ
フタレンカルボン酸ヘプチル、2′−トリオイルビフェ
ニル−2−カルボン酸イソブチル、2′−ベンゾイルビ
フェニル−2−カルボン酸メチル、2′−ベンゾイルビ
ナフィチル−2−カルボン酸エチル、(5′−インデニ
ル)フェニルケトン−2−カルボン酸ブチル、2−ベン
ゾイルフルオレン−カルボン酸n−ブチル、9−ベンゾ
イルフルオレンカルボン酸エチル、6(4′−トリオイ
ル)インデン−5−カルボン酸n−ブチル、10−ベン
ゾイルフェナントレン−10−カルボン酸エチル等を例
示できる。
【0017】本発明において用いられる触媒調製法は特
に限定されるものではなく、ハロゲン化マグネシウム、
ハロゲン化チタンおよびケトエステル化合物を共粉砕し
た後にハロゲン化処理してもよい。あるいはハロゲン化
マグネシウムを有機溶媒等に溶解させ、チタン化合物存
在下に析出する際または析出後にケトエステル化合物を
作用させても良い。また、ハロゲン化マグネシウム単独
または、ハロゲン化マグネシウムとケイ素化合物または
リン化合物との共粉砕後、ケトエステル化合物の共存
下、チタン化合物処理、ハロゲン化処理をしてもよい。
また、マグネシウムカルボン酸塩またはアルコキシマグ
ネシウム、チタン化合物、ハロゲン化剤およびケトエス
テル化合物を熱処理しても良い。また、アルキルマグネ
シウムにハロゲン化剤を作用させる際、ケトエステル化
合物、チタン化合物を調製過程に加えることによって生
成した触媒でも良い。
【0018】また、金属マグネシウムとハロゲン化炭化
水素とを作用させる際ケトエステル化合物、チタン化合
物を調製過程に加えることによって生成した触媒でも良
い。ケトエステル化合物の触媒中残存量は調製法にもよ
るが、チタン、マグネシウム、ケトエステルのモル比は
1:1 〜1000:10-6 〜100 の範囲であり、好ましくは1:2
〜100:10-4〜10の範囲である。ケトエステルがこの範囲
より少ないと分子量分布が充分に狭くならず、逆に多す
ぎると活性が低下するので好ましくない。
【0019】以上のようにして得られる固体触媒成分を
用いて、常法のように有機アルミニウム化合物または該
化合物と第三成分とから得られる触媒系でエチレンの単
独重合または、エチレンとα- オレフィンとの共重合を
行なうことによって本発明を達成することができる。
【0020】重合において使用さる有機アルミニウム化
合物の代表的なものは下記一般式(2)式ないし(4)
式で表わされる。 AlR3 r3-r (2) R45 Al−O−AlR67 (3)
【化1】
【化2】 (2)式〜(4)式において、R3 、R4 ,R5 ,R
6 ,R7 ,R8 は炭素数が多くとも12個の炭化水素基
であり、R4 ,R5 ,R6 ,R7 は同一でも異種でもよ
い。Xはハロゲン原子叉は水素原子であり、rは2〜3
の数であり、sは1以上の整数である。
【0021】(2)式で示される有機アルミニウム化合
物の代表例としては、トリエチルアルミニウム、トリプ
ロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムの
ようなトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウ
ムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライ
ドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、およびジ
エチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウム
ブロマイドなどのアルキルアルミニウムハライドが挙げ
られる。また、(3)式で示される有機アルミニウム化
合物の代表例としては、テトラメチルジアルモキサン、
テトラエチルジアルモキサン、テトラブチルジアルモキ
サンなどが挙げられる。また、(4)式で示される有機
アルミニウム化合物はトリアルキルアルミニウムと水と
の反応によって得られるアルミノオキサンであり、R8
の例としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペン
チルなどが挙げられる。なかでも、特に好ましい結果を
与えるものはメチル、エチル基である。sは1〜10が
好ましい。これらの有機アルミニウム化合物のうち、特
に好適なものは、トリアルキルアルミニウムである。
【0022】また、第三成分として用いられる化合物は
電子供与性化合物であり、オレフィンの重合において、
重合活性、結晶性などの改質剤としてよく知られている
ものである。
【0023】本発明において、エチレンと共重合するα
−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキ
セン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、ビ
ニルシクロヘキサンおよびスチレンなどの炭素数3〜1
5の不飽和炭化水素であるが、一般にはプロピレン、ブ
テン−1、ヘキセン−1、または4−メチルペンテン−
1が用いられる。得られるエチレン系共重合体中に占め
る上記のα−オレフィンの割合は一般には、20モル%
以下が好ましく、特に15モル%以下が好適である。
【0024】本発明の方法を実施するにあたり、重合温
度および圧力はとくに制限されることなく、常用の条件
を適用することができるが、一般には常温〜300℃の
温度範囲および1〜200気圧の重合圧力を採用し、気
相法、スラリー法あるいは溶液法により実施される。ま
た、必要ならば、分子量調節のために、重合反応系内に
水素等を共存させてもよい。 次に、実施例および比較
例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】
【実施例】(実施例1) 固体触媒成分の製造 温度計、攪拌機を備えた300ccの三つ口フラスコを
充分に窒素置換し、無水塩化マグネシウム(乾燥塩化水
素気流中で500℃において、15時間焼成乾燥したも
の)9.5g、デカン50mlおよび2−エチルヘキシ
ルアルコール50mlを加え、130℃で2時間加熱溶
解させた。ついで無水フタル酸2.1gを加え、さらに
1時間加熱した。この溶液を室温まで冷却し、−20℃
において80mlの四塩化チタン中に滴下した後、4時
間で110℃まで昇温し、1.12gの2−ベンゾイル
安息香酸エチルをゆっくり滴下した。滴下終了後、さら
に110℃で2時間反応させた。ついで、上澄み液を除
去後、新たに四塩化チタンを80ml添加し、110℃
で2時間加熱した。ついで、100mlのn−デカンで
3回洗浄後、n-ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥をすること
により、固体触媒成分を得た。Ti担持量は2.3wt
%であった。
【0026】エチレンの重合 窒素置換した1lのオートクレーブに上記の方法で得ら
れた固体触媒成分12.3mg,トリイソブチルアルミ
ニウム0.5mmolおよびイソブタン500mlを仕
込み、内温を90℃に昇温した。ついで、水素を分圧で
1.5kg/cm2 圧入した後、エチレンを分圧が5k
g/cm2 になるまで圧入し重合を開始した。エチレン
分圧を5kg/cm2 になるように保ちながら、1時間
重合を行なった。ついで、内容ガスを系外に放出するこ
とにより、重合を終結したところ、白色粉末状の重合体
が128g得られた。重合活性はエチレン1気圧、固体
触媒1g,1時間あたり2080gであった。この重合
体のメルトインデックス(JIS K6760,190
℃,2.16kg荷重,以下「MI」という)は1.5
3g/10分であり、ハイロードメルトインデックス
(190℃,21.6Kg荷重、以下「HLMI」とい
う)は37.9g/10分であった。すなわち、それら
の比HLMI/MIは24.8であり、分子量分布は狭
いものであった。また、極低分子量重合体および極低密
度重合体の生成量の目安であるところの、n−ヘキサン
可溶分(n−ヘキサンの沸点による溶出量)は0.51
%と少なかった。
【0027】(比較例1) 実施例1において2−ベンゾイル安息香酸エチルを用い
ない以外は、全く同様にして固体触媒成分を製造し、エ
チレンの重合を行なった。結果は表1に示す。
【0028】(実施例2〜6) 実施例1において2−ベンゾイル安息香酸エチルの代わ
りに表1に示す化合物を用いた以外は、実施例1と同様
に固体触媒成分を製造し、エチレンの重合を行なった。
その結果は表1に示す。
【0029】(実施例7) 固体触媒成分の製造 窒素気流中、充分乾燥した300mlの三つ口フラスコ
に、ジエトキシマグネシウム5g,2(4′−メチルベ
ンゾイル)安息香酸エチル1.52gおよび塩化メチレ
ン25mlを加え、還流下1時間攪拌した。ついで、こ
の懸濁液を200ml、TiCl4中へ加え、徐々に1
10℃まで昇温し、攪拌下2時間反応させた。反応終了
後、析出固体を濾別し、110℃のn-デカン200ml
で3回洗浄した。ついで、新たにTiCl4、200m
lを加え、120℃で2時間反応させた。反応終了後、
析出固体を濾別し、110℃のn- デカン200mlで
3回洗浄し、室温下n-ヘキサンで塩素イオンが検出され
なくなるまで洗浄した。減圧乾燥によって、Ti含有量
3.2%の固体触媒成分を得た。
【0030】エチレンの重合 重合は実施例1と同様に行なったところ、重合活性は3
880g/g- 固体触媒成分・1時間・エチレン1気圧
であり、MIは1.15g/10分、HLMI/MIは
25.0であった。n−ヘキサン可溶量は0.4%であ
った。
【0031】(実施例8) 固体触媒成分の製造 振動ボールミル用の1lポットに磁性ボールを見かけ容
積で約50%充填し、無水塩化マグネシウム(乾燥塩化
水素気流中で500℃において、15時間焼成乾燥した
もの)20g,2(4′−メチルベンゾイル)安息香酸
エチル13.5g、四塩化チタン3.3mlおよび粉砕
助剤としてシリコンオイル(信越化学TSS−451、
20CS)3.0mlを入れた。これを、振幅が6mm
の振動ボールミルに取り付け、15時間共粉砕を行なう
ことによって、共粉砕物を得た。この共粉砕物の15g
を1,2−ジクロルエタン150ml中に懸濁させ、8
0℃で2時間攪拌した後に、n−ヘキサンで充分に洗浄
し、減圧乾燥することにより固体触媒成分を得た。Ti
原子の含有量は2.5%であった。
【0032】エチレンとα−オレフィンの共重合 窒素置換した1lのオートクレーブに上記の方法で得ら
れた固体触媒成分6.8mg,トリイソブチルアルミニ
ウム0.5mmolおよびイソブタン500mlを仕込
み、内温を85℃に昇温した。ついで、水素を分圧で
1.0kg/cm2 圧入し、ブテン−1を15g仕込ん
だ後、エチレンを分圧が5kg/cm2 になるまで圧入
し重合を開始し、エチレン分圧を5kg/cm2 になる
ように保ちながら、1時間重合を行なった。ついで、内
容ガスを系外に放出することにより、重合を終結したと
ころ、白色粉末状の重合体が152g得られた。重合活
性はエチレン1気圧、固体触媒1g,1時間当り447
0gであり、MIは0.93g/10分、HLMI/M
Iは22.9、密度は0.933であった。n−ヘキサ
ン可溶量は0.95%であった。
【0033】(実施例9) 実施例8におけるエチレンとブテン−1との共重合にお
いて、第3成分としてフェニルトリエトキシシラン0.
1mmolを添加する以外は、実施例8と全く同様に共
重合を行なった。重合活性は2320g/g- 固体触媒
成分・1時間・エチレン1気圧であり、MIは0.67
g/10分、HLMI/MIは21.1、密度は0.9
37であった。n−ヘキサン可溶量は0.45%であっ
た。
【0034】(比較例2) 比較例1において製造した触媒を用いた他は、実施例8
と同様にエチレンとブテン−1との共重合を行なった。
重合活性は5050g/g- 固体触媒成分・1時間・エ
チレン1気圧であり、MIは1.96g/10分、HL
MI/MIは36.3、密度は0.932であった。n
−ヘキサン可溶量は4.05%であった。
【0035】
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、分子量分布が狭く、極
低分子量重合体および極低密度重合体の存在量が少ない
エチレン系共重合体を高活性に製造することができる。
そのため、重合体の製造時の安定運転が確保され、しか
も、成形時に発煙、メヤニ、悪臭などの発生が防止され
た高品質のエチレン重合体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係わるエチレン系重合体の製造方法
の一例を示すフローチャート図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 泰明 大分県大分市大字中の洲2番地 昭和電 工株式会社 大分研究所内 (56)参考文献 特開 平3−43407(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 4/60 - 4/70

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)マグネシウム化合物、チタン化合
    物およびハロゲン含有化合物を必須成分とする固体触媒
    の形成時もしくは形成後に、下記一般式(1) (ここでR1 ,R2 およびZは脂肪族炭化水素、脂環式
    炭化水素、芳香族炭化水素、多環式炭化水素より選ばれ
    る基である。) で表わされるケトエステル化合物の1種または2種以上
    の存在下で処理することを特徴とする固体触媒成分およ
    び (B)有機アルミニウム化合物 から得られる触媒系の存在下にエチレンを単独重合また
    は、エチレンと他のオレフィン類とを共重合させること
    を特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
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